説明

陽極化成装置

【課題】基板を保持する機構を工夫することにより、自動化及びバッチ処理に好適な陽極化成装置を提供する。
【解決手段】貯留槽9内に配置されている第1支持ユニット57と第2支持ユニット73とが離反され、複数枚の基板が第1支持ユニット57に載置されることにより、前記基板の周面のうちの下部だけが電解質溶液に対して液密に支持される。第2支持ユニット73が第1支持ユニット57に対して連結されると、前記基板の周面の残り部分が前記電解質溶液に対して液密にされた状態で前記複数枚の基板が支持され、これにより前記基板の周面が全周にわたって前記電解質溶液に対して液密にされる。第1支持ユニット57と第2支持ユニット73とを着脱自在な基板ホルダー41とすることによって前記複数枚の基板を機械的に搬入搬出させ、自動化及びバッチ処理に好適な陽極化成装置を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機ELデバイス用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板、Micro-electro-mechanical system(MEMS)用基板などの各種基板に対して、電解エッチング処理を行う陽極化成装置に係り、特に、複数枚の基板を同時に高スループットで処理するバッチ処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置(第1の装置)として、フッ素樹脂化成槽(2)と、一対の白金電極(3a、3b)と、基板(1)を保持する基板支持具(4)とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
フッ素樹脂化成槽(2)は、電解液(6a、6b)を貯留する。一対の白金電極(3a、3b)は、フッ素樹脂化成槽(2)内で離間された状態で配置される。基板支持治具(4)は、基板(1)の外形寸法と同様の開口を有し、切り欠き部を拡げて基板(1)を基板支持治具(4)に挿入し、シール材(5a)を介して一枚の基板(1)を電解液(6a、6b)に対して液密に保持する。基板支持治具(4)を基板(1)とともにフッ素樹脂化成槽(2)内の電解液(6a、6b)に浸漬させ、一対の白金電極(3a、3b)に対して通電することで、化成反応が始まり、開口を通して基板(1)に対して多孔質化処理が行われる。
【0004】
また、この種の他の装置(第2の装置)として、電解溶液槽(11)と、一対の電極(14A、14B)と、基板(S)を保持する基板保持部材(15)とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
電解溶液槽(11)は、電解液を貯留する。一対の電極(14A、14B)は、電解溶液槽(11)の対向する内壁に取り付けられている。基板保持部材(15)は、第1のカセット(21)と第2のカセット(22)とを備え、これらで基板(S)を挟持する。第1のカセット(21)は、基板(S)の直径とほぼ等しい開口部(21A)を備え、第2のカセット(22)は、同様の開口部(22A)を備えている。基板保持部材(15)は、第1のカセット(21)と第2のカセット(22)で基板(S)を挟み込み、基板(S)の周縁部を押圧して基板(S)を係止する。基板保持部材(15)を電解溶液槽(11)のガイド溝(16)に挿入し、一対の電極(14A、14B)に通電することにより、化成反応が生じ、開口部(21A、22A)を通して基板(S)に対して多孔質処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−198556号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2003−45869号公報(図1,図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の第1の装置において、基板支持治具(4)に基板(1)を支持させるには、基板支持治具(4)の切り欠き部を拡げてから基板(1)を開口に挿入する必要がある。したがって、機械的な機構により基板(1)を基板支持治具(4)に自動で支持させることが困難であり、さらに、複数枚の基板(1)を同時に処理するバッチ処理に適用する場合、自動化して好適に処理することはより困難となる。
【0008】
また、従来の第2の装置は、基板保持部材(15)に基板(S)を保持させるには、第1のカセット(21)と第2のカセット(22)で基板(S)を挟持する必要がある。したがって、第1の装置と同様に、自動化できないという問題がある。また、二枚の基板(S)を処理する実施例が開示されてはいるものの、基板保持部材(15)がかなりの厚みを有する構造であるので、より多くの基板(S)を処理するバッチ処理には不適であるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板を保持する機構を工夫することにより、自動化及びバッチ処理に好適な陽極化成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、電解質溶液に基板を浸漬させて陽極化成反応を行う陽極化成装置において、電解質溶液を貯留する貯留槽と、基板の周面のうち下部のみを当接して液密に支持する第1支持部を、複数枚の基板の整列方向に沿って複数個有する第1支持ユニット、及び前記第1支持部で支持される基板の周面の残り部分を当接して液密に支持する第2支持部を、複数枚の基板の整列方向に沿って複数個有し、前記第1支持ユニットに対して着脱自在に構成されている第2支持ユニットを備えた、前記貯留槽内に配置されている基板ホルダーと、前記基板ホルダーに複数枚の基板を載置する際、及び前記基板ホルダーに載置されている複数枚の基板を搬出する際には、前記第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとを離反させ、前記基板ホルダーに複数枚の基板が載置された後には、前記第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとを連結させる駆動機構と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、貯留槽内に配置されている基板ホルダーの第1支持ユニットと第2支持ユニットとが駆動機構により離反される。