説明

陶磁器製ねじ式蓋の製造方法及び陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法

【課題】離型性が良く、効率的に、寸法精度の高い陶磁器製ねじ式蓋を製造することができる陶磁器製ねじ式蓋の製造方法を提供する。
【解決手段】有底筒状の第1外側金型1の成形用穴2に、成形原料を挿入し、第1外側金型1の成形用穴2が開口する側の端部3に、リング状の第2外側金型11を取り付け、先端部22に雌ねじ構造形成部23を有する柱状の挿入部22aを備えた内側金型21の当該雌ねじ構造形成部23を、成形用穴2に挿入することにより成形原料を成形して、第1外側金型1と内側金型21と第2外側金型11とにより形成される成形空間20内に、ねじ式蓋形状の成形体Bを形成し、内側金型21を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、第2外側金型11及び第1外側金型1からねじ式蓋形状の成形体Bを取り出し、ねじ式蓋形状の成形体を焼成してねじ式蓋を得る陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陶磁器製ねじ式蓋の製造方法及び陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法に関し、さらに詳しくは、離型性が良く、効率的に、寸法精度の高い陶磁器製ねじ式蓋を製造することができる陶磁器製ねじ式蓋の製造方法及び当該陶磁器製ねじ式蓋を備えた陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陶磁器製容器の蓋として陶磁器製のねじ式蓋を用いることはあまりなされていなかった。これは、従来、陶磁器の成形方法として、石膏型により成形する方法が用いられてきたが、この方法では、陶磁器製のねじ式蓋のように、陶磁器の内側に凹凸(ねじ構造)がある場合に内側の石膏型を型抜きすることが難しいからであった。
【0003】
これに対し、陶磁器製のねじ式蓋を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。これは、内側石膏型と外側石膏型により形成された空間に、泥しょうを流し込み、泥しょう(生地)中の水分を外側石膏型に吸収させて生地を半乾燥させた後に、外側石膏型を外し、生地の外側面を触っても後が残らない程度に更に乾燥させて、内側石膏型が生地の内側面の水分吸収を遅らせることにより、水分を保って滑りをよくした状態で、生地と内側石膏型とを共にねじり回転させて、生地を内側石膏型から外して陶磁器製ねじ式蓋を形成する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4161350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法は、石膏型を用いるため、生地の離型性がよいものではなく、水分量をコントロールしながらでなければ生地を離型させ難いものであった。また、生地(泥しょう)を乾燥させる必要があるため、乾燥時間を要するものであった。また、石膏型は、摩耗により形状が変わり易いため、陶磁器製ねじ式蓋を製造するに従い、陶磁器製ねじ式蓋のねじ形状等が変化し易いものであった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、離型性が良く、効率的に、寸法精度の高い陶磁器製ねじ式蓋を製造することができる陶磁器製ねじ式蓋の製造方法及び、このような陶磁器製ねじ式蓋の製造方法によって得られた陶磁器製ねじ式蓋を備えた陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって以下の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法及び陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法が提供される。
【0008】
[1] 成形用穴が形成された有底筒状の第1外側金型の前記成形用穴に、成形原料を挿入し、前記第1外側金型の前記成形用穴が開口する側の端部に、前記成形用穴の開口径より小さな開口径の貫通孔を有するリング状の第2外側金型を取り付け、先端部に雌ねじ構造形成部を有する柱状の挿入部を備えた内側金型の前記雌ねじ構造形成部を、前記成形用穴に挿入することにより成形原料を成形して、前記第1外側金型と前記内側金型と前記第2外側金型とにより形成される成形空間内に、ねじ式蓋形状の成形体を形成し、前記内側金型を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、前記第2外側金型及び前記第1外側金型からねじ式蓋形状の成形体を取り出し、前記ねじ式蓋形状の成形体を焼成してねじ式蓋を得る陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。
【0009】
[2] 前記成形原料が、板状の成形用粘土、又は蝋を含有する泥しょうである[1]に記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。
【0010】
[3] 前記第1外側金型が、底部に貫通孔が形成された筒状の第1外側金型本体と、前記第1外側金型本体の貫通孔に、前記成形用穴側から取り付けられ、成形用穴側に向かって取り外されるように着脱可能に配設され、前記成形用穴の内壁面の中の底面を構成する第1外側金型移動部とを備え、前記第1外側金型からねじ式蓋形状の成形体を取り出すときに、前記第1外側金型移動部を前記成形用穴側に向かって取り外すように移動させることにより前記ねじ式蓋形状の成形体を取り出す[1]又は[2]に記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。
【0011】
