電力増幅回路、および無線通信装置
【課題】AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することが可能な電力増幅回路を提供する。
【解決手段】電力増幅回路は、RF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路を備える。電力増幅回路は、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、一端が第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに第1の信号に応じたドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとの間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、平均値に応じた検出信号を出力する検出回路を備える。電力増幅回路は、可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備える。
【解決手段】電力増幅回路は、RF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路を備える。電力増幅回路は、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、一端が第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに第1の信号に応じたドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、第1のMOSトランジスタと第2のMOSトランジスタとの間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、平均値に応じた検出信号を出力する検出回路を備える。電力増幅回路は、可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電力増幅回路、および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、高線形なカスコードCMOSパワーアンプ(電力増幅回路)において、NMOS増幅デバイスのゲート容量変調を主原因とするAM−PM変換を抑えるため、逆の容量変調特性を持つPMOSデバイスをパラレルに挿入していた。
【0003】
このような従来技術は、基本的にはゲート容量変調起因のAM−PM変換のみを補償することができる。しかし、この従来技術において、パワーアンプのバックオフ効率を高めるためにB級に近いAB級動作とする。これにより、RF入力パワーに応じて平均電流が大きく変化し、ゲート容量変調以外を要因とするAM−PM変換が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−116419号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】D.Chowdhury, C.D.Hull, O.B.Degani, Y.Wang, and A.M.Niknejad, “A Fully Integrated Dual-Mode Highly Linear 2.4GHz CMOS Power Amplifier for 4G WiMax Applications,” IEEE JSSC, Vol.44. No.12, Dec.2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することが可能な電力増幅回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に従った電力増幅回路は、入力端子から入力されたRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路を備える。電力増幅回路は、一端が第1の電位に接続され、他端が出力端子に接続されたコイルを備える。電力増幅回路は、一端が前記コイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに前記第1の信号に応じたドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、前記第1のMOSトランジスタと前記第2のMOSトランジスタとの間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、前記平均値に応じた検出信号を出力する検出回路を備える。電力増幅回路は、前記検出信号に基づいて、前記可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る無線送信装置1000の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す電力増幅回路100の構成の一例を示す回路図である。
【図3】図3は、第2の実施形態に係る電力増幅回路200の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図4は、第3の実施形態に係る電力増幅回路300の構成の一例を示す回路図である。
【図5】図5は、第4の実施形態に係る電力増幅回路400の構成の一例を示す回路図である。
【図6】図6は、第5の実施形態に係る電力増幅回路500の構成の一例を示す回路図である。
【図7】図7は、第6の実施形態に係る電力増幅回路600の構成の一例を示す回路図である。
【図8】図8は、第7の実施形態に係る電力増幅回路700の構成の一例を示す回路図である。
【図9】図9は、第8の実施形態に係る電力増幅回路800の構成の一例を示す回路図である。
【図10】図10は、第8の実施形態を適用したシミュレーション用の電力増幅回路の回路図である。
