説明

開閉着脱機構及びこれを備えた画像形成装置

【課題】開閉部材が装置本体の着脱構成品を装着させる装着部における開口部を閉塞する際に、着脱構成品の開口部側の端部とその端部を保持する保持部及びその端部を保持部に押し付ける押圧手段とが異常な状態で接触せずに着脱構成品を装着部に装着することができる開閉着脱機構等を提供する。
【解決手段】装着部における開口部を開閉する開閉部材と、開閉部材に設けられ、装着部に装着されたときの着脱構成品の開口部側の端部を開閉部材が閉じられる過程において接触して保持する保持部と、開閉部材に設けられ、装着部に装着されたときの着脱構成品の開口部側の端部の一部に接触して着脱構成品を装着部に押し込む方向及び保持部に押し付ける方向に押す押圧力を与える押圧手段と、開閉部材が開口部を閉塞する動作に伴って着脱構成品の少なくとも開口部側の端部を保持部から離れる方向に変位させる変位力を与える変位手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉着脱機構及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、装置本体の装着部に着脱自在に装着して使用する着脱構成品の当該装着部に対する位置決めや着脱作業性等に関する改良を加えた画像形成装置があり、例えば、以下のものが知られている。
【0003】
画像形成処理の一工程を実施するための機器を収納位置と引き出し位置とに挿脱可能な複数のユニットを支持するための装置であって、上記複数のユニットの挿脱用開口に対面して該挿脱用開口を開閉可能な面板を備え、該面板には、上記複数のユニットに設けられている機器の支持部が設けられ、該支持部は、上記面板が上記挿脱用開口を閉じた際に上記機器を一方向に偏倚させることで偏倚方向に位置決め可能な構成を備えているユニット支持装置を用いる画像形成装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、装置本体に対して着脱自在で、押圧力を受けるプロセスカートリッジ(押圧対象物)と、そのカートリッジに押圧力を負荷する押圧手段と、その押圧力を作用・解除するための、前記装置本体のプロセスカートリッジ着脱開口部を開閉する開閉部材(押圧操作部材)と、その開閉部材を回動自在に軸支する押圧操作軸を有する画像形成装置であって、前記プロセスカートリッジに押圧力が作用する状態において、前記押圧手段により前記開閉部材に作用する力を押圧操作力、前記押圧操作力により発生する前記押圧操作軸を中心としたモーメントを操作モーメント、前記押圧力により発生する前期押圧操作軸を中心としたモーメントを押圧モーメントとしたとき、前記押圧手段は、前記操作モーメントが前記押圧モーメントより小さくなるように前記押圧力を前記押圧操作力へ変換するようにした画像形成装置が知られている(特許文献2)。
【0005】
さらに、記録媒体に画像を形成するための画像形成装置であって、複数のカートリッジと、前記複数のカートリッジがそれぞれ取り外し可能に装着される装着部と、回動可能に設けられ、前記装着部を開閉する開閉部材と、前記複数のカートリッジにそれぞれ対応する複数の被付勢部と、前記開閉部材に設けられ、前記開閉部材を閉じる際に前記複数の被付勢部をそれぞれ付勢する複数の付勢部とを有し、前記開閉部材を閉じる際に生じる前記複数の被付勢部から前記複数の付勢部への反力のピークのタイミングがそれぞれ異なるように構成されている画像形成装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−246000号公報
【特許文献2】特開2006−308771号公報
【特許文献3】特開2008−216331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、開閉部材が装置本体の着脱構成品を装着させる装着部における開口部を閉塞する際に、着脱構成品の開口部側の端部とその端部を保持する保持部及びその端部を保持部に押し付ける押圧手段とが異常な状態で接触せずに着脱構成品を装着部に装着することができる開閉着脱機構及びこれを備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明(A1)の開閉着脱機構は、
着脱品が開口部を通過して押し込まれ又は引き出されるように移動させられて着脱自在に装着される装着部を備えた装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記装着部における開口部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材に設けられ、前記装着部に装着されたときの前記着脱構成品の前記開口部側の端部を当該開閉部材が閉じられる過程において接触して保持する保持部と、
前記開閉部材に設けられ、前記装着部に装着されたときの前記着脱構成品の前記開口部側の端部の一部に接触して当該着脱構成品を当該装着部に押し込む方向及び前記保持部に押し付ける方向に押す押圧力を与える押圧手段と、
前記開閉部材が前記開口部を閉塞する動作に伴って前記着脱構成品の少なくとも前記開口部側の端部を前記保持部から離れる方向に変位させる変位力を与える変位手段と
を有することを特徴とするものである。
【0009】
この発明(A2)の開閉着脱機構は、上記発明A1の開閉着脱機構において、前記変位手段は、前記保持部が前記着脱構成品の端部を保持する前であってかつ前記押圧手段が当該着脱構成品の端部の一部に接触する前に、当該着脱構成品の少なくとも前記開口部側の端部を前記保持部から離れる方向に変位させるものである。
【0010】
この発明(A3)の開閉着脱機構は、上記発明A1又はA2の開閉着脱機構において、前記押圧手段の保持部に押し付ける方向の押圧力は、前記開閉部材が前記開口部を閉塞したときに、前記変位手段の変位力よりも大きくなるように設定されている。
【0011】
この発明(A4)の開閉着脱機構は、上記発明A1からA3のいずれかの開閉着脱機構において、前記押圧手段と前記変位手段が、当該押圧手段が前記着脱構成品の端部の一部に接触して押圧力を与え始める状態にあるときに、当該変位手段が当該着脱構成品の当該端部を前記保持部から離す方向に変位させた状態にあるように設定されているものである。
【0012】
この発明(A5)の開閉着脱機構は、上記発明A1からA4のいずれかの開閉着脱機構において、前記押圧手段が、前記着脱構成品を前記押し込み方向に押す押圧力を、当該着脱構成品を前記押し付ける方向に押す押圧力よりも先行して発揮させるよう構成されているものである。
【0013】
この発明(A6)の開閉着脱機構は、上記発明A1からA5のいずれかの開閉着脱機構において、前記押圧手段が、前記開閉部材に設けられる押し部材と、前記着脱構成品に設けられ、前記開閉部材の閉じるときの動作に伴って前記押し部材の一部が接触することで前記押し込み方向に押す押圧力と前記押し付ける方向に押す押圧力を発生させ得る形状の接触面を備えた被押圧部材とで構成されているものである。
【0014】
この発明(A7)の開閉着脱機構は、上記発明A1からA6のいずれかの開閉着脱機構は、前記変位手段が、前記開閉部材の閉じるときの動作に連動して前記変位力を与える状態に変化し、当該開閉部材の開けるときの動作に連動して前記変位力を与えない状態に変化するように構成されているものである。
【0015】
この発明(A8)の開閉着脱機構は、上記発明A1からA7のいずれかの開閉着脱機構は、前記変位手段が、前記装着部に装着されている前記着脱構成品の一部に接触して変位させる作動位置と当該着脱構成品の一部に接触しない退避位置に移動するように前記装置本体の装着部に設けられた接触部材と、前記接触部材を少なくとも前記2つの位置に移動させる移動手段とで構成されているものである。
【0016】
この発明(A9)の開閉着脱機構は、上記発明A6の開閉着脱機構において、前記被押圧部材に、前記接触面に接触する前記押し部材の一部が移動する範囲を制限して停止させる制止部を設けているものである。
【0017】
この発明(A10)の開閉着脱機構は、上記発明A8の開閉着脱機構において、前記着脱構成品が給電を要する被給電部品を備えており、前記変位手段の接触部材が給電手段と接続された給電部材としても構成されているものである。
【0018】
この発明(B1)の画像形成装置は、上記発明A1からA10のいずれかの開閉着脱機構を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
上記発明A1の開閉着脱機構によれば、開閉部材が装置本体の着脱構成品を装着させる装着部における開口部を閉塞する際に、着脱構成品の開口部側の端部と開閉部材の保持部及び押圧手段とが異常な状態で接触せずに着脱構成品を装着部に装着することができる。
【0020】
上記発明A2の開閉着脱機構によれば、開閉部材が装着部における開口部を閉塞する際に、着脱構成品の開口部側の端部と保持部及び押圧手段とが異常な状態で接触せずに着脱構成品を装着部に装着することができる。
【0021】
上記発明A3の開閉着脱機構によれば、着脱構成品の開口部側の端部が異常な状態で保持されることを防止できる。
【0022】
上記発明A4の開閉着脱機構によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、着脱構成品の開口部側の端部が、開閉部材の保持部に想定外の状態で接触して止まることを抑制できる。
