説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】来訪者からの呼び出しに二回応答し、解錠しなければならないという居住者の煩わしさを、セキュリティを損なうことなく解消させるとともに、コスト高とならない集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】メイン集合玄関機10における来訪者からの呼び出しに基づいて居住者が解錠操作を行った場合、メインオートドア20を解錠するとともに、メイン集合玄関機10の表示部12に、居室親機60に対応するフロアオートドア40を解錠するための一度だけ有効なパスワードを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅インターホンシステムに関し、特に、立ち入りを制限するためのオートドアを有するセキュリティ性の高い集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅インターホンシステムとして、そのメインエントランスのオートドアに加えてその内部のフロア毎または棟毎にオートドアが設けられているものが存在する。
このような集合住宅インターホンシステムによれば、集合住宅の内部にもオートドアが設けられているため、集合住宅内の居住者が来訪者のためにメインエントランスのオートドアを解錠した際に共連れ的に第三者がマンション内へ入ってしまった場合、該第三者が集合住宅内のいずれかの居住者の住戸を訪問するにはさらにフロア毎または棟毎のオートドアを通る必要があるため、セキュリティを高めることができる。しかしながら、このような集合住宅インターホンシステムでは、来訪者がメインエントランスに加えてフロアエントランスまたは棟エントランスにおいても呼出操作を行うため、居住者は応答操作および解錠操作を2回行う必要があり、煩わしいものとなっていた。一方、この煩わしさを解消するためにメインエントランスのオートドアを解錠する際にフロア毎または棟毎のオートドアも一緒に解錠してしまうと、共連れ的にマンション内に入った第三者がそのまま集合住宅内のいずれかの居住者の住戸を訪問することができるようになってしまい、オートドアを二重に設けた意味がないものとなってしまう。
【0003】
このような不都合を解消すべく、メインエントランスにおいて来訪者から呼び出しを受けた居住者がメインエントランスのオートドアを解錠した場合、フロアエントランスまたは棟エントランスのオートドアを解錠するための暗証番号が記憶されたカードを発行する発券機をメインエントランスの集合玄関機付近に設置するとともに、挿入された該カードの暗証番号が一致した場合にフロアエントランスまたは棟エントランスのオートドアが解錠するようになっている認証機をフロアエントランスまたは棟エントランス付近に設置する集合住宅インターホンシステムが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−97110号公報
【特許文献2】特開2008−79259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような集合住宅インターホンシステムでは、各メインエントランスに発券機を設置するとともに各フロアエントランスまたは棟エントランスに認証機を設置する必要があり、また、発券の処理が必要となるため発券する枚数に間違いがないように発券機等のメンテナンスも必要となるため、イニシャルコストおよびランニングコストが高いものとなっていた。
【0006】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであり、来訪者からの呼び出しに二回応答し、解錠しなければならないという居住者の煩わしさを、セキュリティ性を損なうことなく解消させるとともに、コスト高とならない集合住宅インターホンシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明者は、以下のような集合住宅インターホンシステムを提案する。
【0008】
本発明の集合住宅インターホンシステムは、集合住宅のメインエントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた第1集合玄関機と、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた複数の第2集合玄関機と、管理人室に設置される管理室親機と、各住戸に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた複数の居室親機と、前記メインエントランスに設置され、前記集合住宅内への立ち入りを制限するための第1オートドアと、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、各フロアまたは棟内への立ち入りを制限するための複数の第2オートドアと、前記第1集合玄関機、前記第2集合玄関機、前記管理室親機、前記居室親機、前記第1オートドアおよび前記第2オートドアを制御する制御装置と、を有する。前記第1集合玄関機は、表示部を有しており、前記居室親機は、前記第1集合玄関機または前記第2集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に前記第1オートドアまたは前記第2オートドアを解錠するための解錠ボタンを有しており、前記制御装置は、前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しに基づいて居住者が前記解錠ボタンを操作することにより解錠操作を行った場合、前記第1オートドアを解錠するとともに、前記第1集合玄関機の前記表示部に、前記居室親機に対応する第2オートドアを解錠するための予め設定された所定時間だけ有効なパスワードを表示させる手段を備えている。
