説明

間隔測定装置

【課題】 使用者にベース面に対して傾いているか否かの許容範囲を明確化し、その判断を容易なものとすることで、精度の高い状態で測定値を導き出すことができる間隔測定装置を提供する。
【解決手段】 例えば盤面12に設けられた釘11,11の間隔を測定する間隔測定装置は、盤面12に宛がわれる当て部4bを有する基準アーム4と、釘11,11の間隔を測定する一対の測定子5,6と、当て部4bに盤面12側に突出し測定時に盤面12と当接する突起部7とを有する。釘11,11間の測定時において、基準アーム4の当て部4bの両端が盤面から離間し突起部7のみが盤面12に当接している不安定な状態が、盤面12に対して傾いているか否かを判定する許容範囲として設定され、使用者は、突起部7と当て部4bの一端が当接した安定した状態か不安定な状態かに基づいて、盤面12に対して傾いているか否かの許容範囲を容易に判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象部の間隔を測定する間隔測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、測定対象部の間隔を測定する間隔測定装置としては、例えば、測定対象部としてパチンコ遊技機の盤面に設けられ、隣り合った2本の釘間の間隔を測定する遊技機用釘測定装置があり、遊技店においては、この遊技機用釘測定装置を用いて釘間隔を測定し、遊技機の釘調整を行っている。
【0003】
さて、遊技機の盤面に設けられた釘間の間隔(特には、所謂「命釘(始動入賞口上方部に設けられた2本の釘間の間隔)」)の調整度合いは、出玉率に直接影響するため、運用レベルとしては100分の1mm単位まで把握する必要があり、精度の高い測定値が要求される。精度の高い測定値を測定するためには、遊技機用釘測定装置が水平な状態およびパチンコ遊技機の盤面に沿っている状態で測定しなければならない。
そこで、図6(a)に示すように、遊技機用釘測定装置として、盤面101の隣り合った2本の釘102,102に内側から当接する一対の測定子103,103と、一方の測定子103を他方の測定子103に対して近接させたり離間させたりする操作レバー(図示しない)と、先端部に当て部104aを有するL字形の基準アーム104と、水平調節するための水準器(図示しない)を含んで構成された遊技機用釘測定装置100が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この遊技機用釘測定装置100において使用者は、操作レバーを測定子103,103が近接するように操作し、盤面101に基準アーム104の当て部104a全体を当接させた状態で、操作レバーを測定子103,103が離間するように操作して測定子103,103をそれぞれの釘102,102の内側に当接させ、さらに、水準器で水平を合わせ、以って、2本の釘102,102間の間隔を測定する。
上記遊技機用釘測定装置100においては、水準器を参照して水平を調節することは可能であるが、盤面101に対して沿っているか否かを判断することは水準器を参照して調節することはできない。そこで、基準アーム104の当て部104aを平らにすることで、基準アーム104の当て部104a全体が盤面101と接しているか否かを判断基準として、盤面101に沿っているか否かを判断していた。
【特許文献1】特開2003−299788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来では、基準アーム104の当て部104a全体が盤面101と接しているか否かを判断基準として、盤面101に対して沿っているか否かを判断していた。しかしながら、このような判断方法では、使用者は、基準アーム104の当て部104a全体が盤面101に接しているのか、基準アーム104の当て部104aの一端のみが接しているのかを感覚として分かり難く、図6(b)に示すように、基準アーム104の当て部104aの一端が盤面101に接して他端が離間して傾いた状態であるのにも関わらず基準アーム104の当て部104a全体が盤面101に接していると誤認して釘間隔を測定してしまう虞があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、使用者にベース面に対して傾いているか否かの許容範囲を明確化し、その判断を容易なものとすることで、精度の高い状態で測定値を導き出すことができる間隔測定装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、ベース面に設けられた測定対象部の間隔を測定する間隔測定装置において、前記ベース面に沿う方向に延びると共に測定時に前記ベース面に宛がわれる当て部を有する基準アームと、前記測定対象部の間隔を測定する一対の測定子とを備え、前記当て部に、前記ベース面側へ突出し測定時に前記ベース面に当接する突起部を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記突起部は、半球状であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記突起部は、前記当て部にあって前記測定対象部のほぼ中央部に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、ベース面と基準アームの当て部とが傾いていないとする許容範囲にある場合には、基準アームの当て部は、突起部のみがベース面に接して不安定な状態になる一方、突起部と基準アームの当て部の一端とがベース面に接する場合には、許容範囲にあるときよりも安定するので、ベース面と基準アームの当て部とが傾いていないとする許容範囲であるか否かの判断が容易になる。