【0023】
上記発明A5の開閉着脱機構によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、着脱構成品が装着部に確実に押し込まれた状態にされ、その着脱構成品の開口部側の端部が開閉部材の保持部に想定外の状態で接触して止まることがより抑制される。
【0024】
上記発明A6の開閉着脱機構によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、簡易な構成の押圧手段により着脱構成品の開口部側の端部を押し込み方向と押し付け方向に押すことができる。
【0025】
上記発明A7の開閉着脱機構によれば、変位手段が開閉部材の開閉動作に連動して必要なときにだけ作動して着脱構成品の良好な装着に寄与し、不要なときには作動せず着脱構成品の装着作業を妨げることがない。
【0026】
上記発明A8の開閉着脱機構によれば、その発明の構成を有しない場合に比べて、変位手段を簡易な構成で実現できることができる。
【0027】
上記発明A9の開閉着脱機構によれば、押圧手段における押し部材が被押圧部材における移動範囲から逸脱して本来の押圧力が発揮されなくなることが防止される。
【0028】
上記発明A10の開閉着脱機構によれば、着脱構成品の着脱作業と併せて、その着脱構成品における被給電部品への給電を可能な状態又は不能な状態に切り替えることができる。
【0029】
上記発明B1の画像形成装置によれば上記発明A1からA10のいずれかの開閉着脱機構を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の外観の状態を示す斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置の内部の構成を示す概略図である。
【図3】図1の画像形成装置の内部の一部(内側扉の内側の部分)を示す説明図である。
【図4】図1の画像形成装置における装着部の構成を示す説明図である。
【図5】図1の画像形成装置における装着部の構成の一部を示す斜視図である。
【図6】図1の画像形成装置における装着部に装着された作像ユニットとその開閉着脱機構における内側扉に設ける保持部の構成を示す斜視図である。
【図7】作像ユニットの外観の状態を示す斜視図である。
【図8】装着部に装着されたときの複数の作像ユニット(感光体ドラムのベアリング)が保持部に保持されている状態を模式的に示す説明図である。
【図9】開閉着脱機構における内側扉と変位装置の構成を示す斜視図である。
【図10】作像ユニットの装置手前側の端部における押圧装置及び変位装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
【図11】内側扉における各構成を示す斜視図である。
【図12】図9の変位装置の背面側の状態を示す図である。
【図13】図12の変位装置における内壁面を取り外したときの内部の構成を示す図である。
【図14】変位装置における接触棒の取り付け構造を示す説明図である。
【図15】変位装置における移動板の状態を示す斜視図である。
【図16】変位装置において接触棒を退避位置に変位させたときの状態を示す説明図である。
【図17】変位装置において接触棒を作動位置に変位させたときの状態を示す説明図である。
【図18】内側扉を閉じる途中における押圧装置及び変位装置の動作の状態を示す説明図である。
【図19】図18の内側扉をさらに閉じたときにおける押圧装置及び変位装置の動作の状態を示す説明図である。
【図20】内側扉を完全に閉じたときにおける押圧装置及び変位装置の動作の状態を示す説明図である。
【図21】押圧装置の他の構成例を示す要部斜視図である。
【図22】図21の押圧装置を適用した場合において、内側扉を閉じる途中における当該押圧装置などの動作の状態を示す説明図である。
【図23】図21の押圧装置を適用した場合において、図22の内側扉をさらに閉じたときにおける当該押圧装置などの動作の状態を示す説明図である。
【図24】図21の押圧装置を適用した場合において、内側扉を完全に閉じたときにおける押圧装置などの動作の状態を示す説明図である。
【図25】押圧装置のさらに他の構成例を示す要部斜視図である。
【図26】図25の押圧装置を適用した場合において、図25の内側扉をさらに閉じたときにおける当該押圧装置などの動作の状態を示す説明図である。
【図27】図25の押圧装置を適用した場合において、内側扉を完全に閉じたときにおける押圧装置などの動作の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、この発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1は実施の形態1に係る開閉着脱機構を備えた画像形成装置の外観の状態を示し、図2はその画像形成装置の内部の構成を示している。
【0033】
画像形成装置は、装置本体としての筐体1を有し、その筐体1の内部におけるほぼ中央位置にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色の現像剤(トナー)像をそれぞれ形成する4つの作像ユニット2Y,2M,2C,2Kが、所要の間隔(例えば同じ間隔)で直列状に並べた状態で配置されている。
【0034】
筐体1は、複数の骨格部材、板材、外装材等の構成部材で構成されており、その外観が箱形状に似た形状(箱状)で形成されている。筐体1は、その上面部に画像が形成された記録媒体を収容する排出部11が形成されており、またその一側面部に開閉可能な外側扉12が設けられている。
【0035】
4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)はいずれも感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23、ドラム清掃装置24等をそれぞれ備えている。また、4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)はいずれも感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23及びドラム清掃装置24を一体にした着脱ユニットとして構成されており、後述するように筐体1(の装着部)に対して着脱自在に装着して使用できるように構成されている。
【0036】
筐体1内部の作像ユニット2(Y,M,C,K)の下方側の位置には、帯電された感光体ドラム21の表面に各色成分の画像信号に対応した光L(LY,LM,LC,LK)を照射して静電潜像を形成する露光装置25が配置されている。露光装置25は、例えば、筐体の内部に、半導体レーザ等の光源と、その光源から画像信号に応じて発せられる光をポリゴンミラー、レンズ等の光学部品を通して感光体ドラム21の表面に走査して露光する光走査機器とを配置して構成されている。露光装置25の筐体には、光Lを各感光体ドラム21にむけてそれぞれ出射する出光窓が設けられている。また、露光装置25には、図示しない画像処理装置(画像入力装置を含む)から画像信号が送信される。
【0037】
各作像ユニット2(Y,M,C,K)では、画像形成の要求を受けると、図示しない駆動装置からの動力が伝えられて回転する感光体ドラム21の表面を帯電ロール22により所要の電位に帯電した後、その帯電された感光体ドラム21の表面に露光装置25から各色成分の画像信号に対応した光L(LY,LM,LC,LK)を照射して各色成分の静電潜像を形成する。続いて、各感光体ドラム21の表面に形成された各色成分の静電潜像は、対応する現像装置23(Y,M,C,K)において前記4色(Y,M,C,K)のいずれかの色の現像剤で現像することにより当該4色のトナー像としてそれぞれ形成する。
【0038】
現像装置23は、収容する色の現像剤(例えば二成分現像剤)を攪拌搬送部材で攪拌して摩擦帯電させた後に現像ロール26に保持させ、その現像ロール26により現像剤を感光体ドラム21と対向する現像領域を通過させるように搬送する。現像ロール26には、図示しない給電装置から現像電圧が印加される。また、現像装置23(Y,M,C,K)には、筐体10内部の上部の位置に着脱自在に装着されるカートリッジ式の現像剤収納容器48(Y,M,C,K)にそれぞれ収容されている前記4色の現像剤が、図示しない補給搬送装置を通して個別に補給されるようになっている。
【0039】
また、筐体1内部の作像ユニット2(Y,M,C,K)の上方側の位置には、各作像ユニット20で形成されるトナー像を一次転写した後に記録媒体としての記録紙Pに二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置3が配置されている。中間転写装置3は、トナー像を静電的作用により保持し得る無端状の中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31の内側に配置され、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の各トナー像を中間転写ベルト31の外周面に一次転写させる一次転写ロール32と、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像を記録紙Pに二次転写する二次転写ロール33とを備えている。中間転写装置3は、後述するように筐体1(の装着部)に対して着脱自在に装着されている。