この状態で、複数枚の基板が第1支持ユニットの第1支持部に載置され、基板の周面のうちの下部だけが電解質溶液に対して液密に支持される。駆動機構により第2支持ユニットが第1支持ユニットに対して連結されると、基板の周面の残り部分が第2支持部によって電解質溶液に対して液密にされた状態で複数枚の基板が支持される。これにより基板の周面が全周にわたって電解質溶液に対して液密にされる。陽極化成反応が終了すると、駆動機構により第2支持ユニットが第1支持ユニットから離反され、第1支持ユニットに支持されている複数枚の基板が搬出される。したがって、基板ホルダーの第1支持ユニットと第2支持ユニットとが、駆動機構により、着脱自在な構成とされることによって、複数枚の基板を機械的に貯留槽に対して搬入搬出させることができる。その結果、自動化及びバッチ処理に好適な陽極化成装置を実現することができる。
【0012】
また、本発明において、前記基板ホルダーは、前記第1支持ユニットと前記第2支持ユニットとが連結された際に外観が筒状を呈し、基板の整列方向に相当する一端側と他端側とにイオンの流通を許容するとともに、内部の電解質溶液と前記貯留槽中の電解質溶液との流通を遮断するイオン交換膜を備えていることが好ましい(請求項2)。基板ホルダーの第1支持ユニットと第2支持ユニットが連結された際に貯留槽の電解質溶液と、基板ホルダー中の電解質溶液とが遮断されているので、陽極化成反応中における基板の周囲濃度を一定にすることができる。したがって、同時に処理されている複数の基板において陽極化成反応を均一化することができる。また、複数枚の基板を入れ替える際には、第1支持ユニットと第2支持ユニットとが離反されるので、基板ホルダー内の電解質溶液と貯留槽内の電解質溶液とが入れ替わり、異なるロット間において電解質溶液の濃度を同じにすることができる。したがって、ロット間における処理の均一化を図ることができる。
【0013】
また、本発明において、前記第2支持ユニットは、前記第2支持部として、基板の周面の残りのうちの左側を支持する左第2支持部を備えた左第2支持ユニットと、前記第2支持部として、基板の周面の残りのうちの右側を支持する右第2支持部を備えた右第2支持ユニットとを備えていることが好ましい(請求項3)。第2支持ユニットが左第2支持ユニットと右第2支持ユニットに分割されているので、これらが第1支持ユニットから離反した際に、第1支持ユニットに支持されている複数枚の上方を容易に開放にすることができる。したがって、基板ホルダーに対して複数枚の基板の受け渡しを行う搬送機構の進退を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明において、前記第1支持部は、基板の下部のうち、直径よりも短い弦に相当する周面を支持することが好ましい(請求項4)。基板ホルダーとの間で受け渡しを行う搬送機構が、基板の最大径部分よりも下部を保持することができるので、基板に対してストレスを加えることなく基板を確実に保持することができる。
【0015】
また、本発明において、前記左第2支持ユニット及び前記右第2支持ユニットは、前記貯留槽の底部かつ、前記第1支持ユニットを挟んだ位置にそれぞれ支点を備えるとともに、前記第1支持ユニットから離反する際に、互いに離反する方向に回動することが好ましい(請求項5)。左第2支持ユニット及び右第2支持ユニットがそれぞれの支点で回動して第1支持ユニットに連結すると、基板の周面から基板の中心に向けて力を加えることになり、基板に余分なストレスを与えることなく基板の周面を液密に支持することができる。また、離反すると、左第2支持ユニット及び右第2支持ユニットが内面を上方に向ける姿勢となるので、化成反応で生じた気泡を離脱させることができ、後続するロットの処理に気泡による処理ムラが生じるのを防止することができる。
【0016】
また、本発明において、前記貯留槽の上部開口を開閉する一対のカバーを備え、前記駆動機構は、前記一対のカバーを開閉駆動するカバー駆動機構と兼用されていることが好ましい(請求項6)。一対のカバーを駆動するカバー駆動機構と駆動機構とを兼用するので、構成を簡易化することができ、基板の搬送時における各部の制御を容易にすることができる。また、カバー駆動機構によってカバーが閉められた時は、基板ホルダーによって基板の全周面をさらに確実に液密に支持でき、カバーが開かれた時は、基板ホルダーの上部が開くので、基板の均一な処理を維持しつつ、処理槽に対する基板の搬入、搬出時間を短縮することができる。
【0017】
また、本発明において、前記第2支持部は、内面から外面に連通し、上部開口部が前記貯留槽の液面より上に位置する排気通路を備えていることが好ましい(請求項7)。陽極化成反応により気体が発生し、基板ホルダー内に気泡として滞留すると、反応ムラが生じる恐れがある。しかし、排気通路を設けているので、発生した気体が基板ホルダー内に滞留せず、外部に排出される。したがって、気泡に起因する処理ムラを防止することができる。
【0018】
また、本発明において、前記第1支持部は、内面に弾性部材を備え、基板の下面が載置される位置には凹部が形成されていることが好ましい(請求項8)。第1支持部に基板が載置され、第2支持部で基板の上部周面が支持されると、基板の下部の周面が弾性部材を押圧するとともに、凹部にまで入り込む。したがって、基板の周面を含む基板の表裏面の一部を支持することができ、隣接する基板間の電解質溶液が流通することがない。その結果、基板に作用する電解質溶液の濃度が安定して処理を安定的に行うことができる。
【0019】
また、本発明において、前記第1支持部は、前記凹部を挟む位置に、基板が載置される際の案内を行うとともに、基板の倒れを防止するガイドピンを備えていることが好ましい(請求項9)。第1支持部に基板が載置される際に、所定の位置に確実に案内させることができるとともに、基板を載置しただけの状態で基板が倒れるのを防止することができる。