【0009】
このような集合住宅インターホンシステムによれば、来訪者は、第1集合玄関機の表示部に表示されたパスワードを第2集合玄関機に入力することにより第2オートドアを解錠させることができる。すなわち、メインエントランスにおいて入場を許可された来訪者はフロアエントランスまたは棟エントランスにおいて呼出操作を行う必要がないため、居住者は応答操作および解錠操作を1回行うだけでよく、煩わしさを解消することができる。また、第2オートドアを開けるには、居住者から入場を許可された者だけに知らされる、所定時間だけ有効なパスワードの入力が必要であり、パスワードを知らない第三者はオートドアを解除することはできないので、セキュリティ性を損なうことはない。また、制御装置により発行されるパスワードは、所定時間だけしか有効でないため、該来訪者が再度異なる機会に該パスワードを使って第2オートドアを解錠することはできず、セキュリティ性を損なうことがない。
さらに、この集合住宅インターホンシステムによれば、発券機や認証機を設置する必要がないため、これらに伴うイニシャルコストおよびランニングコストがかからず、経済的である。
なお、「居室親機に対応する第2オートドア」とは、この居室親機の属する住戸を訪問するために解錠する必要がある第2オートドアのことを意味する。また、「第1オートドアを解錠するとともに、・・有効なパスワードを表示」とは、第1オートドアの解錠とパスワードの表示が近い時間に行われることを意味している。すなわち、第1オートドアの解錠とパスワードの表示が同時にされるような構成であってもよいし、第1オートドアが解錠されてからパスワードが表示されるような構成、またはパスワードが表示されてから第1オートドアが解錠されるような構成であってもよい。
【0010】
また、本発明は、集合住宅のメインエントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた第1集合玄関機と、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた複数の第2集合玄関機と、管理人室に設置される管理室親機と、各住戸に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた複数の居室親機と、前記メインエントランスに設置され、前記集合住宅内への立ち入りを制限するための第1オートドアと、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、各フロアまたは棟内への立ち入りを制限するための複数の第2オートドアと、前記第1集合玄関機、前記第2集合玄関機、前記管理室親機、前記居室親機、前記第1オートドアおよび前記第2オートドアを制御する制御装置と、を有する集合住宅インターホンシステムを提供する。この集合住宅インターホンシステムの前記第1集合玄関機は、表示部を有しており、前記居室親機は、前記第1集合玄関機または前記第2集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に前記第1オートドアまたは前記第2オートドアを解錠するための解錠ボタンを有しており、前記制御装置は、前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しに基づいて居住者が前記解錠ボタンを操作することにより解錠操作を行った場合、前記第1オートドアを解錠するとともに、前記第1集合玄関機の前記表示部に、前記居室親機に対応する第2オートドアを解錠するための一度だけ有効なパスワードを表示させる手段を備えている。
このような集合住宅インターホンシステムによれば、上記のインターホンシステムと同様に、来訪者からの呼び出しに二回応答し、解錠しなければならないという居住者の煩わしさを解消することができる。また、第2オートドアを開けるには、居住者から入場を許可された者だけに知らされる、一度だけ有効なパスワードの入力が必要であるため、セキュリティ性を損なうことはない。また、制御装置により発行されるパスワードは、一度しか有効でないため、該来訪者が再度異なる機会に該パスワードを使って第2オートドアを解錠することはできず、セキュリティ性を損なうことがない。
さらに、この集合住宅インターホンシステムによれば、発券機や認証機を設置する必要がないため、これらに伴うイニシャルコストおよびランニングコストがかからず、経済的である。
【0011】
前記制御装置は、居住者が前記第1オートドアの解錠操作を行った場合、または前記第1オートドアの解錠操作を行ってから終話操作を行った場合に、前記居室親機に対応する第2集合玄関機を作動させ、前記第2集合玄関機付近の映像または音声を前記居室親機に送信する手段をさらに備えていてもよい。
