説明

除電装置の監視装置、除電装置の監視方法及び除電装置の監視用プログラム

【課題】半導体ウエハWの電気的特性検査を行う際に、被処理体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視して信頼性の高い電気的特性検査を行うことができる除電装置の監視装置を提供する。
【解決手段】本発明の除電装置の監視装置(監視回路)22は、メインチャック14とプローブカードが相対的に移動し、メインチャック14上の半導体ウエハWとプローブカード15を接触させて半導体ウエハWの電気的特性検査を行う際に、放電スイッチ回路21を用いてメインチャック14から半導体ウエハWに帯電した静電気を除去する除電装置20を監視する装置であって、除電装置20の放電スイッチ回路21Aと連動し且つ放電スイッチ回路21Aの誤動作を検出する検出スイッチ回路22Aと、検出スイッチ回路22Aを開閉する検出駆動回路22Bと、検出スイッチ回路22Aを介して放電スイッチ回路21Aの誤動作を判定する判定回路22Cと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電装置の監視装置、除電装置の監視方法及び除電装置の監視用プログラムに関し、更に詳しくは、被検査体の電気的特性検査を行う検査装置に用いられる除電装置の監視装置、除電装置の監視方法及び除電装置の監視用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査装置は、前工程で製造された被検査体(例えば、半導体ウエハ)の電気的特性検査を行うために用いられる。検査装置は、半導体ウエハをカセット単位で収納するローダ室と、このローダ室から受け取った半導体ウエハの電気的特性検査を行うプローバ室とを備えている。
【0003】
ローダ室は、半導体ウエハを一枚ずつ搬送するウエハ搬送機構と、ウエハ搬送機構を介して半導体ウエハを搬送する間に半導体ウエハの向きを揃えるプリアライメント機構(以下、「サブチャック」と称す。)と、を備えている。また、プローバ室は、半導体ウエハを載置してX、Y、Z及びθ方向で移動する載置台(以下、「メインチャック」と称す。)と、メインチャックの上方に配置されたプローブカードと、プローブカードのプローブとメインチャック上の半導体ウエハの電極パッドのアライメントを行うアライメント機構と、を備えている。また、プローバ室の上面を形成するヘッドプレートにはプローブカードと電気的に接触するテストヘッドが配置され、テストヘッドを介してテスタとプローブカードとの間で所定の信号を送受信する。
【0004】
プローバ室内で半導体ウエハの電気的特性検査を行う場合には、メインチャックとアライメント機構が協働してメインチャック上の半導体ウエハの電極パッドとプローブカードのプローブとのアライメントを行った後、メインチャックが移動して半導体ウエハとプローブカードを電気的に接触させて半導体ウエハの複数のデバイスについて電気的特性検査を行う。検査後にはメインチャックが下降して半導体ウエハがプローブカードから離間した後、メインチャックが半導体ウエハのインデックス送りを行って全てのデバイスについての電気的特性検査を順次行う。
【0005】
ところで、検査を行っている時にメインチャックの移動時の空気との摩擦等によりメインチャックや半導体ウエハに静電気が帯電する。この現象は避けがたく、そのまま放置すると静電気の影響で検査中にデバイスの配線構造が損傷する虞があった。特に、デバイスの微細構造化によりこのような現象が顕著になりつつある。そこで、本出願人は、特許文献1においてメインチャックを介して半導体ウエハに帯電した静電気を除去する除電装置を提案した。この除電装置は、プローバ室内で半導体ウエハの電気的特性検査を行う際に、メインチャックを介して半導体ウエハがプローブカードから離間し、半導体ウエハをインデックス送りする時にはメインチャック上の半導体ウエハに帯電した静電気を除去し、半導体ウエハとプローブカードが電気的に接触して半導体ウエハの電気的特性検査を行っている時には除電しないようにしている。
【0006】
即ち、メインチャックは接地用配線を介して接地されており、この接地用配線に除電装置を構成するリレースイッチが設けられている。リレースイッチはコントローラの制御下で接地用配線の電路を開閉し、半導体ウエハとプローブカードが電気的に接触している時にはリレースイッチが接地用配線の電路を開いて除電せず、それ以外の時にはリレースイッチが接地用配線の電路を閉じてメインチャックを介して半導体ウエハに帯電した静電気を除電している。
【0007】