【0040】
中間転写ベルト31は、中間転写ベルト31に回転力を伝える駆動ロール34、中間転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロール35、中間転写ベルト31を挟んで二次転写ロール33と対向して配置されるバックアップロール36等の支持ロールに掛け回されており、矢印で示す方向に回転する。一次転写ロール32は、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の感光体ドラム21(Y,M,C,K)と中間転写ベルト31を挟んで対向して配置されており、また図示しない給電装置から所要の一次転写電圧が印加される。二次転写ロール33は、図示しない給電装置から所要の二次転写電圧が印加される。図2中の符号37は、中間転写ベルト31に付着残留するトナー等の付着物を除去するベルト清掃装置である。
【0041】
中間転写装置3では、画像形成時において、作像ユニット2(Y,M,C,K)でそれぞれ形成される各色のトナー像が一次転写ロール32により中間転写ベルト31の外周面に位置合わせされた状態で順次一次転写される。中間転写ベルト31は、一次転写されたトナー像を二次転写ロール33が対向する二次転写位置まで搬送する。このとき作像ユニット2(Y,M,C,K)では、一次転写後の感光体ドラム21の表面がドラム清掃装置24により清掃される。
【0042】
また、筐体1内部の露光装置25の下方の位置には、記録紙Pが収容された給紙装置40が配置されている。給紙装置40は、筐体10に対して引出し自在に取り付けられ、所望のサイズ、種類等の記録紙Pを積載した状態で収容する用紙収容体41と、用紙収容体41から記録紙Pを1枚ずつ送り出す送出装置42を備えている。給紙装置40では、画像形成時になると、所要の記録紙Pを用紙収容体41から送出装置42により1枚ずつ送り出す。
【0043】
給紙装置40から送り出された記録紙Pは、用紙搬送ロール対43、搬送ガイド等で構成される搬送路Rt1を通して中間転写装置3における二次転写位置に向け、所要のタイミングで搬送されて送り込まれる。二次転写位置では、中間転写ベルト31に一次転写されたトナー像が記録紙Pに二次転写される。このとき中間転写装置3では、二次転写後の中間転写ベルト31の表面がベルト清掃装置37により清掃される。
【0044】
さらに、筐体1内部の二次転写ロール33の上方の位置には、定着装置45が配置されている。定着装置45は、筐体の内部に、所要の方向に回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱して保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体46と、この加熱回転体46の回転軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動して回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体47等を設置して構成されている。
【0045】
前記二次転写位置でトナー像が転写された記録紙Pは、定着装置45の加熱回転体46と加圧回転体47の間に送り込まれて加熱及び加圧されることにより、そのトナー像が記録紙Pに定着される。定着後の記録紙Pは、用紙搬送ロール対44、搬送ガイド等で構成される搬送路Rt2を通して筐体1の外部に搬出され、最終的に排出部11に排出されて収容される。
【0046】
この画像形成装置では、作像ユニット2(Y,M,C,K)の全部又は一部を選択して作動させることによりY、M、C及びKの4色の現像剤の全部又は一部を組み合わせて構成されるカラー画像を形成することができる。この他にも、例えばブラック等の1色の現像剤で構成される単色画像を形成することもできる。
【0047】
そして、この画像形成装置は、4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)と中間転写装置3が筐体1に対して着脱自在に装着されるようになっている。このため、筐体1には、図3から図6に示すように4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)を着脱自在にそれぞれ装着するための装着部5(Y,M,C,K)と、中間転写装置3を着脱自在に装着するための装着部50が設けられている。
【0048】
画像形成装置では、作像ユニット2及び中間転写装置3をはじめ現像剤収納容器48等の一部の部品が着脱自在な装着構造を採用している関係から、図1に示すように筐体1の外側扉12を開放すると、現像剤収納容器48(Y,M,C,K)の一端部が外部に露出することに加え、作像ユニット2(Y,M,C,K)及び中間転写装置3の着脱作業を行うときに通過させる開口部13を開閉する内側扉14が外部に露出するように形成されている。内側扉14は、開閉操作レバー17を操作することにより、その下部に配置したヒンジ18を中心に矢印B1,B2で示す方向に揺動して開閉動する。
【0049】
また、この画像形成装置は、作像ユニット2を装着する装着部5が形成された筐体1と、前記内側扉14と、内側扉14に設けられた後述の保持溝部55aと、装着部5に装着されたときの各作像ユニット2を特定の方向に押す押圧力を与える後述の押圧装置6と、各作像ユニット2を装着部5に着脱する際に、その各作像ユニット2の少なくとも装置手前側の端部20bを内側扉14における保持溝部55aから離れる方向に変位させる変位力を与える後述の変位装置7を有する開閉着脱機構を装備している。
【0050】
ここで、図3は、その内側扉14を開けた際に、装着部5、50に作像ユニット2及び中間転写装置3がそれぞれ装着されているときの状態を示している。また、図4は、内側扉14を開けた状態において、作像ユニット2及び中間転写装置3を取り外したときの装着部5、50の状態(装着スペース)を示している。図1、図3等における符号15は筐体1の一部を構成する仕切り板であり、その一部に上記開口部13が形成されているとともに内側扉14が取り付けられている。
【0051】
作像ユニット2のための装着部5(Y,M,C,K)は、図5に示すように各作像ユニット2(Y,M,C,K)を支持する支持板51を備えている。この実施の形態における支持板51は、各作像ユニット2(Y,M,C,K)をそれぞれ専用に支持する4つの支持板51(Y,M,C,K)を、その各作像ユニット2の配置状態に対応させて上下方向(矢印Yに沿う方向)の高さが順次異なる階段状に並べた状態に配置した構成になっている。作像ユニット2Y,2M,2C,2Kは、この順番で高い位置の支持板51Yから次第に低い位置の支持板51M,51C,51Kに装着される。図5では、作像ユニット2Yを装着している状態を示しているため、その作像ユニット2Yを支持する支持板51Yが当該作像ユニット2Yに隠れて見えず図中に現われていない。また、図5では、便宜上、作像ユニット2Yの隣りの位置に装着する作像ユニット2Mの現像装置23Mのみを切り離して装着した状態を示している。
【0052】
また、装着部5は、図5に示すように、作像ユニット2の取り付け方向A1の下流側となる装置奥側に鉛直方向(矢印Y方向)に沿った状態で設置される筐体1の仕切板16に、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の装置奥側となる端部に配置された後述する被保持部としてのベアリング(軸受部材)をそれぞれ保持するV字形状の保持溝52(Y,M,C,K)が形成された保持板53を取り付けている。保持溝52は、装着した際の作像ユニット2どうしの間隔と等しい間隔で配置されるように形成されている。また保持溝52は、装着部5の支持板51上に装着された状態にあるときの作像ユニット2の被保持部を保持すべき高さを維持する位置に設定される。また、仕切板16には、保持板53の各保持溝52に嵌め入れられる各作像ユニット2の被保持部としてのベアリング(27)をそれぞれ各保持溝52にむけて押し付ける板ばね等で構成される押付け部材54が4つ取り付けられている。
【0053】
さらに、装着部5は、図6に示すように、内側扉14の内面側に、作像ユニット2の取り付け方向A1の上流側(取り外し方向A2の下流側)となる装置手前側の端部に配置された被保持部としての後述するベアリング(軸受部材)をそれぞれ保持するV字形状の保持溝部55aを有する保持孔55(Y,M,C,K)を形成した保持板56を取り付けている。保持溝部55aは、装着した際の作像ユニット2どうしの間隔と等しい間隔で配置されるように形成されている。保持溝部55aは、保持板56と一体に形成したもの、別の部材で形成したもののいずれでもよい。
【0054】
図6等において符号57は、内側扉14を閉じたときに、中間転写装置3におけるバックアップロール36の一端部(軸受部)が嵌め入れられて保持される保持孔である。また、図6等において符号58は、装着部5の各支持板51(Y,M,C,K)にその上面から上方に突出する状態で設けられた案内ピン58である。案内ピン58は、複数本(例えば3本)で構成されるものであり、作像ユニット2の着脱の際に移動する方向(両矢印Aで示す方向)に沿って一列に並べた状態で配置される。作像ユニット2の着脱の際における移動方向Aは、その感光体ドラム21の軸方向にほぼ沿うものである。
