説明

防振ガスケット

【課題】高温環境下にて使用される場合であっても、ゴム弾性体13の温度上昇を抑制できる防振ガスケット1を提供する。
【解決手段】離隔して配置された第一取付部材11と第二取付部材12とを、筒状のゴム弾性体13が連結する。そして、ゴム弾性体13と車両に搭載された放熱部材16との間を熱伝導する熱伝導部材14を備える。この熱伝導部材14は、ゴム弾性体13より熱伝導性の良好な材料からなりゴム弾性体13に当接する当接部14aと、ゴム弾性体13より熱伝導性の良好な材料からなり当接部14aと放熱部材16とを連結する連結部14bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体通路を形成する筒状からなり、シール性能に加えて防振性能を有する防振ガスケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防振ガスケットは、例えば、特許文献1および2に、自動車の内燃機関の吸気系通路上に設けられるものが開示されている。これらの防振ガスケットは、一対の取付部材と、ゴム弾性体とを備えている。一対の取付部材は、中央に貫通孔が形成され、それぞれ離隔して配置されている。具体的には、一方の取付部材は、吸気系通路上における内燃機関側、例えば、内燃機関の吸気ポートから延出された吸気管の先端に取り付けられる。他方の取付部材は、吸気系通路上における内燃機関と反対側、例えば、吸気ダクトが接続されるコレクタに取り付けられる。そして、ゴム弾性体は、筒状からなり、一対の取付部材の両貫通孔を連通するように、一対の取付部材に連結されている。
【0003】
このような構成により、ゴム弾性体が、一対の取付部材の離隔方向に圧縮、引張変形が可能となり、且つ、当該離隔方向の直交方向にせん断変形が可能となる。従って、ゴム弾性体が、内燃機関の作動により内燃機関に振動が発生した場合に、ゴム弾性体により、その振動が吸収され、吸気ダクト等の吸気系部品側へ伝達される振動が低減される。
【特許文献1】特開平9−126071号公報
【特許文献2】特開平10−259874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばスポーツタイプの自動車においては、より高性能化を図るために、内燃機関の回転数が高くなり、結果として内燃機関による発熱量が大きくなる状況が考えられる。このように、内燃機関の発熱量が大きくなると、その周囲の環境温度が高くなる。つまり、吸気系通路上に配置する防振ガスケット等においては、使用環境温度が高くなる。そして、高温環境下にて防振ガスケットが使用されると、防振ガスケットを構成するゴム弾性体の耐熱性の観点から、当該ゴム弾性体の耐久性が低下するおそれがある。
【0005】
さらに、防振ガスケットのゴム弾性体の温度が高くなると、その内部を流通する空気の温度が高くなる。つまり、内燃機関の導入空気の温度が高くなる。ここで、内燃機関は、導入空気の温度が低いほど、酸素濃度が高くなり、燃焼効率が良好となる。つまり、ゴム弾性体の温度が高くなることで、内燃機関の導入空気の温度が高くなり、その結果、内燃機関の燃焼効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高温環境下にて使用される場合であっても、ゴム弾性体の温度上昇を抑制できる防振ガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の防振ガスケットは、第一取付部材と、第二取付部材と、ゴム弾性体と、熱伝導部材とを備えることを特徴とする。第一取付部材は、中央部に第一貫通孔が形成され、第一部材に取り付けられる。この第一取付部材は、例えば板状からなり、金属や樹脂等からなる。そして、第一取付部材に形成された第一貫通孔は、例えば、円形や角形等の形状からなる。
【0008】
第二取付部材は、中央部に第二貫通孔が形成され、第一取付部材に離隔して配置され、第二部材に取り付けられる。この第二取付部材は、第一取付部材と同様、例えば、板状からなり、金属や樹脂等からなる。そして、この第二取付部材は、例えば、第一取付部材に対して対向した状態で離隔して配置される。また、第二取付部材に形成された第二貫通孔は、例えば、円形や角形等の形状からなる。そして、この第二貫通孔は、例えば、第一貫通孔と同形状である。
【0009】
ゴム弾性体は、筒状からなり、第一貫通孔と第二貫通孔とを連通するように第一取付部材および第二取付部材に連結される。つまり、ゴム弾性体は、離隔して配置された第一取付部材と第二取付部材とを一体的に連結する。例えば、ゴム弾性体は、一体加硫成形により、第一取付部材および第二取付部材に接着される。そして、ゴム弾性体の筒状の一方端部が、第一貫通孔の部分に取り付けられている。ゴム弾性体の筒状の他方端部が、第二貫通孔の部分に取り付けられている。つまり、第一貫通孔、ゴム弾性体の筒状内部、および、第二貫通孔が、流体通路を形成する。
【0010】
熱伝導部材は、ゴム弾性体より熱伝導性の良好な材料からなりゴム弾性体に当接する当接部と、ゴム弾性体より熱伝導性の良好な材料からなり当接部と車両に搭載された放熱部材とを連結する連結部とを備える。この当接部および連結部は、例えば、金属等の熱伝導性の良好な材料が適している。そして、当接部は、ゴム弾性体に少なくとも点接触していればよい。ただし、当接部がゴム弾性体に接触する面積が広い方が、効果的である。また、この当接部は、一箇所であっても、複数箇所であってもよい。例えば、当接部が複数箇所存在する場合には、ゴム弾性体の筒状の周方向に分散するように配置することができる。
【0011】
このような構成からなる本発明の防振ガスケットによれば、第一取付部材と第二取付部材とが相対的に離隔する方向に移動する場合には、ゴム弾性体が圧縮変形または引張変形する。さらに、第一取付部材と第二取付部材とが相対的に離隔する方向に直交する方向へ移動する場合には、ゴム弾性体がせん断変形する。このようにゴム弾性体が変形することで、第一取付部材と第二取付部材との間にて、振動が伝達されることを抑制できる。
