説明

除湿空気の間欠供給装置

【課題】間欠運転でも性能と効率を満足する除湿空気供給装置を提供する。
【解決手段】コンプレッサー20からの圧縮空気を中空糸膜ドライヤ10で除湿した圧縮空気を間欠的に供給する除湿空気供給装置において、該ドライヤの上流側にコンプレッサーからの圧縮空気の貯留タンク30が設けられ、前記ドライヤの下流側に、除湿空気の使用開始を検知するフローセンサ50と、中空糸膜の性能を維持する最小流量のパージ空気を、前記フローセンサよりも下流側からドライヤのパージ空気供給口に常時供給する第1パージ配管34aと、途中に設けられた制御弁36aが開いたとき、前記第1パージ配管より多量のパージ空気を、前記フローセンサの下流側から前記パージ空気供給口に供給する第2パージ配管34bとが設けられ、前記フローセンサの検知信号の受信時、前記第2パージ配管に設けられた制御弁38を開く制御部38aとが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除湿空気の間欠供給装置に関し、更に詳細には間欠運転されるユーザの間欠的な除湿空気の使用に合わせて、コンプレッサー装置から供給された圧縮空気をドライヤ装置によって除湿した除湿圧縮空気を、前記ユーザに間欠的に供給する除湿空気の間欠供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿空気を間欠的に用いる装置・器具としては、例えば、蝕歯質を切除する切削や治療患部を水と空気とで洗浄乾燥等を施す歯科用治療器具を上げることができる。かかる歯科用治療器具に除湿空気を供給する除湿空気の供給装置としては、従来、冷凍式除湿装置が用いられていた。
しかし、冷凍式除湿装置には、冷媒としてフロンが使用されおり、フロンはオゾン層を破壊する原因物質である。また、オゾン層を破壊しない代替フロンも開発されつつあるが、現在までのところ、代替フロンは赤外線の吸収能を有し、地球温暖化の原因物質となり得るものである。従って、地球環境の保存の観点から冷凍式除湿装置を用いた除湿空気の供給装置は、歯科用除湿空気の供給装置として好ましくない。
一方、冷媒を用いることなく圧縮空気を除湿し得る除湿装置としては、中空糸膜を用いたドライヤ装置が用いられている。このドライヤ装置では、中空糸膜の内側を水分含有の圧縮空気を流し、中空糸膜の外面に沿って除湿空気を流すことによって、両流体間の水蒸気分圧差に基いて圧縮空気中の水分を除湿空気側に移動して除湿するものである。
【0003】
中空糸膜を用いたドライヤ装置では、冷媒を必要としないため、地球環境の保存の観点からは、歯科用除湿空気の供給装置としては好ましい。
しかしながら、中空糸膜の外面に沿って流す除湿空気は、中空糸膜内を流れる圧縮空気中の水分を含有して装置外に排出されるパージ除湿空気である。このため、かかるパージ除湿空気を可及的に少なくすることが、中空糸膜を用いたドライヤ装置の効率面からは必要である。
特に、歯科用治療器具では、除湿空気を間欠的に用いるため、除湿空気を使用しない間のパージ除湿空気量が、中空糸膜を用いたドライヤ装置の性能面及び効率面から重要である。
【0004】
除湿空気を間欠的に用いるユーザに除湿空気を間欠的に供給する除湿空気の間欠供給装置として、中空糸膜を用いたドライヤ装置を用いた除湿空気の間欠供給装置は、下記特許文献1に提案されている。
この特許文献1で提案された除湿空気の間欠供給装置を図7に示す。図7に示す除湿の間欠供給装置は、ペンキ塗布等に用いられるスプレーガン100に除湿空気を間欠的に供給する間欠供給装置であって、コンプレッサー102及びその直下のタンク103からの圧縮空気は、中空糸膜を用いたドライヤ装置104に供給される。ドライヤ装置104は、複数本の中空糸膜が束ねられて集束された中空糸膜集束体106の両端部がケース108に固着されており、中空糸膜集束体106の下端部側に形成された下端室110に供給された圧縮空気は中空糸膜集束体106の各中空糸膜内を通過しつつ除湿され、中空糸膜集束体106の上端部側に形成された上端室112から除湿圧縮空気が吐出される。
吐出された除湿圧縮空気の殆どは、配管114を経由してタンク116に貯留されてからスプレーガン100に供給される。
