説明

開繊機

【課題】 生地の原形のまま供給しても綺麗に開繊でき、また、生地の開繊工程を簡素化して、開繊に要する時間を短縮すると共に、低コストなリサイクル品を再生すること。さらには、開繊したリサイクル品は、新品の原綿と同様な形状であること。
【解決手段】 生地110を送給するコンベア装置30と、送給される生地110が滑らないように強固の保持する上下の前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71を設ける。この後段フィードローラ70、71の後段に生地110を開繊するメタリックワイヤー6を設けたシリンダ3を配置する。後段フィードローラ70、71の外周面にはメタリックワイヤー102をスパイラル状に設けている。シリンダ3の高速回転によりメタリックワイヤー6が生地110の先端部分を開繊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの例えば、浴室で使用されるシャワーカーテンや一般のカーテン、シーツなどの生地を開繊して原綿と同様なリサイクル品を再生する開繊機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在では、あらゆる製品に関してリサイクル化を図るようになってきており、例えば、自動車、電化製品、パソコンなどを解体して、再度使用することが義務付けられてきている。また、使用済みの例えば、浴室で使用されるシャワーカーテンや一般のカーテン、シーツなどの生地に関しても同様であり、生地を開繊してリサイクル化を図り、このリサイクル化したものを新品の原綿と混合したり、あるいはリサイクル化したリサイクル原綿のみで製品化を図るようにしたりしている。
【0003】
ところで、生地を開繊する開繊機とは目的や構造が異なるものとして、カード機(梳綿機)が従来より存在している。このカード機(梳綿機)は、原綿から篠綿(しのわた)を造るためのものであり、例えば、特許文献1〜特許文献3が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開平4−82921号公報
【特許文献2】特開平8−109524号公報
【特許文献3】特開平11−189928号公報
【0005】
これらの特許文献1〜3に記載されているカード機にて使用済みの生地を開繊した場合に、生地を取り込む上下のフィードローラの間に隙間が設けられているために、生地がフィードローラを素通りし、開繊用のテーカーインローラに巻きついたり、ほとんど開繊されないまま送り出されてしまい、細かく綺麗に生地を開繊することができないという問題がある。
【0006】
また、生地を開繊する従来例として、例えば下記に示す特許文献4及び特許文献5がある。
【0007】
【特許文献4】特開平11−333437号公報
【特許文献5】特開2000−328372号公報
【0008】
特許文献4に示す繊維製品のリサイクル装置は、繊維製品を破砕する破砕機と、この破砕機にて破砕された布片から異物を除去するための異物選別除去機構と、異物が除去された布片を開繊する複数の開繊機と、上記異物選別除去機構からの布片を各開繊機に分配供給する分配供給機とから構成されている。
【0009】
また、特許文献5に示す生地の開繊装置は、生地などのリサイクル対象繊維物を先ず小片生地にカットし、このカットした小片生地を搬送しながら生地を中間解きほぐし繊維物まで解きほぐす中間解きほぐし装置と、上記中間解きほぐし繊維物を吸引して捕集する中間吸引捕集手段と、中間吸引捕集手段からの中間解きほぐし繊維物を入れた中間解きほぐし繊維物供給手段と、中間解きほぐし繊維物を最終解きほぐし繊維物に解きほぐす最終解きほぐし装置とから構成されている。
【0010】
上記特許文献4及び特許文献5に示す開繊装置は、最初に生地を細かくカットする必要があり、また、開繊装置自体が非常に大型となっている。すなわち、特許文献4、5における開繊装置では、シャワーカーテンなどのカーテンやシーツを小片にカットせずに原形のまま開繊することができず、しかも、多数の工程を介して生地を開繊しているために、装置が大型になり、装置自体の価格も非常に高いという問題を有している。
さらに、開繊装置が大型のため、設置スペースも広い場所が要求され、省スペース化を図ることができないという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述の問題点に鑑みて提供したものであって、少なくとも以下の目的を備えた開繊機を提供することを目的としているものである。
(1)生地の原形のまま供給しても綺麗に開繊できること。
(2)生地の開繊工程を簡素化して、開繊に要する時間を短縮すると共に、低コストなリサイクル品を再生すること。
(3)開繊したリサイクル品は、新品の原綿と同様な形状であること。
(4)生地を開繊する開繊機の小型化を図ると共に、開繊機を安価に提供できること。
(5)開繊機の小型化を図って、開繊機を設置するスペースの省スペース化を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明の請求項1記載の開繊機では、供給された厚さの薄い生地110を回転しながら上下から強固に保持する上下一対の前段フィードローラ10、11と、この前段フィードローラ10、11の後段に近接して配置されて該前段フィードローラ10、11からの生地110を回転しながら上下から強固に保持する上下一対の後段フィードローラ70、71と、前記上側のフィードローラ10、70を下側のフィードローラ11、71に対してそれぞれ弾発付勢する付勢手段と、外周面にメタリックワイヤー6を巻き付けたシリンダ3とを備え、
前記上下の前段フィードローラ10、11の断面形状を略歯車形状とし、互いの前段フィードローラ10、11の歯部19と溝13とを前記付勢手段により弾発付勢させながら噛合させ、
前記後段フィードローラ70、71の外周面にはスパイラル状にメタリックワイヤー102を設けると共に、該メタリックワイヤー102の刃先103を略三角形状とし、
