説明

防眩性ハードコーティングフィルム、これを備えた偏光板及びディスプレイ装置

【課題】しわ発生を防止するだけでなく、優れた硬度と防眩性が得られる防眩性ハードコーティングフィルム、これを備えた偏光板及びディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】基材と;上記基材の一面または両面に透光性樹脂及び透光性粒子を含有する防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸が備えられた防眩層;とを含んでなり、上記防眩層のコーティング厚さは、基材厚さの1〜5%の厚さ範囲であり、上記透光性粒子は下記数学式1を満たすことを特徴とする防眩性ハードコーティングフィルム、これを備えた偏光板及びディスプレイ装置;


(前記数学式1において、Aは透光性粒子の平均粒径である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩性ハードコーティングフィルム、これを備えた偏光板及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防眩フィルムは、表面突出部による乱反射を用いて外部光の反射を減少させる機能を持つものであって、各種ディスプレイパネル、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、電子発光ディスプレイ(EL)などの表面に配置されて、外部光の反射によるコントラストの減少を防止するか、イメージ反射によるディスプレイの視認性の低下を防止するなどの目的で用いられている。
【0003】
最近ディスプレイ装置の薄型化に応じて防眩フィルムの厚さも薄くなっている。防眩フィルムの厚さが薄くなれば機械的強度の低下が発生するが、それにより、防眩層にハードコーティング機能を与えた防眩性ハードコーティングフィルムが求められている。防眩性ハードコーティングフィルムは、一般的に基材の一面または両面に透光性粒子を含む防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸を有する防眩層を含んでなる。
【0004】
薄厚の防眩性ハードコーティングフィルムを製造するために、通常的に薄厚の基材を使用している。このような従来の防眩性ハードコーティングフィルムは基材の厚さを考えずに基材上に防眩層を形成してきたが、それにより、薄型の基材上に防眩性コーティング組成物を塗布した後に硬化させると、防眩層の硬化収縮によって、形成された防眩性ハードコーティングフィルムにしわの発生が大きく増加する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、薄厚の基材を使用しながらも、表面に防眩層を形成する際に、しわが発生しないため優秀な品質の製品が得られ、特に優秀な硬度と防眩性を示す防眩性ハードコーティングフィルムを提供することにその目的がある。
【0006】
また、本発明は、優れた防眩性を示す優秀な品質の偏光板及び表示装置を提供することに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の目的を果たすために、基材と;上記基材の一面または両面に透光性樹脂及び透光性粒子を含有する防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸が備えられた防眩層;とを含んでなり、上記防眩層のコーティング厚さは、基材厚さの1〜5%の厚さ範囲であり、上記透光性粒子は下記数学式1を満たすことを特徴とする防眩性ハードコーティングフィルムを提供する。
【数1】

(前記数学式1において、Aは透光性粒子の平均粒径である。)
【0008】
上記透光性粒子は、平均粒径が異なる少なくとも二種を含むことができ、このときの透光性粒子は、下記数学式2を満たすものであることができる。
【数2】

(前記数学式2において、A’は平均粒径が異なる少なくとも二種の透光性粒子の中で最大の大きさを有する透光性粒子の平均粒径である。)
【0009】
上記透光性粒子は、上記防眩性コーティング組成物全体100重量部に対し、0.5〜20重量部含まれることが好ましい。
【0010】
本発明は上記目的を果たすために、上記した本発明による防眩性ハードコーティングフィルムを含むことを特徴とする偏光板を提供する。
【0011】
また、本発明は上記目的を果たすために、上記した本発明による防眩性ハードコーティングフィルムを含むことを特徴とする表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本発明による防眩性ハードコーティングフィルムは、防眩性コーティング組成物のコーティング厚さと透光性粒子の大きさを所定の範囲内に調節することにより、基材フィルムにしわ発生を防止することだけでなく、優れた硬度と防眩性が得られるという有用な効果がある。よって、上記防眩性ハードコーティングフィルムは、偏光板及び表示装置に有用に適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明による防眩性ハードコーティングフィルムは、基材と、上記基材の一面または両面に透光性樹脂及び透光性粒子を含有する防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸が備えられた防眩層とを含んでなる。このとき、上記防眩層のコーティング厚さは、基材厚さの1〜5%の厚さ範囲であり、上記透光性粒子は下記数学式1を満たす。
【数3】