一方、吐出された除湿圧縮空気の一部は、配管114に一端部が接続されたパージ配管118からケース108内に供給され、中空糸膜集束体106の各中空糸膜の外面に沿って流れて中空糸膜内を流れる圧縮空気中の水分と共に、排出配管120から外部に排出される。
【0005】
図7に示す除湿空気の間欠供給装置では、タンク103に圧力スイッチ(図示せず)が設けられており、タンク103の圧力が圧力スイッチの上限値に到達したとき、コンプレッサー102の運転が停止され、他方、タンク103の圧力が圧力スイッチの下限値に到達したとき、コンプレッサー102の運転が再開される。
更に、パージ配管118の接続された箇所とタンク116との間の配管114に制御弁122が設けられており、排出配管120にも制御弁126が設けられている。かかる制御弁122,126は、いずれもタンク116に設けられた圧力スイッチ124の上限信号によって閉じられる。
このため、スプレーガン100の運転が停止されたとき、除湿空気が使用されないため、タンク103の圧力が圧力スイッチの上限値に到達してコンプレッサー102が停止される。同時に、タンク116の圧力が圧力スイッチ124の上限値に達し、圧力スイッチ124から発信される信号に基づいて制御弁122,126が閉じられる。
従って、ドライヤ装置104の運転が停止されると共に、パージ配管118を経由してドライヤ装置104に供給されていたパージ空気の供給も停止される。
一方、スプレーガン100の運転が再開されたとき、タンク116の圧力が低くなって圧力スイッチ124の上限値以下となり、圧力スイッチ124から発信される信号が停止し、制御弁122,126が開かれてパージ配管118を経由してドライヤ装置104にパージ空気の供給が再開される。同時に、タンク103の圧力が圧力スイッチの下限値に到達してコンプレッサー102の運転が再開されて、ドライヤ装置104の運転が再開される。
【特許文献1】特開平7−54774号公報(〔0052〕〜〔0057〕、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7に示す除湿空気の間欠供給装置によれば、除湿空気を用いるユーザが運転停止状態のときには、パージ空気の供給も停止してドライヤ装置104の運転を停止する。このため、ユーザが運転停止状態でもパージ空気をドライヤ装置104に供給する場合に比較して、ドライヤ装置104の効率を向上できるようにも考えられる。
しかしながら、中空糸膜を用いたドライヤ装置では、中空糸膜の内外の水蒸気分圧差に基いて除湿するものであるため、ドライヤ装置の運転停止中に中空糸膜の外面側に空気が滞留して水蒸気分圧が高くなると、ドライヤ装置の運転が再開したとき、ドライヤ装置の所定の除湿能力が充分に発揮されず、所定の露点温度の除湿空気を得ることができないおそれがある。
【0007】
このため、中空糸膜の外面側に滞留していたパージ空気を可及的に速やかに排出すべく、大量のパージ空気をケース108内に供給することを要し、パージ空気量が必要量以上に増加し、結果的に効率が低下する可能性がある。
更に、タンク116に設けられた圧力スイッチ124によって、ユーザの運転開始・停止を検出しているため、その検出遅れが生じるおそれがある。
また、近年、コンプレッサー装置を構成するタンク103も、コンプレッサー102の改良に伴なって小型化されつつあり、ミスト状の水や油が充分に除去されることなく圧縮空気がドライヤ装置に供給されることがある。かかる水や油を含有する圧縮空気の供給によって中空糸膜の性能を損なわせることになる。
そこで、本発明の課題は、中空糸膜を具備するドライヤ装置を用い、間欠運転しても性能及び効率を共に満足し得る除湿空気の間欠供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決すべく、コンプレッサー装置とドライヤ装置との間に、コンプレッサー装置からの圧縮空気を貯留する貯留タンクを設けることによって、圧縮空気中のミスト状の水や油成分を充分に除去できること、除湿圧縮空気の吐出量を測定するフローセンサによれば、ユーザの運転開始を直ちに検知できることを知った。
