関節運動アシスト装置
【課題】
構造がコンパクトであるとともに、関節運動を適切にアシストする。
【解決手段】
調整部によるシリンダ151内の空気圧調整により、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長すると、ピストンロッド153及び第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節が伸展状態から屈曲状態へ向かう回動方向と略平行な方向で回動する回動力が付与される。第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部位材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として公転する。これにより、第2歯車部材123に固定的されている前腕外骨格部材121が回転し、上腕外骨格部材111と前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
構造がコンパクトであるとともに、関節運動を適切にアシストする。
【解決手段】
調整部によるシリンダ151内の空気圧調整により、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長すると、ピストンロッド153及び第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節が伸展状態から屈曲状態へ向かう回動方向と略平行な方向で回動する回動力が付与される。第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部位材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として公転する。これにより、第2歯車部材123に固定的されている前腕外骨格部材121が回転し、上腕外骨格部材111と前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節運動アシスト装置に係り、より詳しくは、所定対象物の関節運動をアシストする外骨格形の関節運動アシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、要介護者・要看護者の介護・看護に用いられる様々な装置が提案されている。こうした装置の中には、介護者が、身体の自由が効かない寝たきりの高齢者等の被介護者を抱き起したり、抱き下ろしたり、あるいは移動させるための介護用の筋力補助装置がある。
【0003】
かかる筋力補助装置の一つとして、空気圧によって駆動するアクチュエータを用いたものがある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、一端部を中心に相互に揺動自在に連結された2つの板材、及び、当該2つの板材の間に配置され内部に供給される空気により膨張する袋体からなるアクチュエータ要素を重ねた大型の空気圧アクチュエータを人体における所定箇所に装着した装着部に取り付ける。そして、空気圧アクチュエータにおける袋体を膨張させて、肘関節、股関節及び膝関節の運動を補助するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−51289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術では、空気圧アクチュエータにおける袋体内への空気の供給を行う際には関節運動をアシストするが、袋体からの空気の吸引によっては関節運動をアシストする力を発生させていない。このように袋体内への空気の供給を行うときのみに当該力が発生するため、特に、股関節運動のアシストは、空気圧アクチュエータへの空気供給による袋体の膨張を、リンク機構によって股関節の伸展力に変換することによって行っている。その結果、装置自体は大規模なものとなっている。このため、装置の介護者への装着が容易ではなく、また、当該装置を装着した介護者の身体的自由を制限してしまう可能性がある。
【0006】
このように、従来例の技術では、関節の屈曲運動又は伸展運動のいずれか一方のみしかアシストすることができず、筋力補助装置としての機能が限定的なものとなっている。また、従来例の技術では、装置が大規模なものとなっている。このため、関節運動をアシストするに際して、装着が容易であり、かつ、装着者の身体的自由を確保しつつ、所望する関節の屈曲運動及び伸展運動をアシストすることができる技術が待望されている。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、構造がコンパクトであるとともに、関節運動を適切にアシストすることができる関節運動アシスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、骨格構造を有する所定対象物に装着し、前記所定対象物の一方側部位と他方側部位とを接続している関節の機構を利用する関節運動をアシストする外骨格形の関節運動アシスト装置であって、前記一方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記一方側部位に固定される第1外骨格部材と;前記他方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記他方側部位に固定される第2外骨格部材と;前記第1外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1外骨格部材の前記一方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部及び内周部の一方の少なくとも一部に、歯部が形成された第1歯車部材と;前記第2外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1歯車部材と噛合可能な歯部が、前記第2外骨格部材の前記他方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部の少なくとも一部に形成された第2歯車部材と;前記第1外骨格部材に取り付けられたシリンダと;前記シリンダ内を往復運動する直動ピストンに一方の端部が連結され、前記シリンダの一方の端部を貫通し、前記直動ピストンとともに往復直線運動するピストンロッドと;前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保するとともに、前記第2歯車部材が、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを連接する連接部材と;を備え、前記直動ピストンの行程により、前記ピストンロッド及び前記連接部材を介して、前記第2歯車部材に、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動する回動力が付与され、前記第2歯車部材が、前記第1歯車部材との噛み合い位置が変化することにより、自転しつつ、前記第1歯車部材の中心軸を中心として公転することで、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が変化し、前記関節の運動をアシストする、ことを特徴とする関節運動アシスト装置である。
【0009】
この関節運動アシスト装置では、所定対象物に当該装置が装着された場合に、第1外骨格部材に固定的に接続された第1歯車部材の中心軸、及び、当該第1歯車部材と噛合する第2外骨格部材に固定的に接続された第2歯車部材の中心軸が、アシスト対象関節の回動運動の回動軸と略平行となっている。そして、シリンダ内の直動ピストンの行程により、ピストンロッド及び連接部材を介して、第2歯車部材に、関節の回動方向と略平行な方向で回動するための回動力が付与される。第2歯車部材に当該回動力が付与されると、第2歯車部材における第1歯車部材との噛み合い位置が変化し、第2歯車部材が、自転しつつ、第1歯車部材の中心軸を中心として公転する。このようにして第2歯車部材が自公転すると、第2歯車部材に固定的に接続されている第2外骨格部材が、第1歯車部材の中心軸を中心として公転するとともに、第2歯車部材の中心軸を中心として自転する。この結果、第1及び第2歯車部材における歯部の歯数に応じて、所定対象物の一方側部位が固定された第1外骨格部材と、他方側部位が固定された第2外骨格部材とが交差する角度が変化し、受動的に、一方側部位と他方側部位とを接続している関節の運動がアシストされる。
【0010】
したがって、本発明の関節運動アシスト装置によれば、構造がコンパクトであるとともに、直動ピストンの行程を適切に制御することにより、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0011】
ここで、「所定対象物」は、人体であってもよいし、骨格構造を有する人体以外の対象物であってもよい。
【0012】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記シリンダは、前記関節の回動方向と略平行な方向で、前記第1外骨格部材に回動可能に取り付けられ、前記連接部材は、前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第2歯車部材とが、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する、ようにすることができる。
【0013】
この場合には、シリンダ内の直動ピストンの行程の際に、ピストンロッドにおける直動ピストンに連結されていない他方の端部と第1歯車部材との距離が一定となるように、シリンダが第1外骨格部材に対して揺動する。こうした構成を採用することで、直動ピストンの行程により、ピストンロッドにおける他方の端部が、第1歯車部材の中心軸の回りを回動する。そして、当該回動により、連接部材を介して、第2歯車部材に、関節の回動方向と略平行な方向で回動するための回動力が付与される。こうして第2歯車部材に当該回動力が付与されると、第2歯車部材における第1歯車部材との噛み合い位置が変化し、第2歯車部材が、自転しつつ、第1歯車部材の中心軸の回りを公転する。このため、直動ピストンの行程により、第2歯車部材に、第1歯車部材の中心軸の回りを回動するための回動力を付与することができる。この結果、直動ピストンの行程を適切に制御することにより、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0014】
ここで、シリンダが第1外骨格部材に対して揺動する構成を採用した場合に、前記連接部材は、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記ピストンロッドにおける他方の端部を前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する第2連接部材と;を備える、構成とすることができる。
【0015】
このように、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、直動ピストンの行程により、ピストンロッドにおける他方の端部に連接されている第2連接部材に動力が伝達され、当該動力が第1連接部材に伝達される。そして、第2歯車部材が、第1歯車部材の中心軸の回りを回動する。この場合には、連接部材が第1及び第2連接部材の2つの部材から構成されるため、個々に第1及び第2連接部材を製作することができる。また、この場合には、第2連接部材の長さを変えることで、関節運動をアシストする際の回転角度の変化率やトルクを調整することができる。
【0016】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記シリンダは、前記第1外骨格部材に固定的に取り付けられ、前記連接部材は、前記直動ピストンの行程に伴う前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、前記ピストンロッドにおける他方の端部を収容する収容部を有する、ようにすることができる。ここで、前記収容部は、前記ピストンロッドにおける他方の端部から前記第1歯車部材の中心部へ向う方向に沿って延びて形成された長穴である、ようにすることができる。
【0017】
この場合には、シリンダが第1外骨格部材に固定的に取り付けられているため、シリンダ内の直動ピストンの行程、すなわち、ピストンロッドの往復直線運動の際に、ピストンロッドにおける他方の端部と第1歯車部材との距離が変化することになる。かかる距離変化が発生しても、ピストンロッドの往復運動が可能であり、第2歯車部材が自公転可能とするように、連接部材の収容部は、ピストンロッドにおける他方の端部と第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、ピストンロッドにおける他方の端部を収容するようになっている。こうした構成を採用することで、ピストンロッドの往復直線運動が、連接部材を介して、関節の回動方向と略平行な方向で第2歯車部材が回動する回動運動に変換され、回動力が生じる。こうして第2歯車部材に当該回動力が付与されると、第2歯車部材における第1歯車部材との噛み合い位置が変化し、第2歯車部材が、自転しつつ、第1歯車部材の中心軸の回りを公転する。このため、直動ピストンの行程により、第2歯車部材に、第1歯車部材の中心軸の回りを回動するための回動力を付与することができる。この結果、直動ピストンの行程を適切に制御することにより、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0018】
ここで、シリンダが第1外骨格部材に対して固定的に取り付けられる構成を採用した場合に、前記連接部材は、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記収容部を有する第2連接部材と;を備える、構成とすることができる。
【0019】
このように、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、ピストンロッドにおける他方の端部と第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、ピストンロッドにおける他方の端部を収容する収容部は、第2連接部材に設けられることになる。そして、直動ピストンの行程によるピストンロッドにおける他方の端部の運動が、第1連接部材に伝達される。そして、第2歯車部材が、第1歯車部材の中心軸の回りを回動する。この場合には、連接部材が第1及び第2連接部材の2つの部材から構成されるため、個々に第1及び第2連接部材を製作することができる。また、この場合には、第2連接部材の長さを変えることで、関節運動をアシストする際の回転角度の変化率やトルクを調整することができる。
【0020】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室のそれぞれの作動流体圧を調整する調整部を更に備える、構成とすることができる。この場合には、調整部が直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室内の作動流体圧を調整するため、屈曲、伸展の双方についての関節運動をアシストすることができる。
【0021】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記所定対象物が、筋力による関節運動を行う生体であり、前記関節を駆動する筋力に関する生体情報を検出する検出部を更に備え、前記調整部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記シリンダ内の作動流体圧を調整する、ようにすることができる。この場合には、関節を駆動する筋力に関する生体情報に基づいて、筋力の発揮力等を導出し、当該導出結果に基づいて、直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室内の作動流体圧を調整することができる。ここで、生体情報としては、筋電図、筋肉硬さ、又は、脳波等を採用することができる。
【0022】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な円柱形状であり、前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、ようにすることができる。
【0023】
このように、第1歯車部材及び第2歯車部材が、円柱形状の外歯車である場合には、ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の伸長行程及び収縮行程の際に、2つの歯車部材の中心軸間の距離が一定である。このため、第1歯車部材と第2歯車部材との噛合の確保に際して、簡単な構成の連接部材を採用することができる。なお、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、第1連接部材として、例えば、第1歯車部材及び第2歯車部材の中心軸を回動可能に挿入するアーム部材を採用することができる。
【0024】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な楕円柱形状であり、前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、ようにすることができる。
【0025】
このように、第1歯車部材及び第2歯車部材が、楕円柱形状の外歯車である場合には、ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の伸長行程及び収縮行程の際に、2つの歯車部材の中心軸間の距離が変化する。このため、屈曲運動又は伸展運動に伴う関節の回動運動の回動軸の自由度に対応した関節運動をアシストすることができる。なお、第1歯車部材と第2歯車部材との噛合の確保に際しては、中心軸間の距離の変化に対応できる構成の連接部材を採用するようにすればよい。また、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、第1連接部材として、例えば、第1歯車部材の中心軸と第2歯車部材の中心軸とを弾性的に付勢し、当該中心軸間の距離の変化に対応した構成を採用することができる。
【0026】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、それぞれ、互いの軸が平行な円筒形状及び円柱形状であり、前記第1歯車部材の歯部は、前記内周部に形成され、前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の収縮行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記ピストンロッドの伸長行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、ようにすることができる。
【0027】
このように、第1歯車部材が円筒形状の内歯車であり、第2歯車部材が円柱形状の外歯車である場合には、ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の収縮行程及び伸長行程の際に、2つの歯車部材の中心軸間の距離が一定である。このため、第1歯車が円柱形状の外歯車である場合と同様に、第1歯車部材と第2歯車部材との噛合の確保に際して、簡単な構成の連接部材を採用することができる。なお、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、第1連接部材として、例えば、第1歯車部材及び第2歯車部材の中心軸を回動可能に挿入するアーム部材を採用することができる。
【0028】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記所定対象物の関節は、肘関節であり、前記第1外骨格部材は上腕部に固定され、前記第2外骨格部材は前腕部に固定される、ようにすることができる。この場合には、所定対象物の肘関節の運動をアシストすることができる。
【0029】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記所定対象物の関節は、股関節であり、前記第1外骨格部材は腰部に固定され、前記第2外骨格部材は大腿部に固定される、ようにすることができる。この場合には、所定対象物の股関節の運動をアシストすることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明の関節運動アシスト装置によれば、構造がコンパクトであるとともに、関節運動を適切にアシストすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態である肘関節の関節運動アシスト装置の外観図である。