【0012】
さらに、熱伝導部材の当接部がゴム弾性体に当接し、熱伝導部材の連結部が当接部と放熱部材とを連結している。従って、ゴム弾性体の熱を、熱伝導部材を介して、放熱部材に伝導することができる。そして、放熱部材は、ゴム弾性体から伝導された熱を放熱することができる。
【0013】
つまり、防振ガスケットが配置される環境温度が高くなった場合であっても、ゴム弾性体の温度上昇を抑制することができる。従って、ゴム弾性体の温度上昇を抑制できることにより、ゴム弾性体の耐久性の低下を防止できる。
【0014】
(2)また、本発明の防振ガスケットは、連結部の外表面を被覆する断熱部材をさらに備えるようにするとよい。ここで、連結部は、上述したように、当接部と放熱部材との間にて、熱を伝導する。この連結部が配置される周囲環境温度が高い場合には、連結部自体が周囲環境の熱の影響を受けるおそれがある。このような場合には、ゴム弾性体の温度を効果的に抑制することができない場合がある。そこで、連結部の外表面を断熱部材により被覆することで、連結部の周囲環境温度に影響を受けることなく、連結部は、当接部と放熱部材間の熱伝導を行うことができる。
【0015】
この断熱部材は、連結部のうちその周囲環境温度が高い部分のみに設けてもよい。つまり、連結部が、その周囲環境温度に影響を受ける場合には、断熱部材により連結部を被覆する方がよい。例えば、周囲環境温度が、放熱部材の温度よりも高い領域に配置されている連結部の部分は、断熱部材により被覆するとよい。もちろん、連結部の全てを断熱部材により被覆してもよい。
【0016】
(3)また、放熱部材は、冷却装置であるとよい。冷却装置は、例えば、ラジエター、コンデンサ、または、インタークーラーなどの空冷冷却装置である。つまり、連結部材が冷却装置に連結されることになる。従って、連結部材のうち冷却装置に連結される側は、非常に低い温度となる。従って、連結部材を介して、当接部の温度を低くすることができる。これにより、ゴム弾性体の温度が上昇しようとした場合であっても、当接部により、ゴム弾性体が冷却され、結果として、ゴム弾性体の温度上昇を抑制できる。
【0017】
また、放熱部材は、冷却装置の他に、例えば、車両搭載部品の中では比較的温度の低い車両フレーム等としてもよい。車両フレームとしては、例えば、サスペンションメンバ等がある。特に、車両フレームのうち、金属製であって、車両走行により冷却され得る場所に配置されたものを用いると良い。
【0018】
(4)また、当接部は、筒状からなるようにするとよい。当接部を筒状とすることで、ゴム弾性体の周方向全周に亘って、温度上昇を抑制できる。
【0019】
(5)また、当接部は、ゴム弾性体の内部に埋設されるようにするとよい。この場合、例えば、当接部は、ゴム弾性体と一体加硫成形により接着される。これにより、ゴム弾性体の内周面から外周面の全体に亘って、温度上昇を抑制できる。また、ゴム弾性体は、上述したように、防振性能を発揮するために、圧縮変形、引張変形、または、せん断変形する。このようにゴム弾性体が変形すると、ゴム弾性体の内部にて発熱する。そして、当接部をゴム弾性体の内部に埋設することで、ゴム弾性体の内部熱による温度上昇を抑制できる。特に、当接部が、筒状である場合で、内部に埋設されることで、ゴム弾性体の周方向全周に亘り、且つ、内周面から外周面の全体に亘って、温度上昇を抑制できる。
【0020】
(6)また、当接部は、ゴム弾性体の外周面に固着されるようにしてもよい。この場合、当接部は、ゴム弾性体と一体加硫成形により固着されるようにしてもよいし、ゴム弾性体を加硫成形後にその外周面に接着剤等により固着されるようにしてもよい。何れの場合にも、成形が容易となる。
【0021】
(7)また、上記(4)〜(6)の防振ガスケットにおいて、当接部は、ゴム弾性体より引張強度の高い材料からなる繊維を編組して筒状に形成されるとよい。この当接部の材料は、例えば、樹脂、金属、ガラスおよびカーボンの中から選択された何れかとするとよい。当接部にこれらの材料を用いることで、当接部の筒状が伸びる方向への変形に対して、確実に高い強度を有することができる。特に、樹脂および金属を用いる場合には、成形が容易であり、上記変形に対してより高い強度を有する。
【0022】
ここで、当接部は、繊維を編組して筒状に形成されていることにより、以下のようになる。まず、当接部は、繊維を編組しているので、基本的には変形の自由度が高い。具体的には、当接部は、筒状の軸方向への圧縮変形、および、筒状の軸直交方向へのせん断変形に対して変形自由度が高い。軸直交方向へのせん断変形とは、筒状の両端が相対的に軸直交方向へ移動した場合に、軸方向が傾斜するような変形である。
【0023】
ただし、当接部は、繊維を編組して筒状に形成されているので、当該当接部が伸びる方向への変形に対しては非常に高い強度を有する。具体的には、当接部は、筒状の軸方向への伸長変形に対して高強度となる。従って、当接部は、筒状の軸方向への引張力が作用した場合に、変形しないように作用する。さらに、当接部は、拡径変形に対して高強度となる。従って、当接部は、拡径する方向に力が作用した場合に、変形しないように作用する。さらに、仮に筒状の両端が固定されている場合には、筒状の中間部分が径方向へ縮径する変形に対して高強度となる。従って、当接部は、当該場合に、筒状の中間部分の縮径する方向に力が作用した場合に、変形しないように作用する。
【0024】