また、本発明者等は、中空糸膜を用いたドライヤ装置から除湿圧縮空気が吐出されない運転停止状態であっても、中空糸膜の外面側の雰囲気を中空糸膜内に供給される圧縮空気中の水蒸気分圧よりも低く保持するに必要な最小流量のパージ空気を、中空糸膜の外面に沿って流しておくことによって、ドライヤ装置の運転開始直後から所定の露点温度の除湿空気を得ることができること、及びドライヤ装置の運転中には、中空糸膜内に供給される圧縮空気量が多くなるため、ドライヤ装置の運転停止中に流すパージ空気量よりも多量のパージ空気を必要とすることも知り、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、間欠運転されるユーザの間欠的な除湿空気の使用に合わせて、コンプレッサー装置から供給された圧縮空気をドライヤ装置によって除湿した除湿圧縮空気を、前記ユーザに間欠的に供給する除湿空気の間欠供給装置において、該コンプレッサー装置とドライヤ装置との間に、前記コンプレッサー装置から供給された圧縮空気を貯留する貯留タンクが設けられ、且つ前記ドライヤ装置として、複数本の中空糸膜が束ねられて集束された中空糸膜集束体を収容するケースに、前記中空糸集束体の一端側に、前記貯留タンクからの圧縮空気を供給する圧縮空気供給口と、前記中空糸集束体の一端側に供給された圧縮空気が前記中空糸膜内を流れて除湿され、前記中空糸集束体の他端側から流出した除湿圧縮空気を集合して吐出する除湿空気吐出口と、前記除湿圧縮空気の一部を中空糸膜の外周面に沿って流すパージ空気として供給するパージ空気供給口とを具備する中空糸膜ドライヤ装置が用いられており、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気をユーザに供給する供給配管の途中に設けられ、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気量を測定し、前記ユーザでの除湿空気の使用開始を検知して検知信号を発するフローセンサと、前記中空糸膜の性能を維持する最小流量のパージ空気を、前記フローセンサよりもユーザ側の除湿圧縮空気の供給配管から中空糸膜ドライヤ装置のパージ空気供給口に常時供給する第1パージ配管と、途中に設けられた制御弁が開いたとき、前記第1パージ配管よりも多量のパージ空気を、前記フローセンサよりもユーザ側の除湿圧縮空気の供給配管から前記パージ空気供給口に供給し得る第2パージ配管とが設けられ、前記フローセンサからの検知信号を受信したとき、前記第2パージ配管に設けられている制御弁を開とする開信号を発信する制御部とが設けられていることを特徴とする除湿空気の間欠供給装置にある。
【0010】
かかる本発明において、フローセンサとして、機械的測定素子によって除湿圧縮空気量を測定するフローセンサを好適に用いることができる。
また、第1パージ配管及び第2パージ配管の各々を通過するパージ空気量を、各配管に設けたオリフィスによって調整することによって、第1パージ配管及び第2パージ配管の流量調整機構を簡素化できる。
更に、フローセンサよりも中空糸膜ドライヤ装置側の除湿圧縮空気の供給配管に、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気の圧力をユーザでの使用圧力に調整するレギュレータを設けることにより、フローセンサよりもユーザ側の供給配管にレギュレータを設けた場合に比較して、フローセンサを通過する除湿空気量を増加でき、ユーザでの除湿空気の使用開始を容易に検知できる。
この様な本発明に係る除湿空気の間欠供給装置において、中空糸膜ドライヤ装置とフローセンサとの間に、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気を貯留する除湿空気貯留タンクを設けることにより、機械的測定素子によって除湿圧縮空気量を測定するフローセンサを用いても、低流量領域でのチャタリングを更に効果的に防止できる。
この場合も、除湿圧縮空気の圧力をユーザでの使用圧力に調整するレギュレータを、フローセンサよりも除湿空気貯留タンク側の除湿圧縮空気の供給配管に設けることが、フローセンサを通過する除湿空気量を増加する観点から好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る除湿空気の間欠供給装置によれば、中空糸膜の性能を維持する最小流量の除湿圧縮空気が第1パージ配管を経由してパージ空気として常時供給されているため、ユーザでの除湿空気の使用停止期間内でも、中空糸膜の性能を維持でき、ユーザでの除湿空気の使用が再開されたとき、ドライヤ装置は直ちに所定の性能を発揮できる。