【図11】図11は、図10に示す電力増幅回路に1トーンのRF信号を入力し、その信号電力をスイープした際に生じるAM−PM変換のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】図12は、図10に示す電力増幅回路のカスコード増幅段の入出力電力の関係に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】図13は、包絡線周波数が5MHzとなる2キャリア周波数の信号を図10に示す電力増幅回路に入力した際のIM3特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、第1の電位が電源電位であり、第2の電位が接地電位であり、第1導電型のMOSトランジスタがnMOSトランジスタであり、第2導電型のMOSトランジスタがpMOSトランジスタである場合について説明する。しかし、回路の極性が逆になる場合、すなわち、第1の電位が接地電位であり、第2の電位が電源電位であり、第1導電型のMOSトランジスタがpMOSトランジスタであり、第2導電型のMOSトランジスタがnMOSトランジスタである場合も同様に説明される。
【第1の実施形態】
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る無線送信装置1000の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、無線送信装置1000は、電力増幅回路(パワーアンプ)100と、ベースバンド回路1001と、局部発振回路1002と、ミキサ回路1003と、アンテナ1004と、を備える。
【0012】
ベースバンド回路1001は、ベースバンド信号を生成するようになっている。
【0013】
局部発振回路1002は、局部発振信号を生成するようになっている。
【0014】
ミキサ回路1003は、ベースバンド回路1001が出力したベースバンド信号と局部発振回路1002が出力した局部発振信号とを混合し、得られたRF入力信号を出力するようになっている。
【0015】
電力増幅回路100は、ミキサ回路1003が出力したRF入力信号を増幅し、RF出力信号を出力するようになっている。
【0016】
アンテナ1004は、電力増幅回路100から出力されたRF出力信号を送信するようになっている。
【0017】
ここで、図2は、図1に示す電力増幅回路100の構成の一例を示す回路図である。
【0018】
図2に示すように、電力増幅回路100は、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0019】
可変移相回路PSは、入力端子Tinから入力されたRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力するようになっている。この可変移相回路PSは、その移相量が可変である。なお、本実施形態では、この第1の信号は、第2のMOSトランジスタM2のゲートに入力されるドライブ信号である。
【0020】
コイルLは、一端が電源電位(第1の電位)に接続され、他端がキャパシタCを介して出力端子Toutに接続されている。すなわち、キャパシタCは、コイルLの他端と出力端子Toutとの間に接続されている。
【0021】
第1のMOSトランジスタM1は、一端(ドレイン)がコイルLの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加されている。
【0022】
第2のMOSトランジスタM2は、一端(ドレイン)が第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)に接続され、他端(ソース)が接地電位(第2の電位)に接続され、ゲートに第1の信号に応じたドライブ信号が入力されるようになっている。なお、既述のように、本実施形態では、第1の信号がドライブ信号である。
【0023】
検出回路1は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、この平均値に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0024】
ここで、第2の信号は、第1のMOSトランジスタM1の他端と第2のMOSトランジスタM2の一端との間に流れる電流、又は、前記第1のMOSトランジスタM1の他端と前記第2のMOSトランジスタM2の一端との間の電圧である。
【0025】
すなわち、検出回路1は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の端子に流れる電流又は電圧を端子から直接検出する場合や、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の端子に流れる電流又は電圧を後述のようなミラー回路等を用いて間接的に検出する場合がある。
【0026】
制御信号生成回路2は、検出信号に基づいて、可変移相回路PSの移相量を制御する制御信号を生成するようになっている。
【0027】
この制御信号生成回路2は、検出信号(すなわち、第2の信号の平均値)に基づいて、電力増幅回路100のAM−PM変換が小さくなるように、制御信号により可変移相回路PSの移相量を変化させる。
【0028】
例えば、第2の信号が電流の場合、制御信号生成回路2は、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させる。
【0029】
また、第2の信号が電圧の場合、制御信号生成回路2は、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させる。
【0030】
また、出力端子Toutと接地電位との間に負荷抵抗RLが接続される。
【0031】
次に、以上のような構成を有する電力増幅回路100の特性について説明する。
【0032】
