説明

集光光学素子及びそれを用いた装置

【課題】
LEDの放射光の距離による照度低下を少なくする集光光学素子を提供することを目的とする。
【解決手段】
光源LED1は、プリント配線板12に半田付けで固定される。LEDの前面に、0.5mm以内の隙間を設けて集光プリズム9を配置する。集光プリズムは、一体形成された高さ規制ボス10及び位置決め用の取り付けフック11で、プリント配線板上に設置される。LEDの放射光は内側楕円円錐面14及び凹球面15より入射され、外側楕円円錐面16で反射して出射面8に行く光と、凸球面17より出射する光となる。この出射する光の角度を、光源LED1の光中心の垂線に近平行になるように、内側楕円円錐面の角度等を設定する。放射光は集光プリズムを経由する事で円柱状の光に変換され、距離による照度低下の少ない光となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に配置されたLEDからの光を集光する光学素子及びそれを用いた装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDから放射された光を集光する方法としては、「凸レンズ方式」が開示されている。(例えば、特許文献1参照。)これは、図15に示すように、プリント配線板12に半田付けされた光源LED1上に、最適な間隔を保つ為の間隔部材2を介して凸レンズ3を配置し、LED光を集光する方式である。また「集光プリズム方式」も開示されている。(例えば、特許文献2参照。)これは、図16に示すように、光源LED1をプリズム4の内側凹部内に差し込む方式がとられている。
【0003】
「凸レンズ方式」では、図15の光線追跡図が示すように、光源LED1が放射する光を、前面に設けた凸レンズ3を介して凸レンズの光を絞り込む作用を使い、放射状の角度を狭くする事が可能になる。
【0004】
また「集光プリズム方式」では、プリズム4のプリズム中央部分の凹部の内部垂直面5の内側に、光源LED1を差し込む構造になっている。図16の光線追跡図が示すように、光源LED1が放射する外向きに出る光は、中央近傍の逆凸球面6に入る光と分割され、凹部の内部垂直面5より入射し、プリズム外形部に設けた反射球面7で反射し出射面8より出射する。結果として、このプリズムより出射された光は、LEDの光中芯の垂線を中心とする円柱状のまとまった光となる。この光の特長は、光源からの距離が離れても、「凸レンズ方式」のように放射状の角度を持った光ではないため、距離による照度の低下を改善することができる点にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−221042号公報
【特許文献2】実用新案登録第3099030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
「凸レンズ方式」の場合、凸レンズを経由した光源LEDが放射する光は、凸レンズ効果により絞り込まれ、狭められた角度をもった放射状の光になる。しかし、角度を持った放射状の光は、光源LEDからの距離が2倍になると明るさは1/4になる。これは、点光源から出た光の照度は、照度の逆二乗になる法則に従うためである。この法則により光源LEDの前面に凸レンズ配した場合、距離が離れると明るさが大きく低下するという問題がある。
【0007】
一方、従来の「集光プリズム方式」では、光源LEDの中心近傍の光と反射球面を経由した光とは、距離に大きな隔たりが出る。その結果、出射した光は、中心近傍の円形の光とその外側のリング状の光に分割された光となるという問題がある。
【0008】
光源LEDからの光は、LED素子の構造に起因して水平方向から出射する。この水平方向の光を、LED内部の反射板や蛍光体を介することで、LEDの正面方向の光に変換している。その結果、図17に示すように、LEDの光中心の90〜120°の広がりを持った広角に放射された光として出射する。この光をできるだけ集める目的で、上述したように、凸レンズを付けた集光形のLEDとし提案されているが、凸レンズの光を絞り込む機能により、出射角度を絞り込むことはできるが、角度を持つ光として放射されることを免れない。角度を持った光は距離が離れるに従い、同じ面積あたりの光量は低下することになり、照明装置や表示装置としては光量不足になり暗くなるという問題がある。この対応としては、LED自体に流す電流を増やして発光量を増加した高輝度LEDが使われたり、LEDの数を増やして光量を増したりする方法がある。しかし、高輝度LEDを使ったり、LEDの数を増やしたりすることは、LEDに流す電流が増加して消費電力の増加につながる。