【0020】
また、本発明において、前記ガイドピンは、前記弾性部材から突出して設けられた基部と、前記基部の上部に形成され、前記基部よりも基板側へ突出して形成されている案内部とを備えていることが好ましい(請求項10)。案内部で基板の案内と位置の安定化を図るとともに、基部と基板面との間に電解質溶液が滞留するのを許容する。したがって、案内部周辺において化成反応が生じない部分を少なくすることができる。
【0021】
また、本発明において、前記左第2支持ユニットと前記右第2支持ユニットとの接合部は、前記左第2支持ユニットと前記右第2支持ユニットの内面に設けられた弾性部材を介して基板のノッチを押圧するノッチ押圧機構を備えていることが好ましい(請求項11)。ノッチ押圧機構により弾性部材が基板のノッチに押圧されるので、ノッチ部分を通して基板の表裏面側の電解質溶液が流通し、濃度変動が生じるのを防止できる。
【0022】
また、本発明において、前記ノッチ押圧機構は、前記左第2支持ユニットまたは前記右第2支持ユニットの一方に配置され、基板の中心に向かって摺動可能なスライド部材と、前記左第2支持ユニットまたは前記右第2支持ユニットの他方に配置され、前記左第2支持ユニットと前記右第2支持ユニットとが接合する際に、前記スライド部材を押圧する押圧部材と、を備えていることが好ましい(請求項12)。左第2支持ユニットと右第2支持ユニットとが接合する際に、スライド部材が押圧部材によって押圧されることにより、基板のノッチが弾性部材で押圧される。したがって、左第2支持ユニットと右第2支持ユニットとを接合する動作に連動してノッチ押圧機構が作動するので、特別な制御を行う必要がない。
【0023】
また、本発明において、前記第1支持部の内面に備えられた弾性部材は、前記第2支持部の内面に備えられた弾性部材より固いことが好ましい(請求項13)。第2支持部で基板を支持した際に、基板の位置が第1支持部側に移動し過ぎないようにできる。したがって、基板の周面の下部とともに残りの周面をほぼ均等に支持できる。
【0024】
また、本発明において、前記左第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとの接合部、及び前記右第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとの接合部は、発泡材を備えていることが好ましい(請求項14)。連結時における衝撃を和らげるとともに、接合部における密閉度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る陽極化成装置によれば、貯留槽内に配置されている第1支持ユニットと第2支持ユニットとが駆動機構により離反される。この状態で、複数枚の基板が第1支持ユニットの第1支持部に載置され、基板の周面のうちの下部だけが電解質溶液に対して液密に支持される。駆動機構により第2支持ユニットが第1支持ユニットに対して連結されると、基板の周面の残り部分が第2支持部によって電解質溶液に対して液密にされた状態で複数枚の基板が支持される。これにより基板の周面が全周にわたって電解質溶液に対して強固に液密にされる。陽極化成反応が終了すると、駆動機構により第2支持ユニットが第1支持ユニットから離反され、第1支持ユニットに支持されている複数枚の基板が貯留槽から搬出される。したがって、駆動機構で第1支持ユニットと第2支持ユニットとが着脱自在な基板ホルダーとすることにより、貯留槽に対して複数枚の基板を機械的に搬入搬出させることができる。その結果、自動化及びバッチ処理に好適な陽極化成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例に係る陽極化成装置の概略構成を正面から見た縦断面図である。
【図2】実施例に係る陽極化成装置の概略構成を側面から見た縦断面図である。
【図3】実施例に係る陽極化成装置の概略構成の平面図である。
【図4】基板ホルダーを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【図5】第1支持ユニットの正面図である。
【図6】第1支持ユニットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図7】第2支持ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は左第2支持ユニット、(b)は右第2支持ユニットである。
【図8】第1支持ユニットと第2支持ユニットの連結時の動作を示す模式図であり、(a)は離反時、(b)は連結時を示す。
【図9】左第2支持ユニットと右第2支持ユニットの連結時の動作を示す模式図であり、(a)は離反時、(b)は連結時を示す。
【図10】第1支持ユニットへ基板を載置した際の状態を示す模式図であり、(a)は基板を載置した状態、(b)は第2支持ユニットにより基板を押圧した状態を示す。
【図11】化成反応時の状態を示す模式図である。
【図12】第1支持ユニットの変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【図13】第2支持ユニットの変形例を示す図である。
【図14】第1支持ユニット及び第2支持ユニットの変形例を示す図である。
【図15】第1支持ユニット及び第2支持ユニットの他の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、実施例に係る陽極化成装置の概略構成を正面から見た縦断面図であり、図2は、実施例に係る陽極化成装置の概略構成を側面から見た縦断面図であり、図3は、実施例に係る陽極化成装置の概略構成の平面図である。
【0028】
実施例に係る陽極化成装置は、複数枚の基板に対して同時に陽極化成反応を生じさせて、例えば、シリコン基板に対して多孔質化の処理を行う機能を備えている。この陽極化成装置は、外容器1と、内容器3とを備えている。内容器3は、外容器1の内部に収容されている。なお、図1は、図示の関係上、外容器1及び内容器3を図示省略している。