【特許文献1】特開2007−180580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の除電装置の場合には、リレースイッチを用いて除電しているため、リレースイッチが開閉動作を繰り返していると、リレースイッチの可動接点と固定接点が溶着することがある。リレースイッチが溶着すると、リレースイッチは接地用配線の電路を開くべき時に本来の動作をすることなく閉じたままであるため、半導体ウエハとプローブカードが電気的に接触してデバイスの電気的特性検査を行う時でもメインチャックからの放電を続けるため、半導体ウエハとプローブカードが電気的に接触して検査をしている最中に半導体ウエハの電磁気的な環境が大きく変動して半導体ウエハの電気的特性検査に悪影響を及ぼし、検査の信頼性を損なう虞があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、被検査体の電気的特性検査を行う際に、被処理体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視して信頼性の高い電気的特性検査を行うことができる除電装置の監視装置、除電装置の監視方法及び除電装置の監視用プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の除電装置の監視装置は、被検査体を載置した載置台とプローブカードが相対的に移動し、上記載置台上の上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触して上記被検査体の電気的特性検査を行う間に、放電スイッチ回路を用いて上記載置台を接地する接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視する装置であって、上記放電スイッチ回路と連動し且つ上記放電スイッチ回路の誤動作を検出する検出スイッチ回路と、この検出スイッチ回路を開閉する検出駆動回路と、上記検出スイッチ回路を介して上記放電スイッチ回路の誤動作を判定する判定回路と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の除電装置の監視装置は、請求項1に記載の発明において、上記除電装置は、上記放電スイッチ回路と、上記放電スイッチ回路を開閉する放電駆動回路と、を有し、上記放電スイッチ回路は、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触していない時に上記接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去し、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触している時に上記接地用配線の電路を開いて上記載置台からの放電を中断することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の除電装置の監視装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記接地用配線は、上記載置台の載置面に接続されていること特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の除電装置の監視装置は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上上記検出スイッチ回路及び検出駆動回路は、リレースイッチとして構成されていること特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項5に記載の除電装置の監視方法は、被検査体の載置台とプローブカードが相対的に移動し、上記載置台上の上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触して上記被検査体の電気的特性検査を行う間に、放電スイッチ回路を用いて上記載置台を接地する接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視する方法であって、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触していない時に上記載置台から上記静電気を除去するために上記接地用配線の電路を閉じた上記放電スイッチ回路を監視する第1の工程と、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触している時に上記載置台からの静電気の除去を停止するために上記接地用配線の電路を開いた上記放電スイッチ回路を監視する第2の工程と、上記第1の工程で上記放電スイッチ回路が開いている時に上記放電スイッチ回路が誤動作していると判定する第3の工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項6に記載の除電装置の監視用プログラムは、コンピュータが駆動して、被検査体の載置台とプローブカードが相対的に移動し、上記載置台上の上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触して上記被検査