説明

除湿用フィルター素子

【課題】本発明の課題は、除湿効率が高く、除湿後の空気の温度上昇が少なく、圧力損失が適正な除湿用フィルター素子を提供することである。
【解決手段】平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層された多数の透孔を有する除湿用フィルター素子において、平面状シート及び波形シートのどちらか一方に吸着型除湿剤を、他方に蓄熱剤を含有してなるシートからなる除湿用フィルター素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸湿と放湿が可能な除湿用フィルター素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デシカント空調システムは、デシカントと呼ばれている除湿剤によって、低湿度の空気を作り出す空調システムである。低湿度の空気の供給により、温度はそれほど低くなくても快適性を充分に得ることができる。図1は、デシカント空調システムの一例を示す概略図である。除湿剤を含有する円筒形ローター状の除湿用フィルター素子1が回転することで、点線Aより上側の吸着ゾーンと点線Aより下側の再生ゾーンを交互に通過する構造になっている。吸着ゾーンでは、まず、湿った外気6が給気用ファン2によって除湿用フィルター素子1へと導入される。次に、除湿用フィルター素子1が湿った外気6中の水分を吸着して除湿する。除湿された空気7は冷却器3で冷却されて、冷却空気8として室内へと供給される。再生ゾーンでは、まず、室内の空気9を加熱器4で加熱する。この加熱された空気10によって、除湿用フィルター素子1に吸着している水分が脱着し、除湿用フィルター素子1が再生される。除湿用フィルター素子1から脱着した水分を含む空気11は排気用ファン5によって室外へと排出される。除湿用フィルター素子は除湿剤を含有してなり、平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層され、多数の透孔を有するハニカム状に加工されたものが一般的である。
【0003】
しかしながら、従来のデシカント空調システムでは、水分が除湿剤に吸着される際に発生する吸着熱により、除湿された空気の温度が上昇してしまうという問題点があった。そのために、通常は除湿後の空気を冷却器で冷却した後室内に供給するか、除湿される前の空気を予め冷却することで、室内に供給するために、適切な温度になるように調節する必要があった。これはデシカント空調全体のコストアップの要因にもなっていた。
【0004】
この解決方法として、除湿剤と蓄熱剤を併用することにより、吸着熱を蓄熱剤に吸収させることで、温度上昇を抑える提案がなされている(例えば、特許文献1又は2参照)。しかしながら、本法では、除湿剤と蓄熱剤を同一層に混在させる必要があり、除湿剤が蓄熱剤で覆われるために、吸湿性能が阻害される。逆に、蓄熱剤が除湿剤で覆われる場合は、蓄熱剤の再生能が阻害される。そのため、各々の機能を最大限に発揮させることが難しい。結局、そのために双方の量を増やすことになり、必然的に層の厚みが増し、得られた除湿用フィルター素子の圧力損失が大きくなる、吸着層の脱離が起こる等の問題があった。
【0005】
また、除湿剤と蓄熱剤を併用することによる弊害を解決する方法として、除湿剤を担持させた平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層され、多数の透孔を有するハニカム状に加工された除湿用フィルター素子の流路方向前後端面に夫々、金属材からなる蓄熱剤を担持させた平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層され、多数の透孔を有するハニカム状に加工された蓄熱用フィルター素子を一体型に組み合わせた除湿用フィルター素子が提案されている(例えば、特許文献3参照)。本除湿用フィルター素子では、確かに除湿剤と蓄熱剤が分離されているために、上記混在させることによる弊害は抑えられるが、双方の素子を別々に配置しなければならず、その分素子全体が大きくなってしまう、そのために素子の圧力損失が増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−289258号公報
【特許文献2】特開2005−246230号公報
【特許文献3】特開2009−97837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、除湿効率が高く、除湿後の空気の温度上昇が少なく、圧力損失が適正な除湿用フィルター素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層された多数の透孔を有する除湿用フィルター素子において、平面状シート及び波形シートのどちらか一方に吸着型除湿剤を、他方に蓄熱剤を含有してなるシートからなることを特徴とする除湿用フィルター素子である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層された多数の透孔を有する除湿用フィルター素子において、吸着型除湿剤を含有するシートと蓄熱剤を含有するシートが分離されているため、それぞれの機能を独立して発現することが可能となり、吸着型除湿剤と蓄熱剤が混在することによる除湿及び蓄熱効率を落とすことなく、吸着熱の蓄熱剤への速やかな吸収により