【0055】
一方、装着部5(Y,M,C,K)に装着する作像ユニット2(Y,M,C,K)は、図7等に示すように、感光体ドラム21の軸21aを回転自在に支持する円環状のベアリング(軸受部材)27を、作像ユニットの取り付け方向A1の下流側(装置奥側)となる端部20aとその引き出し方向A2の下流側(装置手前側)となる端部20bから外部にそれぞれ突出した状態で取り付けている。ベアリング27は、その外周面(最外周面)部分27aが円筒の外周面として形成されている。また、その外周面部分27aの外側端部(角部)27bは、その外周面部分27aを保持板62,64の保持溝61、保持溝63に誘導して保持させるようにするために傾斜面として形成されている。
【0056】
図7において符号28は、作像ユニット2が保持溝52,55に保持されて装着されたときに感光体ドラム21の軸21a(ベアリング27)中心にして回転(揺動)する状態になることを防止するための回転止め突起を示す。また符号29は、作像ユニット2を着脱する際に、装着部5の支持板51における案内ピン58が入り込んでその案内ピン58に案内される案内溝である。案内溝29は、各作像ユニット2の底部を構成する底面材20cに、作像ユニット2の移動方向Aに沿って直線状に延びる溝として形成されている。また、符号29aは案内ピン58を誘い込むように溝の幅を広げた形状に形成した導入部、符号29bは作像ユニット2を装着部5の装着位置に装着した段階で案内ピン58と対峙してその案内ピン58の通過も許可する大きさの切り欠き部である。
【0057】
4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)は、装着部5に装着すると、図8に模式的に示すように、その各感光体ドラム21(Y,M,C,K)における装置奥側及び装置手前側に位置する2つのベアリング27が、装置奥側に配置された保持板53における各保持溝52(Y,M,C,K)と装置手前側の内側扉14に配置された保持板56における各保持溝部55a(Y,M,C,K)にそれぞれ保持される。これにより、各感光体ドラム21(Y,M,C,K)ひいてはその各感光体ドラム21を搭載する各作像ユニット2(Y,M,C,K)が、所要の間隔(L1,L2,L3)で位置決めされる。
【0058】
また、この画像形成装置においては、図9、図10等に示すように、内側扉14に、装着部5に装着されたときの各作像ユニット2(Y,M,C,K)の装置手前側の端部20bにおける一部に接触して、その各作像ユニット2を装着部5の奥側に押し込む方向(取付け方向A1にほぼ沿う方向)に押す押圧力Fp(図20)と保持板56の保持孔55における保持溝部55aに押し付ける方向(重力方向:矢印Yの方向にほぼ沿う方向)に押す押圧力Fd(図20)をその各作像ユニット2の端部20bに与える押圧装置6を設けている。
【0059】
押圧装置6は、内側扉14の内面側に設ける複数の突出棒61と、各作像ユニット2(Y,M,C,K)の装置手前側の端部20bにそれぞれ設け、内側扉14の閉じるときの動作に伴って各突出棒61の先端部が接触する被押圧体62とで構成されている。
【0060】
突出棒61は、図9や図11に示すように、例えば先端部が丸みを帯びた円柱形状のものとして形成される。本実施の形態における突出棒61は、例えば、図18等に示すように、その後端部61bが円筒状の保持部材80の内部空間内に収容されて突出棒の長手方向に沿って変位自在に支持されているとともに、一端が内側扉14の本体(又は保持部材80の底面部)に固定されて取り付けられたコイルスプリング81により先端部61aの方向に弾性的に押された状態で保持されている。この突出棒61は、内側扉14の保持板56における各保持孔55よりも下方側に離れた位置に突出した状態で形成される。突出棒61の形状、寸法、設置位置等の条件については、被押圧体62との関係で選定される。また、突出棒61は、保持板56とは別体のものとして形成されるが、保持板56の一部(一体物)として形成したものでもよい。図11等において符号14a,14bは、内側扉14を閉じたときに、筐体1に形成される図示しない止め部に引っ掛けられた状態となって内側扉14を閉じた状態に固定するための止め具である。この止め具14a,14bは、開閉操作レバー17の操作に連動して止め状態を解除する位置に変位させられる。
【0061】
被押圧体62は、図10等に示すように、内側扉14の閉じるときの動作に伴って突出棒61の先端部が接触することで前記した押し込む方向の押圧力Fp及び押し付ける方向の押圧力Fdを発生させ得る形状の接触面63を備えた構造体である。この実施の形態における被押圧体62の接触面63は、図10に示すように、作像ユニット2の取り付け方向A1の下流側である装置奥側にずれるにつれて上昇する傾斜面(水平方向:矢印X又はZの方向に対して所要の傾斜角度(仰角)で形成する傾斜面)として形成されている。
【0062】
また、被押圧体62は、作像ユニット2の端部20bに突出するベアリング27よりも下方側に離れた位置に形成される。被押圧体62は、内側扉14を閉じたとき、その接触面63に内側扉14側の突出棒61が対峙して接触し得る位置関係を満たすように配置される。さらに、被押圧体62は、作像ユニット2の端部20bの側面材とは別体のものとして形成されるが、その側面材の一部(一体物)として形成してもよい。
【0063】
さらに、この画像形成装置においては、図9、図12〜図14に示すように、各作像ユニット2を装着部5に対して着脱する際に、その各作像ユニット2の少なくとも装置手前側の端部20b(のベアリング27)を、内側扉14における保持孔55(の保持溝部55a)から離れる方向に変位させる変位力を与える変位装置7を設けている。
【0064】
ここで、変位力の離れる方向とは、作像ユニット2の端部20bにあるベアリング27が、保持孔55(保持溝部55aを含む)と接触することを少なくとも避けることができる方向である。具体的には、例えば、ベアリング27を含む作像ユニット2がその自重により保持孔55の保持溝部55aに保持される場合は、そのときの重力の方向とは反対の方向に設定される。
【0065】
変位装置7は、図9、図12、図13等に示すように、装着部5における支持板51の装置手前側となる端部であって内側扉14よりも内側となる位置に、その装着部5(の支持板51)に装着されている各作像ユニット2の装置手前側の端部20bのほぼ真下に存在する状態で配置される。
【0066】
そして、この変位装置7は、装着部5における4つの支持板51(Y,M,C,K)とそれぞれ接続するように段差をもって並ぶ4つの上面部71(Y,M,C,K)が形成された装置本体70を備えている。また、変位装置7は、その装置本体70の各上面部71に形成された2つの開口71aから出没して各作像ユニット2の装置手前側の端部20bの底面部20d,20eに接触してその端部20bを保持溝部55aから離れる方向に変位させる4組の一対の接触棒72A,72B(Y,M,C,K)と、この各接触棒72A,72Bを装置本体70の各上面部71において出没させるように移動させる移動機構73が設けられている。
【0067】
変位装置7における装置本体70は、図9、図12、図13等に示すように、装置手前側に配置され、外壁面や上面部71を備えた形状の本体部70Aと、その本体部70Aの装置奥側の側面部に取り付けられて本体部70Aの内部を覆って塞ぐ内壁板70Bを備えている。
【0068】
接触棒72は、図13から図15等に示すように、先端部72aが丸み形状の本体部71bと、その基端部に大径部72cを有する形状のものである。この接触棒72は、装置本体70の各上面部71における開口71aの下方に形成される仕切り空間状の取付け部74の内部において、本体部の先端部72aが上面部71から出没するように上下方向(矢印Yに沿う方向)Cにそって上下移動し得る状態で取り付けられている。
【0069】
すなわち、接触棒72は、図14に示すように、その本体部72bの一部が取付け部74の仕切り空間内の上部側に形成された案内溝付き支持部74aの案内溝74bに嵌め入れられて上下方向C1,C2に変位自在に支持される一方で、その先端部72aが上面部71の開口71aに挿し入れられた状態で取り付けられている。また、接触棒72は、その基端部の大径部72cが、取付け部74の案内溝付き支持部74aよりも下方部に形成された移動空間74cの底面部74dに一端部が設置されるコイルスプリング75により、本体部72bの先端部72aを上面部71の開口71aから突出させる上方向(C1)に向けて弾性的に押圧され続ける状態で取り付けられている。コイルスプリング75は、移動機構73の一部をも構成している。
【0070】
移動機構73は、4組の一対の接触棒72A,B(Y,M,C,K)を、各作像ユニット2の装置手前側の端部20bの底面部20d,20eに接触して変位させる作動位置とその端部20bの底面部20d,20eに接触しない退避位置に移動させるものである。
【0071】
この実施の形態における移動機構73は、接触棒72が上面部の開口71aから突出して作像ユニット2の端部20bの底面部20d,20eに接触し、コイルスプリング75により上方向C1に弾性的に押圧し続けられる状態に保たれる位置を「作動位置」とし、接触棒72が上面部の開口71a内に没入した状態に保たれる位置を「退避位置」としている。このため、移動機構73は、装置本体70の各取付け部73に取り付けられた各接触棒72を作動位置と退避位置に変位させる移動板76と、移動板76の移動を行う駆動部材77を備えている。