前記上下の前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の回転にて送給された生地110の先端部分を前記シリンダ3の回転動作によるメタリックワイヤー6にて開繊するようにしていることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の開繊機では、前記後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103は、該後段フィードローラ70、71の径方向と略同方向に外側に向かって尖っていることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の開繊機では、前記上下の後段フィードローラ70、71の外周面にそれぞれメタリックワイヤー102をスパイラル状に巻き付け、上下のメタリックワイヤー102の刃先103を該後段フィードローラ70、71の外周面に前記付勢手段により互いに弾発付勢させていることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の開繊機では、前記シリンダ3のメタリックワイヤー6による生地110の先端部分の開繊時の引っ掻き力のみでは該生地110がシリンダ3側へ滑らないように、前記フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71にて該生地110を強固に保持させていることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の開繊機では、請求項1の構成に、
前記フィードローラ10、11の前段側に配置されて前記生地110を送給するコンベア装置30と、このコンベア装置30の上方に配置されてコンベア装置30上の生地110を押さえる押さえローラ41と、前記シリンダ3にて開繊したリサイクル原綿51を吸引し、且つ排出用ダクト50を介して吸引したリサイクル原綿51を外部へ排出するブロワー49とを設けていることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の開繊機では、前記排出用ダクト50の先端は壁53を介して貯蔵室52側に開口されており、前記貯蔵室52内に開繊されたリサイクル原綿51を貯蔵するようにしていることを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の開繊機では、前記排出用ダクト50の送風出口にリサイクル原綿51貯蔵用の袋体90を着脱自在に装着していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に記載の開繊機によれば、回転するシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力により、上下の後段フィードローラ70、71の保持力に抗して生地110の先端部分が滑るようにシリンダ3側に送り出されてしまうと、メタリックワイヤー6にて開繊しても、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102に巻きついたり、小片の生地の状態のままで開繊される部分が生じてしまい、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51にはならない。
しかし、本発明では、上下のフィードローラ10、11の歯部19と溝13が噛合するように付勢されていることと、同時に上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103にて引っかけ係止して生地110を強固に保持しているので、上下の後段フィードローラ70、71等が回転しない限り生地110はシリンダ3側へ送り出されることはない。
そのため、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力による送給方向への滑りを防止し、生地110を確実に繊維状に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。
【0020】
したがって、使用済みの生地110を小片にカットすることなくその原形のままの状態で開繊機本体1にて繊維状に開繊することができ、使用済みの生地110を新品と同様のリサイクル原綿51に再生することができる。また、リサイクル原綿51を再生する場合に、リサイクル工程において、単に使用済みの生地110を開繊機本体1に供給するだけなので、新品と同様のリサイクル原綿51に再生すべく開繊作業に必要なコストを大幅に削減することができ、低コストなリサイクル原綿51を再生することができる。
【0021】
また、開繊機本体1の構成も、基本的には前段フィードローラ10、11、後段フィードローラ70、71及びシリンダ3等で構成されるので、開繊機本体1を小型化することができ、そのため、開繊機本体1を安価にできると共に、開繊機本体1を設置するスペースも省スペース化することができる。
さらに、開繊工程も、生地110を前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71を介してシリンダ3側へ供給する工程のみであり、そのため、従来と比べて開繊工程を大幅に簡素化でき、開繊に要する時間を短縮することができる。ひいては、開繊にて再生されるリサイクル原綿51を低コスト化でき、消費者にも朗報となる。
【0022】
請求項2に記載の開繊機によれば、前記後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103は、該後段フィードローラ70、71の径方向と略同方向に外側に向かって尖っているので、メタリックワイヤー102の刃先103が生地110に食い込み、そのため、生地110が滑ってシリンダ3側に送り出すのを防止できて、生地110を繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0023】
請求項3に記載の開繊機によれば、前記上下の後段フィードローラ70、71の外周面にそれぞれメタリックワイヤー102をスパイラル状に巻き付け、上下のメタリックワイヤー102の刃先103を該後段フィードローラ70、71の外周面に前記付勢手段により互いに弾発付勢させているので、生地110を滑ってシリンダ3側に送り出すのを防止でき、生地110を繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0024】