【図2】図1の接続部材の構造を説明するための平面視図である。
【図3】図1の前腕外骨格部材の構造を説明するための平面視図である。
【図4】図1のアクチュエータの構造を説明するためのXZ断面図である。
【図5】図1の調整部の構成を説明するための図である。
【図6】ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の収縮時及び伸長時の図1の関節運動アシスト装置の状態を説明するための図である。
【図7】第1変形例である股関節の関節運動アシスト装置の外観図である。
【図8】ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の収縮時及び伸長時の図7の関節運動アシスト装置の状態を説明するための図である。
【図9】第2変形例である肘関節の関節運動アシスト装置において、シリンダからのピストンロッドの突出部分が収縮したとき及び伸長したときの状態を説明するための図である。
【図10】歯車部材の変形例(その1)を説明するための図である。
【図11】歯車部材の変形例(その2)を説明するための図である。
【図12】図11に対応するアクチュエータの構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。なお、本実施形態においては、所定対象物としての人体の右腕の肘関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置を例示して説明する。また、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
[構成]
図1には、一実施形態に係る関節運動アシスト装置100の外観図が示されている。この図1は、人体の腕に装着された関節運動アシスト装置100を、肘関節が伸展状態にあるときの人体の右側から眺めた外観図(XZ平面視図)である。
【0034】
ここで、図1における座標系(X,Y,Z)は、関節運動アシスト装置100が人体に装着された場合に、人体の正面方向を+X方向、人体の右側から左側へと向かう方向を+Y方向、上腕部が肘関節から延びる方向を+Z方向とする座標系である。このため、当該座標系(X,Y,Z)では、Y軸方向と肘関節の回動運動の回動軸方向とが略平行となっている。
【0035】
図1に示されるように、関節運動アシスト装置100は、第1外骨格部材の一部としての上腕外骨格部材111と、第1外骨格部材の一部としての接続部材112と、第1歯車部材113と、ベルト部材117,118とを備えている。また、関節運動アシスト装置100は、第2外骨格部材としての前腕外骨格部材121と、第2歯車部材123と、ベルト部材127,128とを備えている。さらに、関節運動アシスト装置100は、第1連接部材としての第1アーム部材141と、第2連接部材としての第2アーム部材142と、アクチュエータ150と、調整部180と、配管191,192とを備えている。
【0036】
上記の上腕外骨格部材111は、例えば、長板状の鋼鉄製の部材である。この上腕外骨格部材111は、右上腕部が肘関節から延びる方向に沿って、右上腕部の右側(−Y方向側)に配置され、布製のベルト部材117,118により右上腕部に固定される。
【0037】
上記の接続部材112は、例えば、鋼鉄製の部材であり、図2に示されるように、XY平面視で、L字状に成形加工されたL字状部材112Lと、U字状に成形加工されたU字状部材112Uとから構成されている。そして、L字状部材112LとU字状部材112Uとを不図示のネジ止め等で固定することで、接続部材112が形成されるようになっている。ここで、図2では、アクチュエータ150のシリンダ軸がZ軸と平行となっている場合の状態が示されている。
【0038】
上記のL字状部材112Lは、上腕外骨格部材111の−X方向側において、上腕外骨格部材111に固定的に接続されている。また、上記のU字状部材112UにおけるY方向に垂直な2つの平板部には、それぞれ、アクチュエータ150(より詳しくは、後述するシリンダ151)を係止するための挿入穴が成形加工されている。そして、U字状部材112Uは、アクチュエータ150をU字形に取り囲み、2つの挿入穴を利用して後述するシリンダ151に着脱可能に取り付けられる突起部JTS1,JTS2を挿入し、肘関節の回動方向と略平行な方向で、アクチュエータ150を回動可能に係止している。
【0039】
図1に戻り、上記の第1歯車部材113は、本実施形態では、軸部材AX1を中心軸とする円柱形状の鋼鉄製の部材である。第1歯車部材113は、上腕外骨格部材111の肘関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。そして、第1歯車部材113の外周部には、歯すじが軸に平行な歯部が形成されている。ここで、軸部材AX1の軸方向は、肘関節の回動運動の回動軸と略平行となるY軸方向と平行になっている。
【0040】
上記の前腕外骨格部材121は、例えば、鋼鉄製の部材であり、図3(A),(B)により総合的に示されるように、長板状の長板状外骨格部材1211と、前腕保持部材1212とから構成されている。そして、長板状外骨格部材1211と前腕保持部材1212とを不図示のネジ止め等で固定することで、前腕外骨格部材121が形成されるようになっている。ここで、図3における座標系(U,Y,W)は、右前腕部が肘関節から延びる方向を+U方向、人体の右側から左側へと向かう方向を+Y方向、右前腕部の内側へ向かうU軸と垂直な方向を+W方向とする座標系である。そして、図3(A)には、前腕外骨格部材121のU方向視図が示され、図3(B)には、前腕外骨格部材121のW方向視図が示されている。
【0041】
上記の長板状外骨格部材1211は、右前腕部が肘関節から延びる方向に沿って、右前腕部の右側(−Y方向側)に配置される。また、上記の前腕保持部材1212は、右前腕部を下方側(−W方向側)から保持する。そして、前腕外骨格部材121は、布製のベルト部材127,128により右前腕部に固定される(図1参照)。
【0042】
図1に戻り、上記の第2歯車部材123は、本実施形態では、上述した第1歯車部材113と同様に、軸部材AX2を中心軸とする円柱形状の鋼鉄製の部材である。第2歯車部材123は、前腕外骨格部材121の肘関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。そして、第2歯車部材123の外周部には、第1歯車部材113と噛合する歯すじが軸に平行な歯部が形成されている。
【0043】
ここで、軸部材AX2の軸方向は、軸部材AX1の軸方向と平行になっている。また、第1歯車部材113及び第2歯車部材123の歯数比は、後述するピストンロッド153の往復運動の行程距離、第2アーム部材142の長さ等に基づいて、上腕外骨格部材111と前腕外骨格部材121との交差角度が、肘関節の好適な可動範囲となるように設定されている。また、第1歯車部材113及び第2歯車部材123の歯数比は、関節運動をアシストするに際して、アシストされた結果として行われる関節運動が、関節運動アシスト装置100が装着された人にとって滑らかに感じられる関節運動となるようにも調整されている。
【0044】
上記の第1アーム部材141は、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配設される。第1アーム部材141には、第1歯車部材113と第2歯車部材123との噛合を確保するための2つの挿入穴が成形加工されている。ここで、当該2つの挿入穴間の距離は、第1歯車部材113のピッチ円半径及び第2歯車部材123のピッチ円半径の和と等しくなっている。第1アーム部材141の一方の挿入穴には、第1歯車部材113の軸部材AX1が、第1アーム部材141が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入され、他方の挿入穴には、第2歯車部材123の軸部材AX2が回動可能に挿入される。
【0045】
上記の第2アーム部材142は、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配設される。第2アーム部材142には、2つの挿入穴が成形加工されている。第2アーム部材142の一方の挿入穴には、第1歯車部材113の軸部材AX1が、第2アーム部材142が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、第2アーム部材142の他方の挿入穴には、アクチュエータ150を構成する後述するピストンロッド153における下端部に設けられた突起部JTRが回動可能に挿入される。ここで、第2アーム部材142の長さは、肘関節運動のアシストをするに際して、肘関節にとって好適な回転角度及び好適なトルクとなるように設定されている。
【0046】
ここで、第1アーム部材141と第2アーム部材142とは固定されている。このため、第2歯車部材123とピストンロッド153における下端部とが、第1歯車部材113の中心軸の回りを回動可能となっている。
【0047】
上記のアクチュエータ150は、図1及び図4により総合的に示されるように、シリンダ151と、直動ピストン152と、ピストンロッド153とを備えている。ここで、図4には、シリンダ軸がZ軸と平行になっているときのアクチュエータ150のYZ断面図が示されている。
【0048】
上記のシリンダ151は、例えば、円筒状の部材であり、シリンダ151の長さ方向の両端部は閉塞されており、−Z方向側の一方の端部をピストンロッド153が貫通している。また、シリンダ151の−Z方向側の外側円筒面には、2つの突起部JTS1,JTS2が、Y軸と平行であり、かつ、円筒中心軸に対向する+Y方向側面、−Y方向側面に取り付けられている。そして、突起部JTS1,JTS2が、上述した接続部材112に形成加工された2つの挿入穴に挿入されることにより、シリンダ151が、肘関節の回動方向と略平行な方向で、上腕外骨格部材111に固定的に接続されている接続部材112に回動可能に取り付けられる。
【0049】
また、シリンダ151には、シリンダ151内への空気の供給、及び、シリンダ151内からの空気の吸引を行うための第1給排気ポートPT1と第2給排気ポートPT2とが設けられている。ここで、第1給排気ポートPT1は配管191と接続され、第2給排気ポートPT2は、配管192と接続されている。また、シリンダ151内には、直動ピストン152の摺動範囲を規制するためのストッパST1,ST2が取り付けられる。このため、直動ピストン152は、ST1〜ST2の間で摺動可能となっている。
【0050】
上記の直動ピストン152は、例えば、円柱形状の部材であり、直動ピストン152の外径は、シリンダ151の内径と略等しくなっている。直動ピストン152の外周部には、環状の弾性シール部材が取り付けられており、直動ピストン152は、シリンダ151内に対して往復摺動自在に嵌め込まれている。
【0051】
こうして直動ピストン152がシリンダ151内に嵌め込まれることで、シリンダ151の内部空間は、第1シリンダ室SR1と第2シリンダ室SR2とに仕切られている。ここで、第1シリンダ室SR1には、上述した第1給排気ポートPT1が設けられている。また、第2シリンダ室SR2には、上述した第2給排気ポートPT2が設けられている。
【0052】
上記のピストンロッド153は、例えば、円柱形状の部材であり、ピストンロッド153の外径は、シリンダ151の外径より小さくなっている。ピストンロッド153における一方の端部は、直動ピストン152の往復運動方向の一端部に連結されており、ピストンロッド153は、シリンダ151を貫通している。また、ピストンロッド153における他方の端部の−Y方向側には、第2アーム部材142の他方の挿入穴に挿入される突起部JTRが、取り付けられている。
【0053】
上記の調整部180は、配管191を介して、シリンダ151における第1シリンダ室SR1と連通している。また、調整部180は、配管192を介して第2シリンダ室SR2と連通している。そして、調整部180は、配管191を通じて、第1シリンダ室SR1への空気の供給、及び、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、配管192を通じて、第2シリンダ室SR2への空気の供給、及び、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行うことで、シリンダ151内における直動ピストン152の行程を調整する。
【0054】
かかる機能を有する調整部180は、図5に示されるように、加圧ポンプ181と、減圧ポンプ182と、電気−空気圧制御弁183と、制御部184と、配管185,186とを備えている。
【0055】
上記の加圧ポンプ181は、配管185を介して、電気−空気圧制御弁183の一方の入口側と接続されている。この加圧ポンプ181は、シリンダ151内への空気の供給を行う際に利用される。上記の減圧ポンプ182は、配管186を介して、電気−空気圧制御弁183の他方の入口側と接続されている。この減圧ポンプ182は、シリンダ151内からの空気の吸引を行う際に、利用される。
【0056】
上記の電気−空気圧制御弁183は、流路切換4方向弁と、圧力制御弁(比例ソレノイド)とを備えて構成されている。この流路切換4方向弁の入口側の一方が加圧ポンプ181に接続されているとともに、入口側の他方が減圧ポンプ182に接続されている。
【0057】
そして、流路切換4方向弁は、制御部184による制御のもとで、第1シリンダ室SR1への空気の供給を行うとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行う際には、加圧ポンプ181と接続されている配管185と、配管191とを接続して流路を形成するとともに、減圧ポンプ182と接続されている配管186と、配管192とを接続して流路を形成する。また、流路切換4方向弁は、制御部184による制御のもとで、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給を行う際には、減圧ポンプ182と接続されている配管186と、配管191とを接続して流路を形成するとともに、加圧ポンプ181と接続されている配管185と、配管192とを接続して流路を形成する。
【0058】
また、圧力制御弁は、制御部184による制御のもとで、配管191及び配管192の空気圧力を制御し、シリンダ151における第1シリンダ室SR1内の空気圧力と第2シリンダ室SR2内の空気圧力との差圧を変化させる。
【0059】
上記の制御部184は、第1及び第2シリンダ室SR1,SR2内の空気の供給/吸引の切り換え、及び、圧力調整を行うことで、直動ピストン152のプッシュ・プル制御を実行する。かかる制御は、実験、シミュレーション、経験等を加味した関節を駆動する筋力に関する生体情報に基づいて行われるようになっている。ここで、関節を駆動する筋力に関する生体情報は、不図示の検出部が、筋電図、筋肉の硬さ等を検出することで、取得するようにすることができる。
【0060】
[動作]
以上のようにして構成された関節運動アシスト装置100の動作、すなわち、肘関節の機構を利用する関節運動のアシスト動作を説明する。
【0061】
なお、関節運動アシスト装置100では、当初においては、調整部180によるシリンダ151内の空気圧調整は行われていないものとする。また、当初においては、図1及び図6(A)に示されるように、肘関節は、伸展状態にあるものとする。
【0062】
ここで、図6(A),(B)に示される関節運動アシスト装置100では、調整部180、配管191,192、ベルト部材117,118,127,128、及び、人体の腕部位等の図示を省略している。
【0063】
この関節運動のアシスト動作は、肘関節を伸展状態から屈曲状態にする際には、制御部184が、第1シリンダ室SR1への空気の供給を行うとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行うための制御を行う。
【0064】
調整部180により、配管191を通じて、第1シリンダ室SR1への空気の供給が行われるとともに、配管192を通じて、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、−Z方向へ摺動する(図4参照)。この直動ピストンの−Z方向への摺動に伴い、直動ピストン152に連結されているピストンロッド153が−Z方向へ移動し、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長する行程となる(以下、単に「ピストンロッドの伸長行程」とも記す)。
【0065】
ピストンロッド153の伸長行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長したときの関節運動アシスト装置100の状態が、図6(B)に示されている。図6(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の伸長行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で反時計回り(以下、単に「反時計回り」とも記す)に回転する。
【0066】
このとき、接続部材112に肘関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に取り付けられているシリンダ151は、突起部JTS1,JTS2を軸として、反時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド153の伸長行程前と伸長行程後とにおいて、シリンダ軸SAXとZ軸とのなす角度が、例えば、角度θC(図6(A)参照)から角度θE(>θC) (図6(B)参照)に変化する。
【0067】
ピストンロッド153の下端部が、反時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、反時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0068】
また、肘関節が屈曲状態であるとき(図6(B)参照)に、肘関節を屈曲状態から伸展状態にする際には、制御部184が、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給を行うための制御を行う。
【0069】
かかる制御のもとで、配管191を通じて、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引が行われるとともに、配管192を通じて、第2シリンダ室SR2への空気の供給が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、+Z方向へ摺動する(図4参照)。この直動ピストンの+Z方向への摺動に伴い、直動ピストン152に連結されているピストンロッド153が+Z方向へ移動し、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮する行程となる(以下、単に「ピストンロッドの収縮行程」とも記す)。
【0070】
ピストンロッド153の収縮行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮したときの関節運動アシスト装置100の状態が、図6(A)に示されている。図6(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の収縮行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で時計回り(以下、単に「時計回り」とも記す)に回転する。このとき、接続部材112に係止されているシリンダ151は、突起部JTS1,JTS2を軸として、時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド153の収縮行程前と収縮行程後とにおいて、シリンダ軸SAXとZ軸とのなす角度が、例えば、角度θE(図6(B)参照)から角度θC(図6(A)参照)に変化する。
【0071】
ピストンロッド153の下端部が、時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が広がり、肘関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態では、調整部180により、第1シリンダ室SR1への空気の供給が行われるとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、−Z方向へ摺動する。この直動ピストンの−Z方向への摺動に伴い、ピストンロッド153が−Z方向へ移動するピストンロッド153の伸長行程となる。