更に、ユーザでの除湿空気の使用が再開された際に、第1パージ配管及び第2パージ配管を経由して、使用される除湿空気量に適合した量の除湿空気がパージ空気としてドライヤ装置に供給できる。
このため、ユーザでの除湿空気の使用が再開された際には、直ちにユーザに所定の露点の除湿空気を所定量供給できる。
また、ユーザでの除湿空気の使用停止期間内にドライヤ装置に供給されるパージ空気は、中空糸膜の性能を維持する最小流量のみであるため、除湿装置の供給装置の全体的な効率を低下させることがない。
【0012】
一方、ユーザで除湿空気が使用されている際に、フロースイッチには、第1パージ配管及び第2パージ配管を流れるパージ空気量と、ユーザで使用される除湿空気量との合計除湿空気量が流れる。このため、ユーザで使用される除湿空気量が減少しても、フロースイッチを通過する除湿空気量を、そのチャタリングが発生する限界流量以上とすることができ、除湿空気を安定してユーザに供給できる。
更に、本発明では、コンプレッサー装置と中空糸膜ドライヤ装置との間に、コンプレッサー装置からの圧縮空気を貯留する貯留タンクを設けているため、圧縮空気中のミスト状の水や油を充分に除去でき、水や油を含有する圧縮空気を中空糸膜ドライヤ装置に供給することを防止でき、中空糸膜の性能を充分に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る除湿空気の間欠供給装置の一例を図1に示す。図1に示す除湿空気の供給装置では、コンプレッサー装置20から供給された圧縮空気は、貯留タンク30に一旦貯留された後、ドライヤ装置10によって除湿される。
このコンプレッサー装置20は、本体部20aと貯留タンク30よりも小容量の圧縮空気貯留タンク20bとから構成されており、圧縮空気貯留タンク20bには、圧力センサ(図示せず)が設けられている。圧縮空気貯留タンク20bの圧力が圧力センサの上限に到達したとき、本体部20aの運転が停止され、圧縮空気貯留タンク20bの圧力が圧力センサの下限に到達したとき、本体部20aは駆動される。
かかる圧縮空気貯留タンク20bの容量は小さく、本体部20aから供給された圧縮空気に含まれているミスト状の水や油を充分に除去できない。このため、コンプレッサー装置20から供給されたミスト状の水や油が含有されている圧縮空気は、貯留タンク30に供給される。この際に、圧縮空気の流速が急激に低下し、含有されていたミスト状の水や油を圧縮空気から分離できる。
更に、貯留タンク30から供給される圧縮空気は、ラインフィルタ26及びオイルミストフィルタ28を経由してミスト状の水や油を充分に除去してドライヤ装置10に供給される。
尚、貯留タンク30としては、錆等の発生しない材料、例えばステンレスや内面に樹脂をライニングした鉄材を用いて形成することが好ましい。
【0014】
図1に示すドライヤ装置10としては、図2に示す中空糸膜から成る中空糸膜ドライヤ装置10が用いられている。この図2に示す中空糸膜ドライヤ装置10(以下、単にドライヤ装置10と称することがある)には、複数本の中空糸膜12,12・・が束ねられて集束された中空糸膜集束体を収容するケース14に、中空糸集束体の一端部13bにコンプレッサー装置20から圧縮空気を供給する圧縮空気供給口16と、中空糸集束体の一端部13bに供給された圧縮空気が中空糸膜12の内部12aを流れて除湿され、中空糸集束体の他端部13aから流出した除湿圧縮空気を集合して吐出する除湿空気吐出口18とが設けられている。
更に、ドライヤ装置10のケース14には、除湿空気吐出口18から吐出された除湿圧縮空気の一部を中空糸膜12の外周面に沿って流すパージ空気を供給するパージ空気供給口25と、パージ空気を排出する排出口22とが形成されている。
【0015】
図2に示す中空糸膜ドライヤ装置10の除湿空気吐出口18から吐出した除湿圧縮空気は、配管32を経由してレギュレータ40によってユーザでの使用圧力に調整された後、フローセンサ50を経由してから、その一部が第1パージ配管34a及び第2パージ配管34bを経由して中空糸膜ドライヤ装置10にパージ空気として戻され、その他は脱臭フィルタ60、ミクロミストフィルタ62及びファイナルフィルタ64を通過してユーザに供給される。
