説明

除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システム

【課題】無重力空間や微小重力空間であっても、ガスから水を取り除くことが省スペースでできる除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システムを提供する。
【解決手段】燃料電池本体111から排出される酸素ガス1及び水素ガス2から水3を取り除く除水装置140であって、陽イオン交換樹脂からなる管状の除水管142A,142Bと、除水管142A,142Bを内部に配設されて除水管142A,142Bの外面に上記ガス1,2を接触させるように流通させる除水容器141A,141Bと、除水管142A,142Bの内部に硫酸水溶液4を供給するタンク145及びポンプ147等と、硫酸水溶液4を貯留する液相室145aを気相室145bと仕切るようにタンク145に設けられて硫酸水溶液4の体積変化に追従して液相室145aの容積を変量させるダイヤフラム146等を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスに水が混在する混合体から当該水を取り除く除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池発電システムは、ガス透過性及び導電性を有する酸化極及び燃料極により、プロトン伝導性を有する電解質膜を挟んだセルを複数積層したスタックを備えた燃料電池本体に対して、酸素を含有する酸化ガスを燃料電池本体の上記酸化極へ供給すると共に、水素を含有する燃料ガスを燃料電池本体の上記燃料極へ供給することにより、酸化ガス中の酸素と燃料ガス中の水素とを上記セルで電気化学的に反応させて、電気を発生させるようにしたものである。
【0003】
このような燃料電池発電システムを、例えば、宇宙空間等のような外部と遮断されてしまう狭小な閉鎖空間で利用する場合には、設置スペースのコンパクト化等を図るため、酸化ガスとして酸素ガスそのものを利用し、燃料ガスとして水素ガスそのものを利用するようにしている。このように酸素ガスそのものや水素ガスそのものを利用する場合には、上記燃料電池本体の上記セルで上記電気化学反応に寄与せずに当該燃料電池本体から排出される当該酸素ガスや当該水素ガスを有効に利用するため、当該燃料電池本体から排出された当該ガスを新たな前記ガスと共に当該燃料電池本体の上記セルへ供給して循環再利用するようにしている。
【0004】
このとき、上記電気化学反応に伴って、前記燃料電池本体の前記セルにおいて水が生成し、当該燃料電池本体から上記ガスと共に排出されるため、当該ガスをそのまま循環再利用すると、当該ガス中の水が増え過ぎて、上記セルでの上記電気化学反応の障害になってしまうことから、上記燃料電池本体から排出された上記ガスに混在する上記水を除水装置により取り除いてから当該ガスを循環再利用するようにしている。
【0005】
このような除水装置としては、比重差に基づいて重力を利用したポットタイプのものが一般的であるが、宇宙空間等のような無重力空間又は微小重力空間では使用することができないため、遠心分離によって前記ガスと水とを分離して当該ガスから水を取り除くようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−158108号公報
【特許文献2】特開平6−106021号公報
【特許文献3】特開平7−108128号公報
【特許文献4】特開昭64−056118号公報
【特許文献5】特開2007−044116号公報
【特許文献6】特開平2−040214号公報
【特許文献7】特開平6−325780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述したような遠心分離を利用した除水装置は、大掛かりな構造となってしまい、宇宙空間等のような外部と遮断されてしまう狭小な閉鎖空間で利用する場合には、設置スペースの確保に難点があった。
【0008】
このようなことから、本発明は、無重力空間や微小重力空間であっても、ガスに水が混在する混合体から水を取り除くことが省スペースでできる除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係る除水装置は、ガスに水が混在する混合体から当該水を取り除く除水装置であって、陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂からなる隔離体と、前記隔離体の一方側に前記混合体を接触させるように流通させる混合体流通手段と、前記隔離体の他方側に除水用水溶液を接触させるように流通させる水溶液流通手段とを備え、前記隔離体が陽イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陽イオンとしてプロトンを生じる化合物を含有するものであり、前記隔離体が陰イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陰イオンとしてヒドロキシイオンを生じる化合物を含有するものであり、前記隔離体が、前記イオン交換樹脂からなる管状の除水管であり、前記混合体流通手段が、前記除水管を内部に配設されて当該除水管の外面に前記混合体を接触させるように当該混合体を内部に流通させる除水容器を備え、前記水溶液流通手段が、前記除水用水溶液を前記除水管の内部に供給する水溶液供給手段と、前記水溶液供給手段で供給する前記除水用水溶液を貯留すると共に前記除水管と接触した前記除水用水溶液を再び貯留するタンクと、前記除水用水溶液を貯留する液相室を気相と仕切るように前記タンクに設けられて当該除水用水溶液の体積変化に追従して当該液相室の容積を変量させる液相室変量手段とを備えていることを特徴とする。
【0010】