【0072】
移動板76は、図13に示すように、装置本体70の本体部70Aの内側に対して上下方向Cに移動するように取り付けられている。この移動板76は、その上部における4組一対の接触棒72A,Bの配置位置と対応する箇所に、その各接触棒72の本体部72bに対して大径部72cの上面側から差し入れて保持する複数の溝付き保持片78が上方に突出した状態で形成されている。移動板76の溝付き保持片78は、図13や図14に示すように、本体部70Aの各接触棒の取付け部74における案内溝付き支持部74aの下方に位置する状態で、各接触棒72の大径部72cに引っ掛ける状態に取り付けられる。また、移動板76は、その下部の2箇所に、開口を有する開口突起79が形成されている。この開口突起79は、駆動部材77の一端部77aが入り込んで使用される。
【0073】
駆動部材77は、角柱状の部材であり、図13、図16等に示すように、装置本体70の本体部70Aに取り付けたときの移動板76の下部にある2つの開口突起79がそれぞれ位置する部分に形成される開通部70cに、作像ユニット2の装着時の移動方向Aとほぼ直交する方向(矢印Aの方向)に沿う支持軸77cを中心に揺動するように設けられる。また、駆動部材77は、その一端部77aが移動板76の開口突起79の開口内に存在するように配置される一方で、その他端部77bが貫通部79内において内側扉14のヒンジ部18に固定して形成された突出片19(図9、図11参照)と接触する状態で配置される。内側扉14の突出片19は、ヒンジ部18の支持軸18aを中心にして揺動し、内側扉14の開閉するときの揺動方向B1,B2と支持軸18aを挟んで同じ方向(B1,B2)に移動するよう変位する。
【0074】
また、この実施の形態における駆動部材77は、移動板76側に位置する一端部77aの支持軸77cからの長さが、内側扉14側に位置する他端部77bの支持軸77cからの長さと同じ寸法に設定されており、外力が加わらないときには、移動板76の開口突起79の開口底部に接触した状態に保たれるようになっている。そして、この駆動部材77は、内側扉14の開閉動作により変位する突出片19の位置に応じて貫通部70c内で支持軸70dを中心に揺動し、その一端部77aが移動板76の開口突起79に接触することにより移動板76の上下方向Cへの移動を切り替えて行うようになっている。
【0075】
このような接触棒72と移動機構73を備えた変位装置7は、内側扉14を開けた状態にしたときには、図16に示すように、矢印B1の方向に揺動する内側扉14の下部にある突出片19が駆動部材77の他端部77bの下方部分に接触してその下方側から持ち上げるように変位するため、駆動部材77が支持軸77cを中心にして矢印で示す方向に揺動する。これにより、駆動部材77の一端部77aが開口突起79を介して移動板76を下方向C2に所要の距離だけ移動させる。この移動板76の下降移動により、その移動板76の保持片78に保持されている接触棒72は、コイルスプリング75の押圧力に抗して下方向C2に移動させられ、その先端部72aが上面部71の開口71a内に没入した状態になる。この結果、接触棒72は、作像ユニット2の底面部20d(20e)とは接触しない退避位置に変位させられる。
【0076】
このとき、作像ユニット2の装置手前側の端部20bは、図16に例示するように、装着部5の支持板51上に載った状態におかれる。図中において符号55bは、円環状のベアリング27がV字状の保持溝部55aに接触して保持されている部分を便宜上、ベアリング27の最下部にあるように模式的に示したものである(図17における符号55bについても同様である。)。
【0077】
一方、この変位装置7は、内側扉14を開じた状態にしたときには、図17に示すように、矢印B2の方向に揺動する内側扉14の下部にある突出片19が駆動部材77の他端部77bと接触しない状態まで変位するため、駆動部材77が外力の加わらない状態になる。これにより、駆動部材77の一端部77aが開口突起79を介して移動板76を下方向C2に移動させることがないので、移動板75もその保持部77を介して接触棒72を下方向C2に移動させる力を発生しない。このため接触棒72は、コイルスプリング75の押圧力Fuを自由に受ける状態になることで上方向C1に移動させられ、その先端部72aが上面部71の開口71aから上方に突出した状態になる。この結果、接触棒72A、72Bは、作像ユニット2の底面部20d、20eにそれぞれ接触して作像ユニットの端部20bを上方向C1に変位させようとする作動位置に変位させられる。
【0078】
このとき、作像ユニット2の装置手前側の端部20bは、図17に例示するように、接触棒72からの変位力により装着部5の支持板51から少し持ち上げられて浮いた状態におかれるので、その端部20bから突出するベアリング27も内側扉14にある保持孔55の保持溝部55a(接触保持部分55b)から上方向C2に持ち上げられて離れた状態におかれる。
【0079】
変位装置7により作像ユニット2の装置手前側の端部20bを内側扉14における保持溝部55aから離れる方向に変位させる時期は、その保持溝部55aが作像ユニット2の端部20bにある被保持部としてのベアリング27を保持する前であって、しかも、前記した押圧装置6における突起61が作像ユニット2の端部20bにある被押圧体62に接触する前となる時期に設定されている。この変位させる時期の設定(調整)は、例えば、内側扉14の下部にある突出片19と駆動部材77が接触するタイミングを、内側扉14を閉じ始めると同時に作像ユニット2を変位させることができる時期等を考慮しながら調整することで行う。
【0080】
そして、押圧装置6と変位装置7は、内側扉14が開口部13を閉塞する状態になるまで閉じられたときに、その押圧装置6による作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27をV字状の保持溝部55aに押し付ける方向の押圧力Fdが、変位装置7により作像ユニット2の端部20bを保持溝部55aから離れる方向に変位させるコイルスプリング75の押圧力(変位力)Fuよりも大きい関係になるよう設定されている(Fd>Fu)。
【0081】
この2つの力Fd、Fuの大小関係が内側扉14を閉じた段階で等しいか又は反対の大小関係になっていると(Fd≦Fu)、装着された後の作像ユニット2の端部20bのベアリング27が保持溝部55aに安定して押し付けられた状態に保たれず、最悪の場合はそのベアリング27が保持溝部55aから浮き上がった状態になってしまう。この2つの力Fd、Fuの設定は、例えば、押圧装置6における複数の突出棒61のコイルバネ81のバネ定数等の条件や、押圧装置6における被押圧体62の傾斜面63等の条件や、変位装置7におけるコイルスプリング75のバネ定数等の条件を変更することで行う。
【0082】
以下、作像ユニット2(Y,M,C,K)をその装着部5に装着するときの動作やその装着したときの状態について説明する。
【0083】
まず、作像ユニット2の装着部5への装着に際しては、筐体1の外側扉12と内側扉14を開けて、図4等に示すように作像ユニット2の装着部5(Y,M,C,K)をその開口部13を通して外部に露出させた状態にする。次いで、作像ユニット2を、その取り付け方向A1の下流側となる端部20aを先頭にした状態で持ち、開口部13を通した後に装着すべき装着部5の所定の支持板51(Y,M,C,K)上を矢印A1の方向(取り付け方向)に移動させるように押し込む。
【0084】
この際、作像ユニット2は、その底面材20cにある案内溝29に対して支持板51上の3本の案内ピン58が順番で入り込むことにより(図7参照)、案内溝29が移動方向Aに沿って一列に並ぶ3本の案内ピン58に規制されつつ誘導されるので、作像ユニット2の全体が支持板51上を感光体ドラム21の軸方向に沿うように移動する。このとき作像ユニット2は、その底面板20cが支持板51に接触した状態になり、また案内溝58が3本の案内ピン58により進行方向が規制された状態になり、この結果、移動するときの姿勢(体勢)がほぼ一定した状態に保たれる。
【0085】
続いて、支持板51上を取り付け方向A1に移動させられた作像ユニット2は、図8に示すように、最終的に、その装置奥側の端部20aから突出する感光体ドラム21の円環状のベアリング27が、その傾斜面27bをきっかけに装置奥側に配置された保持板53の保持溝52に乗り上げた後にその外周面部分27aをV字状の保持溝52における対向する傾斜辺部の間に侵入させ、これによって保持溝52に2点(2つの傾斜辺部における各一地点)で接した状態で保持される。
【0086】
また、保持板53の保持溝52に保持されるときのベアリング27は、その上端部において押付け部材53により下方の方向(重力方向)にむけて所要の圧力で押圧される。この他、感光体ドラム21の回転軸21aのベアリング27よりも端部の部位に取り付けられる駆動伝達用の連結具が、図示しない回転駆動装置側の連結具と連結した状態になる。このとき、作像ユニット2は、例えば、そのユニット2の底面部に設ける図示しないラッチを変位装置7の装置本体70の上面部に形成する図示しない開口部(又は凹部)に嵌め入れて係止させることによって取り付け方向A1への移動が停止させられる。