【0029】
内容器3は、一対の電極槽5,7と、一つの貯留槽9とを備えている。貯留槽9は、電解質溶液を貯留する。貯留槽9は、内槽11と外槽13とを有する。電解質溶液としては、例えば、フッ化水素酸の混合液が挙げられる。電解質溶液は、図示しない秤量槽から内槽11の底部に供給され、余剰分が外槽13に溢れて回収される。
【0030】
貯留槽9は、その上部開口を開閉する一対のカバー15を備えている。一対のカバー15は、平面視で長方形状を呈する(図3に二点鎖線で示す)。それぞれのカバー15は、貯留槽9の長辺側に沿って、支持アーム17に取り付けられている。支持アーム17は、その先端側がカバー15に取り付けられ、基端部側が外容器1から延出されている。
【0031】
外容器1の一方の側面側(図3の左側面)には、一対のエアシリンダ19が取り付けられている。これらの一対のエアシリンダ19は、水平姿勢で外容器1に取り付けられ、作動片が進退する側を互いに対向された状態とされている。また、一対のエアシリンダ19は、図2に示すように、高さ方向にて段違いとなる位置に取り付けられている。一対のエアシリンダ19は、それぞれの作動片が各支持アーム17の基端部側に連結されている。一対のエアシリンダ19が作動され、作動片が進出されると、支持アーム17に連動して一対のカバー15が互いに接近し、一対のカバー15が内槽11の上方中央を覆う(図1において実線で示す)。また、一対のエアシリンダ19が非作動とされ、作動片が退出されると、支持アーム17に連動して一対のカバー15が互いに離反し、一対のカバー15が内槽11の上方から外槽13の上方へ移動する(図1及び図3において二点鎖線で示す)。
【0032】
なお、一対のエアシリンダ19が本発明における「カバー駆動機構」に相当する。
【0033】
内槽11の一方側(図2、図3の左側)には、電極槽5が設けられている。この電極槽5は、電解質溶液を貯留し、電解質溶液に浸漬する位置に電極21が配置されている。また、内槽11の他方側(図2、図3の右側)には、電極槽7が設けられている。この電極槽7も電解質溶液を貯留し、電解質溶液に浸漬する位置に電極23が設けられている。これらの一対の電極槽5,7は、内槽11に供給される電解質溶液と同種のものを貯留している。但し、濃度が内槽11のものよりも低く設定されていることが好ましい。例えば、内槽11の電解質溶液を、フッ化水素酸溶液:イソプロピルアルコール:純水=1:1:1とした場合、電解槽5,7の電解質溶液は、内槽11の電解質溶液を50倍に薄めたものとすることが好ましい。
【0034】
電極21は、例えば、図示しない電源の負極が接続され、電極23は、図示しない電源の正極が接続されているものとする。また、電極21,23は、図示省略しているが、例えば、図示しない電源に接続される金属と、電解質溶液に触れる側にシリコン基板とを備えた二重構造であることが好ましい。金属としては、電解質溶液に耐性を有するものであれば何でもよいが、例えば、白金、パラジウム、金、銀、銅が挙げられる。電解質溶液として例示したものには、フッ化水素酸が含まれており、たとえ、ある程度の耐性を有しても金属成分が溶出する。しかし、電解質溶液側にシリコン基板を備えているので、処理対象の基板が異種の金属によって汚染されるのを防止できる。
【0035】
電極槽5の内槽11側にある隔壁25は、円形状の開口部27を有する。この開口部27には、イオン交換膜29が取り付けられている。電極槽7の内槽11側にある隔壁31は、同様に開口部33を備え、イオン交換膜35が取り付けられている。イオン交換膜29,35としては、例えば、デュポン社のナフィオン(登録商標)が挙げられる。なお、好ましくは、イオン交換膜29,35を、複数個の穴を有するパンチングプレートで挟持して用いる。これにより浸透圧によりイオン交換膜29,35が膨張し、イオン交換作用の変動に起因する濃度変動を防止することができ、その結果、処理ムラを抑制することができる。
【0036】
ここで、さらに図4〜図7を参照する。なお、図4は、基板ホルダーを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。図5は、第1支持ユニットの正面図である。図6は、第1支持ユニットを示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。図7は、第2支持ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は左第2支持ユニット、(b)は右第2支持ユニットである。
【0037】
貯留槽9内の内槽11には、基板ホルダー41が配置されている。この基板ホルダー41は、ホルダー基部43と、ホルダー端部45,47とを備えている。ホルダー基部43は、複数枚の基板を収容する空間を備えている。ホルダー端部45,47は、貫通口49,51が形成されている。ホルダー端部45,47は、円筒状の外観を呈し、円筒状の外周部にOリング53,55が取り付けられている。これらのOリング53,55は、図示しない取付部材により、隔壁25,31に対して液密に基板ホルダー41を取り付けるために設けられている。
【0038】
ホルダー基部43は、図5,図6に示す第1支持ユニット57を備えている(図4では不図示)。第1支持ユニット57は、図5に示すように、正面から見て、基板Wの直径より短い弦を有する円弧状を呈する。第1支持ユニット57は、第1支持部59を複数個備えている。例えば、一度に処理する基板Wの枚数が25枚であれば、第1支持ユニット57は、25個の第1支持部59を基板Wの整列方向に備える。第1支持ユニット57は、基板Wの直径より短い弦を有する円弧状であるので、図5に示すリフタLFにより、基板Wの最大直径部分より下の部分を係止することができる。したがって、搬送時に基板Wに対してストレスを与えにくく、基板Wの破損等を防止できる。
【0039】