(前記数学式1において、Aは透光性粒子の平均粒径である。)
【0014】
まず、下記のように、本発明による防眩層形成のために使用される防眩性コーティング組成物について説明する。
本発明による防眩性コーティング組成物は、透光性樹脂(A)と透光性粒子(B)、光開始剤(C)及び溶剤(D)とを含んでなる。
【0015】
透光性樹脂(A)
上記透光性樹脂は、一般的に当該分野で使用されるものであれば、制限なく用いられる。
好ましく上記透光性樹脂としては、光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/または光硬化型モノマーを含むことができる。
【0016】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを使用することができ、より好ましくはウレタン(メタ)アクリレートが使用される。
【0017】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にヒドロキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート及びイソシアネート基を有する化合物を触媒存在下で反応させて製造することができる。
【0018】
上記分子内にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン開環ヒドロキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート混合物及びジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を選択することができる。
【0019】
また、上記イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、1,4−ジイソシアナトブタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,12−ジイソシアナトドデカン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス−1,4−シクロヘキセンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、テトラメチルキシレン−1,3−ジイソシアネート、1−クロロメチル−2,4−ジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4'−オキシビス(フェニルイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される3官能イソシアネート、及びトリメタンプロパノールアダクトのトルエンジイソシアネートからなる群から少なくとも1種を選択することができる。
【0020】
上記光硬化型モノマーは、具体的に、分子内に光硬化型官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基(allyl group)などの不飽和基を有するものであって、その中でも(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0021】
上記(メタ)アクリロイル基を有するモノマーは、具体例として、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルネオール(メタ)アクリレートからなる群から少なくとも1種を選択することができる。
【0022】
上記で例示した光硬化型(メタ)アクリレートオリゴマー及び/または光硬化型モノマーは、それぞれ単独または2以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記透光性樹脂は、特に制限されないが、上記防眩性コーティング組成物全体100重量部に対して1〜80重量部を含むことがいい。上記透光性樹脂の含量が上記基準で1重量部未満である場合、十分な硬度向上を図り難く、80重量部超過である場合、カーリングが酷くなるという問題がある。
【0024】
透光性粒子(B)
上記透光性粒子としては、防眩性付与のために一般的に使われるものであれば、特に制限されず、いずれも用いられる。
【0025】
上記透光性粒子としては、例えば、シリカ粒子、シリコーン樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、アクリル−スチレン系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、ポリエチレン系樹脂粒子、塩化ビニル系樹脂粒子などを使用することができる。上記挙げられた透光性粒子は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
上記透光性粒子の平均粒径は、下記の数学式1を満たす範囲内であることが好ましい。
【数4】

(前記数学式1において、Aは透光性粒子の平均粒径である。)
【0027】
即ち、透光性粒子の平均粒径と防眩性コーティング組成物をコーティングして形成される防眩層のコーティング厚さとの差の絶対値が1μm〜2.5μmの範囲内にあるものを使用することが好ましい。
【0028】
上記透光性粒子の平均粒径と防眩層コーティング厚さとの差の絶対値が1μm未満の場合には、防眩層の表面に凹凸を形成し難いため防眩性が低くなり、2.5μm超過の場合には、防眩層の表面が粗くなるため視認性が落ち、白化現象の深化とともに透光性粒子が防眩層から離れる問題点がある。
【0029】
本発明によれば、上記透光性粒子は平均粒径が異なる少なくとも二種を混合して使用することができ、このとき、透光性粒子は下記の数学式2を満たすものを好ましく使用することができる。
【数5】

