説明

除去装置

【課題】絶縁基板上に形成された膜を良好に除去できる除去装置を提供する。
【解決手段】照射部40は、レーザ光40aを照射しつつ、保持ユニット10に対して相対的に移動させられる。また、吸引部50は、照射部40との位置関係が保持された状態で、照射部40とともに保持ユニット10に対して相対的に移動させられる。これにより、照射部40から照射されたレーザ光40aは、絶縁基板5の下側から絶縁基板5に入射し、絶縁基板5上に形成された膜6に到達する。そして、このレーザ光40aにより絶縁基板5上から除去された膜6の構成物質は、除去後、速やかに、照射部40の直上に設けられた吸引部50により吸引される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス表示用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、樹脂基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、および太陽電池用ガラス基板等のように、絶縁体により形成されており、透光性を有する絶縁基板(以下、単に、「絶縁基板」と称する)から、膜を除去する除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁基板上に形成された膜にレーザ光を照射することによって、絶縁基板上の膜を除去する技術が知られている(例えば、特許文献1から3)。ここで、特許文献1から3に記載された技術は、
(1)絶縁基板の膜面(絶縁基板の主面のうち、膜が形成された面)が下側となるように反転させるとともに、
(2)膜面と逆側の面(絶縁基板の上側の主面)から入射され、絶縁基板を透過したレーザ光を、膜に照射することによって、
絶縁基板上の膜を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−111078号公報
【特許文献2】特開2009−082974号公報
【特許文献3】特開2010−092893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1から3の技術は、膜面の除去に先立ち、膜面が下側となるように絶縁基板を反転させることを前提としている。この場合において、絶縁基板の保持部は、膜面に形成された膜が損傷を受けることを防止するため、反転後の絶縁基板の周縁部を保持する。
【0005】
したがって、絶縁基板が大型化すると、絶縁基板の撓みの影響がさらに増大する。その結果、絶縁基板上に形成されている膜に対してレーザ光を良好に集光させることができず、この膜を良好に除去できないという問題が生ずる。
【0006】
そこで、本発明では、絶縁基板上に形成された膜を良好に除去できる除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、透光性を有する絶縁基板上から膜を除去する除去装置において、前記膜が上側となるように、前記絶縁基板を保持する保持ユニットと、前記絶縁基板上から前記膜を除去および吸引する除去吸引ユニットと、前記保持ユニットに対して前記除去吸引ユニットを相対的に移動させる駆動ユニットとを備え、前記除去吸引ユニットは、前記保持ユニットに保持された前記絶縁基板の下方に設けられており、前記絶縁基板上に形成された前記膜にレーザ光を照射する照射部と、前記保持ユニットに保持された前記絶縁基板の上方、かつ、前記照射部の直上に設けられており、前記レーザ光の照射により除去された前記膜の構成物質を吸引する吸引部とを有し、前記駆動ユニットは、相互の位置関係が維持された前記照射部および前記吸引部を、前記保持ユニットに対して相対的に移動させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の除去装置において、前記除去吸引ユニットは、前記照射部および前記吸引部が取り付けられた取付部、を、さらに有しており、前記駆動ユニットは、前記取付部に駆動力を付与することによって、前記照射部および前記吸引部を前記保持ユニットに対して相対的に移動させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の除去装置において、前記照射部の中心軸と、前記吸引部の中心軸と、が、略一致することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の除去装置において、前記除去吸引ユニットの退避位置に設けられており、前記照射部に清浄ガスを供給する浄化ノズル、をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1から請求項4に記載の発明によれば、照射部は、レーザ光を照射しつつ、保持ユニットに対して相対的に移動させられる。また、吸引部は、照射部との位置関係が保持された状態で照射部とともに、保持ユニットに対して相対的に移動させられる。