既述のように電力増幅回路100は、コモンゲート、コモンソースの2つのMOSトランジスタM1、M2からなるカスコード増幅段を有する。そして、DC電源の供給はRF電流を遮断するコイルLを介して行われ、RF出力信号はDC成分を遮断するキャパシタCを介して負荷抵抗RLに出力される。
【0033】
例えば、カスコード増幅段にRF信号を入力した場合、入力信号振幅(入力電力に比例)に応じて入出力信号の位相関係が変化してしまう。無線通信用途を仮定して包絡線成分を持った変調信号を増幅する場合、包絡線の振幅に依存してRF出力信号の位相が変化する(AM−PM変換)こととなり、隣接チャネル漏洩電力の増大、変調精度の低下、伝送エラーレート増加などの問題を生じる。
【0034】
ここで、一般的な無線通信用途においては、常に最大の出力電力を出力し続けることは少なく、出力電力を絞って使用することが多い。この際、電力効率の向上による低消費電力化のため、カスコード増幅段は出力信号の低下に合わせて平均電流も絞られるように設計されることが望ましい。
【0035】
しかし、カスコード増幅段において平均電流が変化すると、コモンゲートデバイスのトランスコンダクタンスが変調され、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間に存在する寄生容量との関係により、コモンソースデバイスのドレイン出力電流とコモンゲートデバイスのドレイン出力電圧の位相関係が変化する。具体的には平均電流の増加に伴って出力電圧の位相は進む方向となる。この現象が、カスコード増幅段全体のAM−PM変換の主要な要因となることがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、平均電流の変化に伴うAM−PM変換をキャンセルし、低歪みのカスコード増幅段を提供する。すなわち、電力増幅回路100は、増幅段の入力信号経路であるコモンソースデバイス(第2のMOSトランジスタM2)のゲートに可変移相回路PSを接続し、カスコード増幅段の平均電流値を用いて入力信号の位相を操作する。
【0037】
すなわち、平均電流の増加に伴って可変移相回路PSの移相量を増加させるように制御する。
【0038】
例えば、既述のように、制御信号生成回路2は、第2の信号が電流の場合、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させる。
【0039】
これにより、可変移相回路PSの入力端とカスコード増幅段の出力端の信号位相関係を一定化する。
【0040】
なお、可変移相回路PSは振幅方向の利得変化が少ないものであることが好ましい。
【0041】
そして、可変移相回路PSを制御した際の振幅方向(AM成分)に対する利得変化が無視できれば、電力増幅回路100の制御パスはカスコード増幅段の入力信号経路にAM成分をフィードバックせず、フィードフォワード制御となるために安定性の問題や利得帯域が確保しにくい問題を避けることができる。
【0042】
しかし、可変移相回路PSが振幅成分を変調してしまうものであっても、別途AM信号の歪みを補正する手段(例えば、フィードバック)を併用することにより問題を解決できる。
【0043】
したがって、電力増幅回路100は、変調波信号を入力した際、変調波の包絡線変化に伴って発生する入出力間の信号の位相差を一定化し、隣接チャネルへの信号漏れ込みを軽減し、変調精度を高め、信号伝送エラーレートを低く保つことができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0045】
なお、図2に示す電力増幅回路100は、単相構成について図示しているが、増幅段は差動構成でもよい。この場合、コモンゲートデバイスの差動ドレイン端子間にトランスフォーマの1次側巻線を、そのトランスフォーマの2次側を負荷抵抗RLに接続し、トランスフォーマ1次側巻線の中点をDC電源に接続することにより、DC経路へのRF信号の遮断と負荷抵抗へのDC電流の遮断を同時に行うことができる。
【0046】
なお、既述のように、カスコード増幅段は差動構成であってもよく、その場合は入力信号移相回路も差動構成であり、カスコード増幅段の平均電流を差動デバイスの片側から検出してもよいし両方から検出してもよい(以下の実施形態についても同様である)。
【第2の実施形態】
【0047】
本第2の実施形態においては、カスコード増幅段の電流値がローパスフィルタを介して平均化され、その出力電圧を利得倍して可変移相回路PSを制御する例について、説明する。なお、この第2の実施の形態に係る電力増幅回路200は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0048】
ここで、図3は、第2の実施形態に係る電力増幅回路200の構成の一例を示す回路図である。なお、図3において、図2の符号と同じ符号は、第1の実施形態と同様の構成を示す。
【0049】
図3に示すように、電力増幅回路200は、第1の実施形態と同様に、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0050】
ここで、本実施形態では、第2の信号は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間に流れる電流である。
【0051】
そして、検出回路1は、ローパスフィルタFを有する。このローパスフィルタFは、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間に流れる電流である第2の信号をフィルタリングし、この第2の信号をフィルタリングした信号を検出信号として出力するようになっている。
【0052】
また、制御信号生成回路2は、電圧増幅回路A1を有する。この電圧増幅回路A1は、検出信号を増幅した信号を、可変移相回路2の移相量を制御する制御信号として、出力する。
【0053】