第二番目の発明に係る除水装置は、ガスに水が混在する混合体から当該水を取り除く除水装置であって、陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂からなる隔離体と、前記隔離体の一方側に前記混合体を接触させるように流通させる混合体流通手段と、前記隔離体の他方側に除水用水溶液を接触させるように流通させる水溶液流通手段とを備え、前記隔離体が陽イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陽イオンとしてプロトンを生じる化合物を含有するものであり、前記隔離体が陰イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陰イオンとしてヒドロキシイオンを生じる化合物を含有するものであり、前記隔離体が、前記イオン交換樹脂からなる管状の除水管であり、前記水溶液流通手段が、前記除水管を内部に配設されて当該除水管の外面に前記除水用水溶液を接触させるように当該除水用水溶液を内部に流通させる除水容器と、前記除水用水溶液を前記除水容器の内部に供給する水溶液供給手段と、前記水溶液供給手段で供給する前記除水用水溶液を貯留すると共に前記除水管と接触した前記除水用水溶液を再び貯留するタンクと、前記除水用水溶液を貯留する液相室を気相と仕切るように前記タンクに設けられて当該除水用水溶液の体積変化に追従して当該液相室の容積を変量させる液相室変量手段とを備え、前記混合体流通手段が、前記混合体を前記除水管の内部に供給するものであることを特徴とする。
【0011】
第三番目の発明に係る除水装置は、第一番目又は第二番目の発明において、前記液相室変量手段が、前記タンク内に移動可能に設けられたピストン、又は、可撓性を有する材料からなるダイヤフラム若しくはブラダであることを特徴とする。
【0012】
第四番目の発明に係る除水装置は、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記除水用水溶液が、酸水溶液又はアルカリ水溶液であることを特徴とする。
【0013】
また、前述した課題を解決するための、第五番目の発明に係る燃料電池発電システムは、酸素を含有する酸化ガスと水素を含有する燃料ガスとを電気化学的に反応させて電気を発生させる燃料電池本体と、前記燃料電池本体へ前記酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、前記燃料電池本体へ前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段とを備えている燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池本体から排出された前記酸化ガス及び前記燃料ガスの少なくとも一方の当該ガスから水を取り除く第一番目から第四番目の発明のいずれかの除水装置を備えていることを特徴とする。
【0014】
第六番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第五番目の発明において、前記燃料電池本体から排出されて前記除水装置で水を取り除かれた前記酸化ガスを前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスと共に当該燃料電池本体に供給する酸化ガス再利用手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
第七番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第五番目又は第六番目の発明において、前記燃料電池本体から排出されて前記除水装置で水を取り除かれた前記燃料ガスを前記燃料ガス供給手段からの前記燃料ガスと共に当該燃料電池本体に供給する燃料ガス再利用手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
第八番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第五番目から第七番目の発明のいずれかにおいて、前記酸化ガス供給手段が、濃度99%以上の酸素ガスを供給するものであることを特徴とする。
【0017】
第九番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第五番目から第八番目の発明のいずれかにおいて、前記燃料ガス供給手段が、濃度99%以上の水素ガスを供給するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る除水装置によれば、浸透圧差によって、混合体中の水が隔離体を透過して除水用水溶液に取り込まれるので、重力に関係なくガスから水を取り除くことができる。このとき、除水用水溶液が上述したものからなるので、隔離体の他方側から一方側に漏出してしまうことはない。
【0019】
このため、本発明に係る燃料電池発電システムによれば、燃料電池本体から排出された酸化ガスや燃料ガスに混在する水を重力に関係なく当該ガスから取り除くことができるので、無重力空間や微小重力空間であっても、遠心分離を利用した大掛かりな機構を適用せずに済み、省スペース化を図って、設置スペースの確保の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る燃料電池発電システムの第一番目の実施形態の概略構成図である。
【図2】図1の除水装置の要部の概略構成図である。
【図3】本発明に係る燃料電池発電システムの第二番目の実施形態の概略構成図である。
【図4】図3の除水装置の要部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システムの実施形態を図面に基づいて以下に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態のみに限定されるものではない。
【0022】
[第一番目の実施形態]
本発明に係る除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システムの第一番目の実施形態を図1,2に基づいて説明する。図1は、燃料電池発電システムの概略構成図、図2は、図1の除水装置の要部の概略構成図である。
【0023】