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により陶磁器製ねじ式蓋を作製し、内周面に雄ねじ構造形成部を有する成形用穴が形成された有底筒状の第3外側金型の前記成形用穴に、成形原料を挿入し、前記第3外側金型の前記成形用穴が開口する側の端部に、前記成形用穴の開口径より小さな開口径の貫通孔を有するリング状の第4外側金型を取り付け、柱状の挿入部を備えた内側金型の前記挿入部を、前記成形用穴に挿入することにより成形原料を成形して、前記第3外側金型と前記内側金型と前記第4外側金型とにより形成される成形空間内に、瓶のねじ式口部の形状の成形体を形成し、前記第3外側金型を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、前記内側金型及び前記第4外側金型から瓶のねじ式口部の形状の成形体を取り出し、成形原料を成形して瓶本体の形状の成形体を形成し、前記瓶本体の形状の成形体と、瓶のねじ式口部の形状の成形体とを接続して瓶の成形体を形成し、前記瓶の成形体を焼成して陶磁器製の瓶を作製し、前記陶磁器製ねじ式蓋を、前記陶磁器製の瓶の口部にねじ込むことにより取り付けて陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を得る陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法。
【0012】
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により得られた陶磁器製ねじ式蓋。
【0013】
[6] [4]に記載の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法により得られた陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶。
【発明の効果】
【0014】
本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法は、金型を用いて陶磁器製ねじ式蓋を成形するため、離型性がよく、効率的に寸法精度の高い陶磁器製ねじ式蓋を製造することができる。また、本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により得られた陶磁器製ねじ式蓋を用いて陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を製造するものであるため、蓋の形状と口部の形状とが精度良く合った陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態に使用する蓋成形用金型を示し、中心軸を含む断面を示す模式図である。
【図2】本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態に使用する蓋成形用金型を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態に使用する蓋成形用金型を示し、組み立てる前の各部品の断面を示す模式図である。
【図4】本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態に使用する口部成形用金型を示し、中心軸を含む断面を示す模式図である。
【図5】本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態に使用する口部成形用金型を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態に使用する口部成形用金型を示し、組み立てる前の各部品の断面を示す模式図である。
【図7】本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法によって製造された陶磁器製ねじ式蓋の斜視図である。
【図8】本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法によって製造された陶磁器製瓶の斜視図である。
【図9】本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法によって製造された陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0017】
(1)陶磁器製ねじ式蓋の製造方法:
本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態は、図1〜3に示す蓋形成用金型100を用いて、成形用穴2が形成された有底筒状の第1外側金型1の成形用穴2に、成形原料Aを挿入し、第1外側金型1の成形用穴2が開口する側の端部3に、成形用穴2の開口径より小さな開口径の貫通孔(第2外側金型の貫通孔)12を有するリング状の第2外側金型11を取り付け、先端部22に雌ねじ構造形成部23を有する柱状の挿入部22aを備えた内側金型21の当該雌ねじ構造形成部23を、成形用穴2に挿入することにより成形原料Aを成形して、第1外側金型1と内側金型21と第2外側金型11とにより形成される成形空間20内に、ねじ式蓋形状の成形体Bを形成し、内側金型21を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、第2外側金型11及び第1外側金型1からねじ式蓋形状の成形体Bを取り出し、ねじ式蓋形状の成形体Bを焼成してねじ式蓋を得る方法である。雌ねじ構造形成部23によって、ねじ式蓋の内周のねじ構造(雌ねじ構造)が形成される。第1外側金型1の成形用穴2が開口する側の端部3に、リング状の第2外側金型11を取り付けるときには、成形用穴2の中心軸と第2外側金型11の貫通孔12の中心軸とを合わせた状態で取り付けることが好ましい。