説明

鍵盤楽器のベロシティ決定装置

【課題】 演奏時の演奏方法や押鍵強さなどにかかわらず、比較的単純な処理により、ベロシティを適切に決定することができる鍵盤楽器のベロシティ決定装置を提供する。
【解決手段】 回動自在の鍵4の押鍵強さに応じて音量を制御するためにベロシティを決定する鍵盤楽器2のベロシティ決定装置1であって、鍵4の回動範囲内の互いに異なる所定の3つ以上の区間において、鍵4の回動速度を表す鍵速度データとしてそれぞれ検出する鍵速度データ検出手段16と、検出された複数の鍵速度データから、その最大値データおよび最小値データを除外する鍵速度データ除外手段23と、最大値データおよび最小値データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、ベロシティVを決定するベロシティ決定手段23と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子ピアノなどの電子鍵盤楽器や、消音ピアノあるいは自動演奏ピアノなどの複合型ピアノに適用され、検出された押鍵情報に応じて打弦強さを表すパラメータとしてのベロシティを決定する鍵盤楽器のベロシティ決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電子ピアノの演奏時や消音ピアノの消音演奏時などには一般に、押鍵に伴って回動する鍵の鍵速度を検出し、検出した鍵速度に応じてベロシティを決定し、決定されたベロシティに基づいて、発生させる音量が決定される。これは、アコースティックピアノなどの音量は、弦を打弦する際のハンマーの打弦速度で決まり、この打弦速度は、基本的に鍵速度に応じて定まるからである。また、鍵速度に直接、基づかずに、ベロシティを決定するのは、演奏方法などが異なると、鍵速度が同じであっても、最終的な打弦速度が異なり、それに応じて発生させるべき音量も異なるためである。
【0003】
このようなベロシティを決定する従来の装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このベロシティ決定装置は、自動演奏ピアノに適用されたものである。この自動演奏ピアノは、演奏者による演奏時の演奏データを記録する記録モードと、記録した演奏データを再生する再生モードに、切り換え可能に構成され、複数の鍵と、弦を打弦するハンマーと、鍵盤の後部に設けられ、鍵の回動に伴って作動し、ハンマーを回動させるアクションなどを備えている。また、各鍵の前端部の下面には、シャッタが一体に設けられ、シャッタの移動経路に沿って4つのフォトカプラが測定点として配置されている。このような構成により、鍵が押鍵されると、鍵の回動に伴って、シャッタが4つのフォトカプラを順次、遮光し、それに応じた検出信号が各フォトカプラから出力される。
【0004】
このベロシティ決定装置では、演奏者が鍵を押鍵したとき、鍵操作の種類(押鍵強さ、連打時、非常に浅いタッチ時や浅いタッチ時などのタッチ深さ)にかかわらず、押鍵の開始から終了までの間に鍵速度が等速になる区間(以下「等速区間」という)が存在すること、そのような等速区間が現れるタイミングが鍵操作の種類間で異なること、および鍵操作の種類にかかわらず、等速区間で得られた鍵速度と打弦速度の間に一定の関係があること、という観点から、ベロシティが決定される。具体的には、4つのフォトカプラがそれぞれ遮光されたタイミングに基づいて、隣り合う各2つのフォトカプラによって定義される3つの測定区間における鍵の移動時間を算出し、これらの3つの移動時間に応じて鍵操作の種類を特定する。次に、特定された鍵操作の種類に応じて3つの測定区間の中から1つの等速区間を選択し、特徴区間として特定する。次いで、この特徴区間で得られた鍵速度に応じ、あらかじめ設定した鍵速度と打弦速度との関係に基づいて打弦速度(ベロシティ)を決定する。
【0005】
上記のように、このベロシティ決定装置では、3つの測定区間で得られた鍵の移動時間から鍵操作の種類を特定し、この鍵操作の種類に応じて特徴区間を選択する。しかし、実際の鍵操作は非常に複雑であり、それに応じて等速区間の現れ方も様々であるため、上記のような手法では、鍵操作の種類やそれに応じた特徴区間の特定を適切に行えず、その結果、ベロシティを適切に決定できないおそれがある。例えば、押鍵の途中で、押鍵深さがほとんど変化しない段(以下「緩徐段」という)が発生した場合において、その緩徐段の発生のタイミングが、押鍵の開始付近で生じたときと終了付近で生じたときとでは、鍵速度の推移が大きく異なるため、鍵操作の種類の特定を誤るおそれがある。そのような場合には、実際の演奏時における押鍵強さと決定されたベロシティの大小関係が逆転する逆転現象が生じ、鍵を強く押鍵しているにもかかわらず、小さな音量の楽音が発せられたり、逆に、鍵を弱く押鍵しているにもかかわらず、大きな音量の楽音が発せられたりしてしまう。また、鍵の移動時間に応じた鍵操作の種類の特定、および鍵操作の種類に応じた特徴区間の特定などの処理が必要になるとともに、これらの特定を行うための鍵の移動時間と鍵操作の種類との関係、および鍵操作の種類と特徴区間との関係をあらかじめ定めておかなければならず、全体の演算処理が複雑になるという問題もある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、演奏時の演奏方法や押鍵強さなどにかかわらず、比較的単純な演算処理により、ベロシティを適切に決定することができる鍵盤楽器のベロシティ決定装置を提供することを目的とする。