また、不安定な状態を積極的に発生させることにより、使用者にどの位置がより適切となるかの注意を促すことが可能となり、精度の高い状態で測定値を導き出すことができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、測定時にベース面と突起部との接する部分が少なくなり不安程度が増すことで、より注意を促すことができる。
請求項3記載の発明によれば、ベース面に対して傾いているか否かをより高い精度で判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の一実施例につき図面を参照して説明する。
図1は、間隔測定装置の斜視図を示しており、この図1において、間隔測定装置の本体1は、片手で持ち運ぶことが可能な大きさに設定されている。この本体1には、図1における左側にカバーで覆われた機構部収納部2が設けられ、右側にゴムにより覆われた把持部3が設けられている。
前記機構部収納部2には、図2及び図3にも示すように、それぞれ金属製の基準アーム4と、一対の測定子5,とが前方へ突出するように設けられている。このうち基準アーム4は、前方へ向けて突出する突出部4aと、この突出部4aの先端部に上方へ向けられ且つその突出部4aと直交する方向に延びる当て部4bとを一体に有していて、前記機構部収納部2に固定状態に設けられている。前記当て部4bのほぼ中央部には、半球状をなす突出部7が設けられている。
【0012】
また、前記一対の測定子5,6のうち、一方の測定子5は、前方へ突出して基準アーム4の突出部4aに上方から重なるように設けられた突出部5aと、この突出部5aの先端部に上方へ向けて折曲された測定部5bとを一体に有していて、機構部収納部2に固定状態に設けられている。測定子5の機構部収納部2からの突出量は、基準アーム4より短く設定されていて、従って、測定部5bは当て部4bよりも機構部収納部2側に配置されている。
他方の測定子6は、一方の測定子5の横に配置されて前方へ向けて突出する突出部6aと、この突出部6aの先端部に上方に向けて折曲された測定部6bとを一体に有していて、前記一方の測定子5に対して近接及び離間する方向に移動可能に設けられている。前記測定部6bは、当て部4bよりも機構部収納部2側で且つ測定部5bの真横になるように位置されている。
【0013】
前記機構部収納部2の下部の把持部3側には、操作レバー8が設けられている。この操作レバー8は、機構部収納部2内部にて測定子6と連結されると共に弾性体として例えばばねにより把持部3から遠ざかる方向に付勢されており、操作レバー8が押圧操作されることにより、測定子6が測定子5に近接し、押圧が解除されることにより、測定子6が測定子5から離間する。
【0014】
また、機構部収納部2には、本体1の地面に対する水平状態を設定するための水準器9が設けられると共に、測定子5,6間の間隔をデジタル表示するデジタルメータ10が設けられている。このデジタルメータ10には、電源スイッチ10aと、ゼロスイッチ10bが設けられている。尚、このデジタルメータ10は、電源がオンされている状態においては、常に現在の測定子5,6の測定部5b,6b間の間隔をデジタル表示している。
【0015】
以下本発明の作用・効果について説明する。
まず、使用者は、片手で把持部3を握り、例えば人差指或いは中指で操作レバー8を操作することになる。使用者が操作レバー8を操作していない非測定状態では、操作レバー8は把持部3から遠ざかる側に位置され、図2に示すように、それぞれの測定子5,6が離間した側に位置されている。
【0016】
測定対象部として例えばパチンコ遊技機の2本の釘間の間隔を測定する前に、使用者は、デジタルメータ10の電源スイッチ10aを押圧することにより、デジタルメータ10の電源をオンさせる。そして、使用者は、把持部3を片手で持ち、例えば人差指或いは中指で操作レバー8を把持部3側(弾性体による付勢に対抗する側)に押圧操作することにより、測定子5,6を近接させる。この状態で、使用者は、測定子5,6の測定部5b,6b間の間隔を基準間隔に設定するためのゲージ(図示せず)を、測定子5,6の測定部5b,6b間に挿入して、操作レバー8の押圧操作を解除する。そして、ゼロスイッチ10bを押圧操作することによって、基準間隔を設定する。この基準間隔とは、所望の間隔(例えば10mm)に設定されたゲージを基準として設定されたゼロ基準値を示し、そのゼロ基準値に対して測定対象の2本の釘間がどれだけ偏差しているかを数値化するために用いられる目安である。
【0017】
続いて、パチンコ遊技機の2本の釘間の間隔を測定する場合を図4及び図5を参照しながら説明する。
