説明

陰イオン修飾カテコール、および汚れ懸濁ポリマー類を含有する組成物

粘土および植物由来のポリフェノール化合物の汚れを除去するために、汚れ懸濁ポリマーと併用して陰イオン修飾カテコールを利用する洗浄組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰イオン修飾カテコール、および汚れ懸濁ポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
表面上の粘土汚れおよび植物由来のポリフェノール化合物(例えば、ワイン、グレープジュース、紅茶および草)を含有する汚れの洗浄は、洗濯洗剤のような洗浄組成物に望まれる性能であり続けている。汚れ除去および汚れ懸濁のためのポリマー含有物は、表面から汚れを除去するために、洗浄組成物中に利用されてきた。これらの洗浄組成物に、界面活性剤が含まれる場合も多い。
【0003】
洗浄温度の低下、および洗浄組成物中の界面活性剤、ビルダー等のような特定の物質の濃度の低減は、環境および経費節約策のために、より少量またはより低濃度の物質を配合するのと同時に、洗浄組成物により一層求められ続けている。
【0004】
カテコール類は、洗浄組成物における金属イオン封鎖剤またはビルダーであるとして論じられてきた。米国特許第3,864,286号は、強力洗浄組成物中の洗剤ビルダーおよび界面活性剤としての、ジスルホン化カテコール類の使用について論じている。米国特許第3,812044号は、洗浄組成物中の金属イオン封鎖剤としての、多官能置換芳香族酸化合物の水溶性塩の使用について論じている。米国特許第4,687,592号は、エーテルポリカルボキシレート類、鉄およびマンガンキレート剤(とりわけ、多官能置換芳香族キレート剤)並びに高分子ポリカルボキシレート分散剤を有する洗浄組成物用の、洗浄ビルダー系について論じている。ジスルホン化カテコールのアルキル変性は、洗浄組成物の界面活性剤成分としての、スルホン化C12〜C18アルキルカテコール類のアルカリ金属およびアンモニウム塩類に関する、米国特許第4,058,472号に論じられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
汚れ懸濁ポリマー類または分散剤は、洗濯洗剤用途に利用されてきた。粘土汚れは、これらのポリマー類が利用される汚れの1種である。粘土汚れは、フェイス・トゥー・フェイス(face-to-face)型、エッジ・トゥー・フェイス(edge-to-face)型または前記2つの配向の混合型で結合するプレートレットを含む。プレートレットは、アルミニウムイオン(Al3+)、正の電荷密度を創造するプレートレットの端部に沿って曝露される幾つかのイオンを含有する。標準的な洗濯周期に見られるような比較的短期間(1時間未満)で、粘土汚れが付着している表面から粘土汚れを除去することは困難である。これは、低洗浄温度(60℃)において特に当てはまる。汚れ懸濁ポリマーは、粘土汚れを一部除去するが、このような粘土汚れは表面から完全に除去されないことが多い。従って、表面からの粘土汚れ除去を改善する必要性が依然として存在する。
【0006】
思いがけず、陰イオン修飾カテコールと汚れ懸濁ポリマーの組み合わせが、粘土汚れの洗浄を改善することが、発見された。陰イオン修飾カテコールと汚れ懸濁ポリマーの組み合わせが、洗濯および食器洗浄系において、植物由来のポリフェノール化合物汚れの洗浄を改善することもまた、思いがけず発見された。これらの洗浄の改善はまた、陰イオン修飾カテコールおよび汚れ懸濁ポリマーとともに、界面活性剤または界面活性剤系をさらに含む組成物においても見られた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)1または2つのスルホン酸基を有するカテコールと、(b)水溶性汚れ懸濁ポリマーとを含む組成物に関する。本発明はさらに、(a)請求項1に記載の組成物を、無希釈または希釈形態で、前記表面または布地に接触させる工程と、(b)前記前記表面を水ですすぐ工程とを含む、粘土汚れまたは植物由来のポリフェノール化合物汚れを表面または布地から除去する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用する時、「粘土汚れ」とは、主に、変動する微量無機不純物と、低濃度の天然有機物質を含む結合した色素体(color-bodies)のアルミノケイ酸塩から構成される、天然由来の微粒子を意味する。本明細書で使用する工業的粘土汚れは、業界に対して染みのついた布地を供給する営利会社(例えば、エンピリカル・マニュファクチャリング社(Empirical Manufacturing Company)から入手した。
【0009】
本明細書で使用する時、「植物由来のポリフェノール化合物汚れ」は、着色汚れ(例えば、ワイン、グレープジュース、紅茶および草)中に見られるタンニン類、アントシアニン類、クロロフィルおよび他の物質のようなポリフェノール化合物類を意味する。
【0010】
本発明は、組成物、好ましくは陰イオン修飾カテコールと汚れ懸濁ポリマーを含む洗浄組成物に関する。陰イオン修飾カテコールと汚れ懸濁ポリマーの組み合わせが、粘土汚れの除去を改善することが見出されてきた。理論に束縛されるものではないが、カテコール構造体は、粘土汚れプレートレットの端部にあるAl3+と強力に結合する能力を有すると考えられる。修飾カテコール類に共有結合している、スルホン酸基のような陰イオン基は、粘土汚れプレートレットの端部の電荷を変化させ、それにより原型の粘土汚れプレートレット端と面の相互作用を解離または崩壊させる。これらの粘土汚れ微粒子は、次いで汚れ懸濁ポリマーによってより良好に懸濁され得る。
【0011】
本組成物は、任意の従来の形態、すなわち、液体、粉末、顆粒、粒塊、ペースト、錠剤、袋、バー、ジェル、二重区画容器にて納品される種類のもの、スプレーまたは泡洗剤、予め湿潤した拭き取り布(すなわち、マッキー(Mackey)らによる米国特許第6,121,165号で論じられるような不織布材料と組み合わせた洗浄組成物)、消費者によって水で活性化される乾燥拭き取り布(すなわち、ファウラー(Fowler)らによる米国特許第5,980,931号で論じられるような不織布材料と組み合わせた洗浄組成物)および他の均質または多相の消費者用洗浄製品の形態であってよい。
【0012】
組成物はまた、堅木、タイル、セラミック、プラスチック、皮、金属、ガラスのような様々な表面を洗浄するための、洗濯洗浄組成物、食器洗浄用洗浄組成物、カーケア組成物、に利用してもよい。本洗浄組成物はまた、シャンプー組成物、ボディーソープ、液体または固体石鹸、および他の洗浄組成物のようなパーソナルケア組成物に用いるように設計されてもよい。
【0013】
陰イオン修飾カテコール
本組成物は、陰イオン修飾カテコールを含む。本明細書で使用する時、陰イオン修飾カテコールは、ベンゼン環に1または2つの陰イオン置換を有する1,2−ベンゼンジオールを意味する。陰イオン置換は、スルホン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、フッ化物およびこれらの混合物から選択することができる。ベンゼン環にナトリウム陽イオンを有する2つの硫酸部分を有する陰イオン修飾カテコールの一実施形態を、式(I)に示す。
【化1】