【0007】
【特許文献1】特公平7−113825号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、回動自在の鍵の押鍵強さに応じて音量を制御するためにベロシティを決定する鍵盤楽器のベロシティ決定装置であって、鍵の回動範囲内の互いに異なる所定の3つ以上の区間において、鍵の回動速度を表す鍵速度データとしてそれぞれ検出する鍵速度データ検出手段と、検出された複数の鍵速度データから、その最大値データおよび最小値データを除外する鍵速度データ除外手段と、最大値データおよび最小値データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、ベロシティを決定するベロシティ決定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この鍵盤楽器のベロシティ決定装置によれば、鍵速度データ検出手段によって、鍵の回動範囲内の互いに異なる所定の3つ以上の区間の鍵速度データをそれぞれ検出するとともに、鍵速度データ除外手段は、検出した鍵速度データから、その最大値データおよび最小値データを除外する。そして、ベロシティ決定手段は、最大値データおよび最小値データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、ベロシティを決定する。以上のように、本発明によれば、ベロシティを決定する際に、鍵速度データから最大値データおよび最小値データを除外する。例えば、鍵の押鍵時に、前述したような緩徐段が発生した場合には、鍵速度が一時的に低下し、その後、急激に増加する傾向があるので、最小値データおよび最大値データを除外することによって、そのような緩徐段による影響を除去でき、それにより、逆転現象などの不具合を防止することができる。したがって、演奏時の演奏方法や押鍵強さなどにかかわらず、ベロシティを適切に決定することができる。また、ベロシティの決定に用いる鍵速度データを、最大値データおよび最小値データを単純に除外するだけで抽出できるので、前述した従来のベロシティ決定装置のような鍵操作の種類や特徴区間の特定などの処理を行う場合と比較して、非常に単純な演算処理でベロシティを決定することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、回動自在の鍵の押鍵強さに応じて音量を制御するためにベロシティを決定する鍵盤楽器のベロシティ決定装置であって、鍵の回動範囲内の互いに異なる所定の3つ以上の区間において、鍵の回動速度を表す鍵速度データとしてそれぞれ検出する鍵速度データ検出手段と、検出された複数の鍵速度データに基づき、鍵速度データのばらつき度合を表すばらつきパラメータを算出するばらつきパラメータ算出手段と、算出されたばらつきパラメータに応じて、検出された複数の鍵速度データから除外する鍵速度データの数を除外データ数として決定する除外データ数決定手段と、決定された除外データ数の鍵速度データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、ベロシティを決定するベロシティ決定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この鍵盤楽器のベロシティ決定装置によれば、ばらつきパラメータ算出手段は、検出した複数の鍵速度データに基づいて、鍵速度データのばらつき度合を表すばらつきパラメータを算出する。また、除外データ数決定手段は、算出したばらつきパラメータに応じて、検出した複数の鍵速度データから除外する鍵速度データの数を除外データ数として決定する。このため、鍵の押鍵時に緩徐段が発生した場合のように、押鍵時の鍵速度にばらつきが生じたときには、そのばらつき度合に応じた数の鍵速度データが除外されるため、鍵速度のばらつきによる影響を除去することができる。そして、ベロシティ決定手段は、決定した除外データ数の鍵速度データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、ベロシティを決定する。以上のように、ベロシティを決定する際に、鍵速度データのばらつき度合に応じた除外データ数の鍵速度データを除外するので、緩徐段による影響などを除去でき、逆転現象などの不具合を防止できる。したがって、演奏時の演奏方法や押鍵強さなどにかかわらず、ベロシティを適切に決定することができる。