請求項4に記載の開繊機によれば、前記シリンダ3のメタリックワイヤー6による生地110の先端部分の開繊時の引っ掻き力のみでは該生地110がシリンダ3側へ滑らないように、前記フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71にて該生地110を強固に保持させているので、生地110を綺麗に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。
【0025】
請求項5に記載の開繊機によれば、請求項1の構成に、前記フィードローラ10、11の前段側に配置されて前記生地110を送給するコンベア装置30と、このコンベア装置30の上方に配置されてコンベア装置30上の生地110を押さえる押さえローラ41と、前記シリンダ3にて開繊したリサイクル原綿51を吸引し、且つ排出用ダクト50を介して吸引したリサイクル原綿51を外部へ排出するブロワー49とを設けているので、簡単な構成で開繊機本体1を形成でき、安価な開繊機本体1を提供することができる。
【0026】
請求項6に記載の開繊機によれば、前記排出用ダクト50の先端は壁53を介して貯蔵室52側に開口されており、前記貯蔵室52内に開繊されたリサイクル原綿51を貯蔵するようにしているので、別室の貯蔵室52が満杯になるまで開繊作業を行なうことができ、また、リサイクル原綿51を貯蔵する場所と開繊機本体1が設置されている場所とが異なるので、開繊した細かい繊維物が開繊機本体1の設置場所の部屋内に舞い上がることもなく、衛生面においても快適な作業空間を提供することができる。
【0027】
請求項7に記載の開繊機によれば、前記排出用ダクト50の送風出口にリサイクル原綿51貯蔵用の袋体90を着脱自在に装着しているので、排出用ダクト50からブロワー49の送風にてリサイクル原綿51が袋体90内に送給され、同時にブロワー49の送風の排気は袋体90の繊維の間から抜けて通るようになっており、さらに袋体90内にリサイクル原綿51が一杯になると、開繊機本体1の動作を停止させて、空の袋体90を排出用ダクト50に取り付ける。したがって、貯蔵室52からいちいちリサイクル原綿51を取り出す必要がなく、袋体90ごと所望の位置、例えば、カード機(梳綿機)の所に持っていくことができる。そのため、リサイクル原綿51を用いる次の工程に迅速に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は開繊機本体1の概略側面図を示し、図2は開繊機本体1の概略平面図を示している。
【0029】
開繊機本体1の両側のフレーム2間に略円筒状のシリンダ3が軸受4を介して回転自在に設けられており、このシリンダ3は図外のモータにて高速回転にて駆動されるようになっている。このシリンダ3の外周面3aには図2及び図4に示すように、溝5がスパイラル状に軸方向の略全長にわたって凹設されている。
この溝5に鋸歯型針布であるメタリックワイヤー6が圧入配置されて、該メタリックワイヤー6がシリンダ3の外周面3aにスパイラル状に軸方向の略全長にわたって配設された状態となっている。
【0030】
図3に示すように、上記メタリックワイヤー6の刃先7の部分はシリンダ3の外周面3aより突出しており、また、刃先7の先端は鋭角に尖っている。この刃先7の尖った方向に回転するようにシリンダ3は回転駆動される。なお、このメタリックワイヤー6の刃先7の高さは、従来の特許文献1〜3で示されているテーカインローラや、ドッファ等のメタリックワイヤーの刃先の高さより、高い高さとしたメタリックワイヤー6を用いている。
すなわち、メタリックワイヤー6の刃先7のシリンダ3の外周面3aからの突出量を大きくして、後述するように生地の掻き取り作用である開繊を確実なものとしている。
【0031】
上記シリンダ3の前段側には、図1及び図2に示すように、前後に上下一対のフィードローラが前段と後段との2段構成にて配置されている。図中の左側を前段フィードローラ10、11と称し、右側を後段フィードローラ70、71と称する。この上下一対の後段フィードローラ70、71は、前記シリンダ3に近接して配置されており、また、上下一対の前段フィードローラ10、11は、後段フィードローラ70、71に対して接触しない程度に近接して配置されている。
【0032】
開繊機本体1の両側のフレーム2に前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71をそれぞれ回転自在に軸支する軸受け部12が設けられていて、図5及び図6に示すように、前段フィードローラ10、11は軸受け部12の一方の前段軸受け部12aにて軸支されていて、また、後段フィードローラ70、71は軸受け部12の他方の後段軸受け部12bにて軸支されている。なお、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71のそれぞれの軸方向の長さは、上記シリンダ3の軸方向の長さとほぼ同じとしている。
前記前段フィードローラ10、11の断面形状は、図7に示すように、略歯車形状に形成されており、歯部19を形成すべく溝13が軸方向の全長にわたって凹設されている。
【0033】
図5及び図6は、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71を軸支している軸受け部12の構造を示し、この軸受け部12のベース14はフレーム2の上面に固定されている。このベース14の一方に上述したように前段フィードローラ10、11を軸支する前段軸受け部12aを設け、また、ベース14の他方に後段フィードローラ70、71を軸支する後段軸受け部12bを設けている。
【0034】
前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71を軸支する前段軸受け部12aと後段軸受け部12bの構造は同じ構成としているが、先ず、前段軸受け部12a側の構造について説明する。前記ベース14の一方に縦方向の凹所15が凹設されており、この凹所15の内壁面に対向する形でそれぞれ縦溝16が形成されている。