【0014】
示された1,2−ジヒドロキシベンゼン−3,5−ジ−(スルホン酸ナトリウム)は、米国特許第3,771,379号の実施例1に従って調製することができる。1,2−ベンゼンジオール(「カテコール」)は、濃硫酸/発煙硫酸でジスルホン化され、続いて50%水酸化ナトリウムで中和され、生成物が単離される。
【0015】
陰イオン修飾カテコールは、組成物中に、組成物の約0.01重量%〜約10重量%存在する。一部の実施形態では、陰イオン修飾カテコールは、組成物の約0.1重量%〜約6重量%存在する。
【0016】
ある実施形態では、陰イオン修飾カテコールは、実質的にカテコール(1,2−ベンゼンジオール)を含まない。理論に束縛されるものではないが、カテコールは、存在する場合、皮膚の炎症を引き起こす可能性がある。本明細書で使用する時、「実質的に含まない」とは、陰イオン修飾カテコールの約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%〜0重量%のカテコールが存在することを意味する。
【0017】
汚れ懸濁ポリマー類
組成物は、組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.01重量%〜約4重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約6重量%、最も好ましくは約0.2重量%〜約4重量%の、ポリエステル類、ポリカルボキシレート類、糖系物質類、修飾ポリエチレンイミン類、修飾ヘキサメチレンジアミン、分岐ポリアミノアミン類、修飾ポリアミノアミド、疎水性ポリアミンエトキシレートポリマー類、ポリアミノ酸類、ポリビニルピリジンN−オキシド、N−ビニルイミダゾールN−ビニルピロリドンコポリマー類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルイミダゾールおよびこれらの混合物から選択される、汚れ懸濁ポリマーを含んでもよい。好適なポリマー類はまた、一般に、標準使用温度において0.3%を超える水溶性を有してもよい。
【0018】
ポリエステル類
ポリエステルポリマーの中でも特に、ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコールポリマー類のようなテレフタル酸および他の芳香族ジカルボン酸のポリエステル類は、本組成物の汚れ懸濁ポリマーとして利用することができる。
【0019】
ランダムまたはブロックエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール(PEG)テレフタレート単位を含有する高分子量(例えば、分子量40,000〜50,000)ポリエステル類は、洗濯洗浄組成物における汚れ放出化合物として用いられてきた。米国特許第3,962,152号、同第3,959,230号、同第3,959,230号および同第3,893,929号を参照のこと。スルホン化直鎖テレフタレートエステルオリゴマー類が米国特許第4,968,451号で論じられている。非イオン性末端封鎖1,2−プロピレン/ポリオキシエチレンテレフタレートポリエステル類は、米国特許4,711,730号で、非イオン性封鎖ブロックポリエステルオリゴマー化合物類は、米国特許第4,702,857号で論じられている。部分的におよび完全に末端封鎖された陰イオン性オリゴマーエステル類は、さらに米国特許第4,721,580号で論じられ、陰イオン、特にスルホアロイル末端封鎖テレフタレートエステル類は、米国特許第4,877,896号および同第5,415,807号で論じられている。
【0020】
米国特許第4,427,557号は、ポリエステル繊維類に汚れ放出特性を付与するために水性分散液に用いることのできる低分子量コポリエステル類(分子量2,000〜10,000)を開示している。コポリエステル類は、エチレングリコール、平均分子量200〜1000のPEG、芳香族ジカルボン酸(例えばジメチルテレフタレート)、およびスルホン化芳香族ジカルボン酸(例えば、ジメチル5−スルフォイソフタレート)の反応により形成される。PEGは、メチル、エチル、およびブチルエーテル類のようなPEGのモノアルキルエーテル類と部分的に置換することができる。
【0021】
ポリエステル類は、(1)エチレングリコール、1,2−プロピレングリコールまたはこれらの混合物、(2)末端部の1つがC〜Cアルキル基で封鎖されたポリエチレングリコール(PEG)、(3)ジカルボン酸(またはそのジエステル)、および所望により(4)スルホン化芳香族ジカルボン酸(またはそのジエステル)のアルカリ金属塩、または分岐ポリエステル類が所望されている場合はポリカルボン酸(またはそのエステル)から形成される。ブロックポリエステルポリマー類はさらに、米国特許第4,702,857号で論じられている。ドイツのBASF社から入手可能な、ソカラン(SOKALAN)(登録商標)HP−22のような、ソカラン(SOKALAN)(登録商標)の商品名で市販されている、ポリアルキレンオキシド主鎖でグラフト化された、ポリ(ビニルエステル)のグラフトコポリマー類、例えばC〜Cビニルエステル類、好ましくはポリ(ビニルアセテート)を含むポリ(ビニルエステル)疎水性物質セグメントもまた利用できる。
【0022】
米国特許第4,201,824号には、洗浄組成物において有用な、汚れ放出および静電気防止特性を有する親水性ポリウレタン類が開示されている。これらのポリウレタン類は、基剤ポリエステルとイソシアネートプレポリマー(ジイソシアネートとマクロジオールの反応生成物)の反応生成物から形成される。
【0023】
欧州特許第0752468号には、ポリ(エチレングリコール)および/または末端封鎖ポリ(エチレングリコール)のモノマー単位、並びに1以上の芳香族ジカルボン酸のモノマー単位を含む、洗濯洗浄組成物に導入される場合に汚れ放出特性をもたらす水溶性コポリマーが開示されており、該コポリマーはポリ(エチレングリコール)および/または末端封鎖ポリ(エチレングリコール)のモノマー単位、芳香族が任意にスルホン化された1以上の芳香族ジカルボン酸のモノマー単位、および少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリオール由来のモノマー単位を含むことを特徴とする。
【0024】
ポリカルボキシレート類
本発明の組成物は、ポリカルボキシレートポリマーまたはカルボン酸モノマーを含むコポリマーを含んでもよい。水溶性カルボン酸ポリマーは、カルボン酸モノマーを重合する、または不飽和親水性モノマーおよび親水性オキシアルキル化モノマーのような、2つのモノマーを共重合することにより調製することができる。不飽和親水性モノマー類の例としては、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メタクリル酸、メタクリル酸エステル類および置換メタクリル酸エステル類、酢酸ビニル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、クロトン酸、イタコン酸、ビニル酢酸およびビニルスルホン酸が挙げられる。親水性モノマーはさらに、エチレンまたはプロピレンオキシドのようなオキシアルキル化モノマー類と共重合してもよい。オキシアルキル化モノマー類の調製は、米国特許第5,162,475号および同第4,622,378号に開示されている。親水性オキシアルカリ化モノマーは、好ましくは、水中に約500g/L、より好ましくは約700g/Lの溶解度を有する。不飽和親水性モノマーはさらに、ポリ(アルケングリコール)ブロックのような疎水性物質でグラフト化されてもよい。例えば、米国特許5,536,440号、同第5,147,576号、同第5,073,285号および国際特許公開第03/054044号で論じられている物質を参照のこと。
【0025】
他の好適な重合ポリカルボキシレート類としては、例えば、米国特許第5,574,004号に開示されているポリマー類が挙げられる。このようなポリマー類としては、アクリル酸、メタクリル酸のようなα、β−エチレン性不飽和酸モノマーのホモポリマー類および/またはコポリマー類(2以上のモノマーから成る)、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、メソコニン酸(mesoconic acid)、シトラコン酸等のような二塩基酸、並びに例えば1〜8個の炭素原子を有するアルカノールを備えた二塩基酸のモノエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
重合ポリカルボキシレートがコポリマーである場合、それは、1を超える、例えばアクリル酸およびマレイン酸のような前述の不飽和酸モノマー類のコポリマー、または少なくとも1つのこのような不飽和酸モノマー類と、少なくとも1つの非カルボン酸α、β−エチレン性不飽和モノマーのコポリマーであってよく、該非カルボン酸α、β−エチレン性不飽和モノマーは、スチレンのような比較的無極性なモノマー、またはエチレン、プロピレン、若しくはブテン−1のようなオレフィンモノマーのいずれかであってよく、或いは酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、アクリル酸アルキル、ビニルピリジン、ビニルピロリドンまたは、アクリルアミド若しくはメタクリルアミドのような描写された(delineated)不飽和酸モノマー類のうちの1つのアミドのような極性官能基を有する。
【0027】
少なくとも1つの不飽和カルボン酸モノマーと少なくとも1つの非カルボン酸コモノマーのコポリマー類は、少なくとも約50mol%の重合カルボン酸モノマーを含有するべきである。重合ポリカルボキシレートの数平均分子量は、例えば、約1000〜10,000、好ましくは約2000〜5000であるべきである。十分な水溶性を保証するために、重合ポリカルボキシレートは、例えばアルカリ金属イオン類、好ましくはナトリウムイオンで完全にまたは部分的に中和されている。
【0028】
糖系物質
本組成物は、糖系物質由来の汚れ懸濁ポリマーを含んでもよい。糖系物質類は、天然または合成であってよく、また誘導体類および修飾された糖類を含む。好適な糖系物質類としては、セルロース、ガム類、アラビナン類、ガラクタン類、シード類、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
糖誘導体類としては、アミン類、アミド類、アミノ酸類、エステル類、エーテル類、ウレタン類、アルコール類、カルボン酸類、シリコーン類、スルホン酸塩類、硫酸塩類、硝酸塩類、リン酸塩類、およびこれらの混合物で修飾された糖類を含んでもよい。
【0030】
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロース(米国特許第4,235,735号を参照のこと)、スルホエチルセルロース、シアノエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースのような、修飾されたセルロース類およびセルロース誘導体類は、本組成物における使用に好適である。幾つかの修飾セルロース類は、英国特許第1534641号、米国特許第6,579,840号、国際特許公開第03/040279号および同第03/01268号で論じられている。
【0031】
本発明における使用に好適な汚れ懸濁ポリマーの別の例としては、少なくとも3つのヒドロキシ部分、好ましくは3を超えるヒドロキシ部分、最も好ましくは6以上のヒドロキシ部分を含むポリオール化合物類である糖系誘導体類が挙げられる。ヒドロキシ部分の少なくとも1つはさらに、アルコキシ部分を含み、該アルコキシ部分は、エトキシ(EO)、プロポキシ(PO)、ブトキシ(BO)およびこれらの混合物、好ましくはエトキシおよびプロポキシ部分、より好ましくはエトキシ部分から成る群から選択される。平均アルコキシル化度は、約1〜約100、好ましくは約4〜約60、より好ましくは約10〜約40である。アルコキシル化は、好ましくはブロックアルコキシル化である。
【0032】
本発明に有用なポリオール化合物類はさらに、少なくとも1つの陰イオン性末端封鎖単位を含む、少なくとも1つのアルコキシ部分を有する。該化合物をさらに修飾してもよいが、1つの陰イオン性末端封鎖単位が本発明の化合物中に存在しなければならない。ある実施形態は、陰イオン性末端封鎖単位を有するアルコキシ部分をさらに含む、1を超えるヒドロキシ部分を含む。例えば次式に示されるようなものである。
【化2】

