説明

開放器具

【課題】逆止弁を取り外すことなくガスボンベのパージや真空引きを可能とすることで、ガスボンベにおけるガス充填作業の効率を向上させる。
【解決手段】開放器具50は、逆止弁の出口から逆止弁の内部に進入し、逆止弁の逆止弁体を開くものである。この開放器具50が、連結部52と、引き離し部54とを備える。連結部52は、逆止弁の出口から逆止弁の内部に進入し、逆止弁の逆止弁体に連結される。引き離し部54は、逆止弁体に連結部52が連結されると、逆止弁の出口側へ連結部52を引くことで、逆止弁体を逆止弁の逆止弁座から引き離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放器具に関し、特に、逆止弁つきバルブがガスボンベに取り付けられたときその逆止弁を取り外すことなくガスボンベのパージ(ガスボンベ内の気体の放出)や真空引き(ガスボンベ内の気体を吸引してガスボンベの外に排出すること)を可能とする開放器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ガスボンベ用ガス充填装置のアタッチメントを開示する。このアタッチメントは、ガスボンベへのフレッシュガスの充填時に、逆止弁付きバルブに取り付けられる。このアタッチメントは、フレッシュガスの圧力によって逆止弁を強制的に開くことにより、フレッシュガスがガスボンベ内へ流入することを許容する。特許文献1に記載されているアタッチメントによれば、ガスボンベに対するガス充填作業の効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−209099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたアタッチメントには、逆止弁を取り外さなければガスボンベのパージや真空引きができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、逆止弁を取り外すことなくガスボンベのパージや真空引きを可能とすることで、ガスボンベにおけるガス充填作業の効率を向上させ得る開放器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照して本発明の開放器具を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、開放器具50は、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入し、逆止弁250の逆止弁体260を開くものである。この開放器具50が、連結部52と、引き離し部54とを備える。連結部52は、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入し、逆止弁250の逆止弁体260に連結される。引き離し部54は、逆止弁体260に連結部52が連結されると、逆止弁250の出口222a側へ連結部52を引くことで、逆止弁体260を逆止弁250の逆止弁座238から引き離す。
【0008】
引き離し部54が連結部52を介して間接的に逆止弁体260を出口222a側へ引くことで、逆止弁体260が逆止弁座238から引き離される。これにより、フレッシュガスの圧力を用いずに逆止弁250を強制的に開くことができる。フレッシュガスの圧力を用いずに逆止弁250を強制的に開くことができるので、逆止弁250を取り外さなくてもガスボンベのパージや真空引きが可能となる。その結果、ガスボンベにおけるガス充填作業の効率を向上させ得る。
【0009】
また、上述した連結部52が、進入部522と、引っ掛け部材収容部524と、引っ掛け部材526とを有することが望ましい。この場合、逆止弁体260は、逆止弁250の出口222aに対向する穴部262を有している。進入部522は、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入する。引っ掛け部材収容部524は、進入部522の一端に設けられる。引っ掛け部材526は、引っ掛け部材収容部524内に収容される。引っ掛け部材526は、逆止弁体260の穴部262の中で引っ掛け部材収容部524の中から外へ出て逆止弁体260の穴部262の内面に引っ掛かる。
【0010】