このように、本発明の防振ガスケットが構成されていることにより、以下のように作用する。まず、第一取付部材と第二取付部材とが離間方向に近接する方向へ相対移動する場合に、ゴム弾性体は、当該離間方向に圧縮変形しようとする。この場合、当接部は、上述したように、当該離間方向、すなわち当接部の筒状の軸方向への圧縮変形の自由度は高いので、ゴム弾性体の変形に追従する。さらに、第一取付部材と第二取付部材とが離間方向に直交する方向へ相対移動する場合には、ゴム弾性体は、せん断変形する。この場合、当接部は、当該離間方向の直交方向、すなわち当接部の筒状の軸直交方向へのせん断変形の自由度が高いので、ゴム弾性体の変形に追従する。つまり、これらの場合には、ゴム弾性体による防振効果を確実に発揮できる。これにより、第一取付部材と第二取付部材との間において、振動が伝達されることを抑制できる。
【0025】
また、第一取付部材と第二取付部材とが離間方向に遠ざかる方向に相対移動する場合には、ゴム弾性体は、当該離間方向に伸長変形しようとする。この場合、当接部は、当該離間方向の伸長変形には変形しないように作用する。ただし、ゴム弾性体および当接部を第一取付部材と第二取付部材との離間方向に予め圧縮された状態で取り付けられている場合には、この予圧されている分、当接部は、第一取付部材と第二取付部材との離間方向に変形することができる。つまり、当該離間方向に予圧しておけば、ゴム弾性体および当接部は、第一取付部材と第二取付部材との離間方向への伸長変形できる。従って、この場合のゴム弾性体による防振効果を確実に発揮できる。
【0026】
一方、第一取付部材および第二取付部材の位置は変化しない場合において、流体通路内部の圧力が高くなる場合には、以下のようになる。この場合、ゴム弾性体は、その内部の圧力が高くなることで、内径が大きくなるように変形しようとする。ただし、ゴム弾性体の両端は、第一取付部材および第二取付部材に取り付けられているので変形しない。従って、ゴム弾性体のうち、筒状の軸方向の中間部分ほど、内径が大きくなるように変形しようとする。これに対して、当接部は、上述したように、拡径変形に対して高い強度を有する。従って、当接部は、ゴム弾性体の内径が大きくなるような変形を、抑制するように作用する。
【0027】
さらに、流体通路内の圧力が低くなる場合には、ゴム弾性体は、その内部の圧力が低くなることで、内径が小さくなるように変形しようとする。ただし、ゴム弾性体の両端は、第一取付部材および第二取付部材に取り付けられているので変形しない。従って、ゴム弾性体のうち、筒状の軸方向の中間部分ほど、内径が小さくなるように変形しようとする。これに対して、当接部は、上述したように、筒状の両端が固定されている場合には、筒状の中間部分が径方向へ縮径する変形に対して高い強度を有する。従って、当接部は、ゴム弾性体の内径が小さくなるような変形を、抑制するように作用する。
【0028】
つまり、ゴム弾性体の内部を流通する流体の圧力変化に伴って、ゴム弾性体の内部の体積が変化しようとする際に、当接部によりゴム弾性体の変形を抑制できる。その結果、ゴム弾性体の内部における、流体の流通方向に直交する方向の断面積が変化することを抑制できる。従って、当該断面積の変化に伴うエネルギー損失を低減できる。さらに、当該断面積の変化により流通流体の流速や流量等に与える影響を低減できる。
【0029】
(8)また、上記(7)の防振ガスケットにおいて、第一取付部材は、内燃機関の吸気系通路上における内燃機関側の部品に取り付けられ、第二取付部材は、吸気系通路上における内燃機関と反対側の部品に取り付けられるようにしてもよい。
【0030】
ここで、内燃機関の作動により内燃機関に振動が発生する。しかし、吸気系通路上に本発明の防振ガスケットを配置することで、ゴム弾性体により内燃機関の振動を吸収することができる。従って、内燃機関から吸気ダクト等の吸気系部品に伝達される振動が低減される。また、内燃機関の吸気形通路上においては、流通流体の圧力が大きく変化する。従って、ゴム弾性体が伸長する方向へ変形する可能性が非常に高い。しかし、上述した、繊維を編組して筒状に形成される当接部を有することにより、確実にゴム弾性体が伸長する方向への変形を抑制できる。
【0031】
さらに、内燃機関が作動すると、内燃機関の周囲環境温度は非常に高温となる。そして、吸気系通路上に配置される防振ガスケットは、内燃機関に近接した位置にある。従って、防振ガスケットの周囲の環境温度は、非常に高温となる。このような高温環境下となる吸気系通路上に防振ガスケットを配置する場合であっても、ゴム弾性体の温度上昇を確実に抑制できる。従って、耐久性を低下することなく、確実に防振性能を発揮することができる。
【0032】
ここで、防振ガスケットを吸気系通路上に配置した場合であっても、当該防振ガスケットのゴム弾性体の温度上昇を抑制することができる。従って、ゴム弾性体の内部を流通する空気の温度上昇を抑制できる。つまり、内燃機関への導入空気の温度上昇が抑制できることにより、酸素濃度が高くなり、燃焼効率の向上することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の防振ガスケットによれば、高温環境下にて使用される場合であっても、ゴム弾性体の温度上昇を抑制できる。従って、ゴム弾性体の耐久性の低下を抑制することができる。さらに、内燃機関の導入空気の温度上昇を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。
【0035】
(1)第1実施形態
(防振ガスケット1の構成)
第1実施形態の防振ガスケット1の構成について、図1〜図4を参照して説明する。図1は、防振ガスケット1の軸方向断面図(軸方向に切断した断面図)を示す。図2は、図1の防振ガスケット1の平面図を示す。図3は、図1のA−A断面図を示す。図4は、第一取付部材11および第二取付部材12の軸方向断面図を示す。具体的には、図4(a)は、第一取付部材11の軸方向断面図を示す。図4(b)は、第二取付部材12の軸方向断面図を示す。
【0036】