また、成形空間20は、第1外側金型1の成形用穴2の内壁面4と、内側金型21の雌ねじ構造形成部23の外周面24及び先端面25と、第2外側金型11の成形用穴2に面する封止面13と、により形成される空間である。図1は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態に使用する蓋成形用金型100を示し、中心軸を含む断面を示す模式図である。図2は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態に使用する蓋成形用金型100を模式的に示す側面図である。図3は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法の一実施形態に使用する蓋成形用金型100を示し、組み立てる前の各部品の断面を示す模式図である。尚、成形原料A及びねじ式蓋形状の成形体Bは、蓋成形用金型100の構成要素ではない。
【0018】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法は、このように、金型を用いて陶磁器製ねじ式蓋を成形するため、離型性がよく、効率的に寸法精度の高い陶磁器製ねじ式蓋を製造することができる。陶磁器製ねじ式蓋とは、陶器製ねじ式蓋と磁器製ねじ式蓋との総称であり、本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法は、陶器製ねじ式蓋と磁器製ねじ式蓋との両方を製造することができる製造方法である。
【0019】
蓋成形用金型100の形状、大きさは、作製する陶磁器製ねじ式蓋の形状、大きさによって適宜決定することができる。また、蓋成形用金型100の材質としては、鉄、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等を好適に用いることができる。このように、蓋成形用金型100の材質を鉄等にすることにより、成形空間20を取り囲む各壁面を、石膏の表面より滑らかな面にすることができるため、離型性を向上させることができる(ねじ式蓋形状の成形体Bを蓋成形用金型100から容易に取り出す(容易に離型させる)ことができる)。尚、本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法に使用する蓋成形用金型100における、成形空間20を取り囲む各壁面は、石膏の表面より滑らかな面である。また、鉄等の金属は、陶磁器の成形原料に張り付くような性質も無く、成形原料を容易に離型させることができる。そのため、蓋成形用金型100から、ねじ式蓋形状の成形体Bを取り出すときに、ねじ式蓋形状の成形体Bの水分の調整をする必要がなく、効率的に陶磁器製ねじ式蓋を製造することができる。
【0020】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法は、このようにねじ式蓋形状の成形体Bを取り出すときに、ねじ式蓋形状の成形体Bの水分の調整をする必要がないため、成形原料Aを、水分又は溶媒の少ないものとすることができる。例えば、成形原料Aの固形分(セラミック成分)の含有率を75〜90質量%とすることが好ましい。そして、成形原料Aを板状の成型用粘土とし、それを蓋成形用金型に挿入することが好ましい。成形用粘土の形状は板状であれば特に限定されず、例えば、円板状、「四角形、五角形、六角形等の多角形の板状」等を挙げることができる。これらの中でも、円板状が好ましい。成形原料Aの固形分(セラミック成分)の含有率が75質量%より低いと、ねじ式蓋形状の成形体Bが変形し易くなることがある。成形原料Aの固形分(セラミック成分)の含有率が90質量%より高いと、成形時に欠陥が生じることがある。また、成形原料Aは、「蝋を含有する泥しょう」であってもよい。成形原料Aを「蝋を含有する泥しょう」としたときは、第1外側金型1の成形用穴2に成形原料Aを挿入するときに、成形原料Aを加熱して蝋を溶融し、成形原料Aの流動性を向上させ、その状態でエアーポンプ等により成形原料Aを成形用穴2に注入する。このとき、成形原料Aの温度は、蝋が融解し、成形原料Aが流動する温度であることが好ましい。例えば、60〜100℃が好ましい。そして、蓋成形用金型100を組み立てて、蝋を冷却固化させた後に、形成されたねじ式蓋形状の成形体Bを取り出す。蝋は焼成時に燃焼される。この場合、成形原料Aにおける蝋の含有率は、10〜25質量%であることが好ましい。蝋の含有率が10質量%より少ないと、成形原料Aを加熱したときの流動性が低くなることがあり、また、成形原料Aが固化し難いことがある。蝋の含有率が25質量%より多いと、ねじ式蓋形状の成形体Bを焼成したときに、得られたねじ式蓋が脆く、破損し易くなることがある。
【0021】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法において、第1外側金型1は、底部5に貫通孔(第1外側金型本体の貫通孔)6が形成された筒状の第1外側金型本体1aと、第1外側金型本体1aの貫通孔6に、成形用穴2側から取り付けられ、成形用穴2側に向かって取り外されるように着脱可能に配設され、成形用穴2の内壁面4の中の底面7を構成する第1外側金型移動部1bとを備えるものである。成形用穴2は、第1外側金型本体1aの筒形状の内側の空間である。これにより、第1外側金型1からねじ式蓋形状の成形体Bを取り出すときに、第1外側金型移動部1bを成形用穴2側に向かって取り外すように移動させて、ねじ式蓋形状の成形体Bを押し出すように取り出すことができるため、ねじ式蓋形状の成形体Bを効率的に取り出すことができる。尚、第1外側金型は、上記のように、第1外側金型本体と第1外側金型移動部とに分割される構造であることが好ましいが、分割されない構造であってもよい。分割されない構造の場合、第1外側金型の底面は、平らであってもよいし、凹凸があってもよい。また、分割される構造の場合、第1外側金型移動部は、第1外側金型本体の底面から突き出していてもよいが、突き出していなくてもよい。