【0012】
これにより、照射部から照射されたレーザ光は、絶縁基板の下側から絶縁基板に入射し、絶縁基板上に形成された膜に到達する。そして、このレーザ光により絶縁基板上から除去された膜の構成物質は、除去後、速やかに、照射部の直上に設けられた吸引部により吸引される。
【0013】
このように、請求項1から請求項4に記載の発明によれば、照射部の直上に吸引部を設けつつ、吸引部を照射部とともに移動させることによって、絶縁基板から除去された膜の構成物質を良好に吸引できる。すなわち、保持ユニットの付近に大型の吸引機構を設ける必要がない。そのため、除去装置の装置サイズおよび除去装置の製造コストを低減することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、照射部および吸引部のそれぞれは、取付部に取り付けられており、照射部および吸引部は、一体となって、保持ユニットに対して相対的に移動させられる。そのため、絶縁基板上の膜の除去および吸引を、さらに良好に実行することができる。
【0015】
特に、請求項3に記載の発明によれば、照射部の中心軸と、吸引部の中心軸と、は、略一致している。これにより、絶縁基板上から除去された膜の構成物質は、さらに速やかに吸引部にて吸引される。そのため、絶縁基板上の膜の除去および吸引を、さらに良好に実行することができる。
【0016】
特に、請求項4に記載の発明によれば、退避位置に移動させられた除去吸引ユニットの照射部に、清浄ガスを供給することができる。これにより、絶縁基板の下側からレーザ光が照射される場合であっても、照射部を清浄な状態に維持することができる。そのため、レーザ光による膜の除去状態を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における除去装置の構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における除去装置の構成の一例を示す斜視図である。
【図3】除去吸引ユニット付近の構成の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<1.除去装置の構成>
図1および図2は、本発明の実施の形態における除去装置1の構成の一例を示す斜視図である。図3は、除去吸引ユニット30付近の構成の一例を示す正面図である。ここで、除去装置1は、絶縁基板5から膜6を除去し、絶縁基板5の表面を露出させることによって、絶縁基板5の周縁付近のデリーション加工を実行する。図1および図2に示すように、除去装置1は、主として、保持ユニット10と、架橋構造体20と、除去吸引ユニット30と、浄化ノズル80と、制御部90と、を有している。
【0020】
なお、図1から図3には、それらの方向関係を明確にすべく、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が付されている。
【0021】
保持ユニット10は、膜6が上側となるように(より具体的には、保持ユニット10は、除去範囲7より中心側となる保持範囲8にて)、絶縁基板5を保持する。図1から図3に示すように、保持ユニット10は、主として、水平駆動部11aと、回転駆動部11bと、を有している。また、図3に示すように、保持ユニット10には、吸着溝12および貫通孔13が設けられている。
【0022】
水平駆動部11aは、保持ユニット10を、矢印AR1方向(Y軸プラスまたはマイナス方向:第1水平方向)に進退させる。また、回転駆動部11bは、回転軸11cを中心として矢印R1方向(回転方向)に、保持ユニット10を回転させる。これにより、保持ユニット10は、保持された絶縁基板5の4辺のうちのいずれか1辺を、除去吸引ユニット30付近に移動させることができる。そして、この1辺に沿って、除去範囲7(図3参照)が設定される。
【0023】
複数(図3では、図示の都合上1本)の吸着溝12は、保持ユニット10の保持面10a上に設けられた凹み部である。各吸着溝12は、X軸またはY軸に沿って略直線状に延びるように形成されており、格子状とされている。
【0024】
複数(図3では、図示の都合上2本)の貫通孔13のそれぞれは、各吸着溝12と、保持ユニット10の下面側と、を貫通する縦孔である。例えば、貫通孔13は、複数の吸着溝12が交差する交差点(格子点)で接続されてもよい。
【0025】
また、各貫通孔13は、図3に示すように、配管15、バルブ16、ポンプ17、および共通配管18を介して、排気ドレイン19と連通接続されている。
【0026】
これにより、バルブ16が開放され、ポンプ17が動作させられることによって、絶縁基板5の下側付近の雰囲気、および吸着溝12内の雰囲気は、排気される。そのため、絶縁基板5は、保持ユニット10の保持面10aに対して吸着保持される。
【0027】