LEDに流す電流の一部は発光に寄与せず、LED素子の発熱等を起こして熱に変換される。特に、高輝度化された光源LEDでは、発熱により光源LEDの構造体が熱劣化をおこし、LEDの寿命が短くなることがある。この対応としてLED取り付けのプリント配線板を放熱構造の基板とする、又は、特別な放熱器等が必要になり、製作コストや消費電力の増加を招くことになる。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、LED光の距離による照度低下の少ない新たな構造の集光光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1の手段は、LEDの光を集光する一体成形された光透過性合成樹脂からなる集光光学素子であって、LEDの光中心軸から約15度以下の角度の光を取り込む凹球面15と、前記凹球面から取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に屈折し出射させる凸球面17と、前記光中心軸から約15度〜約60度の角度の範囲の光を取り込む、LEDの光放射面の前方にあって前記光中心軸上の点を頂点とする略楕円円錐状の内側楕円円錐面14と、前記内側楕円円錐面から取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に全反射するための、前記光放射面の後方にあって前記光中心軸上の点を頂点とする略楕円円錐状の外側楕円円錐面16と、前記外側楕円円錐面で反射した光を出射させる出射面8と、を備えることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段に記載の集光光学素子であって、プリント配線板への取り付けフック11と、内側楕円円錐面の底部を光放射面との間隔を0.5ミリ以内に接することなく配置するための高さ規制ボス10と、凸球面の頂上部に射出成形のゲート18と、を備えることを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、LEDの光を集光する光透過性合成樹脂からなる集光光学素子であって、LEDの光中心軸と平行で中心軸を同じくする貫通穴を有する集光プリズム19と、前記貫通穴と嵌合する凸部を有する集光レンズ20とから構成され、前記集光プリズムが、プリント配線板への取り付けフック11と、前記貫通穴壁面22の底部をLEDの光放射面との間隔を0.5ミリ以内に接することなく配置するための高さ規制ボス10と、前記貫通穴壁面から取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に全反射するための、前記光放射面の後方にあって前記中心軸上の点を頂点とする略楕円円錐状の外側楕円円錐面16と、を備え、前記集光レンズが、前記凸部の先端部分に備わり、取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に屈折させる凸形状の非球面レンズ21と、前記非球面レンズから入った光及び前記外側楕円円錐面で反射した光の出射面23と、を備えることを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第3の手段に記載の集光光学素子であって、出射面が凹球面であることを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第3の手段に記載の集光光学素子であって、出射面に、同一断面R形状の凹面を有する環状溝が、光中心軸を中心とする同心円状に連続的に複数形成されていることを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第3の手段に記載の集光光学素子であって、出射面が、平行に複数連続して形成された同一断面形状の三角プリズムを有する面であることを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、照明装置であって、プリント配線板上に搭載されたLEDの光放射面上に、第1〜6のいずれかの手段に記載の集光光学素子を有することを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、表示装置であって、プリント配線板上に搭載されたLEDの光放射面上に、第1〜6のいずれかの手段に記載の集光光学素子を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の集光光学素子を光源LED1の前面に配置することで、LEDの広角に放射された光を正面に向けることができ、高輝度LEDを使用したり、LEDの数を増やしたりすることなく、小電力で必要部分に対して十分な光を届けることができ、明るい照明ができることになり、LEDに対し最適電流を流し点灯することにより、LEDの発熱も少なく、特別な放熱の必要がない低コストで省エネな照明器具、表示パネル等を作ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1における集光光学素子の(a)斜視図、(b)上面図、(c)A−A断面図、(d)B−B断面図である。