上下の前段フィードローラ10、11の軸17、18を軸支する矩形状の軸受21、22が上記縦溝16を介して凹所15内に上から挿入されて、凹所15内で位置決めされて配置されている。この上下の軸受21、22は凹所15内で上下方向にスライド可能となっている。
【0035】
図5に示すように、凹所15の両側のベース14の上面より軸棒23がそれぞれ立設されており、この軸棒23の上部にはネジ部24が螺刻されている。この両軸棒23間に平板状の押さえ板25がその穴(図示せず)を介して挿入され、ナット26を軸棒23のネジ部24にそれぞれ螺着し、押さえ板25の下面と上側の軸受21の上面との間に介装したコイルスプリング状のバネ体27を下方に弾発させている。
【0036】
このようにして圧縮バネ型のバネ体27にて上下の軸受21、22を弾発していることで、下側の前段フィードローラ11に対して上側の前段フィードローラ10が常時弾発付勢し、図7に示すように、上下の前段フィードローラ10、11の歯部19が溝13内にそれぞれ互いに喰い込んで、上下の前段フィードローラ10、11同士が完全に噛合した状態となっている。
【0037】
次に、ベース14の他方の後段軸受け部12bの構造について説明する。図5に示すように、軸支部12bの中央部分に縦方向の凹所72が凹設されており、この凹所72の内壁面に対向する形でそれぞれ縦溝73が形成されている。
上下の後段フィードローラ70、71の軸74、75を軸支する矩形状の軸受76、77が上記縦溝73を介して凹所72内に上から挿入されて、凹所72内で位置決めされて配置されている。この上下の軸受76、77は凹所72内で上下方向にスライド可能となっている。なお、後段フィードローラ70、71の構成については後述する。
【0038】
図5に示すように、ベース14の右方の凹所72の両側の上面より軸棒78がそれぞれ立設されており、この軸棒78の上部にはネジ部79が螺刻されている。この両軸棒78間に平板状の押さえ板82がその穴(図示せず)を介して挿入され、ナット83を軸棒78のネジ部79にそれぞれ螺着し、押さえ板82の下面と上側の軸受76の上面との間に介装したコイルスプリング状のバネ体84を下方に弾発させている。
【0039】
このようにして圧縮バネ型のバネ体84にて上下の軸受76、77を弾発していることで、下側のフィードローラ71に対して上側のフィードローラ70が常時弾発付勢し、図8に示すように、上下の後段フィードローラ70、71の後述するメタリックワイヤー102の刃先103が互いの外周面に弾発付勢して当接した状態となっている。
【0040】
次に、後段フィードローラ70、71の構成について説明する。図9に示すように、後段フィードローラ70、71の外殻を構成している円筒状のシリンダ100の外周面には溝101がスパイラル状に軸方向の略全長にわたって凹設されている。
この溝101に図10に示すようなメタリックワイヤー102が圧入配置されており、該メタリックワイヤー102がシリンダ100の外周面100aにスパイラル状に軸方向の全長にわたって配設されている。
【0041】
図10に示すように、上記メタリックワイヤー102の刃先103の形状は、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7の形状とは異なり、回転方向に尖った形状ではなく、略三角形状としている。図11はメタリックワイヤー102をシリンダ100の溝101に圧入配置した状態を示す要部拡大断面図である。
すなわち、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103は、該後段フィードローラ70、71の径方向と略同方向に外側に向かって尖った形状としている。
【0042】
下側の後段フィードローラ71はバネ体84にて上側の後段フィードローラ70にて常時弾発付勢されているので、図12に示すように、上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103の先端はそれぞれ後段フィードローラ70、71のシリンダ100、100の面と接触するようになっている。なお、図12では、上側の後段フィードローラ70の刃先103と、下側の後段フィードローラ71の刃先103のハッチングの模様を異ならせて分かり易いようにしている。
【0043】
また、図1及び図2に示すように、上下の前段フィードローラ10、11の前段側には、ホテルなどの浴室で使用されるシャワーカーテン、ホテルや病院などで使用される通常のカーテン、ホテルや病院などのベッドで使用されるシーツなどの生地110を前段フィードローラ10、11に送給するためのコンベア装置30が配置されている。
このコンベア装置30は、生地110を載せて直接搬送するベルト31と、このベルト31の両端に設けられているスプロケット32、33とで構成されている。
【0044】
このコンベア装置30の前段フィードローラ10、11側の端部の上方には、上記生地110を押さえる押さえローラ41が配設されており、この押さえローラ41は軸受44にて回転自在に軸支されている。この押さえローラ41の断面形状は略歯車形状に形成されていて、押さえローラ41の軸方向に沿って全長にわたって溝42が形成され、この溝42の間に歯部43が同様に軸方向の全長にわたって突出形成されている。
【0045】
なお、上記スプロケット32、33、押さえローラ41、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71は、図外のチェーン等で連動して回転駆動され、それぞれ同じ周速度で回転し、コンベア装置30にて搬送される生地110を押さえローラ41にて押さえながら次の前段フィードローラ10、11側に送り出すようにしている。また、上記シリンダ3は、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の回転数と比べて高速回転にて駆動されるようになっている。
【0046】