防振ガスケット1は、自動車の内燃機関の吸気系通路上に設けられている。具体的には、内燃機関の吸気ポートから延出された吸気管と、吸気系通路上における吸気ダクトが接続されるコレクタとの間に設けられている。つまり、防振ガスケット1は、内燃機関の作動により内燃機関が振動する場合に、その振動が吸気ダクト側へ伝達されることを抑制するためのものである。
【0037】
この防振ガスケット1は、図1〜図4に示すように、第一取付部材11と、第二取付部材12と、ゴム弾性体13と、熱伝導部材14と、断熱部材15とから構成される。
【0038】
第一取付部材11は、鉄やアルミニウム等の金属板からなり、菱形のような形状に形成されている。そして、第一取付部材11の菱形の対向角部に、2個の取付用穴11a、11bが形成されている。さらに、第一取付部材11の中央部には、取付用穴11a、11bより大きな円形の第一貫通孔11cが形成されている。つまり、第一取付部材11は、リング状に形成されていることになる。
【0039】
さらに、この第一貫通孔11cのうち、軸方向一方端面は、周方向全周に亘って切欠部11dが形成されている。この切欠部11dは、後述する第一シール部13bが形成される部分である。さらに、第一貫通孔11cのうち切欠部11dが形成される側の端部には、径方向内方に突出する第一突環部11eが周方向全周に亘って形成されている。
【0040】
そして、この第一取付部材11は、内燃機関の吸気ポートから延出された吸気管(本発明における「第一部材」に相当する)の先端に取り付けられている。具体的には、2個の取付用穴11a、11bにボルトを挿通して、第一取付部材11が吸気管に固定される。このとき、第一貫通孔11cが吸気管の開口端に一致するようにされている。
【0041】
第二取付部材12は、鉄やアルミニウム等の金属板からなり、第一取付部材11とほぼ同形状に形成されている。すなわち、第二取付部材12は、菱形のような形状に形成されている。そして、第二取付部材12の菱形の対向角部に、2個の取付用穴12a、12bが形成されている。さらに、第二取付部材12の中央部には、取付用穴12a、12bより大きく、第一貫通孔11cと同形状である円形の第二貫通孔12cが形成されている。つまり、第二取付部材12は、リング状に形成されていることになる。
【0042】
さらに、この第二貫通孔12cのうち、軸方向一方端面は、周方向全周に亘って切欠部12dが形成されている。この切欠部12dは、後述する第二シール部13cが形成される部分である。さらに、第二貫通孔12cのうち切欠部12dが形成される側の端部には、径方向内方に突出する第二突環部12eが周方向全周に亘って形成されている。
【0043】
この第二取付部材12は、吸気ダクトが接続されるコレクタ(本発明における「第二部材」に相当する)に取り付けられている。具体的には、2個の取付用穴12a、12bにボルトを挿通して、第二取付部材12がコレクタに固定される。このとき、第二貫通孔12cがコレクタの開口端に一致するようにされている。そして、この第二取付部材12は、第一取付部材11に離隔して配置されている。具体的には、第二取付部材12は、第一取付部材11に対向するように配置されている。そして、第一取付部材11および第二取付部材12をそれぞれ相手部材に取り付ける場合には、その離間距離を僅かに小さくした状態で取り付ける。つまり、防振ガスケット1が吸気管およびコレクタに取り付けられた状態において、後述するゴム弾性体13の筒状連結部13aを僅かに圧縮した状態とする。
【0044】
ゴム弾性体13は、全体として、薄肉の円筒状からなり、加硫成形されている。このゴム弾性体13は、筒状連結部13aと、第一シール部13bと、第二シール部13cとから構成されている。
【0045】
筒状連結部13aは、円筒状からなる部分であって、離隔して配置された第一取付部材11と第二取付部材12との間に加硫成形され、第一取付部材11と第二取付部材12とを加硫接着により連結している。この筒状連結部13aは、第一貫通孔11cと第二貫通孔12cとを連通するように形成されている。すなわち、筒状連結部13aの両開口端が、それぞれ、第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cの内周縁およびその周囲に連結されている。具体的には、筒状連結部13aの内径が、第一突環部11eおよび第二突環部12eの内径よりも僅かに小さくされている。また、筒状連結部13aの外径は、第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cの内径よりも僅かに大きくされている。このように、筒状連結部13aは、その内部に、流体通路を形成する。
【0046】
第一シール部13bは、筒状連結部13aのうち第一取付部材11側の端部に一体加硫成形されている部分である。この第一シール部13bは、第一切欠部11d全体に成形されている。そして、第一シール部13bは、第一取付部材11からゴム弾性体13の軸方向外方に突出している。従って、第一シール部13bは、第一取付部材11が吸気管に取り付けられた状態において、吸気管に押圧されることにより、軸方向に圧縮された状態で吸気管に当接する。つまり、第一シール部13bは、第一取付部材11と吸気管とが連通される吸気通路の外周を全周に亘ってシールする。
【0047】
第二シール部13cは、筒状連結部13aのうち第二取付部材12側の端部に一体加硫成形されている部分である。この第二シール部13cは、第二切欠部12d全体に成形されている。そして、第二シール部13cは、第二取付部材12からゴム弾性体13の軸方向外方に突出している。従って、第二シール部13cは、第二取付部材12がコレクタに取り付けられた状態において、コレクタに押圧されることにより、軸方向に圧縮された状態でコレクタに当接する。つまり、第二シール部13cは、第二取付部材12とコレクタとが連通される吸気通路の外周を全周に亘ってシールする。
【0048】