体の電気的特性検査を行う間に、放電スイッチ回路を用いて上記載置台を接地する接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視する方法を実行するプログラムであって、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触していない時に上記載置台から上記静電気を除去するために上記接地用配線の電路を閉じた上記放電スイッチ回路を監視する第1の工程と、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触している時に上記載置台からの静電気の除去を停止するために上記接地用配線の電路を開いた上記放電スイッチ回路を監視する第2の工程と、上記第1の工程で上記放電スイッチ回路が開いている時に上記放電スイッチ回路が誤動作していると判定する第3の工程と、を実行させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被検査体の電気的特性検査を行う際に、被処理体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視して信頼性の高い電気的特性検査を行うことができる除電装置の監視装置、除電装置の監視方法及び除電装置の監視用プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の除電装置の一実施形態を適用した検査装置を部分的に破断して示す正面図である。
【図2】図1の示す検査装置に設置された除電装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1、図2に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。
【0019】
本実施形態の除電装置を備えた検査装置10は、例えば図1に示すように、ローダ室11と、プローバ室12と、ローダ室11及びプローバ室12内の各種の機器を駆動制御する制御装置13と、を備え、制御装置13の制御下で各種の機器を駆動制御しながら半導体ウエハWの電気的特性検査を行うように構成されている。
【0020】
図1には図示してないが、ローダ室11は、通常、複数の半導体ウエハWをカセット単位で収納する収納部と、カセットに対して半導体ウエハWを搬出入するウエハ搬送機構と、半導体ウエハWのプリアライメントを行うサブチャックと、を備えている。ローダ室11内では、ウエハ搬送機構が半導体ウエハWを搬送する間にサブチャックにおいてプリアライメントした後、プローバ室12との間で半導体ウエハWの受け渡しを行う。
【0021】
プローバ室12は、図1に示すように、ウエハ搬送機構から受け取った半導体ウエハWを載置し水平方向及び上下方向に移動する載置台(以下、「メインチャック」と称す。)14と、このメインチャック14の上方に配置されたプローブカード15と、このプローブカード15の複数のプローブ15Aとメインチャック14上の半導体ウエハWの複数の電極パッドとのアライメントを行うアライメント機構(図示せず)と、を備えている。プローバ室12内では、アライメント機構によってメインチャック14上の半導体ウエハWの複数の電極パッドとプローブカード15の複数のプローブ15Aとのアライメントを行った後、プローブカード15の複数のプローブ15Aと半導体ウエハWの複数の電極パッドを電気的に接触させて半導体ウエハWの電気的特性検査を行う。半導体ウエハWの電気的特性検査を行う際、プローブカード15の上面に配置されたテストヘッドTを介してテスタ(図示せず)とプローブカード15との間で所定の信号を送受信する。尚、プローブカード15は、ヘッドプレート16の開口部に固定されている。
【0022】
メインチャック14は、図1に示すように、例えば半導体ウエハWを真空吸着するチャックトップ14Aと、チャックトップ14Aを昇降させる昇降機構14Bと、を備え、XYテーブル17を介して水平方向に移動すると共に昇降機構14Bを介してチャックトップ14Aが昇降するように構成されている。チャックトップ14Aの表面には金等からなる導体膜が形成されている。このチャックトップ14Aには接地用配線18が接続され、後述するように接地用配線18を介してチャックトップ14A上の半導体ウエハWに帯電した静電気を除去してアース側へ放電するようにしている。
【0023】
半導体ウエハWの電気的特性検査を行う際に、半導体ウエハWに形成された多数のデバイスには静電気が帯電するため、この静電気によって個々のデバイスの電気的特性検査に悪影響を及ぼすことがある。そこで、本実施形態では例えば図1、図2に示す除電装置20を検査装置10のローダ室11の上面に設置し、除電装置20を用いてメインチャック14上の半導体ウエハWに帯電する静電気を除去すると共に、除電装置20に付帯する監視装置によって除電装置20を監視するようにしている。以下では、図1、図2に基づいて本実施形態の除電装置の監視装置及びこの監視装置を用いる本発明の除電装置の監視方法の一実施形態について説明する。本発明の監視方法を実施するための監視用プログラムは、制御装置13であるコンピュータの記憶部に格納され、コンピュータを駆動して半導体ウエハWの電気的特性検査を行う時に実行される。