第1支持部59は、基板Wの周面のうち下部のみを当接して液密に支持する。第1支持部59は、上面に凹部61が形成されている。凹部61は、基板Wの厚さよりも若干幅が広く設定されている。凹部61を挟んで対向する位置には、ガイドピン63が取り付けられている。ガイドピン63は、図5に示すように、基板Wの面方向から見て、中央付近と左右の三カ所に設けられている。各ガイドピン63は、各中心軸が基板Wの中心に向けられている。ガイドピン63は、基部65と、案内部67とを備えている。また、第1支持部59の表面には、弾性部材69が貼り付けられている。ガイドピン63の基部65は、弾性部材69の表面から突出しており、その上部に案内部67が形成されている。案内部67は、凹部61側に傾斜面71を備え、基部65から凹部61側に突出している。弾性部材69は、電解質溶液に対して耐性を有する部材で構成され、例えば、四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
【0040】
第1支持部59は、基板Wの配列方向に隣接して設けられ、隣接する第1支持部59のガイドピン63は、互い違いの位置(千鳥)となるように取り付けられている。これにより、基板Wの整列方向における第1支持ユニット57の長さを短縮することができ、装置のコンパクト化を図ることができる。第1支持ユニット57、第2支持ユニット73、ガイドピン63は、電解質溶液に耐性を有する合成樹脂であり、例えば、塩化ビニル樹脂(polyvinyl chloride、PVC)が挙げられる。
【0041】
基板ホルダー41は、その上部に、図7に示す第2支持ユニット73を備えている。第2支持ユニット73は、左第2支持ユニット75と、右第2支持ユニット77とを備えている。左第2支持ユニット75と、右第2支持ユニット77は、正面から見てCの字状と、逆Cの字状を呈する。第2支持ユニット73は、第1支持ユニット57により液密に支持された基板Wの外周面のうちの残りの外周面を液密に当接支持する。左第2支持ユニット75は、一枚の基板Wを支持する左第2支持部79を基板Wの整列方向に複数個隣接して備えている。また、右第2支持ユニット77は、一枚の基板Wを支持する右第2支持部81を基板Wの整列方向に複数個隣接して備えている。各左第2支持部79が隣接する境界であって内面上部には、排気通路83が形成されている。排気通路83は、基板Wの周面に沿って二カ所に形成されている。排気通路83の上部開口は、貯留槽9に貯留されている電解質溶液の液面(図1の符号SL)から上方に位置する。また、各右第2支持部81が隣接する境界には、各左第2支持部79と同様に、排気通路85が内面の二カ所に形成されている。また、左第2支持ユニット75は、内面に弾性部材87が貼り付けられ、右第2支持ユニット77は、同様に弾性部材89が貼り付けられている。但し、弾性部材87,89は、排気通路83,85を塞がないようにしてある。
【0042】
上述した弾性部材87,89は、電解質溶液に対して耐性を有する部材である。例えば、四フッ化エチレン樹脂が挙げられるが、第1支持ユニット57の弾性部材69よりも柔らかいことが好ましい。換言すると、第1支持ユニット57の弾性部材69は、弾性部材87,89よりも固いことが好ましい。
【0043】
第2支持ユニット73は、図1に示すように開閉可能に構成され、第1支持ユニット57に対して着脱される。具体的には、左第2支持ユニット75は、基台部91と、支点93と、揺動アーム95と、連結部97とを備えている。基台部91は、第1支持ユニット57を挟んで、内槽11の底部に固定されて取り付けられている。支点93は、揺動アーム95の一方側が基台部91に取り付けられた部分に設けられている。揺動アーム95の他方側は、左第2支持ユニット75の外周部に固定されている。また、右第2支持ユニット77は、左第2支持ユニット75と同様に、基台部99と、支点101と、揺動アーム103と、連結部105とを備えている。
【0044】
連結部97は、懸垂部材107と、摺動ピン109と、固定部材111とを備えている。懸垂部材107は、カバー15の下面に懸垂姿勢で取り付けられている。この懸垂部材107には、図1において紙面方向に貫通した長穴113が形成されている。固定部材111は、左第2支持ユニット75の上部外周面に固定され、長穴113に挿通された摺動ピン109を備えている。摺動ピン109は、長穴113内にて移動自在である。なお、符号を省略してあるが、連結部105も連結部97と同様の構成である。したがって、一対のエアシリンダ19が作動されて一対のカバー15が開放されると、図1における二点鎖線で示すように、支点93,101廻りに左第2支持ユニット75と右第2支持ユニット77とが離反し、第1支持ユニット57を残して、基板ホルダー41の上部及び両側面部が開放される。また、一対のエアシリンダ19が作動されて一対のカバー15が閉止されると、支点93,101廻りに左第2支持ユニット75と右第2支持ユニット77とが接近し、基板ホルダー41の上部及び両側面部が閉止され、内槽11の電解質溶液に対して基板ホルダー41内に基板Wが密閉状態とされる。なお、このとき、左第2支持ユニット75と右第2支持ユニット77とによる力は、図1の二点鎖線矢印で示すように、基板の中心に向かう。
【0045】
このように、第2支持ユニット73の開閉を、一対のカバー15を駆動する一対のエアシリンダ19で兼用して駆動しているので、駆動に係る構成を簡易化することができ、基板Wの搬送時における各部の制御を容易にすることができる。なお、一対のエアシリンダ19が本発明における「駆動機構」に相当する。
【0046】
ここで図8を参照する。なお、図8は、第1支持ユニットと第2支持ユニットの連結時の動作を示す模式図であり、(a)は離反時、(b)は連結時を示す。
【0047】
第1支持ユニット57の側面部115には、緩衝部材117が取り付けられている。緩衝部材117は、例えば、電解質溶液に対して耐性を備えたスポンジ材が挙げられる。この緩衝部材117は、第1支持ユニット57に対して、第2支持ユニット73が当接される際の衝撃を弱めるとともに、接合部における液密度合いを維持する。また、第1支持ユニット57の弾性部材69は、端部が緩衝部材117よりも長く延出されている。したがって、図8(a)に示すように第1支持ユニット57と第2支持ユニット73が離反した状態から、図8(b)に示す連結状態とされた際に、接合部における液密度合いを維持することができる。