引っ掛け部材526が、逆止弁体260の穴部262の中で引っ掛け部材収容部524の中から外へ出て逆止弁体260の穴部262の内面に引っ掛かる。穴部262は、逆止弁250の出口222aに対向する。これにより、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入部522を進入させると、引っ掛け部材526が穴部262の内面にスムーズに引っ掛かりやすくなる。なお、ここでいう「引っ掛かる」とは、溝その他の凹部に突起その他の凸部が嵌まって引っ掛かるようなものであってもよいし、引っ掛け部材526と穴部262の内面とが摩擦力により引っ掛かるものであってもよい。
【0011】
もしくは、上述した進入部522が、鞘532と、内蔵軸534とを有することが望ましい。内蔵軸534は、鞘532の中に収容される。内蔵軸534は、一端534aが引っ掛け部材収容部524の中に達し、他端が鞘532の他端から露出する。内蔵軸534は、鞘532の内周面に沿って移動可能である。内蔵軸534の引っ掛け部材収容部524の中に達している一端534aは先端が細くなっている。引っ掛け部材収容部524が、内蔵管進入路524aと、部材収容孔524bとを有する。内蔵管進入路524aには、内蔵軸534が進入する。部材収容孔524bは、内蔵管進入路524aと引っ掛け部材収容部524の外部とを連通させ、かつ、引っ掛け部材526を収容する。引っ掛け部材526が、内蔵軸534の先端が細くなっている一端534aが引っ掛け部材収容部524内の奥へ押込まれると、内蔵軸534の先端が細くなっている一端534aによって引っ掛け部材収容部524内から押し出される。
【0012】
また、上述した引き離し部54が、生成部542と、伝達部544とを有することが望ましい。生成部542は、逆止弁体260を逆止弁座238から引き離すための力を生成する。伝達部544は、生成部542が生成した力を連結部52に伝達する。
【0013】
もしくは、上述した生成部542は、進入部522が貫通するコイルバネ552と、バネ支持フランジ554とを有することが望ましい。バネ支持フランジ554は、進入部522が貫通する孔554cを有する。バネ支持フランジ554は、コイルバネ552を支える。この場合、伝達部544は、進入部522に設けられ、コイルバネ552が生成した弾性力を受ける。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明にかかる開放器具によれば、逆止弁を取り外すことなくガスボンベのパージや真空引きを可能とすることで、ガスボンベにおけるガス充填作業の効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態にかかる逆止弁つきバルブの断面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる開放器具の正面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる引っ掛け部材収容部の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる開放器具の断面図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる開放器具を逆止弁つきバルブに挿入したときの、逆止弁つきバルブの断面図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる開放器具の動作を示す図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる逆止弁つきバルブの逆止弁が開放されたときの、逆止弁つきバルブの断面図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる逆止弁つきバルブにフレッシュガスが供給される状況を示す図である。
【図9】逆止弁が設けられていないバルブにフレッシュガスが供給される状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかるにかかる逆止弁つきバルブ20の断面図である。図2は、本実施形態にかかる開放器具50の正面図である。
【0018】
まず、本実施形態にかかる逆止弁つきバルブ20について説明する。本実施形態にかかる逆止弁つきバルブ20は、図示しないガスボンベに取付けられることとする。ここでは、そのガスボンベには、約15MPaの窒素ガスが充填可能とされていることとする。もちろん、本実施形態にかかる逆止弁つきバルブ20が、窒素ガス充填するためのガスボンベに代えて、アルゴンガスその他のガスを充填するためのガスボンベに取付けられて良いことは言うまでもない。
【0019】