【0073】
ピストンロッド153の伸長行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、反時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りの回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、反時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0074】
また、調整部180により、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引が行われるとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、+Z方向へ摺動する。この直動ピストンの+Z方向への摺動に伴い、ピストンロッド153が+Z方向へ移動するピストンロッド153の収縮行程となる。
【0075】
ピストンロッド153の収縮行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りの回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が広がり、肘関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0076】
したがって、本実施形態によれば、構造がコンパクトであるとともに、肘関節の関節運動を適切にアシストすることができる。
【0077】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0078】
例えば、上記の実施形態では、人体の肘関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置としたが、例えば、股関節の運動をアシストする装置であってもよい。
【0079】
<第1変形例>
第1変形例に係る股関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置について、図7及び図8を主に参照して説明する。
【0080】
《構成》
図7には、第1変形例に係る関節運動アシスト装置200の外観図が示されている。この図7は、人体の腰部及び大腿部に装着される関節運動アシスト装置200を、股関節が伸展状態にあるときの人体の右側から眺めた外観図(XZ平面視図)である。
【0081】
ここで、図7における座標系(X,Y,Z)は、関節運動アシスト装置200が人体に装着された場合に、人体の正面方向を+X方向、人体の右側から左側へと向かう方向を+Y方向、腰部から背部へと向かう方向を+Z方向とする座標系である。このため、当該座標系(X,Y,Z)では、Y軸方向と股関節の回動運動の回動軸方向とが略平行となっている。
【0082】
図7に示されるように、関節運動アシスト装置200は、第1外骨格部材の一部としての腰外骨格部材211と、第1外骨格部材の一部としての接続部材212と、第1歯車部材213と、ベルト部材217とを備えている。また、関節運動アシスト装置200は、第2外骨格部材としての大腿外骨格部材221と、第2歯車部材223と、ベルト部材227,228とを備えている。さらに、関節運動アシスト装置200は、第1連接部材としての第1アーム部材241と、第2連接部材としての第2アーム部材242と、アクチュエータ250と、調整部280と、配管291,292とを備えている。
【0083】
上記の腰外骨格部材211は、例えば、鋼鉄製の部材であり、XZ平面視で、クランク形状に成形加工されている。この腰外骨格部材211は、腰部が股関節から背部へと延びる方向に沿って、腰部の右側(−Y方向側)に配置され、布製のベルト部材217により腰部右側に固定される。
【0084】
上記の接続部材212は、上述した実施形態の接続部材112と同様に、XY平面視で、L字状に成形加工されたL字状部材と、U字状に成形加工された2つの挿入穴を有するU字状部材とから構成されている(図2参照)。そして、接続部材212は、腰外骨格部材211の−X方向側において、腰外骨格部材211に固定的に接続されるとともに、アクチュエータ250をU字形に取り囲み、2つの挿入穴を利用して、股関節の回動方向と略平行な方向で、アクチュエータ250を回動可能に係止する。
【0085】
上記の第1歯車部材213は、上述した実施形態の第1歯車部材113と同様に構成され、腰外骨格部材211の股関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。
【0086】
上記の大腿外骨格部材221は、例えば、長板状の鋼鉄製の部材である。この大腿外骨格部材221は、右大腿部が股関節から延びる方向に沿って、右大腿部の右側(−Y方向側)に配置され、布製のベルト部材227,228により右大腿部に固定される。
【0087】
上記の第2歯車部材223は、上述した実施形態の第2歯車部材123と同様に構成され、大腿外骨格部材221の股関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。ここで、第1歯車部材213及び第2歯車部材223の歯数比は、後述するピストンロッド253の往復運動の行程距離、第2アーム部材242の長さ等に基づいて、腰外骨格部材211と大腿外骨格部材221との交差角度が、股関節の好適な可動範囲となるように設定されている。
【0088】
上記の第1アーム部材241は、上述した実施形態の第1アーム部材141と同様に、2つの挿入穴が成形加工された平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配置される。この第1アーム部材241の一方の挿入穴には、第1歯車部材213の軸部材AX1が、第1アーム部材241が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入され、他方の挿入穴には、第2歯車部材223の軸部材AX2が回動可能に挿入される。
【0089】
上記の第2アーム部材242は、上述した実施形態の第2アーム部材142と同様に、2つの挿入穴が成形加工された平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配置される。この第2アーム部材242の一方の挿入穴には、第1歯車部材213の軸部材AX1が、第2アーム部材242が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、第2アーム部材242の他方の挿入穴には、アクチュエータ250を構成するピストンロッド253における下端部に設けられた突起部JTRが回動可能に挿入される。ここで、第2アーム部材242の長さは、股関節運動のアシストをするに際して、股関節にとって好適な回転角度及び好適なトルクとなるように設定されている。
【0090】
ここで、第1アーム部材241と第2アーム部材242とは固定されている。このため、第2歯車部材223とピストンロッド253における下端部とが、第1歯車部材213の中心軸の回りを回動可能となっている。
【0091】
上記のアクチュエータ250は、上述した実施形態のアクチュエータ150と同様に構成さている(図1、図4参照)。すなわち、アクチュエータ250は、シリンダ151と同様に構成されたシリンダ251と、直動ピストン152と同様に構成された直動ピストン252と、ピストンロッド153と同様に構成されたピストンロッド253とを備えている。なお、アクチュエータ250を接続部材212に回動可能に係止するための2つの突起部JTS1,JTS2は、本第1変形例では、シリンダ251の+Z方向側の外側円筒面に取り付けられている。
【0092】
上記の調整部280は、上述した実施形態の調整部180と同様に構成さている(図1、図5参照)。すなわち、調整部280は、加圧ポンプ181と同様に構成された加圧ポンプ、減圧ポンプ182と同様に構成された減圧ポンプと、電気−空気圧制御弁183と同様に構成された電気−空気圧制御弁、制御部184と同様に構成された制御部と、配管185,186と同様に構成された配管とを備えている。
【0093】
この調整部280は、配管291を介して、シリンダ251における第1シリンダ室SR1と連通している。また、調整部280は、配管292を介して第2シリンダ室SR2と連通している。そして、調整部280は、上述した実施形態の調整部180と同様に、第1及び第2シリンダ室SR1,SR2内の空気の供給/吸引の切り換え、及び、圧力調整を行うことで、直動ピストン252のプッシュ・プル制御を実行する。
【0094】
《動作》
以上のようにして構成された関節運動アシスト装置200の動作、すなわち、股関節の機構を利用する関節運動のアシスト動作に着目して説明する。
【0095】
なお、当初においては、図7及び図8(A)に示されるように、股関節は、伸展状態にあるものとする。また、図8(A),(B)に示される関節運動アシスト装置200では、調整部280、配管291,292、ベルト部材217,227,228、及び、人体の腰部、大腿部等の図示を省略している。
【0096】
股関節運動のアシスト動作は、股関節を伸展状態から屈曲状態にする際には、調整部280が、第1シリンダ室SR1への空気の供給を行うとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行う。この結果、シリンダ251内の直動ピストン252が、−Z方向へ摺動し(図4参照)、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が伸長するピストンロッド253の伸長行程となる。
【0097】
ピストンロッド253の伸長行程において、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が伸長したときの関節運動アシスト装置200の状態が、図8(B)に示されている。図8(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド253の伸長行程により、ピストンロッド253の下端部が、第1歯車部材213の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で反時計回りに回転する。このとき、接続部材212に股関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に取り付けられているシリンダ251は、突起部JTS1,JTS2を軸として、反時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド253の伸長行程前と伸長行程後とにおいて、シリンダ軸SAXの方向が、例えば、Z軸に対して時計回り方向にある状態(図8(A)参照)から、Z軸に対して反時計回り方向(図8(B)参照)に変化する。
【0098】
ピストンロッド253の下端部が、反時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1及び第2アーム部材241,242を介して、第2歯車部材223に、股関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材223に当該回動力が付与されると、第2歯車部材223における第1歯車部材213との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材223が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材213の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材223が自公転すると、第2歯車部材223に固定的に接続されている大腿外骨格部材221が、反時計回りに回転する。この結果、腰部に固定されている腰外骨格部材211と、大腿部に固定されている大腿外骨格部材221とが交差する角度が狭まり、股関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0099】
また、股関節が屈曲状態であるとき(図8(B)参照)に、股関節を屈曲状態から伸展状態にする際には、調整部280が、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給を行う。この結果、シリンダ251内の直動ピストン252が、+Z方向へ摺動し(図4参照)、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が収縮するピストンロッド253の収縮行程となる。
【0100】
ピストンロッド253の収縮行程において、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が収縮したときの関節運動アシスト装置200の状態が、図8(A)に示されている。図8(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド253の収縮行程により、ピストンロッド253の下端部が、第1歯車部材213の中心軸の回りを、時計回りに回転する。このとき、接続部材212に股関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に取り付けられているシリンダ251は、突起部JTS1,JTS2を軸として、時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド253の収縮行程前と収縮行程後とにおいて、シリンダ軸SAXの方向が、例えば、Z軸に対して反時計回り方向にある状態(図8(B)参照)から、Z軸に対して時計回り方向(図(A)参照)に変化する。
【0101】
こうしてピストンロッド253の下端部が、時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1及び第2アーム部材241,242を介して、第2歯車部材223に、股関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材223に当該回動力が付与されると、第2歯車部材223における第1歯車部材213との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材223が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材213の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材223が自公転すると、第2歯車部材223に固定的に接続されている大腿外骨格部材221が、時計回りに回転する。この結果、腰部に固定されている腰外骨格部材211と、大腿部に固定されている大腿外骨格部材221とが交差する角度が広がり、股関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0102】
したがって、股関節の運動をアシストする第1変形例によれば、構造がコンパクトであるとともに、股関節の関節運動を適切にアシストすることができる。
【0103】
<第2変形例>
次に、第2変形例に係る肘関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置について、図9を主に参照して説明する。
【0104】
《構成》
図9には、第2変形例に係る関節運動アシスト装置100Bの外観図が示されている。ここで、図9(A)には、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮しているときの状態が示され、図9(B)には、当該突出部分が伸長しているときの状態が示されている。
【0105】
図9(A),(B)に示されるように、関節運動アシスト装置100Bは、上述した実施形態の関節運動アシスト装置100(図1、図6(A),(B)参照)と比べて、シリンダ151が接続部材112に対して回動可能に取り付けられるのではなく、接続部材112に固定的に取り付けられている点、及び、第2アーム部材142に代えて第2アーム部材142Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して、説明を行う。
【0106】
なお、図9(A),(B)に示される関節運動アシスト装置100Bでは、図6(A),(B)と同様に、調整部180、配管191,192、ベルト部材117,118,127,128、及び、人体の腕部位等の図示を省略している。
【0107】
関節運動アシスト装置100Bでは、シリンダ151の円筒中心軸に対向するシリンダ151の+Y方向側面、−Y方向側面それぞれに、ネジ穴が形成加工されている。そして、シリンダ151は、接続部材112によりU字形に取り囲まれ、接続部材112の2つの挿入穴を利用して、ネジ部材SRS1,SRS2(ネジ部材SRS2については不図示)が当該ネジ穴に挿入される。
【0108】
上記の第2アーム部材142Bは、上述した実施形態の第2アーム部材142と同様に、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸と垂直となるように配設される。第2アーム部材142Bには、挿入穴及び収容部としての長穴LLが成形加工されている。第2アーム部材142Bの挿入穴には、第1歯車部材113の軸部材AX1が、第2アーム部材142Bが軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、第2アーム部材142の長穴LLには、ピストンロッド153における下端部に設けられた突起部JTRが長穴方向に沿って移動可能に挿入される。
【0109】
《動作》
以上のようにして構成された関節運動アシスト装置100Bの動作、すなわち、肘関節の機構を利用する関節運動のアシスト動作に着目して説明する。
【0110】
なお、当初においては、図9(A)に示されるように、肘関節は、伸展状態にあるものとする。
【0111】
肘関節運動のアシスト動作は、肘関節を伸展状態から屈曲状態にする際には、調整部180によるシリンダ室内の空気圧調整により、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分を伸長させる。ピストンロッド153の伸長行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長したときの関節運動アシスト装置100Bの状態が、図9(B)に示されている。図9(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の伸長行程により、ピストンロッド153の下端部が、−Z方向に直線運動する。
【0112】
こうしてピストンロッド153の下端部が、−Z方向に直線運動すると、当該下端部と第1歯車部材113との距離が変化しつつ、第2アーム部材142Bが、第1歯車部材113の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で反時計回りに回転する。このとき、第2アーム部材142Bの長穴に挿入されている突起部JTRの当該長穴における位置が変化するので、ピストンロッド153の下端部の−Z方向へ直線運動、及び、第2アーム部材142Bの回転を妨げることはない。
【0113】
第2アーム部材142Bが、反時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1アーム部材141を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、反時計回りに回転する。この結果、実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0114】
また、肘関節が屈曲状態であるとき(図9(B)参照)に、肘関節を屈曲状態から伸展状態にする際には、調整部180によるシリンダ室内の空気圧調整により、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分を収縮させる。
【0115】
ピストンロッド153の収縮行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮したときの関節運動アシスト装置100Bの状態が、図9(A)に示されている。図9(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の収縮行程により、ピストンロッド153の下端部が、+Z方向に直線運動する。