【0022】
第1外側金型移動部1bの、成形用穴2の内壁面4の中の底面7を構成する部分の大きさは、当該底面7全体の50%以上であることが好ましく、70%以上が更に好ましい。50%以上とすることにより、ねじ式蓋形状の成形体Bを取り外すときに、ねじ式蓋形状の成形体Bを変形させることを防止することができる。50%未満であると、ねじ式蓋形状の成形体Bを取り外すときに、ねじ式蓋形状の成形体Bが変形し易くなることがある。
【0023】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法において、第2外側金型11と、第1外側金型1の成形用穴2が開口する側の端部3には、互いに嵌合するように、双方に互いに相補的な凹凸、段差等が形成されていることが好ましい。図1に示す蓋成形用金型100においては、第2外側金型11と端部3に、段差が形成されている。
【0024】
また、第2外側金型11は、成形用穴2の開口径より小さな開口径の貫通孔(第2外側金型の貫通孔)12を有するリング状であるため、第2外側金型11を第1外側金型1の端部3に取り付けたときに、第2外側金型11の内周部分が、成形用穴2の外周よりも、内側に突き出した状態となる。第2外側金型11の内側に突き出た部分の成形用穴2に面する面(壁面)が、封止面13である。
【0025】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法において、第1外側金型1の成形用穴2の内壁面4と内側金型21の雌ねじ構造形成部23の外周面24及び先端面25と第2外側金型11の成形用穴2に面する封止面13とにより形成される成形空間20が、製造する蓋の形状であり、この成形空間20内に成形原料Aが充填されることによりねじ蓋形状の成形体が形成される。また、成形空間20は、第1外側金型1、第2外側金型11及び内側金型21によって囲まれた空間であるということもできる。
【0026】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法において、成形原料Aを板状の成形粘土とした場合、内側金型21の雌ねじ構造形成部23を、成形用穴2に挿入することにより成形原料Aを成形する際に、内側金型21の雌ねじ構造形成部23を成形用穴2に圧入することにより成形原料Aを成形してねじ式蓋形状の成形体を形成することが好ましい。圧力のかけ方としては、例えば、内型金型21を金槌等で叩く方法、加圧機を用いて圧力をかける方法等が挙げられる。
【0027】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法において用いられる蓋成形用金型100は、内側金型21が、中心軸に沿った孔26が形成された筒状の内側金型本体21aと、内側金型本体21aの孔26に嵌合する「中心軸部27、及び中心軸部27の、成形用穴2に挿入しない側の端部に配設された笠部28」を有する内側金型軸部21bと、を備えるものである。内側金型21は、内側金型軸部21bの中心軸部27が、内側金型本体21aの孔26に、内側金型本体21aの雌ねじ構造形成部が形成されていない側の端部から、挿入された構造である。内側金型本体21aの外形は、挿入部22aの雌ねじ構造形成部が形成されていない側の端部に、挿入部22aより直径の大きい頭部22bが配設された構造である。尚、内側金型21は、このように内側金型本体21aと内側金型軸部21bとに分割される構造であることが好ましいが、このように分割されずに一体構造であってもよい。内側金型21は、内側金型本体21aと内側金型軸部21bとに分割された構造であると、内側金型21を回転させながら引き抜くときに、まず、内側金型軸部21bを真っ直ぐ(若干回転させてもよい)引き抜き、その後、内側金型本体21aを、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くことができる。これにより、内側金型本体21aを、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くときに、回転し始めの、先端面25とねじ式蓋形状の成形体との間の摩擦力が小さくなり、内側金型21を容易に取り外すことができる。
【0028】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法によって、図7に示すような、陶器製又は磁器製(陶磁器製)のねじ式蓋(陶磁器製ねじ式蓋)31を製造することができる。本発明の陶磁器製ねじ式蓋は、このようにして製造された陶磁器製ねじ式蓋である。図7は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法によって製造された陶磁器製ねじ式蓋31の斜視図である。
【0029】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法は、成形空間20内に、ねじ式蓋形状の成形体Bを形成した後に、内側金型21を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜き、第2外側金型11を取り外し、第1外側金型1からねじ式蓋形状の成形体Bを取り出す。このように、ねじ式蓋形状の成形体B及び内側金型21のねじ構造を利用して、内側金型21をねじを緩める方向に回転させながら引き抜くことにより、ねじ式蓋形状の成形体Bのねじ形状を破壊することなく、ねじ式蓋形状の成形体Bを金型から取り出すことができる。そして、得られたねじ式蓋形状の成形体Bを、焼成することにより、ねじ式蓋を得ることができる。ねじ式蓋形状の成形体Bを焼成する際には、焼成前に素焼きを行うことが好ましい。素焼き及び焼成の条件は、陶磁器の素焼き及び焼成の公知の条件とすることができる。
【0030】