なお、ローパスフィルタFのカットオフ周波数はRF信号の周波数(キャリア周波数)よりも十分低く、変調信号の帯域幅よりは広いことが好ましい。それにより、変調波の包絡線成分に対して忠実に入力信号の位相を制御することができる。また、電圧増幅回路A1の利得は一定値であってもよいし、入力信号の包絡線成分やカスコード増幅段の平均電流によって変化するものであってもよい。
【0054】
なお、電力増幅回路200のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0055】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第3の実施形態】
【0056】
本第3の実施形態においては、カスコード増幅段の電流値を、コモンゲートデバイスのソース端子とコモンソースデバイスのドレイン端子が接続される中間ノードの電圧から検出する構成例について、説明する。なお、この第3の実施の形態に係る電力増幅回路300は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0057】
ここで、図4は、第3の実施形態に係る電力増幅回路300の構成の一例を示す回路図である。なお、図4において、図3の符号と同じ符号は、第2の実施形態と同様の構成を示す。
【0058】
図4に示すように、電力増幅回路300は、第2の実施形態と同様に、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0059】
ここで、本実施形態では、第2の信号は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間の中間ノードの電圧(中間電圧)である。この電圧は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間の電流値の増加に伴って、低下する。
【0060】
そして、検出回路1は、ローパスフィルタF2を有する。このローパスフィルタF2は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間の電圧である第2の信号をフィルタリングし、この第2の信号をフィルタリングした信号を検出信号として出力するようになっている。
【0061】
また、制御信号生成回路2は、第2の実施形態と同様に、電圧増幅回路A1を有する。この電圧増幅回路A1は、検出信号を増幅した信号を、可変移相回路2の移相量を制御する制御信号として、出力する。
【0062】
例えば、第2の信号が中間電圧であるので、制御信号生成回路2は、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させる。
【0063】
このように、本実施形態によれば、カスコード増幅段の中間電圧の平均値の変化を、平均電流の変化の代わりに検出することにより、電圧入力型の簡潔な検出回路で平均電流を検出することができる。
【0064】
なお、電力増幅回路300のその他の構成および機能は、第2の実施形態の電力増幅回路200と同様である。
【0065】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第2の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第4の実施形態】
【0066】
本第4の実施形態では、可変移相回路PSとカスコード増幅段の間にドライバアンプが挿入された構成の一例について説明する。
【0067】
なお、この第4の実施の形態に係る電力増幅回路400は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0068】
ここで、図5は、第4の実施形態に係る電力増幅回路400の構成の一例を示す回路図である。なお、図5において、図3の符号と同じ符号は、第2の実施形態と同様の構成を示す。
【0069】
図5に示すように、電力増幅回路400は、第2の実施形態と比較して、ドライバアンプA2をさらに備える。
【0070】
ドライバアンプA2は、可変移相回路PSの出力と第2のMOSトランジスタM2のゲートとの間に接続されている。このドライバアンプA2は、可変移相回路PSが出力した第1の信号を増幅して、第2のMOSトランジスタM2のゲートにドライブ信号を出力するようになっている。
【0071】
これにより、可変移相回路PSを通過する信号の振幅を小さくすることができ、可変移相回路PSで生じる歪みの影響を低減することができる。さらに、電力増幅回路400のPAE(Power-added efficiency)の向上にも繋がる。
【0072】
なお、電力増幅回路400のその他の構成および機能は、第2の実施形態の電力増幅回路200と同様である。
【0073】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第2の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0074】
なお、既述のように、図5の例では、ドライバアンプA2が、可変移相回路PSが出力した第1の信号を増幅して、第2のMOSトランジスタM2のゲートにドライブ信号を出力する場合について説明した。しかし、ドライバアンプA2は、RF入力信号を増幅して可変移相回路PSに出力するようにしてもよい。
【第5の実施形態】
【0075】
本第5の実施形態では、電力増幅回路全体の振幅歪みをキャンセルするフィードバック制御ループが追加された構成例について説明する。なお、この第5の実施の形態に係る電力増幅回路500は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0076】
ここで、図6は、第5の実施形態に係る電力増幅回路500の構成の一例を示す回路図である。なお、図6において、図5の符号と同じ符号は、第4の実施形態と同様の構成を示す。
【0077】
