説明

除振装置

【課題】定盤5を基礎(基礎部材3)に対してコイルばね4により支持してなる除振装置(除振台A)において、上下間隔が狭いスペースにコイルばね4を配設しつつ、機器1の重量による荷重が大きくなっても、機器1を含めたばね系の水平方向の固有振動数を出来る限り小さくする。
【解決手段】コイルばね4のコイル径を、ばね中心軸方向の一側から他側に向かって大きくするとともに、該コイルばね4の圧縮により、前記他側の端に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く少なくとも1巻分が入り込むことが可能な大きさに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器が載置される定盤を基礎に対してコイルばねにより支持してなる除振装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機器(例えば電子顕微鏡等のような精密機器)を床(基礎)の微少な振動から絶縁するための除振装置が知られている。このような除振装置としては、機器が載置される定盤を基礎に対して空気ばねにより支持するものや、コイルばねにより支持するものがある。
【0003】
定盤を基礎に対してコイルばねにより支持する場合、例えば特許文献1に示されているように、そのコイルバネが、機器の重量による荷重の増大に応じてばね定数が高くなる非線形特性を有するようにして、機器を含めたばね系の鉛直方向の固有振動数が当該機器の重量の変化に拘わらず実質的に一定となるようにしている。
【0004】
前記のような非線形特性を有するばねとしては、円錐形ばねがよく用いられており、この円錐形ばねを用いることで、上下間隔が狭いスペースにばねを配設しつつ、広い荷重範囲に対応することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−78122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、円錐形ばねは、機器を含めたばね系の水平方向の固有振動数を小さくする(水平方向に柔らかくする)ことができるという利点がある。これにより、パッシブ除振装置では、良好な水平方向の除振性能が得られる。また、アクティブ除振装置では、定盤を水平方向の互いに垂直なx軸及びy軸の各軸方向にそれぞれ駆動するアクチュエータの数を、鉛直方向に駆動するアクチュエータの数よりも少なくすることも可能になる(例えば特許文献1では、鉛直方向に駆動するアクチュエータの数が4であるのに対し、x軸及びy軸の各軸方向にそれぞれ駆動するアクチュエータの数は2である)。
【0007】
しかし、円錐形ばねであっても、機器の重量による荷重が大きくなると、コイル径が大きい側でコイルが密着した状態となるため、水平方向の固有振動数が大きくなってしまう。このように水平方向の固有振動数が大きくなると、鉛直方向に比べて水平方向の除振性能が悪化してしまう。特にアクティブ除振装置でx軸及びy軸の各軸方向にそれぞれ駆動するアクチュエータの数を少なくしている場合には、水平方向の除振性能がかなり悪化してしまう。
【0008】
一方、ばねを上下間隔が広いスペースに配設すれば、荷重が大きくなっても円錐形ばねが密着巻きした状態とならずに済むが、これでは、除振装置が大型化してしまう。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定盤を基礎に対してコイルばねにより支持してなる除振装置において、上下間隔が狭いスペースにコイルばねを配設しつつ、機器の重量による荷重が大きくなっても、機器を含めたばね系の水平方向の固有振動数を出来る限り小さくしようとすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、この発明では、機器が載置される定盤を基礎に対してコイルばねにより支持してなる除振装置を対象とし、前記コイルばねのコイル径が、ばね中心軸方向の一側から他側に向かって大きくなるとともに、該コイルばねの圧縮により、前記他側の端に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く少なくとも1巻分が入り込むことが可能な大きさに設定されている、という構成とした。