また、ベロシティの決定に用いる鍵速度データを、ばらつき度合に応じた除外データ数の鍵速度データを除外するだけで抽出できるので、前述した従来のベロシティ決定装置と比較して、単純な演算処理でベロシティを決定することができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置において、除外データ数決定手段は、ばらつきパラメータによって表される複数の鍵速度データのばらつき度合が大きいほど、除外データ数をより大きな値に決定することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、押鍵時の鍵速度データのばらつき度合が大きいほど、より多くの鍵速度データを除外するので、鍵速度データのばらつき度合が大きい場合でも、ベロシティを良好に表す鍵速度データのみを用いながら、ベロシティを適切に決定することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置において、除外データ数決定手段によって決定される除外データ数は偶数であり、決定された除外データ数に応じ、検出された鍵速度データのうちの最大値データおよび最小値データを優先し、除外すべき鍵速度データとして決定する除外データ決定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、除外データ数が偶数に決定されるとともに、決定された除外データ数に応じ、検出された鍵速度データのうちの最大値データおよび最小値データを優先して除外する。すなわち、除外データ数が、例えば2の場合には最大値データおよび最小値データを除外し、4の場合には最大値データおよび2番目に大きい鍵速度データと、最小値データおよび2番目に小さい鍵速度データを除外する。これにより、過大または過小な鍵速度データを確実に除外することができる。さらに、偶数個の鍵速度データを除外するので、鍵速度データの最大側および最小側のものをバランス良く除外でき、偏りのない鍵速度データを用いてベロシティを適切に決定することができる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置において、ばらつきパラメータが複数の鍵速度データの標準偏差であることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、複数の鍵速度データの標準偏差をばらつきパラメータとして用いるので、鍵速度データのばらつき度合を適切に評価でき、したがって、それに基づいて除外データ数を適切に決定することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置において、ばらつきパラメータが複数の鍵速度データの標準偏差の自乗であることを特徴とする。
【0019】
一般に、標準偏差の演算には、平方根の演算が必要であるが、この構成によれば、複数の鍵速度データの標準偏差の自乗をばらつきパラメータとして用いるので、平方根の演算が不要になり、演算の負荷を軽減し、処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を、詳細に説明する。図1および図2は、本発明の実施形態によるベロシティ決定装置1を適用したアップライト型の消音ピアノ2(鍵盤楽器)を示している。なお、以下の説明では、消音ピアノ2を演奏者からみた場合の手前側(図1の右側)を「前」、奥側(図1の左側)を「後」とし、さらに左側および右側をそれぞれ「左」および「右」として、説明を行うものとする。図1に示すように、この消音ピアノ2は、棚板3と、棚板3に載置され、白鍵4aおよび黒鍵4b(ともに1つのみ図示)から成る複数の鍵4と、鍵4ごとに設けられ、弦15を打弦するハンマー5と、鍵4の後部上方に設けられたアクション6と、鍵4の押鍵情報を検出するための鍵位置センサ16(鍵速度データ検出手段)と、演奏音を電子的に発生させるための楽音発生装置19(図3参照)などを備えている。この消音ピアノ2では、演奏モードが、ハンマー5による打弦によってアコースティックな演奏音を発生させる通常演奏モードと、ハンマー5による打弦を阻止するとともに、鍵位置センサ16で検出された押鍵情報に応じて楽音発生装置19によって演奏音を発生させる消音演奏モードに、切り換えられる。
【0021】
鍵4は、その中央に形成されたバランスピン孔(図示せず)を介して、棚板3上に設けられたバランスレール3aから立設するバランスピン14に、回動自在に支持されている。
【0022】
アクション6は、鍵4の押鍵に伴ってハンマー5を回動させるためのものであり、前後方向に延び、各鍵4の後部にキャプスタンスクリュー10を介して載置されたウイッペン8と、ウイッペン8に回動自在に取り付けられたジャック9などを備えている。各ウイッペン8は、その後端部においてセンターレール11に回動自在に支持されている。ジャック9は、上下方向に延びる突き上げ部9aと、その下端部から前方にほぼ直角に延びる係合部9bとから、L字状に形成されており、その角部においてウイッペン8に回動自在に取り付けられている。センターレール11の後端部には、ダンパー12が回動自在に取り付けられている。
【0023】