図6に示すように、電力増幅回路500は、第4の実施形態と比較して、第1の振幅検出回路D1と、第2の振幅検出回路D2と、減衰回路ATTと、オペアンプOPと、をさらに備える。なお、本実施形態においては、ドライバアンプA2は、その増幅率が可変であるものとする。
【0078】
第1の振幅検出回路D1は、RF入力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第1の振幅検出信号を出力するようになっている。
【0079】
第2の振幅検出回路D2は、RF出力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第2の振幅検出信号を出力するようになっている。
【0080】
減衰回路ATTは、第2の振幅検出回路D2が出力した第2の振幅検出信号を減衰させて出力するようになっている。
【0081】
オペアンプOPは、第1の振幅検出信号と減衰回路ATTにより減衰した第2の振幅検出信号とを比較するようになっている。そして、このオペアンプOPは、第1の振幅検出信号と、減衰回路ATTにより減衰した第2の振幅検出信号とが等しくなるように、ドライバアンプA2に制御信号を出力して、ドライバアンプA2の増幅率を制御するようになっている。
【0082】
このように、電力増幅回路500において、RF入力信号の振幅成分と、RF出力信号の振幅成分を一定量だけ減衰させたものが一定となるようネガティブフィードバックが行われる。
【0083】
これにより、入力信号電力が変化した際にも、増幅回路全体の利得が上記ループ内の減衰回路における信号減衰量と等しくなるように制御され、振幅成分についても歪みの少ない電力増幅回路を実現することができる。
【0084】
なお、電力増幅回路500のその他の構成および機能は、第4の実施形態の電力増幅回路400と同様である。
【0085】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第4の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0086】
なお、既述のように、図6の例では、ドライバアンプA2が、可変移相回路PSが出力した第1の信号を増幅して、第2のMOSトランジスタM2のゲートにドライブ信号を出力する場合について説明した。しかし、ドライバアンプA2は、RF入力信号を増幅して可変移相回路PSに出力するようにしてもよい。
【第6の実施形態】
【0087】
本第6の実施形態では、電力増幅回路全体の入出力信号位相関係を一定化するネガティブフォードバックループが設けられている構成例について説明する。なお、この第6の実施の形態に係る電力増幅回路600は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0088】
ここで、図7は、第6の実施形態に係る電力増幅回路600の構成の一例を示す回路図である。なお、図7において、図2の符号と同じ符号は、第1の実施形態と同様の構成を示す。
【0089】
図7に示すように、電力増幅回路600は、第1の実施形態と比較して、位相差検出回路3と、加算回路4と、をさらに備える。
【0090】
位相差検出回路3は、RF入力信号の位相とRF出力信号の位相との位相差を検出し、この位相差に応じた位相差検出信号を出力するようになっている。
【0091】
この位相差検出回路3は、例えば、第1のリミッタ回路3aと、第2のリミッタ回路3bと、ミキサ回路3cと、を有する。
【0092】
第1のリミッタ回路3aは、RF入力信号が入力され、このRF入力信号の振幅を制限して出力するようになっている。
【0093】
第2のリミッタ回路3bは、RF出力信号が入力され、このRF出力信号の振幅を制限して出力するようになっている。
【0094】
ミキサ回路3cは、第1のリミッタ回路3aが出力した信号の位相と、第2のリミッタ回路3bが出力した信号の位相と、の位相差に応じた信号を、前記位相差検出信号として出力するようになっている。
【0095】
また、加算回路4は、制御信号に位相差検出信号を加算するようになっている。そして、位相差検出信号が加算された制御信号により、可変移相回路PSの移相量が制御される。
【0096】
このように、電力増幅回路600全体の入出力信号位相関係を一定化するネガティブフォードバックループが設けられている
これにより、フォードフォワード制御ではAM−PM変換の補正が難しくなる電力領域においても効率的にAM−PM変換をキャンセルすることができる。
【0097】
なお、電力増幅回路600のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0098】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第7の実施形態】
【0099】
本第7の実施形態では、カスコード増幅段の電流値をカレントミラー回路によって間接的に検出する構成例について説明する。なお、この第7の実施の形態に係る電力増幅回路700は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0100】
ここで、図8は、第7の実施形態に係る電力増幅回路700の構成の一例を示す回路図である。
【0101】
図8に示すように、電力増幅回路700は、第1の実施形態と同様に、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0102】
ここで、検出回路1は、カレントミラー回路5と、ローパスフィルタFと、を有する。
【0103】
カレントミラー回路5は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間に流れる電流(第2の信号)をカレントミラーしたミラー電流を出力するようになっている。
【0104】