図1に示すように、ガス透過性及び導電性を有する酸化極及び燃料極により、プロトン伝導性を有する電解質膜を挟んだセルを複数積層したスタックを備えてなる燃料電池本体111の酸化ガス受入口には、酸化ガスである濃度99%以上の酸素ガス1を供給する酸化ガス供給手段である酸素ガスボンベ121がバルブ122を介して連結されている。上記燃料電池本体111の酸化ガス排出口は、酸化ガス再利用手段であるブロア123の受入口に連絡している。このブロア123の送出口は、上記バルブ122と上記燃料電池本体111の酸化ガス受入口との間に接続されている。
【0024】
前記燃料電池本体111の燃料ガス受入口には、燃料ガスである濃度99%以上の水素ガス2を供給する燃料ガス供給手段である水素ガスボンベ131がバルブ132を介して連結されている。上記燃料電池本体111の燃料ガス排出口は、燃料ガス再利用手段であるブロア133の受入口に連絡している。このブロア133の送出口は、上記バルブ132と上記燃料電池本体111の燃料ガス受入口との間に接続されている。
【0025】
前記燃料電池本体111の酸化ガス排出口と前記ブロア123との間及び当該燃料電池本体111の燃料ガス排出口と前記ブロア133との間には、除水装置140が配設されており、当該除水装置140は、以下のような構造となっている。
【0026】
図1,2Aに示すように、前記燃料電池本体111の酸化ガス排出口は、筒型をなす除水容器141Aの一方の端面寄りの周面に連結されている。前記ブロア123の受入口は、上記除水容器141Aの他方の端面寄りの周面に連結されている。上記除水容器141Aの内部には、陽イオン交換樹脂(例えば、米国デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子株式会社製「フレミオン(登録商標)」等)からなる隔離体である管状の除水管142Aが多数配設されており、当該除水管142Aは、一端を当該除水容器141Aの一端面に連結され、他端を当該除水容器141Aの他端面に連結されている。上記除水容器141Aの一端面の外部には、前記除水管142Aの一端と連通する供給ヘッダ143Aが取り付けられている。上記除水容器141Aの他端面の外部には、前記除水管142Aの他端と連通する回収ヘッダ144Aが取り付けられている。
【0027】
図1,2Bに示すように、前記燃料電池本体111の燃料ガス排出口は、筒型をなす除水容器141Bの一方の端面寄りの周面に連結されている。前記ブロア133の受入口は、上記除水容器141Bの他方の端面寄りの周面に連結されている。上記除水容器141Bの内部には、陽イオン交換樹脂(例えば、米国デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子株式会社製「フレミオン(登録商標)」等)からなる隔離体である管状の除水管142Bが多数配設されており、当該除水管142Bは、一端を当該除水容器141Bの一端面に連結され、他端を当該除水容器141Bの他端面に連結されている。上記除水容器141Bの一端面の外部には、前記除水管142Bの一端と連通する供給ヘッダ143Bが取り付けられている。上記除水容器141Bの他端面の外部には、前記除水管142Bの他端と連通する回収ヘッダ144Bが取り付けられている。
【0028】
図1に示すように、除水用水溶液である硫酸水溶液4を液相室145aに貯留するタンク145の内部には、耐酸性を有すると共に可撓性を有する材料(例えば、フッ素樹脂やフッ素樹脂をコーティングしたポリプロピレン等)からなる液相室変量手段であるダイヤフラム146が上記液相室145aを気相室145bと仕切るように配設されており、当該タンク145は、上記液相室145a内が上記硫酸水溶液4で満たされ、上記気相室145b内が窒素ガス等の緩衝ガス5で満たされている。
【0029】
前記タンク145の前記液相室145aは、ポンプ147を介して前記供給ヘッダ143Bに連結されている。前記回収ヘッダ144Bは、前記供給ヘッダ143Aに連絡している。前記回収ヘッダ144Aは、前記タンク145の前記液相室145aに連結されている。
【0030】
このような本実施形態においては、前記除水容器141A,141B等により、混合体流通手段を構成し、前記ポンプ147等により、水溶液供給手段を構成し、当該水溶液供給手段、前記タンク145、前記ダイヤフラム146等により、水溶液流通手段を構成している。
【0031】
次に、本実施形態に係る燃料電池発電システム100の作動を説明する。
【0032】
前記ポンプ147を作動させると、前記タンク145の前記液相室145a内から硫酸水溶液4が送出され、前記供給ヘッダ143Bを介して前記除水容器141B内の前記除水管142B内を流通して、前記回収ヘッダ144Bに一旦回収されてから、前記供給ヘッダ143Aに送給され、前記除水容器141A内の前記除水管142A内を流通して、前記回収ヘッダ144Aに回収された後、上記タンク145の上記液相室145a内に戻されて再貯留される。
【0033】
他方、前記バルブ122を開放して前記酸素ガスボンベ121内の酸素ガス1を燃料電池本体111の酸化ガス供給口から前記スタックの内部へ送給すると共に、前記バルブ132を開放して前記水素ガスボンベ131内の水素ガス2を燃料電池本体111の燃料ガス供給口から前記スタックの内部へ送給すると、前記酸素ガス1が当該スタックの前記セルの酸化極へ送給されると共に、前記水素ガス2が当該スタックの前記セルの燃料極へ送給されることにより、当該ガス1,2が当該セルで電気化学的に反応して、電気を発生すると共に、水3を生成する。
【0034】
前記セルで上記電気化学反応に寄与しなかった前記酸素ガス1は、前記セルで上記電気化学反応に伴って生成した上記水3と混合体となって、前記燃料電池本体111の前記酸化ガス排出口から前記除水装置140の前記除水容器141Aの内部に送給されて、前記除水管142Aの外面(一方側)と接触するように当該除水容器141Aの内部を流通することにより、内部(他方側)に前記硫酸水溶液4を流通させている上記除水管142Aの内側と外側との浸透圧差によって、上記水3が当該除水管142Aの内部に取り込まれて除水される。このとき、上記除水管142A内を流通する硫酸水溶液4は、陽イオン交換樹脂を透過できないため、当該除水管142A内から漏出することなく当該除水管142A内を流通する。