【0116】
こうしてピストンロッド153の下端部が、+Z方向に直線運動すると、当該下端部と第1歯車部材113との距離が変化しつつ、第2アーム部材142Bが、第1歯車部材113の中心軸の回りを、時計回りに回転する。このとき、第2アーム部材142Bの長穴におけるピストンロッド153の下端部の位置が変化するので、ピストンロッド153の下端部の+Z方向へ直線運動、及び、第2アーム部材142Bの回転を妨げることはない。
【0117】
第2アーム部材142Bが、時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1アーム部材141を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、時計回りに回転する。この結果、実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が広がり、肘関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0118】
したがって、肘関節の運動をアシストする第2変形例によれば、構造がコンパクトであるとともに、肘関節の関節運動を適切にアシストすることができる。
【0119】
なお、上記の実施形態及び第2変形例では、人体の右肘関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置を説明したが、左肘関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置であってもよいことは勿論である。また、上記の第1変形例では、人体の右側股関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置を説明したが、左側股関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置であってもよいことも勿論である。
【0120】
また、実施形態に対する第1変形例への変形、すなわち、股関節の運動アシストへの採用を、第2変形例に適用することができるのは勿論である。
【0121】
また、肘関節や股関節以外の例えば膝関節等の運動をアシストするに際して、本発明の関節運動アシスト装置を適用することができるのは勿論である。
【0122】
上記の実施形態、第1及び第2変形例では、第1歯車部材及び第2歯車部材を、円柱形状の外周部に歯部が形成された外歯車とした。これに対して、図10(A)のY方向視図及び図10(B)のX方向視図により総合的に示されるように、軸部材AX1を中心軸とする有底円筒形状の部材の内周部に歯部が形成された内歯車を第1歯車部材113Cとし、軸部材AX2を中心軸とする円柱形状の部材の外周部に歯部が形成された外歯車を第2歯車部材123Cとするようにしてもよい。
【0123】
第1歯車部材113Cは、+Y方向側に底面を有しており、当該底面に軸部材AX1が取り付けられている。そして、第1歯車部材113Cは、上腕外骨格部材111の肘関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。また、第2歯車部材123Cは、前腕外骨格部材121の肘関節側端部の+Y方向側に固定的に接続されている。
【0124】
この場合には、第1歯車部材及び第2歯車部材が外歯車である場合と異なり、ピストンロッド153の収縮行程の際には、2つの外骨格部材が交差する角度が狭まり、関節は伸展状態から屈曲状態になる。また、ピストンロッド153の伸長行程の際には、2つの外骨格部材が交差する角度が広がり、関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0125】
また、第1歯車部材及び第2歯車部材として、図11(A),(B)に示されるように、軸部材AX1を中心軸とする楕円柱形状の部材の外周部に歯部が形成された外歯車を第1歯車部材113Dとし、軸部材AX2を中心軸とする楕円柱形状の部材の外周部に歯部が形成された外歯車を第2歯車部材123Dとするようにしてもよい。ここで、図11(A)には、シリンダからのピストンロッド153の突出部分が収縮しているときの状態が示され、図11(B)には、当該突出部分が伸長しているときの状態が示されている。
【0126】
この場合には、第2歯車部材123Dが、第1歯車部材113Dの回りを回転する際に、軸部材AX1,AX2間の距離が変化する。このため、当該距離の変化に対応した図11に示される構造のバネ部材SPを有する第1アーム部材141Dを採用するようにすることができる。第1アーム部材141Dは、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように第1及び第2歯車部材113D,123Dの−Y方向側に配置されている。この第1アーム部材141Dには、軸挿入穴と長穴LHとが形成加工されている。そして、軸挿入穴には、第1歯車部材113Dの軸部材AX1が、第1アーム部材141Dが軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、長穴LHには、第2歯車部材123Dの軸部材AX2が長穴方向に沿って移動可能に挿入される。
【0127】
そして、本変形例では、バネ部材SPの一方の端部にはリングが取り付けられ、当該リングには、軸部材AX1が回動可能に挿入される。また、バネ部材SPの他方の端部にもリングが取り付けられ、当該リングに軸部材AX2が回動可能に挿入される。この結果、軸部材AX1,AX2間の距離が変化した際にも、軸部材AX2が長穴LHの長さ方向に移動可能であるため、第1歯車部材113Dと第2歯車部材123Dとの噛合を確保することができる。
【0128】
ここで、本変形例では、第1アーム部材141Dは、第1及び第2歯車部材113D,123Dの−Y方向側に配置されるようにしたが、第1アーム部材141Dと同様に構成された第1アーム部材を、第1及び第2歯車部材113D,123Dの+Y方向側にも配置し、第1及び第2歯車部材113D,123Dそれぞれを貫く軸部材AX1及び軸部材AX2を、−Y方向側及び+Y方向側に配置された2つの第1アーム部材の軸挿入穴それぞれ及び長穴LHそれぞれに挿入するようにしてもよい。この場合には、第2アーム部材142と同様に構成された第2アーム部材を、第1歯車部材113Dの+Y方向側にも配置するとともに、ピストンロッド153における下端部の+Y方向側にも突起部JTR’を取り付ける(図12参照)。そして、第1歯車部材113Dを貫く軸部材AX1を、−Y方向側及び+Y方向側に配置された2つの第2アーム部材の一方の挿入穴それぞれに回動可能に挿入する。また、ピストンロッド153の−Y方向側に設けられた突起部JTR及び+Y方向側に設けられた突起部JTR’を、−Y方向側及び+Y方向側に配置された2つの第2アーム部材の他方の挿入穴それぞれに回動可能に挿入する。
【0129】
また、上述した第1及び第2アーム部材を、第1及び第2歯車部材の−Y方向側及び+Y方向側に配置する構成を、第2変形例に適用することもできる。
【0130】
なお、軸部材AX1,AX2間の距離の変化に対応するために、第1アーム部材と第2アーム部材とを一体にし、当該一体となった部材に、軸部材AX1を挿入するための軸挿入穴と、軸部材AX2を挿入するための長穴LHと、ピストンロッド153に設けられた突起部JTRを挿入するための挿入穴を形成加工する。そして、バネ部材SPにより、軸部材AX1と軸部材AX2とを、弾性的に付勢するようにしてもよい。また、軸部材AX1と軸部材AX2とを弾性的に付勢するには、バネ部材SPに代えて、ゴム部材等の他の弾性部材を採用してもよいことは勿論である。
【0131】
また、上記の実施形態及び変形例では、第1歯車部材及び第2歯車部材の外周部全体又は内周部全体に歯部が形成されることとしたが、関節の可動範囲に対応して、歯部を歯車部材の外周部の一部又は内周部の一部に形成するようにしてもよい。また、第1歯車部材のピッチ円半径と第2歯車部材のピッチ円半径とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0132】
なお、第1歯車部材及び第2歯車部材の形状は、これらに限定されず、円柱形状、円筒形状、楕円柱形状以外の形状をした外歯車や内歯車であってもよい。また、第1歯車部材及び第2歯車部材の歯すじは、平歯車であってもよいし、例えば、歯すじが回動軸に対して斜めとなっているはすば歯車であってもよい。
【0133】
また、上記の実施形態及び変形例では、第1及び第2歯車部材を鋼鉄製としたが、当該部材の素材を、例えば、ガラス繊維や炭素繊維を含む繊維強化プラスチック等の軽量かつ強度のある素材であってもよいことは勿論である。
【0134】
また、上記の実施形態及び変形例では、第1及び第2アーム部材、上腕外骨格部材、前腕外骨格部材、腰外骨格部材、大腿外骨格部材、並びに、接続部材を鋼鉄製としたが、当該部材の素材を、例えば、ガラス繊維や炭素繊維を含む繊維強化プラスチック、天然素材である竹等の軽量かつ強度のある素材であってもよいことは勿論である。
【0135】
また、上記の実施形態及び変形例では、連接部材として第1アーム部材と第2アーム部材とを備えることとしたが、当該第1アーム部材と第2アーム部材とを一体にした連接部材を採用するようにしてもよい。
【0136】
また、上記の実施形態及び変形例では、関節運動アシスト装置を人体の部位に装着するために、布製のベルト部材を利用したが、金属ベルト、プラスチックベルト、又は、針金を利用して、関節運動アシスト装置を人体の部位に装着するようにしてもよい。
【0137】
また、上記の実施形態及び変形例では、調整部は、加圧ポンプ、減圧ポンプ、電気−空気圧制御弁、制御部等を備える構成としたが(図4参照)、他の構成であってもよい。例えば、ロータリベーン型のエアポンプと、制御部等と備える構成とすることができる。この場合には、制御部による制御のもとで、エアポンプが、シリンダ室への空気の供給、及び、シリンダ室からの空気の吸引を行うことになる。
【0138】
また、調整部の構成としては、シリンダ室への空気の供給、及び、シリンダ室からの空気の吸引を行うことのできる手動式のものであってもよい。また、調整部は、直動ピストンにより仕切られた一方のシリンダ室への空気の供給を行い、他方のシリンダ室内の空気を外気に排出することにより、両シリンダ室の差圧を制御するものであってもよい。
【0139】
また、上記の実施形態では、関節を駆動する筋肉に関する生体情報を、筋電図、筋肉の硬さ等の生体信号としたが、利用者の脳波を当該生体情報として採用するようにしてもよい。
【0140】
また、本発明の関節運動アシスト装置は、作動流体を空気としたが、水や油等の液体であってもよい。
【0141】
本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野で利用する場合には、介護者がパワーアシスト用の装置として装着するだけでなく、力が弱っている被介護者がパワーアシスト用又はリハビリテーション用の装置としても利用することができる。また、本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野以外で重量物を持ち上げる等の場合のパワーアシスト装置としても利用することができる。
【0142】
また、上記の実施形態においては、人体の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置に本発明を適用したが、関節機構を有する人体以外の外骨格形の哺乳類、外骨格形のロボット等の所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本発明の関節運動アシスト装置は、所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0144】
100,100B,200…関節運動アシスト装置、111…上腕外骨格部材(第1外骨格部材の一部)、112…接続部材(第1外骨格部材の一部)、112L…L字状部材、112U…U字状部材、113,113C,113D…第1歯車部材、117,118…ベルト部材、121…前腕外骨格部材(第2外骨格部材)、1211…長板状外骨格部材、1212…前腕保持部材、123,123C,123D…第2歯車部材、127,128…ベルト部材、141,141D…第1アーム部材(第1連接部材)、142,142B…第2アーム部材(第2連接部材)、150…アクチュエータ、151…シリンダ、152…直動ピストン、153…ピストンロッド、180…調整部、181…加圧ポンプ、182…減圧ポンプ、183…電気−空気圧制御弁、184…制御部、185,186…配管、191,192…配管、211…腰外骨格部材(第1外骨格部材の一部)、212…接続部材(第1外骨格部材の一部)、213…第1歯車部材、217…ベルト部材、221…大腿外骨格部材(第2外骨格部材)、223…第2歯車部材、227,228…ベルト部材、241…第1アーム部材(第1連接部材)、242…第2アーム部材(第2連接部材)、250…アクチュエータ、251…シリンダ、252…直動ピストン、253…ピストンロッド、280…調整部、291,292…配管、AX1,AX2…軸部材、JTS1,JTS2,JTR,JTR’…突起部、LH…長穴、LL…長穴(収容部)、PT1…第1給排気ポート、PT2…第2給排気ポート、SP…バネ部材、SR1…第1シリンダ室、SR2…第2シリンダ室、SRS1…ネジ部材、ST1,ST2…ストッパ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節運動アシスト装置に係り、より詳しくは、所定対象物の関節運動をアシストする外骨格形の関節運動アシスト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、要介護者・要看護者の介護・看護に用いられる様々な装置が提案されている。こうした装置の中には、介護者が、身体の自由が効かない寝たきりの高齢者等の被介護者を抱き起したり、抱き下ろしたり、あるいは移動させるための介護用の筋力補助装置がある。
【0003】
かかる筋力補助装置の一つとして、空気圧によって駆動するアクチュエータを用いたものがある(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。この従来例の技術では、一端部を中心に相互に揺動自在に連結された2つの板材、及び、当該2つの板材の間に配置され内部に供給される空気により膨張する袋体からなるアクチュエータ要素を重ねた大型の空気圧アクチュエータを人体における所定箇所に装着した装着部に取り付ける。そして、空気圧アクチュエータにおける袋体を膨張させて、肘関節、股関節及び膝関節の運動を補助するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−51289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例の技術では、空気圧アクチュエータにおける袋体内への空気の供給を行う際には関節運動をアシストするが、袋体からの空気の吸引によっては関節運動をアシストする力を発生させていない。このように袋体内への空気の供給を行うときのみに当該力が発生するため、特に、股関節運動のアシストは、空気圧アクチュエータへの空気供給による袋体の膨張を、リンク機構によって股関節の伸展力に変換することによって行っている。その結果、装置自体は大規模なものとなっている。このため、装置の介護者への装着が容易ではなく、また、当該装置を装着した介護者の身体的自由を制限してしまう可能性がある。
【0006】
このように、従来例の技術では、関節の屈曲運動又は伸展運動のいずれか一方のみしかアシストすることができず、筋力補助装置としての機能が限定的なものとなっている。また、従来例の技術では、装置が大規模なものとなっている。このため、関節運動をアシストするに際して、装着が容易であり、かつ、装着者の身体的自由を確保しつつ、所望する関節の屈曲運動及び伸展運動をアシストすることができる技術が待望されている。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、構造がコンパクトであるとともに、関節運動を適切にアシストすることができる関節運動アシスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、骨格構造を有する所定対象物に装着し、前記所定対象物の一方側部位と他方側部位とを接続している関節の機構を利用する関節運動をアシストする外骨格形の関節運動アシスト装置であって、前記一方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記一方側部位に固定される第1外骨格部材と;前記他方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記他方側部位に固定される第2外骨格部材と;前記第1外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1外骨格部材の前記一方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部及び内周部の一方の少なくとも一部に、歯部が形成された第1歯車部材と;前記第2外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1歯車部材と噛合可能な歯部が、前記第2外骨格部材の前記他方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部の少なくとも一部に形成された第2歯車部材と;前記第1外骨格部材に取り付けられたシリンダと;前記シリンダ内を往復運動する直動ピストンに一方の端部が連結され、前記シリンダの一方の端部を貫通し、前記直動ピストンとともに往復直線運動するピストンロッドと;前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保するとともに、前記第2歯車部材が、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを連接する連接部材と;を備え、前記直動ピストンの行程により、前記ピストンロッド及び前記連接部材を介して、前記第2歯車部材に、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動する回動力が付与され、前記第2歯車部材が、前記第1歯車部材との噛み合い位置が変化することにより、自転しつつ、前記第1歯車部材の中心軸を中心として公転することで、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が変化し、前記関節の運動をアシストする、ことを特徴とする関節運動アシスト装置である。
【0009】
この関節運動アシスト装置では、所定対象物に当該装置が装着された場合に、第1外骨格部材に固定的に接続された第1歯車部材の中心軸、及び、当該第1歯車部材と噛合する第2外骨格部材に固定的に接続された第2歯車部材の中心軸が、アシスト対象関節の回動運動の回動軸と略平行となっている。そして、シリンダ内の直動ピストンの行程により、ピストンロッド及び連接部材を介して、第2歯車部材に、関節の回動方向と略平行な方向で回動するための回動力が付与される。第2歯車部材に当該回動力が付与されると、第2歯車部材における第1歯車部材との噛み合い位置が変化し、第2歯車部材が、自転しつつ、第1歯車部材の中心軸を中心として公転する。このようにして第2歯車部材が自公転すると、第2歯車部材に固定的に接続されている第2外骨格部材が、第1歯車部材の中心軸を中心として公転するとともに、第2歯車部材の中心軸を中心として自転する。この結果、第1及び第2歯車部材における歯部の歯数に応じて、所定対象物の一方側部位が固定された第1外骨格部材と、他方側部位が固定された第2外骨格部材とが交差する角度が変化し、受動的に、一方側部位と他方側部位とを接続している関節の運動がアシストされる。
【0010】
したがって、本発明の関節運動アシスト装置によれば、構造がコンパクトであるとともに、直動ピストンの行程を適切に制御することにより、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0011】
ここで、「所定対象物」は、人体であってもよいし、骨格構造を有する人体以外の対象物であってもよい。