一方、ハンマー5は、バット5aと、バット5aから上方に延びるハンマーシャンク5bと、ハンマーシャンク5bの上端部に取り付けられたハンマーヘッド5cなどで構成されており、バット5aの下端部において、センターレール11に回動自在に取り付けられている。図1に示す離鍵状態では、バット5aにジャック9の突き上げ部9aの先端が係合しているとともに、ハンマーシャンク5bがハンマーレール13に斜めに当接し、ハンマーヘッド5cが弦15に対向している。
【0024】
ハンマー5と弦15の間には、ストッパ7が設けられている。このストッパ7は、消音演奏モード時に、ハンマー5による弦15の打弦を阻止するためのものであり、本体部7aと、その先端に取り付けられたクッション(図示せず)などで構成されている。ストッパ7は、本体部7aの一端部において支点7bに回動自在に支持されており、モータ(図示せず)によって駆動される。ストッパ7は、通常演奏モード時には、上下方向に延び、ハンマー5のハンマーシャンク5bの回動範囲内から退避した退避位置(図1の実線位置)に駆動され、一方、消音演奏モード時には、前後方向に延び、ハンマーシャンク5bの回動範囲内に進入した進入位置(図1の点線位置)に駆動される。なお、このモータは、後述するCPU23からの駆動信号によって駆動される。
【0025】
以上の構成により、通常演奏モード時には、ストッパ7が退避位置に駆動されるとともに、この状態で、鍵4が押鍵されると、鍵4はバランスピン14を中心として図1の時計方向に回動し、この回動に伴ってウイッペン8が反時計方向に回動する。このウイッペン8の回動に伴い、ジャック9がウイッペン8と一緒に上方に移動し、その突き上げ部9aがバット5aを突き上げることによって、ハンマー5が反時計方向に回動し、ハンマーヘッド5cが弦15を打弦する。一方、消音演奏モード時には、ストッパ7が進入位置に駆動される。そして、鍵4が押鍵されると、通常演奏モード時と同様にしてハンマー5が反時計方向に回動する。この回動の途中、ハンマーヘッド5cが弦15を打弦する直前で、ハンマーシャンク5bが、進入位置に位置するストッパ7に当接することによって、ハンマー5のそれ以上の回動が阻止され、弦15の打弦が阻止される。また、このとき、鍵4の押鍵情報が鍵位置センサ16によって検出され、検出された押鍵情報に応じ、楽音発生装置19によって楽音が生成される。
【0026】
図2に示すように、鍵位置センサ16は、シャッタ17と第1および第2のセンサ素子21,22で構成されている。シャッタ17は、鍵4の下面のバランスピン14よりも前側に、下方に突出するように設けられている。シャッタ17は、ほぼ矩形の平板で構成されており、その左半部17Lおよび右半部17Rには、左右方向に延びる5つのスリット18L1〜18L5,18R1〜18R5が、下側から順に、上下方向に互いに等間隔に並んだ状態で、それぞれ形成されている。各スリット18の高さHは、各スリット18,18間の間隔G、すなわち下側のスリット18の上端とその上側のスリット18の下端との間の距離と等しい。また、左半部17Lのスリット18L1〜18L5と、右半部17Rのスリット18R1〜18R5は、互いに千鳥状に配置されており、具体的には、左半部17Lの各スリット18Lの高さの中心と右半部17Rの対応する各スリット18Rの下端が一致するように配置されている。また、シャッタ17の左半部17Lの下端部は、右半部17Rの下端よりも、スリット18の高さの1/2の長さだけ、下方に突出しており、すなわち左半部17Lおよび右半部17Rの下端部の高さもスリット18,18間の間隔Gと等しくなっている。
【0027】
前記第1および第2のセンサ素子21,22は、シャッタ17の左半部17Lおよび右半部17Rのそれぞれ下方の鍵4の回動範囲内に、互いに同じ高さで配置されており、例えば一対の発光素子と受光素子(ともに図示せず)でそれぞれ構成されている。これらの発光素子および受光素子は、シャッタ17の移動経路の両側に、互いに同じ高さでかつ所定の間隔を隔てて配置されている。発光素子は、その発光面(図示せず)から受光素子に向かって光を出射する。一方、受光素子は、この光をその受光面(図示せず)で受光し、この受光した光を電気信号に変換する。これらの電気信号は、鍵4の回動位置に応じた第1および第2の検出信号S1,S2として、図3に示すように、鍵盤スキャン回路20を介してCPU23に出力される。具体的には、鍵4の押鍵または離鍵に応じてシャッタ17が下降または上昇するのに伴い、発光素子の発光面と受光素子の受光面とを結ぶ光路上にシャッタ17のスリット18以外の部位が位置することによって、受光面への光が遮断されたときに、受光素子は、Hレベルの信号を出力する。一方、光路上にシャッタ17のスリット18が位置することによって、受光面に光が到達したときに、受光素子は、Lレベルの信号を出力する。
【0028】
