説明

防振ゴム用ゴム組成物及び防振ゴム

【課題】防振性に優れる防振ゴムが得られるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム系のゴム組成物を提供すること。
【解決手段】成分(A)〜(D)を含有する防振ゴム用ゴム組成物。
成分(A):ゴム成分(1)が60〜75重量%、ゴム成分(2)が40〜25重量%、[ゴム成分(1)のヨウ素価−ゴム成分(2)のヨウ素価]が5以上30以下である共重合体ゴム。
ゴム成分(1):エチレン単位が50〜80モル%、α−オレフィン単位が50〜20モル%、ヨウ素価が10〜30であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム
ゴム成分(2):エチレン単位が80モル%を超え95モル%以下、α−オレフィン単位が20モル%未満5モル%以上、ヨウ素価が0〜10であるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
成分(B):補強剤
成分(C):軟化剤
成分(D):加硫剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ゴム用ゴム組成物及び防振ゴムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジン回りや駆動系の部品、床材の部品、冷蔵庫なのコンプレッサーの近傍に装着される部品等には、振動の伝達を防止又は和らげるために、エンジンマウント、マフラーハンガー、防振パッド、防振マット等のゴム製品、いわゆる防振ゴムが使用される。
防振ゴムとしては、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムを使用した成形体が知られている。例えば、特許文献1は、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴムとカーボンブラックとオイルを含有するゴム組成物を加硫した加硫ゴムからなる防振ゴムが提案されている。また、特許文献2には、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムと液状エチレン−プロピレン共重合体とカーボンブラックとオイルを含有するゴム組成物を加硫した加硫ゴムからなる防振ゴムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−323236号公報
【特許文献2】特開平6−1891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム系の従来のゴム組成物を加硫した加硫ゴムからなる防振ゴムは、防振性において、十分満足のいくものではなかった。
【0005】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、防振性に優れる防振ゴムが得られるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム系のゴム組成物、及び、該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムからなる防振ゴムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、
成分(A)100重量部あたり、
成分(B)の含有量が1重量部以上70重量部以下であり、
成分(C)の含有量が1重量部以上90重量部以下であり、
成分(D)の含有量が0.01重量部以上15重量部以下である防振材用ゴム組成物にかかるものである。
成分(A):下記ゴム成分(1)及びゴム成分(2)からなり、ゴム成分(1)とゴム成分(2)との合計を100重量%として、ゴム成分(1)の含有量が60重量%以上75重量%以下であり、ゴム成分(2)の含有量が40重量%以下25重量%以上である共重合体ゴム。
ゴム成分(1):エチレンに基づく単量体単位の含有量が50モル%以上80モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が50モル%以下20モル%以上(ただし、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位との合計を100モル%とする。)であり、ヨウ素価が10以上30以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム
ゴム成分(2):エチレンに基づく単量体単位の含有量が80モル%を超え95モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が20モル%未満5モル%以上(ただし、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位との合計を100モル%とする。)であり、ヨウ素価が0以上10以下であり、ゴム成分(1)のヨウ素価とゴム成分(2)のヨウ素価との差が5以上30以下あるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
成分(B):補強剤
成分(C):軟化剤
成分(D):加硫剤
【0007】
本発明の第2は、上記ゴム組成物が加硫された加硫ゴムからなる防振ゴムにかかるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、防振性に優れる防振ゴムが得られるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム系のゴム組成物、及び、該ゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴムからなる防振ゴムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に用いる成分(A)は、下記ゴム成分(1)及びゴム成分(2)からなり、ゴム成分(1)とゴム成分(2)との合計を100重量%として、ゴム成分(1)の含有量が60重量%以上75重量%以下であり、ゴム成分(2)の含有量が40重量%以下25重量%以上である共重合体ゴムである。
ゴム成分(1):エチレンに基づく単量体単位の含有量が50モル%以上80モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が50モル%以下20モル%以上(ただし、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位との合計を100モル%とする。)であり、ヨウ素価が10以上30以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム
ゴム成分(2):エチレンに基づく単量体単位の含有量が80モル%を超え95モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が20モル%未満5モル%以上(ただし、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位との合計を100モル%とする。)であり、ヨウ素価が0以上10以下であり、ゴム成分(1)のヨウ素価とゴム成分(2)のヨウ素価との差が5以上30以下あるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
【0010】
ゴム成分(1)及びゴム成分(2)のα−オレフィンとしては、好ましくは、炭素原子数3〜20のα−オレフィンであり、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状α−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐状α−オレフィンがあげられる。これらは、1種以上使用される。α−オレフィンとしては、好ましくは、プロピレン、1−ブテンであり、より好ましくはプロピレンである。
【0011】
ゴム成分(1)及びゴム成分(2)の非共役ポリエンとしては、たとえば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、1,4,9−デカトリエン、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン、8,14,16−トリメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン、4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン等のトリエンがあげられる。これらは、1種以上使用される。非共役ポリエンとしては、好ましくは、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンからなる非共役ポリエン群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0012】
ゴム成分(1)のエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムをあげることができる。
【0013】
ゴム成分(1)のエチレンに基づく単量体単位(エチレン単位)の含有量は50モル%以上80モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位(α−オレフィン単位)の含有量は50モル%以下20モル%以上である。圧縮永久歪を低減し、動倍率を低くする(防振性を高める)ために、好ましくは、エチレン単位の含有量は55モル%以上80モル%以下、α−オレフィン単位の含有量は45モル%以下20モル%以上であり、より好ましくは、エチレン単位の含有量は60モル%以上78モル%以下、α−オレフィン単位の含有量は40モル%以下22モル%以上である。ただし、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100モル%とする。
【0014】
ゴム成分(1)のヨウ素価(g/100gゴム)は10以上30以下である。耐候性を高めるために、好ましくは10以上25以下であり、より好ましくは10以上20以下である。
【0015】
ゴム成分(2)のエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムをあげることができる。エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ヘキセン共重合体ゴム、エチレン−1−オクテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体ゴムをあげることができる。エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴムをあげることができる。
【0016】
ゴム成分(2)のエチレン単位の含有量は80モル%を超え95モル%以下、α−オレフィン単位の含有量が20モル%未満5モル%以上である。圧縮永久歪を低減し、動倍率を低くする(防振性を高める)ために、好ましくは、エチレン単位の含有量は82モル%以上90モル%以下、α−オレフィン単位の含有量が18モル%以下10モル%以上であり、より好ましくは、エチレン単位の含有量は83モル%以上90モル%以下、α−オレフィン単位の含有量が17%以下10モル%以上である。ただし、エチレン単位の含有量とα−オレフィン単位の含有量の合計を100モル%とする。
【0017】
ゴム成分(2)のヨウ素価(g/100gゴム)は0以上10以下である。剛性を高め(防振性を高め)および耐候性を高めるために、好ましくは0以上9以下であり、より好ましくは0以上8以下である。
【0018】
ゴム成分(1)のヨウ素価とゴム成分(2)のヨウ素価との差は5以上30以下である。該差は、剛性を高める(防振性を高める)ために、好ましくは5以上である。該差は、動倍率を低くする(防振性を高める)ために、好ましくは25以下であり、より好ましくは20以下である。
【0019】
成分(A)中のゴム成分(1)の含有量は、60重量%以上75重量%以下であり、ゴム成分(2)の含有量は40重量%以下25重量%以上である。防振性及び剛性、混練加工性を高めるために、好ましくは、ゴム成分(1)の含有量は63重量%以上70重量%以下であり、ゴム成分(2)の含有量は37重量%以下30重量%以上である。ただし、ゴム成分(1)とゴム成分(2)の合計を100重量%とする。
【0020】
成分(A)の極限粘度[η]は、強度、混練加工性を高めるために、好ましくは1dl/g以上10dl/g以下であり、より好ましくは1.5dl/g以上8dl/g以下であり、更に好ましくは1.8dl/g以上5dl/g以下である。該極限粘度[η]は、テトラリン中、135℃で測定される。
【0021】
成分(A)の分子量分布(ポリスチレン換算Z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)の比:Mz/Mn)は、強度、混練加工性を高めるために、好ましくは3以上7以下である。また、分子量分布は、強度を高めるために、単峰性であることが好ましい。
【0022】