【0012】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記シリンダは、前記関節の回動方向と略平行な方向で、前記第1外骨格部材に回動可能に取り付けられ、前記連接部材は、前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第2歯車部材とが、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する、ようにすることができる。
【0013】
この場合には、シリンダ内の直動ピストンの行程の際に、ピストンロッドにおける直動ピストンに連結されていない他方の端部と第1歯車部材との距離が一定となるように、シリンダが第1外骨格部材に対して揺動する。こうした構成を採用することで、直動ピストンの行程により、ピストンロッドにおける他方の端部が、第1歯車部材の中心軸の回りを回動する。そして、当該回動により、連接部材を介して、第2歯車部材に、関節の回動方向と略平行な方向で回動するための回動力が付与される。こうして第2歯車部材に当該回動力が付与されると、第2歯車部材における第1歯車部材との噛み合い位置が変化し、第2歯車部材が、自転しつつ、第1歯車部材の中心軸の回りを公転する。このため、直動ピストンの行程により、第2歯車部材に、第1歯車部材の中心軸の回りを回動するための回動力を付与することができる。この結果、直動ピストンの行程を適切に制御することにより、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0014】
ここで、シリンダが第1外骨格部材に対して揺動する構成を採用した場合に、前記連接部材は、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記ピストンロッドにおける他方の端部を前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する第2連接部材と;を備える、構成とすることができる。
【0015】
このように、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、直動ピストンの行程により、ピストンロッドにおける他方の端部に連接されている第2連接部材に動力が伝達され、当該動力が第1連接部材に伝達される。そして、第2歯車部材が、第1歯車部材の中心軸の回りを回動する。この場合には、連接部材が第1及び第2連接部材の2つの部材から構成されるため、個々に第1及び第2連接部材を製作することができる。また、この場合には、第2連接部材の長さを変えることで、関節運動をアシストする際の回転角度の変化率やトルクを調整することができる。
【0016】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記シリンダは、前記第1外骨格部材に固定的に取り付けられ、前記連接部材は、前記直動ピストンの行程に伴う前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、前記ピストンロッドにおける他方の端部を収容する収容部を有する、ようにすることができる。ここで、前記収容部は、前記ピストンロッドにおける他方の端部から前記第1歯車部材の中心部へ向う方向に沿って延びて形成された長穴である、ようにすることができる。
【0017】
この場合には、シリンダが第1外骨格部材に固定的に取り付けられているため、シリンダ内の直動ピストンの行程、すなわち、ピストンロッドの往復直線運動の際に、ピストンロッドにおける他方の端部と第1歯車部材との距離が変化することになる。かかる距離変化が発生しても、ピストンロッドの往復運動が可能であり、第2歯車部材が自公転可能とするように、連接部材の収容部は、ピストンロッドにおける他方の端部と第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、ピストンロッドにおける他方の端部を収容するようになっている。こうした構成を採用することで、ピストンロッドの往復直線運動が、連接部材を介して、関節の回動方向と略平行な方向で第2歯車部材が回動する回動運動に変換され、回動力が生じる。こうして第2歯車部材に当該回動力が付与されると、第2歯車部材における第1歯車部材との噛み合い位置が変化し、第2歯車部材が、自転しつつ、第1歯車部材の中心軸の回りを公転する。このため、直動ピストンの行程により、第2歯車部材に、第1歯車部材の中心軸の回りを回動するための回動力を付与することができる。この結果、直動ピストンの行程を適切に制御することにより、関節運動を適切にアシストすることができる。
【0018】
ここで、シリンダが第1外骨格部材に対して固定的に取り付けられる構成を採用した場合に、前記連接部材は、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記収容部を有する第2連接部材と;を備える、構成とすることができる。
【0019】
このように、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、ピストンロッドにおける他方の端部と第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、ピストンロッドにおける他方の端部を収容する収容部は、第2連接部材に設けられることになる。そして、直動ピストンの行程によるピストンロッドにおける他方の端部の運動が、第1連接部材に伝達される。そして、第2歯車部材が、第1歯車部材の中心軸の回りを回動する。この場合には、連接部材が第1及び第2連接部材の2つの部材から構成されるため、個々に第1及び第2連接部材を製作することができる。また、この場合には、第2連接部材の長さを変えることで、関節運動をアシストする際の回転角度の変化率やトルクを調整することができる。
【0020】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室のそれぞれの作動流体圧を調整する調整部を更に備える、構成とすることができる。この場合には、調整部が直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室内の作動流体圧を調整するため、屈曲、伸展の双方についての関節運動をアシストすることができる。
【0021】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記所定対象物が、筋力による関節運動を行う生体であり、前記関節を駆動する筋力に関する生体情報を検出する検出部を更に備え、前記調整部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記シリンダ内の作動流体圧を調整する、ようにすることができる。この場合には、関節を駆動する筋力に関する生体情報に基づいて、筋力の発揮力等を導出し、当該導出結果に基づいて、直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室内の作動流体圧を調整することができる。ここで、生体情報としては、筋電図、筋肉硬さ、又は、脳波等を採用することができる。
【0022】
本発明の関節運動アシスト装置では、前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な円柱形状であり、前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、ようにすることができる。
【0023】
このように、第1歯車部材及び第2歯車部材が、円柱形状の外歯車である場合には、ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の伸長行程及び収縮行程の際に、2つの歯車部材の中心軸間の距離が一定である。このため、第1歯車部材と第2歯車部材との噛合の確保に際して、簡単な構成の連接部材を採用することができる。なお、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、第1連接部材として、例えば、第1歯車部材及び第2歯車部材の中心軸を回動可能に挿入するアーム部材を採用することができる。
【0024】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な楕円柱形状であり、前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、ようにすることができる。
【0025】
このように、第1歯車部材及び第2歯車部材が、楕円柱形状の外歯車である場合には、ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の伸長行程及び収縮行程の際に、2つの歯車部材の中心軸間の距離が変化する。このため、屈曲運動又は伸展運動に伴う関節の回動運動の回動軸の自由度に対応した関節運動をアシストすることができる。なお、第1歯車部材と第2歯車部材との噛合の確保に際しては、中心軸間の距離の変化に対応できる構成の連接部材を採用するようにすればよい。また、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、第1連接部材として、例えば、第1歯車部材の中心軸と第2歯車部材の中心軸とを弾性的に付勢し、当該中心軸間の距離の変化に対応した構成を採用することができる。
【0026】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、それぞれ、互いの軸が平行な円筒形状及び円柱形状であり、前記第1歯車部材の歯部は、前記内周部に形成され、前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の収縮行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記ピストンロッドの伸長行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、ようにすることができる。
【0027】
このように、第1歯車部材が円筒形状の内歯車であり、第2歯車部材が円柱形状の外歯車である場合には、ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の収縮行程及び伸長行程の際に、2つの歯車部材の中心軸間の距離が一定である。このため、第1歯車が円柱形状の外歯車である場合と同様に、第1歯車部材と第2歯車部材との噛合の確保に際して、簡単な構成の連接部材を採用することができる。なお、連接部材が第1連接部材と第2連接部材とを備える構成を採用する場合には、第1連接部材として、例えば、第1歯車部材及び第2歯車部材の中心軸を回動可能に挿入するアーム部材を採用することができる。
【0028】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記所定対象物の関節は、肘関節であり、前記第1外骨格部材は上腕部に固定され、前記第2外骨格部材は前腕部に固定される、ようにすることができる。この場合には、所定対象物の肘関節の運動をアシストすることができる。
【0029】
また、本発明の関節運動アシスト装置では、前記所定対象物の関節は、股関節であり、前記第1外骨格部材は腰部に固定され、前記第2外骨格部材は大腿部に固定される、ようにすることができる。この場合には、所定対象物の股関節の運動をアシストすることができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明の関節運動アシスト装置によれば、構造がコンパクトであるとともに、関節運動を適切にアシストすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態である肘関節の関節運動アシスト装置の外観図である。
【図2】図1の接続部材の構造を説明するための平面視図である。
【図3】図1の前腕外骨格部材の構造を説明するための平面視図である。
【図4】図1のアクチュエータの構造を説明するためのXZ断面図である。
【図5】図1の調整部の構成を説明するための図である。
【図6】ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の収縮時及び伸長時の図1の関節運動アシスト装置の状態を説明するための図である。
【図7】第1変形例である股関節の関節運動アシスト装置の外観図である。
【図8】ピストンロッドにおけるシリンダからの突出部分の収縮時及び伸長時の図7の関節運動アシスト装置の状態を説明するための図である。
【図9】第2変形例である肘関節の関節運動アシスト装置において、シリンダからのピストンロッドの突出部分が収縮したとき及び伸長したときの状態を説明するための図である。
【図10】歯車部材の変形例(その1)を説明するための図である。
【図11】歯車部材の変形例(その2)を説明するための図である。
【図12】図11に対応するアクチュエータの構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。なお、本実施形態においては、所定対象物としての人体の右腕の肘関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置を例示して説明する。また、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
[構成]
図1には、一実施形態に係る関節運動アシスト装置100の外観図が示されている。この図1は、人体の腕に装着された関節運動アシスト装置100を、肘関節が伸展状態にあるときの人体の右側から眺めた外観図(XZ平面視図)である。
【0034】
ここで、図1における座標系(X,Y,Z)は、関節運動アシスト装置100が人体に装着された場合に、人体の正面方向を+X方向、人体の右側から左側へと向かう方向を+Y方向、上腕部が肘関節から延びる方向を+Z方向とする座標系である。このため、当該座標系(X,Y,Z)では、Y軸方向と肘関節の回動運動の回動軸方向とが略平行となっている。
【0035】
図1に示されるように、関節運動アシスト装置100は、第1外骨格部材の一部としての上腕外骨格部材111と、第1外骨格部材の一部としての接続部材112と、第1歯車部材113と、ベルト部材117,118とを備えている。また、関節運動アシスト装置100は、第2外骨格部材としての前腕外骨格部材121と、第2歯車部材123と、ベルト部材127,128とを備えている。さらに、関節運動アシスト装置100は、第1連接部材としての第1アーム部材141と、第2連接部材としての第2アーム部材142と、アクチュエータ150と、調整部180と、配管191,192とを備えている。
【0036】
上記の上腕外骨格部材111は、例えば、長板状の鋼鉄製の部材である。この上腕外骨格部材111は、右上腕部が肘関節から延びる方向に沿って、右上腕部の右側(−Y方向側)に配置され、布製のベルト部材117,118により右上腕部に固定される。
【0037】
上記の接続部材112は、例えば、鋼鉄製の部材であり、図2に示されるように、XY平面視で、L字状に成形加工されたL字状部材112Lと、U字状に成形加工されたU字状部材112Uとから構成されている。そして、L字状部材112LとU字状部材112Uとを不図示のネジ止め等で固定することで、接続部材112が形成されるようになっている。ここで、図2では、アクチュエータ150のシリンダ軸がZ軸と平行となっている場合の状態が示されている。
【0038】
上記のL字状部材112Lは、上腕外骨格部材111の−X方向側において、上腕外骨格部材111に固定的に接続されている。また、上記のU字状部材112UにおけるY方向に垂直な2つの平板部には、それぞれ、アクチュエータ150(より詳しくは、後述するシリンダ151)を係止するための挿入穴が成形加工されている。そして、U字状部材112Uは、アクチュエータ150をU字形に取り囲み、2つの挿入穴を利用して後述するシリンダ151に着脱可能に取り付けられる突起部JTS1,JTS2を挿入し、肘関節の回動方向と略平行な方向で、アクチュエータ150を回動可能に係止している。
【0039】
図1に戻り、上記の第1歯車部材113は、本実施形態では、軸部材AX1を中心軸とする円柱形状の鋼鉄製の部材である。第1歯車部材113は、上腕外骨格部材111の肘関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。そして、第1歯車部材113の外周部には、歯すじが軸に平行な歯部が形成されている。ここで、軸部材AX1の軸方向は、肘関節の回動運動の回動軸と略平行となるY軸方向と平行になっている。
【0040】
上記の前腕外骨格部材121は、例えば、鋼鉄製の部材であり、図3(A),(B)により総合的に示されるように、長板状の長板状外骨格部材1211と、前腕保持部材1212とから構成されている。そして、長板状外骨格部材1211と前腕保持部材1212とを不図示のネジ止め等で固定することで、前腕外骨格部材121が形成されるようになっている。ここで、図3における座標系(U,Y,W)は、右前腕部が肘関節から延びる方向を+U方向、人体の右側から左側へと向かう方向を+Y方向、右前腕部の内側へ向かうU軸と垂直な方向を+W方向とする座標系である。そして、図3(A)には、前腕外骨格部材121のU方向視図が示され、図3(B)には、前腕外骨格部材121のW方向視図が示されている。
【0041】
上記の長板状外骨格部材1211は、右前腕部が肘関節から延びる方向に沿って、右前腕部の右側(−Y方向側)に配置される。また、上記の前腕保持部材1212は、右前腕部を下方側(−W方向側)から保持する。そして、前腕外骨格部材121は、布製のベルト部材127,128により右前腕部に固定される(図1参照)。
【0042】
図1に戻り、上記の第2歯車部材123は、本実施形態では、上述した第1歯車部材113と同様に、軸部材AX2を中心軸とする円柱形状の鋼鉄製の部材である。第2歯車部材123は、前腕外骨格部材121の肘関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。そして、第2歯車部材123の外周部には、第1歯車部材113と噛合する歯すじが軸に平行な歯部が形成されている。
【0043】
ここで、軸部材AX2の軸方向は、軸部材AX1の軸方向と平行になっている。また、第1歯車部材113及び第2歯車部材123の歯数比は、後述するピストンロッド153の往復運動の行程距離、第2アーム部材142の長さ等に基づいて、上腕外骨格部材111と前腕外骨格部材121との交差角度が、肘関節の好適な可動範囲となるように設定されている。また、第1歯車部材113及び第2歯車部材123の歯数比は、関節運動をアシストするに際して、アシストされた結果として行われる関節運動が、関節運動アシスト装置100が装着された人にとって滑らかに感じられる関節運動となるようにも調整されている。
【0044】
上記の第1アーム部材141は、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配設される。第1アーム部材141には、第1歯車部材113と第2歯車部材123との噛合を確保するための2つの挿入穴が成形加工されている。ここで、当該2つの挿入穴間の距離は、第1歯車部材113のピッチ円半径及び第2歯車部材123のピッチ円半径の和と等しくなっている。第1アーム部材141の一方の挿入穴には、第1歯車部材113の軸部材AX1が、第1アーム部材141が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入され、他方の挿入穴には、第2歯車部材123の軸部材AX2が回動可能に挿入される。
【0045】
上記の第2アーム部材142は、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配設される。第2アーム部材142には、2つの挿入穴が成形加工されている。第2アーム部材142の一方の挿入穴には、第1歯車部材113の軸部材AX1が、第2アーム部材142が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、第2アーム部材142の他方の挿入穴には、アクチュエータ150を構成する後述するピストンロッド153における下端部に設けられた突起部JTRが回動可能に挿入される。ここで、第2アーム部材142の長さは、肘関節運動のアシストをするに際して、肘関節にとって好適な回転角度及び好適なトルクとなるように設定されている。
【0046】
ここで、第1アーム部材141と第2アーム部材142とは固定されている。このため、第2歯車部材123とピストンロッド153における下端部とが、第1歯車部材113の中心軸の回りを回動可能となっている。
【0047】
上記のアクチュエータ150は、図1及び図4により総合的に示されるように、シリンダ151と、直動ピストン152と、ピストンロッド153とを備えている。ここで、図4には、シリンダ軸がZ軸と平行になっているときのアクチュエータ150のYZ断面図が示されている。