架橋構造体20は、保持ユニット10を跨ぐように配置された構造物である。図1および図2に示すように、架橋構造体20は、保持ユニット10の進行方向(矢印AR1方向)と直交する方向(矢印AR2方向)に延びるユニット支持体21を有している。
【0028】
除去吸引ユニット30は、図3に示すように、架橋構造体20のユニット支持体21に沿って進退しつつ、レーザ光40aによって絶縁基板5上の除去範囲7から膜6を除去する。また、除去吸引ユニット30は、絶縁基板5上から放出された膜6の構成物質を吸引(吸塵)する。なお、除去吸引ユニット30の詳細については、後述する。
【0029】
浄化ノズル80は、例えば、照射部40の走査部42(図3参照)のような光学系に清浄ガス(例えば、窒素ガス)を供給することによって、照射部40に付着したホコリ等を取り除き、照射部40を浄化する。浄化ノズル80は、配管81を介して図示しない清浄ガス供給源に接続されている。図2に示すように、浄化ノズル80は、除去吸引ユニット30の退避位置P1に設けられている。
【0030】
これにより、絶縁基板5の下側からレーザ光40aが照射される場合であっても、照射部40を清浄な状態に維持することができる。そのため、レーザ光40aによる膜6の除去状態を良好に維持することができる。
【0031】
制御部90は、例えば保持ユニット10の進退および回転動作、並びに除去吸引ユニット30の進退動作、照射動作、および吸引動作を制御するとともに、データ演算を実現する。図1および図2に示すように、制御部90は、主として、ROM91と、RAM92と、CPU93と、を有している。
【0032】
ROM(Read Only Memory)91は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、例えば、プログラム91aが格納されている。なお、ROM91としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。
【0033】
RAM(Random Access Memory)92は、揮発性の記憶部であり、例えば、CPU93の演算で使用されるデータが格納される。CPU(Central Processing Unit)93は、ROM91のプログラム91aに従った制御(例えば、除去吸引ユニット30による吸引動作の制御)やデータ処理を実行する。
【0034】
<2.除去吸引ユニットの構成>
ここでは、除去吸引ユニット30のハードウェア構成について説明する。図3に示すように、除去吸引ユニット30は、主として、照射部40と、吸引部50と、取付部60と、を有している。
【0035】
照射部40は、図3に示すように、保持ユニット10に保持された絶縁基板5の下方に設けられており、絶縁基板5上に形成された膜6にレーザ光40a(例えば、レーザスポット径が150μm程度)を照射する。レーザ光40aに照射された膜6は、原子状態、分子状態、プラズマ状態となり、膜6の構成物質の微粒子が絶縁基板5上から放出される。図3に示すように、照射部40は、主として、レーザ発振器41と、走査部42と、光ファイバ43と、を有している。
【0036】
レーザ発振器41は、制御部90から送出される駆動信号に基づいて、レーザ光を出射する。本実施の形態において、レーザ発振器41としては、比視感度の高いグリーンレーザ(波長532nm半導体励起固定レーザ)が、用いられても良い。そして、レーザ発振器41から出射されたレーザ光は、光ファイバ43を介して、走査部42に導かれる。
【0037】
走査部42は、レーザ光40aの照射方向を変更することによって、レーザ光40aを膜6に対して走査させる。ここで、本実施の形態の走査部42は、2枚のミラー(図示省略)を有しており、各ミラーの回転軸は、互いに直交する。したがって、走査部42は、各ミラーの回転量を調整することによって、レーザ光40aを所望方向に揺動させることができる。
【0038】
吸引部50は、絶縁基板5上から放出された膜6の構成物質を吸引する。図3に示すように、吸引部50は、保持ユニット10に保持された絶縁基板5の上方、かつ、照射部40の直上に設けられており、吸引ノズル51を有している。
【0039】
吸引ノズル51は、図3に示すように、上下方向(Z軸方向)に延びる中空の筒状体である。図3に示すように、吸引ノズル51は、主として、真直部52と、拡開部53と、平坦部54と、を有している。また、図3に示すように、吸引ノズル51は、配管55、バルブ56、分離部57、配管58、およびポンプ59を介して、排気ドレイン19と連通接続されている。
【0040】
真直部52は、拡開部53の上側に配置されており、上下方向に真っ直ぐに延びる円筒体である。図3に示すように、真直部52の内径は、上下方向(Z軸方向)の各位置において略同一となる。また同様に、真直部52の外径も、上下方向の各位置において略同一となる。
【0041】