熱伝導部材14は、当接部14aと、熱的連結部14b(本発明における「連結部」に相当する)とから構成される。当接部14aは、繊維を編組して筒状に形成されている。この当接部14aは、ゴム弾性体13より熱伝導性の良好な材料であって、ゴム弾性体13より引張強度の高い材料により形成されている。本実施形態においては、熱伝導性の良好なアルミニウム等の金属を用いる。この当接部14aの外径は、第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cの内径よりも非常に僅かであるが大きく、且つ、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの外径よりも小さく形成されている。当接部14aの内径は、第一突環部11eおよび第二突環部12eの内径とほぼ同等であって、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内径よりも大きく形成されている。
【0049】
そして、当接部14aは、第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cに圧入されている。また、当接部14aの両端面が、第一突環部11eおよび第二突環部12eに当接している。つまり、当接部14aは、第一突環部11eおよび第二突環部12eに対して、軸方向に係合している。これにより、当接部14aは、第一取付部材11および第二取付部材12に対して位置決めされた状態で、当接部14aの両端が、第一取付部材11および第二取付部材12に固定されている。さらに、当接部14aは、ゴム弾性体13の内部に埋設されている。つまり、当接部14aの全周囲が、ゴム弾性体13に当接している。
【0050】
ここで、繊維を編組した筒状からなる当接部14aの動作について説明しておく。当接部14aは、繊維を編組しているので、基本的には変形の自由度が高い。具体的には、当接部14aは、筒状の軸方向への圧縮変形、および、筒状の軸直交方向へのせん断変形に対して変形自由度が高い。ただし、当接部14aは、繊維を編組して筒状に形成されているので、当接部14aが伸びる方向への変形に対しては非常に高い強度を有する。具体的には、当接部14aは、筒状の軸方向への伸長変形、および、筒状の拡径変形に対して、変形しないように作用する。さらに、当接部14aの筒状の両端が第一取付部材11および第二取付部材12に固定されているので、筒状の中間部分が径方向へ縮径する変形に対して、変形しないように作用する。
【0051】
熱伝導部材14の熱的連結部14bは、繊維を編組する等により、変形自在な糸状またはケーブル状に形成されている。そして、熱的連結部14bは、ゴム弾性体13より熱伝導性の良好な材料により形成されている。例えば、熱的連結部14bは、当接部14aと同様、アルミニウム等の金属を用いる。この熱的連結部14bの一端が、当接部14aに一体的に結合されている。つまり、熱的連結部14bの一端は、当接部14aの外周面から、当接部14aの筒状の径方向外方へ延びるようにされている。そして、熱的連結部14bの他端が、車両に搭載された冷却装置16に接続されている。この冷却装置16は、例えば、ラジエターやインタークーラー等である。つまり、熱的連結部14bは、当接部14aと冷却装置16とを連結し、両者間において熱伝導を可能としている。
【0052】
断熱部材15は、熱的連結部14bの外表面を被覆している。本実施形態においては、熱的連結部14bの全て、すなわち、当接部14aから放熱部材16までの間全てを、断熱部材15により被覆している。この断熱部材15は、例えば、ゴムチューブ等を用いることができる。
【0053】
(防振ガスケット1の製造方法)
次に、上述した構成からなる防振ガスケット1の製造方法について、図5を参照して説明する。ただし、ここでは、防振ガスケット1を構成する、第一取付部材11、第二取付部材12、ゴム弾性体13、および当接部14aの一体部品を成形する方法について説明する。ここで、図5は、ゴム弾性体13を加硫成形する際の、第一取付部材11、第二取付部材12および当接部14aを成形金型に配置した状態を示す部分断面図を示す。
【0054】
まず、当接部14aの筒状の両端のそれぞれを第一取付部材11および第二取付部材12に取り付ける(当接部取付工程)。つまり、当接部14aの筒状の両端を第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cに圧入し、且つ、当接部14aの筒状の両端面を第一突環部11eおよび第二突環部12eに当接させる。従って、この時点において、第一取付部材11、第二取付部材12および当接部14aは、実質的に一体的に結合されている。
【0055】
続いて、当接部14aが取り付けられた第一取付部材11および第二取付部材12からなる一体部品を、成形金型に配置する(金型配置工程)。ここで、成形金型は、上型21と、下型22と、中間型23とからなる。上型21は、ほぼ平板状からなり、その一方面(図5の下方面)は、第一取付部材11のうち軸方向外方の端面、および、後に成形されるゴム弾性体13の第一シール部13bに倣う形状に形成されている。下型22は、基板部22aと、基板部22aの一方面側(図5の上方面)の中央に図5の上側に突出する円形凸部22bを有する。基板部22aは、第二取付部材12のうち軸方向外方の端面、および、後に成形されるゴム弾性体13の第二シール部13cに倣う形状に形成されている。さらに、円形凸部22bは、後に成形されるゴム弾性体13の筒状連結部13aの内周面に倣う形状に形成されている。中間型23は、円筒状からなる。この中間型23の筒幅は、第一取付部材11と第二取付部材12との離間距離に対応している。そして、中間型23の内周面は、後に成形されるゴム弾性体13の筒状連結部13aの外周面に倣う形状に形成されている。つまり、当接部14aは、下型22の円形凸部22bの外周面と中間型23の内周面と間であって、両者から径方向に離隔した状態で配置されている。