【0035】
また、前記セルで上記電気化学反応に寄与しなかった前記水素ガス2は、前記セルで上記電気化学反応に伴って生成した上記水3と混合体となって、前記燃料電池本体111の前記燃料ガス排出口から前記除水装置140の前記除水容器141Bの内部に送給されて、前記除水管142Bの外面(一方側)と接触するように当該除水容器141Bの内部を流通することにより、内部(他方側)に前記硫酸水溶液4を流通させている上記除水管142Bの内側と外側との浸透圧差によって、上記水3が当該除水管142Bの内部に取り込まれて除水される。このとき、上記除水管142B内を流通する硫酸水溶液4は、陽イオン交換樹脂を透過できないため、上記除水管142B内から漏出することなく当該除水管142B内を流通する。
【0036】
前記除水装置140の前記除水容器141A内を流通することにより上記水3を取り除かれた上記酸素ガス1は、前記ブロア123により、当該除水容器141Aから送出されて、前記酸素ガスボンベ121内から新たに送給された酸素ガス1と共に前記燃料電池本体111の酸化ガス受入口に再び供給されて再利用される。
【0037】
また、前記除水装置140の前記除水容器141B内を流通することにより上記水3を取り除かれた上記水素ガス2は、前記ブロア133により、当該除水容器141Bから送出されて、前記水素ガスボンベ131内から新たに送給された水素ガス2と共に前記燃料電池本体111の燃料ガス受入口に再び供給されて再利用される。
【0038】
他方、前記除水管142A,142B内を流通して前記水3を取り込んだ前記硫酸水溶液4は、前記タンク145の前記液相室145a内に戻されて再び貯留される。ここで、当該硫酸水溶液4は、上記水3の上記取り込みによって、体積が次第に増加するものの、前記タンク145内が前記液相室145aと前記気相室145bとに前記ダイヤフラム146で区分けされていることから、上記気相室145bの容積を縮小させるように前記緩衝ガス5を圧縮しながら上記液相室145aの容積が体積変化に追従して拡大していくようになるので、気相を内部に取り込むことなく体積増加することができる。
【0039】
したがって、本実施形態によれば、前記ガス1,2に水3が混在する混合体から当該水3を重力に関係なく取り除くことができるので、無重力空間や微小重力空間であっても、遠心分離を利用した大掛かりな機構を適用せずに済み、省スペース化を図って、設置スペースの確保の容易化を図ることができる。
【0040】
また、前記タンク145内が前記液相室145aと前記気相室145bとに前記ダイヤフラム146で区分けされていることから、無重力空間や微小重力空間であっても、前記ポンプ147が気相を含むことなく硫酸水溶液4のみを送給することができるので、前記ポンプ147の吐出性能の低下を防止することができる。
【0041】
なお、前記硫酸水溶液4は、上述したように、前記水3を取り込むことにより、体積が徐々に増加すると同時に、その硫酸濃度が次第に低下していくことから、前記除水管142A,14Bによる除水性能が徐々に低下するようになる。この除水性能の低下は、燃料電池本体111の発電性能や運転時間等によるが、通常、それほど大きな問題を生じることがない程度である。しかしながら、燃料電池本体111の発電性能や運転時間等によって、前記タンク145内の前記硫酸水溶液4の硫酸濃度の低下が大きくなってしまう場合には、例えば、前記タンク145を複数配設し、前記硫酸水溶液4の硫酸濃度が予め定められた下限値にまで低下したら、前記タンク145を切り換えて、フレッシュな硫酸水溶液4を新たに使用することにより、問題を生じることなく対応することが可能となる。
【0042】
[第二番目の実施形態]
本発明に係る除水装置及びこれを利用する燃料電池発電システムの第二番目の実施形態を図3,4に基づいて説明する。図3は、燃料電池発電システムの概略構成図、図4は、図3の除水装置の要部の概略構成図である。なお、前述した第一番目の実施形態の場合と同様な部分については、前述した第一番目の実施形態の説明で用いた符号と同様な符号を用いることにより、前述した第一番目の実施形態での説明と重複する説明を省略する。
【0043】
図3,4Aに示すように、前記燃料電池本体111の酸化ガス排出口は、混合体流通手段である角筒型の除水容器241Aの一方の開口端面(図4A中、左側)に連結されている。この除水容器241Aの他方の開口端面(図4A中、右側)は、前記ブロア123の受入口に連結されている。
【0044】
前記除水容器241A内の一方の開口端面側には、対向する一組の壁面(図4Aにおいて、紙面垂直方向に位置する壁面)間を橋渡す支持手段である支持ステー248aAが、対向する他の組の壁面(図4Aにおいて、上下方向に位置する壁面)間に所定の間隔で複数位置するように取り付けられている。前記除水容器241A内の他方の開口端面側には、対向する一組の壁面間を橋渡す支持手段である支持ステー248bAが、対向する他の組の壁面間に所定の間隔で複数位置するように取り付けられており、上記支持ステー248aAと上記支持ステー248bAとは、当該除水容器241Aの一方の開口端面と他方の開口端面とを結ぶ方向で同じ位置に位置しないように、対向する他の組の壁面間を結ぶ方向で交互に位置している。
【0045】
前記除水容器241Aの内部には、水3を透過させることなく酸化ガス1を透過させる多孔質性のフッ素樹脂(例えば、米国ゴア社製「ゴアテックス(登録商標)」等)からなる分離膜249Aが配設されており、当該分離膜249Aは、当該除水容器241Aの対向する他の組の壁面間を結ぶ方向で蛇行するように前記支持ステー248aA,248bAに掛け渡されると共に、当該除水容器241Aの壁面に周縁端が固着されている。
【0046】