【0087】
一方、作像ユニット2が装着部5の装着位置まで押し込まれて上記した各状態になって停止した後に、内側扉14を閉じる。この内側扉14を完全に閉じることで、最終的には、図20に示すように、その内側扉14の内面側の保持板56に形成された保持孔55に、作像ユニット2の装置手前側の端部20bにおけるベアリング27が保持されることになる。
【0088】
まず、内側扉14は、図18に示すように、ヒンジ部18の支持軸18aを中心にして矢印B1の方向に揺動させられて閉じ始められる。この際、図17に示すように、内側扉14の下部の突出片19が変位装置7の駆動部材77の端部77bとの最終的な接触状態(例えば図17の二点鎖線で示す状態。)から解除されて離れた状態になると、前述したように変位装置7における接触棒72A,72Bがコイルスプリング75の押圧力Fuを受けて作像ユニット2の端部20bを上方向C1に持ち上げるように変位する。
【0089】
これにより、その作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27が、図17に示すように内側扉14における保持孔の保持溝部55a(接触保持部分55b)から所要の距離αだけ離れた位置まで変位させられた状態におかれる。上記最終的な接触状態とは、厳密には、移動板76を下方向に移動させ始めるときの駆動部材の端部77bと接触している状態になる。
【0090】
続いて、図19に示すように、内側扉14がさらに閉じられた状態(完全に閉じられた状態になる手前の状態)になると、内側扉14に配置された押圧装置6を構成する突出棒61の先端部61aが、作像ユニット2の端部20bの側面部に配置された押圧装置6を構成する被押圧体62の傾斜面63に接触する。この突出棒61が被押圧体62の傾斜面63に接触した後に内側扉14を閉じる方向に揺動させると、図19に示すように、突出棒61の先端部61aが被押圧体62の傾斜面63を介して作像ユニット2に取り付け方向A1にほぼ沿う方向の押圧力F0を与え始める状態になる。
【0091】
この押圧力F0が付与され始める状態においては、作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27は、前述したように変位装置7(の接触棒72A,72B)によって保持溝部55aから離れる方向に変位させられた状態にある。
【0092】
また、このときの押圧力F0は、作像ユニット2の端部20bが外力を受けず静止した状態にあると仮定した場合、内側扉14の支持軸18aを中心に矢印B1の方向に揺動するときの突出棒61の先端部が描く円軌道と、その突出棒61の先端部61aが接触するときの傾斜面63部分の傾斜角度の要素によっておおむね定まる方向に発生する。この押圧力F0については、図19に示すように、作像ユニット2の取り付け方向(押し込み方向)A1に沿う成分の分力fpと、作像ユニット2の端部20bをベアリング27の下方側に存在する保持溝部55aにむけて押し付ける方向(下方向)C2に沿う成分の分力fdに分解することができる。この段階では、突出棒61のコイルスプリング81は圧縮されず、突出棒61も保持部材80の内部空間に押し込まれた状態にならない(図19)。
【0093】
そして、このときの押圧力F0は、その分力fdが、接触棒72A,72Bにおけるコイルスプリング75の押圧力Fuよりも小さい関係にある(fd<Fu)。これにより、突出棒61は、作像ユニット2の端部20bを保持溝部55aに向けて押し付けるよりも先に、作像ユニット2を装着部5の装着位置に向けて押し込む。このため、このときの作像ユニット2の端部20bは、保持溝部55aと接触せずに離れた状態におかれる。
【0094】
この結果、作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27が内側扉14における保持溝部55aに早めに接近した状態になってしまい、その保持溝部55aに不要に接触してしまうというおそれが回避される。また、押圧装置6における突出棒61と作像ユニット2の端部20bに設けられた被押圧体62の傾斜面63以外の不適切な部分と接触してしまうというおそれも回避される。図19における符号Qは内側扉14が完全に閉じられたときの(扉内面側が存在する)位置を示す線であり、符号θ1は内側扉14の完全に閉じられるまでの(線Qに対する)残りの揺動角度を示す。
【0095】
最後に、内側扉14が完全に閉じられると(内側扉14が筐体1に対して止め具14a,14bにより固定された状態になると)、押圧装置6における突出棒61の先端部61aが被押圧体62の傾斜面63を上昇する方向に移動するかのごとく傾斜面63に強く接触した状態になる。このとき、突出棒61の先端部61aが傾斜面63を上昇する方向に移動する状態は、その傾斜面63を有する被押圧体62が押し付ける方向の分力fdにより下方向C2に押されて移動することによってもたらされる。そして、内側扉14の止め具14a,14bが筐体1の止め部に固定されると、その段階で突出棒61も傾斜面63の一部に接触した状態で停止することになる。
【0096】
このとき突出棒61は、図20に示すように、内側扉14が完全に閉じられた状態になることにより被押圧体62の傾斜面63を介して全体として所要の押圧力F1を与えることになるが、その内訳は、作像ユニット2を装着部5に押し込む方向A1の分力Fpと、その作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27を保持溝部55aに押し付ける方向C2の分力Fdとして得られる。この段階では、突出棒61のコイルスプリング81が圧縮された状態になり、突出棒61もそのスプリング81の圧縮した量に対応した距離だけ保持部材80の内部空間に押し込まれた状態になる(図20)。図20における符号H1は、内側扉14を完全に閉じた段階において、押圧装置6の突出棒61が被押圧体62の傾斜面63の一部に接触して最終的に停止する点(接触停止点)S1と、その内側扉14の支持軸18aの中心点Oとの離間距離を示す。
【0097】
これにより、作像ユニット2は、押し込む方向A1の分力Fpを受けることにより装着部5の装着位置に押し込まれる状態に保たれる一方で、押し付ける方向C2の分力Fdを受けることにより端部20bにおけるベアリング27が内側扉14の保持溝部55aに押し付けられた状態に保たれる。
【0098】
この際、作像ユニット2の端部20bは、変位装置7の接触棒72A,72Bにより上方向C1に持ち上げられるようなコイルバネ75による変位力Fuを受けている。しかし、前述したとおり、内側扉14を完全に閉じたときには、押圧装置6による押し付ける方向C2の分力Fdが変位装置7による変位力Fuよりも大きな関係になるよう設定されている。このため、作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27は、押圧装置6による押し付ける方向C2の分力Fdを強く受けるので内側扉14の保持溝部55aに押し付けられて安定した状態に保たれる。ちなみに、押圧装置6による押し付ける方向C2の分力Fdの大きさは、変位装置7の接触棒72A,72Bにおけるコイルスプリング75の押圧力Fuを考慮してほぼ決定される。
【0099】
このことにより、作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27は、内側扉14が完全に閉じる前までは変位装置7の変位力により保持溝部55aから所定の距離α(図17)だけ離れた位置に変位させられている。しかし、内側扉14が完全に閉じられる段階では、押圧装置6の押し付け方向の分力(押圧力)Fdにより下方向C2にむけて押し付けられて保持溝部55aに接触した状態に保たれることになる。この結果、内側扉14を閉じる際に、作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27が押圧装置6の押圧力の影響により保持溝部55aと異常な状態で接触して保持されるおそれがなく、その保持溝部55aに正常な状態で保持することができ、最終的にその作像ユニット2全体を装着部5に対して正確に装着することができる
【0100】
以上の操作により、4つの作像ユニット2(Y,M,C,K)が装着部5に装着された状態となる。内側扉14を閉じた後は、外側扉12を閉じる。これにより、画像形成装置は稼動可能な状態に移行することできる。
【0101】
なお、各作像ユニット2を装着部5から取り外すときには、最初に内側扉14を開けた後に、装着部5から各作像ユニット2を引き出す方向A2に移動させることにより、外部に取り出すことができる。
【0102】
このとき内側扉14を開ける途上では、図16に示すように、内側扉14の突出片19が変位装置7の駆動部材77に接触し、前述したように移動板76を下方向C2に移動させることで接触棒72A,72Bが退避位置に移動させられる。これにより、接触棒72A,72Bが作像ユニット2の端部20bにおける底面部20d,20eから離れた状態になる。この状態になった後に、作像ユニット2が装着部5から引き出される。
【0103】
この実施の形態に係る画像形成装置では、図10等に示すように、押圧装置6における被押圧体62の傾斜面63の上部に突出部64を設けている。突出部64は、傾斜面63に接触した突出棒61の先端部が移動するときの範囲の一端部を制限し、それ以上移動しないように停止させるように傾斜面63の上部に装置手前側にせり出すような状態で形成される。