式中、アニオン性末端封鎖ポリオール化合物のxは、約1〜約100、好ましくは約10〜約40である。EOは、エトキシ部分(−CHCH−)を表す。ナトリウム対イオンが示されているが、実施形態はナトリウム対イオンに限定されない。
【0033】
好適な陰イオン性末端封鎖単位としては、硫酸塩、スルホコハク酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、スルホカルボン酸塩、スルホジカルボン酸塩、プロパンスルトン、1,2−ジスルホプロパノール、スルホプロピルアミン、スルホン酸塩、モノカルボキシレート、メチレンカルボキシレート、エチレンカルボキシレート、炭酸塩、メリト、ピロメリト、スルホフェノール、スルホカテコール、ジスルホカテコール、酒石酸塩、クエン酸塩、アクリレート、メタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリレート−マレアートコポリマー、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、陰イオン性末端封鎖単位は、硫酸塩、スルホコハク酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、メチレンカルボキシレート、およびエチレンカルボキシレートである。
【0034】
本発明において使用する出発物質として好適なポリオール化合物類としては、マルチトール、スクロース、キシリトール、グリセロール、ペンタエリスリトール(pentaerythitol)、グルコース、マルトース、マルトトリオース(matotriose)、マルトデキストリン、マルトペントース、マルトヘキソース、イソマルツロース、ソルビトール、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリビニルアセテート、キシラン、還元マルトトリオース、還元マルトデキストリン類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセロール、ジグリセロールエーテル、およびこれらの混合物が挙げられる。ポリオール化合物は、ソルビトール、マルチトール、スクロース、キシラン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物であることが好ましい。出発物質は、ソルビトール、マルチトール、スクロース、キシランおよびこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0035】
ポリオール化合物の修飾は、所望の形成能および性能要件に依る。修飾としては、陰イオン性、陽イオン性、または双性イオン性電荷の、ポリオール化合物類への組み込みを挙げることができる。ある実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ部分はアルコキシ部分を含み、該少なくとも1つのアルコキシ部分はさらに、少なくとも1つの陰イオン性末端封鎖単位を含む。別の実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ部分はアルコキシ部分を含み、前記アルコキシ部分はさらに1を超える陰イオン性末端封鎖単位を含み、前記少なくとも1つの陰イオン性末端封鎖単位は、全ての陰イオン性末端封鎖単位より少ないが、次いでアミン末端封鎖単位によって選択的に置換される。アミン末端封鎖単位は、末端封鎖単位含有一級アミン、末端封鎖単位含有二級アミン、末端封鎖単位含有三級アミン、およびこれらの混合物から選択される。
【0036】
本発明において有用なポリオール化合物はさらに、少なくとも1つのアミン末端封鎖単位を含む少なくとも1つのアルコキシ部分を有する。前記化合物をさらに修飾してもよいが、1つのアミン末端封鎖単位が本発明の化合物中に存在しなければならない。ある実施形態は、アミン末端封鎖単位を有するアルコキシ部分をさらに含む、1を超えるヒドロキシ部分を含む。別の実施形態では、アミン末端封鎖単位の少なくとも1つの窒素が四級化される。本明細書で使用する時、「四級化された」とは、アミン末端封鎖単位にアミン末端封鎖単位の四級化またはプロトン化を通して正電荷が与えられることを意味する。例えば、ビス−DMAPAは3つの窒素を含有し、それら窒素の1つだけを四級化すればよい。しかし、任意の所与のアミン末端封鎖単位上の全ての窒素が四級化されるのが好ましい。
【0037】
末端封鎖単位含有一級アミンに好適な一級アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、およびこれらの混合物が挙げられる。末端封鎖単位含有二級アミンに好適な二級アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、およびこれらの混合物が挙げられる。末端封鎖単位含有三級アミンに好適な三級アミン類としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
本発明において用いるのに好適なモノアミン類、ジアミン類、トリアミン類またはポリアミン類としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ビスジメチルアミノプロピルアミン(ビスDMAPA)、ヘキセメチレンジアミン、ベンジルアミン、イソキノリン、エチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、タロートリエチレンジアミン、単一置換モノアミン、単一置換ジアミン、単一置換ポリアミン、二置換モノアミン、二置換ジアミン、二置換ポリアミン、三置換トリアミン、三置換ポリアミン、3つを超える置換基を含む多置換ポリアミン(但し、少なくとも1つの窒素は水素を含有する)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
別の実施形態では、アミン末端封鎖単位の少なくとも1つの窒素が四級化される。本明細書で使用する時、「四級化された」とは、アミン末端封鎖単位にアミン末端封鎖単位の四級化またはプロトン化を通して正電荷が与えられることを意味する。例えば、ビス−DMAPAは3つの窒素を含有し、それら窒素の1つだけを四級化すればよい。しかし、任意の所与のアミン末端封鎖単位上の全ての窒素が四級化されるのが好ましい。
【0040】
修飾ポリエチレンイミンポリマー
本組成物は、修飾ポリエチレンイミンポリマーを含んでもよい。修飾ポリエチレンイミンポリマーは、重量平均分子量が約300〜約10000、好ましくは重量平均分子量が約400〜約7500、好ましくは重量平均分子量が約500〜約1900、および好ましくは重量平均分子量が約3000〜6000である分子量を有するポリエチレンイミン主鎖を有する。
【0041】
ポリエチレンイミン主鎖の修飾としては、(1)内部窒素原子または末端窒素原子で修飾が生じているかどうかに依る、ポリエチレンイミン主鎖中の窒素原子あたり1または2つのアルコキシル化修飾であって、前記アルコキシル化修飾が、1つの修飾あたり平均約1〜約40個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換から成り、前記アルコキシル化修飾の末端アルコキシ部分が水素、C〜Cアルキル、硫酸塩、炭酸塩またはこれらの混合物で末端封鎖されるアルコキシル化修飾、(2)内部窒素原子または末端窒素原子で修飾が生じているかどうかに依る、ポリエチレンイミン主鎖中の窒素原子あたり1つのC〜Cアルキル部分の置換および1または2つのアルコキシル化修飾であって、前記アルコキシル化修飾が、修飾あたり平均約1〜約40個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換から成り、前記末端アルコキシ部分が、水素、C〜Cアルキルまたはこれらの混合物で末端封鎖される置換および修飾、または(3)これらの組合せが挙げられる。
【0042】
例えば、これらに限定されないが、ポリエチレンイミン主鎖の末端窒素原子への可能な修飾を以下に示す。(Rはエチレンスペーサを表し、EはC〜Cアルキル部分を表し、Xは好適な水溶性対イオンを表す。)
【化3】