、除湿後の空気の温度上昇を抑えられると共に、それぞれのシートの厚みを薄くすることにより、除湿用フィルター素子の通風開口面積が大きくなるために、圧力損失が低くなり、デシカント空調システムのファンへの負荷を軽減できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】デシカント空調システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の除湿用フィルター素子は、平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層された多数の透孔を有し、平面状シート及び波形状シートのどちらか一方に吸着型除湿剤を、他方に蓄熱剤を含有してなるシートからなる。
【0012】
吸着型除湿剤としては、高吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等の有機系除湿剤、セピオライト、ゼオライト、ベントナイト、アタパルジャイト、珪藻土、珪藻土頁岩、活性炭、多孔質シリカ、水酸化アルミニウム、繊維状酸化チタン、アロフェン、イモゴライト、非晶質アルミノ珪酸塩等の無機系除湿剤を用いることができる。吸着型除湿剤を含有してなるシートにおける吸着型除湿剤の含有量は、シートに対して30〜70質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。30質量%未満になると、目的とする除湿効率が得られなくなる場合があり、70質量%を超えると、シート自体の腰がなくなり、加工性の低下を招く場合がある。
【0013】
蓄熱剤としては、相変化を伴う化合物であれば無機系、有機系いずれのものでも使用可能であるが、デシカント空調で対象となる空気を除湿した場合に発生する吸着熱の温度帯から、好ましい蓄熱剤の融点としては30℃以上であり、具体的には、塩化マグネシウム・6水塩、酢酸ナトリウム・3水塩、硝酸マグネシウム・2水塩等の多量の結晶水を含む無機化合物。脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール、安息香酸フェニル、フタル酸ジシクロヘキシル、脂肪酸エステル等の有機化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、本発明に用いられる蓄熱剤は、これらの蓄熱剤を内包させたマイクロカプセル(蓄熱性マイクロカプセル)として利用するのが好ましい。
【0014】
蓄熱剤のマイクロカプセル化方法としては、用いられる蓄熱剤の性状により異なるが、代表的な手法、膜材としてはコアセルベーション法によるゼラチン皮膜、insitu法によるアミノプラスト樹脂皮膜、界面重合法によるポリウレタン、ポリアミドあるいはポリ尿素樹脂皮膜、液中乾燥法による樹脂皮膜等の公知の手法及び膜材が挙げられる。これらの手法により得られたマイクロカプセル分散液の分散媒が水系であればそのままの状態で、本発明で使用可能な水分散液が得られるが、分散媒が非極性の有機系溶剤等である場合には遠心分離法、圧搾濾過法等の手法で脱溶剤化した後、再度水系分散媒に分散させれば良い。
【0015】
蓄熱剤を含有してなるシートにおける蓄熱剤の含有量は、シートに対して30〜70質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。30質量%未満になると、目的とする蓄熱効果が得られなくなる場合があり、70質量%を超えると、シート自体の腰がなくなり、加工性の低下を招く場合がある。
【0016】
これらの吸着型除湿剤又は蓄熱剤を含有させてなる平面状シート及び波形シートを製造する方法としては、支持体に吸着型除湿剤あるいは蓄熱剤をバインダーにより担持させる方法あるいは支持体の製造工程において、吸着型除湿剤あるいは蓄熱剤を抄き込み等の方法により担持させる方法が挙げられる。支持体としては、紙、乾式不織布、湿式不織布、織布、編物等の有機繊維シート、ステンレスやニッケルウール等の金属繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ガラス繊維等の無機繊維シート、それらの貼りあわせ等による複合体シートを使用することができる。これらの支持体の坪量は、10〜300g/mが好ましく、30〜100g/mがより好ましい。10g/m未満になると、除湿用フィルター素子への加工が難しくなる場合があり、300g/mを超えると、除湿用フィルター素子の圧力損失が高くなり、除湿効率が低下する場合がある。また、厚みは、30〜300μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。30μm未満になると、除湿用フィルター素子への加工が難しくなる場合があり、300μmを超えると、除湿用フィルター素子の圧力損失が高くなり、除湿効率が低下する場合がある。
【0017】
バインダーとしては、澱粉、ポリビニルアルコール等の水溶性有機高分子化合物、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂等からなる熱可塑性高分子エマルジョン、シリカゾル、アルミナゾル等からなる無機系化合物及びそれらを組み合わせた複合体等の多種の材料が利用できる。これらのバインダーの配合量は、吸着型除湿剤又は蓄熱剤に対して10〜100質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。10質量%未満になると、吸着型除湿剤又は蓄熱剤の脱落が抑制できなくなる場合があり、100質量%を超えると、バインダーの隠ぺい力により除湿又は蓄熱効率が低下する場合がある。