(2)陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法:
本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態は、上記本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により陶磁器製ねじ式蓋31(図7参照)を作製し、内周面(内壁面)54に雄ねじ構造形成部58を有する成形用穴52が形成された有底筒状の第3外側金型51の成形用穴52に、成形原料Cを挿入し、第3外側金型51の成形用穴52が開口する側の端部53に、成形用穴52の開口径より小さな開口径の貫通孔(第4外側金型の貫通孔)62を有するリング状の第4外側金型61を取り付け、柱状の挿入部72を備えた内側金型71の当該挿入部72を、成形用穴52に挿入することにより成形原料Cを成形して、第3外側金型51と内側金型71と第4外側金型61とにより形成される成形空間70内に、瓶のねじ式口部の形状の成形体(口部形状の成形体)Dを形成し、第3外側金型51を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、内側金型71及び第4外側金型61から瓶のねじ式口部の形状の成形体Dを取り出して、瓶のねじ式口部の形状の成形体Dを得る(図4〜図6参照)。そして、瓶本体(瓶から口部を除いた部分)を成形するための成形原料を成形して瓶本体の形状の成形体を成形する。そして、得られた瓶本体の形状の成形体と瓶のねじ式口部の形状の成形体Dとを接続して瓶の成形体を形成し、瓶の成形体を焼成して陶磁器製の瓶81(図8参照)を作製する。そして、陶磁器製ねじ式蓋31(図7参照)を陶磁器製の瓶81(図8参照)の口部にねじ込むことにより取り付けて、陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶91(図9参照)を得る。雄ねじ構造形成部58によって、瓶の口部の外周のねじ構造(雄ねじ構造)が形成される。第3外側金型51の成形用穴52が開口する側の端部53に、リング状の第4外側金型61を取り付けるときには、成形用穴52の中心軸と第4外側金型の貫通孔62の中心軸とを合わせた状態で取り付けることが好ましい。また、成形空間70は、第3外側金型51の雄ねじ構造形成部58の内壁面54と、内側金型71の挿入部72の外周面74と、第4外側金型61の成形用穴52に面する封止面63とにより形成される空間である。図4は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態に使用する口部成形用金型200を示し、中心軸を含む断面を示す模式図である。図5は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態に使用する口部成形用金型200を模式的に示す側面図である。図6は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法の一実施形態に使用する口部成形用金型200を示し、組み立てる前の各部品の断面を示す模式図である。尚、成形原料C及び口部形状の成形体Dは、口部成形用金型200の構成要素ではない。図8は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法によって製造された陶磁器製瓶の斜視図である。図9は、本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法によって製造された陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の斜視図である。
【0031】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法は、上記本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により得られた陶磁器製ねじ式蓋を用いて、陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を製造するものであるため、蓋の形状と口部の形状とが精度良く合った陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を製造することができる。
【0032】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法において、口部形状の成形体Dは、図4〜6に示される口部成形用金型200を用いて作製される。口部成形用金型200の形状、大きさは、作製する陶磁器製の瓶(陶磁器製の瓶の口部)の形状、大きさによって適宜決定することができる。また、口部成形用金型200の材質としては、鉄、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等を好適に用いることができる。このように、口部成形用金型200の材質を鉄等にすることにより、成形空間70を取り囲む各壁面を、石膏の表面より滑らかな面にすることができるため、離型性を向上させることができる(口部形状の成形体Dを口部成形用金型200から容易に取り出す(容易に離型させる)ことができる)。尚、口部成形用金型200における、成形空間70を取り囲む各壁面は、石膏の表面より滑らかな面である。また、鉄等の金属は、陶磁器の成形原料に張り付くような性質も無く、成形原料を容易に離型させることができる。そのため、口部成形用金型200から、口部形状の成形体Dを取り出すときに、口部形状の成形体Dの水分の調整をする必要がなく、効率的に陶磁器製の瓶(口部形状の成形体D)を製造することができる。