前記除水容器241A内の他方の開口端面側の、前記分離膜249Aの一方の開口端面側の面側には、陽イオン交換樹脂(例えば、米国デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子株式会社製「フレミオン(登録商標)」等)からなる隔離体である管状の除水管242Aが当該除水容器241Aの対向する一組の壁面間を結ぶ方向に沿って長手方向を向けるようにして多数配設されており、当該除水管242Aは、一端を当該除水容器241Aの対向する一組の壁面の一方面にそれぞれ連結され、他端を当該除水容器241Aの対向する一組の壁面の他方面にそれぞれ連結されている。
【0047】
前記除水容器241Aの対向する一組の壁面の一方面には、前記除水管242Aの一端と連通する供給ヘッダ243Aが取り付けられている。前記除水容器241Aの対向する一組の壁面の他方面には、前記除水管242Aの他端と連通する回収ヘッダ244Aが取り付けられている。
【0048】
図3,4Bに示すように、前記燃料電池本体111の燃料ガス排出口は、混合体流通手段である角筒型をなす除水容器241Bの一方の開口端面(図4B中、左側)に連結されている。この除水容器241Bの他方の開口端面(図4B中、右側)は、前記ブロア133の受入口に連結されている。
【0049】
前記除水容器241B内の一方の開口端面側には、対向する一組の壁面(図4Bにおいて、紙面垂直方向に位置する壁面)間を橋渡す支持手段である支持ステー248aBが、対向する他の組の壁面(図4Bにおいて、上下方向に位置する壁面)間に所定の間隔で複数位置するように取り付けられている。前記除水容器241B内の他方の開口端面側には、対向する一組の壁面間を橋渡す支持手段である支持ステー248bBが、対向する他の組の壁面間に所定の間隔で複数位置するように取り付けられており、上記支持ステー248aBと上記支持ステー248bBとは、当該除水容器241Bの一方の開口端面と他方の開口端面とを結ぶ方向で同じ位置に位置しないように、対向する他の組の壁面間を結ぶ方向で交互に位置している。
【0050】
前記除水容器241Bの内部には、水3を透過させることなく水素ガス2を透過させる多孔質性のフッ素樹脂(例えば、米国ゴア社製「ゴアテックス(登録商標)」等)からなる分離膜249Bが配設されており、当該分離膜249Bは、当該除水容器241Bの対向する他の組の壁面間を結ぶ方向で蛇行するように前記支持ステー248aB,248bBに掛け渡されると共に、当該除水容器241Bの壁面に周縁端が固着されている。
【0051】
前記除水容器241B内の他方の開口端面側の、前記分離膜249Bの一方の開口端面側の面側には、陽イオン交換樹脂(例えば、米国デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子株式会社製「フレミオン(登録商標)」等)からなる隔離体である管状の除水管242Bが当該除水容器241Bの対向する一組の壁面間を結ぶ方向に沿って長手方向を向けるようにして多数配設されており、当該除水管242Bは、一端を当該除水容器241Bの対向する一組の壁面の一方面にそれぞれ連結され、他端を当該除水容器241Bの対向する一組の壁面の他方面にそれぞれ連結されている。
【0052】
前記除水容器241Bの対向する一組の壁面の一方面には、前記除水管242Bの一端と連通する供給ヘッダ243Bが取り付けられている。前記除水容器241Bの対向する一組の壁面の他方面には、前記除水管242Bの他端と連通する回収ヘッダ244Bが取り付けられている。
【0053】
図3に示すように、前記供給ヘッダ243Bには、前記タンク145の前記液相室145aが前記ポンプ147を介して連結されている。前記回収ヘッダ244Bは、前記供給ヘッダ243Aに連絡している。前記回収ヘッダ244Aは、前記タンク145の前記液相室145aに連結されている。
【0054】
つまり、本実施形態に係る燃料電池発電システム200は、前述した第一番目の実施形態に係る燃料電池発電システム100において、前記除水装置140に代えて、上述したような構造を有する除水装置240を適用するようにしたものなのである。
【0055】
このような本実施形態に係る燃料電池発電システム200の作動を次に説明する。
【0056】
前述した第一番目の実施形態の場合と同様に、前記ポンプ147を作動させて、前記タンク145の前記液相室145a内から硫酸水溶液4を送出し、前述した第一番目の実施形態の場合と同様に、前記バルブ122を開放して前記酸素ガスボンベ121から酸素ガス1を送出すると共に、前記バルブ132を開放して前記水素ガスボンベ131から水素ガス2を送出すると、前述した第一番目の実施形態の場合と同様に、上記ガス1,2が前記セルで電気化学的に反応して、電気を発生すると共に、水3を生成する。
【0057】
前記セルで上記電気化学反応に寄与しなかった前記酸素ガス1は、前記セルで上記電気化学反応に伴って生成した前記水3と混合体となって、前記燃料電池本体111の前記酸化ガス排出口から前記除水装置240の前記除水容器241Aの一方の開口端面側より内部に送給される。
【0058】
前記除水容器241Aの内部に一方の開口端面側から送給された上記混合体は、上記酸素ガス1が、前記分離膜249Aを透過して、当該除水容器241Aの他方の開口端面側から送出される一方、上記水3が、前記分離膜249Aを透過できずに、その流速により、前記除水管242Aへ案内されるように当該分離膜249A面上を当該除水容器241Aの他方の開口端面側へ移動して、当該除水管242Aの外面(一方側)と接触し、内部(他方側)に前記硫酸水溶液4を流通させている当該除水管242Aの内側と外側との浸透圧差によって、当該除水管242Aの内部に取り込まれる。
【0059】
これにより、前記酸素ガス1は、水3が取り除かれて、前記ブロア123により、上記除水容器241Aから送出され、前述した第一番目の実施形態の場合と同様に、前記酸素ガスボンベ121内から新たに送給された酸素ガス1と共に前記燃料電池本体111の酸化ガス受入口に再び供給されて再利用される。
【0060】