【0018】
塗工方式としては、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、ショートドウェルコーター、コンマコーター、ダイコーター、リバースロールコーター、キスコーター、ディップコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、サイズプレス等を使用することができる。塗工量は、支持体に対して15〜300g/mが好ましく、45〜150g/mがより好ましい。15g/m未満になると、吸放湿又は蓄熱性能が得られない場合があり、300g/mを超えると、除湿用フィルター素子への加工が難しくなる場合がある。
【0019】
本発明の除湿用フィルター素子は、次のような成型加工によって製造することができる。まず、吸着型除湿剤を塗布した除湿性シートと蓄熱剤を塗布した蓄熱性シートからハニカム状積層構造体を製造する。ハニカム状積層構造体とは、開孔を有するセル壁からなる積層構造体であって、片面段ボールからなるコルゲートハニカム状積層構造体、六角形セルからなるヘキサゴンハニカム状積層構造体、正方形セルからなるハニカム状積層構造体、三角形セルからなるハニカム状積層構造体及び中空円筒状セルを集合してなるハニカム状積層構造体等が挙げられる。ここで、六角形や正方形等のセル形状は必ずしも正多角形である必要はなく、角が丸味を帯びる、辺が曲がっているなどの異形であっても構わない。片面段ボールは、JIS Z 1516に記載の「外装用段ボール」に準拠して作製することができる。次いで、ハニカム状積層構造体を型抜きなどの方法で円筒形ローター状に切り抜く方法で、除湿用フィルター素子が得られる。また、吸放湿性シートと蓄熱性シートから得られた片面段ボールを渦巻き状に巻き上げて円筒形ローター状に成形加工する方法によっても、除湿用フィルター素子を製造することができる。平面状シートと波形シートのどちらを、吸放湿性シートあるいは蓄熱性シートに選択するかは、得られる除湿用フィルター素子の性能にもよるが、平面状シートを蓄熱性シートに、波形シートを吸放湿性シートにする方が好ましい。
【実施例】
【0020】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0021】
実施例1
<除湿性シートの製造>
ガラス繊維60質量部、パルプ繊維40質量部からなる坪量70g/m、厚み150μmの支持体へ、吸着型除湿剤(シリカゲルB型)20質量部、バインダー(エチレン−酢酸ビニル重合体のエマルジョン)7質量部を含有してなる水性スラリーを調製し、ワイヤーバーにより塗工量が60g/mになるように塗工して、除湿性シートを作製した。
【0022】
<蓄熱性シートの製造>
pHを4.5に調整した5%のスチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100質量部の中に、潜熱蓄熱材としてパラフィンワックス(融点30℃、融解熱50kcal/kg)80質量部を激しく攪拌しながら添加し、平均粒子径が5.0μmになるまで乳化を行なった。次にメラミン5質量部と37%ホルムアルデヒド水溶液7.5質量部及び水15質量部を混合し、これをpH8に調整し、約80℃でメラミン−ホルマリン初期縮合物水溶液を調製した。この全量を上記乳化液に添加し、70℃で2時間加熱攪拌を施してカプセル化反応を行なった後、この分散液のpHを9に調整してカプセル化を終了した。得られた蓄熱性マイクロカプセルの体積平均粒子径は5.2μmであった。
【0023】
この蓄熱性マイクロカプセル分散液100質量部、バインダー(エチレン−酢酸ビニル重合体のエマルジョン)28質量部を含有してなる水性スラリーを調製し、ガラス繊維60質量部、パルプ繊維40質量部からなる坪量70g/m、厚み150μmの支持体へ、ワイヤーバーにより塗工量が60g/mになるように塗工して蓄熱性シートを作製した。
【0024】
<除湿用フィルター素子の製造>
この除湿性シートを波形シートとして、蓄熱性シートを平面状シートとして使用し、高さ1.9mm、ピッチ3.2mmの片面段ボールを作製し、これを渦巻き状に巻き上げて、内径90mm、外径350mm、厚み100mmの円筒形ローター状の除湿用フィルター素子を作製した。
【0025】
実施例2
除湿性シートを平面状シートとして、蓄熱性シートを波形シートとして使用した以外は、実施例1と同様にして除湿用フィルター素子を作製した。
【0026】
比較例1
ガラス繊維60質量部、パルプ繊維40質量部からなる坪量70g/m、厚み150μmの支持体へ、吸着型除湿剤(シリカゲルB型)20質量部、蓄熱性マイクロカプセル分散液25質量部、バインダー(エチレン−酢酸ビニル重合体のエマルジョン)14質量部を含有してなる水性スラリーを調製し、ワイヤーバーにより塗工量が120g/mになるように塗工して、吸着型除湿剤と蓄熱剤が混合されたシートを作製した。本シートのみを使用し、高さ1.9mm、ピッチ3.2mmの片面段ボールを作製し、これを渦巻き状に巻き上げて、内径90mm、外径350mm、厚み100mmの円筒形ローター状の除湿用フィルター素子を作製した。