【0024】
本実施形態の監視装置が適用された除電装置20は、例えば図1、図2に示すように、メインチャック14上の半導体ウエハWに帯電した静電気を接地用配線18を介して除去する放電回路21と、放電回路21を監視する監視装置(以下、「監視回路」と称す。)22と、放電回路21及び監視回路22をそれぞれ駆動制御するコントローラ23と、これらを収納するハウジング24と、を備え、ローダ室11の上面に配置され、コントローラ23の制御下で駆動するように構成されている。除電装置20には接地用配線18がコネクタ19を介して接続されており、除電装置20によってチャックトップ14A上の半導体ウエハWに帯電した静電気を除去しアース側へ放電すると共に監視回路22によって放電回路21を監視するようにしている。この監視回路22は、放電回路21を介して除電装置20を監視することができる。
【0025】
放電回路21は、図2に示すように、接地用配線18の電路を開閉するように接地用配線18に接続された放電スイッチ21Aと、放電スイッチ回路21Aを開閉する放電駆動回路21Bと、を有し、コントローラ23の制御下で放電駆動回路21Bを介して駆動し接地用配線18の電路を開閉するように構成されている。つまり、コントローラ23は、除電装置20を駆動させる指令信号を出力する出力回路23Aを有し、出力回路23Aからの指令信号に基づいて放電回路21が駆動する。放電回路21は、例えばリレースイッチによって構成されている。
【0026】
放電回路21は以下のタイミングで接地用配線18の電路を開閉する。即ち、制御装置13の制御下でメインチャック14上の半導体ウエハWがプローブカード15と接触していない時、つまり半導体ウエハWがプローブカード15と離接するために昇降する時や半導体ウエハWのインデックス送りを行っている時には、コントローラ23の制御下で放電スイッチ回路21Aが放電駆動回路21Bを介して駆動して接地用配線18の電路を閉じてメインチャック14から半導体ウエハWに帯電した静電気を除去してアース側へ放電し、半導体ウエハWの電気的特性検査を行う時の静電気の影響を極力なくし、常に安定した信頼性の高い検査を行えるようにしている。また、制御装置13の制御下でメインチャック14上の半導体ウエハWがプローブカード15と電気的に接触して半導体ウエハWの電気的特性検査を行っている時には、コントローラ23の制御下で放電駆動回路21Bが放電スイッチ回路21Aを駆動させて接地用配線18の電路を開いてメインチャック14からアース側Aへの放電を中断し、半導体ウエハWの電磁気的な環境を安定化している。
【0027】
また、監視回路22は、図2に示すように、接地用配線18から分岐する配線18Aに接続され且つ放電回路21の誤動作を検出する検出スイッチ回路22Aと、検出スイッチ回路22Aを開閉する検出駆動回路22Bと、検出スイッチ回路22Bを介して放電回路21の誤動作を判定する判定回路22Cと、判定回路22Cに基準電圧位を付与する基準電圧回路22Dと、を有している。検出スイッチ回路22A及び検出駆動回路22Bは、チャックトップ14Aに接続された接地用配線18に対して放電回路21(放電スイッチ回路21A及び放電駆動回路21B)とは並列に接続され、例えば放電回路21と同様にリレースイッチとして構成されている。検出スイッチ回路22Aは、コントローラ23の出力回路23Aからの指令信号に基づいて検出駆動回路22Bが駆動して放電スイッチ回路21Aと逆のタイミングで配線18Aの電路を開閉する。つまり、検出スイッチ回路22Aは、放電スイッチ回路21Aが閉じている時には開き、放電スイッチ回路21Aが開いている時に閉じている。
【0028】
監視回路22は以下のタイミングで配線18Aの電路を開閉する。即ち、制御装置13の制御下でメインチャック14上の半導体ウエハWがプローブカード15と接触していない時、換言すれば、コントローラ23の制御下で放電スイッチ回路21Aが接地用配線18の電路を閉じてチャックトップ14Aから放電している時には、コントローラ23の制御下で検出スイッチ回路22Aが検出駆動回路22Bを介して駆動して配線18Aの電路を開いている。また、制御装置13の制御下でメインチャック14上の半導体ウエハWがプローブカード15と電気的に接触して半導体ウエハWの電気的特性検査を行っている時、換言すれば、コントローラ23の制御下で放電スイッチ回路21Aが接地用配線18の電路を開いてチャックトップ14Aからの放電を中断している時には、コントローラ23の制御下で検出スイッチ回路22Aが検出駆動回路22Bを介して駆動して配線18Aの電路を閉じている。