【0048】
ここで、図9を参照する。なお、図9は、左第2支持ユニットと右第2支持ユニットの連結時の動作を示す模式図であり、(a)は離反時、(b)は連結時を示す。
【0049】
左第2支持ユニット75は、スライド部材119を備えている。このスライド部材119は、弾性部材87の外面に当接し、左第2支持ユニット75の上部右側面部に、左第2支持ユニット75が閉止された状態における高さ方向(基板Wの中心方向)に摺動自在に取り付けられている。スライド部材119は、右第2支持ユニット77側に傾斜した傾斜面121を備えている。右第2支持ユニット77は、押圧部材123を備えている。この押圧部材123は、右第2支持ユニット77の上部左側面部に固定して取り付けられている。押圧部材123には、押圧部材123の傾斜面121よりも傾斜角度が緩やかな傾斜面125が形成されている。上記のスライド部材119と押圧部材123とがノッチ押圧機構127を構成している。したがって、図9(a)に示す左第2支持ユニット75と右第2支持ユニット77が離反した状態から、図9(b)に示す連結状態とされた際に、押圧部材123がスライド部材119を基板Wの中心方向に移動するので、左第2支持ユニット75の弾性部材87が基板WのノッチNに向けて移動される。その結果、基板WのノッチNが弾性部材87により覆われ、基板Wの両面にある電解質溶液がノッチNを通って流通するのを防止できる。よって、電解質溶液の濃度変動を抑制して、処理の均一性を向上させることができる。
【0050】
なお、ノッチ押圧機構127は、左第2支持ユニット75に押圧部材123を備え、右第2支持ユニット77にスライド部材119を備える構成としてもよい。
【0051】
ここで、図10を参照する。なお、図10は、第1支持ユニットへ基板を載置した際の状態を示す模式図であり、(a)は基板を載置した状態、(b)は第2支持ユニットにより基板を押圧した状態を示す。
【0052】
第2支持ユニット73が第1支持ユニット57から離反した状態で、図示しないリフタにより基板Wが第1支持ユニット57に載置されると、図10(a)のように、ガイドピン63で基板Wの下面が案内されて、凹部61の上部に位置される。そして、上記のように第2支持ユニット73が第1支持ユニット57に連結されると、基板Wの上部左右から基板Wが押圧される。すると、図10(b)に示すように、弾性部材69が基板Wの下面で押圧され、凹部61側に入り込む。第1支持ユニット57の弾性部材69は、第2支持ユニット73の弾性部材87,89よりも固く設定されており、これにより第2支持ユニット73で基板Wを支持して押圧した際に、基板Wの位置が第1支持ユニット57側に移動し過ぎないようにできる。したがって、基板Wの周面の下部とともに、残りの周面を含めた全周面についてほぼ均等、かつ電解質液に対して液密に支持できる。
【0053】
また、凹部61にまで基板Wの周面が入り込むので、基板Wの周面を含む基板Wの表裏面の一部を支持することができ、隣接する基板Wの間の電解質溶液が流通することがない。その結果、基板Wに作用する電解質溶液の濃度が安定して処理を安定的に行うことができる。
【0054】
また、図11に示すように、ガイドピン63の基部65と基板Wの面との間には、空間spが生じる。この空間spは、基部65と基板Wの面との間に電解質溶液が滞留するのを許容する。したがって、電解陽極処理を行う際に化成反応が生じにくい部分を極力小さくすることができる。
【0055】
上述したように構成された陽極化成装置は、まず貯留槽9に所定濃度の電解質溶液を供給し、一対の電極槽5,7に所定濃度の電解質溶液を供給しておく。次に、一対のエアシリンダ19の作動させて一対のカバー15を開放させる(図1の二点鎖線を参照)。このとき連動して左第2支持ユニット75及び右第2支持ユニット77が離反し、貯留槽9の電解質溶液が基板ホルダー41内に流入する。次に、複数枚の基板Wをリフタで搬送し、第1支持ユニット57に複数枚の基板Wを載置する(図10(a)参照)。次に、一対のエアシリンダ19を作動させて、一対のカバー15を閉止させる(図1の実線を参照)。このとき、連動して左第2支持ユニット75及び右第2支持ユニット77が第1支持ユニット57に連結するとともに(図8(a)、(b)参照)、ノッチ押圧機構127が作動する(図9(a)、(b)参照)。これにより、複数枚の基板WがノッチNを含む全周面をシールされた状態とされ、貯留槽9の電解質溶液に対して液密な状態で基板ホルダー41に収容される。この状態で、電極21及び電極23に通電すると、化成反応が生じて複数枚の基板Wがポーラス化(多孔質化)される。陽極化成反応によりガスが発生するが、第2支持ユニット73は、排気通路83,85を備えているので、ここから気泡が基板ホルダー41外部に排出される。したがって、気泡に起因して処理ムラが生じるのを防止することができる。
【0056】
所定時間の化成反応処理が終了すると、電極21及び電極23への通電を停止するとともに、一対のエアシリンダ19を作動させて一対のカバー15を開放させる。すると、これに連動して左第2支持ユニット75及び右第2支持ユニット77が離反し、貯留槽9の電解質溶液が基板ホルダー41内に流入する。これにより次の複数枚の基板Wが処理される際の電解質溶液がリフレッシュされる。次に、リフタで処理済の複数枚の基板Wを挟持して基板ホルダー41の外部へ搬出する。
【0057】
本実施例装置によると、貯留槽9内に配置されている第1支持ユニット57と第2支持ユニット73とが一対のエアシリンダ19により離反される。この状態で、複数枚の基板Wが第1支持ユニット57の第1支持部59に載置され、基板Wの周面のうちの下部だけが電解質溶液に対して液密に支持される。一対のエアシリンダ19により第2支持ユニット73が第1支持ユニット57に対して連結されると、基板Wの周面の残り部分が左第2支持部79及び右第2支持部81によって電解質溶液に対して液密にされた状態で複数枚の基板Wが支持される。これにより基板Wの周面が全周にわたって電解質溶液に対して液密にされる。陽極化成反応が終了すると、一対のエアシリンダ19により第2支持ユニット73が第1支持ユニット57から離反され、第1支持ユニット57に支持されている複数枚の基板Wが搬出される。したがって、一対のエアシリンダ19で第1支持ユニット57と第2支持ユニット73とが着脱自在な基板ホルダー41とすることにより、複数枚の基板Wを機械的に貯留槽に対して搬入搬出させることができる。その結果、自動化及びバッチ処理に好適な陽極化成装置を実現できる。