(前記数学式2において、A’は平均粒径が異なる少なくとも二種の透光性粒子の中で最大の大きさを有する透光性粒子の平均粒径である。)
【0030】
すなわち、透光性粒子として平均粒径が異なる少なくとも二種を混合して使用する場合には、最大の大きさを有する透光性粒子の平均粒径と防眩性コーティング組成物をコーティングして形成される防眩層のコーティング厚さとの差の絶対値が1μm〜2.5μmの範囲内にあるものを使用することが好ましい。
【0031】
最大の大きさの透光性粒子の平均粒径と防眩層コーティング厚さとの差の絶対値が1μm未満の場合には、防眩層の表面に凹凸を形成し難いため防眩性が低くなり、2.5μm超過の場合には、防眩層の表面が粗くなるため視認性が落ち、白化現象の深化とともに透光性粒子が防眩層から離れる問題点がある。
【0032】
平均粒径が最大の透光性粒子は、透光性粒子全体の合計量に対して10〜90重量%含まれることが好ましい。
【0033】
上記透光性粒子の含量(平均粒径が異なる少なくとも二種を使用する場合には、透光性粒子の全体量)は、上記防眩性コーティング組成物全体100重量部に対して0.5〜20重量部含まれることが好ましい。上記透光性粒子の含量が上記の基準で0.5重量部未満の場合には防眩性が落ち、20重量部を超過する場合には、防眩層の白化が酷くなる。
【0034】
光開始剤(C)
上記光開始剤は、当該分野で使用されるものであれば、制限なく使用することができる。好ましく上記光開始剤は、ヒドロキシケトン類、アミノケトン類及び水素奪還形光開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1つを使うことができる。
【0035】
具体例としては、上記光開始剤としては、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルホリンプロパン−1−オン、ジフェニルケトンベンジルジメチルケタル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、4−ヒドロキシシクロフェニルケトン、ジメトキシ−2−フェニルアテトフェノン、アントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、4,4−ジメトキシアセトフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びベンゾフェノンからなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。
【0036】
上記光開始剤は、防眩性コーティング組成物全体100重量部に対して0.1〜10重量部を使うことができる。上記光開始剤の含量が上記基準で0.1重量部未満の場合、硬化速度が遅くなり、10重量部超過の場合、過硬化によって防眩層にクラックが生じることがある。
【0037】
溶剤(D)
上記溶剤は、当該分野で一般的に使用するものであれば、制限なく使うことができる。
【0038】
一例として、上記溶剤は、アルコール系(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、ケトン系(メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノンなど)、ヘキサン系(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなど)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などが好ましく用いられる。上記挙げられた溶剤は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
上記溶剤の含量は、防眩性コーティング組成物全体100重量部に対して10〜95重量部含まれることができる。上記溶剤が上記基準で10重量部未満の場合は粘度が高くなって作業性が落ち、95重量部超過の場合は硬化過程で長時間がかかり、経済性が落ちる問題がある。
【0040】
上記した防眩性コーティング組成物は、上記成分の他にも必要により抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、レベリング剤、界面活性剤、防汚剤からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含むことができる。
【0041】
本発明による防眩性ハードコーティングフィルムは、基材の一面または両面に上記で説明した本発明による防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸が備えられた防眩層を含んでなる。
【0042】
上記基材は透明性のあるプラスチックフィルムであれば、いずれのフィルムでも使用可能である。
【0043】
例えば、上記基材は、ノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体のような、シクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体など、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシの中から選ばれたものを用いることができ、未延伸、1軸または2軸延伸フィルムを使用することができる。好ましくは透明性及び耐熱性に優れた1軸または2軸延伸ポリエステルフィルムや、透明性及び光学的に異方性のないトリアセチルセルロースフィルムが使われることができる。
【0044】
上記基材は厚さの薄いものが好ましいが、薄すぎると強度が低下して加工性が劣ることになり、一方、厚すぎると透明性が低下するか、偏光板の重量が大きくなるなどの問題が発生する。したがって、上記透明基材はその厚さが8〜1,000μm程度であるものが好ましく、40〜100μmであるものがさらに好ましい。
【0045】
上記防眩性コーティング組成物のコーティング方法は、制限されず、例えばダイコータ、エアーナイフ、リバースロール、スプレイ、ブレード、キャスティング、グラビア、マイクログラビアまたはスピンコーティングなどから選ばれる方式で適宜に行うことができる。
【0046】
本発明によれば、上記防眩性コーティング組成物を塗布して形成される防眩層のコーティング厚さは、基材厚さの1〜5%の厚さ範囲内にすることが好ましい。上記防眩層のコーティング厚さが基材厚さの1%未満の場合、基材の機械的強度を向上させ難いという短所があり、5%超過の場合、硬化時の収縮によって最終防眩性ハードコーティングフィルムにしわが発生して品質が大きく低下される短所がある。本発明で上記防眩層のコーティング厚さとは、防眩性コーティング組成物を基材に塗布後、乾燥及び硬化過程を経って最終形成された防眩性ハードコーティングフィルムで平坦部位から基材までの厚さを意味する。
【0047】
防眩性コーティング組成物を塗布した後には、30〜150℃温度で10秒〜1時間、好ましくは30秒〜10分間乾燥させる。乾燥が完了すれば防眩性コーティング組成物を硬化させる。光硬化の場合、UV光を照射して防眩性コーティング組成物を硬化させて防眩層を形成する。上記UV光の照射量は約0.01〜10J/cmであり、好ましくは0.1〜2J/cmである。
【0048】
本発明による偏光板は、前述した本発明による防眩性ハードコーティングフィルムを備えたことを特徴とする。
【0049】
上記偏光板は、偏光フィルム及び偏光フィルムの少なくともある一面に位置する本発明による防眩性ハードコーティングフィルムを含んでなる。すなわち、本発明による偏光板は、偏光フィルムの一面または両面に、本発明の防眩性ハードコーティングフィルムを積層して形成される。
【0050】
上記防眩性ハードコーティングフィルムは前述と同様であるので、その詳細な説明は略する。
【0051】
上記偏光フィルムは例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン−ビニルアセテート共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素または2色性染料などの2色性物質を吸着させて1軸延伸したフィルム、ポリビニルアルコールの脱水処理物またはポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどが使用されることができる。好ましくは上記偏光フィルムはポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの2色性物質からなるものであることができる。これらの偏光子の厚さは、特に制限されないが、一般的には5〜80μmである。