【0011】
前記の構成により、上下間隔が狭いスペースにコイルばねを配設した状態で、荷重が大きくなっても、大径側の少なくとも第1巻目と第2巻目とが互いに密着しなくなり、その分だけ水平方向の柔らかさを維持することができるようになる。この結果、上下間隔が狭いスペースにコイルばねを配設しつつ、広い荷重範囲に亘って、機器を含めたばね系の水平方向の固有振動数を小さくすることができる。
【0012】
前記除振装置おいて、前記コイルばねは、略半鼓形状をなすばねである、ことが好ましい。
【0013】
このことにより、ばねの形状から、第1巻目の内側に少なくとも1巻分(前記他側の端から第2巻目)が入り込むようにすることが容易にできるとともに、本発明の作用効果を最大限に発揮する最適なばねが低コストで得られる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明の除振装置によると、定盤を基礎に対して支持するコイルばねを、そのコイル径がばね中心軸方向の一側から他側に向かって大きくなるばねであって、該コイルばねに所定値以上の荷重が負荷された状態で、前記他側の端に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く少なくとも第2巻目が入り込むように構成したことにより、上下間隔が狭いスペースにコイルばねを配設しつつ、広い荷重範囲に亘って、機器を含めたばね系の水平方向の固有振動数を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る除振装置としての除振台の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】鉛直方向加速度のフィードバックループを示すブロック図である。
【図4】コイルばねを示す拡大図であり、(a)は、コイルばねに荷重が作用していない状態を示し、(b)は、コイルばねに荷重が作用して上端の第1巻目の内側に第2巻目が入り込んだ状態を示す。
【図5】実施例のばね及び比較例のばねについて、圧縮荷重とばね高さとの関係を示すグラフである。
【図6】実施例のばね及び比較例のばねを除振装置に用いて水平方向の振動伝達率を測定した結果を示す、水平方向の振動伝達率の周波数特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る除振装置としての除振台Aの概略構成を示す。この除振台Aは、例えば電子顕微鏡や原子間力顕微鏡(AFM)、半導体関連の試験機器、検査機器等の精密計測機器のように、振動の影響を受けやすい精密な機器1(図2に二点鎖線で示す)を載置するための精密除振台であって、機器1を床の振動から出来る限り絶縁した状態で設置するためのものである。本実施形態では、除振台A(後述の定盤5上)に、主として比較的小型の機器1が使用者の都合に応じて載置されることが想定される。
【0018】
前記除振台Aは、図示しない専用のテーブルや台等の上面に設置される略矩形状の基礎部材3と、この基礎部材3の上面の4隅にそれぞれ配設されたコイルばね4と、これらコイルばね4により4隅をそれぞれ支持されて、上面に前記機器1が載置される定盤5とを備えている。基礎部材3は、上側が開口した箱状をなしており、その上側の開口を定盤5が上下に隙間をあけた状態で覆っている。
【0019】
各コイルばね4は、高さ調整機構21を介して基礎部材3上にそれぞれ配置されている。この高さ調整機構21は、不図示のモータにより、鉛直方向に延びる中心軸回りに回転するギヤ22と、このギヤ22の上面に、ギヤ22の中心軸上で鉛直方向に延びるように設けられ、ギヤ22と一体的に回転するネジ軸23と、このネジ軸23の回転により上下移動するばね受け部材24とを有している。このばね受け部材24の上下移動は、ネジ軸23の回転が送りねじ機構により変換されたものである。
【0020】
コイルばね4は、ばね受け部材24上に、ネジ軸23の周囲を囲むように載せられて、定盤5とばね受け部材24との間に介装される。尚、コイルばね4のばね中心軸は、鉛直方向に延びていて、ギヤ22の中心軸(ネジ軸23の中心軸)と略一致している。
【0021】