成分(A)の製造方法としては、直列に連結した2つの反応槽を用いて、ゴム成分(1)とゴム成分(2)とのいずれか一方を第1反応槽で製造し、第1反応槽で製造されたゴム成分を第2反応槽に供給し、該ゴム成分の存在下、他方のゴム成分を第2反応槽で製造する方法をあげることができる。例えば、エチレン、α−オレフィン、非共役ポリエン、溶媒、水素および重合触媒を第1反応槽に供給し、ゴム成分(1)とゴム成分(2)とのいずれか一方を第1反応槽で製造し、第1反応槽で製造されたゴム成分、エチレン、α−オレフィン、非共役ポリエン、溶媒、水素および重合触媒を第2反応槽に供給し、他方のゴム成分を第2反応槽で製造する方法があげられる。
【0023】
ゴム成分(1)の製造に用いられる重合触媒としては、好適には、下記一般式(1)で表されるバナジウム化合物と下記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物とを重合触媒成分とする重合触媒である。
一般式(1)
VO(OR)m3-m(式中、Rは炭素原子数1〜8の直鎖状炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表し、mは0≦m≦3を充足する数を表す。)
一般式(2)
R”jAlX”3-j(式中、R”は炭化水素基を表し、X”はハロゲン原子を表し、jは0<j≦3を充足する数を表す。)
【0024】
一般式(1)において、Rは炭素原子数1〜8の直鎖状炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1〜8の直鎖状アルキル基をあげることができる。好ましくは、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基である。Xはハロゲン原子を表し、塩素原子などをあげることができる。また、mは0≦m≦3を充足する数を表し、好ましくは0≦m≦2を充足する数である。
【0025】
一般式(1)で表されるバナジウム化合物において、mが0を超える化合物は、VOCl3、VO(OCH3)Cl2、VO(OC25)Cl2、VO(O(n-C37))Cl2、VO(O(n-C49))Cl2、VO(O(n-C511))Cl2、VO(O(n-C613))Cl2、VO(O(n-C715))Cl2、VO(O(n-C817))Cl2、VO(OCH30.5Cl2.5、VO(OC250.5Cl2.5、VO(O(n-C37))0.5Cl2.5、VO(O(n-C49))0.5Cl2.5、VO(O(n-C511))0.5Cl2.5、VO(O(n-C613))0.5Cl2.5、VO(O(n-C715))0.5Cl2.5、VO(O(n-C817))0.5Cl2.5、VO(OCH31.5Cl0.5、VO(OC251.5Cl0.5、VO(O(n-C37))1.5Cl0.5、VO(O(n-C49))1.5Cl0.5、VO(O(n-C511))1.5Cl0.5、VO(O(n-C613))1.5Cl0.5、VO(O(n-C715))1.5Cl0.5、VO(O(n-C817))1.5Cl0.5、VO(OCH30.8Cl2.2、VO(OC250.8Cl2.2、VO(O(n-C37))0.8Cl2.2、VO(O(n-C49))0.8Cl2.2、VO(O(n-C511))0.8Cl2.2、VO(O(n-C613))0.8Cl2.2、VO(O(n-C715))0.8Cl2.2、VO(O(n-C817))0.8Cl2.2等をあげることができる。好ましくは、VOCl3、VO(OC25)Cl2、VO(OC250.5Cl2.5、VO(OC251.5Cl0.5、VO(OC250.8Cl2.2である。
【0026】
一般式(1)で表されるバナジウム化合物は、VOX3とROHとを所定のモル比で反応させる方法により得られる。例えば、VOCl3とC25OHとの反応は、次式で示される。
VOCl3 + m・C25OH → VO(OC25mCl3-m + m・HCl
【0027】
一般式(2)において、R”は炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基をあげることができる。X”はハロゲン原子を表し、塩素原子などをあげることができる。また、jは0<j≦3を充足する数を表し、好ましくは1≦m≦2を充足する数である。
【0028】
一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物としては、(C252AlCl、(n-C492AlCl、(iso-C492AlCl、(n-C6132AlCl、(n-C251.5AlCl1.5、(n-C491.5AlCl1.5、(iso-C491.5AlCl1.5、(n-C6131.5AlCl1.5、C25AlCl2、(n-C49)AlCl2、(iso-C49)AlCl2、(n-C613)AlCl2等が例示できる。
【0029】
ゴム成分(2)の製造に用いられる重合触媒としては、好適には、下記一般式(3)で表されるバナジウム化合物と上記一般式(2)で表される有機アルミニウム化合物とを重合触媒成分とする重合触媒である。
一般式(3)
VO(OR’)nX’3-n(式中、R’は炭素原子数3〜8の第2級または第3級炭化水素基を表し、X’はハロゲン原子を表し、nは0<n≦3を充足する数を表す。)
【0030】
一般式(3)において、R’は炭素原子数3〜8の第2級または第3級炭化水素基を表し、例えば、iso−プロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素原子数3〜8の第2級または第3級アルキル基をあげることができる。好ましくは、炭素原子数3〜4の第2級または第3級アルキル基である。X’はハロゲン原子を表し、塩素原子などをあげることができる。また、nは0<n≦3を充足する数を表し、好ましくは0.5<n≦2を充足する数である。
【0031】
一般式(3)で表されるバナジウム化合物としては、VO(O(iso-C37))Cl2、VO(O(iso-C37))0.5Cl2.5、VO(O(iso-C37))1.5Cl0.5、VO(O(iso-C37))0.8Cl2.2等をあげることができる。好ましくは、VO(O(iso-C37))0.8Cl2.2である。
【0032】
一般式(3)で表されるバナジウム化合物は、VOX’3とR’OHとを所定のモル比で反応させる方法により得られる。例えば、VOCl3とiso-C37OHとの反応は、次式で示される。
VOCl3 + n・iso-C37OH
→ VO(O(iso-C37nCl3-n + n・HCl
【0033】
ゴム成分(1)及びゴム成分(2)の製造において、上記有機アルミニウム化合物の使用量と上記バナジウム化合物の使用量のモル比(有機アルミニウム化合物のモル/バナジウム化合物のモル)は、好ましくは、2.5〜50である。
【0034】
溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素等の不活性溶媒を用いることができる。
【0035】
重合温度は、通常、−20℃〜200℃であり、好ましくは0℃〜150℃であり、より好ましくは20℃〜120℃である。また、重合圧力は、通常、0.1MPa〜10MPaであり、好ましくは0.1MPa〜5MPaであり、より好ましくは0.1MPa〜3MPaである。
【0036】
本発明に用いる成分(B)は、補強剤である。補強剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸アルミニウムがあげられる。カーボンブラックとしては、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MTがあげられ、これらのカーボンブラックは、シランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていてもよい。
【0037】
ゴム組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)を100重量部として、1重量部以上70重量部以下であり、好ましくは10重量部以上60重量部以下であり、より好ましくは20重量部以上50重量部以下である。
【0038】
本発明に用いる成分(C)は、軟化剤である。軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油、サブ、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質があげられる。
【0039】
ゴム組成物中の成分(C)の含有量は、成分(A)を100重量部として、1重量部以上90重量部以下であり、好ましくは10重量部以上80重量部以下であり、より好ましくは20重量部以上70重量部以下である。なお、成分(C)の含有量には油展共重合体ゴムの調製段階で添加する軟化剤も含まれる。
【0040】
本発明に用いる成分(D)は、加硫剤である。加硫剤としては、硫黄、硫黄系化合物、有機過酸化物があげられる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄があげられる。
【0041】
有機過酸化物としては、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、および第三ブチルヒドロペルオキシドなどをあげることができる。好ましくは、ジクミルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド、ジ第三ブチルペルオキシド−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンであり、より好ましくは、ジ第三ブチルペルオキシド−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。
【0042】
ゴム組成物中の成分(D)の含有量は、成分(A)を100重量部として、0.01重量部以上15重量部以下である。成分(D)として、硫黄及び/又は硫黄系化合物を使用する場合、硫黄および硫黄系化合物の合計含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.01重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部以上5重量部以下である。また、成分(D)として、有機過酸化物を使用する場合、有機過酸化物の含有量は、好ましくは0.1重量部以上15重量部以下であり、より好ましくは1重量部以上8重量部以下である。
【0043】
ゴム組成物は、添加剤、例えば、加硫助剤、加硫促進剤、発泡剤、発泡助剤、安定剤、消泡剤を含有していてもよい。
【0044】
硫黄または硫黄系化合物に対する加硫助剤としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物があげられる。好ましくは、酸化亜鉛である。該加硫助剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは1重量部以上20重量部以下である。
【0045】
有機過酸化物に対する加硫助剤としては、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタアクリロキシエチルホスフェート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−メチロールメタクリルアミド、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メタクリル酸アルミニウム、メタクリル亜鉛、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸マグネシウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等があげられる。該加硫助剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.05重量部以上15重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部以上8重量部以下である。
【0046】
加硫促進剤としては、4,4'−ジチオジモルホリン、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフエンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフエニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル−ジスルフイド、ジフエニルグアニジン、トリフエニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン、オルソトリル−バイ−グアナイド、ジフエニルグアニジン−フタレート、アセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア、2−メルカプトイミダゾリン、チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフエニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフエニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジブチルキサントゲン酸亜鉛、エチレンチオウレアがあげられる。加硫促進剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.05重量部以上20重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部以上8重量部以下である。