シリンダ3は、略円筒状のケース45にて覆われており、このケース45の上半分はヒンジ部46にて開閉自在なフタ体47となっている。このケース45の後部には断面が略漏斗状の送給ダクト48が該ケース45と一体的に設けられており、さらにこの送給ダクト48の先端の細くなった部分にブロワー49が設けてある。
このブロワー49の送風出口に排出用ダクト50の一端が接続され、排出用ダクト50の他端は開繊機本体1にて使用済みの生地110を開繊したリサイクル原綿51を貯蔵しておく貯蔵室52に壁53を介して開口している。
【0047】
次に、本実施形態の開繊機本体1による使用済みの生地110の開繊工程ないし動作について図13等を用いて説明する。使用済みのシャワーカーテン、一般のカーテン、シーツ等の生地110は、従来とは異なり、小片にカットすることなく原形のまま1枚の生地110をそのまま広げた状態、あるいは複数枚の生地110を重ねた状態でコンベア装置30に載せる。なお、1枚あるいは複数枚の生地110を折り畳んだ状態でコンベア装置30に載せて開繊するようにしても良い。また、生地110の積層枚数は、開繊効率の点で1枚よりは複数枚を積層した方が良い。
【0048】
ベルト31が回転して生地110が搬送されていき、押さえローラ41の所で該押さえローラ41により生地110はガイドされながら前段フィードローラ10、11に送給される。コンベア装置30及び押さえローラ41の回転駆動と同時に、上下の前段フィードローラ10、11、上下の後段フィードローラ70、71及びシリンダ3、さらにはブロワー49が駆動される。
【0049】
なお、コンベア装置30のスプロケット32、33、押さえローラ41、前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71の周速度は同じとしている。また、これらの後段フィードローラ70、71等の周速度より、シリンダ3の回転速度は高速回転としている。
【0050】
押さえローラ41にて押さえられながらガイドされた生地110は上下の前段フィードローラ10、11の間に送給され、生地110の先端部分に前段フィードローラ10、11の歯部19が喰い込んでいく。この時、上側の前段フィードローラ10はバネ体27により弾発付勢されているので、上下の前段フィードローラ10、11の歯部19と溝13とは強固に噛合している。
そして、上下の前段フィードローラ10、11が回転しながら、生地110の先端部分を前段フィードローラ10、11の歯部19にて喰い込みながら且つ生地110を強固に挟持しながら強制的に後段フィードローラ70、71側へ送り出す。
【0051】
前段フィードローラ10、11から送り出された生地110の先端部分は、次の後段フィードローラ70、71の間に送給され、生地110の先端部分に後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103がそれぞれ喰い込んでいく。この時、上下の後段フィードローラ70、71が回転しながら、且つ生地110の先端部分を後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103にて生地110を喰い込みながら強制的にシリンダ3のメタリックワイヤー6側に送り出す。
後段フィードローラ70、71にて送り出された生地110の先端部分は、後段フィードローラ70、71の回転より高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊される。
【0052】
メタリックワイヤー6の刃先7にて生地110が開繊される場合、生地110は繊維状に混ざり合って開繊される。この繊維状に開繊されると、繊維状のまま、あるいは、新品の原綿のように、ある程度の塊となったリサイクル原綿51としてシリンダ3の回転方向に沿ってケース45内に落下していく。
ケース45内に落下した多数のリサイクル原綿51は、ブロワー49の吸引作用によりケース45内から送給ダクト48、ブロワー49を介して排出用ダクト50へと強制的に送られる。ブロワー49の送風によりリサイクル原綿51は排出用ダクト50内を送給され、さらに排出用ダクト50の先端より貯蔵室52内に送給される。このようにして開繊されたリサイクル原綿51は貯蔵室52内にて貯蔵される。
【0053】
ここで、生地110の先端部分は、上下の後段フィードローラ70、71により堅固に保持されており、後段フィードローラ70、71にて送り出された生地110の先端部分が高速回転しているシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊されている。また、この時、後段フィードローラ70、71の前の前段フィードローラ10、11においても生地110を強固に保持している。
そして、メタリックワイヤー6の刃先7にて生地110の先端部分は掻き取られるように開繊されている場合、この刃先103による引っ掻き力のみでは生地110が滑って送り出されないように上下の後段フィードローラ70、71及び前段フィードローラ10、11にて生地110を強固に挟持ないし保持している。
【0054】
したがって、シリンダ3が高速回転していてメタリックワイヤー6の刃先7により生地110の先端部分を引っ掻いて開繊していても、コンベア装置30、押さえローラ41、上下の前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71が回転しない限り、生地110は後段フィードローラ70、71から送り出されないようにしている。
【0055】
つまり、上側のフィードローラ10はバネ体27にて下側のフィードローラ11側に付勢している弾発力により、上下のフィードローラ10、11の歯部19と溝13が噛合するように付勢されていることと、同時に上下の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103にて引っかけ係止して生地110を強固に保持しているので、上下の後段フィードローラ70、71等が回転しない限り生地110はシリンダ3側へ送り出されることはない。
【0056】