また、前記セルで上記電気化学反応に寄与しなかった前記水素ガス2は、前記セルで上記電気化学反応に伴って生成した上記水3と混合体となって、前記燃料電池本体111の前記燃料ガス排出口から前記除水装置240の前記除水容器241Bの一方の開口端面側より内部に送給される。
【0061】
前記除水容器241Bの内部に一方の開口端面側から送給された上記混合体は、上記水素ガス2が、前記分離膜249Bを透過して、当該除水容器241Bの他方の開口端面側から送出される一方、上記水3が、前記分離膜249Bを透過できずに、その流速により、前記除水管242Bへ案内されるように当該分離膜249B面上を当該除水容器241Bの他方の開口端面側へ移動して、前記除水管242Bの外面(一方側)と接触し、内部(他方側)に前記硫酸水溶液4を流通させている当該除水管242Bの内側と外側との浸透圧差によって、当該除水管242Bの内部に取り込まれる。
【0062】
これにより、前記水素ガス2は、水3が取り除かれて、前記ブロア133により、上記除水容器241Bから送出され、前述した第一番目の実施形態の場合と同様に、前記水素ガスボンベ131内から新たに送給された水素ガス2と共に前記燃料電池本体111の燃料ガス受入口に再び供給されて再利用される。
【0063】
つまり、前述した第一番目の実施形態に係る燃料電池発電システム100の除水装置140においては、前記ガス1,2に水3が混在する混合体から前記除水管142A,142Bだけで当該水3を分離回収するようにしたが、本実施形態に係る燃料電池発電システム200の除水装置240においては、前記ガス1,2に水3が混在する混合体から前記分離膜249A,249Bで分離されて案内されてきた当該水3を前記除水管242A,242Bで回収するようにしたのである。
【0064】
このため、本実施形態に係る燃料電池発電システム200の除水装置240においては、内部に前記硫酸水溶液4を流通させるために比較的嵩張ってしまう前記除水管242A,242Bの数を前述した第一番目の実施形態に係る燃料電池発電システム100の除水装置140の場合よりも少なくすることができる。
【0065】
したがって、本実施形態によれば、前述した第一番目の実施形態の場合と同様な効果を得ることができるのはもちろんのこと、前述した第一番目の実施形態の場合よりも、さらに省スペース化を図ることができ、設置スペースの確保のさらなる容易化を図ることができる。
【0066】
[他の実施形態]
なお、前述した各実施形態においては、タンク145の内部をダイヤフラム146によって液相室145aと気相室145bとに仕切るようにしたが、他の実施形態として、例えば、タンクの内部の液相室を気相と仕切るように当該タンクの内部にピストンを移動可能に設けることや、可撓性を有する材料からなるブラダをタンクの内部に設けて、ブラダの内部を気相室とし、タンクとブラダとの間を液相室とすることも可能である。
【0067】
また、前述した各実施形態においては、前記除水管142A,142B,242A,242B内を流通して水3を取り込んだ前記硫酸水溶液4を前記タンク145の液相室145a内に再び貯留して再利用する場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、各種条件によっては、前記除水管142A,142B,242A,242B内を流通して水3を取り込んだ前記硫酸水溶液4を前記タンク145の液相室145a内に戻すことなく後処理して系外へ排出してしまうようにすることも可能である。
【0068】
また、前述した各実施形態においては、酸素ガス1中の水3を取り除く前記除水容器141A,241Aと水素ガス2中の水3を取り除く前記除水容器141B,241Bとに同一のタンク145内の硫酸水溶液4を同一のポンプ147で供給するようにした除水装置140,240の場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、酸素ガス1中の水3を取り除く前記除水容器に供給する硫酸水溶液4を貯留するタンクと、水素ガス2中の水3を取り除く前記除水容器に供給する硫酸水溶液4を貯留するタンクとをそれぞれ個別に設けて、各タンクから各除水容器に個別のポンプによりそれぞれ独立して供給するようにした除水装置を適用することも可能である。
【0069】
このような場合には、前述した各実施形態の場合よりも設置スペースを要してしまうものの、何らかの原因で前記除水管に損傷を生じて漏出を生じてしまったときでも、酸素ガス1と水素ガス2とのクロスリークを生じることがないので、前述した各実施形態の場合よりも安全性の確保を容易に実現することができる。
【0070】
また、前述した各実施形態においては、除水管の内部に硫酸水溶液4を供給する一方、除水容器の内部に前記ガス1,2を流通させることにより、当該ガス1,2中の水3を硫酸水溶液4で除去する場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、除水管の内部に前記ガス1,2を供給する一方、除水容器の内部に硫酸水溶液4を流通させることにより、当該ガス1,2中の水3を硫酸水溶液4で除去するようにすることも可能である。
【0071】
また、前述した各実施形態においては、除水用水溶液として硫酸水溶液4を適用した場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、燐酸水溶液や硝酸水溶液や酢酸等のような酸水溶液を始めとした、陽イオンとしてプロトン(H+)を生じる化合物を含有する水溶液であれば、前述した各実施形態の場合と同様に除水用水溶液として適用することが可能である。
【0072】
また、前述した各実施形態においては、陽イオン交換樹脂からなる除水管142A,142B,242A,242Bを適用した場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、陰イオン交換樹脂からなる管状の除水管を適用することも可能である。ただし、この場合には、除水用水溶液として、前記硫酸水溶液4に代えて、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のようなアルカリ水溶液を始めとした、陰イオンとしてヒドロキシイオン(OH-)を生じる化合物を含有する水溶液を適用する必要がある。