【図2】実施形態1におけるプリント基板への集光光学素子の取り付け前の図である。
【図3】実施形態2における集光プリズムと中心レンズの(a)取り付け前、(b)取り付け後の側面断面図である。
【図4】実施形態2におけるプリント配線板へ取り付け前の斜視図である。
【図5】実施形態2における集光レンズ形態2の(a)上面図、(b)A−A断面図である。
【図6】実施形態2における集光レンズ形態3の(a)上面図、(b)A−A断面図、(c)出射面拡大図である。
【図7】実施形態2における集光レンズ形態4の(a)上面図、(b)A−A断面図、(c)出射面拡大図である。
【図8】実施形態1の光線追跡図である。
【図9】実施形態1の光線追跡詳細図である。
【図10】実施形態1における中心近傍光と外向きの光の光線追跡解析図である。
【図11】実施形態2における集光レンズ形態2の光線追跡図である。
【図12】実施形態2における集光レンズ形態3の光線追跡図である。
【図13】実施形態2における集光レンズ形態4の光線追跡図である。
【図14】LEDの指向特性と本発明の指向特性の説明図である。
【図15】「凸レンズ方式」における光線追跡図ある。
【図16】「集光プリズム方式」における光線追跡図である。
【図17】光源LEDの出射された光の広がりを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1を、図1、図2及び図8〜10を参照して説明する。図1は、本発明の集光プリズム9の構造を示している。
【0021】
集光プリズム9は光透過性のよい合成樹脂、例えば、透明又はごく僅かに着色されたアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂等を成形したもので、プリント配線板12に位置決め及び固定する取り付けフック11と、高さ規制ボス10を、一体形成したものである。
【0022】
取り付けの最初の段階では、プリント配線板12の上に半田付けされた光源LED1の放射する光中心を基準として、本発明の集光プリズム9の光学中心軸が合い、取り付けフック11がスムーズに入り、フック部で抜け防止ができる大きさの穴を、プリント配線板12に設ける。また、高さ規制ボス10を設け、これがプリント配線板12の平面部にあたることにより、光源LED1の放射面との間に、0.5ミリ以内の空間が取れ、尚且つ内側楕円円錐面14の底部が光源LED1の放射面より下にならない最適な空間距離を守ることができる。
【0023】
プリズム部分は、光源LED1の出射面より放射された90〜120°の角度の光を距離0.5ミリ以内の位置で取り込ことが可能な内側楕円円錐面14と、当該内側楕円円錐面の頂点近傍と、光源LED1の放射した光の中心軸より15°以内の光との交点を底辺とする凹球面15を設ける。また、内側楕円円錐面14より集光プリズム内に取り込まれた光を、光源LEDの光中心の垂線に近平行に全反射するための外側楕円円錐面16を設ける。さらに、内側楕円円錐面の頂点近傍に設けた凹球面15から集光プリズム内に取り込まれた光を、光源LED1の光中心の垂線に近平行になるように屈折させる為の凸球面17を設ける。また、外側楕円円錐面16で反射された光を出射する為の出射面8を設ける。なお、凸球面17の頂点部には本集光プリズムを成形するときに合成樹脂を流し込むためのゲート18を設ける。
【0024】
図2は、上記のプリント配線板12、光源LED1及び集光プリズム9の関係を斜視した図である。
【0025】