図4は、鍵4をその回動範囲の全体にわたって等速度で押鍵したときの第1および第2の検出信号S1,S2のタイミングチャートを示している。まず、図2に示す離鍵状態では、両センサ素子21,22の受光面にそれぞれ光が到達することによって、第1および第2の検出信号S1,S2は、ともにLレベルになっている。次に、鍵4の押鍵に伴ってシャッタ17が下降し、その左半部17Lの下端に相当する左側の第1測定点(図2参照)が第1センサ素子21の光路上に達したときに、その受光素子への光が遮断されることによって、第1検出信号S1がLレベルからHレベルに立ち上がる(タイミングt1)。次いで、シャッタ17の右半部17Rの下端に相当する右側の第1’測定点が第2センサ素子22の光路上に達したときに、その受光素子への光が遮断されることによって、第2検出信号S2がLレベルからHレベルに立ち上がる(t1')。
【0029】
シャッタ17がさらに下降すると、左半部17Lの最も下側のスリット18L1の下端に相当する第2測定点が第1センサ素子21の光路上に達したときに、その受光素子に光が到達し、第1検出信号S1がHレベルからLレベルに立ち下がる(t2)。次いで、右半部17Rの最も下側のスリット18R1の下端に相当する第2’測定点が第2センサ素子22の光路上に達したとき、その受光素子に光が到達し、第2検出信号S2がHレベルからLレベルに立ち下がる(t2')。その後、鍵4が回動範囲の下限位置に達するまで(図2の第1および第2のセンサ素子21,22の点線位置相当)上記のような第1および第2のセンサ素子21,22の光路の遮断と非遮断が同様に繰り返され、それにより、第1および第2の検出信号S1,S2は、HレベルまたはLレベルを交互に繰り返すパルス信号になる。
【0030】
本実施形態では、第1および第2の検出信号S1,S2間の立ち上がりまたは立ち下がりの時間差Δt1〜Δt10を、第1〜第10測定区間の通過時間として求め、さらにそれらに基づいて、各測定区間の鍵速度を算出する。これらの第1〜第10測定区間は、第1測定点と第1’測定点の間、第2測定点と第2’測定点の間、・・・・、および第10測定点と第10’測定点の間にそれぞれ相当する。また、前述したシャッタ17の構成により、第1〜第10測定区間の長さは互いに等しく、スリット18の高さHの1/2である。
【0031】
なお、図10に示すように、離鍵時には、第1および第2の検出信号S1,S2は、上記とは逆の順序でHレベルまたはLレベルを交互に繰り返すパルス信号になる。このため、図4と図10の比較からも明らかなように、鍵4の下降時には、第1検出信号S1の立ち上がりに引き続いて第2検出信号S2が立ち上がり、また、第1検出信号S1の立ち下がりに引き続いて第2検出信号S2が立ち下がる。これに対し、鍵4の上昇時には、これらの関係が逆になり、第2検出信号S2の立ち上がりに引き続いて第1検出信号S1が立ち上がり、また、第2検出信号S2の立ち下がりに引き続いて第1検出信号S1が立ち下がる。したがって、第1および第2の検出信号S1,S2間の立ち上がりの順序または立ち下がりの順序を監視することによって、鍵4が下降または上昇のいずれの状態にあるかを容易に識別することができる。
【0032】
楽音発生装置19は、前述したように、消音演奏モード時に楽音を生成するものであり、図3に示すように、鍵盤スキャン回路20、CPU23、ROM24、RAM25、音源回路26、波形メモリ27、DSP28、D/A変換器29およびスピーカ30で構成されている。鍵盤スキャン回路20は、鍵位置センサ16の第1および第2の検出信号S1,S2に基づく鍵4のオン/オフ情報、およびオンまたはオフされた鍵4を特定するキーナンバ情報を、第1および第2の検出信号S1,S2とともに、鍵4の押鍵情報データとしてCPU23に出力する。ROM24は、CPU23で実行される制御プログラムの他、音量などを制御するための制御用の固定データなどを記憶している。また、RAM25は、消音演奏モード時の動作状態を表すステータス情報などを一時的に記憶するとともに、CPU23の作業領域としても使用される。
【0033】
音源回路26は、CPU23からの制御信号に従って、楽音波形データおよびエンベロープデータを波形メモリ27から読み出し、この読み出した楽音波形データにエンベロープデータを付加することによって、原音となる楽音信号MSを生成する。DSP28は、音源回路26によって生成された楽音信号MSに所定の音響効果を付加する。D/A変換器29は、DSP28によって音響効果が付加された楽音信号MSを、デジタル信号からアナログ信号に変換した後、このアナログ信号は、パワーアンプ(図示せず)を介して、スピーカ30で再生され、楽音として放射される。
【0034】
CPU23(鍵速度データ除外手段、ばらつきパラメータ算出手段、除外データ数決定手段、除外データ決定手段およびベロシティ決定手段)は、消音演奏モード時の各部の動作を統括的に制御するためのものである。CPU23は、鍵位置センサ16からの第1および第2の検出信号S1,S2などに応じ、ROM24に記憶された制御プログラムなどに従って、鍵速度に応じて音量を制御するためのベロシティを決定する。
【0035】