この様に、中空糸膜ドライヤ装置10の除湿空気吐出口18から吐出した除湿圧縮空気の全量を、レギュレータ40によってユーザでの使用圧力に調整した後、フローセンサ50を通過させることによって、フローセンサ50を通過する除湿空気量の増加を図ることができる。このため、ユーザの使用量が低下したときに発生し易いフローセンサ50のチャタリング現象を防止できる。
尚、ファイナルフィルター64には、図4に示す様に、微細孔が多数個形成された中空糸65,65・・から成る除菌フィルターが設けられている。このため、ユーザに清潔な除湿空気を供給できる。
【0016】
図1に示す除湿空気の間欠供給装置に用いるフローセンサ50としては、機械的測定素子によって除湿空気量を測定する安価なフローセンサ50を好適に用いることができる。かかるフローセンサ50を図3に示す。図3に示すフローセンサ50は、管内を所定量以上の除湿空気が流れることを機械式素子で検知する機械式フローセンサであって、配管32に接続された管52の内部にフラッパー54の先端が回動可能に設けられている。このフラッパー54の先端部に磁石56が固着されており、矢印A方向からの除湿空気によってフラッパー54の先端と共に回動する。
フラッパー54の先端部に設けられた磁石56が、矢印A方向からの除湿空気によって近接する管52の内壁面に対応する外周面側には、リードスイッチ58が設けられており、リードスイッチ58に磁石56が近接したとき、リードスイッチ58から図1に示す制御部38aに検知信号が発信される。
図3に示すフローセンサ50のフラッパー54は、矩形状を形成されており、フラッパー54が閉じた状態であっても、管52の内壁面との間に隙間が形成されている。このため、フラッパー54が閉じても、所定流量の除湿空気は通過できる。
【0017】
かかるフローセンサ50よりもユーザ側(下流側)の配管32には、中空糸膜ドライヤ装置10のパージ空気供給口25に供給する第1パージ配管34aと第2パージ配管34bとが接続されている。
かかる第1パージ配管34aと第2パージ配管34bとの各々を流れるパージ空気量は、各配管に設けられたオリフィス36a,36bによって制御されている。このオリフィス36a,36bのうち、オリフィス36aは、中空糸膜12の性能を維持し得る最小流量の除湿空気をパージ空気として第1パージ配管34aに流すことができるように調整されている。このため、第1パージ配管34aでは、中空糸膜12の性能を維持し得る最小流量のパージ空気をパージ空気供給口25に供給する。
他方、オリフィス36bは、オリフィス36aよりも多量の除湿空気をパージ空気として第2パージ配管34bに流すことができるように調整されており、ドライヤ装置10が運転再開された際に、第1パージ配管34aのみでは不足するパージ空気を第2パージ配管34bによってパージ空気供給口25に供給できる。
この第2パージ配管34bの途中には、フローセンサ50から発せられる検知信号を受信した制御部38aからの信号によって開く制御弁38が設けられている。
一方、第1パージ配管34aには、制御弁等が設けられておらず、中空糸膜ドライヤ装置10の中空糸膜の性能を維持する最小流量の除湿空気をパージ空気として常時パージ空気供給口25に供給している。
【0018】
図1に示す除湿空気の間欠供給装置では、貯留タンク30に圧縮空気を貯留できるため、ユーザが除湿空気の使用を停止して、コンプレッサー装置20も停止している場合であっても、貯留タンク30内の圧縮空気が中空糸膜ドライヤ装置10に供給されて除湿圧縮空気が吐出される。この除湿圧縮空気は配管32を経由して、レギュレータ40及びフローセンサ50を通過する。この際に、フローセンサ50のフラッパー54は閉じた状態であるが、除湿空気はフラッパー54と管52の内壁面との間の隙間を通過する。このため、フローセンサ50のリードスイッチ58からは何等の信号も発せられず、第2パージ配管34bに設けた制御弁38は閉じた状態にある。
従って、フローセンサ50を通過した除湿空気は、第1パージ配管34aを経由して中空糸膜ドライヤ装置10にパージ空気として供給され、中空糸膜ドライヤ装置10を構成する中空糸膜の性能を維持することができる。
【0019】