【0048】
上記のシリンダ151は、例えば、円筒状の部材であり、シリンダ151の長さ方向の両端部は閉塞されており、−Z方向側の一方の端部をピストンロッド153が貫通している。また、シリンダ151の−Z方向側の外側円筒面には、2つの突起部JTS1,JTS2が、Y軸と平行であり、かつ、円筒中心軸に対向する+Y方向側面、−Y方向側面に取り付けられている。そして、突起部JTS1,JTS2が、上述した接続部材112に形成加工された2つの挿入穴に挿入されることにより、シリンダ151が、肘関節の回動方向と略平行な方向で、上腕外骨格部材111に固定的に接続されている接続部材112に回動可能に取り付けられる。
【0049】
また、シリンダ151には、シリンダ151内への空気の供給、及び、シリンダ151内からの空気の吸引を行うための第1給排気ポートPT1と第2給排気ポートPT2とが設けられている。ここで、第1給排気ポートPT1は配管191と接続され、第2給排気ポートPT2は、配管192と接続されている。また、シリンダ151内には、直動ピストン152の摺動範囲を規制するためのストッパST1,ST2が取り付けられる。このため、直動ピストン152は、ST1〜ST2の間で摺動可能となっている。
【0050】
上記の直動ピストン152は、例えば、円柱形状の部材であり、直動ピストン152の外径は、シリンダ151の内径と略等しくなっている。直動ピストン152の外周部には、環状の弾性シール部材が取り付けられており、直動ピストン152は、シリンダ151内に対して往復摺動自在に嵌め込まれている。
【0051】
こうして直動ピストン152がシリンダ151内に嵌め込まれることで、シリンダ151の内部空間は、第1シリンダ室SR1と第2シリンダ室SR2とに仕切られている。ここで、第1シリンダ室SR1には、上述した第1給排気ポートPT1が設けられている。また、第2シリンダ室SR2には、上述した第2給排気ポートPT2が設けられている。
【0052】
上記のピストンロッド153は、例えば、円柱形状の部材であり、ピストンロッド153の外径は、シリンダ151の外径より小さくなっている。ピストンロッド153における一方の端部は、直動ピストン152の往復運動方向の一端部に連結されており、ピストンロッド153は、シリンダ151を貫通している。また、ピストンロッド153における他方の端部の−Y方向側には、第2アーム部材142の他方の挿入穴に挿入される突起部JTRが、取り付けられている。
【0053】
上記の調整部180は、配管191を介して、シリンダ151における第1シリンダ室SR1と連通している。また、調整部180は、配管192を介して第2シリンダ室SR2と連通している。そして、調整部180は、配管191を通じて、第1シリンダ室SR1への空気の供給、及び、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、配管192を通じて、第2シリンダ室SR2への空気の供給、及び、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行うことで、シリンダ151内における直動ピストン152の行程を調整する。
【0054】
かかる機能を有する調整部180は、図5に示されるように、加圧ポンプ181と、減圧ポンプ182と、電気−空気圧制御弁183と、制御部184と、配管185,186とを備えている。
【0055】
上記の加圧ポンプ181は、配管185を介して、電気−空気圧制御弁183の一方の入口側と接続されている。この加圧ポンプ181は、シリンダ151内への空気の供給を行う際に利用される。上記の減圧ポンプ182は、配管186を介して、電気−空気圧制御弁183の他方の入口側と接続されている。この減圧ポンプ182は、シリンダ151内からの空気の吸引を行う際に、利用される。
【0056】
上記の電気−空気圧制御弁183は、流路切換4方向弁と、圧力制御弁(比例ソレノイド)とを備えて構成されている。この流路切換4方向弁の入口側の一方が加圧ポンプ181に接続されているとともに、入口側の他方が減圧ポンプ182に接続されている。
【0057】
そして、流路切換4方向弁は、制御部184による制御のもとで、第1シリンダ室SR1への空気の供給を行うとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行う際には、加圧ポンプ181と接続されている配管185と、配管191とを接続して流路を形成するとともに、減圧ポンプ182と接続されている配管186と、配管192とを接続して流路を形成する。また、流路切換4方向弁は、制御部184による制御のもとで、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給を行う際には、減圧ポンプ182と接続されている配管186と、配管191とを接続して流路を形成するとともに、加圧ポンプ181と接続されている配管185と、配管192とを接続して流路を形成する。
【0058】
また、圧力制御弁は、制御部184による制御のもとで、配管191及び配管192の空気圧力を制御し、シリンダ151における第1シリンダ室SR1内の空気圧力と第2シリンダ室SR2内の空気圧力との差圧を変化させる。
【0059】
上記の制御部184は、第1及び第2シリンダ室SR1,SR2内の空気の供給/吸引の切り換え、及び、圧力調整を行うことで、直動ピストン152のプッシュ・プル制御を実行する。かかる制御は、実験、シミュレーション、経験等を加味した関節を駆動する筋力に関する生体情報に基づいて行われるようになっている。ここで、関節を駆動する筋力に関する生体情報は、不図示の検出部が、筋電図、筋肉の硬さ等を検出することで、取得するようにすることができる。
【0060】
[動作]
以上のようにして構成された関節運動アシスト装置100の動作、すなわち、肘関節の機構を利用する関節運動のアシスト動作を説明する。
【0061】
なお、関節運動アシスト装置100では、当初においては、調整部180によるシリンダ151内の空気圧調整は行われていないものとする。また、当初においては、図1及び図6(A)に示されるように、肘関節は、伸展状態にあるものとする。
【0062】
ここで、図6(A),(B)に示される関節運動アシスト装置100では、調整部180、配管191,192、ベルト部材117,118,127,128、及び、人体の腕部位等の図示を省略している。
【0063】
この関節運動のアシスト動作は、肘関節を伸展状態から屈曲状態にする際には、制御部184が、第1シリンダ室SR1への空気の供給を行うとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行うための制御を行う。
【0064】
調整部180により、配管191を通じて、第1シリンダ室SR1への空気の供給が行われるとともに、配管192を通じて、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、−Z方向へ摺動する(図4参照)。この直動ピストンの−Z方向への摺動に伴い、直動ピストン152に連結されているピストンロッド153が−Z方向へ移動し、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長する行程となる(以下、単に「ピストンロッドの伸長行程」とも記す)。
【0065】
ピストンロッド153の伸長行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長したときの関節運動アシスト装置100の状態が、図6(B)に示されている。図6(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の伸長行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で反時計回り(以下、単に「反時計回り」とも記す)に回転する。
【0066】
このとき、接続部材112に肘関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に取り付けられているシリンダ151は、突起部JTS1,JTS2を軸として、反時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド153の伸長行程前と伸長行程後とにおいて、シリンダ軸SAXとZ軸とのなす角度が、例えば、角度θC(図6(A)参照)から角度θE(>θC) (図6(B)参照)に変化する。
【0067】
ピストンロッド153の下端部が、反時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、反時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0068】
また、肘関節が屈曲状態であるとき(図6(B)参照)に、肘関節を屈曲状態から伸展状態にする際には、制御部184が、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給を行うための制御を行う。
【0069】
かかる制御のもとで、配管191を通じて、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引が行われるとともに、配管192を通じて、第2シリンダ室SR2への空気の供給が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、+Z方向へ摺動する(図4参照)。この直動ピストンの+Z方向への摺動に伴い、直動ピストン152に連結されているピストンロッド153が+Z方向へ移動し、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮する行程となる(以下、単に「ピストンロッドの収縮行程」とも記す)。
【0070】
ピストンロッド153の収縮行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮したときの関節運動アシスト装置100の状態が、図6(A)に示されている。図6(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の収縮行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で時計回り(以下、単に「時計回り」とも記す)に回転する。このとき、接続部材112に係止されているシリンダ151は、突起部JTS1,JTS2を軸として、時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド153の収縮行程前と収縮行程後とにおいて、シリンダ軸SAXとZ軸とのなす角度が、例えば、角度θE(図6(B)参照)から角度θC(図6(A)参照)に変化する。
【0071】
ピストンロッド153の下端部が、時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が広がり、肘関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態では、調整部180により、第1シリンダ室SR1への空気の供給が行われるとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、−Z方向へ摺動する。この直動ピストンの−Z方向への摺動に伴い、ピストンロッド153が−Z方向へ移動するピストンロッド153の伸長行程となる。
【0073】
ピストンロッド153の伸長行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、反時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りの回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、反時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0074】
また、調整部180により、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引が行われるとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給が行われると、シリンダ151内の直動ピストン152が、+Z方向へ摺動する。この直動ピストンの+Z方向への摺動に伴い、ピストンロッド153が+Z方向へ移動するピストンロッド153の収縮行程となる。
【0075】
ピストンロッド153の収縮行程により、ピストンロッド153の下端部が、第1歯車部材113の中心軸の回りを、時計回りに回転すると、第1及び第2アーム部材141,142を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りの回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123における第1歯車部材113との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材123が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、時計回りに回転する。この結果、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が広がり、肘関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0076】
したがって、本実施形態によれば、構造がコンパクトであるとともに、肘関節の関節運動を適切にアシストすることができる。
【0077】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0078】
例えば、上記の実施形態では、人体の肘関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置としたが、例えば、股関節の運動をアシストする装置であってもよい。
【0079】
<第1変形例>
第1変形例に係る股関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置について、図7及び図8を主に参照して説明する。
【0080】
《構成》
図7には、第1変形例に係る関節運動アシスト装置200の外観図が示されている。この図7は、人体の腰部及び大腿部に装着される関節運動アシスト装置200を、股関節が伸展状態にあるときの人体の右側から眺めた外観図(XZ平面視図)である。
【0081】
ここで、図7における座標系(X,Y,Z)は、関節運動アシスト装置200が人体に装着された場合に、人体の正面方向を+X方向、人体の右側から左側へと向かう方向を+Y方向、腰部から背部へと向かう方向を+Z方向とする座標系である。このため、当該座標系(X,Y,Z)では、Y軸方向と股関節の回動運動の回動軸方向とが略平行となっている。
【0082】
図7に示されるように、関節運動アシスト装置200は、第1外骨格部材の一部としての腰外骨格部材211と、第1外骨格部材の一部としての接続部材212と、第1歯車部材213と、ベルト部材217とを備えている。また、関節運動アシスト装置200は、第2外骨格部材としての大腿外骨格部材221と、第2歯車部材223と、ベルト部材227,228とを備えている。さらに、関節運動アシスト装置200は、第1連接部材としての第1アーム部材241と、第2連接部材としての第2アーム部材242と、アクチュエータ250と、調整部280と、配管291,292とを備えている。
【0083】
上記の腰外骨格部材211は、例えば、鋼鉄製の部材であり、XZ平面視で、クランク形状に成形加工されている。この腰外骨格部材211は、腰部が股関節から背部へと延びる方向に沿って、腰部の右側(−Y方向側)に配置され、布製のベルト部材217により腰部右側に固定される。
【0084】
上記の接続部材212は、上述した実施形態の接続部材112と同様に、XY平面視で、L字状に成形加工されたL字状部材と、U字状に成形加工された2つの挿入穴を有するU字状部材とから構成されている(図2参照)。そして、接続部材212は、腰外骨格部材211の−X方向側において、腰外骨格部材211に固定的に接続されるとともに、アクチュエータ250をU字形に取り囲み、2つの挿入穴を利用して、股関節の回動方向と略平行な方向で、アクチュエータ250を回動可能に係止する。
【0085】
上記の第1歯車部材213は、上述した実施形態の第1歯車部材113と同様に構成され、腰外骨格部材211の股関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。
【0086】
上記の大腿外骨格部材221は、例えば、長板状の鋼鉄製の部材である。この大腿外骨格部材221は、右大腿部が股関節から延びる方向に沿って、右大腿部の右側(−Y方向側)に配置され、布製のベルト部材227,228により右大腿部に固定される。
【0087】
上記の第2歯車部材223は、上述した実施形態の第2歯車部材123と同様に構成され、大腿外骨格部材221の股関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。ここで、第1歯車部材213及び第2歯車部材223の歯数比は、後述するピストンロッド253の往復運動の行程距離、第2アーム部材242の長さ等に基づいて、腰外骨格部材211と大腿外骨格部材221との交差角度が、股関節の好適な可動範囲となるように設定されている。
【0088】
上記の第1アーム部材241は、上述した実施形態の第1アーム部材141と同様に、2つの挿入穴が成形加工された平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配置される。この第1アーム部材241の一方の挿入穴には、第1歯車部材213の軸部材AX1が、第1アーム部材241が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入され、他方の挿入穴には、第2歯車部材223の軸部材AX2が回動可能に挿入される。
【0089】
上記の第2アーム部材242は、上述した実施形態の第2アーム部材142と同様に、2つの挿入穴が成形加工された平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように配置される。この第2アーム部材242の一方の挿入穴には、第1歯車部材213の軸部材AX1が、第2アーム部材242が軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、第2アーム部材242の他方の挿入穴には、アクチュエータ250を構成するピストンロッド253における下端部に設けられた突起部JTRが回動可能に挿入される。ここで、第2アーム部材242の長さは、股関節運動のアシストをするに際して、股関節にとって好適な回転角度及び好適なトルクとなるように設定されている。
【0090】
ここで、第1アーム部材241と第2アーム部材242とは固定されている。このため、第2歯車部材223とピストンロッド253における下端部とが、第1歯車部材213の中心軸の回りを回動可能となっている。
【0091】
上記のアクチュエータ250は、上述した実施形態のアクチュエータ150と同様に構成さている(図1、図4参照)。すなわち、アクチュエータ250は、シリンダ151と同様に構成されたシリンダ251と、直動ピストン152と同様に構成された直動ピストン252と、ピストンロッド153と同様に構成されたピストンロッド253とを備えている。なお、アクチュエータ250を接続部材212に回動可能に係止するための2つの突起部JTS1,JTS2は、本第1変形例では、シリンダ251の+Z方向側の外側円筒面に取り付けられている。
【0092】
上記の調整部280は、上述した実施形態の調整部180と同様に構成さている(図1、図5参照)。すなわち、調整部280は、加圧ポンプ181と同様に構成された加圧ポンプ、減圧ポンプ182と同様に構成された減圧ポンプと、電気−空気圧制御弁183と同様に構成された電気−空気圧制御弁、制御部184と同様に構成された制御部と、配管185,186と同様に構成された配管とを備えている。
【0093】
この調整部280は、配管291を介して、シリンダ251における第1シリンダ室SR1と連通している。また、調整部280は、配管292を介して第2シリンダ室SR2と連通している。そして、調整部280は、上述した実施形態の調整部180と同様に、第1及び第2シリンダ室SR1,SR2内の空気の供給/吸引の切り換え、及び、圧力調整を行うことで、直動ピストン252のプッシュ・プル制御を実行する。