このような構成の集合住宅インターホンシステムによれば、居住者が前記第1オートドアの解錠操作を行った場合、または前記第1オートドアの解錠操作を行ってから終話操作を行った場合に、自動的に居室親機に第2集合玄関機付近の映像が表示または音声が流れるため、居住者が居室親機において第2集合玄関機付近の映像または音声を確認することができる。これにより、不審者が共連れ的に侵入していないか確認することができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0012】
前記制御装置は、前記居室親機に対応する第2集合玄関機を作動させ、前記第2集合玄関機付近の映像または音声の前記居室親機への送信を開始した後、前記居室親機の操作に基づいて、前記居室親機に対応する第2集合玄関機と前記居室親機との間を通話状態にする手段を備えていてもよい。
このような構成の集合住宅インターホンシステムによれば、来訪者とともに不審者がいる場合、通話状態にすることによりその人物が誰であるかを確認したり、メインエントランスから入場を許可した来訪者が第2集合玄関機へのパスワード入力等の操作に手間取っている場合等に指示をすることができる。また、来訪者が第1集合玄関機に表示されたパスワードを忘れてしまった場合等であっても、通話状態になっていれば居住者の判断により解錠することもでき、利便性が高い。
【0013】
前記居室親機は、前記パスワードを無効にする操作を行うための操作手段をさらに有しており、前記制御装置は、前記第1集合玄関機の前記表示部に前記パスワードを表示させた後、居住者が前記居室親機において所定の操作を行った場合、前記パスワードを無効にさせる手段を備えていてもよい。
このような構成の集合住宅インターホンシステムによれば、居住者が第2集合玄関機付近等で不審者を発見した場合や、通話した結果、来訪者の様子が不審に感じられた場合、居住者の判断によりパスワードを無効にすることで第2オートドアを解錠できないようにすることができるため、さらにセキュリティ性を高めることができる。
【0014】
前記制御装置は、前記居室親機に対する前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に、前記居室親機に対応する第2集合玄関機が使用中である場合には、前記第1集合玄関機の前記表示部に前記パスワードを表示させないとともに、前記居室親機に対して前記第1集合玄関機の前記表示部に前記パスワードを表示できないことを示す手段を備えていてもよい。
このような構成の集合住宅インターホンシステムによれば、居室親機に対応する第2集合玄関機が使用中であるため、居住者が居室親機において第2集合玄関機付近の映像または音声を確認することができない状況下では、第1集合玄関機の表示部にパスワードを表示しないようになっているので、居住者が第2集合玄関機付近の様子を確認できない状況下では来訪者が第2オートドアを居住者の許可なく通過することができず、セキュリティ性を高めることができる。また、このような場合には、居室親機に対して第1集合玄関機の表示部にパスワードを表示できないことが示されるため、第1オートドアを解錠するか否か等について居住者が決定することができる。
【0015】
前記制御装置は、前記居室親機に対する前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に、前記居室親機に対応する第2集合玄関機が使用中である場合には、前記第1集合玄関機から前記来訪者に通話中であることを示す手段を備えていてもよい。
前述のような構成の集合住宅インターホンシステムでは、居住者が第1オートドアを解錠した場合、来訪者から再度第2集合玄関機において呼び出しを受けるため、2回対応する必要があり、煩わしい場合もある。一方、このような構成の集合住宅インターホンシステムによれば、居室親機に対応する第2集合玄関機が使用中である場合には、居住者が呼び出されることがないため、対応の煩わしさを解消することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、来訪者からの呼び出しに二回応答し、解錠しなければならないという居住者の煩わしさを、セキュリティ性を損なうことなく解消することができるとともに、コスト高とならない集合住宅インターホンシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の集合住宅インターホンシステムの全体を示すブロック図。
【図2】本実施形態の集合住宅インターホンシステムの一部を示す図。
【図3】本実施形態の集合住宅インターホンシステムの動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の集合住宅インターホンシステムの好ましい一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
この実施形態による集合住宅インターホンシステム1は、概略で図1および図2に示したように構成される。