このカレントミラー回路5は、例えば、第2導電型の第3のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ)M703と、第1導電型の第4のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M704と、第2導電型の第5のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ)M705と、を有する
第3のMOSトランジスタM703は、一端(ソース)が電源電位に接続され、ダイオード接続されている。
【0105】
第4のMOSトランジスタM704は、一端(ドレイン)が第3のMOSトランジスタM703の他端(ドレイン)に接続され、他端(ソース)が接地電位に接続され、ゲートが第2のMOSトランジスタM2のゲートに接続されている。
【0106】
すなわち、この第4のMOSトランジスタM704には、第2のMOSトランジスタM2に流れる電流をカレントミラーした電流が流れるようになっている。
【0107】
また、第5のMOSトランジスタM705は、一端(ソース)が電源電位に接続され、他端(ドレイン)がローパスフィルタFの入力に接続され、ゲートが第3のMOSトランジスタのゲートに接続されている。すなわち、この第5のMOSトランジスタM705には、第3のMOSトランジスタM703(第4のMOSトランジスタM704)に流れる電流をカレントミラーした電流が流れるようになっている。
【0108】
したがって、カレントミラー回路5は、第5のMOSトランジスタM705の他端(ドレイン)から、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間に流れる電流(第2の信号)をカレントミラーしたミラー電流を出力する。
【0109】
また、ローパスフィルタFは、カレントミラー回路5が出力したミラー電流をフィルタリングした信号を検出信号として出力するようになっている。
【0110】
このように、電力増幅回路700は、カスコード増幅段の電流値を検出回路1のカレントミラー回路5によって間接的に検出する。
【0111】
なお、カレントミラー回路5に用いる各MOSトランジスタM703〜M705のチャネル幅は、第1、第2のMOSトランジスタM1、M2のチャネル幅に比べ小さく設計することが好ましい。
【0112】
これにより、RF信号の電力増幅経路には殆ど影響を与えること無く、カスコード増幅段の電流を検出することができる。
【0113】
なお、電力増幅回路700のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0114】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第8の実施形態】
【0115】
本第8の実施形態では、差動構成からなるカスコード増幅段の各中間ノードを、一定のインピーダンスを持つ素子で分圧し、その中点の電圧からカスコード増幅段の平均電流を検出する構成例について説明する。なお、この第8の実施の形態に係る電力増幅回路800は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0116】
ここで、図9は、第8の実施形態に係る電力増幅回路800の構成の一例を示す回路図である。なお、図9において、図2の符号と同じ符号は、第1の実施形態と同様の構成を示す。
【0117】
図9に示すように、電力増幅回路800は、可変移相回路PSと、第1のコイルL1と、第2のコイルL2と、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、第1導電型の第3のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M3と、第1導電型の第4のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M4と、第1のインピーダンス素子I1と、第2のインピーダンス素子I2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、第1のキャパシタC1と、第2のキャパシタC2と、を備える。
【0118】
可変移相回路PSは、第1の入力端子Tin1から入力された第1のRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力するとともに、第2の入力端子Tin2から入力され第1のRF入力信号に対して位相か反転した第2のRF入力信号の位相を変化させて第2の信号を出力するようになっている。この可変移相回路PSは、その移相量が可変である。
【0119】
第1のコイルL1は、一端が電源電位に接続され、他端が第1のキャパシタC1を介して第1の出力端子Tout1に接続されている。すなわち、第1のキャパシタC1は、第1のコイルL1の他端と第1の出力端子Tout1との間に接続されている。
【0120】
第1のMOSトランジスタM1は、一端(ドレイン)が第1のコイルL1の他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加されている。
【0121】
第2のMOSトランジスタM2は、一端(ドレイン)が第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)に接続され、他端(ソース)が接地電位に接続され、ゲートに第1の信号に応じた第1のドライブ信号が入力されるようになっている。なお、本実施形態では、第1の信号が第1のドライブ信号である。
【0122】
第2のコイルL2は、一端が電源電位に接続され、他端が第2のキャパシタC2を介して第2の出力端子Tout2に接続されている。すなわち、第2のキャパシタC2は、第2のコイルL2の他端と第2の出力端子Tout2との間に接続されている。
【0123】
第3のMOSトランジスタM3は、一端(ドレイン)が第2のコイルL2の他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加されている。