【0047】
発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機発泡剤;N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4’−ジフェニルジスルホニルアジド、P−トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物があげられる。発泡剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.01重量部以上15重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上8重量部以下である。
【0048】
発泡助剤としては、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸等の有機酸;尿素またはその誘導体があげられる。発泡助剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.01重量部以上15重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上8重量部以下である。
【0049】
安定剤としては、アミン系老化防止剤、ヒンダードフェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤があげられる。安定剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.01重量部以上15重量部以下であり、より好ましくは0.05重量部以上8重量部以下である。
【0050】
消泡剤としては、酸化カルシウムがあげられる。消泡剤の含有量は、成分(A)を100重量部として、好ましくは0.05重量部以上20重量部以下であり、より好ましくは0.1重量部以上8重量部以下である。
【0051】
ゴム組成物は、必要に応じて、樹脂を含有していてもよい。樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテルなどがあげられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等をあげることができる。
【0052】
ゴム組成物の調製方法としては、公知のゴム配合物の調製方法を用いることができる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスなどのインターナルミキサーを用いて、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び必要に応じて安定剤などの添加剤を、80℃〜170℃の温度で3分間〜10分間混練して、一次混練品を調製し、次いで、オープンロールなどのロ−ル類あるいはニーダーを用いて、温度40℃〜80℃で、一次混練品に、成分(D)、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤などを加えて、5分間〜30分間混練することにより調製することができる。上記のインターナルミキサーでの混練温度が、成分(D)、加硫促進剤および加硫助剤の分解温度よりも低い場合には、成分(D)、加硫促進剤および加硫助剤を同時に混練することもできる。
【0053】
本発明のゴム組成物は、防振ゴムに用いられる。防振ゴムとしては、エンジンマウント、マフラーハンガー、ストラットマウント、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマットなどがあげられる。
【0054】
防振ゴムの製造方法としては、ゴム組成物を公知の成形機(例えば、プレス成形機、インジェクション成形機、トランスファー成形機など)によって、所望形状を有する成形体に成形し、該成形と同時に又は該成形の後に、成形体を加熱あるいは電子線照射して加硫する方法があげられる。
【0055】
加熱により加硫する方法においては、金型を用いることができる。加熱温度は、好ましくは130℃〜250℃であり、加熱時間は、好ましくは1分間〜30分間である。
【0056】
電子線照射により加硫する方法においては、電子線のエネルギーは、好ましくは0.1MeV〜10MeVであり、より好ましくは0.3MeV〜2MeVである。また、吸収線量が0.5Mrad〜35Mradとなるように照射することが好ましく、吸収線量が0.5Mrad〜10Mradとなるように照射することがより好ましい。
【0057】
本発明のゴム組成物が加硫された加硫ゴムの硬度(JIS K6253 タイプA)は、好ましくは30〜80であり、より好ましくは35〜70であり、更に好ましくは40〜60である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0059】
[測定・評価方法]
(1)エチレン単位量およびプロピレン単位量
共重合体ゴムをホットプレス機により厚み約0.1mmのフィルムに成形し、赤外分光光度計(日本分光工業社製 IR−810)により該フィルムの赤外吸収スペクトルを測定した。該赤外吸収スペクトルから、文献(赤外吸収スペクトルによるポリエチレンのキャラクタリゼーション 高山、宇佐美 等著 又は Die Makromolekulare Chemie,177,461(1976)Mc Rae,M.A.,MadamS,W.F.等著)記載の方法に従って、エチレン単位量およびプロピレン単位量を求めた。
【0060】
(2)ヨウ素価
共重合体ゴムをホットプレス機により厚み約0.5mmのフィルムに成形した。赤外分光光度計により該フィルムの5−エチリデン−2−ノルボルネン由来のピーク(1688cm-1の吸収ピーク)の強度を測定した。該ピーク強度から二重結合のモル含量を求め、該モル含量からヨウ素価を算出した。
【0061】
(3)分子量分布
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法によって、下記の条件(1)〜(9)で、z平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mz/Mn)を求めた。
(1)装置:Waters製150C
(2)分離カラム:昭和電工社製Shodex Packed ColumnA−80M