【0094】
《動作》
以上のようにして構成された関節運動アシスト装置200の動作、すなわち、股関節の機構を利用する関節運動のアシスト動作に着目して説明する。
【0095】
なお、当初においては、図7及び図8(A)に示されるように、股関節は、伸展状態にあるものとする。また、図8(A),(B)に示される関節運動アシスト装置200では、調整部280、配管291,292、ベルト部材217,227,228、及び、人体の腰部、大腿部等の図示を省略している。
【0096】
股関節運動のアシスト動作は、股関節を伸展状態から屈曲状態にする際には、調整部280が、第1シリンダ室SR1への空気の供給を行うとともに、第2シリンダ室SR2からの空気の吸引を行う。この結果、シリンダ251内の直動ピストン252が、−Z方向へ摺動し(図4参照)、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が伸長するピストンロッド253の伸長行程となる。
【0097】
ピストンロッド253の伸長行程において、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が伸長したときの関節運動アシスト装置200の状態が、図8(B)に示されている。図8(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド253の伸長行程により、ピストンロッド253の下端部が、第1歯車部材213の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で反時計回りに回転する。このとき、接続部材212に股関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に取り付けられているシリンダ251は、突起部JTS1,JTS2を軸として、反時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド253の伸長行程前と伸長行程後とにおいて、シリンダ軸SAXの方向が、例えば、Z軸に対して時計回り方向にある状態(図8(A)参照)から、Z軸に対して反時計回り方向(図8(B)参照)に変化する。
【0098】
ピストンロッド253の下端部が、反時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1及び第2アーム部材241,242を介して、第2歯車部材223に、股関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材223に当該回動力が付与されると、第2歯車部材223における第1歯車部材213との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材223が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材213の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材223が自公転すると、第2歯車部材223に固定的に接続されている大腿外骨格部材221が、反時計回りに回転する。この結果、腰部に固定されている腰外骨格部材211と、大腿部に固定されている大腿外骨格部材221とが交差する角度が狭まり、股関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0099】
また、股関節が屈曲状態であるとき(図8(B)参照)に、股関節を屈曲状態から伸展状態にする際には、調整部280が、第1シリンダ室SR1からの空気の吸引を行うとともに、第2シリンダ室SR2への空気の供給を行う。この結果、シリンダ251内の直動ピストン252が、+Z方向へ摺動し(図4参照)、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が収縮するピストンロッド253の収縮行程となる。
【0100】
ピストンロッド253の収縮行程において、シリンダ251からのピストンロッド253の突出部分が収縮したときの関節運動アシスト装置200の状態が、図8(A)に示されている。図8(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド253の収縮行程により、ピストンロッド253の下端部が、第1歯車部材213の中心軸の回りを、時計回りに回転する。このとき、接続部材212に股関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に取り付けられているシリンダ251は、突起部JTS1,JTS2を軸として、時計回りに回転する。この結果、ピストンロッド253の収縮行程前と収縮行程後とにおいて、シリンダ軸SAXの方向が、例えば、Z軸に対して反時計回り方向にある状態(図8(B)参照)から、Z軸に対して時計回り方向(図(A)参照)に変化する。
【0101】
こうしてピストンロッド253の下端部が、時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1及び第2アーム部材241,242を介して、第2歯車部材223に、股関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材223に当該回動力が付与されると、第2歯車部材223における第1歯車部材213との噛み合わせ位置が変化し、第2歯車部材223が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材213の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材223が自公転すると、第2歯車部材223に固定的に接続されている大腿外骨格部材221が、時計回りに回転する。この結果、腰部に固定されている腰外骨格部材211と、大腿部に固定されている大腿外骨格部材221とが交差する角度が広がり、股関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0102】
したがって、股関節の運動をアシストする第1変形例によれば、構造がコンパクトであるとともに、股関節の関節運動を適切にアシストすることができる。
【0103】
<第2変形例>
次に、第2変形例に係る肘関節の機構を利用して行われる関節運動をアシストする関節運動アシスト装置について、図9を主に参照して説明する。
【0104】
《構成》
図9には、第2変形例に係る関節運動アシスト装置100Bの外観図が示されている。ここで、図9(A)には、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮しているときの状態が示され、図9(B)には、当該突出部分が伸長しているときの状態が示されている。
【0105】
図9(A),(B)に示されるように、関節運動アシスト装置100Bは、上述した実施形態の関節運動アシスト装置100(図1、図6(A),(B)参照)と比べて、シリンダ151が接続部材112に対して回動可能に取り付けられるのではなく、接続部材112に固定的に取り付けられている点、及び、第2アーム部材142に代えて第2アーム部材142Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して、説明を行う。
【0106】
なお、図9(A),(B)に示される関節運動アシスト装置100Bでは、図6(A),(B)と同様に、調整部180、配管191,192、ベルト部材117,118,127,128、及び、人体の腕部位等の図示を省略している。
【0107】
関節運動アシスト装置100Bでは、シリンダ151の円筒中心軸に対向するシリンダ151の+Y方向側面、−Y方向側面それぞれに、ネジ穴が形成加工されている。そして、シリンダ151は、接続部材112によりU字形に取り囲まれ、接続部材112の2つの挿入穴を利用して、ネジ部材SRS1,SRS2(ネジ部材SRS2については不図示)が当該ネジ穴に挿入される。
【0108】
上記の第2アーム部材142Bは、上述した実施形態の第2アーム部材142と同様に、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸と垂直となるように配設される。第2アーム部材142Bには、挿入穴及び収容部としての長穴LLが成形加工されている。第2アーム部材142Bの挿入穴には、第1歯車部材113の軸部材AX1が、第2アーム部材142Bが軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、第2アーム部材142の長穴LLには、ピストンロッド153における下端部に設けられた突起部JTRが長穴方向に沿って移動可能に挿入される。
【0109】
《動作》
以上のようにして構成された関節運動アシスト装置100Bの動作、すなわち、肘関節の機構を利用する関節運動のアシスト動作に着目して説明する。
【0110】
なお、当初においては、図9(A)に示されるように、肘関節は、伸展状態にあるものとする。
【0111】
肘関節運動のアシスト動作は、肘関節を伸展状態から屈曲状態にする際には、調整部180によるシリンダ室内の空気圧調整により、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分を伸長させる。ピストンロッド153の伸長行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が伸長したときの関節運動アシスト装置100Bの状態が、図9(B)に示されている。図9(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の伸長行程により、ピストンロッド153の下端部が、−Z方向に直線運動する。
【0112】
こうしてピストンロッド153の下端部が、−Z方向に直線運動すると、当該下端部と第1歯車部材113との距離が変化しつつ、第2アーム部材142Bが、第1歯車部材113の中心軸の回りを、+Y方向を視線方向としたXZ平面視で反時計回りに回転する。このとき、第2アーム部材142Bの長穴に挿入されている突起部JTRの当該長穴における位置が変化するので、ピストンロッド153の下端部の−Z方向へ直線運動、及び、第2アーム部材142Bの回転を妨げることはない。
【0113】
第2アーム部材142Bが、反時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1アーム部材141を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、反時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123が、反時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として反時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、反時計回りに回転する。この結果、実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が狭まり、肘関節は伸展状態から屈曲状態になる。
【0114】
また、肘関節が屈曲状態であるとき(図9(B)参照)に、肘関節を屈曲状態から伸展状態にする際には、調整部180によるシリンダ室内の空気圧調整により、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分を収縮させる。
【0115】
ピストンロッド153の収縮行程において、シリンダ151からのピストンロッド153の突出部分が収縮したときの関節運動アシスト装置100Bの状態が、図9(A)に示されている。図9(A),(B)に示されるように、当該ピストンロッド153の収縮行程により、ピストンロッド153の下端部が、+Z方向に直線運動する。
【0116】
こうしてピストンロッド153の下端部が、+Z方向に直線運動すると、当該下端部と第1歯車部材113との距離が変化しつつ、第2アーム部材142Bが、第1歯車部材113の中心軸の回りを、時計回りに回転する。このとき、第2アーム部材142Bの長穴におけるピストンロッド153の下端部の位置が変化するので、ピストンロッド153の下端部の+Z方向へ直線運動、及び、第2アーム部材142Bの回転を妨げることはない。
【0117】
第2アーム部材142Bが、時計回りに回転すると、上述した実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、第1アーム部材141を介して、第2歯車部材123に、肘関節の回動方向と略平行な方向で、時計回りに回動するための回動力が付与される。そして、第2歯車部材123に当該回動力が付与されると、第2歯車部材123が、時計回りに自転しつつ、第1歯車部材113の中心軸を中心として時計回りに公転する。こうして第2歯車部材123が自公転すると、第2歯車部材123に固定的に接続されている前腕外骨格部材121が、時計回りに回転する。この結果、実施形態における肘関節運動のアシスト動作と同様に、上腕部に固定されている上腕外骨格部材111と、前腕部に固定されている前腕外骨格部材121とが交差する角度が広がり、肘関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0118】
したがって、肘関節の運動をアシストする第2変形例によれば、構造がコンパクトであるとともに、肘関節の関節運動を適切にアシストすることができる。
【0119】
なお、上記の実施形態及び第2変形例では、人体の右肘関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置を説明したが、左肘関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置であってもよいことは勿論である。また、上記の第1変形例では、人体の右側股関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置を説明したが、左側股関節の運動をアシストする関節運動アシスト装置であってもよいことも勿論である。
【0120】
また、実施形態に対する第1変形例への変形、すなわち、股関節の運動アシストへの採用を、第2変形例に適用することができるのは勿論である。
【0121】
また、肘関節や股関節以外の例えば膝関節等の運動をアシストするに際して、本発明の関節運動アシスト装置を適用することができるのは勿論である。
【0122】
上記の実施形態、第1及び第2変形例では、第1歯車部材及び第2歯車部材を、円柱形状の外周部に歯部が形成された外歯車とした。これに対して、図10(A)のY方向視図及び図10(B)のX方向視図により総合的に示されるように、軸部材AX1を中心軸とする有底円筒形状の部材の内周部に歯部が形成された内歯車を第1歯車部材113Cとし、軸部材AX2を中心軸とする円柱形状の部材の外周部に歯部が形成された外歯車を第2歯車部材123Cとするようにしてもよい。
【0123】
第1歯車部材113Cは、+Y方向側に底面を有しており、当該底面に軸部材AX1が取り付けられている。そして、第1歯車部材113Cは、上腕外骨格部材111の肘関節側端部の−Y方向側に固定的に接続されている。また、第2歯車部材123Cは、前腕外骨格部材121の肘関節側端部の+Y方向側に固定的に接続されている。
【0124】
この場合には、第1歯車部材及び第2歯車部材が外歯車である場合と異なり、ピストンロッド153の収縮行程の際には、2つの外骨格部材が交差する角度が狭まり、関節は伸展状態から屈曲状態になる。また、ピストンロッド153の伸長行程の際には、2つの外骨格部材が交差する角度が広がり、関節は屈曲状態から伸展状態になる。
【0125】
また、第1歯車部材及び第2歯車部材として、図11(A),(B)に示されるように、軸部材AX1を中心軸とする楕円柱形状の部材の外周部に歯部が形成された外歯車を第1歯車部材113Dとし、軸部材AX2を中心軸とする楕円柱形状の部材の外周部に歯部が形成された外歯車を第2歯車部材123Dとするようにしてもよい。ここで、図11(A)には、シリンダからのピストンロッド153の突出部分が収縮しているときの状態が示され、図11(B)には、当該突出部分が伸長しているときの状態が示されている。
【0126】
この場合には、第2歯車部材123Dが、第1歯車部材113Dの回りを回転する際に、軸部材AX1,AX2間の距離が変化する。このため、当該距離の変化に対応した図11に示される構造のバネ部材SPを有する第1アーム部材141Dを採用するようにすることができる。第1アーム部材141Dは、例えば、平板状の鋼鉄製の部材であり、Y軸に垂直となるように第1及び第2歯車部材113D,123Dの−Y方向側に配置されている。この第1アーム部材141Dには、軸挿入穴と長穴LHとが形成加工されている。そして、軸挿入穴には、第1歯車部材113Dの軸部材AX1が、第1アーム部材141Dが軸部材AX1の回りを回動可能となるように挿入される。また、長穴LHには、第2歯車部材123Dの軸部材AX2が長穴方向に沿って移動可能に挿入される。
【0127】
そして、本変形例では、バネ部材SPの一方の端部にはリングが取り付けられ、当該リングには、軸部材AX1が回動可能に挿入される。また、バネ部材SPの他方の端部にもリングが取り付けられ、当該リングに軸部材AX2が回動可能に挿入される。この結果、軸部材AX1,AX2間の距離が変化した際にも、軸部材AX2が長穴LHの長さ方向に移動可能であるため、第1歯車部材113Dと第2歯車部材123Dとの噛合を確保することができる。
【0128】
ここで、本変形例では、第1アーム部材141Dは、第1及び第2歯車部材113D,123Dの−Y方向側に配置されるようにしたが、第1アーム部材141Dと同様に構成された第1アーム部材を、第1及び第2歯車部材113D,123Dの+Y方向側にも配置し、第1及び第2歯車部材113D,123Dそれぞれを貫く軸部材AX1及び軸部材AX2を、−Y方向側及び+Y方向側に配置された2つの第1アーム部材の軸挿入穴それぞれ及び長穴LHそれぞれに挿入するようにしてもよい。この場合には、第2アーム部材142と同様に構成された第2アーム部材を、第1歯車部材113Dの+Y方向側にも配置するとともに、ピストンロッド153における下端部の+Y方向側にも突起部JTR’を取り付ける(図12参照)。そして、第1歯車部材113Dを貫く軸部材AX1を、−Y方向側及び+Y方向側に配置された2つの第2アーム部材の一方の挿入穴それぞれに回動可能に挿入する。また、ピストンロッド153の−Y方向側に設けられた突起部JTR及び+Y方向側に設けられた突起部JTR’を、−Y方向側及び+Y方向側に配置された2つの第2アーム部材の他方の挿入穴それぞれに回動可能に挿入する。
【0129】
また、上述した第1及び第2アーム部材を、第1及び第2歯車部材の−Y方向側及び+Y方向側に配置する構成を、第2変形例に適用することもできる。
【0130】
なお、軸部材AX1,AX2間の距離の変化に対応するために、第1アーム部材と第2アーム部材とを一体にし、当該一体となった部材に、軸部材AX1を挿入するための軸挿入穴と、軸部材AX2を挿入するための長穴LHと、ピストンロッド153に設けられた突起部JTRを挿入するための挿入穴を形成加工する。そして、バネ部材SPにより、軸部材AX1と軸部材AX2とを、弾性的に付勢するようにしてもよい。また、軸部材AX1と軸部材AX2とを弾性的に付勢するには、バネ部材SPに代えて、ゴム部材等の他の弾性部材を採用してもよいことは勿論である。
【0131】
また、上記の実施形態及び変形例では、第1歯車部材及び第2歯車部材の外周部全体又は内周部全体に歯部が形成されることとしたが、関節の可動範囲に対応して、歯部を歯車部材の外周部の一部又は内周部の一部に形成するようにしてもよい。また、第1歯車部材のピッチ円半径と第2歯車部材のピッチ円半径とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0132】
なお、第1歯車部材及び第2歯車部材の形状は、これらに限定されず、円柱形状、円筒形状、楕円柱形状以外の形状をした外歯車や内歯車であってもよい。また、第1歯車部材及び第2歯車部材の歯すじは、平歯車であってもよいし、例えば、歯すじが回動軸に対して斜めとなっているはすば歯車であってもよい。
【0133】
また、上記の実施形態及び変形例では、第1及び第2歯車部材を鋼鉄製としたが、当該部材の素材を、例えば、ガラス繊維や炭素繊維を含む繊維強化プラスチック等の軽量かつ強度のある素材であってもよいことは勿論である。