【0043】
また、例えば、これらに限定されないが、ポリエチレンイミン主鎖の内部窒素原子への可能な修飾を以下に示す。(Rはエチレンスペーサを表し、EはC〜Cアルキル部分を表し、X−は好適な水溶性対イオンを表す。)
【化4】

【0044】
ポリエチレンイミン主鎖のアルコキシル化修飾は、平均約1〜約40個のアルコキシ部分、好ましくは約5〜約20個のアルコキシ部分を有するポリアルコキシレン鎖による水素原子の置換から成る。アルコキシ部分は、エトキシ(EO)、1,2−プロポキシ(1,2−PO)、1,3−プロポキシ(1,3−PO)、ブトキシ(BO)、およびこれらの組合せから選択される。好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、エトキシ部分およびエトキシ/プロポキシブロック部分から選択される。より好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、平均約5〜約15程度のエトキシ部分であり、ポリアルコキシレン鎖は、約5〜約15の平均エトキシル化度および約1〜約16の平均プロポキシル化度を有するエトキシ/プロポキシブロック部分である。最も好ましくは、ポリアルコキシレン鎖は、プロポキシ部分ブロックが末端アルコキシ部分ブロックである、エトキシ/プロポキシブロック部分である。
【0045】
修飾は、ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の永続的な四級化を生じる場合がある。永続的な四級化の程度は、ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の0%〜約30%であってよい。ポリエチレンイミン主鎖窒素原子の30%未満が、永続的に四級化されことが好ましい。修飾ポリエチレンイミンポリマー類はまた、米国特許第5,565,145号に記載されている。
【0046】
修飾ヘキサメチレンジアミン
本組成物は、修飾ヘキサメチレンジアミン(hexamentylenediamine)を含んでもよい。ヘキサメチレンジアミン(hexamentylenediamine)の修飾としては、(1)ヘキサメチレンジアミン(hexamentylenediamine)の窒素原子あたり1または2つのアルコキシル化修飾を含む。修飾あたり平均約1〜約40のアルコキシ部分を有する(ポリ)アルコキシレン鎖による、ヘキサメチルジアミン(hexamentylenediameine)の窒素上の水素原子の置換からなるアルコキシル化修飾であって、前記アルコキシレン鎖の末端アルコキシ部分は水素、C〜Cアルキル基、硫酸塩、炭酸塩、またはこれらの混合物で末端封鎖されている。(2)1つのC〜Cアルキル部分とヘキサメチレンジアミン(hexamentylenediamine)の窒素原子あたり1または2つのアルコキシル化修飾の置換。修飾あたり平均約1〜約40のアルコキシ部分を有する(ポリ)アルコキシレン鎖による、水素原子の置換からなるアルコキシル化修飾であって、前記アルコキシレン鎖の末端アルコキシ部分は水素、C〜Cアルキル基またはこれらの混合物で末端封鎖されている。または(3)これらの組合せが挙げられる。アルコキシル化は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはこれらの混合物の形態であってもよい。米国特許第4,597,898号(バンダミーア(Vander Meer)、1986年7月1日発行)。
【0047】
好ましい修飾ヘキサメチレンジアミンは以下の一般構造を有する。
【化5】

式中、xは約20〜約30であり、かつ(ポリ)アルコキシレン鎖末端アルコキシ部分の約40%はスルホン化されている。
【0048】
好ましい修飾ヘキサメチレンジアミンは以下の一般構造を有する。
【化6】

【0049】
BASFから商品名ルーテンシト(LUTENSIT)(登録商標)として入手可能、および国際特許公開第01/05874号に記載されているようなもの。
【0050】
分岐ポリアミノアミン類
汚れ懸濁ポリマーの実施形態は、以下の構造式に例示される。
【化7】

式中、ポリアミノアミンのxは1〜12、より好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、およびさらにより好ましくは1〜4であってよく、ポリアミノアミンのRおよびRは存在しなくてもよく(Nが中性の場合において)、および/または独立してH、脂肪族C〜C、アルキレンC〜C、アリーレン、若しくはアルキルアリーレンの群から選択されてもよく、ポリアミノアミンのR、R、R、およびRは独立にH、OH、脂肪族C〜C、アルキレンC〜C、アリーレン、またはアルキルアリーレンの群から選択され、好ましくはC〜Cポリオキシアルキレンの少なくとも1以上のブロック、および直鎖または分岐アルキレン(C〜C20)の単一および/または繰り返しブロック単位、直鎖または分岐オキシアルキレン(C〜C)およびこれらの混合物である。ポリアミノアミンのA、A、A、A、A、およびAは、水素、ヒドロキシ、硫酸、スルホン酸、カルボン酸、リン酸およびこれらの混合物から独立に選択される末端封鎖基である。R、R、R、またはRがN(CHCHである場合、むしろそれは分岐によるこの構造の連続性を表す。米国特許第4,597,898号、同第4,891,160号、同第5,565,145号および同第6,075,000号も参照のこと。アルコシキル化度の平均はまた、7を超える、好ましくは約7〜約40であってよい。
【0051】
修飾ポリアミノアミド
米国特許公開第2005/0209125号で論じられているもののような修飾ポリアミノアミド類を、汚れ懸濁ポリマーとして利用してもよい。好適な修飾ポリアミノアミド類は、アルコキシル化度に依って、1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは2,000〜50,000の数平均分子量(M)を有する。
【0052】
修飾ポリアミノアミドのある実施形態は、次式を有する。
【化8】