【0104】
この突出部64を設けることにより、内側扉14を閉じて被押圧体62の傾斜面63の一部に接触して停止した状態にある突出棒61が、何らかの外力を受けてその傾斜面63の上方にさらに移動しようとしても、その傾斜面63の上部に存在する突出部64に接触してその移動を制止させられる。この結果、内側扉14を閉じているときに突出棒61が被押圧体62の傾斜面63における移動範囲を逸脱してずれた位置に移動してしまうことが防止される。
【0105】
また、この実施の形態に係る画像形成装置では、作像ユニット2に帯電電圧や現像電圧のような給電を要する帯電装置22や現像装置23を搭載している。そこで、図13等に示すように、変位装置7における接触棒72A,72Bを筐体1に設置される図示しない給電装置と接続した給電部材(端子)として利用するように構成することもできる。
【0106】
図13等において符号81は図示しない給電装置(の配線端子)と接続する複数の接続端子、符号82,83は所要の接続端子81と接触棒72とを電気的に接続して通電させる電気配線である。例えば、4本の電気配線82は、4つの接触棒72A(Y,M,C,K)と接続され、各作像ユニット2(Y,M,C,K)における各帯電装置22に所要の帯電電圧を給電するための配線である。また、2本の電気配線83は、1本が作像ユニット2K用の接触棒72B(K)と接続されて残りの1本が作像ユニット2Y,M,C用の接触棒72B(Y,M,C)に接続され、その各作像ユニット2(Y,M,C,K)における各現像装置23に所要の現像電圧を給電するための配線である。この場合、接触棒72A,72Bが接触する作像ユニット2の端部20bにおける底面部20d、20eは、電極板として形成する。また、その各電極板と帯電装置22及び現像装置23との間は、それぞれ電気的に接続(配線)する。
【0107】
このように変位装置7における接触棒72を給電部材として併用した場合には、内側扉14の開閉動作に連動して変位装置7における接触棒72A,72Bが作像ユニット2の端部20bにおける電極板としての底面部20d、20eに接触した状態(作動位置に変位したときの状態:図17)とそれに接触しない状態(退避位置に変位したときの状態:図16)になる。これにより、作像ユニット2を装着部5に装着して内側扉14を閉じると、その作像ユニット2における帯電装置22及び現像装置23が給電可能な状態にすることができる。また、作像ユニット2を装着部5から取り外す際に内側扉14を開けると、その作像ユニット2における帯電装置22及び現像装置23が給電不能な状態にすることができる。この結果、作像ユニット2の給電を要する被給電部品のために別途、専用の給電構造(機構)を装備させる必要がない。
【0108】
[他の実施の形態]
前記した画像形成装置では、押圧装置6における被押圧体62として、例えば、図21や図22に示すように、断面がV字状(又はL字状)となる曲面で構成される接触面65を形成した被押圧体62を適用することができる。
【0109】
この被押圧体62における断面V字状曲面の接触面65は、図21等に示すように、その下方に位置する面部分65aを前記した傾斜面63と同じ条件の傾斜面部として形成し、その上方に位置する面部分65bを下方に位置する面部分(傾斜面部)65aとほぼ直交する状態で交わる面として形成したものである。この接触面65を形成した被押圧体62を適用する場合には、その上下の面65a,65bの合流部65cが窪んだ形状として存在する。このため、押圧装置6における突出棒61については、図22や図24に示すように、内側扉14を完全に閉じたときに、その突出棒61の先端部が接触面65の合流部65cに嵌まり合うように接触して停止するようにするため、内側扉14を閉じたときにおける突出棒61の先端部が合流部65cの中心部に対向する状態になるよう(内壁板56に対して)斜め下方を向いた姿勢で取り付けられている。
【0110】
以下、この接触面65を形成した被押圧体62を適用した場合における作像ユニット2の装着時の動作について説明する。
【0111】
作像ユニット2の取り付けに際して内側扉14を閉じる方向B1に揺動させると、図22に示すように、押圧装置6を構成する突出棒61の先端部61aが、作像ユニット2の端部20bの側面部に配置された押圧装置6を構成する被押圧体62の接触面65の下方の面部分65aに接触する。この突出棒61が被押圧体62の接触面65に接触した後に内側扉14をさらに閉じる方向B1に揺動させると、図23に示すように、突出棒61が被押圧体62の接触面65の下面65aを介して作像ユニット2に取り付け方向A1にほぼ沿う方向の押圧力F0を与え始める状態になる。
【0112】
この押圧力F0が付与され始める状態においては、作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27は、前述したように変位装置7(の接触棒72A,72B)によって保持溝部55aから離れる方向に変位させられた状態にある(図17)。また、このときの押圧力F0についても、前記した画像形成装置の場合と同様に、その押し付ける方向(下方向)C2に沿う成分の分力fdが、接触棒72A,72Bにおけるコイルスプリング75の押圧力Fuよりも小さい関係にある(fd<Fu)。これにより、突出棒61は、作像ユニット2の端部20bを保持溝部55aに向けて押し付けるよりも先に、作像ユニット2を装着部5の装着位置に向けて押し込む。このため、このときの作像ユニット2の端部20bは、保持溝部55aと接触せずに離れた状態におかれる。
【0113】
最後に、内側扉14が完全に閉じられると、図24に示すように、突出棒61の先端部61aが被押圧体62の接触面65の下面65aを上昇する方向に移動するかのごとく変位して合流部65cに達して上面65bにも接し、全体として強く接触した状態になる。そして、内側扉14の止め具14a,14bが筐体1の止め部に固定されると、その段階で突出棒61の先端部61aも接触面65の合流部65cに整合して安定した状態で停止する。
【0114】
このとき突出棒61は、図24に示すように、被押圧体62の接触面65を介して全体として所要の押圧力F2を与えることになるが、その内訳は、作像ユニット2を装着部5に押し込む方向A1の分力Fpと、その作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27を保持溝部55aに押し付ける方向C2の分力Fdとして得られる。
【0115】
これにより、作像ユニット2は、押し込む方向A1の分力Fpを受けることにより装着部5の装着位置に押し込まれる状態に保たれる一方で、押し付ける方向C2の分力Fdを受けることにより端部20bにおけるベアリング27が内側扉14の保持溝部55aに押し付けられた状態に保たれる。
【0116】
また、前記した画像形成装置では、押圧装置6として、例えば、図25に示すように、内側扉14にトグル機構を用いた押付け板66を設置し、作像ユニット2の端部20bの側面部に押付け板66の一部が接触する接触面67を形成した被押圧体62を設置して構成した押圧装置6を適用することができる。
【0117】
トグル機構を用いた押付け板66は、支持軸66aを挟んで2股状に分かれる2辺を有する形状の板部材であり、その2辺の合流部において支持軸66aを中心に矢印D1,D2で示す方向に回転自在に取り付けられている。また、押付け板66は、その1辺(下辺部)の先端部66bが作像ユニット2の端部20bに突出した状態に配置される接触突起69の先端部に接触する形状に形成されており、その他の1辺(上辺部)の先端部66cが被押圧体62の接触面67に接触する形状に形成されている。接触突起69については、専用に形成する場合のほか、実施の形態1における回転止め突起28の一部を兼用する構成としても構わない。
【0118】
また、押付け板66は、その上辺部の支持軸66aから先端部66cまで間におけるほぼ中間の位置に設けた突起又は孔等のばね取付部66dに、引っ張り力Fhを発揮するトグルばね(コイルスプリング)68の一端部を取り付けている。トグルばね68は、その他端部を、支持軸66の上下方向における高さ位置とばね取付部66dの上下方向における高さ位置との間の高さとなる内側扉14の部位に設けるばね取付部14eに取り付けられる。これにより、押付け板66は、外力が加わらないときには、トグルばね68が支持軸66aよりも上下方向における上方の位置に存在する状態(押付け解除の状態)に保たれている。この押付け解除状態にあるときのトグルばね68の引っ張り力Fhは、特に加える必要がなく、ゼロとすることもできる。図25等における符号14fは、トグルばね68が上記した押付け解除の状態にあるときの押付け板66に接触してそのときの姿勢を保つための回転停止部材である。押付け板66は、内側扉14を閉じる際に、その上辺部の先端部66cが被押圧体62の接触面67に接触する時期よりも、その下辺部の先端部66bが接触突起69の先端部に接触する時期が先になる状態に取り付けられる。
【0119】
一方、被押圧体62は、接触突起69よりも上の位置に配置される。また、被押圧体62の接触面67は、底部が装置奥側(取り付け方向A1の下流側)に少し片寄った状態の溝形状のように形成されている。
【0120】