そのため、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力による送給方向への滑りを防止し、生地110を確実に繊維状に開繊することができ、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。つまり、前段フィードローラ10、11や後段フィードローラ70、71が回転停止している状態で、シリンダ3のメタリックワイヤー6による引っ掻き力のみでは、生地110は後段フィードローラ70、71から滑ってシリンダ3側へ送り出されることはない。
【0057】
ここで、高速回転するシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7による引っ掻き力により、上下の後段フィードローラ70、71の保持力に抗して生地110の先端部分が滑るようにシリンダ3側に送り出されてしまうと、メタリックワイヤー6にて開繊しても、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102に巻きついたり、小片の生地の状態のままで開繊される部分が生じてしまい、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51にはならない。
【0058】
なお、本発明の開繊機本体1において、生地110を開繊する場合に1枚の生地110のみを送給して開繊するようにしても良いが、開繊作業の効率からは10枚までの任意の枚数の生地110を重ねて開繊するようにしても良い。この場合においても、新品の原綿のような繊維状のリサイクル原綿51に再生することができる。
また、シャワーカーテン、一般のカーテン、シーツなどの生地110に限らず、あらゆる使用済みの生地を開繊機本体1にて綺麗に開繊繊して新品と同様のリサイクル原綿51を再生することができる。
【0059】
また、生地110の材料としては、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン、コットン(綿)、羊毛等の場合でも、適用でき、新品と同様のリサイクル原綿51を再生でき、リサイクル化を図ることができる。
【0060】
このように本実施形態では、使用済みの生地110を小片にカットすることなくその原形のままの状態で開繊機本体1にて繊維状に開繊することができ、使用済みの生地110を新品と同様のリサイクル原綿51に再生することができる。また、リサイクル原綿51を再生する場合に、リサイクル工程において、単に使用済みの生地110を開繊機本体1に供給するだけなので、新品と同様のリサイクル原綿51に再生すべく開繊作業に必要なコストを大幅に削減することができ、低コストなリサイクル原綿51を再生することができる。
【0061】
また、開繊機本体1の構成も、基本的には前段フィードローラ10、11、後段フィードローラ70、71及びシリンダ3等で構成されるので、開繊機本体1を小型化することができ、そのため、開繊機本体1を安価にできると共に、開繊機本体1を設置するスペースも省スペース化することができる。
さらに、前段フィードローラ10、11、後段フィードローラ70、71及びシリンダ3に、コンベア装置30、押さえローラ41、排出用ダクト50及びブロワー49を加えた開繊機本体1の場合でも、簡単な構成で開繊機本体1を形成でき、安価な開繊機本体1を提供することができる。
【0062】
また、開繊工程も、生地110を前段フィードローラ10、11及び後段フィードローラ70、71を介してシリンダ3側へ供給する工程のみであり、そのため、従来と比べて開繊工程を大幅に簡素化でき、開繊に要する時間を短縮することができる。ひいては、開繊にて再生されるリサイクル原綿51を低コスト化でき、消費者にも朗報となる。
【0063】
さらに、シリンダ3の前に前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71との2段構成にて生地110を強固に保持しているので、生地110の先端部分をシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊している場合でも、刃先7の引っ掻き力による生地110の滑りを一層確実に防止できて、生地110の開繊を確実に繊維状にでき、新品と同様のリサイクル原綿51を再生することができる。
すなわち、上下の後段フィードローラ70、71の外周面にそれぞれメタリックワイヤー102をスパイラル状に巻き付け、上下のメタリックワイヤー102の刃先103を該後段フィードローラ70、71の外周面に前記付勢手段により互いに弾発付勢させているので、シリンダ3のメタリックワイヤー102にて開繊されている場合でも、生地110を滑ってシリンダ3側に送り出すのを防止できて、生地110を繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0064】
また、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103は、該後段フィードローラ70、71の径方向と略同方向に外側に向かって尖っているので、シリンダ3のメタリックワイヤー102にて開繊されている場合でも、メタリックワイヤー102の刃先103が生地110に食い込み、そのため、生地110が滑ってシリンダ3側に送り出すのを防止できて、生地110を繊維状に綺麗に開繊することができる。
【0065】
さらに、前記排出用ダクト50の先端は壁53を介して貯蔵室52側に開口されており、前記貯蔵室52内に開繊されたリサイクル原綿51を貯蔵するようにしているので、別室の貯蔵室52が満杯になるまで開繊作業を行なうことができ、また、リサイクル原綿51を貯蔵する場所と開繊機本体1が設置されている場所とが異なるので、開繊した細かい繊維物が開繊機本体1の設置場所の部屋内に舞い上がることもなく、衛生面においても快適な作業空間を提供することができる。
【0066】
図14〜図17は前段フィードローラ10、11の他の例を示し、前段フィードローラ10、11の歯部19及び溝13の断面形状を三角形状とした場合である。歯部19及び溝13は前段フィードローラ10、11の軸方向に沿って全長にわたって形成されており、生地110を保持していない状態では、上下のフィードローラ10、11の歯部19と溝13とがそれぞれ喰い込んで噛合した状態となっている。