式中、ポリアミノアミドのxは10から200、好ましくは約15から約150、最も好ましくは約21から約100であり、ポリアミノアミドの数平均xは、最も好ましくは15〜70、特に21〜50の範囲であり、ポリアミノアミドのEOは、エトキシ部分を表す。
【0053】
別の好ましい実施形態において、洗剤組成物は修飾ポリアミノアミドを含み、ここで、ジカルボン酸、ポリアルキレンポリアミン類の比は、4:5および35:36であり、ポリアルキレンポリアミンは上記の式(a)、(b1)および(b2)のように四級化される。
【0054】
疎水性ポリアミンエトキシレートポリマー類
本組成物のための汚れ懸濁ポリマーは、以下の一般式を含むことを特徴とする疎水性ポリアミンエトキシレートポリマー類を含んでもよい。
【化9】

【0055】
疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのRは、直鎖または分岐C〜C22アルキル基直鎖または分岐C〜Cアルコキシル基、直鎖または分岐C〜C22アシル基、およびこれらの組合せであり、Rが分岐状であるものから選択された場合、分岐は1〜4個の炭素原子を含んでもよく、好ましくは疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのRは直鎖C12〜C18アルキル基である。前記アルキル、アルコキシル、およびアシルは、飽和型または不飽和型であってよいが、好ましくは飽和型である。疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのn指数は、約2〜約9、好ましくは約2〜約5、最も好ましくは3である。
【0056】
疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのQは、独立に電子対、水素、メチル基、エチル基およびこれらの組合せから選択される。配合者が、疎水性ポリアミンエトキシレートの中性主鎖を所望する場合、疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのQは、電子対または水素となるように選択されるべきである。配合者が、疎水性ポリアミンエトキシレートの四級化された主鎖を所望する場合、少なくとも疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのQは、メチル、エチルから選択されるべきであり、好ましくはメチルである。
【0057】
疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーのm指数は、2〜6、好ましくは3である。疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーの指数xは、非四級化窒素を含有するポリマーでは、平均約1〜約70のエトキシ単位、好ましくは平均約20〜約70、好ましくは約30〜約50となるように独立に選択され、四級化窒素を含有するポリマーでは好ましくは約1〜約10となるように選択される。
【0058】
疎水性ポリアミンエトキシレートのエトキシ単位は、陰イオン性末端封鎖単位をいずれかまたは全てのエトキシ単位に独立して加えることにより、さらに修飾されてもよい。好適な陰イオン性末端封鎖単位としては、硫酸塩、スルホコハク酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、フタル酸塩、スルホカルボン酸塩、スルホジカルボン酸塩、プロパンスルトン、1,2−ジスルホプロパノール、スルホプロピルアミン、スルホン酸塩、モノカルボキシレート、メチレンカルボキシレート、炭酸塩、メリト(mellitic)、ピロメリト(pyromellitic)、クエン酸塩、アクリレート、メタクリレート、およびこれらの組合せが挙げられる。陰イオン性末端封鎖単位は硫酸塩であることが好ましい。
【0059】
別の実施形態では、疎水性ポリアミンエトキシレートポリマーの窒素には、四級化を通して正電荷が与えられる。本明細書で使用する時、「四級化」とは、疎水性ポリアミンエトキシレートの窒素に正電荷を与えるように、窒素を四級化またはプロトン化することを意味する。
【0060】
ポリアミノ酸類
汚れ懸濁ポリマー類は、L−グルタミン酸(L-glumatic acid)、D−グルタミン酸(D-glumatic acid)または、これらのLおよびD異性体の混合物、例えばラセミ化合物由来であってよい。ポリマー類は、グルタミン酸のホモポリマー類だけでなく、ブロック、グラフトまたはランダムコポリマー類のような、グルタミン酸を含有するコポリマー類も含む。これらとしては、例えば、アスパラギン酸のような少なくとも1つの他のアミノ酸、エチレングリコール、エチレンオキシド(またはこれらのいずれかのオリゴマーまたはポリマー)、またはポリビニルアルコールを含有するコポリマー類が挙げられる。グルタミン酸は、もちろん、例えば、一般に基あたり18個以下の炭素原子を備える、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基およびアリールアルキル基を含む1以上の置換基、またはエステル結合により結合したポリエチレングリコールを保有することができる。1995年11月28日発行の米国特許第5,470,510号を参照のこと。
【0061】
ポリアミンN−オキシドポリマー類
本明細書に用いるのに好適なポリアミンN−オキシドポリマー類は、N−オキシド基が結合できる、またはN−オキシド基が重合可能な単位の一部を形成する、または両方の組み合わせである、重合可能な単位を含有する。N−オキシド基が重合可能な単位の一部を形成する、好適なポリアミンN−オキシド類は、N−オキシド基がピリジン、ピロール、イミダゾール、プロリジン、ピペリジン、キノリン、アクリジンおよびこれらの誘導体類のような複素環式基の一部を含むポリアミンN−オキシド類を含む。前記ポリアミンN−オキシド類の別の部類は、N−オキシド基が重合可能な単位に結合しているポリアミンN−オキシド類の群を含む。これらのポリアミンN−オキシド類の好ましい部類は、ポリアミンN−オキシド類である。
【0062】
形成されるアミンオキシドポリマーが転染抑制特性を有する限り、いかなるポリマー主鎖も使用できる。好適なポリマー主鎖の例は、ポリビニル類、ポリアルキレン類、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリアミド、ポリイミド類、ポリアクリレート類およびこれらの混合物である。本発明のアミンN−オキシドポリマー類は通常、アミンのアミンN−オキシドに対する比が約10:1〜1:1000000である。しかし、ポリアミンオキシドポリマー中に存在するアミンオキシド基の量は、適切な共重合によってまたは適切なN−酸化度によって変動し得る。好ましくは、アミンのアミンN−オキシドに対する比が、約2:3〜約1:1000000、約1:4〜約1:1000000、および約1:7〜約1:1000000である。汚れ懸濁ポリマー類は、あるモノマーの種類がアミンN−オキシドであり、他のモノマーの種類がアミンN−オキシドまたはそれ以外のいずれかである、ランダムまたはブロックコポリマー類を包含する。ポリアミンN−オキシド類のアミンオキシド単位のpKaは、10未満、7未満、および6未満である。ポリアミンオキシド類は、ほとんど全ての重合度で得ることができる。物質が、望ましい汚れ懸濁力を有していれば、重合度は重要ではない。通常、平均分子量は、約500〜約1000,000、約1,000〜約50,000、約2,000〜約30,000、および約3,000〜約20,000の範囲内である。
【0063】
N−ビニルイミダゾールN−ビニルピロリドンコポリマー類
洗浄組成物中に用いるための好適な汚れ懸濁ポリマー類は、N−ビニルイミダゾールのN−ビニルピロリドンに対するモル比が、約1〜約0.2、約0.8〜約0.3および約0.6〜約0.4であり、ポリマーの平均分子量が約5,000〜約50,000、約8,000〜約30,000、および約10,000〜約20,000である、N−ビニルイミダゾールN−ビニルピロリドンコポリマー類から選択される。この平均分子量の範囲は、H.G.バース(Barth)およびJ.W.メイズ(Mays)著、化学分析(Chemical Analysis)第113巻「近代的高分子特性解析法(Modern Methods of Polymer Characterization)」に記載されている光散乱によって算出したものである。
【0064】
ポリビニルピロリドン
約2,500〜約400,000、約5,000〜約200,000、約5,000〜約50,000、および約5,000〜約15,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(「PVP」)から選択されるポリマーを含む、本明細書に用いるための別の好適な汚れ懸濁ポリマーもまた利用され得る。好適なポリビニルピロリドン類は、ニューヨーク州ニューヨークおよびカナダ、モントリオールのISP社(ISP Corporation)から、PVPK−15(平均分子量10,000)、PVPK−30(平均分子量40,000)、PVPK−60(平均分子量160,000)およびPVPK−90(平均分子量360,000)の製品名で市販されている。BASF社(BASF Cooperation)から市販されている他の好適なポリビニルピロリドン類としては、ソカラン(Sokalan)(登録商標)HP165およびソカラン(Sokalan)(登録商標)HP12が挙げられ、洗剤分野の当業者に既知のポリビニルピロリドン類は欧州特許出願262,897号、および同第256,696号を参照のこと。
【0065】
ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾール
本明細書で用いるための他の好適な汚れ懸濁ポリマー類は、約2,500〜約400,000の平均分子量を有するポリビニルオキサゾリドンおよび約2,500〜約400,000の平均分子量を有するポリビニルイミダゾールを含む。
【0066】
界面活性剤
本発明の洗浄組成物は、所望により、洗浄組成物の約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の、1以上の界面活性剤を有する界面活性剤系をさらに含んでもよい。
【0067】
本発明に使用できる界面活性剤系は、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性界面活性剤、両性、双性、半極性の非イオン性界面活性剤から選択される1以上の界面活性剤、アルキルアルコール類のような他の補助剤またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0068】
陰イオン性界面活性剤