【0027】
比較例2
実施例1で製造した除湿性シートを波形シート及び平面状シートとして使用し、高さ1.9mm、ピッチ3.2mmの片面段ボールを作製し、これを渦巻き状に巻き上げて、内径90mm、外径350mm、厚み100mmの円筒形ローター状の除湿用フィルター素子を作製した。
【0028】
比較例3
実施例1で製造した除湿性シートを波形シート及び平面状シートとして使用し、高さ1.9mm、ピッチ3.2mmの片面段ボールを作製し、これを渦巻き状に巻き上げて、内径90mm、外径350mm、厚み100mmの円筒形ローター状の除湿用フィルター素子を作製した。同じく実施例1で製造した蓄熱性シートを波形シート及び平面状シートとして使用し、高さ1.9mm、ピッチ3.2mmの片面段ボールを作製し、これを渦巻き状に巻き上げて、内径90mm、外径350mm、厚み50mmの円筒形ローター状の蓄熱用フィルター素子を作製した。除湿用フィルター素子の流路方向前後端面に夫々、蓄熱用フィルター素子を配置し、厚み200mmの一体型除湿/蓄熱用フィルター素子を作製した。
【0029】
<除湿用フィルター素子の除湿性能評価>
実施例1で得られた円筒形ローター状の除湿用フィルター素子を25rphで回転させて、図1のように、吸着ゾーンにおいて、素子面積の1/2に面速2m/secで外気(25℃、質量絶対湿度16g/kg(DA))を流入させた。除湿用フィルター素子から出てきた空気の除湿側出口での温湿度を測定したところ、安定状態で温度30℃、質量絶対湿度11g/kg(DA)であった。除湿入口質量絶対湿度と除湿出口質量絶対湿度の差から絶対除湿質量5g/kg(DA)を求めた。
【0030】
一方、再生ゾーンにおいて、1/4の素子面に、加熱空気(55℃、質量絶対湿度16g/kg(DA))を流入させたところ、除湿用フィルター素子からできてきた空気の除湿側出口での温湿度を測定したところ、安定状態で温度44℃、質量絶対湿度21g/kgであった。再生出口質量絶対湿度と再生入口質量絶対湿度の差から、絶対再生質量5g/kg(DA)を求めた。
【0031】
さらに、パージゾーンとして、残りの1/4の素子面に、外気(25℃、質量絶対湿度16g/kg(DA))と除湿出口の空気(30℃、質量絶対湿度11g/kg(DA)を1:1で混合させた空気(28℃、質量絶対湿度13.5g/kg(DA))を流入させた。さらに、吸着ゾーン及び脱着ゾーンの入口と出口の差圧をデジタル微差圧計により測定し、吸着ゾーンの圧力損失250Pa、脱着ゾーンの圧力損失250Paを求めた。これらの評価を他の実施例及び比較例で得られた除湿用フィルター素子に対しても同様に実施した。
【0032】
各実施例及び比較例で得られた除湿用フィルター素子の評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
実施例1、2と比較例1、2の結果より、平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層された多数の透孔を有する除湿用フィルター素子において、平面状シート及び波形シートのどちらか一方に吸着型除湿剤を、他方に蓄熱剤を含有してなるシートからなる除湿用フィルター(実施例1、2)では、吸着型除湿剤と蓄熱剤を混在させたシートを用いた除湿用フィルター素子(比較例1)に比較して、除湿性能に優れ、除湿後の空気の温度上昇を抑えられると共に、圧力損失の低いことが確認された。また、除湿性シートのみを除湿用フィルター素子(比較例2)に比較して、除湿性能に優れ、除湿後の空気の温度上昇を抑えられることが確認された。さらに、除湿用フィルター素子と蓄熱用フィルター素子を夫々連結して一体型とした除湿/蓄熱用フィルター素子(比較例3)に比較して、除湿性能に優れ、除湿後の空気の温度上昇を抑えられると共に、圧力損失の低いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の除湿用フィルター素子は、デシカント空調システムに使用できるほか、美術品、電気製品、工芸品、衣類等の保存時や輸送時の包装材料、住宅内装材、押入やタンスの除湿剤、熱交換素子等に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 除湿用フィルター素子
2 給気用ファン
3 冷却器
4 加熱器
5 排気用ファン
6 湿った外気
7 除湿された空気
8 冷却空気
9 室内の空気
10 加熱された空気
11 除湿用フィルター素子から脱着した水分を含む空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状シートと波形シートとを一体化してなる片波成形体が交互に積層された多数の透孔を有する除湿用フィルター素子において、平面状シート及び波形シートのどちらか一方に吸着型除湿剤を、他方に蓄熱剤を含有してなるシートからなることを特徴とする除湿用フィルター素子。

【図1】
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【公開番号】特開2013−86073(P2013−86073A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231853(P2011−231853)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】