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)試料濃度:約1mg/1mL
(7)試料注入量:400μL
(8)検出器:示差屈折
(9)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0062】
(4)極限粘度
ウベローデ型粘度計を用い、135℃のテトラリン溶液中で測定した。
【0063】
(5)圧縮永久歪
圧縮装置を用いて、JIS K6262−1997規定の小型試験片を25%圧縮し、雰囲気温度100℃のギヤーオーブン中で22時間、該小型試験片の圧縮を継続した。該22時間経過後、雰囲気温度23℃で小型試験片の圧縮を開放し、該試験片の残留歪率を測定した。本値が低いほど、耐熱性に優れる。
【0064】
(6)静的弾性率および動倍率
加硫シートから、JIS K6254−1993規定の短冊状1号型試験片を切り出した。次に、TENSILON万能引張試験機(エー・アンド・デイ社製 RTC−1210A)により、雰囲気温度23℃、引張速度50mm/minの試験条件で、JIS6254−1993「5.低変形引張試験」に従い、静的せん断弾性率を測定し、該静的せん断弾性率の値を3倍したものを静的弾性率とした。本値が高いほど、剛性が高く、剛性が高いほど、防振性が優れる。動的弾性率は、JIS K6254−1993規定の短冊状1号型試験片の全長を50mmとし、VR−7110全自動粘弾性アナライザ(上島製作所社製)を用い、雰囲気温度23℃、振動周波数100Hz、初期伸長5%、振幅±0.1%の条件で測定した。上記動的弾性率を上記静的弾性率で除した値を動倍率とした。本値が低いほど、防振性が優れる。
【0065】
実施例1
(共重合体ゴムの調製)
攪拌機を備えたステンレススチール製の温度を45℃に保った第1重合槽に、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、ヘキサンを0.755kg/(hr・L)、エチレンを41.8g/(hr・L)、プロピレンを89.5g/(hr・L)の速度で供給した。VOCl3を29.1mg/(hr・L)、エタノールを14.0mg/(hr・L)の速度(VOCl3/エタノール=1/1.8(モル比))で、第1重合槽に供給した。なお、VOCl3とエタノールとは、重合槽に供給する前に、ラインミキサーで混合・攪拌した。また、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)を166mg/(hr・L)、水素を0.050NL/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。更に5−エチリデン−2−ノルボルネンを3.5g/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。
第1重合槽からは、重合槽内の重合溶液の量が一定となるように、重合溶液を抜き出した。第1重合槽から抜き出された重合溶液を分析した結果、第1重合槽で、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、40g/(hr・L)の共重合体ゴムが生成していた。該共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.75/0.25であり、ヨウ素価は11(g/100gゴム)であった。
【0066】
第1重合槽と同容積の攪拌機を備えたステンレススチール製の温度を60℃に保った第2重合槽に、第1重合槽から抜き出した重合溶液をフィードした。単位時間・第2重合槽の単位容積あたり、ヘキサンを0.423kg/(hr・L)、エチレンを18.0g/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。VO(O(iso−C37))0.8Cl2.2を9.7mg/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。また、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)を34mg/(hr・L)、水素を0.080NL/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。
第2重合槽からは、重合槽内の重合溶液の量が一定となるように、重合溶液を抜き出した。第2重合槽から抜き出された重合溶液を分析した結果、該重合溶液中の共重合体ゴムの含有量は、単位時間・第2重合槽の単位容積あたり、55g/(hr・L)であった。
第2重合槽から抜き出された重合溶液に、当該重合溶液中の共重合体ゴム100重量部あたり30重量部のパラフィン系オイル(出光興産社製 ダイアナPW380)を添加し、重合溶液から重合溶媒を除去して、油展共重合体ゴム(以下、EPDM−Aと記す。)を調製した。
EPDM−Aを分析したところ、EPDM−A中の共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.77/0.23であり、ヨウ素価は11(g/100gゴム)であり、極限粘度は3.1dl/g、分子量分布は3であった。
第2重合槽では、単位時間・第2重合槽の単位容積あたり、15g/(hr・L)の共重合体ゴムが生成し、該共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.83/0.17であり、ヨウ素価は5(g/100gゴム)であることがわかった。
【0067】
(ゴム組成物の調製)
工程(1)
130重量部のEPDM−Aと、5重量部の酸化亜鉛(正同化学社製 活性亜鉛華AZO)と、1重量部のステアリン酸と、30重量部のSRFカーボンブラック(旭カーボン社製 旭50G)と、10重量部のパラフィン系オイル(コスモ石油社製 コスモニュートラル700)、1重量部の老化防止剤(住友化学社製 アンチゲンRD)をバンバリーミキサーで混練して、混練物を得た。混練においては、混練開始時のバンバリーミキサーの温度を80℃とし、ローター回転数を60rpmとし、混練時間を5分間とした。
【0068】
工程(2)
上記混練物と、該混練物中のEPDM−A 130重量部あたり、1.9重量部のジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ラインケミー社製 レノグランZDBC−80)、0.6重量部のテトラメチルチウラムジスルフィド(ラインケミー社製 レノグランTMTD−80)、1.9重量部のN−シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(ラインケミー社製 レノグランCBS−80)、1.3重量部の4,4'−ジチオジモルホリン(大内新興化学工業社製 ノックマスターR80E)、0.5重量部のイオウをロール温度50℃の8インチのオープンロールで混合して、ゴム組成物を得た。