本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C〜C18アルキルベンゼンスルホン酸塩類(LAS)、C10〜C20一級、分岐鎖およびランダムアルキル硫酸塩類(AS)、C10〜C18二級(2,3)アルキル硫酸塩類、C10〜C18アルキルアルコキシ硫酸塩類(AES)(式中、xは好ましくは1〜30である)、好ましくは1〜5個のエトキシ単位を含むC10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート類、米国特許第6,020,303号および同第6,060,443号で論じられたような中鎖分岐アルキル硫酸塩類、米国特許第6,008,181号および同第6,020,303号で論じられたような中鎖分岐アルキルアルコキシ硫酸塩類、国際公開特許第99/05243号、同第99/05242号および同第99/05244号で論じられたような修飾アルキルベンゼンスルホン酸塩(MLAS)、メチルエステルスルホン酸塩(MES)、およびα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)が挙げられる。
【0069】
非イオン性補助界面活性剤
非イオン性補助界面活性剤の非限定的な例としては、シェル(Shell)製ネオドール(NEODOL)(登録商標)、並びにBASF製ルーテンソル(LUTENSOL)(登録商標)XLおよびルーテンソル(登録商標)XPのようなC12〜C18アルキルエトキシレート類、C〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類(ここで、アルコキシラート単位はエトキシおよびプロポキシ単位の混合物である)、BASF製プルロニック(PLURONIC)(登録商標)のようなエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックアルキルポリアミンエトキシレートを有するC12〜C18アルコールとC〜C12アルキルフェノールの縮合体、米国特許第6,150,322号で論じられたような、C14〜C22中鎖分岐アルコール類、BA、米国特許第6,153,577号、同第6,020,303号および同第6,093,856号で論じられたようなC14〜C22中鎖分岐アルキルアルコキシラート類、BAE(式中、xは1〜30である)、米国特許第4,565,647号(レナード(Llenado)、1986年1月26日発行)で論じられたようなアルキル多糖類、具体的には米国特許第4,483,780号および同第4,483,779号で論じられたようなアルキルポリグリコシド類、並びに米国特許第6,482,994号および国際特許公開第01/42408号で論じられたようなエーテル末端封鎖ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0070】
半極性非イオン性補助界面活性剤の非限定的な例としては、約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分、並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分およびヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される2つの部分を含有する水溶性アミンオキシド類、約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分、並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分およびヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される2つの部分を含有する水溶性ホスフィンオキシド類、約10〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分、並びに約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル部分およびヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される部分を含有する水溶性スルホキシド類が挙げられる。国際特許公開第01/32816号、米国特許第4,681,704号および同第4,133,779号を参照のこと。
【0071】
ビルダー
本発明の洗浄組成物は、所望により1以上の洗剤ビルダーまたはビルダー系を含む。存在する場合、組成物は通常、少なくとも約1重量%〜約80重量%、約5重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%の洗剤ビルダーを含む。
【0072】
ビルダーとしては、ポリホスフェートのアルカリ金属、アンモニウムおよびアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属シリケート類、アルカリ土類およびアルカリ金属の炭酸塩、アルミノシリケートビルダーポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート類、エチレンまたはビニルメチルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー類、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸およびカルボキシメチルオキシコハク酸、種々のアルカリ金属、エチレンジアミン四酢酸およびニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸のアンモニウムおよび置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸およびその可溶性塩のようなポリカルボキシレート類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書の洗浄組成物はまた、所望により有機洗剤ビルダー材料を含有してもよい。例としては、アルカリ金属、クエン酸塩類、コハク酸塩類、マロン酸塩類、カルボキシメチルコハク酸塩類、カルボン酸塩類、ポリカルボン酸塩類、およびポリアセチルカルボン酸塩類が挙げられる。具体的な例としては、オキシジコハク酸、メリト酸、ベンゼンポリカルボン酸、C10〜C22脂肪酸およびクエン酸のナトリウム、カリウム、およびリチウム塩が挙げられる。他の例は、モンサント(Monsanto)から販売されているデクエスト(DEQUEST)(登録商標)有機ホスホネート種の金属イオン封鎖剤およびアルカンヒドロキシホスホネート類である。クエン酸塩およびC12〜C18脂肪酸石鹸が、極めて好ましい。
【0074】
他の有機ビルダーとしては、ビルダーの特性を有することが既知であるより高分子量のポリマーおよびコポリマーが挙げられる。例えば、こうした材料としては、BASFからソカラン(SOKALAN)(登録商標)として販売されているもののような、適切なポリアクリル酸、ポリマレイン酸、およびポリアクリル/ポリマレイン酸コポリマー類、およびそれらの塩類、イオン性および/または疎水性物質のいずれかを有するポリアクリル酸のコポリマー類が挙げられる。こうしたポリマー材料の選択に配慮して、所望の%Tを有する液体洗浄組成物に配合しなければならないことに、留意することが重要である。これは、こうした材料の適切な分子最適化、これらの材料が清澄かつ透明な配合を形成するのに必要な配合許容度の最適化および定義、並びに/または清澄かつ透明な液体洗浄組成物に配合するための適切な濃度におけるこうした材料の添加によって達成されてもよい。
【0075】
組成物は、利用される場合、組成物の30重量%以下、0重量%〜約20重量%、約0.01重量%〜約10重量%の有機ビルダー材料を含んでいてもよい。
【0076】
洗浄組成物の使用に応じて、STPPのようなリン酸化ビルダーもまた利用することができる。利用する場合、組成物は、組成物の約50重量%以下、0重量%〜約30重量%、約0.01重量%〜約25重量%のリン酸化ビルダーを含んでもよい。
【0077】
任意成分
本発明の洗浄組成物には、任意の数のさらなる任意成分が含有されていてよい。これらには液体担体、洗剤ビルダー、酵素、酵素安定剤(プロピレングリコール、ホウ酸および/またはホウ砂のような)、キレート剤、泡抑泡剤、他の布地ケア有益剤、pH調整剤、スメクタイト粘土、構造化剤、転染抑制剤、蛍光増白剤、香料、および着色剤のような、従来の洗濯洗浄組成物成分が挙げられる。これらとしてはまた、液体担体、ガラスケア用亜鉛含有化合物類、リン酸化ビルダー類、泡抑制剤類、酵素類、酵素安定剤(ホウ酸および/またはホウ砂のような)、キレート剤、構造化剤、香料および着色材のような従来の食器洗浄組成物成分が挙げられる。種々の任意の洗浄組成物成分は、本明細書の洗浄組成物中に存在する場合、それらを洗浄組成物または洗濯作業に対して所望の貢献をもたらすため、従来使用されている濃度で利用されるべきである。しばしば、そのような任意の洗浄組成物成分の総量は、組成物の約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約40重量%であってよい。
【0078】
液体担体
本発明による液体洗浄組成物はまた、液体担体を含有する。一般に、本明細書の組成物において使用される液体担体の量は比較的多くなり、洗浄組成物の残部に含まれることが多いが、洗浄組成物の約5重量%〜約85重量%含まれ得る。低濃度のある実施形態では、洗浄組成物の5重量%〜20重量%の液体担体が利用される。
【0079】
最も費用効率の高い種類の水性非界面活性液体担体は、言うまでもなく水自体である。従って、水性非界面活性液体担体成分は一般に、完全でないとしても、大部分が水から成るであろう。さらに、メタノール、エタノールおよび/またはプロパノールのような、C〜C低級アルカノール類、ジオール類、他のポリオール類、エーテル類、モノ−、ジ−およびトリ−エタノールアミン類のようなC〜Cアルカノールアミン類等のような、他の種類の水混和性液体が従来、ヒドロトロープ、共溶媒または安定剤として液体洗浄組成物に添加されてきた。必要に応じて、3V社(3V Co)製ポリアクリレート増粘剤である、ポリゲル(Polygel)DKP(登録商標)のような増粘剤もまた利用できる。使用される場合、相安定剤類/共溶媒類は本明細書の組成物の約0.1重量%〜5.0重量%を構成することができる。
【0080】
酵素
例えば、タンパク質系、炭水化物系、またはトリグリセリド系汚れの除去、および/または布地の復元を含む、多種多様な布地の洗濯の目的のために、本明細書における液体洗濯洗浄組成物に、有効量の酵素を含んでもよい。本明細書で使用する時、「有効量」とは、所望の汚れの除去または布地の復元量を達成するために添加される酵素の量である。