機器1の重量が変化すると、コイルばね4の圧縮量が変化して定盤5の基礎部材3に対する高さ位置が変化することになるが、本実施形態では、高さ調整機構21が作動してばね受け部材24を上下移動させることで、機器1の重量に関係なく、定盤5の基礎部材3に対する高さ位置が略一定になるようになされている。定盤5の下面におけるコイルばね4が当接する部分とばね受け部材24の上面との間隔(ばね高さ)は、機器1の重量によって変化する(図5参照)。
【0022】
定盤5及び基礎部材3の間には、両者を鉛直方向及び水平方向にそれぞれ相対変位させる鉛直用及び水平用リニアモータユニット6,7が配設されている。これらリニアモータユニット6,7は、鉛直用も水平用も同じ構造のものであって、それぞれ縦向き及び横向きに、すなわち、基礎部材3から定盤5に対して鉛直方向及び水平方向の力を付与するように、配置されている。
【0023】
本実施形態では、定盤5及び基礎部材3を4つの鉛直用リニアモータユニット6で鉛直方向に相対変位させる。一方、水平方向の相対変位は、x軸方向及びy軸方向それぞれについて、2つの水平用リニアモータユニット7で行う。
【0024】
前記鉛直用及び水平用リニアモータユニット6,7には、加速度センサ8,9がそれぞれ一体的に設けられている。そして、加速度センサ8,9により、定盤5の基礎部材3に対する鉛直方向及び水平方向の相対加速度(定盤5の振動状態)をそれぞれ検出して、その検出結果を、定盤5及び基礎部材3の間における除振台Aの中心部に配設されたコントローラ10(図2参照)に出力するようになっている。尚、図2では、分かり易くするために、コントローラ10を、定盤5及び基礎部材3の間から外れた位置に記載している。
【0025】
各加速度センサ9から出力された信号がコントローラ10に入力される一方、この信号に基づいて生成された駆動制御信号がコントローラ10から当該加速度センサ9が設けられたリニアモータユニット6に出力されて、定盤5及び機器1にその鉛直方向zの振動を低減するような制御力が付加される。つまり、除振台Aは、機器1の振動を低減するフィードバック振動制御が行われるアクティブ除振装置である。
【0026】
尚、水平方向のx軸方向及びy軸方向のそれぞれについても、鉛直方向と同様の振動制御が行われる。このため、以下では、鉛直方向の振動制御について詳細に説明する。
【0027】
図3は、コントローラ10による鉛直方向の制御のフィードバックループを示すブロック図である。本実施形態では、コントローラ10は、機器1及び定盤5(振動制御対象)の鉛直方向加速度z″の検出値に制御ゲインGmを乗算するとともに、加速度z″を1回積分して得られる速度z′に制御ゲインGcを乗算し、また、加速度z″を2回積分して得られる変位zに制御ゲインGkを乗算して、それぞれフィードバック補正値Gm・z″,Gc・z′,Gk・zを演算する。
【0028】
そして、前記フィードバック補正値Gm・z″,Gc・z′,Gk・zを加算した上で反転することにより、リニアモータユニット6へのフィードバック制御量U(制御信号)を求める。この制御量Uに対応する制御信号を受けて駆動されるリニアモータユニット6が、振動制御対象(機器1及び定盤5)に制御力Fを付加し、これにより、振動制御対象の振動が低減される。
【0029】
前記のように加速度z″に制御ゲインGmを乗じてフィードバックすることはばね系のマスを増やすのと略同じ効果があり、これにより固有振動数が低下する。また、速度z′のフィードバックによっていわゆるスカイフックダンパの効果が得られ、高周波域での除振性能を損なうことなく共振倍率を低下させることができる。さらに、変位zのフィードバックによっていわゆるスカイフックスプリングの効果が得られ、固有振動数以下で振動伝達率を低下させることができる。
【0030】
本実施形態の除振台Aにおいては、個々のコイルばね4毎に、これをばね要素とし、これに加わる機器1及び定盤5の重量(分担荷重)をマスとするばね系が構成されるとみなすことができる。
【0031】