【0073】
また、前述した各実施形態においては、隔離体として、管状をなす除水管142A,142B,242A,242Bを適用した場合について説明したが、他の実施形態として、例えば、隔離体として、シート状をなす除水膜を適用し、除水容器の内部を一方側と他方側とに仕切るように当該除水膜を配設し、前記ガス1,2に水3が混在する混合体を当該除水膜の一方側の面に接触させるように上記除水容器の一方側に流通させ、除水用水溶液を上記除水膜の他方側の面に接触させるように上記除水容器の他方側に流通させることにより、上記混合体から水3を取り除くことも可能である。
【0074】
しかしながら、前述した各実施形態のように、隔離体として、管状をなす除水管142A,142B,242A,242Bを適用すると、シート状をなす除水膜を適用した場合よりも表面積を大きくして省スペース化を図ることができるので、非常に好ましい。
【0075】
また、前述した各実施形態においては、燃料電池本体111から排出された酸素ガス1及び水素ガス2の両方から水3を取り除く除水装置140,240を備えた燃料電池発電システム100,200の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の実施形態として、例えば、燃料電池本体111から排出された酸素ガス1及び水素ガス2のいずれか一方だけから水3を分離する燃料電池発電システムの場合には、酸素ガス1の排出系統及び水素ガス2の排出系統のいずれか一方にだけ適用することも可能である。このとき、水素ガス2の排出系統よりも酸素ガス1の排出系統の方が水3を多く排出するため、酸素ガス1の排出系統に設ける方が好ましい。
【0076】
また、前述した各実施形態においては、燃料電池本体111から排出された前記ガス1,2から水3を取り除いて燃料電池本体111に再び供給して再利用できるようにした燃料電池発電システム100,200の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の実施形態として、例えば、燃料電池本体111から排出された前記ガス1,2を当該燃料電池本体111に再び供給することなく燃焼等の後処理を施して系外へ排出する燃料電池発電システムの場合であっても、前述した各実施形態の場合と同様に適用することも可能である。
【0077】
また、前述した各実施形態においては、酸化ガスとして酸素ガス1を利用して、燃料ガスとして水素ガス2を利用するようにした燃料電池発電システム100,200の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の実施形態として、例えば、酸化ガスとして空気を利用して、燃料ガスとして灯油や天然ガスを改質した改質ガスを利用する燃料電池発電システムであっても、燃料電池本体から排出された上記ガスに混在する水を取り除く必要がある場合には、前述した各実施形態の場合と同様にして適用することも可能である。
【0078】
また、前述した各実施形態においては、宇宙空間等のような外部と遮断されてしまう狭小で無重力又は微小重力の閉鎖空間で利用する燃料電池発電システム100,200の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の実施形態として、例えば、車両に搭載する移動用の燃料電池発電システムや、家庭等に設置する定置用の燃料電池発電システムであっても、前述した各実施形態の場合と同様にして適用することも可能である。なお、このような場合には、前述した各実施形態におけるダイヤフラム146等のような液相室を気相と仕切るようにタンク145に設ける液相室変量手段を省略することが可能となる。
【0079】
また、前述した各実施形態においては、燃料電池本体111から排出された前記ガス1,2から水3を分離する除水装置140.240の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、ガスに水が混在する混合体から当該水を取り除く場合であれば、前述した各実施形態の場合と同様にして適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る除水装置は、重力に関係なくガスから水を取り除くことができることから、例えば、これを燃料電池発電システムに利用すれば、無重力空間や微小重力空間であっても、遠心分離を利用した大掛かりな機構を適用せずに済み、省スペース化を図って、設置スペースの確保の容易化を図ることができるので、産業上、極めて有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 酸素ガス
2 水素ガス
3 水
4 硫酸水溶液
5 緩衝ガス
100 燃料電池発電システム
111 燃料電池本体
121 酸素ガスボンベ
122 バルブ
123 ブロア
131 水素ガスボンベ
132 バルブ
133 ブロア
140 除水装置
141A,141B 除水容器
142A,142B 除水管
143A,143B 供給ヘッダ
144A,144B 回収ヘッダ
145 タンク
145a 液相室
145b 気相室
146 ダイヤフラム
147 ポンプ
200 燃料電池発電システム
240 除水装置
241A,241B 除水容器
242A,242B 除水管
243A,243B 供給ヘッダ
244A,244B 回収ヘッダ
248aA,248aB,248bA,248bB 支持ステー
249A,249B 分離膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスに水が混在する混合体から当該水を取り除く除水装置であって、
陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂からなる隔離体と、
前記隔離体の一方側に前記混合体を接触させるように流通させる混合体流通手段と、
