説明

防水外囲体

【課題】簡単な構成で防水効果の優れた、屋根や外壁などに使用される外囲体を提供する。
【解決手段】下地材上に下地金属板が複数隣接配置されビスなどの留め具により複数箇所が下地材に固定される。これら下地金属板上には仕上げ防水金属板が複数互いに隣接配置され各下面が下地金属板の上面に接着剤を介して接着される。これら仕上げ防水金属板は隣接する接合部が一部接着剤を介して重なり、該重なり部分の少なくとも下側の部分がビスなどの留め具により下地金属板を介して下地材に固着される。仕上げ防水金属板の継ぎ目上には帯板材が配置され接着剤により継ぎ目に固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工が容易で且つ防水効果の優れた、屋根や外壁として用いられる防水外囲体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属板を加工して屋根を形成し、この屋根構造に防水処理の施工を行ったものが従来知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−120215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
外囲体の雨漏りを防止するには、二重、三重の防水構造を採用することが望ましいが、このような、二重、三重の防水構造を採用すると、施工及び構造が複雑となり、コスト高となるという問題点があった。
本発明は上記問題点を解決することを目的とするものである。
また、従来、野地板・コンクリートなどの下地材は、通常は、その上面に防水層が形成されるが、下地材が湿気を含んでいると、この防水層の下に閉じこまれた水分が蒸発して、この圧力により防水層が膨れてしまう。従って、単に下地材の上に外囲板を貼り合わせる作業だと、膨れた箇所から防水層に剥離や亀裂が入り漏水してしまう。そのため、晴天時の、下地材が乾燥したときしか、防水作業をすることができなかった。また、防水作業の前に、下地材の表面の汚れやほこりを除去する前処理を必要とした。
本発明の他の目的は、上記防水層の膨れの問題を解消し、しかも、耐風圧に対しても強度を増した防水外形提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため本発明は、屋根や外壁に使用される防水外囲体であって、下地材と、該下地材上に複数隣接配置されビスなどの留め具により複数箇所が前記下地材に固定された下地金属板と、前記下地金属板上に複数隣接配置され各下面が前記下地金属板の上面に接着剤を介して接着されるとともに隣接する接合部が一部接着剤を介して重なり該重なり部分の少なくとも下側の部分がビスなどの留め具により前記下地金属板を介して前記下地材に固着された仕上げ防水金属板と、前記仕上げ防水金属板の継ぎ目上にこれを塞ぐように配置され接着剤により該継ぎ目の上に固着された帯板材とから成ることを特徴とする。
また本発明は、前記接着剤がシリコン系の防水接着剤であることを特徴とする。
また本発明は、前記仕上げ防水金属板の重なり部分の上側と下側の部分の両方を留め具により前記下地金属板を介して前記下地材に固定し、前記帯板材を前記重なり部分の留め具の上から前記継ぎ目に固着し前記帯板材により前記継ぎ目と留め具の頭部を塞いだことを特徴とする。
また本発明は、前記下地金属板を前記下地材に固定する留め具の頭部及びその周囲に防水剤を塗着したことを特徴とする。
また本発明は、前記帯板材が合成樹脂フイルムで構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、簡単な構成で防水性に優れた外囲体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1は屋根から成る外囲体2の分解外観図を示している。梁(図示省略)に、合板、硬質木毛セメント板などの野地板やコンクリートなどの材料から成る下地材4が支持され、該下地材4の上に鋼板などから成る下地金属板6が配置されている。
【0007】
該下地金属板6の複数箇所はビス、アンカーボルトなどの留め具8によって下地材4に固定されている。前記下地金属板6の留め具8による留め付け部の周囲には、留め具8の頭部を覆ってシリコン系の防水シール剤10が塗着され、留め付け部に防水処理が施されている。前記下地金属板6の表面には全面に亘ってシリコン防水接着剤12が塗布され、この防水接着剤塗布面に鋼板から成る仕上げ防水金属板14が複数枚、互いに一部が重なるように接着されている。
【0008】
隣接する2枚の仕上げ防水金属板14,14の重なり部分Gは、シリコン防水接着剤15によって互いに接着され、更に、重なり部分Gは、複数箇所がビスなどの留め具16によって下地材4に固定されている。隣接する2枚の仕上げ防水金属板14の中の一方の仕上げ防水金属板14の表面に配置される上位側の他方の仕上げ防水金属板14の側端縁14aに沿った、継ぎ目Tにまたがり、前記留め具16の頭部を含む該継ぎ目Tの全長に亘った領域に、合成樹脂フイルム製の帯テープ等から成る薄板状の帯板材18が配置されている。