逆止弁つきバルブ20は弁箱22を備える。弁箱22に形成された脚ネジ部(図示せず)が上述したガスボンベの首部にネジ止め固定される。その弁箱22の途中部分からガスノズル222が横向きに突出している。脚ネジ部の下面に開口したボンベ側開口(図示せず)が、ガス通路226と閉止弁座228の筒孔内と閉止弁室230とを順に経由して、閉止弁室230の側壁に開口したノズル内通路234へ通じている。ノズル内通路234の中に、逆止弁250が設けられている。このため、ガスノズル222の出口であるノズル開口222aは、逆止弁250の出口とも言える。
【0020】
閉止弁室230は、ネジ孔224を介して弁箱22の外に連通している。そのネジ孔224には、弁蓋24がネジ込まれている。弁蓋24には、スピンドル貫通孔210が形成されている。スピンドル貫通孔210にスピンドル26が螺合する。スピンドル26の一端には、スピンドル回転ハンドル28が取り付けられている。
【0021】
閉止弁室230に、閉止部材30とダイヤフラム32とコイルバネ34とが収容されている。ダイヤフラム32の上面は、スピンドル26に対向している。ダイヤフラム32の下面が閉止部材30の上端に接着されている。コイルバネ34は、閉止部材30を押し上げている。閉止部材30の上端は、ダイヤフラム32に接着されている。
【0022】
このような構造となっているため、スピンドル回転ハンドル28を回転させてスピンドル26を閉止弁室230の方へ進ませると、スピンドル26の先端がダイヤフラム32を押し下げる。ダイヤフラム32が押し下げられるのに伴って、閉止部材30も押し下げられる。その結果、閉止部材30によって閉止弁座228が塞がれる。一方、スピンドル回転ハンドル28を回転させて、スピンドル26を閉止弁室230の方から弁箱22の外の方へ後退させると、スピンドル26の先端がダイヤフラム32から離れる。ダイヤフラム32が離れるのに伴って、コイルバネ34が閉止部材30を押し上げる。その結果、閉止部材30が閉止弁座228から離れる。このようにして、閉止部材30に嵌め込まれている合成樹脂製の弁体30aは、閉止弁座228に接したり閉止弁座228から離れたりできる。
【0023】
逆止弁250は次のように構成されている。すなわち、ガスノズル222のノズル開口222aから奥に向かって順に、ノズル内通路234・逆止弁室236及びノズル側通路240が直列状に形成される。ノズル内通路234内にカセット筒252がネジで嵌め込まれ、カセット筒252の筒孔内に逆止弁室236が形成される。逆止弁室236に逆止弁体260と押付バネ264とが収容されている。逆止弁体260は図1における横方向へ所定範囲内で移動できる。逆止弁体260の先端(ここでは、図1における右端部分のこと)は、逆止弁座238に挿入されたりそこから離れたりする。逆止弁体260の筒部260aには流路溝260bとガイドリブ260cとが周方向に交互に形成される。また、筒部260aの中には穴部262が形成されている。穴部262はガスノズル222のノズル開口222aに対向する。穴部262の内面には、内部溝262aが設けられている。逆止弁体260は、押付バネ264によって逆止弁座238へ押し付けられる。
【0024】
上記カセット筒252のノズル開口222a側に、封印部材兼支持部材として、環状の板バネ254が装着される。この板バネ254は、リン青銅等の比較的に脆い材質で造られている。この板バネ254は、ノズル内通路234の内周面に形成したバネ受け溝234aに嵌め込まれている。そして、ガスボンベの保管中に何らかの間違いでカセット筒252を無理やり取出そうとしたときには、その異常な力によって板バネ254が容易に破損する。板バネ254が破損するので、その破損状態を作業者の目で確認することにより、逆止弁250の逆止機能が阻害されてしまったことを確認できる。その結果、回収されてきたガスボンベ内が外気や異物で汚染しているおそれのあることが容易に検知され、ガスボンベのクリーニングの要否の判断が容易である。
【0025】
次に、本実施形態にかかる開放器具50について説明する。本実施形態にかかる開放器具50は、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入し、逆止弁250の逆止弁体260を開くものである。この開放器具50が、連結部52と、引き離し部54とを備える。連結部52は、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入し、逆止弁250の逆止弁体260に連結される。引き離し部54は、逆止弁体260に連結部52が連結されると、逆止弁250の出口222a側へ連結部52を引くことで、逆止弁体260を逆止弁250の逆止弁座238から引き離す。
【0026】