【0081】
好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ類、ペルオキシダーゼ類、プロテアーゼ類、セルラーゼ類、キシラナーゼ類、リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、エステラーゼ類、クチナーゼ類、ペクチナーゼ類、ケラタナーゼ類、レダクターゼ類、オキシダーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、リポキシゲナーゼ類、リグニナーゼ類、プルラナーゼ類、タンナーゼ類、ペントサナーゼ類、マラナーゼ類、β−グルカナーゼ類、アラビノシダーゼ類、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、および既知のアミラーゼ類、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他の種類の酵素も含まれてよい。酵素は、植物、動物、細菌、真菌および酵母のような、任意の好適な起源であってよい。しかしながら、それらの選択は、pH活性および/または安定性の最適条件、熱安定性、活性な洗剤やビルダー等に対する安定性のような幾つかの要因によって決定される。
【0082】
可能な酵素の組合せは、アミラーゼと共に、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼおよび/またはセルラーゼのような従来の洗浄性酵素類の反応混液(cocktail)を含む。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号に、より詳細に記載されている。本明細書で特に好ましい組成物は、約0.05重量%〜約2重量%の洗浄性酵素を含有する。
【0083】
酵素は、組成物1gあたり、通常、約5重量mg以下、より一般的には、0.01mg〜3mgの活性酵素を提供するのに十分な濃度で組み込まれる。換言すると、本明細書における組成物は、通常、約0.001重量%〜約5重量%、好ましくは約0.01重量%〜1重量%の市販酵素製剤を含むであろう。プロテアーゼ酵素類は、通常そのような市販製剤中に、組成物1g当たり0.005〜0.1アンソン単位(AU)の活性を提供するのに十分な濃度で存在する。
【0084】
液体洗剤製剤のために有用な酵素物質、およびそれらのこうした製剤への組み込みについては、米国特許第4,261,868号(ホラ(Hora)ら)、および米国特許第4,507,219号(ヒューズ(Hughes))に開示されている。
【0085】
酵素安定剤
酵素または酵素類が本発明の組成物中に含まれる場合、組成物は、酵素安定剤をも含有することが好ましい。酵素は、カルシウムおよび/またはマグネシウム化合物類、ホウ素化合物類および置換ホウ酸類、芳香族ホウ酸エステル類、ペプチド類およびペプチド誘導体類、ポリオール類、低分子量カルボキシレート類、比較的疎水性の有機化合物類(すなわち、特定のエステル類、ジアルキルグリコールエーテル類、アルコール類、またはアルコールアルコキシラート類)、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボキシレート、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール類およびカルボン酸類、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩類、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマーおよびPEG、リグニン化合物類、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸またはその塩類、ポリヘキサメチレンビグアニドまたはN,N−ビス−3−アミノ−プロピル−ドデシルアミンまたは塩、およびこれらの混合物のような、任意の既知の安定剤系を使用して安定化できる。また、米国特許第3,600,319号(ゲッジ(Gedge)ら、)、欧州特許第0199405号(ベネガス(Venegas)、米国特許第3,519,570号および同第4,537,706号(ホウ酸種)を参照のこと。
【0086】
一般的な洗剤、特に液体は、酵素を安定化させるために、最終組成物1リットル当たり、約1〜約30、好ましくは約2〜約20、より好ましくは約5〜約15、最も好ましくは約8〜約12mmolのカルシウムイオンを含むであろう。これらに限定されないが、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、および対応するマグネシウム塩類を含む、任意の水溶性カルシウムまたはマグネシウム塩が、カルシウムまたはマグネシウムイオン源として使用できる。従って、一般的な提案として、本明細書の組成物は一般に、洗浄組成物の約0.05重量%〜約2重量%のカルシウム若しくはマグネシウムイオン、またはその両方の水溶性源を含むであろう。
【0087】
液体組成物において、第二酵素類のタンパク質分解酵素による分解は、ペプチドまたはタンパク質型のような、プロテアーゼ可逆性阻害物質類、特にVI族の修飾サブチリシン阻害物質およびプラスミノストレピン(plasminostrepin)、ロイペプチン、ペプチドトリフルオロメチルケトン類、ペプチドアルデヒド類により回避できる。
【0088】
キレート剤類
本明細書で有用なキレート剤は、金属イオンと結合することによる、水浴中の重金属の混入または水の硬度(例えば、カルシウムおよびマグネシウムイオン)の有害反応を制御できる、任意の好適な量または形態である全ての化合物から選択される。多座配位子はいずれもキレート化剤として好適である。例えば、好適なキレート化剤としては、カルボン酸塩類、リン酸塩類、ホスホン酸塩類、多官能性置換芳香族化合物類、ポリアミン類、生分解性化合物類、これらのキレート化剤のアルカリ金属、アンモニウムまたは置換アンモニウム塩類、または錯体類、およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限らない。好適なキレート化剤および使用濃度のさらなる例は、米国特許第3,812,044号、同第4,704,233号、同第5,292,446号、同第5,445,747号、同第5,531,915号、同第5,545,352号、同第5,576,282号、同第5,641,739号、同第5,703,031号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,710,115号、同第5,712,242号、同第5,721,205号、同第5,728,671号、同第5,747,440号、同第5,780,419号、同第5,879,409号、同第5,929,010号、同第5,929,018号、同第5,958,866号、同第5,965,514号、同第5,972,038号、同第6,172,021号、および同第6,503,876号に記載されている。
【0089】
キレート剤は、存在する場合、組成物の約0.1重量%〜約5重量%、0.25重量%〜3重量%含んでもよい。
【0090】
方法
本発明は、表面または布地を洗浄するための方法を含む。このような方法は、本発明の組成物を、無希釈または洗浄溶液で希釈して、表面または布地の少なくとも一部分に接触させ、次いで、所望により、表面または布地をすすぐ工程を含む。好ましくは、表面または布地には、前述した任意のすすぎ工程に先立ち、洗浄工程が実施される。本発明の目的上、洗浄は、擦ることおよび機械的攪拌を含むが、これらに限定されない。
【0091】
当業者には理解されるように、本発明の洗浄組成物は、理想的には、ホームケア(硬質表面洗浄組成物)、パーソナルケア、および/または洗濯用途での使用に適している。それ故に、本発明は、表面を洗浄するおよび/または布地を洗濯するための方法を包む。方法は、洗浄/洗濯される表面および/または布地を、本発明の組成物と接触させる工程を含む。表面は、堅木、タイル、セラミック、プラスチック、皮、金属、ガラスのような通常の家庭で見られる大部分の任意の硬質面を含んでもよく、または毛髪および皮膚のようなパーソナルケア製品における洗浄面から成ってもよい。表面はまた、食器、ガラス製品、および他の調理表面を含んでもよい。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯され得る大部分の任意の布地を含んでもよい。
【0092】
洗浄組成物溶液のpHは、洗浄する表面に対して最も相補的になるように選択され、pH約5〜約11の広い範囲にわたる。皮膚および毛髪洗浄のようなパーソナルケアの場合、このような組成物のpHは、好ましくはpH約5〜約8であり、洗濯洗浄組成物の場合、pH約8〜約10である。組成物は、好ましくは、溶液中で約200ppm〜約10,000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは約5℃〜約100℃にわたる。
【0093】
洗濯洗浄組成物で使用される場合、組成物は、好ましくは、溶液(または洗浄溶液)中で約200ppm〜約10000ppmの濃度で用いられる。水温は好ましくは約5℃〜約60℃の範囲である。水の布地に対する比は、好ましくは、約1:1〜約20:1である。
【0094】
本明細書中に記載する組成物は、前記組成物を食器表面と接触させ、次いで前記食器表面を水ですすぎ洗いすることにより、汚れた食器類の洗浄のために使用することができる。所望により、食器類を熱または風乾のいずれかによって乾燥させる。好ましくは、食器類は自動食器洗浄器内に定置する。本明細書において好適な自動食器洗浄組成物は、分与バスケットまたはカップ、ボトル(ポンプ補助付きボトル、スクイーズボトル等)、機械式ポンプ、複数区画ボトル、カプセル、複数区画カプセル、ペーストディスペンサー、単一および複数区画水溶性小袋、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない、いかなる適切なデバイスからも分与できる。例えば、多相錠剤、水溶性または水分散性小袋、およびこれらの組み合わせを、組成物を所望の食器表面に送達するために使用してもよい。
【0095】
当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物はまた、パーソナル洗浄ケア用途における使用に適している。従って、本発明は皮膚または毛髪を洗浄するための方法を包含する。この方法は、洗浄溶液または、本願の洗浄組成物の実施形態で含浸された不織布基材に、洗浄されるべき皮膚/毛髪を接触させる工程を含む。皮膚および毛髪に接触させる場合の不織布基材の使用方法は、ユーザーの手によって、または不織布基材を取り付けた器具を用いて行われてもよい。
【0096】
【表1】