【0009】
該帯板材18は、シリコン防水接着剤などの接着剤20によって、前記継ぎ目Tを含む領域及び留め具16の頭部を含む領域の上に固着されている。下地材4上の下地金属板6も複数枚の金属板により構成され、互いに一部重なった状態で隣接配置されている。この下地金属板6の隣接配置構成は、仕上げ防水金属板14の隣接配置構成と同一であり、重なり部分は接着剤により接着され、該重なり部分がビスにより下地材4に固定されている。
【0010】
この下地金属板6同士の重なり部分と、仕上げ防水金属板14同士の重なり部分が上下の同一線上に位置すると、2つの重なり部分が重なった部分が大きく膨らんでしまうため、本実施形態では、下地金属板6の重なり部分と仕上げ防水金属板14の重なり部分Gが上下に互いに重ならないように、互いに側方にずらしている。
【0011】
上記外囲体において、鋼板から成る下地金属板6は、留め具8にて、下地材4に固定され、この下地金属板6と下地材4とで強固な下地が構成される。そのため、従来の防水施工における防水層の膨れの問題を解消できるだけでなく、耐風圧に対しても強度を増すことができる。
【0012】
本実施形態において、下地金属板6を下地材4に留め具8で固定し、この留め具8の頭部に防水剤10を塗着した構造は、一次止水を構成し、下地金属板6の表面に接着剤12を塗布し、これに仕上げ防水金属板14を接着し、重なり部分を留め具16で下地材4に固定した構造は、二次止水を構成する。また、継ぎ目Tに帯板材18を接着した構造は、三次止水を構成し、これらの構成によって本実施形態における外囲体は、三重防水構造を実現している。
【0013】
図3は、本発明の他の実施形態を示し、仕上げ防水金属板14,14の重なり部分Gは、下側の部分が留め具16により下地材4に固定され、上側の部分はシリコン系防水接着剤20を介して、下側の仕上げ防水金属板14に接着されている。
【0014】
即ち、上側の仕上げ防水金属板14は、留め具によって下地材4に固定していない。仕上げ防水金属板14,14の重なり部分Gには、継ぎ目Tにまたがって、帯板材18が全長に亘って配置され、帯板材18の下面は、シリコン系防水接着剤20によって、仕上げ防水金属板14,14の重なり部分G及びその近傍に接着される。他の構成は、図1及び図2に示す実施形態と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る外囲体の説明的分解斜視図である。
【図2】防水外囲体の断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す外囲体の断面図である。
【符号の説明】
【0016】
2 外囲体
4 下地材
6 下地金属板
8 留め具
10 防水接着剤
12 防水接着剤
14 仕上げ防水金属板
15 シリコン防水接着剤
16 留め具
18 帯板材
20 シリコン防水接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根や外壁に使用される防水外囲体であって、下地材と、該下地材上に複数隣接配置されビスなどの留め具により複数箇所が前記下地材に固定された下地金属板と、前記下地金属板上に複数隣接配置され各下面が前記下地金属板の上面に接着剤を介して接着されるとともに隣接する接合部が一部接着剤を介して重なり該重なり部分の少なくとも下側の部分がビスなどの留め具により前記下地金属板を介して前記下地材に固着された仕上げ防水金属板と、前記仕上げ防水金属板の継ぎ目上にこれを塞ぐように配置され接着剤により該継ぎ目の上に固着された帯板材とから成ることを特徴とする防水外囲体。
【請求項2】
前記接着剤がシリコン系の防水接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の防水外囲体。
【請求項3】
前記仕上げ防水金属板の重なり部分の上側と下側の部分の両方を留め具により前記下地金属板を介して前記下地材に固定し、前記帯板材を前記重なり部分の留め具の上から前記継ぎ目に固着し前記帯板材により前記継ぎ目と留め具の頭部を塞いだことを特徴とする請求項1に記載の防水外囲体。
【請求項4】
前記下地金属板を前記下地材に固定する留め具の頭部及びその周囲に防水剤を塗着したことを特徴とする請求項1に記載の防水外囲体。
【請求項5】
前記帯板材が合成樹脂フイルムで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水外囲体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−82015(P2008−82015A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262775(P2006−262775)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(597090273)
【Fターム(参考)】