【0052】
本発明による表示装置は、本発明による防眩性ハードコーティングフィルムを備えたことを特徴とする。
【0053】
一例として、上記表示装置は、上述したような防眩性ハードコーティングフィルムが備えられた偏光板を含んでなったものであることができる。本発明の防眩性ハードコーティングフィルムが備えられた偏光板を表示装置に含ませれば、可視性に優れた表示装置を提供することができる。また、本発明の防眩性ハードコーティングフィルムは、表示装置のウィンドウに取り付けて使うこともできる。
【0054】
本発明の防眩性ハードコーティングフィルムは反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型、またはIPS型などの各種駆動方式のLCDに用いられる。また、本発明の防眩性ハードコーティングフィルムは、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、または電子ペーパーなどの各種表示装置にも用いられる。
【0055】
上記の表示装置は、本発明による防眩性ハードコーティングフィルムを適用することの他には、当該分野で公知された構成を採択して容易に形成することができるので、これに対する詳細な説明は略する。
【実施例】
【0056】
本発明は、下記の実施例及び製造例によりさらに具体化され、下記の製造例及び実施例は本発明の具体的な例示に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するか、制限しようとするものではない。
【0057】
<防眩性コーティング組成物の製造>
(製造例1)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、1重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径3.0μm)、50重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分25%の組成物を製造した。
【0058】
(製造例2)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、1重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径4.5μm)、50重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分25%の組成物を製造した。
【0059】
(製造例3)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、1重量部透光性粒子(シリコーン系樹脂粒子、Tospear1120、平均粒径2.0μm、モメンティブ)、50重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分25%の組成物を製造した。
【0060】
(製造例4)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、1重量部透光性粒子(シリコーン系樹脂粒子、Tospear1130、平均粒径3.0μm、モメンティブ)、50重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分25%の組成物を製造した。
【0061】
(製造例5)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、0.5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径3.0μm)、0.5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径4.5μm)、50重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分25%の組成物を製造した。
【0062】
(製造例6)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、1重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径5.5μm)、50重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分25%の組成物を製造した。
【0063】
(製造例7)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、3重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径3.0μm)、48重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分27%の組成物を製造した。
【0064】
(製造例8)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径3.0μm)、46重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分29%の組成物を製造した。
【0065】
(製造例9)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、0.5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径3.0μm)、3.5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径4.5μm)、47重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分28%の組成物を製造した。
【0066】
(製造例10)
12.5重量部ウレタンアクリレート(ミウォン商事社製、SC2153)、9.2重量部ペンタエリスリトールトリアクリレート(ミウォン商事社製、M340)、3.5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径3.0μm)、0.5重量部透光性粒子(アクリル系樹脂粒子、平均粒径4.5μm)、47重量部メチルエチルケトン(大井化金社製)、25重量部酢酸エチル(大井化金社製)、2重量部光開始剤(BASF社製(旧CIBA社製)、I−184)、0.3重量部レベリング剤(BYKケミ社製、BYK378)を、撹拌機を用いて配合し、PP材質のフィルターを用いて濾過して固形分28%である組成物を製造した。
【0067】
(実施例1〜18及び比較例1〜5)
トリアセチルセルロースフィルムの一面に、上記の製造例から製造された防眩性コーティング組成物を塗布してから加熱乾燥後、紫外線硬化により防眩性反射防止フィルムを製造した。このとき、使用された防眩性コーティング組成物とコーティング厚さ及び基材の厚さは、下表1に示した通りである。
【0068】
<実験例>
上記実施例及び比較例で製造された防眩性ハードコーティングフィルムに対して下記のように物性を測定し、その結果を下表1に示した。
【0069】
1)コーティングの厚さ(μm)
製造された防眩性ハードコーティングフィルムの断面をSEMで観察して厚さを測定した。
【0070】
2)平均粒径(μm)
常用の透光性粒子の平均粒径を表記し、平均粒径が異なる二種以上の透光性粒子を混合して使用する場合には、最大の大きさの透光性粒子の平均粒径を表記した。
【0071】
3)基材しわ
製造された防眩性ハードコーティングフィルムを黒板上に載せた後、3波長スタンドの光を反射させて、しわの強度を目視で確認した。
強:しわが未コーティング基材に比べて目立つ程度で強い。
中:しわが未コーティング基材に比べて若干視認される。
弱:しわが未コーティング基材と類似している。
【0072】
4)防眩性
製造された防眩性ハードコーティングフィルムを黒色アクリル板に接合した後、3波長スタンドの光を反射させて、スタンドの光の形象がはっきりと見える程度で防眩性を評価した。
◎:形象が崩れて光の境界面を直線で描くことができない
○:光の境界面を直線で描くことができる
X:スタンドの光の形象がはっきりと視認される
【0073】
5)鉛筆硬度
鉛筆硬度試験機(PHT、韓国ソックボ科学社製)を用いて500g荷重をかけて45°角度で鉛筆硬度を測定する。鉛筆は三菱製品を使用し、1つの鉛筆硬度当り5回実施する。傷が2つ以上であれば、不良と判定し、不良と判定する以前の鉛筆で鉛筆硬度を表記した。
傷:0 OK
傷:1 OK
傷:2以上 NG
【0074】
【表1】