【0033】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法においては、このように、口部形状の成形体Dを口部成形用金型200から取り出すときに、口部形状の成形体Dの水分の調整をする必要がないため、成形原料Cを、水分又は溶媒の少ないものとすることができる。例えば、成形原料Cの固形分(セラミック成分)の含有率を75〜90質量%とすることが好ましい。そして、成形原料Cを板状の成型用粘土とし、それを口部成形用金型200に挿入することが好ましい。成形用粘土の形状は板状であれば特に限定されず、例えば、円板状、「四角形、五角形、六角形等の多角形の板状」等を挙げることができる。これらの中でも、円板状が好ましい。成形原料Cの固形分の含有率が75質量%より低いと、口部形状の成形体Dが変形し易くなることがある。成形原料Cの固形分の含有率が90質量%より高いと、成形時に欠陥が生じることがある。また、成形原料Cは、「蝋を含有する泥しょう」であってもよい。成形原料Cを「蝋を含有する泥しょう」としたときは、第3外側金型51の成形用穴52に成形原料Cを挿入するときに、成形原料Cを加熱して蝋を溶融し、成形原料Cの流動性を向上させ、その状態でエアーポンプ等により成形原料Cを成形用穴52に注入する。このとき、成形原料Cの温度は、蝋が融解し、成形原料Cが流動する温度であることが好ましい。例えば、60〜100℃が好ましい。そして、口部成形用金型200を組み立てて、蝋を冷却固化させた後に、形成された口部形状の成形体Dを取り出す。蝋は焼成時に燃焼される。この場合、成形原料Cにおける蝋の含有率は、10〜25質量%であることが好ましい。蝋の含有率が10質量%より少ないと、成形原料Cを加熱したときの流動性が低くなることがあり、また、成形原料Cが固化し難いことがある。蝋の含有率が25質量%より多いと、口部形状の成形体D(瓶の成形体)を焼成したときに、得られた陶磁器製の瓶の口部が脆く、破損し易くなることがある。
【0034】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法において、第3外側金型51は、図4〜図5に示すように、外周部55を構成する筒状の第3外側金型外周部51aと、底部56を構成する第3外側金型底部51bとを備えるものである。成形用穴52は、第3外側金型外周部51aの筒形状の内側の空間である。そして、雄ネジ構造形成部58は、第3外側金型外周部51aの成形用穴52が開口する側の端部の内周面54に形成されている。第3外側金型が、第3外側金型外周部と第3外側金型底部とに分割されていることにより、「第3外側金型51を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜く」際に、まず第3外側金型底部51bを取り外し、その後に第3外側金型外周部51aを回転させながら引き抜くことができる。これにより、第3外側金型外周部51aを摩擦抵抗(特に、第3外側金型外周部51aを回転させ始めるときの、先端部分の摩擦抵抗)が低減された状態で回転させながら引き抜くことができ、口部形状の成形体Dの変形等をより効果的に防止することができる。尚、第3外側金型は、上記のように、第3外側金型外周部と第3外側金型底部とに分割される構造であることが好ましいが、分割されない構造であってもよい。
【0035】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法において、第4外側金型61と、第3外側金型51の成形用穴52が開口する側の端部53には、互いに嵌合するように、双方に相補的な凹凸、段差等が形成されていることが好ましい。図4に示す口部成形用金型200においては、第4外側金型61と端部53に、段差が形成されている。また、図4に示すように、第4外側金型61の封止面63の形状を、作製する陶磁器製の瓶の口部の形状に合わせて変形させ、第4外側金型61によって外周を取り囲まれる空間(成形空間70の一部)が形成されるようにしてもよい。
【0036】
また、第4外側金型61は、成形用穴52の開口径より小さな開口径の貫通孔(第4外側金型の貫通孔)62を有するリング状であるため、第4外側金型61を第3外側金型51の端部53に取り付けたときに、第4外側金型61の内周部分が、成形用穴52の外周よりも、内側に突き出した状態となる。第4外側金型61の内側に突き出た部分の成形用穴52に面する面(壁面)が、封止面63である。ここで、「成形用穴52に面する」とは、成形用穴52を形成する壁面になっている状態であること、又は、成形用穴52に連通する空間(第4外側金型61によって外周を取り囲まれた空間)64を形成し、当該「成形用穴52に連通する空間64」及び成形用穴52からなる成形空間70を形成する壁面になっている状態であることを意味する。また、成形空間70は、第3外側金型51、第4外側金型61及び内側金型71によって囲まれた空間であるということもできる。
【0037】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法において、第3外側金型51の成形用穴52の内壁面54と内側金型71の外周面74と第2外側金型61の封止面63とにより形成される成形空間70が、製造する陶磁器製の瓶の口部の形状であり、この成形空間70内に成形原料Cが充填されることにより口部形状の成形体が形成される。
【0038】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法において、成形原料Cを板状の成形粘土とした場合、内側金型71の挿入部72を、成形用穴52に挿入することにより成形原料Cを成形する際に、内側金型71の挿入部72を成形用穴52に圧入することにより成形原料Cを成形して口部形状の成形体を形成することが好ましい。圧力のかけ方としては、例えば、内型金型71を金槌等で叩く方法、加圧機を用いて圧力をかける方法等が挙げられる。
【0039】