図8〜10は、集光プリズムによって光源LED1から放射された光の光線追跡を示す。図10を用いて、本発明の特徴的な光線の追跡を説明する。光源LED1より放射される光の中心近傍の光(a)は、LEDの光中心軸に対し15°以内の光である。また、外向きの光(b)は、LEDの光中心軸に対し15°以上で凹球面15より入射する光以外の外向きの光である。外向きの光(b)は、内側楕円円錐面14よりプリズム内に入る。この時の光の角度は楕円円錐の垂線に対して角度θであり、プリズムに入るときの角度は材質が有する屈折率分だけ屈折し、小さな角度θ’となる。プリズム内に入った光は外側楕円円錐面16に当たる。この時の角度を楕円円錐面の垂線対する角度θを全反射角度以上の角度とし、外側楕円円錐面で反射された光の角度はθ=θ’となる。外側楕円円錐面16で反射された光θ’が光源LEDの光中心の垂線と近平行になるように、内側楕円円錐面14の円錐角度と外側楕円円錐面16の円錐角度を設定する。
【0026】
同様に、光源LED1の放射した光の中央部近傍の光(a)は、内側楕円円錐面14に入った後の角度が狭くなり、外側楕円円錐面16に到達しなくなる。そこで、光源LED1の放射光の中央近傍の光(a)を、内側楕円円錐頂点近傍に凹球面15を設けてプリズム内に導く。この時の光源LED1から放射された光は、凹球面の垂線に対し角度θでプリズム内に入る。プリズムに入った光の角度は、プリズムの有する屈折率により、もとの角度より小さい角度θ’となる。この光は直進し、凸球面17に達する。凸球面17部分より光が出るときは、前記屈折率の関係で角度θは大きくなり、θ’として出射される。この出射光の角度θ’を、光源LEDの光中心の垂線に近平行になるように、凹球面15の球面形状と凸球面17の球面形状を設定する。
【0027】
凸球面17の頂点部に、集光プリズム9を成形するための合成樹脂注入時のゲート18を設ける。本発明のプリズムでは、内側楕円円錐面14の円錐角度及び外側楕円円錐面16の円錐角度、並びに、凹球面15の球面形状及び凸球面17の球面形状が重要である。本プリズムに使用する合成樹脂は、加熱溶解時と冷却固化したときの体積に変化があり、体積収縮が起きる。体積収縮の影響を最小にするには、合成樹脂注入口からプリズムの形状が同心円状にあり、各部分の形状が左右対称になることが望ましい。本発明のプリズムでは、前記条件満たす目的で、凸球面17頂点部分に合成樹脂注入口ゲート18を設けることで、成形時に起きる寸法変化、歪等を最小限にとどめることができる。なお、集光プリズムを形成するに際しては、合成樹脂の注入口は、前記凸レンズ中央部以外に設けることも妨げない。
【0028】
図8と図9は、本発明のプリズムが光源LED1が放射する光を受けた場合の光線追跡図である。図8(a)は、プリズム形状における大まかな光源LED1からの光を追跡した図である。光源LED1の放射面と集光プリズム9の間に、0.5ミリ以内の隙間を設けることで、光源LED1から出た全ての光を集光プリズム9の中に取り込む。光源LED1の放射した光中心の垂線に対し角度を持つ光は、内側楕円円錐面14より入り屈折し外側楕円円錐面16で全反射し、出射面8で屈折して出射される。光源LED1から放射した光中心近傍の光は、凹球面15より入り屈折し凸球面17より屈折して出射される。図8(b)は、出射された光の分布を示す。光源LED1から放射した光において、角度を持った光と中央近傍の光では距離に大きな違いがなく、出射された光の濃淡の少ない光となる。図9は図8の光線追跡本数を増やしたものである。
【0029】
集光プリズム成形時の合成樹脂注入口を凸球面17頂点部分に設けるが、ゲート18による出射光への影響は、図8及び図9に示すように、出射面全体面積に比較し小さく、出射される光に対する影響は少ない。
【0030】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2を、図3〜7を参照し説明をする。図3は本発明の実施形態2の側面図と断面図である。同図(a)は、光源LED1をプリント配線板12に半田付されたものと、本発明の集光プリズム19と集光レンズ20の関係を表している。
【0031】
取り付けは、プリント配線板12上に半田付けされた光源LED1の放射する光中心を基準として、本発明の集光プリズム19の光学中心軸が合い、集光プリズム19の取り付けフック11がスムーズに入り、フック部で抜け防止ができる大きさの穴をプリント配線板12に設ける。集光プリズム19と光源LED1の間に0.5ミリ以内の空間を取る為の高さ規制ボス10が、プリント配線板12の平面部分にあたり、光源LED1の光中心と本発明の集光プリズム19の光学中心軸と所定空間がずれることなく取り付けられる。
【0032】
集光プリズム19及び集光レンズ20は、光透過性のよい合成樹脂、例えば、透明又はごく僅かに着色されたアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂等で成形したもので、集光プリズム19はプリント配線板12に取り付ける取り付けフック11と高さ規制ボス10を一体成形したもので、中央部分に集光レンズ20と嵌合する貫通の穴がある。集光レンズ20は集光プリズム19の中央貫通穴に嵌合する凸部を有し、先端部分に非球面レンズ21が形成される。また、集光プリズム19に対し適正な高さを保つ傘状の円形平板部分を有している。