【0069】
(加硫成形体の調製)
工程(2)で得られたゴム組成物を、160℃で25分間圧縮成形して、成形と加硫とを同時に行い、厚さが2mmの加硫されたシートとJIS K6262−1997規定の小型試験片を作成した。該シートおよび該試験片の評価結果を表1に示す。
【0070】
比較例1
(共重合体ゴムの調製)
攪拌機を備えたステンレススチール製の温度を50℃に保った第1重合槽に、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、ヘキサンを0.649kg/(hr・L)、エチレンを43.2g/(hr・L)、プロピレンを104.5g/(hr・L)の速度で供給した。VOCl3を23.1mg/(hr・L)の速度で、第1重合槽に供給した。また、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)を138.8mg/(hr・L)、水素を0.035NL/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。更に5−エチリデン−2−ノルボルネンを3.1g/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。
第1重合槽からは、重合槽内の重合溶液の量が一定となるように、重合溶液を抜き出した。第1重合槽から抜き出された重合溶液を分析した結果、第1重合槽で、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、34g/(hr・L)の共重合体ゴムが生成していた。
第1重合槽から抜き出された重合溶液に、当該重合溶液中の共重合体ゴム100重量部あたり30重量部のパラフィン系オイル(出光興産社製 ダイアナPW380)を添加し、重合溶液から重合溶媒を除去して、油展共重合体ゴム(以下、EPDM−Bと記す。)を調製した。
EPDM−Bを分析したところ、EPDM−B中の共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.83/0.17であり、ヨウ素価は11(g/100gゴム)であり、極限粘度は3.0dl/g、分子量分布は2.0であった。
【0071】
(ゴム組成物の調製、加硫成形体の調製)
EPDM−AにかえてEPDM−Bを用いた以外は、実施例1の「ゴム組成物の調製」および「加硫成形体の調製」と同様にして、加硫シートと小型試験片を作成した。該シートおよび該試験片の評価結果を表1に示す。
【0072】
比較例2
(共重合体ゴムの調製)
攪拌機を備えたステンレススチール製の温度を48℃に保った第1重合槽に、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、ヘキサンを0.680kg/(hr・L)、エチレンを41.2g/(hr・L)、プロピレンを114.6g/(hr・L)の速度で供給した。VOCl3を26.5mg/(hr・L)の速度で、第1重合槽に供給した。また、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)を214.4mg/(hr・L)、水素を0.015NL/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。更に5−エチリデン−2−ノルボルネンを3.9g/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。
第1重合槽からは、重合槽内の重合溶液の量が一定となるように、重合溶液を抜き出した。第1重合槽から抜き出された重合溶液を分析した結果、第1重合槽で、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、33g/(hr・L)の共重合体ゴムが生成していた。
第1重合槽から抜き出された重合溶液に、当該重合溶液中の共重合体ゴム量と同量のラフィン系オイル(出光興産社製 ダイアナPW380)を添加し、重合溶液から重合溶媒を除去して、油展共重合体ゴム(以下、EPDM−Cと記す。)を調製した。
EPDM−Cを分析したところ、EPDM−C中の共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.80/0.20であり、ヨウ素価は9.2(g/100gゴム)であり、極限粘度は3.7dl/g、分子量分布は2.6であった。
【0073】
(ゴム組成物の調製)
工程(1)
200重量部のEPDM−Cと、5重量部の酸化亜鉛(正同化学社製 活性亜鉛華AZO)と、1重量部のステアリン酸と、80重量部のSRFカーボンブラック(旭カーボン社製 旭50G)1重量部の老化防止剤(住友化学社製 アンチゲンRD)をバンバリーミキサーで混練して、混練物を得た。混練においては、混練開始時のバンバリーミキサーの温度を80℃とし、ローター回転数を60rpmとし、混練時間を5分間とした。
【0074】
工程(2)
上記混練物と、該混練物中のEPDM−C 200重量部あたり、1.9重量部のジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ラインケミー社製 レノグランZDBC−80)、0.6重量部のテトラメチルチウラムジスルフィド(ラインケミー社製 レノグランTMTD−80)、1.9重量部のN−シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド(ラインケミー社製 レノグランCBS−80)、1.3重量部の4,4'−ジチオジモルホリン(大内新興化学工業社製 ノックマスターR80E)、0.5重量部のイオウをロール温度50℃の8インチのオープンロールで混合して、ゴム組成物を得た。
【0075】
(加硫成形体の調製)
工程(2)で得られたゴム組成物を、160℃で25分間圧縮成形して、成形と加硫とを同時に行い、厚さが2mmの加硫されたシートとJIS K6262−1997規定の小型試験片を作成した。該シートおよび該試験片の評価結果を表1に示す。
【0076】
比較例3
(共重合体ゴムの調製)