連結部52は、進入部522と、引っ掛け部材収容部524と、引っ掛け部材526とを有する。進入部522は、逆止弁250の出口222aから逆止弁250の内部に進入する。引っ掛け部材収容部524は、進入部522の一端(本実施形態についてより厳密に述べると、後述する鞘532の一端)に設けられる。引っ掛け部材526は、引っ掛け部材収容部524内に収容される。引っ掛け部材526は、逆止弁体260の穴部262の中で引っ掛け部材収容部524の中から外へ出て逆止弁体260の穴部262の内面に引っ掛かる。本実施形態において、引っ掛け部材526は、鋼製のボールである。
【0027】
進入部522は、鞘532と、内蔵軸534とを有する。内蔵軸534は、鞘532の中に収容される。内蔵軸534は、一端534aが引っ掛け部材収容部524の中に達し、他端が鞘532の他端から露出する。内蔵軸534は、鞘532の内周面に沿って移動可能である。内蔵軸534の引っ掛け部材収容部524の中に達している一端534aは先端が細くなっている。内蔵軸534の他端にはロックハンドル534bが取り付けられている。
【0028】
ここで、図3を参照しつつ、引っ掛け部材収容部524の構造を説明する。図3は、本実施形態にかかる引っ掛け部材収容部524の拡大断面図である。引っ掛け部材収容部524は、内蔵管進入路524aと、部材収容孔524bとを有する。内蔵管進入路524aには、内蔵軸534が進入する。部材収容孔524bは、内蔵管進入路524aと引っ掛け部材収容部524の外部とを連通させ、かつ、引っ掛け部材526を収容する。
【0029】
図4は、本実施形態にかかる開放器具50の断面図である。図3および図4を参照しつつ、引っ掛け部材収容部524内における内蔵軸534の一端534aと引っ掛け部材526との動作を説明する。図4(A)は、内蔵軸534の一端534aが図2に示した位置にあるときのA−A断面図である。図3に示したように、内蔵軸534の一端534aが引っ掛け部材収容部524の中に達している。ロックハンドル534bを引っ掛け部材収容部524の方へ押込むことによって内蔵軸534の一端534aが引っ掛け部材収容部524の中にさらに進入すると、その内蔵軸534の一端534aによって引っ掛け部材526が引っ掛け部材収容部524の外に押しだされる。図4(B)は、引っ掛け部材526が引っ掛け部材収容部524の外に押しだされたときの引っ掛け部材収容部524の断面図である。
【0030】
再び図2を参照しつつ、引き離し部54について説明する。引き離し部54は、生成部542と、伝達部544とを有する。生成部542は、逆止弁体260を逆止弁座238から引き離すための力を生成する。伝達部544は、生成部542が生成した力を連結部52に伝達する。伝達部544は、進入部522に設けられる。伝達部544は、コイルバネ552が生成した弾性力を受けて、その弾性力を連結部52に伝達する。伝達部544は孔を有している。内蔵軸534のロックハンドル534bが取り付けられている方の端は、その孔を貫通し、かつ、鞘532から露出している。
【0031】
次に、生成部542について説明する。生成部542は、進入部522が貫通するコイルバネ552と、バネ支持フランジ554とを有する。コイルバネ552は、伝達部544とバネ支持フランジ554との間に配置される。バネ支持フランジ554は、コイルバネ552を支える。
【0032】
バネ支持フランジ554には、ガスケット554aとガス充填孔554bと孔554cとが取り付けられている。ガスケット554aはガスノズル222のノズル開口222aに密着する。ガス充填孔554bは、逆止弁体260が逆止弁座238から引き離された後に、フレッシュガスが通過する孔である。孔554cは、進入部522が貫通する。このため、バネ支持フランジ554は、鞘532に沿って自由に移動できるようになっている。
【0033】
図5は、本実施形態にかかる開放器具50を逆止弁つきバルブ20に挿入したときの、逆止弁つきバルブ20の断面図である。図6は、本実施形態にかかる逆止弁つきバルブ20内(より厳密に言えば、逆止弁体260の筒部260aの穴部262内)に開放器具50の引っ掛け部材収容部524を挿入したときの、開放器具50の動作を示す図である。図7は、本実施形態にかかる逆止弁つきバルブ20の逆止弁250が開放されたときの、逆止弁つきバルブ20の断面図である。以下において、図5ないし図7を参照しつつ、逆止弁250を強制的に開弁させるための構成を説明する。
【0034】