【0058】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0059】
(1)上述した実施例では、第1支持部59においてガイドピン63を基板Wの表裏面に一対で備え、基板Wの整列方向において千鳥となる配置の第1支持ユニット57としている。しかし、本発明の第1支持ユニット57はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、図12に示すような構成としてもよい。なお、図12は、第1支持ユニットの変形例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【0060】
この第1支持部59Aは、凹部61の両側にガイドピン63Aを備えている。ガイドピン63Aは、基部65Aの上部に、凹部61側へ張り出した案内部67Aを備えている。この案内部67Aは、案内面71Aを基板Wの整列方向の両側に備えている。また、ガイドピン63Aは、千鳥配置ではなく、基板Wの整列方向に直線状に配置されている。ガイドピン63Aが両側に案内面71Aを備えているので、隣接する第1支持部59Aでガイドピン63Aを兼用することができ、第1支持ユニット57Aの基板Wの整列方向における長さを短くすることができ、装置のコンパクト化に貢献できる。
【0061】
(2)上述した実施例では、左第2支持ユニット75と右第2支持ユニット77とが貯留槽9の底部の支点93,101で回動されたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、図13に示す構成としてもよい。なお、図13は、第2支持ユニットの変形例を示す図である。
【0062】
この変形例は、左第2支持ユニット75Aと右第2支持ユニット77Aとが上部に支点129を備えた第2支持ユニット73Aで構成されている。また、基板Wの搬入出時において、第2支持ユニット73Aを待避させる機構が必要となるが、貯留槽9内に機構が不要となって、貯留槽9の構成を簡易化できる。
【0063】
(3)上述した実施例では、第1支持ユニット57と第2支持ユニット73を備え、さらに第2支持ユニット73を左第2支持ユニット75と右第2支持ユニット77とで構成した。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、例えば、図14に示すような構成を採用してもよい。なお、図14は、第1支持ユニット及び第2支持ユニットの変形例を示す図である。
【0064】
この第1支持ユニット57Bと第2支持ユニット73Bは、第2支持ユニット73Bが分割されていない。また、第1支持ユニット57Bと第2支持ユニット73Bは、基板Wの最大径付近にて上下に分割されている。第1支持ユニット57Bと第2支持ユニット73Bは、支点131で第1支持ユニット57Bに対して第2支持ユニット73Bが回動可能に構成されている。このように構成することにより、部品点数を削減することができ、低コスト化を図ることができる。また、装置の構成の簡易化を図ることもできる。
【0065】
(4)上述した実施例では、円形状の基板Wを対象にして説明したが、本発明は円形状の基板W以外の、例えば、角形の基板Wを処理することもできる。そのためには、例えば、図15のように構成すればよい。なお、図15は、第1支持ユニット及び第2支持ユニットの他の変形例を示す図である。
【0066】
この変形例では、対向する角部を上下方向(水平方向)に向けた姿勢で角形の基板Wを処理する。この場合には、第1支持ユニット57CをVの字状に構成する。さらに、第2支持ユニット73Cを左第2支持ユニット75Cと右第2支持ユニット77Cの二分割とする。このような構成とすることで、上述した実施例と同様の構成により角形の基板Wを処理することができる。
【0067】
なお、角形の基板Wであっても、上記(2)、(3)のような構成を併せて採用してもよい。
【0068】
(5)上述した実施例では、ノッチ押圧機構127を備えているが、本発明はノッチ押圧機構127を必ずしも必要としない。
【0069】
(6)上述した実施例では、排気通路83,85を備えているが、処理により発生した気泡の影響が小さい場合や無視できる場合には、排気通路83,85を備える必要はない。
【0070】
(7)上述した実施例では、一対のカバー15を開閉駆動する一対のエアシリンダ19により第2支持ユニット73を駆動したが、第2支持ユニット73に専用の駆動機構を採用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
W … 基板
1 … 外容器
3 … 内容器
5,7 … 電極槽
9 … 貯留槽
11 … 内槽
13 … 外槽
15 … カバー
17 … 支持アーム
19 … エアシリンダ
21,23 … 電極
25,31 … 隔壁
29,35 … イオン交換膜
41 … 基板ホルダー
57 … 第1支持ユニット
59 … 第1支持部
61 … 凹部
63 … ガイドピン
65 … 基部
67 … 案内部
73 … 第2支持ユニット
75 … 左第2支持ユニット
77 … 右第2支持ユニット
79 … 左第2支持部
81 … 右第2支持部
83,85 … 排気通路
93,101 … 支点
119 … スライド部材
123 … 押圧部材
127 … ノッチ押圧機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質溶液に基板を浸漬させて陽極化成反応を行う陽極化成装置において、
電解質溶液を貯留する貯留槽と、