一方、ユーザで除湿空気の使用を開始した際には、中空糸膜ドライヤ装置10で処理される圧縮空気量が増加すると、コンプレッサー装置20の運転も再開され、ユーザに所定量の除湿空気を供給する。この際に、ユーザには、直ちに所定の露点温度の除湿空気を供給できる。ユーザでの除湿空気の使用が停止されている間も、中空糸膜の性能を維持できるパージ空気量を中空糸膜ドライヤ装置10に供給していたからである。
また、ユーザでの除湿空気の使用が開始されたときには、所定の露点温度の除湿空気を、ユーザの必要量供給するには、中空糸膜ドライヤ装置10に供給するパージ空気量も増加することが必要である。
この点、図1に示す除湿空気の間欠供給装置では、ユーザでの除湿空気の使用開始に伴なって、レギュレータ40で調圧されてフローセンサ50を通過する除湿空気量が増加してフラッパー54が回動し、リードスイッチ58から検知信号が発せられる。かかる検知信号を受信した制御部38aからは第2パージ配管34bの制御弁38を開く開信号が発せられ、第2パージ配管34bからも第1パージ配管34aよりも多量の除湿空気をパージ空気として供給できる。このため、第1パージ配管34a及び第2パージ配管34bからパージ空気を中空糸膜ドライヤ装置10に供給でき、ユーザでの除湿空気の使用量に見合うパージ空気量を中空糸膜ドライヤ装置10に供給できる。
【0020】
また、ユーザでの除湿空気の使用量が低下しても、第1パージ配管34a及び第2パージ配管34bを経由して中空糸膜ドライヤ装置10に供給される除湿空気がフローセンサ50を通過する。このため、ユーザでの除湿空気の使用量が低下しても、フローセンサ50を通過する除湿空気量を、フラッパー54の振動に因るチャタリング現象が発生する限界除湿空気量以上とすることができ、ユーザに安定して除湿空気を供給できる。
かかる図1に示す除湿空気の間欠供給装置は、間欠的に除湿空気を使用する用途、例えば歯科用治療器具やペンキ塗布用装置に用いることができる。
また、図1に示す除湿空気の間欠供給装置では、フローセンサ50よりもユーザ側に脱臭フィルタ60及びミクロミストフィルタ62が設けられているが、図5に示す様に、ラインフィルタ26及びオイルミストフィルタ28と中空糸膜ドライヤ装置10との間に、脱臭フィルタ60及びミクロミストフィルタ62を設けてもよい。
尚、図5に示す除湿空気の間欠供給装置については、図1に示す除湿空気の間欠供給装置と同一構成装置について同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【0021】
図1及び図5に示す除湿空気の間欠供給装置では、中空糸膜ドライヤ装置10から吐出された除湿圧縮空気を直接レギュレータ40に供給しているが、図6に示す様に、中空糸膜ドライヤ装置10から吐出された除湿圧縮空気を除湿空気貯留タンク15に一旦貯留し、除湿空気貯留タンク15に貯留された除湿圧縮空気を配管32によってレギュレータ40に供給してもよい。
この様に、除湿空気貯留タンク15をフローセンサ50と中空糸膜ドライヤ装置10との間に設けることによって、除湿空気貯留タンク15がフローセンサ50のバッファ的な役割を果たし、フローセンサ50のチャッタリング現象を更に一層防止でき、安定してユーザに除湿空気を供給できる。
図6に示す除湿空気の間欠供給装置では、貯留タンク30と除湿空気貯留タンク15との二個のタンクを用いるため、間欠供給装置を設置するスペースとの関係で図6に示す様に、貯留タンク30と重ねて設置して、省スペースを図ってもよい。
尚、図6に示す除湿空気の間欠供給装置については、図1に示す除湿空気の間欠供給装置と同一構成装置について同一番号を付して詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る除湿空気の間欠供給装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示すドライヤ装置10を説明する断面図である。
【図3】図1に示すフローセンサ50を説明する断面図である。
【図4】図1に示すファイナルフィルター60を説明する断面図である。
【図5】図1に示す間欠供給装置の他の例を示す概略図である。
【図6】図1に示す間欠供給装置の他の例を示す概略図である。