フレッシュガス充填の作業前、逆止弁体260とカセット筒252の内壁との間に隙間が存在するため、逆止弁体260は重力で径方向の下側に移動している。そのため、逆止弁体260の中心軸はカセット筒252の中心軸よりも低い位置にある。ガスボンベにフレッシュガスを充填する際には、まず、開放器具50の引っ掛け部材収容部524などがノズル内通路234に挿入される。ノズル内通路234に挿入された引っ掛け部材収容部524は、穴部262内に進入する。ガスノズル222のノズル開口222aは開放器具50のガスケット554aによって密封される。この状況を図5に示す。
【0035】
ガスノズル222のノズル開口222aにバネ支持フランジ554が押し当てられる状態で、図6に示すように開放器具50のロックハンドル534bがさらに押込まれると(図6における一点鎖線の上半分がロックハンドル534bを押込む前を示し、図6における一点鎖線の下半分がロックハンドル534bを押込んだ後を示す)、鞘532内の内蔵軸534が引っ掛け部材収容部524の奥へ進入する。鞘532内の内蔵軸534が引っ掛け部材収容部524の奥へ進入すると、引っ掛け部材収容部524内の引っ掛け部材526が引っ掛け部材収容部524の外へ押し出される。そうすると、引っ掛け部材526が逆止弁体260の内部溝262aに嵌まる。引っ掛け部材526が逆止弁体260の内部溝262aに嵌まることで、開放器具50と逆止弁体260とが連結されることとなる。
【0036】
この状態で作業者がロックハンドル534bから手を離せば、図7に示すように、コイルバネ552の弾性力によって鞘532は内蔵軸534ごと後退する。鞘532が内蔵軸534ごと後退するのに伴って、逆止弁体260は弁座から離れる。これにより、逆止弁250が開放されることとなる。
【0037】
この状態で、図8に示すように、ガスノズル222にガス充填用治具300を取り付け、ガス充填用治具300のガス供給孔を介して充填用のフレッシュガスを図外のガス貯蔵装置から供給すると、そのフレッシュガスはバネ支持フランジ554のガス充填孔554bを通過して、逆止弁室236内へ流入する。このとき逆止弁250が開放されているので、フレッシュガスは逆止弁室236からノズル側通路240へ流入する。
【0038】
上記のように、逆止弁つきバルブ20の逆止弁250を開放器具50によって開放するので、逆止弁つきバルブ20から逆止弁250を取り外さなくてもガスのパージやガスボンベの真空引きが可能となる。そのため、逆止弁250を取り外す作業がない分、ガスボンベへのガスの充填作業の効率を向上させることができる。しかも、本実施形態にかかる開放器具50の外径はガス充填用治具300のガス供給孔の内径より細いため、逆止弁がないバルブ400が取り付けられたガスボンベにガスを充填する際には、図9に示すように、開放器具50を取り付けずにガス充填用治具300をバルブ400に取り付ければよい。開放器具50を取り付けずにガス充填用治具300をバルブ400に取り付ければよので、逆止弁つきバルブ用のガス充填用治具と逆止弁がないバルブ用のガス充填用治具とを使い分ける必要がない。
【0039】
このような充填作業の効率を向上させることができるという効果は、空になったら再度充填され、かつ、再度充填されるたびに充填されるガスの種類が異なることがあるタイプのガスボンベに関して、特に大きな効果を奏する。再度充填されるたびに充填されるガスの種類が異なることがあるタイプのガスボンベの場合、再度充填する際にはパージと真空引きとが強く求められる。パージと真空引きとを行わなければ、充填前に残っていたガスと新たに充填されたガスとが化学反応を起こして思わぬ事故を引き起こす恐れがある。また、そのような化学反応が生じなくても、新たなガスが充填されたガスボンベを使用する際、新たに充填されたガスの中に充填前に残っていたガスが混入していることで、予想外の事故が生じる可能性もある。このような問題点が、再度充填する際にはパージと真空引きとが強く求められる原因となっている。パージと真空引きとが強く求められる場合においてそれらの作業の効率を向上させることは、ガスの再充填作業全体の効率向上につながる。
【0040】
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよいのはもちろんである。
【0041】
例えば、生成部542は、コイルバネ552に代えて、シリンダを有していてもよい。そのシリンダの駆動源は特に限定されない。シリンダではなく、ゴム製の筒といった弾性体を有していてもよい。
【0042】
また、引っ掛け部材収容部524は、内蔵軸534によって引っ掛け部材526を外部に押し出すのではなく、引っ掛け部材収容部524の中に収容されている弾性体によって引っ掛け部材526を外部へ押し出す構造であってもよい。引っ掛け部材収容部524は、引っ掛け部材526を外部へ押し出す構造ではなく、引っ掛け部材収容部524の表面に嵌め込まれている引っ掛け部材526を立ち上がらせる構造であってもよい。