【0029】
検出スイッチ回路22Aと判定回路22Cは、配線18Aを介して互いに接続されている。これらの検出スイッチ回路22Aと判定回路22Cには配線18Aを介してそれぞれに固有の電圧が印加され、判定回路22Cに印加された電圧は基準電圧に対する比較電圧として利用される。
【0030】
監視回路22において、例えば除電装置20の継続使用によって放電スイッチ回路21Aの可動接点と固定接点が溶着すると、放電駆動回路21Bが放電スイッチ回路21Aを開こうとしても開かなくなる。そのため、半導体ウエハWとプローブカード15とが電気的に接触して半導体ウエハWの電気的特性検査を行っている時には本来なら放電スイッチ回路21Aが開いてチャックトップ14Aからの放電を中断しなくてはならないが、放電スイッチ回路21Aが閉じたままでチャックトップ14Aからアース側へ放電し続けることになる。
【0031】
この時、監視回路22でも検出スイッチ22Aが配線18Aを閉じているため、配線18Aも接地用配線18及び放電スイッチ21Aを介して接地されて、判定回路22Cの比較電圧が基準電圧より低下し、判定回路22Cからコントローラ23の入力回路23Bへ放電スイッチ回路21Aの誤動作を示す判定信号を出力する。コントローラ23は、入力回路23Aに入力した判定信号に基づいてLow信号を制御装置13へ出力し、放電回路21の誤動作を制御装置13に報知すると共に出力回路23Aから検出駆動回路22BへLow信号を出力して検出スイッチ22Aを開く。放電回路21が正常に動作している時には監視回路22の判定回路22Cから制御装置13へHigh信号を判定信号として出力して誤動作のないことを制御装置13に報知すると共に出力回路23Aから検出駆動回路22BへHigh信号を出力して検出スイッチ22Aを閉じたままにする。
【0032】
次いで、本実施形態の監視用プログラムを用いる本発明の除電方法の一実施形態について説明する。
【0033】
半導体ウエハWの電気的特性検査を行う場合には、ローダ室11内でウエハ搬送機構が半導体ウエハWを収納部から搬出し、サブチャックにおいてプリアライメントを行った後、プローバ室12内で待機するメインチャック14上に半導体ウエハWを載置する。半導体ウエハWがカセットからメインチャック14のチャックトップ14A上に載置されるまでの間に、除電装置20では放電回路21の放電スイッチ回路21Aが放電駆動回路21Bを介して接地用配線18の電路を閉じ、チャックトップ14Aに帯電した静電気を除去し、アース側へ放電する。
【0034】
ウエハ搬送機構が半導体ウエハWをチャックトップ14A上に載置すると、チャックトップ14A上で半導体ウエハWを真空吸着した後、メインチャック14が水平方向に移動する。チャックトップ14Aに半導体ウエハWが吸着固定されると、チャックトップ14Aを介してそれまでに半導体ウエハWに帯電した静電気がチャックトップ14Aを介して除去される。メインチャック14が移動する間に、メインチャック14はアライメント機構と協働して半導体ウエハWの電極パッドとプローブカード15のプローブ15Aとのアライメントを行う。この間にも静電気が半導体ウエハW及びチャックトップ14Aに帯電しようとするが、チャックトップ14Aが接地されているため、半導体ウエハWがプローブ15Aと接触するまでの間に、半導体ウエハW及びチャックトップ14Aの静電気はチャックトップ14Aを介して除去されるため静電気が半導体ウエハWに帯電することはない。
【0035】
半導体ウエハWのアライメント後、メインチャック14が半導体ウエハW内の最初のデバイスがプローブ15Aの真下まで水平移動し、この位置でメインチャック14の昇降機構14Bが駆動して半導体ウエハWが上昇し、デバイスの電極パッドとプローブ15Aとが接触する。この接触と同時にコントローラ23の制御下で放電スイッチ回路21Aが放電駆動回路21Bを介して接地用配線18の電路を開き、チャックトップ14Aの接地を解除し、半導体ウエハW及びチャックトップ14Aからの除電を中断する。
【0036】
最初のデバイスの検査を終えると、チャックトップ14Aが昇降機構14Bを介して下降してデバイスの電極パッドとプローブ15Aの接触が解除される。この下降動作と同時に放電スイッチ回路21Aが放電駆動回路21Bを介して接地用配線18の電路を閉じて検査中に半導体ウエハW及びチャックトップ14Aに帯電した静電気をチャックトップ14Aから除去し、アース側へ放電する。
【0037】
そして、メインチャック14が水平方向へ移動して半導体ウエハWをインデックス送りし、次のデバイスがプローブ15Aの真下に達した後、チャックトップ14Aが昇降機構14Bを介して上昇し、デバイスの電極パッドとプローブ15Aが電気的に接触する。チャックトップ14Aの下降動作から接触動作までの間に半導体ウエハW及びチャックトップ14Aの静電気をチャックトップ14Aから除電する。デバイスの電極パッドとプローブ15Aの接触と同時にコントローラ23の制御下で放電スイッチ回路21Aが放電駆動回路21Bを介して接地用配線18の電路を開き、チャックトップ14Aからの除電を中断する。この状態でデバイスの電気的特性検査を繰り返す。