図5は、CPU23で実行される上記のベロシティ決定処理を示すフローチャートである。本処理では、鍵4が押鍵されるとまず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、鍵位置センサ16からの第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて、第1〜第10測定区間の通過時間Δt1〜Δt10を算出する。
【0036】
次いで、第1〜第10測定区間の長さ(H/2)を通過時間Δt1〜Δt10で除算することによって、各測定区間の鍵速度V1〜V10(鍵速度データ)を算出する(ステップ2)。次に、算出した鍵速度V1〜V10を比較し、それらのうちの最大値Vmax(最大値データ)および最小値Vmin(最小値データ)を特定する(ステップ3)。次いで、鍵速度V1〜V10から最大値Vmaxおよび最小値Vminを除外するとともに、残りの鍵速度の平均値Vavrを算出し(ステップ4)、この平均値VavrをベロシティVとして設定し(ステップ5)、本処理を終了する。
【0037】
図6は、鍵4の押鍵中に、緩徐段が発生したときの、押鍵の開始時からの時間tと、鍵4の移動距離xとの関係の一例を示している。同図に示すように、この例では、まず、第1〜第5測定区間では、鍵速度がほぼ一定になっており、このため、通過時間Δt1〜Δt5および鍵速度V1〜V5もほぼ一定の値になる。また、第6測定区間の付近で、緩徐段が発生しており、それに伴って鍵速度が低下する結果、この第6測定区間を通過するのに時間を要し、通過時間Δt6が大きくなり、それに基づいて算出される鍵速度V6は最小になる。その後、緩徐段が終了するのに伴い、第7測定区間付近で鍵速度が急激に増加しており、このため、第7測定区間の通過時間Δt7が非常に小さくなり、鍵速度V7は最大になる。さらに、鍵速度は、第8測定区間付近で低下し、その後はほぼ一定になっており、第8〜第10測定区間の通過時間Δt8〜Δt10および鍵速度V8〜V10は、第1〜第5測定区間とほぼ同じ一定の値になる。
【0038】
これに対し、前述したベロシティ決定処理では、ベロシティVを決定する際に、鍵速度V1〜V10から、第6測定区間の鍵速度V6を最小値Vminとして特定し、第7測定区間の鍵速度V7を最大値Vmaxとして特定し、それらをベロシティの算出から除外するので、緩徐段による影響を除去でき、それにより、逆転現象などの不具合を防止することができる。したがって、演奏時の演奏方法や押鍵強さなどにかかわらず、ベロシティVを適切に決定することができる。また、ベロシティVの決定に用いる鍵速度V1〜V10を、最大値Vmaxおよび最小値Vminを除外するだけで抽出できるので、前述した従来のベロシティ決定装置のような鍵操作の種類や特徴区間の特定などの処理を行う場合と比較して、非常に単純な演算処理でベロシティVを決定することができる。
【0039】
次に、図7を参照しながら、本発明の第2実施形態によるベロシティ決定処理について説明する。本処理では、図5に示した第1実施形態による処理と同様、まず、第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて通過時間Δt1〜Δt10を算出する(ステップ11)とともに、通過時間Δt1〜Δ10に応じて、各測定区間の鍵速度V1〜V10を算出する(ステップ12)。次いで、算出した鍵速度V1〜V10の標準偏差S(ばらつきパラメータ)を、次式(1)によって算出する(ステップ13)。
【0040】
【数1】

次いで、算出した標準偏差Sに応じ、図8に示すテーブルを検索することによって、鍵速度V1〜V10から除外すべき鍵速度のデータ数(以下「除外データ数」という)Nを決定する(ステップ14)。図8のテーブルでは、除外データ数Nは、標準偏差Sが第1所定値Sref1未満のときに値0に、標準偏差Sが第1所定値Sref1以上かつ第2所定値Sref2(>Sref1)未満のときに値2に、標準偏差Sが第2所定値Sref2以上のときに値4に、それぞれ設定されている。このように、標準偏差Sが大きいほど、すなわち鍵速度V1〜V10のばらつき度合が大きいほど、除外データ数Nがより大きな値に決定される。
【0041】
次いで、算出した除外データ数Nが値0であるか否かを判別し(ステップ15)、この判別結果がNOのときには、除外データ数Nに応じて、鍵速度データから除外する除外データを決定する(ステップ16)。この場合、除外データ数Nが2のときには、鍵速度V1〜V10のうち、最大値Vmaxおよび最小値Vminを除外し、除外数Nが4の場合には、鍵速度V1〜V10のうち、最大値Vmaxおよび2番目に大きい鍵速度と、最小値Vminおよび2番目に小さい鍵速度を除外する。これにより、過大または過小な鍵速度を確実に除外することができる。
【0042】