【0033】
図3においては、集光プリズム19と集光レンズ20は、光源LED1が放射した光の角度を持った光の一部を、集光プリズム19中央の貫通穴壁面22より取り込み、外側楕円円錐面16で反射し出射面8に向ける。外側楕円円錐面16の角度は、貫通穴壁面22に光源LED1が放射した光が入射するときに、材質による屈折率により屈折した光の角度と、外側楕円円錐面16で全反射された光の角度が、光源LED1の光中心の垂線に近平行になるように決める。光源LED1が放射した光は、非球面部の垂線に対し、材質の有する屈折率により屈折した角度の光になり、集光レンズ20内に入る。この時の光の角度が、光源LEDの光中心の垂線に近平行になるように、非球面形状を設定する。集光プリズム19と集光レンズ20を嵌合した場合、集光プリズム19の出射面8から出た光は、集光レンズ20の傘状円形平面部裏面に入り、集光レンズ20の凸形状の非球面レンズ21から入った光と一緒になり、集光レンズ20の集光レンズ出射面23より出射される。
【0034】
図4は、プリント配線板12、光源LED1、集光プリズム19及び集光レンズ20の関係を斜視した図である。
【0035】
集光プリズム19と集光レンズ20を分離し組み合わせることで、集光レンズ出射面23に色々な形状の出射面を設定することができるようになる。その結果、出射される光のアレンジが可能になる。集光プリズム19をベースにして、集光レンズ20の形態違い品を組み合わせることで、広範囲な光の演出が可能になる。
【0036】
図5は集光レンズ形態2の平面図と断面図で、集光レンズ20の出射面23に凹球面24を設けてある。集光プリズム19及び集光レンズ20に入った光源LED1が放射した光は、集光プリズム19内と集光レンズ20内を進み、凹球面24から出射される。集光プリズム19と集光レンズ20内を進む光源LEDの光中心の垂線に近平行な光は、屈折して凹球面24の凹レンズ作用に従い、狭い範囲の放射状の光となる。図11は集光レンズ20の凹球面24による光線を追跡した図である。
【0037】
図6は、集光レンズ出射面23の集光レンズ形態3を表した図である。集光レンズ出射面23の中心から同心円状のR形状を持つ同心R面25を図示している。同図(c)は、同心R面25の拡大図である。集光プリズム19内と集光レンズ20内に進む光源LED1が放射する光の中心垂線に近平行な光は、同心R面25により屈折し、左右の光になる。図12は、集光レンズ23の集光レンズ出射面25の光線を追跡した図であり、拡散された光となる。同図(b)は、同心R面25の光線追跡詳細図である。
【0038】
図7は、集光レンズ出射面23の集光レンズ形態4を表している。図示するように、円形平板状部分に同一ピッチプリズム26を施してある。同図(c)は、集光レンズ出射面23に施す同一ピッチプリズム26の部分拡大図である。集光プリズム19内と集光レンズ20内を進む光源LED1が放射した光中心の垂線に近平行な光は、集光レンズ20の同一ピッチプリズム26のプリズムを形成している片方の斜面で反射し、対向する斜面より屈折して出射される。出射された光は、光源LED1の光中心の垂線に対し、所定角度を持つ光となる。図13は、集光レンズ形態4の形状での光線追跡図である。同図は、出射された光が、光源LED1の放射する光中心の垂線に対し、所定角度を持っていることを示す。同図(b)は出射面の同一ピッチプリズム部分を拡大した光線追跡を示す。
【0039】
上述のように、実施形態1では、集光プリズム9が有する光学作用の屈折、反射を用いて、光源LED1の放射した光を、光中心の垂線に近平行な光とすることで、正面光量を増やし照度アップを図る。実施形態2では、集光プリズム19と集光レンズ20に分割することで、光源LED1の放射する光を、光学作用により光源LED1の光中心の垂線に近平行な光にし、集光レンズ20の出射面に設ける色々の形状で出射する光に変化を付けた演出ができる。
【0040】
本発明の集光プリズムでは、光源LEDの放射する光を正確に集めるため、光源LEDの光中心と本発明の集光プリズムの光学中心軸を正確に合わせることが肝要である。本発明では、光源LEDとの位置、高さを合わせる目的のフック及びボス部分を、集光プリズムと一体化することで、取り付け位置ズレや高さズレ等の防止を可能にしている。なお、脱落防止のフック部分を無くし、高さ規制のボス部の貫通穴を使って、ネジ等で固定することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 光源LED