使用者は、例えば人差指或いは中指で操作レバー8を把持部3側に押圧操作することにより、測定子5,6を近接させる。使用者は、この状態で、基準アーム4の当て部4bをパチンコ遊技機に設けられた命釘間(所謂始動入賞口の上部に位置する2本の釘11,11)周辺の盤面(ベース面に相当)12に宛がうと共に当て部4bの左右両端部の下縁部が釘11,11の上部に接するように宛がう。そして、使用者は、操作レバー8の押圧を解除して、それぞれの釘11,11間の内側に測定子5,6の測定部5b,6bを接触させると共に本体1を水準器9により水平状態になるように設定する。さらに、使用者は、基準アーム4の当て部4bの両端が盤面12から離間し、突起部7のみが盤面12に当接している状態とし(このとき、当て部4bに設けられた突起部7は、釘11,11間のほぼ中央部に配置される)、デジタルメータ10に表示されている測定値を確認する。尚、基準アーム4は、測定子5,6の測定部5b,6bに対して所定の長さ突出して設けられているので、盤面12から測定子5,6の測定部5b,6bが常に一定の距離になるように保持され、釘11,11間の所望位置の間隔を測定することができる。
【0018】
このようして、基準アーム4の当て部4bの両端が盤面から離間し突起部7のみが盤面12に当接している状態が、盤面12に対して傾いているか否かを判定する許容範囲として設定されている。この許容範囲にあるときは、突起部7のみが当接し基準アーム4の当て部4bの両端が離間しているため、盤面12に対して不安定な状態となる。さらに、この許容範囲から外れたときは、突起部7と基準アーム4の一端とが盤面12に当接することになるため、許容範囲にあるときと比べて、安定した状態となる。従って、使用者は、本体1が安定した状態か不安定な状態かに基づいて、盤面12に対して傾いているか否かの許容範囲を容易に判断することができる。また、不安定となる状態を積極的に発生させることによって、使用者に対してどの位置が適切となるかについての注意を促すことができ、使用者は注意して釘11,11間を測定するようになる。
【0019】
また、半球状に形成された突起部7が当て部4bに設けられているので、突起部7のみが盤面12と当接する場合、当接する部分が少なく、不安定度合いを増加させることができる。従って、使用者に対してどの位置が適切となるかについてより注意を促すことができる。
さらに、使用者による釘11,11間の測定時において、突起部7が釘11,11間のほぼ中央部に配置されるように当て部4bに設けられているので、盤面12に対して、傾いているか否かをより高い精度で判断することができる。
【0020】
(その他の実施例)
本発明は上記した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
表示手段は、デジタルメータ10に代えて、アナログメータであってもよい。
突起部7は、半球状で形成したが、円錐状、三角錐状、四角錐状等であってもよい。
【0021】
盤面(ベース面に相当)12に設けられた釘(測定対象部に相当)11,11間の間隔を測定したが、基準となるベース面がある対象部同士の間隔であればどんなものを測定してもよい。例えば、測定対象物として板面(ベース面に相当)に設けられた孔の孔径を測定することもでき、その場合は、当て部は板面に宛がわれる側に形成され、且つ、突起部もその当て部に設けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す前方下側から見た斜視図
【図2】本体の上面図
【図3】本体の左側面図
【図4】測定状態を示す上面図
【図5】測定状態を示す側面図
【図6】従来例を示すもので、(a)は正しい測定状態での上面図、(b)は傾いた状態での上面図
【符号の説明】
【0023】
図面中、1は本体、3は把持部、4は基準アーム、4bは当て部、5,6は測定子、5b,6bは測定部、7は突起部、8は操作レバー、9は水準器、10はデジタルメータ、10aは電源スイッチ、11は釘(測定対象部)、12は盤面(ベース面)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース面に設けられた測定対象部の間隔を測定する間隔測定装置において、
前記ベース面に沿う方向に延びると共に測定時に前記ベース面に宛がわれる当て部を有する基準アームと、
前記測定対象部の間隔を測定する一対の測定子とを備え、
前記当て部に、前記ベース面側へ突出し測定時に前記ベース面に当接する突起部を設けたことを特徴とする間隔測定装置。
【請求項2】
前記突起部は、半球状であることを特徴とする請求項1記載の間隔測定装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記当て部にあって前記測定対象部のほぼ中央部に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の間隔測定装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−133174(P2006−133174A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325191(P2004−325191)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【特許番号】特許第3715641号(P3715641)
【特許公報発行日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】