次に、残りの鍵速度データの平均値Vavrを算出し(ステップ17)、この平均値VavrをベロシティVとして設定し(ステップ18)、本処理を終了する。一方、前記ステップ15の判別結果がYESで、除外データ数N=0のときには、ステップ17に進み、すべての鍵速度V1〜V10を用いて平均値Vavrを算出する。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、ベロシティVを決定する際に、鍵速度V1〜V10の標準偏差Sを算出し、標準偏差Sが大きいほど、すなわち鍵速度のばらつき度合が大きいほど、より多くの鍵速度データを除外するので、鍵速度のばらつき度合が大きい場合でも、ベロシティを良好に表す鍵速度データのみを用いながら、ベロシティVを適切に決定することができる。したがって、第1実施形態と同様、緩徐段による影響などを除去し、逆転現象などの不具合を防止でき、それにより、演奏時の演奏方法や押鍵強さなどにかかわらず、ベロシティVを適切に決定することができる。また、ベロシティVの決定に用いる鍵速度データを、ばらつき度合に応じた除外データ数Nの鍵速データを除外するだけで抽出できるので、前述した従来のベロシティ決定装置と比較して、単純な演算処理でベロシティVを決定することができる。また、標準偏差Sが大きいほど、より多くの鍵速度データを除外するので、鍵速度データのばらつき度合が大きい場合でも、ベロシティを良好に表す鍵速度データのみを用いながら、ベロシティVを適切に決定することができる。また、標準偏差Sを用いるので、鍵速度V1〜V10のばらつき度合を適切に評価でき、したがって、それに基づいて除外データ数Nを適切に決定することができる。さらに、偶数個の鍵速度データを除外するので、鍵速度データの最大側と最小側をバランス良く除外でき、偏りのない鍵速度データを用いてベロシティVを適切に決定することができる。
【0044】
次に、図9を参照しながら、本発明の第3実施形態によるベロシティ決定処理について説明する。本処理は、上述した第2実施形態と比較し、鍵速度のばらつき度合を表すパラメータとして、標準偏差Sに代えて、その自乗S2を用いた点が異なるものである。すなわち、本処理では、図7に示した第2の実施形態による処理と同様、まず、第1および第2の検出信号S1,S2に基づいて通過時間Δt1〜Δt10を算出し(ステップ21)、通過時間Δt1〜Δt10に応じて、鍵速度V1〜V10を算出する(ステップ22)。次いで、算出した鍵速度V1〜V10の標準偏差の自乗S2を、次式(2)によって算出する(ステップ23)。
【0045】
【数2】

次いで、算出した標準偏差の自乗S2に応じ、テーブル(図示せず)を検索することによって、除外データ数Nを決定する(ステップ24)。このテーブルでは、第2実施形態と同様、標準偏差の自乗S2が大きいほど、除外データ数Nは大きな値に設定されている。
【0046】
次いで、第2実施形態と同様、算出した除外データ数Nが値0であるか否かを判別する(ステップ25)。この判別結果がNOのときには、除外データ数Nに応じて鍵速度データの除外データを決定し(ステップ26)、残りの鍵速度データの平均値Vavrを算出し(ステップ27)、この平均値VavrをベロシティVとして設定し(ステップ28)、本処理を終了する。一方、前記ステップ25の判別結果がYESで、除外データ数N=0のときには、ステップ27に進み、すべての鍵速度V1〜V10を用いて平均値Vavrを算出する。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、標準偏差の自乗S2をばらつきパラメータとして用いるので、第2実施形態で用いた標準偏差Sと比較し、平方根の演算が不要になり、演算の負荷を軽減し、演算処理時間を短縮することができる。
【0048】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、鍵4の回動速度を表す鍵速度データとして、鍵速度V1〜V10を用いているが、これに限らず、例えば通過時間Δt1〜Δt10を直接、用いてもよい。これは、前述したように、第1〜第10測定区間が互いに等しい長さに設定されているため、通過時間Δt1〜Δt10が鍵速度V1〜V10に反比例しているためである。さらに、実施形態では、鍵速度V1〜V10を検出するセンサとして、シャッタ17と第1および第2のセンサ素子21,22を組み合わせたものを用いているが、他の適当なタイプのセンサを用いてもよく、例えば鍵4の変位量に応じて静電容量や抵抗値が変化するタイプのセンサを用いてもよい。また、実施形態では、鍵速度を第1〜第10測定区間、すなわち10個の区間において検出しているが、鍵速度を検出する区間の数はこれに限らず、互いに異なる3つ以上であれば、任意に設定することが可能である。さらに、第2および第3実施形態では、鍵速度データのばらつき度合を表すばらつきパラメータとして、標準偏差Sおよび標準偏差の自乗S2をそれぞれ用いているが、これに限らず、他の適当なパラメータを用いてもよい。
【0049】
また、実施形態は、本発明を消音ピアノに適用した例であるが、これに限らず、ハンマーを有する自動演奏ピアノや電子ピアノはもとより、ハンマーを有しない電子ピアノなどの他のタイプの鍵盤楽器にも適用することも可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部を適宜変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明のベロシティ決定装置およびこれを適用した消音ピアノの概略構成を示す図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1のベロシティ決定装置のブロック図である。