2 間隔部材
3 凸レンズ
4 プリズム
5 内部垂直面
6 逆凸球面
7 反射球面
8 出射面
9 集光プリズム
10 高さ規制ボス
11 取り付けフック
12 プリント配線板
13 位置決め穴
14 内側楕円円錐面
15 凹球面
16 外側楕円円錐面
17 凸球面
18 ゲート
19 集光プリズム
20 集光レンズ
21 非球面レンズ
22 貫通穴壁面
23 集光レンズ出射面
24 凹球面
25 同心R面
26 同一ピッチプリズム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDの光を集光する一体成形された光透過性合成樹脂からなる集光光学素子であって、LEDの光中心軸から約15度以下の角度の光を取り込む凹球面(15)と、前記凹球面から取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に屈折し出射させる凸球面(17)と、前記光中心軸から約15度〜約60度の角度の範囲の光を取り込む、LEDの光放射面の前方にあって前記光中心軸上の点を頂点とする略楕円円錐状の内側楕円円錐面(14)と、前記内側楕円円錐面から取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に全反射するための、前記光放射面の後方にあって前記光中心軸上の点を頂点とする略楕円円錐状の外側楕円円錐面(16)と、前記外側楕円円錐面で反射した光を出射させる出射面(8)と、を備えることを特徴とする集光光学素子。
【請求項2】
プリント配線板への取り付けフック(11)と、内側楕円円錐面の底部を光放射面との間隔を0.5ミリ以内に接することなく配置するための高さ規制ボス(10)と、凸球面の頂上部に射出成形のゲート(18)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の集光光学素子。
【請求項3】
LEDの光を集光する光透過性合成樹脂からなる集光光学素子であって、LEDの光中心軸と平行で中心軸を同じくする貫通穴を有する集光プリズム(19)と、前記貫通穴と嵌合する凸部を有する集光レンズ(20)とから構成され、
前記集光プリズムが、プリント配線板への取り付けフック(11)と、前記貫通穴壁面(22)の底部をLEDの光放射面との間隔を0.5ミリ以内に接することなく配置するための高さ規制ボス(10)と、前記貫通穴壁面から取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に全反射するための、前記光放射面の後方にあって前記中心軸上の点を頂点とする略楕円円錐状の外側楕円円錐面(16)と、を備え、
前記集光レンズが、前記凸部の先端部分に備わり、取り込まれた光を前記光中心軸に略平行に屈折させる凸形状の非球面レンズ(21)と、前記非球面レンズから入った光及び前記外側楕円円錐面で反射した光の出射面(23)と、
を備えることを特徴とする集光光学素子。
【請求項4】
出射面が凹球面であることを特徴とする請求項3に記載の集光光学素子。
【請求項5】
出射面に、同一断面R形状の凹面を有する環状溝が、光中心軸を中心とする同心円状に連続的に複数形成されていることを特徴とする請求項3に記載の集光光学素子。
【請求項6】
出射面が、平行に複数連続して形成された同一断面形状の三角プリズムを有する面であることを特徴とする請求項3に記載の集光光学素子。
【請求項7】
プリント配線板上に搭載されたLEDの光放射面上に、請求項1〜6のいずれかの項に記載の集光光学素子を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
プリント配線板上に搭載されたLEDの光放射面上に、請求項1〜6のいずれかの項に記載の集光光学素子を有することを特徴とする表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−198473(P2011−198473A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60476(P2010−60476)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(309043883)いがり産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】