【図7】従来の除湿空気の間欠供給装置を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0023】
10 中空糸膜ドライヤ装置
12 中空糸膜
15 除湿空気貯留タンク
16 圧縮空気供給口
18 除湿空気吐出口
20 コンプレッサー装置
20b 圧縮空気貯留タンク
20a 本体部
25 パージ空気供給口
30 貯留タンク
34a 第1パージ配管
34b 第2パージ配管
36a,36b オリフィス
38 制御弁
38a 制御部
40 レギュレータ
50 フローセンサ
54 フラッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠運転されるユーザの間欠的な除湿空気の使用に合わせて、コンプレッサー装置から供給された圧縮空気をドライヤ装置によって除湿した除湿圧縮空気を、前記ユーザに間欠的に供給する除湿空気の間欠供給装置において、
該コンプレッサー装置とドライヤ装置との間に、前記コンプレッサー装置から供給された圧縮空気を貯留する貯留タンクが設けられ、
且つ前記ドライヤ装置として、複数本の中空糸膜が束ねられて集束された中空糸膜集束体を収容するケースに、前記中空糸集束体の一端側に、前記貯留タンクからの圧縮空気を供給する圧縮空気供給口と、前記中空糸集束体の一端側に供給された圧縮空気が前記中空糸膜内を流れて除湿され、前記中空糸集束体の他端側から流出した除湿圧縮空気を集合して吐出する除湿空気吐出口と、前記除湿圧縮空気の一部を中空糸膜の外周面に沿って流すパージ空気として供給するパージ空気供給口とを具備する中空糸膜ドライヤ装置が用いられており、
前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気をユーザに供給する供給配管の途中に設けられ、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気量を測定し、前記ユーザでの除湿空気の使用開始を検知して検知信号を発するフローセンサと、
前記中空糸膜の性能を維持する最小流量のパージ空気を、前記フローセンサよりもユーザ側の除湿圧縮空気の供給配管から中空糸膜ドライヤ装置のパージ空気供給口に常時供給する第1パージ配管と、
途中に設けられた制御弁が開いたとき、前記第1パージ配管よりも多量のパージ空気を、前記フローセンサよりもユーザ側の除湿圧縮空気の供給配管から前記パージ空気供給口に供給し得る第2パージ配管とが設けられ、
前記フローセンサからの検知信号を受信したとき、前記第2パージ配管に設けられている制御弁を開とする開信号を発信する制御部とが設けられていることを特徴とする除湿空気の間欠供給装置。
【請求項2】
フローセンサが、機械的測定素子によって除湿圧縮空気量を測定するフローセンサである請求項1記載の除湿空気の間欠供給装置。
【請求項3】
第1パージ配管及び第2パージ配管の各々を通過するパージ空気量を、各配管に設けたオリフィスによって調整する請求項1又は請求項2記載の除湿空気の間欠供給装置。
【請求項4】
フローセンサよりも中空糸膜ドライヤ装置側の除湿圧縮空気の供給配管に、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気の圧力をユーザでの使用圧力に調整するレギュレータが設けられている請求項1〜3のいずれか一項記載の除湿空気の間欠供給装置。
【請求項5】
中空糸膜ドライヤ装置とフローセンサとの間に、前記中空糸膜ドライヤ装置から吐出された除湿圧縮空気を貯留する除湿空気貯留タンクが設けられている請求項1〜4のいずれか一項記載の除湿空気の間欠供給装置。
【請求項6】
フローセンサよりも除湿空気貯留タンク側の除湿圧縮空気の供給配管に、前記除湿空気貯留タンクから供給された除湿圧縮空気の圧力をユーザでの使用圧力に調整するレギュレータが設けられている請求項5記載の除湿空気の間欠供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−212559(P2006−212559A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28659(P2005−28659)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】