【0038】
半導体ウエハW内の最後のデバイスの検査を終了すると、チャックトップ14Aが下降する。この下降動作と同時にコントローラ23の制御下で放電スイッチ回路21Aが放電駆動回路21Bを介して接地用配線18の電路を閉じて半導体ウエハW及びチャックトップ14Aの除電を行う。その後、メインチャック14が検査、除電済みの半導体ウエハWを引き渡すためにローダ室11側へ移動する。ローダ室11では待機しているウエハ搬送機構がメインチャック14上の半導体ウエハWを受け取り、検査済みの半導体ウエハWをカセットへ戻した後、次の半導体ウエハWをカセットから搬出する。
【0039】
半導体ウエハWの電気的特性検査を繰り返している間に、放電スイッチ回路21Aが溶着し、放電スイッチ回路21Aが誤動作することがある。この場合には、メインチャック14が移動して半導体ウエハWとプローブカード15が電気的に接触して半導体ウエハの電気的特性検査を行っている時に、コントローラ23の制御下で放電駆動回路21Bが作動しても放電スイッチ回路21Aが接地用配線18の電路を開くことができず、そのままチャックトップ14Aからの放電を継続しようとする。
【0040】
このような場合でも本実施形態では半導体ウエハWの検査中、常に監視回路22が放電回路21を監視しているため、放電回路21の誤動作を瞬時に検出し、電気的特性検査を中断することができる。即ち、監視回路22の検出スイッチ回路22Aが検出駆動回路2Bを介して配線18Aの電路を閉じているため、検出スイッチ回路22Aは配線18A及び接地用配線18を介してアース側に接続されている。そのため、判定回路22Cから検出スイッチ回路22Aに印加された電圧が急激に低下し、判定回路22Cの比較電圧が基準電圧より小さくなってLow信号を判定信号としてコントローラ23の入力回路23Bへ出力し、放電スイッチ回路21Aの誤動作、つまり接地用配線18の電路を遮断しているはずの放電スイッチ回路21Aが遮断せず閉じていることをLow信号として入力回路23Bへ出力し、コントローラ23から制御装置13にその旨を報知する。制御装置13は入力したLow信号に基づいて半導体ウエハWの電気的特性検査を中断する。このように放電回路21が誤動作することがあると、半導体ウエハWの電気的特性検査を中断するために、検査の信頼性を損なうことなく、安定した信頼性の高い検査を行うことができる。
【0041】
以上説明したように本実施形態によれば、除電装置20の監視装置は、放電スイッチ回路21Aと連動し且つ放電スイッチ回路21Aの誤動作を検出する検出スイッチ回路22Aと、検出スイッチ回路22Aを開閉する検出駆動回路22Bと、検出スイッチ回路22Aを介して放電スイッチ回路21Aの誤動作を判定する判定回路22Cと、を備えているため、監視用プログラムを用いて、半導体ウエハWとプローブカード15が電気的に接触していない時にメインチャック14から静電気を除去するために接地用配線18の電路を閉じた放電スイッチ回路21Aを監視する第1の工程と、半導体ウエハWとプローブカード15が電気的に接触している時にメインチャック14からの静電気の除去を停止するために接地用配線18の電路を開いた放電スイッチ回路21Aを監視する第2の工程と、第2の工程で放電スイッチ回路21Aが閉じている時に放電スイッチ回路21Aが誤動作していると判定する第3の工程と、を実行させることにより、半導体ウエハWの電気的特性検査を行う際に、半導体ウエハWに帯電した静電気を除去する除電装置20を監視して信頼性の高い電気的特性検査を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、除電装置20は、放電スイッチ回路21Aと、放電スイッチ回路21Aを開閉する放電駆動回路21Bと、を有し、放電スイッチ回路21Aは、半導体ウエハWとプローブカード15が電気的に接触していない時に接地用配線18の電路を閉じてメインチャック14から半導体ウエハWに帯電した静電気を除去し、半導体ウエハWとプローブカード15が電気的に接触している時に接地用配線18の電路を開いてメインチャック14からの放電を中断するため、監視回路22の監視下で半導体ウエハWに帯電した静電気をメインチャック14から安定的に除去することができ、信頼性の高い電気的特性検査を行うことができる。
【0043】
尚、本発明は上記実施形態に何ら制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、半導体製造分野の検査装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 検査装置
14 メインチャック(載置台)
14A チャックトップ