本実施形態の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法は、成形空間70内に、口部形状の成形体Dを形成した後に、第3外側金型51を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、内側金型71及び第4外側金型61から口部形状の成形体Dを取り出す。このように、口部形状の成形体D及び第3外側金型51のねじ構造を利用して、第3外側金型51をねじを緩める方向に回転させながら引き抜くことにより、口部形状の成形体Dのねじ形状を破壊することなく、口部形状の成形体Dを金型から取り出すことができる。
【0040】
そして、別途、成形原料を成形して瓶本体(瓶から口部を除いた部分)の形状の成形体を形成する。瓶本体の形状の成形体を形成するための成形原料は、特に限定されないが、口部形状の成形体Dを形成するときの成形原料と同じであることが好ましい。瓶本体の形状は、特に限定されず、所望の形状とすることができる。瓶本体には、口部形状の成形体Dを接続する部分である開口部を形成することが好ましい。瓶本体の形状の成形体を作製する方法は、特に限定されず、公知の陶磁器の瓶本体の形状の成形体を作製する方法とすることができる。
【0041】
次に、瓶本体の形状の成形体と、瓶のねじ式口部の形状の成形体とを接続して瓶の成形体を形成する。瓶本体の形状の成形体と、瓶のねじ式口部の形状の成形体とを接続する方法は、特に限定されず、公知の方法とすることができる。そして、瓶の成形体を焼成して陶磁器製の瓶を作製し、上記陶磁器製ねじ式蓋を、陶磁器製の瓶の口部にねじ込むことにより取り付けて陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を作製する。瓶の成形体を焼成する際には、焼成前に素焼きを行うことが好ましい。素焼き及び焼成の条件は、陶磁器の素焼き及び焼成の公知の条件とすることができる。陶磁器製の瓶は、瓶本体と、ねじ式口部とを有する構造である。本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶は、このようにして製造された陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶である。
【実施例】
【0042】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
図1〜図3に示す蓋成形用金型100を用いて、陶器製ねじ式蓋を作製した。成形原料としては、陶土20kg、水3kgを混合、混練、真空脱気して得られた成形用粘土を用いた。成形用粘土は、直径35mm、厚さ18mmの円板状に形成して用いた。
【0044】
成形用穴が形成された有底筒状の第1外側金型の成形用穴に、作製した板状の成形用粘土を挿入し、第1外側金型にリング状の第2外側金型を取り付け、内側金型の雌ねじ構造形成部を、成形用穴に圧入することにより成形原料を成形して、成形空間内に、ねじ式蓋形状の成形体を形成した。内側金型の雌ねじ構造形成部を成形用穴に圧入する方法は、内側金型を金槌で叩く方法とした。
【0045】
その後、内側金型を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、第2外側金型及び第1外側金型から、ねじ式蓋形状の成形体を取り出した。ねじ式蓋形状の成形体は、底面の直径37mm、高さ23mmの有底筒状であった。また、成形体の肉厚(ねじ山を除く)は4mmであった。そして、ねじ式蓋形状の成形体を焼成してねじ式蓋(図7参照)を得た。焼成条件は、880℃、12時間とした。
【0046】
図4〜図6に示す口部成形用金型200を用いて、瓶のねじ式口部の形状の成形体を作製した。成形原料は、上記陶器製ねじ式蓋の成形原料と同じとした。第3外側金型の成形用穴に成形原料を挿入し、第3外側金型にリング状の第4外側金型を取り付け、柱状の挿入部を備えた内側金型の当該挿入部を、成形用穴に圧入することにより成形原料を成形して、成形空間内に、瓶のねじ式口部の形状の成形体を形成した。内側金型の挿入部を成形用穴に圧入する方法は、内側金型を金槌で叩く方法とした。
【0047】
その後、第3外側金型を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、内側金型及び第4外側金型から、瓶のねじ式口部の形状の成形体を取り出した。瓶のねじ式口部の形状の成形体は、中心軸に直交する断面の直径(ねじ山を除く)35mm、高さ23mmの筒状であった。また、成形体の肉厚(ねじ山を除く)は4mmであった。
【0048】
次に、成形原料を成形して瓶本体の形状の成形体を形成した。成形原料の組成は、上記陶器製ねじ式蓋の成形原料の組成と同じとした。瓶本体の形状の成形体は、瓶のねじ式口部の形状の成形体を取り付ける部分である開口部を有するものとした。瓶本体の形状の成形体は、石膏型に泥しょうを流し込み、流し込んだ泥しょうの生地を外側石膏型の水分吸収により半乾燥させた後、石膏型を外す方法で作製した。瓶本体の形状の成形体は、肉厚が5mm、最も太い部分の直径が95mm、開口部の直径が30mmであった。
【0049】
次に、作製した瓶本体の形状の成形体と、作製した瓶のねじ式口部の形状の成形体とを接続して瓶の成形体を形成した。そして、瓶の成形体を焼成して陶器製の瓶(図8参照)を作製した。瓶の成形体を焼成する条件は、880℃、12時間とした。
【0050】
次に、陶器製ねじ式蓋を、陶器製の瓶の口部にねじ込んで取り付けて陶器製ねじ式蓋付き陶器製瓶(図9参照)を作製した。
【0051】