【0075】
上表1から分かるように、防眩層のコーティング厚さが本発明の好ましい範囲内でありながら、コーティング厚さと透光性粒子の平均粒径の関係が本発明の好ましい範囲内に含まれる実施例の場合、比較例に比べて基材しわが殆どないため、製造された防眩性ハードコーティングフィルム製品の品質に優れるだけでなく、防眩性及び鉛筆硬度も優れることを確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と;
前記基材の一面または両面に透光性樹脂及び透光性粒子を含有する防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸が備えられた防眩層;とを含んでなり、
前記防眩層のコーティング厚さは、基材厚さの1〜5%の厚さ範囲であり、
前記透光性粒子は、下記数学式1を満たすことを特徴とする防眩性ハードコーティングフィルム。
【数1】

(前記数学式1において、Aは透光性粒子の平均粒径である。)
【請求項2】
前記透光性粒子は、前記防眩性コーティング組成物全体100重量部に対して0.5〜20重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の防眩性ハードコーティングフィルム。
【請求項3】
基材と;
前記基材の一面または両面に透光性樹脂及び平均粒径が異なる少なくとも二種の透光性粒子を含有する防眩性コーティング組成物をコーティングして形成された表面に凹凸が備えられた防眩層;とを含んでなり、
前記防眩層のコーティング厚さは、基材厚さの1〜5%の厚さ範囲であり、
前記透光性粒子は、下記数学式2を満たすことを特徴とする防眩性ハードコーティングフィルム。
【数2】

(前記数学式2において、A’は平均粒径が異なる少なくとも二種の透光性粒子の中で最大の大きさを有する透光性粒子の平均粒径である。)
【請求項4】
前記平均粒径が最大の透光性粒子は、透光性粒子全体の合計量に対して10〜90重量%含まれることを特徴とする請求項3に記載の防眩性ハードコーティングフィルム。
【請求項5】
前記透光性粒子全体の含量は、前記防眩性コーティング組成物全体100重量部に対して0.5〜20重量部含まれることを特徴とする請求項3または4に記載の防眩性ハードコーティングフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩フィルムを含むことを特徴とする表示装置。

【公開番号】特開2013−25310(P2013−25310A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157804(P2012−157804)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(503454506)東友ファインケム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】