拡開部53は、図3に示すように、真直部52の下側に設けられており、円錐台状の外形を有している。拡開部53の内径および外径は、真直部52側から平坦部54側に向かうにしたがって、増大する。
【0042】
平坦部54は、拡開部53の下側に設けられたリング状の平板である。平坦部54の開口54aは、膜6の構成物質を吸引する吸引口として用いられる。これにより、吸引ノズル51で固化した膜6の固形物は、拡開部53および平坦部54で挟まれる捕捉空間50bにて捕捉される。そのため、固化した膜6の固形物が、絶縁基板5に付着することを防止できる。
【0043】
また、図3に示すように、吸引ノズル51は、配管55、バルブ56、分離部57、配管58、およびポンプ59を介して、排気ドレイン19と連通接続されている。これにより、バルブ56が開放され、ポンプ59が動作させられることによって、除去範囲7に存在する膜6の構成物質は、除去範囲7付近の雰囲気とともに排気される。そのため、絶縁基板5の上側付近を清浄に維持することができる。
【0044】
ここで、分離部57は、膜6の構成物質を含む気体から、この構成物質を分離する。例えば、吸引ノズル51で吸引された膜6の構成物質は、配管55およびバルブ56を介して、分離部57の密閉空間57a内に案内される。密閉空間57a内に案内された膜6の構成物質は、固化して固形物57bとなっており、密閉空間57a内に残る。そのため、分離部57からは、膜6の構成物質を含まない清浄な空気が、排気ドレイン19に向けて排気される。
【0045】
取付部60は、図1および図2に示すように、架橋構造体20の長手方向(矢印AR2方向)に沿って進退する移動部材である。取付部60には、照射部40および吸引部50が取り付けられている。図3に示すように、取付部60は、主として、水平駆動部60aと、支持部材61と、上部および下部ブラケット62、63と、を有している。
【0046】
支持部材61は、上下方向に延びる柱状体である。上部および下部ブラケット62、63は、それぞれ支持部材61の上端および下端付近に、片持ち梁状に設けられている。そして、上部および下部ブラケット62、63の自由端には、それぞれ吸引部50および照射部40が、固定されている。
【0047】
これにより、取付部60に固定された照射部40および吸引部50は、上面視角形の絶縁基板5の周縁に沿って、矢印AR2方向(図1および図2参照)に移動できる。すなわち、照射部40および吸引部50は、保持ユニット10に対し、一体となって移動させられる。そのため、絶縁基板5上の膜6の除去および吸引が、さらに良好に実行される。
【0048】
ここで、図3に示すように、照射部40および吸引部50は、中心軸40b、50aが略一致するように、取付部60に対して取り付けられている。これにより、絶縁基板5上から除去された膜6の構成物質は、さらに速やかに吸引部50にて吸引される。そのため、絶縁基板5上の膜6の除去および吸引を、さらに良好に実行することができる。
【0049】
水平駆動部60aは、取付部60の支持部材61に駆動力を付与する。これにより、支持部材61と、上部および下部ブラケット62、63と、は、矢印AR2方向(X軸プラスまたはマイナス方向:第2水平方向)に進退できる。
【0050】
このように、水平駆動部60a、並びに保持ユニット10の水平駆動部11aおよび回転駆動部11bは、相互の位置関係が維持された照射部40および吸引部50を、保持ユニット10に対して相対的に移動させることができる。すなわち、水平駆動部11a、回転駆動部11b、および水平駆動部60aは、駆動ユニット70として使用できる。また、上述のように、走査部42は、レーザ光40aを照射方向を変更することによって、レーザ光40aを膜6にて走査させることができる。
【0051】
これにより、走査部42によりレーザ光40aを矢印AR1方向に往復スキャンさせながら、駆動ユニット70により絶縁基板5の周縁に沿って照射部40および吸引部50を移動させることができる。
【0052】
そのため、照射部40は、絶縁基板5の周縁付近となる除去範囲7(例えば、走査幅D1が5〜10mm)から膜6が除去されるように、レーザ光40aを照射でき、絶縁基板5の表面を露出させることができる。
【0053】
なお、水平駆動部11a、回転駆動部11b、および水平駆動部60aによる移動態様の一例としては、
(1)照射部40および吸引部50だけが移動する、
(2)保持ユニット10だけが移動する、
(3)照射部40および吸引部50と、保持ユニット10と、の両者が移動する、
が、挙げられる。
【0054】
また、吸引ノズル51の開口幅D2は、除去範囲7より大きくなるように設定されている。そのため、吸引部50は、膜6の構成物質をさらに良好に吸引することができる。
【0055】
<3.本実施の形態の除去装置の利点>