1 米国特許第6,020,303号および同第6,060,433号に記載されているようなもの
2 上記に記載されているようなもの
3 上記アクリル酸/マレイン酸コポリマー、ヘキサメチレンジアミンエトキシレートおよび/またはポリアクリレートポリマーのようなもの
4 NOBSおよび/またはTAED
5 プロテアーゼ、マンナウェイ(mannaway)、ナタラーゼ、リパーゼおよびこれらの混合物のような1以上の酵素
【0097】
【表2】

1 上記に記載されているようなもの
2 BASFから商品名ルテンシット(LUTENSIT)(登録商標)として入手可能な、米国特許第4,597,898号、同第5,565,145号に記載されているような、および国際公開特許第01/05874号に記載されているもののような水溶性汚れ懸濁ポリマー
3 プロテアーゼ、マンナウェイ(mannaway)、ナタラーゼ、リパーゼおよびこれらの混合物のような1以上の酵素
* 引用数字は100gあたりの酵素量(mg)
【0098】
【表3】

1 3V社(3V Co.)製のポリアクリレート増粘剤
2 オリン社(Olin Corporation)製の直鎖アルコールエトキシレート
3 アルコ・ケミカル社(Alco Chemical Co.)製のアクリル酸のスルホン化コポリマー
4 上記に記載したようなもの
5 上記のもののような汚れ懸濁ポリマー
6 プロテアーゼ、マンナウェイ(mannaway)、ナタラーゼ、リパーゼおよびこれらの混合物のような1以上の酵素
【0099】
【表4】

1 アルコスパース(Alcosperse)(登録商標)246または247のような、アルコ・ケミカル社(Alco Chemical Co.)製の、アクリル酸のスルホン化コポリマー
2 オリン社(Olin Corporation)製の直鎖アルコールエトキシレート
3 上記に記載したようなもの
4 上記に記載したような汚れ懸濁ポリマー
6 プロテアーゼ、マンナウェイ(mannaway)、ナタラーゼ、リパーゼおよびこれらの混合物のような1以上の酵素
【0100】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味または定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味または定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味または定義を適用するものとする。
【0101】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、この発明の要旨および範囲を逸脱せずに様々なその他の変更および修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更および修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1以上のスルホン酸基を有するカテコール、および
(b)ポリエステル類、ポリカルボキシレート類、糖系物質類、修飾ポリエチレンイミン類、修飾ヘキサメチレンジアミン、分岐ポリアミノアミン類、修飾ポリアミノアミド類、疎水性ポリアミンエトキシレートポリマー類、ポリアミノ酸類、ポリビニルピリジンN−オキシド、N−ビニルイミダゾールN−ビニルピロリドンコポリマー類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルオキサゾリドン、ポリビニルイミダゾール及びこれらの混合物から選択される、水溶性汚れ懸濁ポリマー
を含む、組成物。
【請求項2】
前記1以上のスルホン酸基を有するカテコールが、実質的に1,2−ベンゼンジオールを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記組成物の約0.01重量%〜約50重量%の界面活性剤系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カテコールが、2つのスルホン酸基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記カテコールが、前記組成物の約0.01重量%〜約10重量%存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の約0.01重量%〜約10重量%の前記汚れ懸濁ポリマーと、前記組成物の約0.01重量%〜約50重量%の界面活性剤系を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ビルダーをさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、酵素系をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、漂白剤系をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、前記1以上のスルホン酸基を有するカテコール以外のキレート剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、液体、ゲルまたは固体形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が液体である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
表面又は布地から粘土汚れを除去する方法であって、
(a)請求項1に記載の組成物を、無希釈又は希釈形態で、前記表面又は前記布地に接触させる工程と、
(b)前記表面を水ですすぐ工程と
を含む、方法。
【請求項14】
前記方法が、約5℃〜約100℃の温度で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
表面から植物由来のポリフェノール化合物汚れを除去する方法であって、
(a)請求項1に記載の組成物を、無希釈又は希釈形態で、前記表面に接触させる工程と、
(b)前記表面を水ですすぐ工程と
を含む、方法。

【公表番号】特表2009−511656(P2009−511656A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534145(P2008−534145)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053984
【国際公開番号】WO2007/049249
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】