前記各コイルばね4のコイル径は、図4(a)に示すように、ばね中心軸方向の一側(本実施形態では、下側)から他側(本実施形態では、上側)に向かって大きくなるとともに、該コイルばね4の圧縮により、前記他側の端(上端)に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く1巻分(上端から第2巻目)が入り込むことが可能な大きさに設定されている。本実施形態では、各コイルばね4は、略半鼓形状をなすばねである。すなわち、鼓形ばねをばね中心軸方向の中央で半分に切断してなるばねと略同じ形状である。これにより、ばね中心軸方向の位置の変化に対するコイル径の変化量が、上側ほど大きくなるので、前記第1巻目の内側に前記第2巻目が入り込むことが可能になる(図4(b)参照)。一方、上端から第3巻目以降については、コイルばね4を圧縮していくと、第n巻目(nは3以上の自然数)が第n−1巻目と順次密着するために、第1巻目の内側に入り込むことはできない。
【0032】
ここで、本実施形態と同様の略半鼓形状をなすばね(以下、実施例のばねという)について、圧縮荷重P((機器1及び定盤5の合計重量)/4)とばね高さHとの関係(静的特性)を図5に示す。この実施例のばねの自然長(圧縮荷重Pが0であるときのばね高さ)は52mm、線径は3.2mm、最大コイル径は44.5mm、最小コイル径は20.4mm、有効巻数は7巻(総巻数9巻)である。
【0033】
前記実施例のばねに対して圧縮荷重Pを0から大きくしていくと、圧縮荷重Pが第1所定値になったときに、大径側(上側)において第1巻目の内側に第2巻目が入り込む。圧縮荷重Pが第1所定値以上では、前記第1巻目の内側に前記第2巻目が入り込んだ状態が維持される。圧縮荷重Pが第1所定値よりも大きい第2所定値になったとき、大径側の端から第3巻目が第2巻目と密着する。圧縮荷重Pを大きくするに連れて、大径側において密着する部分が増大していき、ばねとして機能する部分の長さが短くなっていく。これにより、圧縮荷重Pが前記第2所定値になるまでは、概ね線形特性を有するが、前記第2所定値よりも大きくなると、非線形特性を有する。
【0034】
また、比較のために、円錐形ばね(以下、比較例のばねという)についてその静的特性を図5に合わせて示す。この比較例のばねの自然長、線径、最大コイル径、巻数及び材質は、前記実施例のばねと同じである。この比較例のばねのコイル径は、大径側の端に位置する第1巻目の内側に第2巻目が入り込むことができない大きさに設定されている。このため、圧縮荷重Pが前記第1所定値と略同じ値になったときに、大径側において第1巻目と第2巻目とが密着する。そして、実施例のばねと同様に、圧縮荷重Pを大きくするに連れて、大径側において密着する部分が増大していき、ばねとして機能する部分の長さが短くなっていく。比較例のばねも、コイルが密着し始めるまでは、概ね線形特性を有し、それよりも大きい圧縮荷重Pが作用するときには、非線形特性を有し、両者は概ね同じ静的特性を有していると言える。
【0035】
しかし、実施例のばねでは、比較例のばねに比べて大きい圧縮荷重でコイルが密着し始めるため、同じ圧縮荷重が作用している状態で、ばねとして機能する部分の長さが、比較例のばねに比べて、実施例のばねの方が長くなる。また、ばねとして機能する部分の長さをLとし、ばねとして機能する部分の最大コイル径をDとしたとき、同じ圧縮荷重が作用している状態で、L/Dの値も、比較例のばねに比べて、実施例のばねの方が大きくなる。例えば圧縮荷重Pが200Nであるとき、比較例のばねではL/D=0.7であるのに対して、実施例のばねではL/D=1.0である。圧縮荷重Pが300Nであるとき、比較例のばねではL/D=0.5であるのに対して、実施例のばねではL/D=0.7である。
【0036】
したがって、実施例のばねの方が、比較例のばねに比べて、広い荷重範囲に亘って水平方向の柔らかさを維持することができるようになる。これにより、広い荷重範囲に亘って、機器1を含めたばね系の水平方向の固有振動数を小さくすることができる。
【0037】
前記実施例のばねと前記比較例のばねとを前記除振台Aと同様の除振装置に用いて水平方向の振動伝達率(x軸方向のばね上加速度/x軸方向のばね下加速度)を測定した結果を図6に示す。この測定は、鉛直用及び水平用リニアモータユニット6,7の駆動によりフィードバック振動制御を行うアクティブの場合と、鉛直用及び水平用リニアモータユニット6,7を駆動しないパッシブの場合とのそれぞれについて行った。尚、機器1及び定盤5の合計重量は784N(1つのコイルばね当たり196N)である。
【0038】