すなわち、この集合住宅インターホンシステム1は、集合住宅のメインエントランスAに設置され、居住者を呼び出す機能を備えたメイン集合玄関機10、および集合住宅内への立ち入りを制限するためのメインオートドア20と、各フロアエントランスBに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた複数のフロア集合玄関機30、および各フロアへの立ち入りを制限するためのフロアオートドア40と、管理人室に設置される管理室親機50と、各住戸に設置され、メイン集合玄関機10またはフロア集合玄関機30からの呼び出しに応答する機能を備えた複数の居室親機60と、メイン集合玄関機10、メインオートドア20、フロア集合玄関機30、フロアオートドア40、管理室親機50、および居室親機60を制御する制御装置70と、を有している。
メイン集合玄関機10とフロア集合玄関機30、管理室親機50、および居室親機60は、それぞれ集合玄関接続幹線L1、管理室接続幹線L2、および居室接続幹線L3を介して制御装置70に接続されている。
なお、本実施形態では、フロアエントランスにフロア集合玄関機およびフロアオートドアが存在するものとして説明するが、フロアエントランスの代わりに棟エントランス、フロア集合玄関機の代わりに棟集合玄関機、およびフロアオートドアの代わりに棟オートドアが存在するような構成とすることもできる。また、本実施形態では、メイン集合玄関機10および管理室親機50は1つであることを前提に説明するが、これに限られず、複数存在するような構成であってもよい。
【0020】
メイン集合玄関機10およびフロア集合玄関機30は、来訪者が来訪先の居室番号等を入力して呼出操作を行うための操作部11,31と、操作部11,31にて入力された居室番号等が表示される表示部12,32と、集合玄関接続幹線L1を介して制御装置70と通信するための通信回路13,33と、メイン集合玄関機10またはフロア集合玄関機30全体をそれぞれ制御するための制御回路14,34と、を有している。この制御回路14,34は、それぞれメインオートドア20またはフロアオートドア40と接続されている。
【0021】
管理室親機50は、管理人が通話したい居住者の居室番号等を入力して呼出操作を行うための操作部51と、操作部51にて入力された居室番号、呼出元や警報報知元の居室番号等が表示される表示部52と、管理室接続幹線L2を介して制御装置70と通信するための通信回路53と、管理室親機50全体を制御するための制御回路54と、を有している。
【0022】
居室親機60は、居住者が管理人を呼び出す呼出操作や後述するパスワードを無効にする操作等を行うための操作部61と、操作部61で行った各種操作情報や、通話している来訪者または管理人の画像を表示等するための表示部62と、居室接続幹線L3を介して制御装置70と通信するための通信回路63と、居室親機60全体をそれぞれ制御するための制御回64と、を有している。
操作部61は、来訪者からの呼び出しがあった際にメインオートドア20またはフロアオートドア40を解錠するための図示しない解錠ボタンを有している。その他、管理室親機50および居室親機60が通話に必要な音声回路や映像回路等を備えていることは従来のインターホンシステムと同様であるので、これらについての説明は省略する。
【0023】
制御装置70は、集合玄関接続幹線L1を介してメイン集合玄関機10またはフロア集合玄関機30と通信するための通信回路71と、管理室接続幹線L2を介して管理室親機50と通信するための通信回路72と、居室親機接続幹線L3を介して居室親機60と通信するための通信回路73と、各居室親機60とフロア集合玄関機30およびフロアオートドア40との対応関係等を記録したメモリ74と、所定のフロアオートドアを解錠するためのパスワードであって予め設定された所定時間だけ有効なパスワードを、所定のアルゴリズムに基づいて順次生成するパスワード生成部75と、制御装置70全体を制御するための主制御回路76と、を有している。
パスワード生成部75は、メイン集合玄関機10における来訪者からの呼び出しに基づいて居住者が解錠ボタンを操作することにより解錠操作を行った場合、パスワードを生成する。このパスワード生成部75が生成するパスワードは、本実施形態では、2桁の数字からなるものとして説明するが、これに限られず、1桁または3桁の数字であってもよいし、アルファベットまたはカナ等、数字以外のものであってもよい。また、パスワード生成部75が生成するパスワードは、本実施形態では、予め設定された所定時間だけ有効なものとして説明するが、これに限られず、一度だけ有効なものとしてもよい。
パスワード生成部75は、パスワードをランダムに生成するような構成としてもよいし、所定の数字を所定の順番に生成するような構成としてもよい。
【0024】
次に、以上のように構成された集合住宅インターホンシステム1の動作、特に、来訪者がメイン集合玄関機10により居住者を呼び出した場合の集合住宅インターホンシステム1の動作について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
なお、メイン集合玄関機10による来訪者からの呼出操作に対して居室親機60で応答した場合、制御装置70を介して集合玄関機10と居室親機60との間で通話が行える点については従来と同様であるので説明を省略し、ここでは、通話の結果、居住者が解錠ボタンを操作することによりメインオートドア20の解錠操作を行った場合の集合住宅インターホンシステム1の動作について、説明する。