【0067】
図17に示すように、生地110が送給されて、上下の前段フィードローラ10、11にて生地110を挟持した場合には、高速回転するシリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7にて開繊される場合でも、その引っ掻き力にて生地110が上下の前段フィードローラ10、11の間を滑るように送り出されることなく、強固に保持することができる。特に、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71の2段構成にて生地110を強固に挟持しているので、前段フィードローラ10、11、後段フィードローラ70、71からメタリックワイヤー6の引っ掻き力のみでは生地110が滑ってシリンダ3側に送り出されることはない。
【0068】
ところで、先の両実施形態では、開繊機本体1にて開繊したリサイクル原綿51を排出用ダクト50から貯蔵室52に送給して貯蔵するようにしていたが、図18に示すような方法でも良い。すなわち、開繊機本体1のブロワー49からの排出用ダクト50を略コ字型に折曲し、該排出用ダクト50の排出側の端部に布地で形成した袋体90の上部をバンド91にて着脱自在に設けたものである。
【0069】
この実施形態では、排出用ダクト50からブロワー49の送風にてリサイクル原綿51が袋体90内に送給され、同時にブロワー49の送風の排気は袋体90の繊維の間から抜けて通るようになっている。
そして、袋体90内にリサイクル原綿51が一杯になると、開繊機本体1の動作を停止させて、バンド91を外して空の袋体90を排出用ダクト50に取り付ける。したがって、貯蔵室52からいちいちリサイクル原綿51を取り出す必要がなく、袋体90ごと所望の位置、例えば、カード機(梳綿機)の所に持っていくことができる。そのため、リサイクル原綿51を用いる次の工程に迅速に対応することができる。
【0070】
ところで、図19及び図20は、本出願人が2004年(平成16年)3月2日に特許出願(出願番号:特願2004−56997)を行なった開繊機本体1を示すものである。この出願は、本発明の出願時点で既に特許査定の通知を受けており、この発明は、本願発明の厚さが薄い生地110を開繊するのではなく、掛け布団や敷布団などの布団、クッション、座布団、コタツ布団、ベッドパッド、肌布団、ベッドスプレット等の厚みのある寝装品35を、開繊するようにしたものである。
そして、生地と内部の綿を分離させることなく、寝装品35の原形のままシリンダ3に供給しても綺麗に開繊できるようにしている。なお、本願発明の開繊機本体1と、図19及び図20に示す開繊機本体1の構成自体は基本的に同様であるので同一の番号を付している。
【0071】
図19はシリンダ3の前段に上下一対のフィードローラ10、11を配置し、1段のフィードローラ10、11のみで布団などの厚みのある寝装品35を開繊するようにしたものである。そして、このフィードローラ10、11は、本願発明の前段フィードローラ10、11と同一の構成、機能を有している。
図20は、シリンダ3と前段フィードローラ10、11との間に上下一対の後段フィードローラ70、71を配置し、前段フィードローラ10、11と後段フィードローラ70、71との2段構成にて寝装品35を開繊するようにしたものである。
【0072】
図19及び図20に示す開繊機本体1において、厚さが薄い生地110を開繊しようとしても、生地110が滑って送り出されてしまい、ほとんど開繊することができない。特に、図20の開繊機本体1と本願発明の開繊機本体1とを比べると、後段フィードローラ70、71の構成が異なる。
図20に示す開繊機本体1の後段フィードローラ70、71は、シリンダ3のメタリックワイヤー6の刃先7と同様に、スパイラル状に設けたメタリックワイヤーの刃先が該後段フィードローラ70、71の回転方向とは逆方向に尖った形状としている。これに対して本願発明の開繊機本体1の後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤー102の刃先103は、図10に示すように回転方向とは逆方向には尖っておらず、三角形状の刃先103としている。
【0073】
本発明は、図20に示す開繊機本体1において、いろいろと実験を行ない、試行錯誤の結果、後段フィードローラ70、71のメタリックワイヤーの刃先の形状、つまり、刃先103の形状を図10に示すような三角形状とすることで、生地のような薄いものでも原綿のように綺麗に開繊することを知見するに至ったものである。
【0074】
また、本願発明の開繊機本体1(図1参照)のシリンダ3、後段フィードローラ70、71、前段フィードローラ10、11の間隔は、図20に示す場合と同一でも生地110を原綿のように綺麗に開繊してリサイクル原綿51を再生することができる。
しかし、図20に示す場合より、後段フィードローラ70、71と前段フィードローラ10、11との間隔を狭くすること、つまり、前段フィードローラ10、11を後段フィードローラ70、71に接触しない程度に近接して配置した方が、生地110を一層綺麗に開繊することができるので、かかる場合の方が好適例である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態における開繊機本体の概略側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における開繊機本体の概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるメタリックワイヤーの要部拡大側面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるシリンダの溝にメタリックワイヤーを配設した状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における軸受け部の拡大正面図である。