【図4】鍵の押鍵時における第1および第2の検出信号のタイミングチャートを示している。
【図5】図3のCPUで実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図6】押鍵の開始時からの時間と鍵の移動距離との関係の一例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態による制御処理を示すフローチャートである。
【図8】図7の処理で用いられる除外データ数のテーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態による制御処理を示すフローチャートである。
【図10】鍵の離鍵時における第1および第2検出信号のタイミングチャートを示している。
【符号の説明】
【0051】
1 ベロシティ決定装置
2 消音ピアノ(鍵盤楽器)
4 鍵
16 鍵位置センサ(鍵速度データ検出手段)
20 鍵盤スキャン回路
23 CPU(鍵速度データ除外手段、ばらつきパラメータ算出手段、
除外データ数決定手段、除外データ決定手段およびベロ
シティ決定手段)
24 ROM
V1〜V10 鍵速度(鍵速度データ)
Vmax 最大値(最大値データ)
Vmin 最小値(最小値データ)
S 標準偏差(ばらつきパラメータ)
2 標準偏差の自乗(ばらつきパラメータ)
N 除外データ数
V ベロシティ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動自在の鍵の押鍵強さに応じて音量を制御するためにベロシティを決定する鍵盤楽器のベロシティ決定装置であって、
前記鍵の回動範囲内の互いに異なる所定の3つ以上の区間において、前記鍵の回動速度を表す鍵速度データとしてそれぞれ検出する鍵速度データ検出手段と、
当該検出された複数の鍵速度データから、その最大値データおよび最小値データを除外する鍵速度データ除外手段と、
前記最大値データおよび前記最小値データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、前記ベロシティを決定するベロシティ決定手段と、
を備えていることを特徴とする鍵盤楽器のベロシティ決定装置。
【請求項2】
回動自在の鍵の押鍵強さに応じて音量を制御するためにベロシティを決定する鍵盤楽器のベロシティ決定装置であって、
前記鍵の回動範囲内の互いに異なる所定の3つ以上の区間において、前記鍵の回動速度を表す鍵速度データとしてそれぞれ検出する鍵速度データ検出手段と、
当該検出された複数の鍵速度データに基づき、当該鍵速度データのばらつき度合を表すばらつきパラメータを算出するばらつきパラメータ算出手段と、
当該算出されたばらつきパラメータに応じて、前記検出された複数の鍵速度データから除外する鍵速度データの数を除外データ数として決定する除外データ数決定手段と、
当該決定された除外データ数の鍵速度データを除外した残りの鍵速度データに基づいて、前記ベロシティを決定するベロシティ決定手段と、
を備えていることを特徴とする鍵盤楽器のベロシティ決定装置。
【請求項3】
前記除外データ数決定手段は、前記ばらつきパラメータによって表される複数の鍵速度データのばらつき度合が大きいほど、前記除外データ数をより大きな値に決定することを特徴とする、請求項2に記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置。
【請求項4】
前記除外データ数決定手段によって決定される前記除外データ数は偶数であり、
当該決定された除外データ数に応じ、前記検出された鍵速度データのうちの最大値データおよび最小値データを優先し、除外すべき鍵速度データとして決定する除外データ決定手段をさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置。
【請求項5】
前記ばらつきパラメータが前記複数の鍵速度データの標準偏差であることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置。
【請求項6】
前記ばらつきパラメータが前記複数の鍵速度データの標準偏差の自乗であることを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載の鍵盤楽器のベロシティ決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−99005(P2006−99005A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288032(P2004−288032)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】