15 プローブカード
15A プローブ
18 接地用配線
20 除電装置
21 放電回路
21A 放電スイッチ回路
21B 放電駆動回路
22 監視回路
22A 検出スイッチ回路
22B 検出駆動回路
22C 基準電圧回路
W 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体を載置した載置台とプローブカードが相対的に移動し、上記載置台上の上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触して上記被検査体の電気的特性検査を行う間に、放電スイッチ回路を用いて上記載置台を接地する接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視する装置であって、上記放電スイッチ回路と連動し且つ上記放電スイッチ回路の誤動作を検出する検出スイッチ回路と、この検出スイッチ回路を開閉する検出駆動回路と、上記検出スイッチ回路を介して上記放電スイッチ回路の誤動作を判定する判定回路と、を備えたことを特徴とする除電装置の監視装置。
【請求項2】
上記除電装置は、上記放電スイッチ回路と、上記放電スイッチ回路を開閉する放電駆動回路と、を有し、上記放電スイッチ回路は、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触していない時に上記接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去し、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触している時に上記接地用配線の電路を開いて上記載置台からの放電を中断することを特徴とする請求項1に記載の除電装置の監視装置。
【請求項3】
上記接地用配線は、上記載置台の載置面に接続されていること特徴とする請求項1または請求項2に記載の除電装置の監視装置。
【請求項4】
上記検出スイッチ回路及び検出駆動回路は、リレースイッチとして構成されていること特徴とする請求項1または請求項2に記載の除電装置の監視装置。
【請求項5】
被検査体の載置台とプローブカードが相対的に移動し、上記載置台上の上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触して上記被検査体の電気的特性検査を行う間に、放電スイッチ回路を用いて上記載置台を接地する接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視する方法であって、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触していない時に上記載置台から上記静電気を除去するために上記接地用配線の電路を閉じた上記放電スイッチ回路を監視する第1の工程と、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触している時に上記載置台からの静電気の除去を停止するために上記接地用配線の電路を開いた上記放電スイッチ回路を監視する第2の工程と、上記第1の工程で上記放電スイッチ回路が開いている時に上記放電スイッチ回路が誤動作していると判定する第3の工程と、を備えたことを特徴とする除電装置を監視方法。
【請求項6】
コンピュータが駆動して、被検査体の載置台とプローブカードが相対的に移動し、上記載置台上の上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触して上記被検査体の電気的特性検査を行う間に、放電スイッチ回路を用いて上記載置台を接地する接地用配線の電路を閉じて上記載置台から上記被検査体に帯電した静電気を除去する除電装置を監視する方法を実行するプログラムであって、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触していない時に上記載置台から上記静電気を除去するために上記接地用配線の電路を閉じた上記放電スイッチ回路を監視する第1の工程と、上記被検査体と上記プローブカードが電気的に接触している時に上記載置台からの静電気の除去を停止するために上記接地用配線の電路を開いた上記放電スイッチ回路を監視する第2の工程と、上記第1の工程で上記放電スイッチ回路が開いている時に上記放電スイッチ回路が誤動作していると判定する第3の工程と、を実行させることを特徴とする除電装置の監視用プログラム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−54762(P2011−54762A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202431(P2009−202431)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】