この結果、実施例のばねと比較例のばねとをパッシブの場合で比較すると、実施例のばねの方が、比較例のばねに比べて、固有振動数が低くなっていることが分かる。
【0039】
また、アクティブの場合で比較すると、実施例のばねの方が、比較例のばねに比べて、振動伝達率が4〜6dB低くなり、除振性能が良好であることが分かる。
【0040】
以上のように、本実施形態のようなコイルばね4を除振台Aに用いることで、上下間隔が狭いスペースにコイルばね4を配設したとしても、広い荷重範囲に亘って、機器1を含めたばね系の水平方向の固有振動数を小さくすることができる。この結果、x軸及びy軸の各軸方向にそれぞれ駆動する水平用リニアモータユニット7の数を、鉛直方向に駆動する鉛直用リニアモータユニット6の数よりも少なくしても、良好な水平方向の除振性能が得られるようになる。
【0041】
本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0042】
例えば、前記実施形態では、各コイルばね4のコイル径が、コイルばね4の圧縮により、上端(大径側の端)に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く1巻分(第2巻目)のみが入り込むことが可能な大きさに設定されていたが、前記第1巻目の内側に、該第1巻目に続く2巻分以上が入り込むことが可能な大きさに設定してもよい。但し、大径側のコイル径が大きくなり過ぎるのを防止する観点から、第1巻目の内側に入り込めるのは、現実的にはせいぜい2巻分である。前記実施形態のように1巻分しか入り込めなくても、良好な水平方向の除振性能が得られるので、問題はない。
【0043】
また、各コイルばね4が略半鼓形状をなすばねである必要はなく、各コイルばね4のコイル径が、ばね中心軸方向の一側から他側に向かって大きくなるとともに、該コイルばね4の圧縮により、前記他側の端に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く少なくとも1巻分が入り込むことが可能な大きさに設定されていれば、どのような形状のばねであってもよい。
【0044】
さらに、前記実施形態では、コイルばね4の上側が大径側であるとしたが、コイルばね4の下側が大径側であってもよい。但し、高さ調整機構21のばね受け部材24が大きくなり、このばね受け部材24の周辺には、ギヤを回転させるモータや伝達機構が配置されるので、スペース的な観点からは、前記実施形態のようにする方がよい。高さ調整機構21がない場合には、コイルばね4の上下は除振性能には関係しないので、大径側が上側であっても下側であってもよい。
【0045】
さらにまた、前記実施形態では、アクティブ除振装置に本発明を適用したが、パッシブ除振装置に適用することも可能である。
【0046】
前記実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、機器が載置される定盤を基礎に対してコイルばねにより支持してなる除振装置に有用であり、特に、鉛直方向及び水平方向のそれぞれにおいてアクチュエータによる振動制御を行うアクティブ除振装置に有用である。
【符号の説明】
【0048】
A 除振台
1 機器
3 基礎部材
4 コイルばね
5 定盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器が載置される定盤を基礎に対してコイルばねにより支持してなる除振装置であって、
前記コイルばねのコイル径が、ばね中心軸方向の一側から他側に向かって大きくなるとともに、該コイルばねの圧縮により、前記他側の端に位置する第1巻目の内側に、該第1巻目に続く少なくとも1巻分が入り込むことが可能な大きさに設定されていることを特徴とする除振装置。
【請求項2】
請求項1記載の除振装置において、
前記コイルばねは、略半鼓形状をなすばねであることを特徴とする除振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−82889(P2012−82889A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228731(P2010−228731)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】