【0025】
居住者が解錠ボタンを操作することによりメインオートドア20の解錠操作を行った場合(ST101:Yes)、パスワード生成部75は、メモリ74を参照して該居室親機60に対応するフロアオートドア40を特定し、このフロアオートドア40を解錠するための予め設定された所定時間だけ有効なパスワードを生成する。生成されたパスワードは、主制御回路76、通信回路71、集合玄関機接続幹線L1を介してメイン集合玄関機10に送信される。また、主制御回路76は、このパスワードおよびこのパスワードが有効な時間を居室番号と関連付けた状態でメモリ74に記録する。
【0026】
メイン集合玄関機10に送信されたパスワードは、通信回路13、制御回路14を介して表示部12に表示される。この際、メイン集合玄関機10から「パスワードを表示します。確認してください。」等のメッセージを流すことで、来訪者にパスワードを確認するよう注意を促すこともできる。
制御装置70は、メイン集合玄関機10にパスワードを送信することでメイン集合玄関機10の表示部12にパスワードが表示された後、メインオートドア20が解錠されるよう、メインオートドア20を制御する。
来訪者は、メイン集合玄関機10の表示部12に表示されたパスワードを覚え、解錠されたメインオートドア20からマンション内に入場する。
なお、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1は、パスワードが表示されてからメインオートドア20が解錠されるような構成となっているものとして説明するが、メインオートドア20の解錠とメイン集合玄関機10の表示部12へのパスワードの表示とは近い時間に行われるようになっていればよい。すなわち、メインオートドア20の解錠とパスワードの表示が同時にされるような構成としてもよいし、メインオートドア20が解錠されてからパスワードが表示されるような構成としてもよい。
【0027】
また、制御装置70は、居住者がメインオートドア20の解錠操作を行った場合、メモリ74を参照して該居室親機60に対応するフロア集合玄関機30を作動させ(ST102)、このフロア集合玄関機30付近の映像または音声を居室親機60に送信させるように、フロア集合玄関機30を制御する。
これにより、居住者がメインオートドア20の解錠操作を行った場合に、自動的に居室親機60にフロア集合玄関機30付近の映像または音声が送信されるため、居住者が居室親機60においてフロア集合玄関機30付近の映像または音声を確認することができる。この映像または音声により、不審者が共連れ的に侵入していないかを確認することができ、セキュリティ性を高めることができる。
なお、本実施形態では、居住者がメインオートドア20の解錠操作を行った場合にフロア集合玄関機30を作動させるものとして説明するが、これに限られず、メインオートドア20の解錠操作を行ってから終話操作を行った場合にフロア集合玄関機30を作動させるような構成としてもよい。
【0028】
また、制御装置70は、この集合玄関機30付近の映像または音声の居室親機60への送信を開始した後、居室親機60から通話状態にするための通話操作がされた場合(ST103:Yes)は、居室親機60に対応するフロア集合玄関機30と居室親機60との間を通話状態にするよう、居室親機60を制御する。すなわち、来訪者とともに不審者がいる場合、居室親機60とフロア集合玄関機30とが通話状態とすることでその人物が誰であるかを通話により確認することができ、セキュリティ性を高めることができる。
【0029】
居住者は、フロア集合玄関機30付近等で不審者を発見した場合、または、来訪者と通話した結果、来訪者等が不審に感じられた場合には、先ほどメイン集合玄関機10で発行したパスワードを無効にするパスワード無効操作を操作部61において行うことができる。具体的には、図示しないパスワード無効ボタンを押下する。
パスワード無効ボタンが押下された場合(ST105:Yes)、制御装置70は、該パスワードを無効にする。
これにより、居住者の判断によりいったん発行したパスワードを無効にすることでフロアオートドア40を解錠できないようにすることができるため、さらにセキュリティ性を高めることができる。
【0030】
一方、解錠されたメインオートドア20からマンション内に入場した来訪者は、訪問先の居室親機60に対応するフロアオートドア40に隣接して設置されているフロア集合玄関機30の操作部31により、訪問先の居室番号と、先ほどメイン集合玄関機10の表示部12に表示されたパスワードとを入力することとなる。
居住者は、来訪者がパスワード入力等の操作に手間取っている場合等に、上述した通話状態にすることにより、来訪者に指示をすることができる。また、来訪者がメイン集合玄関機10に表示されたパスワードを忘れてしまった場合等であっても、通話状態になっていれば居住者の判断により解錠操作を行うこともできる。
【0031】
来訪者により居室番号およびパスワードが入力されると(ST106:Yes)、制御装置70は、該入力されたパスワードが一致するか否か、メモリ74を参照して確認する。また、パスワードが発行されてから所定の時間が経過していないか、図示しないタイマにより確認する。