以下、このトグル機構を用いた押付け板66と接触面67を形成した被押圧体62を適用した押圧装置6を適用した場合における作像ユニット2の装着時の動作について説明する。
【0121】
作像ユニット2の取り付けに際して内側扉14を閉じる方向B2に揺動させると、図26に示すように、押圧装置6を構成する押付け板66の下辺部の先端部66bが、作像ユニット2の端部20bの側面部に配置された押圧装置6を構成する被押圧体62よりも下方側にある接触突起69の先端部に接触する。これにより、押付け板66は、トグルばね68の引っ張り力Fhに抗して支持軸66aを中心に矢印D2の方向に回転し始める。
【0122】
続いて、内側扉14をさらに閉じる方向に揺動させ、トグルばね68が支持軸66aを通過する状態になると、押付け板66が支持軸66aを中心に矢印D2の方向にさらに勢いよく回転する。この回転は、押付け板66の上辺部の先端部66cが被押圧体62の接触面67に接近した時点に併せて発生するように設定されている。これにより、最終的には、図27に示すように、押付け板66の上辺部の先端部66cが被押圧体62の接触面67に入り込んで接触した状態になる。最後に、内側扉14が完全に閉じられると、図27に示すように、押付け板66の上辺部の先端部66cが被押圧体62の接触面67に強く接触した状態になる。このとき、押付け板66の下辺部の先端部66bは、接触突起69の先端部から離れた状態になる。
【0123】
このとき押付け板66の上辺部の先端部66cは、図27に示すように、被押圧体62の接触面67を介して所要の押圧力F3を与えることになるが、その内訳は、作像ユニット2を装着部5に押し込む方向A1の分力Fpと、その作像ユニット2の端部20bにおけるベアリング27を保持溝部55aに押し付ける方向C2の分力Fdとして得られる。ここで、押圧力F3は、延びた状態のトグルばね68が縮んで戻ろうとする力が押付け板66に及ぶことにより押付け板66が支持軸66aを中心にして矢印D2の方向に回転しようとする状態になることで発生する。
【0124】
これにより、作像ユニット2は、押し込む方向A1の分力Fpを受けることにより装着部5の装着位置に押し込まれる状態に保たれる一方で、押し付ける方向C2の分力Fdを受けることにより端部20bにおけるベアリング27が内側扉14の保持溝部55aに押し付けられた状態に保たれる。なお、押付け板66は、内側扉14を開ける際には、その上辺部の先端部66cが接触面67の手前側の盛り上がり部67aに接触して、その押付け板全体が支持軸66aを中心にして矢印D1の方向に回転し、これにより内側扉14の開放時における非押圧の状態(図25)に戻る。
【0125】
また、前記した画像形成装置においては、開閉着脱装置における変位装置7として、各作像ユニット2の装置手前側の端部20bを変位させるように構成したものを適用しているが、その装置手前側の端部20bに加えてその装置奥側の端部20aも変位させるように構成したものを適用して構わない。
【0126】
さらに、前記した画像形成装置における作像ユニット2に搭載する部品は、前記した感光体ドラム21、帯電装置22、現像装置23及びドラム清掃装置24の組み合わせ限らず、他の組み合わせのものでも、あるいは単品のものであっても構わない。また、画像形成装置では、作像ユニット2に代えて、他の部品で構成されて着脱して装着され着脱構成品(例えば、用紙搬送装置、定着装置など)を開閉着脱装置に適用する着脱構成品として採用することもできる。また、作像ユニット2等の着脱構成品の数は、4つに限らず、他の複数のものであってもよく、さらには単数であっても構わない。
【0127】
この他、本発明が適用される画像形成装置は、カラー画像を形成することが可能な画像形成装置とする場合、中間転写装置3を使用しない方式(いわゆる記録紙Pを各作像ユニット2における各一次転写位置を通過させるように搬送してトナー像を記録紙に直接に転写させる直接転写形式)を採用するものであってもよい。また、画像形成装置は、その画像形成方式として電子写真方式以外の方式(例えば、インクジェット記録方式など)を使用するものであってもよい。また、本発明が適用される画像形成装置としては、例えば、プリンタ、コピー機、ファクシミリ等の画像形成装置をはじめ、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能(画像入出力送受信機能)等に代表される各機能を複合させた画像形成装置が挙げられる。
【符号の説明】
【0128】
1 …筐体(装置本体)
2 …作像ユニット(着脱構成品)
5 …装着部
6 …押圧装置(押圧手段)
7 …変位装置(変位手段)
13…開口部
14…内側扉(開閉部材)
20b…装置手前側の端部(開口部側の端部)
22…帯電装置(被給電部品)
23…現像装置(被給電部品)
55a…保持溝部(保持部)
61…突出棒(押し部材)
62…被押圧体(被押圧部材)
63…傾斜面(接触面)
64…突出部(制止部)
65,67…接触面
66…押付け板(押し部材)
72…接触棒(接触部材)
73…移動機構(移動手段)
F …押圧力
Fd…押し付ける方向の押圧力
Fu…押圧力(変位力)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱構成品が開口部を通過して押し込まれ又は引き出されるように移動させられて着脱自在に装着される装着部を備えた装置本体と、
前記装置本体に取り付けられ、前記装着部における開口部を開閉する開閉部材と、
前記開閉部材に設けられ、前記装着部に装着されたときの前記着脱構成品の前記開口部側の端部を当該開閉部材が閉じられる過程において接触して保持する保持部と、
前記開閉部材に設けられ、前記装着部に装着されたときの前記着脱構成品の前記開口部側の端部の一部に接触して当該着脱構成品を当該装着部に押し込む方向及び前記保持部に押し付ける方向に押す押圧力を与える押圧手段と、
前記開閉部材が前記開口部を閉塞する動作に伴って前記着脱構成品の少なくとも前記開口部側の端部を前記保持部から離れる方向に変位させる変位力を与える変位手段と
を有することを特徴とする開閉着脱機構。
【請求項2】
前記変位手段は、前記保持部が前記着脱構成品の端部を保持する前であってかつ前記押圧手段が当該着脱構成品の端部の一部に接触する前に、当該着脱構成品の少なくとも前記開口部側の端部を前記保持部から離れる方向に変位させる請求項1に記載の開閉着脱機構。
【請求項3】
前記押圧手段の保持部に押し付ける方向の押圧力は、前記開閉部材が前記開口部を閉塞したときに、前記変位手段の変位力よりも大きくなるように設定されている請求項1又は2に記載の開閉着脱機構。
【請求項4】
前記押圧手段と前記変位手段は、当該押圧手段が前記着脱構成品の端部の一部に接触して押圧力を与え始める状態にあるときに、当該変位手段が当該着脱構成品の当該端部を前記保持部から離す方向に変位させた状態にあるように設定されている請求項1乃至3のいずれかに記載の開閉着脱機構。
【請求項5】
前記押圧手段は、前記着脱構成品を前記押し込み方向に押す押圧力を、当該着脱構成品を前記押し付ける方向に押す押圧力よりも先行して発揮させるよう構成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の開閉着脱機構。
【請求項6】
前記押圧手段は、前記開閉部材に設けられる押し部材と、前記着脱構成品に設けられ、前記開閉部材の閉じるときの動作に伴って前記押し部材の一部が接触することで前記押し込み方向に押す押圧力と前記押し付ける方向に押す押圧力を発生させ得る形状の接触面を備えた被押圧部材とで構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の開閉着脱機構。
【請求項7】
前記変位手段は、前記開閉部材の閉じるときの動作に連動して前記変位力を与える状態に変化し、当該開閉部材の開けるときの動作に連動して前記変位力を与えない状態に変化するように構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の開閉着脱機構。
【請求項8】
前記変位手段は、前記装着部に装着されている前記着脱構成品の一部に接触して変位させる作動位置と当該着脱構成品の一部に接触しない退避位置に移動するように前記装置本体の装着部に設けられた接触部材と、前記接触部材を少なくとも前記2つの位置に移動させる移動手段とで構成されている請求項1乃至7のいずれかに記載の開閉着脱機構。
【請求項9】
前記被押圧部材に、前記接触面に接触する前記押し部材の一部が移動する範囲を制限して停止させる制止部を設けている請求項6に記載の開閉着脱機構。
【請求項10】
前記着脱構成品が給電を要する被給電部品を備えており、
前記変位手段の接触部材が給電手段と接続された給電部材としても構成されている請求項8に記載の開閉着脱機構。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の開閉着脱機構を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−123354(P2011−123354A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281680(P2009−281680)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】