基板の周面のうち下部のみを当接して液密に支持する第1支持部を、複数枚の基板の整列方向に沿って複数個有する第1支持ユニット、及び前記第1支持部で支持される基板の周面の残り部分を当接して液密に支持する第2支持部を、複数枚の基板の整列方向に沿って複数個有し、前記第1支持ユニットに対して着脱自在に構成されている第2支持ユニットを備えた、前記貯留槽内に配置されている基板ホルダーと、
前記基板ホルダーに複数枚の基板を載置する際、及び前記基板ホルダーに載置されている複数枚の基板を搬出する際には、前記第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとを離反させ、前記基板ホルダーに複数枚の基板が載置された後には、前記第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとを連結させる駆動機構と、
を備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の陽極化成装置において、
前記基板ホルダーは、前記第1支持ユニットと前記第2支持ユニットとが連結された際に外観が筒状を呈し、基板の整列方向に相当する一端側と他端側とにイオンの流通を許容するとともに、内部の電解質溶液と前記貯留槽中の電解質溶液との流通を遮断するイオン交換膜を備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の陽極化成装置において、
前記第2支持ユニットは、前記第2支持部として、基板の周面の残りのうちの左側を支持する左第2支持部を備えた左第2支持ユニットと、前記第2支持部として、基板の周面の残りのうちの右側を支持する右第2支持部を備えた右第2支持ユニットとを備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の陽極化成装置において、
前記第1支持部は、基板の下部のうち、直径よりも短い弦に相当する周面を支持することを特徴とする陽極化成装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の陽極化成装置において、
前記左第2支持ユニット及び前記右第2支持ユニットは、前記貯留槽の底部かつ、前記第1支持ユニットを挟んだ位置にそれぞれ支点を備えるとともに、前記第1支持ユニットから離反する際に、互いに離反する方向に回動することを特徴とする陽極化成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の陽極化成装置において、
前記貯留槽の上部開口を開閉する一対のカバーを備え、
前記駆動機構は、前記一対のカバーを開閉駆動するカバー駆動機構と兼用されていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の陽極化成装置において、
前記第2支持部は、内面から外面に連通し、上部開口部が前記貯留槽の液面より上に位置する排気通路を備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の陽極化成装置において、
前記第1支持部は、内面に弾性部材を備え、基板の下面が載置される位置には凹部が形成されていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の陽極化成装置において、
前記第1支持部は、前記凹部を挟む位置に、基板が載置される際の案内を行うとともに、基板の倒れを防止するガイドピンを備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項10】
請求項9に記載の陽極化成装置において、
前記ガイドピンは、前記弾性部材から突出して設けられた基部と、前記基部の上部に形成され、前記基部よりも基板側へ突出して形成されている案内部とを備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項11】
請求項3から10のいずれかに記載の陽極化成装置において、
前記左第2支持ユニットと前記右第2支持ユニットとの接合部は、前記左第2支持ユニットと前記右第2支持ユニットの内面に設けられた弾性部材を介して基板のノッチを押圧するノッチ押圧機構を備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の陽極化成装置において、
前記ノッチ押圧機構は、前記左第2支持ユニットまたは前記右第2支持ユニットの一方に配置され、基板の中心に向かって摺動可能なスライド部材と、前記左第2支持ユニットまたは前記右第2支持ユニットの他方に配置され、前記左第2支持ユニットと前記右第2支持ユニットとが接合する際に、前記スライド部材を押圧する押圧部材と、を備えていることを特徴とする陽極化成装置。
【請求項13】
請求項1に記載の陽極化成装置において、
前記第1支持部の内面に備えられた弾性部材は、前記第2支持部の内面に備えられた弾性部材より固いことを特徴とする陽極化成装置。
【請求項14】
請求項3に記載の陽極化成装置において、
前記左第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとの接合部、及び前記右第2支持ユニットと前記第1支持ユニットとの接合部は、発泡材を備えていることを特徴とする陽極化成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−119570(P2012−119570A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269416(P2010−269416)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【出願人】(510318723)ソレクセル インコーポレーテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Solexel, Inc.
【住所又は居所原語表記】1530 McCarthy Blvd Milipitas, CA 95035
【Fターム(参考)】