【0043】
また、連結部52は、逆止弁250の穴部262に引っ掛かるのではなく、逆止弁体260の筒部260aの外周面に摩擦力によって引っ掛かってもよい。また、連結部52は、逆止弁体260のどこかに吸着することで逆止弁体260に連結されてもよい。この場合、逆止弁250の穴部262は必ずしも必要ではない。
【符号の説明】
【0044】
20 逆止弁つきバルブ
22 弁箱
24 弁蓋
26 スピンドル
28 スピンドル回転ハンドル
30 閉止部材
30a 弁体
32 ダイヤフラム
34 コイルバネ
50 開放器具
52 連結部
54 引き離し部
210 スピンドル貫通孔
222 ガスノズル
222a ノズル開口
224 ネジ孔
226 ガス通路
228 閉止弁座
230 閉止弁室
234 ノズル内通路
234a バネ受け溝
236 逆止弁室
238 逆止弁座
240 ノズル側通路
250 逆止弁
252 カセット筒
254 板バネ
260 逆止弁体
260a 筒部
260b 流路溝
260c ガイドリブ
262 穴部
262a 内部溝
264 押付バネ
300 ガス充填用治具
400 バルブ
522 進入部
524 引っ掛け部材収容部
524a 内蔵管進入路
524b 部材収容孔
526 引っ掛け部材
532 鞘
534b ロックハンドル
534a 一端
534 内蔵軸
542 生成部
544 伝達部
552 コイルバネ
554 バネ支持フランジ
554a ガスケット
554b ガス充填孔
554c 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁の出口から前記逆止弁の内部に進入し、前記逆止弁の逆止弁体を開く開放器具であって、
前記開放器具が、
前記逆止弁の出口から前記逆止弁の内部に進入し、前記逆止弁の逆止弁体に連結される連結部と、
前記逆止弁体に前記連結部が連結されると、前記逆止弁の出口側へ前記連結部を引くことで、前記逆止弁体を前記逆止弁の逆止弁座から引き離す引き離し部とを備えることを特徴とする、開放器具。
【請求項2】
前記逆止弁体は、前記逆止弁の出口に対向する穴部を有しており、
前記連結部が、
前記逆止弁の出口から前記逆止弁の内部に進入する進入部と、
前記進入部の一端に設けられる引っ掛け部材収容部と、
前記引っ掛け部材収容部内に収容され、前記逆止弁体の穴部の中で前記引っ掛け部材収容部の中から外へ出て前記逆止弁体の穴部の内面に引っ掛かる引っ掛け部材とを有することを特徴とする、請求項1に記載の開放器具。
【請求項3】
前記進入部が、
鞘と、
前記鞘の中に収容され、一端が前記引っ掛け部材収容部の中に達し、他端が前記鞘の他端から露出し、かつ、前記鞘の内周面に沿って移動可能な内蔵軸とを有しており、
前記内蔵軸の前記引っ掛け部材収容部の中に達している一端は先端が細くなっており、
前記引っ掛け部材収容部が、
前記内蔵軸が進入する内蔵管進入路と、
前記内蔵管進入路と前記引っ掛け部材収容部の外部とを連通させ、かつ、前記引っ掛け部材を収容する部材収容孔とを有し、
前記引っ掛け部材が、前記内蔵軸の前記先端が細くなっている一端が前記引っ掛け部材収容部内の奥へ押込まれると、前記内蔵軸の前記先端が細くなっている一端によって前記引っ掛け部材収容部内から押し出されることを特徴とする、請求項2に記載の開放器具。
【請求項4】
前記引き離し部が、
前記逆止弁体を前記逆止弁座から引き離すための力を生成する生成部と、
前記生成部が生成した力を前記連結部に伝達する伝達部とを有することを特徴とする、請求項1に記載の開放器具。
【請求項5】
前記生成部は、
前記進入部が貫通するコイルバネと、
前記進入部が貫通する孔を有し、前記コイルバネを支える、バネ支持フランジとを有しており、
前記伝達部が、前記進入部に設けられ、前記コイルバネが生成した弾性力を受けるバネ受けフランジを有することを特徴とする、請求項4に記載の開放器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−241847(P2011−241847A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111711(P2010−111711)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(591038602)株式会社ネリキ (54)
【Fターム(参考)】