ねじ式蓋形状の成形体を蓋成形用金型から取り出すときも、口部形状の成形体を口部成形用金型から取り出すときも、成形体の離型成が良好であり、容易に離型させることができた。また、成形原料を乾燥させる必要がないため、効率的に陶器製ねじ式蓋付き陶器製瓶を作成することができた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法は、陶磁器製の瓶に使用する陶磁器製ねじ式蓋の製造に利用することができる。本発明の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法は、酒瓶等の陶磁器製の瓶の製造に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:第1外側金型、1a:第1外側金型本体、1b:第1外側金型移動部、2:成形用穴、3:成形用穴が開口する側の端部、4:内壁面、5:底部、6:貫通孔(第1外側金型本体の貫通孔)、7:底面、11:第2外側金型、12:貫通孔(第2外側金型の貫通孔)、13:封止面、20:成形空間、21:内側金型、21a:内側金型本体、21b:内側金型軸部、22:先端部、22a:挿入部、22b:頭部、23:雌ねじ構造形成部、24:外周面(雌ネジ構造形成部の外周面)、25:先端部(雌ネジ構造形成部の先端部)、26:孔、27:中心部、28:笠部、31:陶磁器製ねじ式蓋、51:第3外側金型、51a:第3外側金型外周部、51b:第3外側金型底部、52:成形用穴、53:成形用穴が開口する側の端部、54:内壁面(内周面)、55:外周部、56:底部、58:雄ねじ構造形成部、61:第4外側金型、62:貫通孔(第4外側金型の貫通孔)、63:封止面、64:成形用穴に連通する空間、70:成形空間、71:内側金型、72:挿入部、74:外周面(内側金型の挿入部の外周面)、81:陶磁器製の瓶、91:陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶、100:蓋成形用金型、200:口部成形用金型、A:成形原料、B:ネジ式蓋形状の成形体、C:成形原料、D:口部形状の成形体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形用穴が形成された有底筒状の第1外側金型の前記成形用穴に、成形原料を挿入し、
前記第1外側金型の前記成形用穴が開口する側の端部に、前記成形用穴の開口径より小さな開口径の貫通孔を有するリング状の第2外側金型を取り付け、
先端部に雌ねじ構造形成部を有する柱状の挿入部を備えた内側金型の前記雌ねじ構造形成部を、前記成形用穴に挿入することにより成形原料を成形して、前記第1外側金型と前記内側金型と前記第2外側金型とにより形成される成形空間内に、ねじ式蓋形状の成形体を形成し、
前記内側金型を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、前記第2外側金型及び前記第1外側金型からねじ式蓋形状の成形体を取り出し、
前記ねじ式蓋形状の成形体を焼成してねじ式蓋を得る陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。
【請求項2】
前記成形原料が、板状の成形用粘土、又は蝋を含有する泥しょうである請求項1に記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。
【請求項3】
前記第1外側金型が、底部に貫通孔が形成された筒状の第1外側金型本体と、前記第1外側金型本体の貫通孔に、前記成形用穴側から取り付けられ、成形用穴側に向かって取り外されるように着脱可能に配設され、前記成形用穴の内壁面の中の底面を構成する第1外側金型移動部とを備え、
前記第1外側金型からねじ式蓋形状の成形体を取り出すときに、前記第1外側金型移動部を前記成形用穴側に向かって取り外すように移動させることにより前記ねじ式蓋形状の成形体を取り出す請求項1又は2に記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により陶磁器製ねじ式蓋を作製し、
内周面に雄ねじ構造形成部を有する成形用穴が形成された有底筒状の第3外側金型の前記成形用穴に、成形原料を挿入し、
前記第3外側金型の前記成形用穴が開口する側の端部に、前記成形用穴の開口径より小さな開口径の貫通孔を有するリング状の第4外側金型を取り付け、
柱状の挿入部を備えた内側金型の前記挿入部を、前記成形用穴に挿入することにより成形原料を成形して、前記第3外側金型と前記内側金型と前記第4外側金型とにより形成される成形空間内に、瓶のねじ式口部の形状の成形体を形成し、
前記第3外側金型を、ねじを緩める方向に回転させながら引き抜くとともに、前記内側金型及び前記第4外側金型から瓶のねじ式口部の形状の成形体を取り出し、
成形原料を成形して瓶本体の形状の成形体を形成し、
前記瓶本体の形状の成形体と、瓶のねじ式口部の形状の成形体とを接続して瓶の成形体を形成し、
前記瓶の成形体を焼成して陶磁器製の瓶を作製し、
前記陶磁器製ねじ式蓋を、前記陶磁器製の瓶の口部にねじ込むことにより取り付けて陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶を得る陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の陶磁器製ねじ式蓋の製造方法により得られた陶磁器製ねじ式蓋。
【請求項6】
請求項4に記載の陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶の製造方法により得られた陶磁器製ねじ式蓋付き陶磁器製瓶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−264695(P2010−264695A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−118984(P2009−118984)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(509138051)フロンティアフーズ株式会社 (1)
【出願人】(509138062)シンワフーズケミカル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】