入力されたパスワードが一致し、かつ所定の時間が経過していない場合(ST107:Yes)、制御装置70は、該フロアオートドア40を解錠させるよう制御する(ST108)。一方、入力されたパスワードが一致しない場合、または所定の時間が経過している場合(ST107:No)、制御装置70は、該フロアオートドア40を解錠させないよう制御する(ST105:Yes、ST106:No、ST107:No)。
このように、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1によれば、来訪者は、メイン集合玄関機10の表示部12に表示されたパスワードをフロア集合玄関機30に入力することにより、フロアオートドア40を解錠させることができる。すなわち、来訪者がフロアエントランスBにおいて呼出操作を行う必要がないため、居住者は応答操作および解錠操作を1回行うだけでよく、煩わしさを解消することができる。また、フロアオートドア40を開けるには、居住者から入場を許可された者だけに知らされる、所定時間だけ有効なパスワードの入力が必要であるため、セキュリティ性を損なうことはない。また、制御装置70のパスワード生成部75により発行されるパスワードは、所定時間しか有効でないため、該来訪者が再度異なる機会に該パスワードを使ってフロアオートドア40を解錠することはできず、セキュリティ性を損なうことがない。
さらに、この集合住宅インターホンシステム1によれば、発券機や認証機を設置する必要がないため、これらに伴うイニシャルコストおよびランニングコストがかからず、経済的である。
【0032】
また、本実施形態の集合住宅インターホンシステム1は、居室親機60に対するメイン集合玄関機10における来訪者からの呼び出しがあった際にこの居室親機60に対応するフロア集合玄関機30が使用中である場合には、制御装置70は、メイン集合玄関機10から来訪者に通話中であることを示すメッセージを流すよう、メイン集合玄関機10を制御する。
これにより、居室親機60に対応するフロア集合玄関機30が使用中であり居住者が居室親機60においてフロア集合玄関機付近の映像または音声を確認することができない状況下では、メイン集合玄関機10の表示部12にパスワードを表示しないようになっているため、セキュリティ性を高めることができる。また、居室親機60に対応するフロア集合玄関機30が使用中である場合には、居住者が呼び出されることがないため、対応の煩わしさを解消することができる。
【0033】
本実施形態の集合住宅インターホンシステム1は以上のようなものとして説明したが、制御装置70は、居室親機60に対するメイン集合玄関機10における来訪者からの呼び出しがあった際に、居室親機60に対応するフロア集合玄関機30が使用中である場合には、メイン集合玄関機10の記表示部12にパスワードを表示させないとともに、居室親機60に対してメイン集合玄関機10の表示部12にパスワードを表示できないことを示すメッセージまたは音声を流すよう、メイン集合玄関機10および居室親機60を制御するような構成となっていてもよい。
このような構成の集合住宅インターホンシステム1によれば、居室親機60に対してメイン集合玄関機10の表示部12にパスワードを表示できないことが示されるため、メインオートドア20を解錠するか否か等、居住者が決定することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・集合住宅インターホンシステム、10・・メイン集合玄関機(第1集合玄関機)、20・・メインオートドア(第1オートドア)、30・・フロア集合玄関機(第2集合玄関機)、40・・フロアオートドア(第2オートドア)、50・・管理室親機、60・・居室親機、70・・制御装置、11,31,51,61・・操作部、12,33,52,62・・表示部、13,33,53,63,71,72,73・・通信回路、14,34,54,64・・制御回路、74・・メモリ、75・・パスワード生成部、76・・主制御部、A・・メインエントランス、B・・フロアエントランス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅のメインエントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた第1集合玄関機と、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた複数の第2集合玄関機と、管理人室に設置される管理室親機と、各住戸に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた複数の居室親機と、前記メインエントランスに設置され、前記集合住宅内への立ち入りを制限するための第1オートドアと、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、各フロアまたは棟内への立ち入りを制限するための複数の第2オートドアと、前記第1集合玄関機、前記第2集合玄関機、前記管理室親機、前記居室親機、前記第1オートドアおよび前記第2オートドアを制御する制御装置と、を有する集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記第1集合玄関機は、表示部を有しており、
