説明

防犯警報器付窓ガラス

【課題】既存の窓ガラスサッシに簡単に設置でき、僅かなガラスのひび割れにも効果的に感知できる警報器付窓ガラスを提供すること。
【解決手段】 開閉可能な窓ガラス2,3において、室内側の鍵部4,5近辺を中心として窓ガラス2,3のサッシ枠1の縦方向に沿ってほぼ平行にガラス面に、導電性金属粉末を含有した塗料(ペースト)の塗布により導電性ライン6,7を形成せしめ、その導電性ライン6,7の両端に通電端子6a,7aを設けて、その通電端子6a,7aと警報装置とを電気的に接続し、導電性ライン6,7の警報装置とを電気的に接続し、導電性ラインの破断により警報装置が作動するように設置されていることを特徴とする防犯警報器付窓ガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防犯警報器付窓ガラスに関する。さらに詳しくは、装着が簡単でかつ安値な費用で窓ガラスに設置することができる防犯警報器付窓ガラスに関する。また防犯装置の設置が目立たずしかも従来の窓ガラスにも特別の補修を要しないで簡単に装着できる防犯警報器付窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯のための窓ガラスには種々の提案がなされその一部は実用化されている。防犯窓ガラスは、大別すると、(i)ガラス自体を強化し、破壊から防御する手段(ii)ガラスが破壊された場合にその破壊を感知して警報を発信する手段および(iii)窓ガラスに侵入者が接近することを感知する光センサーを設置する手段がある。これらの手段はいずれも構造が複雑であったり、その手段を設置するための多大の費用がかかり、従来の窓ガラスに簡単に取り付けられるものではなかった。
すなわち(i)の手段は、強化ガラスや金網入りガラスなどが使用されるが、高価なガラスを使用する必要があり、外観も損われることがあると共に、ガラスの破壊を完全に防御するものではなかった。前記(ii)の手段は、銅線やニクロム線などの導電性金属線を窓ガラスの一部または全体に張り巡らせる必要があり、外観が損われるほかに、銅線やニクロム線などの導電性金属線は、強度が大きいためガラスのひび割れ程度では破断が起らず、感度の精度には問題があった。また前記(iii)の手段は、設置費用が高く、その他に防犯以外の目的によってもセンサーが感知するという欠点もあった。
【0003】
一方窓ガラスからの侵入者は、窓ガラスの鍵を開けるために、鍵部(クレセント)の近辺部分のガラスを破壊すればよい。従って窓ガラスの鍵部の近辺部分のガラスの僅かな割れやひびが発生した場合に、その発生を感知することが出来ればよく、そのための感知機能を有する材料の選択が要望される。
そこで本発明者は、構造が簡単で、設置が容易であり、かつ費用が安価であって、しかも鍵部(クレセント)の近辺部分のガラスの僅かな割れやひびの発生に対して感知できる材料および構造について研究を重ねた。
その結果窓ガラス面に、導電性金属粉末を含有した塗料(ペースト)を塗布することにより細い線状のラインを形成させるとそのラインは導電性を有し、しかもその導電性はガラスの僅かなひび割れの発生に対して導電性が失われることが判明した。しかも金属粉末含有ペーストにより形成された導電性ラインは、塗布により簡単に形成させることができること、細かくても導電性に優れていること、ガラスの僅かのひび割れの発生により導電性が失われることおよび細かい線状のラインであるから窓全体の外観も損われないことが見出された。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前記知見に基いて到達されたものであって、開閉可能な窓サッシにおいて、室内側の鍵部近辺を中心として、サッシ枠の縦方向に沿ってほぼ平行にガラス面に、導電性金属粉末を含有した塗料(ペースト)の塗布により導電性ラインを形成せしめ、その導電性ラインの両端に通電端子を設けて、その通電端子と警報装置とを電気的に接続し、導電性ラインの破断により警報装置が作動するように設置されていることを特徴とする防犯警報器付窓ガラスである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の防犯警報器付窓ガラスは、導電性金属粉末を含有するペーストが塗布された導電性ラインが形成されている点に特徴を有している。この導電性ラインは、ガラス面に塗布することによって形成されるので、簡単な方法で設置でき、しかもガラスの僅かなひび割れにも電気的に感知して破断状態になり、その上設置された状態は外観を損うことがない。
従って経済的にも低コストで、既存の窓ガラスにも容易に装置することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の防犯警報器付窓ガラスは、窓ガラスの鍵部(すなわちクレセント)の近辺に、導電性ラインを形成させ、その導電性ラインの両端に電気を通電させ、その導電性ラインの破断を電気的に感知するものであり、その導電性ラインは、窓ガラスの僅かなひび割れによって容易に電気的に破断する。本発明の導電性ラインは以下に説明するように、窓ガラス面に塗布が容易であり、その費用も安価であり、僅かなガラスのひび割れにも感度よく電気的に作動する利点を有している。
【0007】
本発明において、窓ガラス面に塗布される導電性ラインは、導電性金属粉末を含有した塗料(以下単に“ペースト”と略称することがある)を塗布することに形成される。
このペーストに含まれる導電性金属粉末としては、銀、金、ニッケル、銅、アルミニウムおよびタングステンの粉末を例示することができるが、これらの中で価格、ペーストの安定性、塗布作業の操作性およびラインの破断性(感度)などの点から銀が最も好ましい。