【0134】
また、上記の実施形態及び変形例では、第1及び第2アーム部材、上腕外骨格部材、前腕外骨格部材、腰外骨格部材、大腿外骨格部材、並びに、接続部材を鋼鉄製としたが、当該部材の素材を、例えば、ガラス繊維や炭素繊維を含む繊維強化プラスチック、天然素材である竹等の軽量かつ強度のある素材であってもよいことは勿論である。
【0135】
また、上記の実施形態及び変形例では、連接部材として第1アーム部材と第2アーム部材とを備えることとしたが、当該第1アーム部材と第2アーム部材とを一体にした連接部材を採用するようにしてもよい。
【0136】
また、上記の実施形態及び変形例では、関節運動アシスト装置を人体の部位に装着するために、布製のベルト部材を利用したが、金属ベルト、プラスチックベルト、又は、針金を利用して、関節運動アシスト装置を人体の部位に装着するようにしてもよい。
【0137】
また、上記の実施形態及び変形例では、調整部は、加圧ポンプ、減圧ポンプ、電気−空気圧制御弁、制御部等を備える構成としたが(図4参照)、他の構成であってもよい。例えば、ロータリベーン型のエアポンプと、制御部等と備える構成とすることができる。この場合には、制御部による制御のもとで、エアポンプが、シリンダ室への空気の供給、及び、シリンダ室からの空気の吸引を行うことになる。
【0138】
また、調整部の構成としては、シリンダ室への空気の供給、及び、シリンダ室からの空気の吸引を行うことのできる手動式のものであってもよい。また、調整部は、直動ピストンにより仕切られた一方のシリンダ室への空気の供給を行い、他方のシリンダ室内の空気を外気に排出することにより、両シリンダ室の差圧を制御するものであってもよい。
【0139】
また、上記の実施形態では、関節を駆動する筋肉に関する生体情報を、筋電図、筋肉の硬さ等の生体信号としたが、利用者の脳波を当該生体情報として採用するようにしてもよい。
【0140】
また、本発明の関節運動アシスト装置は、作動流体を空気としたが、水や油等の液体であってもよい。
【0141】
本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野で利用する場合には、介護者がパワーアシスト用の装置として装着するだけでなく、力が弱っている被介護者がパワーアシスト用又はリハビリテーション用の装置としても利用することができる。また、本発明の関節運動アシスト装置は、介護や福祉の分野以外で重量物を持ち上げる等の場合のパワーアシスト装置としても利用することができる。
【0142】
また、上記の実施形態においては、人体の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置に本発明を適用したが、関節機構を有する人体以外の外骨格形の哺乳類、外骨格形のロボット等の所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置にも本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本発明の関節運動アシスト装置は、所定対象物の関節運動をアシストする関節運動アシスト装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0144】
100,100B,200…関節運動アシスト装置、111…上腕外骨格部材(第1外骨格部材の一部)、112…接続部材(第1外骨格部材の一部)、112L…L字状部材、112U…U字状部材、113,113C,113D…第1歯車部材、117,118…ベルト部材、121…前腕外骨格部材(第2外骨格部材)、1211…長板状外骨格部材、1212…前腕保持部材、123,123C,123D…第2歯車部材、127,128…ベルト部材、141,141D…第1アーム部材(第1連接部材)、142,142B…第2アーム部材(第2連接部材)、150…アクチュエータ、151…シリンダ、152…直動ピストン、153…ピストンロッド、180…調整部、181…加圧ポンプ、182…減圧ポンプ、183…電気−空気圧制御弁、184…制御部、185,186…配管、191,192…配管、211…腰外骨格部材(第1外骨格部材の一部)、212…接続部材(第1外骨格部材の一部)、213…第1歯車部材、217…ベルト部材、221…大腿外骨格部材(第2外骨格部材)、223…第2歯車部材、227,228…ベルト部材、241…第1アーム部材(第1連接部材)、242…第2アーム部材(第2連接部材)、250…アクチュエータ、251…シリンダ、252…直動ピストン、253…ピストンロッド、280…調整部、291,292…配管、AX1,AX2…軸部材、JTS1,JTS2,JTR,JTR’…突起部、LH…長穴、LL…長穴(収容部)、PT1…第1給排気ポート、PT2…第2給排気ポート、SP…バネ部材、SR1…第1シリンダ室、SR2…第2シリンダ室、SRS1…ネジ部材、ST1,ST2…ストッパ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格構造を有する所定対象物に装着し、前記所定対象物の一方側部位と他方側部位とを接続している関節の機構を利用する関節運動をアシストする外骨格形の関節運動アシスト装置であって、
前記一方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記一方側部位に固定される第1外骨格部材と;
前記他方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記他方側部位に固定される第2外骨格部材と;
前記第1外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1外骨格部材の前記一方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部及び内周部の一方の少なくとも一部に、歯部が形成された第1歯車部材と;
前記第2外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1歯車部材と噛合可能な歯部が、前記第2外骨格部材の前記他方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部の少なくとも一部に形成された第2歯車部材と;
前記第1外骨格部材に取り付けられたシリンダと;
前記シリンダ内を往復運動する直動ピストンに一方の端部が連結され、前記シリンダの一方の端部を貫通し、前記直動ピストンとともに往復直線運動するピストンロッドと;
前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保するとともに、前記第2歯車部材が、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを連接する連接部材と;を備え、
前記直動ピストンの行程により、前記ピストンロッド及び前記連接部材を介して、前記第2歯車部材に、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動する回動力が付与され、前記第2歯車部材が、前記第1歯車部材との噛み合い位置が変化することにより、自転しつつ、前記第1歯車部材の中心軸を中心として公転することで、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が変化し、前記関節の運動をアシストする、
ことを特徴とする関節運動アシスト装置。
【請求項2】
前記シリンダは、前記関節の回動方向と略平行な方向で、前記第1外骨格部材に回動可能に取り付けられ、
前記連接部材は、前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第2歯車部材とが、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項3】
前記連接部材は、
前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;
前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記ピストンロッドにおける他方の端部を前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する第2連接部材と;を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項4】
前記シリンダは、前記第1外骨格部材に固定的に取り付けられ、
前記連接部材は、前記直動ピストンの行程に伴う前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、前記ピストンロッドにおける他方の端部を収容する収容部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記ピストンロッドにおける他方の端部から前記第1歯車部材の中心部へ向う方向に沿って延びて形成された長穴である、ことを特徴とする請求項4に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項6】
前記連接部材は、
前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;
前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記収容部を有する第2連接部材と;を備える、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項7】
前記直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室のそれぞれの作動流体圧を調整する調整部を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項8】
前記所定対象物は、筋力による関節運動を行う生体であり、
前記関節を駆動する筋力に関する生体情報を検出する検出部を更に備え、
前記調整部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記シリンダ内の作動流体圧を調整する、
ことを特徴とする請求項7に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項9】
前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な円柱形状であり、
前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、
前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項10】
前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な楕円柱形状であり、
前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、
前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項11】
前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、それぞれ、互いの軸が平行な円筒形状及び円柱形状であり、
前記第1歯車部材の歯部は、前記内周部に形成され、
前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の収縮行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の伸長行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項12】
前記所定対象物の関節は、肘関節であり、
前記第1外骨格部材は上腕部に固定され、前記第2外骨格部材は前腕部に固定される、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項13】
前記所定対象物の関節は、股関節であり、
前記第1外骨格部材は腰部に固定され、前記第2外骨格部材は大腿部に固定される、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項1】
骨格構造を有する所定対象物に装着し、前記所定対象物の一方側部位と他方側部位とを接続している関節の機構を利用する関節運動をアシストする外骨格形の関節運動アシスト装置であって、
前記一方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記一方側部位に固定される第1外骨格部材と;
前記他方側部位が前記関節から延びる方向に沿って、前記他方側部位に固定される第2外骨格部材と;
前記第1外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1外骨格部材の前記一方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部及び内周部の一方の少なくとも一部に、歯部が形成された第1歯車部材と;
前記第2外骨格部材における前記関節側の端部に固定的に接続され、前記第1歯車部材と噛合可能な歯部が、前記第2外骨格部材の前記他方側部位への固定時において、前記関節の回動運動方向に沿って、外周部の少なくとも一部に形成された第2歯車部材と;
前記第1外骨格部材に取り付けられたシリンダと;
前記シリンダ内を往復運動する直動ピストンに一方の端部が連結され、前記シリンダの一方の端部を貫通し、前記直動ピストンとともに往復直線運動するピストンロッドと;
前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保するとともに、前記第2歯車部材が、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを連接する連接部材と;を備え、
前記直動ピストンの行程により、前記ピストンロッド及び前記連接部材を介して、前記第2歯車部材に、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動する回動力が付与され、前記第2歯車部材が、前記第1歯車部材との噛み合い位置が変化することにより、自転しつつ、前記第1歯車部材の中心軸を中心として公転することで、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が変化し、前記関節の運動をアシストする、
ことを特徴とする関節運動アシスト装置。
【請求項2】
前記シリンダは、前記関節の回動方向と略平行な方向で、前記第1外骨格部材に回動可能に取り付けられ、
前記連接部材は、前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第2歯車部材とが、前記関節の回動運動の回動軸と略平行となる前記第1歯車部材の中心軸の回りを回動可能となるように、前記第1歯車部材と前記第2歯車部材と前記ピストンロッドにおける他方の端部とを、前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項3】
前記連接部材は、
前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;
前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記ピストンロッドにおける他方の端部を前記関節の回動方向と略平行な方向で回動可能に連接する第2連接部材と;を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項4】
前記シリンダは、前記第1外骨格部材に固定的に取り付けられ、
前記連接部材は、前記直動ピストンの行程に伴う前記ピストンロッドにおける他方の端部と前記第1歯車部材との距離の変化を許容しつつ、前記ピストンロッドにおける他方の端部を収容する収容部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項5】
前記収容部は、前記ピストンロッドにおける他方の端部から前記第1歯車部材の中心部へ向う方向に沿って延びて形成された長穴である、ことを特徴とする請求項4に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項6】
前記連接部材は、
前記第1歯車部材と前記第2歯車部材との噛合を確保する第1連接部材と;
前記第1連接部材に固定的に接続されるとともに、前記収容部を有する第2連接部材と;を備える、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項7】
前記直動ピストンにより仕切られた2つのシリンダ室のそれぞれの作動流体圧を調整する調整部を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項8】
前記所定対象物は、筋力による関節運動を行う生体であり、
前記関節を駆動する筋力に関する生体情報を検出する検出部を更に備え、
前記調整部は、前記検出部による検出結果に基づいて、前記シリンダ内の作動流体圧を調整する、
ことを特徴とする請求項7に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項9】
前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な円柱形状であり、
前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、
前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項10】
前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、互いの軸が平行な楕円柱形状であり、
前記第1歯車部材の歯部は、前記外周部に形成され、
前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の伸長行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の収縮行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項11】
前記第1歯車部材及び前記第2歯車部材は、それぞれ、互いの軸が平行な円筒形状及び円柱形状であり、
前記第1歯車部材の歯部は、前記内周部に形成され、
前記ピストンロッドにおける前記シリンダからの突出部分の収縮行程により、前記第1外骨格部材と前記第2外骨格部材とが交差する角度が狭まり、前記関節を伸展状態から屈曲状態にし、前記突出部分の伸長行程により、前記交差する角度が広がり、前記関節を屈曲状態から伸展状態にする、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項12】
前記所定対象物の関節は、肘関節であり、
前記第1外骨格部材は上腕部に固定され、前記第2外骨格部材は前腕部に固定される、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【請求項13】
前記所定対象物の関節は、股関節であり、
前記第1外骨格部材は腰部に固定され、前記第2外骨格部材は大腿部に固定される、
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の関節運動アシスト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−22296(P2013−22296A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160743(P2011−160743)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【特許番号】特許第4987148号(P4987148)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(502265286)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【特許番号】特許第4987148号(P4987148)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(502265286)
【Fターム(参考)】
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