【0056】
つまり、成形金型21〜23を配置した状態において、第一取付部材11は、上型21と中間型23とにより挟持されている。また、第二取付部材12は、下型22と中間型23とにより挟持されている。そして、これら成形金型21〜23により、後に成形されるゴム弾性体13の領域には、キャビティ24が形成されている。
【0057】
続いて、成形金型21〜23により形成されるキャビティ24にゴム射出成形をすることにより、ゴム弾性体13を加硫成形する(加硫成形工程)。このとき、当接部14aは、第一取付部材11および第二取付部材12に固定されているため、当接部14aがゴム射出成形による射出圧を受けた場合であっても、当接部14aは位置決めされた状態を維持できる。そして、この加硫成形工程により、成形されたゴム弾性体13は、第一取付部材11および第二取付部材12に一体的に連結される。さらに、ゴム弾性体13は、当接部14aをその内部に埋設するようにできる。
【0058】
(防振ガスケット1の作用)
次に、上述した構成からなる防振ガスケット1の作用について説明する。まず、内燃機関の作動により内燃機関が振動している場合において、防振ガスケット1により防振効果を発揮することを説明する。続いて、防振ガスケット1の流体通路内部の流体圧力が変化する場合において、防振ガスケット1の作用について説明する。最後に、防振ガスケット1が配置される周囲環境に影響を受ける場合、および、ゴム弾性体13自体が変形することに伴って発熱する場合であっても、ゴム弾性体13の温度上昇を抑制できることを説明する。
【0059】
内燃機関の振動により、第一取付部材11と第二取付部材12とが離間方向に近接する方向へ相対移動する場合に、ゴム弾性体13の筒状連結部13aは、当該離間方向に圧縮変形しようとする。この場合、当接部14aは、当該離間方向、すなわち当接部14aの筒状の軸方向への圧縮変形の自由度は高いので、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの変形に追従する。従って、この場合においては、ゴム弾性体13の筒状連結部13aによる防振効果を発揮する。
【0060】
さらに、内燃機関の振動により、第一取付部材11と第二取付部材12とが離間方向に直交する方向へ相対移動する場合には、ゴム弾性体13の筒状連結部13aは、せん断変形する。この場合、当接部14aは、当該離間方向の直交方向、すなわち当接部14aの筒状の軸直交方向へのせん断変形の自由度が高いので、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの変形に追従する。つまり、この場合、ゴム弾性体13の筒状連結部13aによる防振効果を発揮する。
【0061】
ここで、防振ガスケット1は、ゴム弾性体13の筒状連結部13aが筒状の軸方向に圧縮された状態(予圧をかけた状態)で、吸気系部品に取り付けられている。従って、内燃機関の振動により、第一取付部材11と第二取付部材12とが取付状態から離間方向に遠ざかる方向へ相対移動する場合には、ゴム弾性体13の筒状連結部13aが予め圧縮された分、伸長変形できる。ただし、ゴム弾性体13の筒状の軸方向長さの自由長よりも長くなるような変形は、規制される。この理由は、当接部14aが、当該離間方向の伸長変形に対して変形しないように作用するためである。つまり、予圧をかけている分、離間方向への伸長変形に対して、ゴム弾性体13の筒状連結部13aによる防振効果を発揮する。
【0062】
次に、流体通路内部の圧力が変化する場合における、防振ガスケット1の作用について説明する。まずは、流体通路内部の圧力が高くなる場合には、ゴム弾性体13の筒状連結部13aは、その内部の圧力が高くなることで、内径が大きくなるように変形しようとする。ただし、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの両端は、第一取付部材11および第二取付部材12に取り付けられているのでほとんど変形しない。従って、ゴム弾性体13の筒状連結部13aのうち、筒状の軸方向の中間部分ほど、内径が大きくなるように変形しようとする。ただし、当接部14aは、筒状の拡径変形に対しては変形しないように作用する。従って、当接部14aが、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内径が大きくなるような変形を、抑制する。
【0063】
そして、流体通路内部の圧力が低くなる場合には、ゴム弾性体13の筒状連結部13aは、その内部の圧力が低くなることで、内径が小さくなるように変形しようとする。ただし、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの両端は、第一取付部材11および第二取付部材12に取り付けられているのでほとんど変形しない。従って、ゴム弾性体13の筒状連結部13aのうち、筒状の軸方向の中間部分ほど、内径が小さくなるように変形しようとする。ただし、当接部14aは、筒状の両端が第一取付部材11および第二取付部材12に固定されているため、筒状の中間部分が径方向へ縮径する変形に対して変形しないように作用する。従って、当接部14aが、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内径が小さくなるような変形を、抑制する。
【0064】
つまり、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内部を流通する流体の圧力変化に伴って、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内部の体積が変化しようとする際に、当接部14aによりゴム弾性体13の筒状連結部13aの変形を抑制できる。その結果、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内部における、流体の流通方向に直交する方向の断面積が変化することを抑制できる。従って、当該断面積の変化に伴うエネルギー損失を低減できる。さらに、当該断面積の変化により流通流体の流速や流量等に与える影響を低減できる。