ペーストを形成する前記金属粉末の粒子の大きさは、平均粒径として1〜20μm、好ましくは2〜15μmであるのが適当である。銀粉末の場合、特に1〜15μm望ましくは2〜10μmであるのがよい。
【0008】
ペーストは、金属粉末およびバインダー(結合体)より主として形成され、他に塗料の塗布性能を向上させるために溶媒が添加されていてもよい。かかるバインダーとしては、ポリビニルエステル(例えばポリビニルブチラール)、ポリアクリル酸エステル(例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリメチルメタアクリル酸メチルなど)、ポリウレタン、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
ペースト中の金属粉末:バインダーの割合は、重量で95:5〜20:80、好ましくは90:10〜30:70の範囲が望ましい。
銀粉末を含有するペーストが実用的に好ましく、例えば、福田金属箔粉工業株式会社より市販されているのでそれを利用することができる(例えばシルコートRL−10(登録商標)を使用することができる)。
【0009】
ペーストを窓ガラス面に線状に塗布して導電性ラインを形成させる。導電性ラインは、窓ガラスの室内側の面における鍵部(例えばクレセント)が存在する近傍であってサッシ枠の縦方向に沿ってほぼ平行に形成するのが望ましい。導電性ラインの長さは通常50〜2,000mm、好ましくは100〜1,000mmである。またラインの幅は0.5〜10mm、好ましくは1〜5mmが望ましい。ラインの厚みは、2〜200μm、好ましくは5〜100μm程度であるのが望ましい。
【0010】
導電性ラインは、単層ガラスに形成させる場合、室内側の窓ガラス面に形成されるが、このラインはその表面を手で擦ったり、或いは硬い物が接触すると、はがれたり、電気的に破断する恐れがある。そのため単層ガラスに形成する導電性ラインは、その表面に保護フィルム(例えば粘着テープ)を貼ることが望ましい。
複層ガラスの場合、2枚または3枚のガラスの空間部の面に導電性ラインを形成すると、接触による破断のトラブルを防ぐことができる。
【0011】
窓ガラスの鍵部近辺に形成された導電性ラインの両端部には、通電端子を設け、その通電端子と警報装置とを電気的に接続する。侵入者が外側から窓ガラスを破り鍵を開けようとすると、導電性ラインは電気的に破断し、警報装置は作動する。警報装置は、防犯ブザーのように警報音を発信するものでもよいし、また発光するタイプのものでもよい。さらに携帯電話へ自動的に接続し通報するタイプでもよい。
【0012】
次に図面により本発明の警報器付窓ガラスの構造について説明する。
図1は、室内側から見た窓ガラスのサッシ枠における鍵部(クレセント)の近辺の正面拡大図を模式的に示すものである。図1は鍵(クレセント)が閉じた状態つまり窓が閉められた状態を示している。
【0013】
図1において、導電性ライン6は手前側の窓ガラス2に、導電性ライン7は、向側の窓ガラス3に形成されている。導電性ラインは、両方の窓ガラス面に形成されている方が望ましいが一方のみでもよい。導電性ライン6および7は、サッシ枠1にほぼ平行して、鍵部4および5の近辺に形成される。サッシ枠に近い程、警報器の設置(導電性ライン)が気付かれずにすみ、また外観も損われることが少ない。
【0014】
侵入者によって、鍵部の近辺のガラス窓が破断されると、僅かなガラスのひび割れが生じても導電性ラインの通電が切断され、それを感知して警報装置が作動することになる。図1には警報装置は図示されていない。導電性ラインの通電端子(6a、6b、7a、7b)からの警報装置への通電は、目立たないように細かい線でしかもサッシ枠に沿って配線させることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】窓ガラスのサッシ枠における鍵部(クレセント)の近辺の正面の部分拡大図を示すものである。
【符号の説明】
【0016】
1:サッシ枠
2:ガラス窓部
3:ガラス窓部
4:鍵部(クレセント)の可動部
5:鍵部(クレセント)の受部
6:導電性ライン
6aおよび6b:導電性ラインの通電端子
7:導電性ライン
7aおよび7b:導電性ラインの通電端子
X−X’:鍵部(クレセント)の可動部の回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な窓ガラスにおいて、室内側の鍵部近辺を中心として窓ガラスのサッシ枠の縦方向に沿ってほぼ平行にガラス面に、導電性金属粉末を含有した塗料(ペースト)の塗布により導電性ラインを形成せしめ、その導電性ラインの両端に通電端子を設けて、その通電端子と警報装置とを電気的に接続し、導電性ラインの破断により警報装置が作動するように設置されていることを特徴とする防犯警報器付窓ガラス。
【請求項2】
該窓ガラスが単層ガラスである請求項1記載の窓ガラス。
【請求項3】
該窓ガラスが複層ガラスであって、その複層ガラスの2枚または3枚のガラスの中空部面に該導電性ラインが形成されている請求項1記載の窓ガラス。
【請求項4】
該導電性ラインは、銀粉末を含有する塗料の塗布により形成されている請求項1記載の窓ガラス。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−265869(P2006−265869A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82523(P2005−82523)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(594203944)有限会社アイ・ディ (9)
【出願人】(398000484)株式会社テイク・ワン (1)
【Fターム(参考)】