前記隔離体の他方側に除水用水溶液を接触させるように流通させる水溶液流通手段と
を備え、
前記隔離体が陽イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陽イオンとしてプロトンを生じる化合物を含有するものであり、
前記隔離体が陰イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陰イオンとしてヒドロキシイオンを生じる化合物を含有するものであり、
前記隔離体が、前記イオン交換樹脂からなる管状の除水管であり、
前記混合体流通手段が、前記除水管を内部に配設されて当該除水管の外面に前記混合体を接触させるように当該混合体を内部に流通させる除水容器を備え、
前記水溶液流通手段が、
前記除水用水溶液を前記除水管の内部に供給する水溶液供給手段と、
前記水溶液供給手段で供給する前記除水用水溶液を貯留すると共に前記除水管と接触した前記除水用水溶液を再び貯留するタンクと、
前記除水用水溶液を貯留する液相室を気相と仕切るように前記タンクに設けられて当該除水用水溶液の体積変化に追従して当該液相室の容積を変量させる液相室変量手段と
を備えている
ことを特徴とする除水装置。
【請求項2】
ガスに水が混在する混合体から当該水を取り除く除水装置であって、
陽イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂からなる隔離体と、
前記隔離体の一方側に前記混合体を接触させるように流通させる混合体流通手段と、
前記隔離体の他方側に除水用水溶液を接触させるように流通させる水溶液流通手段と
を備え、
前記隔離体が陽イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陽イオンとしてプロトンを生じる化合物を含有するものであり、
前記隔離体が陰イオン交換樹脂からなるとき、前記除水用水溶液が、陰イオンとしてヒドロキシイオンを生じる化合物を含有するものであり、
前記隔離体が、前記イオン交換樹脂からなる管状の除水管であり、
前記水溶液流通手段が、
前記除水管を内部に配設されて当該除水管の外面に前記除水用水溶液を接触させるように当該除水用水溶液を内部に流通させる除水容器と、
前記除水用水溶液を前記除水容器の内部に供給する水溶液供給手段と、
前記水溶液供給手段で供給する前記除水用水溶液を貯留すると共に前記除水管と接触した前記除水用水溶液を再び貯留するタンクと、
前記除水用水溶液を貯留する液相室を気相と仕切るように前記タンクに設けられて当該除水用水溶液の体積変化に追従して当該液相室の容積を変量させる液相室変量手段と
を備え、
前記混合体流通手段が、前記混合体を前記除水管の内部に供給するものである
ことを特徴とする除水装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の除水装置において、
前記液相室変量手段が、前記タンク内に移動可能に設けられたピストン、又は、可撓性を有する材料からなるダイヤフラム若しくはブラダである
ことを特徴とする除水装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つの請求項に記載の除水装置において、
前記除水用水溶液が、酸水溶液又はアルカリ水溶液である
ことを特徴とする除水装置。
【請求項5】
酸素を含有する酸化ガスと水素を含有する燃料ガスとを電気化学的に反応させて電気を発生させる燃料電池本体と、
前記燃料電池本体へ前記酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と、
前記燃料電池本体へ前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と
を備えている燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池本体から排出された前記酸化ガス及び前記燃料ガスの少なくとも一方の当該ガスから水を取り除く請求項1から請求項4のいずれか一つの請求項に記載の除水装置を備えている
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池本体から排出されて前記除水装置で水を取り除かれた前記酸化ガスを前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスと共に当該燃料電池本体に供給する酸化ガス再利用手段を備えている
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池本体から排出されて前記除水装置で水を取り除かれた前記燃料ガスを前記燃料ガス供給手段からの前記燃料ガスと共に当該燃料電池本体に供給する燃料ガス再利用手段を備えている
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一つの請求項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記酸化ガス供給手段が、濃度99%以上の酸素ガスを供給するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれか一つの請求項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料ガス供給手段が、濃度99%以上の水素ガスを供給するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−232297(P2012−232297A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135529(P2012−135529)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【分割の表示】特願2007−319200(P2007−319200)の分割
【原出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】