【0065】
次に、防振ガスケット1が配置される周囲環境に影響を受ける場合、および、ゴム弾性体13自体が変形することに伴って発熱する場合であっても、ゴム弾性体13の温度上昇を抑制できることを説明する。
【0066】
防振ガスケット1は、内燃機関の近傍に配置されている。従って、防振ガスケット1が配置されている周囲の環境温度は、他の車両部位に比べて高い。そのため、防振ガスケット1の温度が高くなってしまう。さらに、ゴム弾性体13の筒状連結部13aは、上述したように、内燃機関の振動に伴って変形する。この変形により、ゴム弾性体13自体が発熱する。ここで、ゴム弾性体13は、その温度が高くなると、耐久性が低下する性質を有している。
【0067】
しかし、熱伝導部材14の熱的連結部14bが、ゴム弾性体13の筒状連結部13aに埋設され全周囲が当接した当接部14aと、冷却装置16との間において、熱伝導できる。従って、ゴム弾性体13の熱を、当接部14aおよび熱的連結部14bを介して、冷却装置16に伝導することができる。これにより、防振ガスケット1が配置される周囲の環境温度が高いとしても、さらに、ゴム弾性体13自体が発熱したとしても、ゴム弾性体13の温度上昇を抑制できる。特に、冷却装置16の温度は、ゴム弾性体13の周囲環境温度に比べて非常に低いので、ゴム弾性体13の温度が上昇することをより確実に抑制できる。従って、ゴム弾性体13の耐久性の低下を防止できる。
【0068】
さらに、当接部14aは、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内部に埋設されている。これにより、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内周面から外周面までの全体に亘って、温度上昇を抑制できる。
【0069】
ただし、熱的連結部14bが配置される周囲の環境温度が高い場合には、その影響を受け、ゴム弾性体13と冷却装置16との熱伝導に影響を及ぼすおそれがある。しかし、この熱的連結部14bの外表面は、断熱部材15により被覆されているので、熱的連結部14bが配置される周囲環境温度が高いとしても、その影響を受けることなく、熱的連結部14bは、当接部14aと冷却装置16間の熱伝導を行うことができる。
【0070】
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態の防振ガスケット100について図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態の防振ガスケット100の軸方向断面図を示す。ここで、第2実施形態の防振ガスケット100は、第1実施形態の防振ガスケット1に対して、実質的に、当接部の配置位置のみ相違する。以下、第2実施形態の防振ガスケット100を構成する当接部114について説明する。
【0071】
当接部114aは、アルミニウム等の金属からなる繊維を編組して筒状に形成されている。この当接部114aの筒状の軸方向長さは、第一取付部材11と第二取付部材12の軸方向の離間距離とほぼ同等とされている。また、当接部114aの内径は、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの外径とほぼ同等とされている。そして、当接部114aは、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの外周面に固着されている。例えば、当接部114aは、ゴム弾性体13と一体加硫成形により固着してもよいし、ゴム弾性体13を加硫成形した後に接着剤などにより固着してもよい。何れの場合にも、当接部114aをゴム弾性体13に固着することが、非常に容易である。そして、この場合も、実質的に、第1実施形態と同様の効果を発揮する。
【0072】
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態の防振ガスケット200について図7を参照して説明する。図7は、第3実施形態の防振ガスケット200の径方向断面図(径方向に切断した断面図)を示す。この図7は、第1実施形態の防振ガスケット1を示す図3に対応する図である。ここで、第3実施形態の防振ガスケット200は、第1実施形態の防振ガスケット1に対して、熱伝導部材214のみ相違する。以下、第3実施形態の防振ガスケット200を構成する熱伝導部材214について説明する。
【0073】
熱伝導部材214は、第一当接部214aと、第二当接部214bと、熱的連結部214c(本発明における「連結部」に相当する)とから構成される。第一当接部214aおよび第二当接部214bは、それぞれ、繊維を編組して筒状に形成したものを、軸方向に均等に2分割したものである。つまり、第一当接部214aおよび第二当接部214bの径方向断面は、円弧状をなしている。
【0074】
この第一当接部214aおよび第二当接部214bは、アルミニウム等の金属からなる。そして、この第一当接部214aおよび第二当接部214bの外径および内径は、第1実施形態における当接部214aと同様である。すなわち、第一当接部214aおよび第二当接部214bの外径は、第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cの内径よりも非常に僅かであるが大きく、且つ、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの外径よりも小さく形成されている。第一当接部214aおよび第二当接部214bの内径は、第一突環部11eおよび第二突環部12eの内径とほぼ同等であって、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの内径よりも大きく形成されている。