前記居室親機は、前記第1集合玄関機または前記第2集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に前記第1オートドアまたは前記第2オートドアを解錠するための解錠ボタンを有しており、
前記制御装置は、前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しに基づいて居住者が前記解錠ボタンを操作することにより解錠操作を行った場合、前記第1オートドアを解錠するとともに、前記第1集合玄関機の前記表示部に、前記居室親機に対応する第2オートドアを解錠するための予め設定された所定時間だけ有効なパスワードを表示させる手段を備えている、
集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
集合住宅のメインエントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた第1集合玄関機と、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、居住者を呼び出す機能を備えた複数の第2集合玄関機と、管理人室に設置される管理室親機と、各住戸に設置され、前記集合玄関機からの呼び出しに応答する機能を備えた複数の居室親機と、前記メインエントランスに設置され、前記集合住宅内への立ち入りを制限するための第1オートドアと、各フロアエントランスまたは棟エントランスに設置され、各フロアまたは棟内への立ち入りを制限するための複数の第2オートドアと、前記第1集合玄関機、前記第2集合玄関機、前記管理室親機、前記居室親機、前記第1オートドアおよび前記第2オートドアを制御する制御装置と、を有する集合住宅インターホンシステムにおいて、
前記第1集合玄関機は、表示部を有しており、
前記居室親機は、前記第1集合玄関機または前記第2集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に前記第1オートドアまたは前記第2オートドアを解錠するための解錠ボタンを有しており、
前記制御装置は、前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しに基づいて居住者が前記解錠ボタンを操作することにより解錠操作を行った場合、前記第1オートドアを解錠するとともに、前記第1集合玄関機の前記表示部に、前記居室親機に対応する第2オートドアを解錠するための一度だけ有効なパスワードを表示させる手段を備えている、
集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、居住者が前記第1オートドアの解錠操作を行った場合、または前記第1オートドアの解錠操作を行ってから終話操作を行った場合に、前記居室親機に対応する第2集合玄関機を作動させ、前記第2集合玄関機付近の映像または音声を前記居室親機に送信する手段をさらに備えている、
請求項1または2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記居室親機に対応する第2集合玄関機を作動させ、前記第2集合玄関機付近の映像または音声の前記居室親機への送信を開始した後、前記居室親機の操作に基づいて、前記居室親機に対応する第2集合玄関機と前記居室親機との間を通話状態にする手段を備えている、
請求項3記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項5】
前記居室親機は、前記パスワードを無効にする操作を行うための操作手段をさらに有しており、
前記制御装置は、前記第1集合玄関機の前記表示部に前記パスワードを表示させた後、居住者が前記居室親機において所定の操作を行った場合、前記パスワードを無効にさせる手段を備えている、
請求項1ないし4のいずれかの項記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記居室親機に対する前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に、前記居室親機に対応する第2集合玄関機が使用中である場合には、前記第1集合玄関機の前記表示部に前記パスワードを表示させないとともに、前記居室親機に対して前記第1集合玄関機の前記表示部に前記パスワードを表示できないことを示す手段を備えている、
請求項3ないし5のいずれかの項記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記居室親機に対する前記第1集合玄関機における来訪者からの呼び出しがあった際に、前記居室親機に対応する第2集合玄関機が使用中である場合には、前記第1集合玄関機から前記来訪者に通話中であることを示す手段を備えている、
請求項3ないし5のいずれかの項記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−182019(P2011−182019A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41616(P2010−41616)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】