【図6】本発明の実施の形態における軸受け部の拡大断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における上下の前段フィードローラが噛合している状態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における上下の後段フィードローラが接触している状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態における後段フィードローラのシリンダの平面図である。
【図10】本発明の実施の形態における後段フィードローラのメタリックワイヤーの要部拡大側面図である。
【図11】本発明の実施の形態における後段フィードローラのシリンダの溝にメタリックワイヤーを配設した状態を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における上下の後段フィードローラのメタリックワイヤーの刃先が接触している状態を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における生地の開繊動作の説明図である。
【図14】本発明の実施の形態における前段フィードローラの他の例を示す平面図である。
【図15】本発明の実施の形態における前段フィードローラの他の例を示す側面図である。
【図16】本発明の実施の形態における前段フィードローラの他の例を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態における前段フィードローラの他の例を示す説明図である。
【図18】本発明の実施の形態における開繊機本体にて開繊したリサイクル原綿を袋体に直接貯蔵するようにした場合の説明図である。
【図19】フィードローラを1段構成とした場合の本発明の前提となる開繊機本体の概略側面図である。
【図20】フィードローラを2段構成とした場合の本発明の前提となる開繊機本体の概略側面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 開繊機本体
3 シリンダ
6 メタリックワイヤー
7 刃先
10、11 前段フィードローラ
13 溝
30 コンベア装置
41 押さえローラ
48 送給ダクト
49 ブロワー
50 排出用ダクト
51 リサイクル原綿
52 貯蔵室
53 壁
70、71 後段フィードローラ
90 袋体
102 メタリックワイヤー
103 刃先
110 生地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された厚さの薄い生地(110)を回転しながら上下から強固に保持する上下一対の前段フィードローラ(10)(11)と、この前段フィードローラ(10)(11)の後段に近接して配置されて該前段フィードローラ(10)(11)からの生地(110)を回転しながら上下から強固に保持する上下一対の後段フィードローラ(70)(71)と、前記上側のフィードローラ(10)(70)を下側のフィードローラ(11)(71)に対してそれぞれ弾発付勢する付勢手段と、外周面にメタリックワイヤー(6)を巻き付けたシリンダ(3)とを備え、
前記上下の前段フィードローラ(10)(11)の断面形状を略歯車形状とし、互いの前段フィードローラ(10)(11)の歯部(19)と溝(13)とを前記付勢手段により弾発付勢させながら噛合させ、
前記後段フィードローラ(70)(71)の外周面にはスパイラル状にメタリックワイヤー(102)を設けると共に、該メタリックワイヤー(102)の刃先(103)を略三角形状とし、
前記上下の前段フィードローラ(10)(11)及び後段フィードローラ(70)(71)の回転にて送給された生地(110)の先端部分を前記シリンダ(3)の回転動作によるメタリックワイヤー(6)にて開繊するようにしていることを特徴とする開繊機。
【請求項2】
前記後段フィードローラ(70)(71)のメタリックワイヤー(102)の刃先(103)は、該後段フィードローラ(70)(71)の径方向と略同方向に外側に向かって尖っていることを特徴とする請求項1に記載の開繊機。
【請求項3】
前記上下の後段フィードローラ(70)(71)の外周面にそれぞれメタリックワイヤー(102)をスパイラル状に巻き付け、上下のメタリックワイヤー(102)の刃先(103)を該後段フィードローラ(70)(71)の外周面に前記付勢手段により互いに弾発付勢させていることを特徴とする請求項2に記載の開繊機。
【請求項4】
前記シリンダ(3)のメタリックワイヤー(6)による生地(110)の先端部分の開繊時の引っ掻き力のみでは該生地(110)がシリンダ(3)側へ滑らないように、前記フィードローラ(10)(11)及び後段フィードローラ(70)(71)にて該生地(110)を強固に保持させていることを特徴とする請求項3に記載の開繊機。
【請求項5】
請求項1の構成に、
前記フィードローラ(10)(11)の前段側に配置されて前記生地(110)を送給するコンベア装置(30)と、このコンベア装置(30)の上方に配置されてコンベア装置(30)上の生地(110)を押さえる押さえローラ(41)と、前記シリンダ(3)にて開繊したリサイクル原綿(51)を吸引し、且つ排出用ダクト(50)を介して吸引したリサイクル原綿(51)を外部へ排出するブロワー(49)と
を設けていることを特徴とする開繊機。
【請求項6】
前記排出用ダクト(50)の先端は壁(53)を介して貯蔵室(52)側に開口されており、前記貯蔵室(52)内に開繊されたリサイクル原綿(51)を貯蔵するようにしていることを特徴とする請求項5に記載の開繊機。
【請求項7】
前記排出用ダクト(50)の送風出口にリサイクル原綿(51)貯蔵用の袋体(90)を着脱自在に装着していることを特徴とする請求項5に記載の開繊機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−214053(P2006−214053A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29920(P2005−29920)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(599144088)株式会社 三裕 (3)
【出願人】(504082117)株式会社今泉製作所 (1)
【Fターム(参考)】