【0075】
そして、第一当接部214aおよび第二当接部214bは、第一貫通孔11cおよび第二貫通孔12cに係止されている。さらに、第一当接部214aおよび第二当接部214bは、ゴム弾性体13の内部に埋設されている。つまり、第一当接部214aおよび第二当接部214bの全周囲が、ゴム弾性体13に当接している。
【0076】
熱的連結部214cは、繊維を編組する等により、変形自在な糸状またはケーブル状に形成されている。そして、熱的連結部214cは、アルミニウム等の金属により形成されている。この熱的連結部214cは、途中から二股に分岐しており、二股の一方端が、第一当接部214aに一体的に結合されている。つまり、熱的連結部214cの二股の一方端は、第一当接部214aの外周面から、第一当接部214aの径方向外方へ延びるようにされている。また、熱的連結部214cの二股の他方端は、第二当接部214bに一体的に結合されている。つまり、熱的連結部214cの二股の他方端は、第二当接部214bの外周面から、第二当接部214bの径方向外方へ延びるようにされている。そして、熱的連結部214cの結合端が、車両に搭載された冷却装置16に接続されている。つまり、熱的連結部214cは、第一当接部214aと冷却装置16とを連結し、両者間において熱伝導を可能としている。さらに、第二当接部214bと冷却装置16とを連結し、両者間において熱伝導を可能としている。
【0077】
この場合も、第1実施形態と同様に、ゴム弾性体13の温度上昇を抑制できる。さらに、熱的連結部214cが当接部214a、214bと複数箇所にて連結されることで、当接部214a、214bの広い範囲において、温度上昇の抑制効果を発揮できる。その結果、ゴム弾性体13の筒状連結部13aの広い範囲において、適切に温度上昇を抑制できる。例えば、熱的連結部214cと当接部214a、214bとが連結される箇所を、より多くすることで、ゴム弾性体13の温度分布を均一な状態に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】防振ガスケット1の軸方向断面図(軸方向に切断した断面図)を示す。
【図2】図1の防振ガスケット1の平面図を示す。
【図3】図1のA−A断面図を示す。
【図4】第一取付部材11および第二取付部材12の軸方向断面図を示す。
【図5】ゴム弾性体13を加硫成形する際の、第一取付部材11、第二取付部材12および当接部14aを成形金型に配置した状態を示す部分断面図を示す。
【図6】第2実施形態の防振ガスケット100の軸方向断面図を示す。
【図7】第3実施形態の防振ガスケット200の径方向断面図(径方向に切断した断面図)を示す。
【符号の説明】
【0079】
1、100、200:防振ガスケット、
11:第一取付部材、 11a、11b:取付用穴、
11c:第一貫通孔、 11d:切欠部、 11e:第一突環部、
12:第二取付部材、 12a、12b:取付用穴、
12c:第二貫通孔、 12d:切欠部、 12e:第二突環部、
13:ゴム弾性体、 13a:筒状連結部、 13b:第一シール部、
13c:第二シール部、
14、114、214:熱伝導部材、
14a、114a:当接部、 14b、114b、214c:熱的連結部、
214a:第一当接部、 214b:第二当接部、
15:断熱部材、 16:冷却装置、
21:上型、 22:下型、 22a:基板部、 22b:円形凸部、 23:中間型、
24:キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に第一貫通孔が形成され、第一部材に取り付けられる第一取付部材と、
中央部に第二貫通孔が形成され、前記第一取付部材に離隔して配置され、第二部材に取り付けられる第二取付部材と、
筒状からなり、前記第一貫通孔と前記第二貫通孔とを連通するように前記第一取付部材および前記第二取付部材に連結されるゴム弾性体と、
前記ゴム弾性体より熱伝導性の良好な材料からなり前記ゴム弾性体に当接する当接部と、前記ゴム弾性体より熱伝導性の良好な材料からなり前記当接部と車両に搭載された放熱部材とを連結する連結部と、を備える熱伝導部材と、
を備えることを特徴とする防振ガスケット。
【請求項2】
前記連結部の外表面を被覆する断熱部材をさらに備える請求項1に記載の防振ガスケット。
【請求項3】
前記放熱部材は、冷却装置である請求項1に記載の防振ガスケット。
【請求項4】
前記当接部は、筒状からなる請求項1〜3の何れか一項に記載の防振ガスケット。
【請求項5】
前記当接部は、前記ゴム弾性体の内部に埋設される請求項1〜4の何れか一項に記載の防振ガスケット。
【請求項6】
前記当接部は、前記ゴム弾性体の外周面に固着される請求項1〜3の何れか一項に記載の防振ガスケット。
【請求項7】
前記当接部は、前記ゴム弾性体より引張強度の高い材料からなる繊維を編組して筒状に形成される請求項4〜6の何れか一項に記載の防振ガスケット。
【請求項8】
前記第一取付部材は、内燃機関の吸気系通路上における前記内燃機関側の部品に取り付けられ、
前記第二取付部材は、前記吸気系通路上における前記内燃機関と反対側の部品に取り付けられる請求項7に記載の防振ガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−157072(P2008−157072A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345004(P2006−345004)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】