以上のように、本実施の形態の除去装置1において、照射部40は、レーザ光40aを照射しつつ、保持ユニット10に対して相対的に移動させられる。また、吸引部50は、照射部40との位置関係が保持された状態で照射部40とともに、保持ユニット10に対して相対的に移動させられる。
【0056】
これにより、照射部40から照射されたレーザ光40aは、絶縁基板5の下側から絶縁基板5に入射し、絶縁基板5上に形成された膜6に到達する。そして、このレーザ光40aにより絶縁基板5上から除去された膜の構成物質は、除去後、速やかに、照射部40の直上に設けられた吸引部50により吸引される。
【0057】
このように、照射部40の直上に吸引部50を設けつつ、照射部40および吸引部50を一体的に移動させることによって、絶縁基板5から除去された膜6の構成物質を良好に吸引できる。すなわち、保持ユニット10の付近に大型の吸引機構を設ける必要がない。そのため、除去装置1の装置サイズおよび除去装置1の製造コストを低減することができる。
【0058】
また、本実施の形態の除去装置1は、絶縁基板5を反転させることなく、絶縁基板5上の膜6を除去することができる。すなわち、本実施の形態の除去装置1は、反転状態の絶縁基板5を保持する場合に問題となる絶縁基板5の撓みの影響を、抑制することができる。そのため、レーザ光40aを膜6で良好に集光させることができ、膜6の除去を良好に実行できる。
【0059】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0060】
本実施の形態において、保持ユニット10の保持面10aのサイズは、絶縁基板5の主面サイズより小さいものとして説明したが、これに限定されるものでない。保持ユニット10の材質がレーザ光40aに対して透明ならば、保持ユニット10の保持面10aのサイズは、絶縁基板5の主面サイズ以上であっても良い。この場合、レーザ光40aは、保持ユニット10の下側から保持ユニット10に入射し、絶縁基板5を介して膜6に到達する。
【符号の説明】
【0061】
1 除去装置
5 絶縁基板
6 膜
7 除去範囲
8 保持範囲
10 保持ユニット
10a 保持面
11a、60a 水平駆動部
11b 回転駆動部
11c 回転軸
20 架橋構造体
30 除去吸引ユニット
40 照射部
40a レーザ光
40b、50a 中心軸
50 吸引部
51 吸引ノズル
60 取付部
70 駆動ユニット
80 浄化ノズル
D1 走査幅
D2 開口幅
P1 退避位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する絶縁基板上から膜を除去する除去装置において、
(a) 前記膜が上側となるように、前記絶縁基板を保持する保持ユニットと、
(b) 前記絶縁基板上から前記膜を除去および吸引する除去吸引ユニットと、
(c) 前記保持ユニットに対して前記除去吸引ユニットを相対的に移動させる駆動ユニットと、
を備え、
前記除去吸引ユニットは、
(b-1) 前記保持ユニットに保持された前記絶縁基板の下方に設けられており、前記絶縁基板上に形成された前記膜にレーザ光を照射する照射部と、
(b-2) 前記保持ユニットに保持された前記絶縁基板の上方、かつ、前記照射部の直上に設けられており、前記レーザ光の照射により除去された前記膜の構成物質を吸引する吸引部と、
を有し、
前記駆動ユニットは、相互の位置関係が維持された前記照射部および前記吸引部を、前記保持ユニットに対して相対的に移動させることを特徴とする除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除去装置において、
前記除去吸引ユニットは、
(b-3) 前記照射部および前記吸引部が取り付けられた取付部、
を、さらに有しており、
前記駆動ユニットは、前記取付部に駆動力を付与することによって、前記照射部および前記吸引部を前記保持ユニットに対して相対的に移動させることを特徴とする除去装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の除去装置において、
前記照射部の中心軸と、前記吸引部の中心軸と、が、略一致することを特徴とする除去装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の除去装置において、
前記除去吸引ユニットの退避位置に設けられており、前記照射部に清浄ガスを供給する浄化ノズル、
をさらに有することを特徴とする除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−11415(P2012−11415A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149325(P2010−149325)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(390000608)三星ダイヤモンド工業株式会社 (383)
【Fターム(参考)】