攪拌機を備えたステンレススチール製の温度を44℃に保った第1重合槽に、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、ヘキサンを0.722kg/(hr・L)、エチレンを36.3g/(hr・L)、プロピレンを76.3g/(hr・L)の速度で供給した。VOCl3を28.4mg/(hr・L)、エタノールを13.6mg/(hr・L)の速度(VOCl3/エタノール=1/1.8(モル比))で、第1重合槽に供給した。なお、VOCl3とエタノールとは、重合槽に供給する前に、ラインミキサーで混合・攪拌した。また、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)を162mg/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。更に5−エチリデン−2−ノルボルネンを4.1g/(hr・L)の速度で第1重合槽に供給した。
第1重合槽からは、重合槽内の重合溶液の量が一定となるように、重合溶液を抜き出した。第1重合槽から抜き出された重合溶液を分析した結果、第1重合槽で、単位時間・第1重合槽の単位容積あたり、44g/(hr・L)の共重合体ゴムが生成していた。該共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.77/0.23であり、ヨウ素価は13(g/100gゴム)であった。
【0077】
第1重合槽と同容積の攪拌機を備えたステンレススチール製の温度を60℃に保った第2重合槽に、第1重合槽から抜き出した重合溶液をフィードした。単位時間・第2重合槽の単位容積あたり、ヘキサンを0.401kg/(hr・L)、エチレンを17.6g/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。VO(O(iso−C37))0.8Cl2.2を20mg/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。また、エチルアルミニウムセスキクロライド(EASC)を40mg/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。更に5−エチリデン−2−ノルボルネンを0.6g/(hr・L)の速度で第2重合槽に供給した。
第2重合槽からは、重合槽内の重合溶液の量が一定となるように、重合溶液を抜き出した。第2重合槽から抜き出された重合溶液を分析した結果、該重合溶液中の共重合体ゴムの含有量は、単位時間・第2重合槽の単位容積あたり、66g/(hr・L)であった。
第2重合槽から抜き出された重合溶液に、当該重合溶液中の共重合体ゴム量と同量のラフィン系オイル(出光興産社製 ダイアナPW380)を添加し、重合溶液から重合溶媒を除去して、油展共重合体ゴム(以下、EPDM−Dと記す。)を調製した。
EPDM−Dを分析したところ、EPDM−D中の共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.8/0.2であり、ヨウ素価は11(g/100gゴム)であり、極限粘度は4.1dl/g、分子量分布は3であった。
第2重合槽では、単位時間・第2重合槽の単位容積あたり、22g/(hr・L)の共重合体ゴムが生成し、該共重合体ゴムのエチレン単位量/プロピレン単位量(モル比)は0.86/0.14であり、ヨウ素価は8(g/100gゴム)であることがわかった。
【0078】
(ゴム組成物の調製、加硫成形体の調製)
EPDM−CにかえてEPDM−Dを用いた以外は、比較例2の「ゴム組成物の調製」および「加硫成形体の調製」と同様にして、加硫シートと小型試験片を作成した。該シートおよび該試験片の評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、
成分(A)100重量部あたり、
成分(B)の含有量が1重量部以上70重量部以下であり、
成分(C)の含有量が1重量部以上90重量部以下であり、
成分(D)の含有量が0.01重量部以上15重量部以下である防振ゴム用ゴム組成物。
成分(A):下記ゴム成分(1)及びゴム成分(2)からなり、ゴム成分(1)とゴム成分(2)との合計を100重量%として、ゴム成分(1)の含有量が60重量%以上75重量%以下であり、ゴム成分(2)の含有量が40重量%以下25重量%以上である共重合体ゴム。
ゴム成分(1):エチレンに基づく単量体単位の含有量が50モル%以上80モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が50モル%以下20モル%以上(ただし、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位との合計を100モル%とする。)であり、ヨウ素価が10以上30以下であるエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム
ゴム成分(2):エチレンに基づく単量体単位の含有量が80モル%を超え95モル%以下、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が20モル%未満5モル%以上(ただし、エチレンに基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位との合計を100モル%とする。)であり、ヨウ素価が0以上10以下であり、ゴム成分(1)のヨウ素価とゴム成分(2)のヨウ素価との差が5以上30以下あるエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
成分(B):補強剤
成分(C):軟化剤
成分(D):加硫剤
【請求項2】
成分(A)のα−オレフィンがプロピレンであり、非共役ポリエンが、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンからなる非共役ポリエン群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
成分(A)の分子量分布が3以上7以下である請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
成分(A)が、直列に連結した2つの反応槽を用いて、ゴム成分(1)及びゴム成分(2)のいずれか一方を第1反応槽で製造し、第1反応槽で製造されたゴム成分を第2反応槽に供給し、他方のゴム成分を第2反応槽で製造する方法により得られた共重合体ゴムである請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物が加硫された加硫ゴムからなる防振ゴム。

【公開番号】特開2011−195808(P2011−195808A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272352(P2010−272352)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】