【0124】
第4のMOSトランジスタM4は、一端(ドレイン)が第3のMOSトランジスタM3の他端(ソース)に接続され、他端(ソース)が接地電位に接続され、ゲートに第2の信号に応じた第2のドライブ信号が入力されるようになっている。なお、本実施形態では、第2の信号が第2のドライブ信号である。
【0125】
第1のインピーダンス素子I1は、一端が第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)に接続されている。
【0126】
第2のインピーダンス素子I2は、一端が第3のMOSトランジスタM3の他端(ソース)に接続され、他端が第1のインピーダンス素子I1の他端に接続されている。この第2のインピーダンス素子I2は、例えば、第1のインピーダンス素子I1と同じインピーダンスを有する。
【0127】
検出回路1は、第1のインピーダンス素子I1の他端と第2のインピーダンス素子I2の他端との間の第3の信号の平均値を検出する。これにより、検出回路1は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の信号(第1の電流)の平均値および第3のMOSトランジスタM3と第4のMOSトランジスタM4との間の信号(第2の電流)の平均値を間接的に検出する。そして、検出回路1は、第3の信号の平均値に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0128】
なお、第3の信号は、例えば、第1のインピーダンス素子I1の他端と第2のインピーダンス素子I2の他端との間の電圧である。
【0129】
また、制御信号生成回路2は、検出信号に基づいて、可変移相回路PSの移相量を制御する制御信号を生成する。
【0130】
例えば、第3の信号が電圧の場合、制御信号生成回路2は、第3の信号の平均値が増加した場合(すなわち、第1、第2の電流が減少した場合)には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合(すなわち、第1、第2の電流が増加した場合)には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させる。
【0131】
なお、第1の出力端子Tout1と第2の出力端子Tout2との間に負荷抵抗RLが接続されている。
【0132】
以上のように、本実施形態に係る電力増幅回路800は、差動構成からなるカスコード増幅段の各中間ノードを、一定のインピーダンスを持つ素子で分圧し、その中点の電圧からカスコード増幅段の平均電流を検出する。
【0133】
これにより、平均電流検出時のローパスフィルタFに求められるカットオフ特性を緩和することができる。なお、第1、第2のインピーダンスI1、I2は、電力増幅回路800の特性に大きな影響を与えないよう、十分高いことが望ましい。
【0134】
なお、電力増幅回路800のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0135】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0136】
ここで、一例として、上記第8の実施形態の差動構成の電力増幅回路を用いてシミュレーションした結果について説明する。
【0137】
図10は、第8の実施形態を適用したシミュレーション用の電力増幅回路の回路図である。
【0138】
なお、図10に示すシミュレーション用の電力増幅回路においては、既述の電力増幅回路800と比較して、第1、第2のインピーダンスI1、I2が省略され、ドライバアンプA3と、レプリカローパスフィルタFLと、が追加されている。また、差動整合回路DMは、第1、第2のコイルL1、L2、第1、第2のキャパシタC1、C2を含む点が異なる。
【0139】
また、ローパスフィルタFのカットオフ周波数は15MHzである。また、利得段であるドライバアンプA3の電圧利得は10である。また、可変移相回路PSは電圧制御可変容量(バラクタ)及びインダクタからなるπ型移相回路である。また、ローパスフィルタFの接続によって電力増幅回路本体の差動間バランスを崩さないように、ローパスフィルタFと同様の入力特性を持つレプリカローパスフィルタFLが差動逆相側に接続されている。
【0140】
図11は、図10に示す電力増幅回路に1トーンのRF信号を入力し、その信号電力をスイープした際に生じるAM−PM変換のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図11において、比較のため、可変移相回路の移相量を制御しない比較例のシミュレーション結果も示している。
【0141】
図11に示すように、比較例では、入力電力の増加に伴って信号位相が大きく進み、最大13度程度のAM−PM変換が発生する。
【0142】
一方、実施形態を適用すると、実用的な入力電力範囲においてAM−PM変換を1度程度まで抑えられることが分かる。
【0143】
また、図12は、図10に示す電力増幅回路のカスコード増幅段の入出力電力の関係に関するシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図12において、比較のため、可変移相回路の移相量を制御しない比較例のシミュレーション結果も示している。
【0144】
図12に示すように、可変移相回路PSの制御信号を変更しても利得変化が殆ど生じない。このように、実施形態の技術を適用しても振幅歪み特性には殆ど影響を与えないことが分かる。
【0145】
ここで、3次歪みを持つ電力増幅回路において、絶対量φなるAM−PM変換が生じた場合、下式のように3次相互変調歪み(IM3)の形に変換される。ただし、φ=AM−PM変換量、ω=キャリア周波数、ωm=包絡線周波数である。
【数1】
【0146】
また、図13は、包絡線周波数が5MHzとなる2キャリア周波数の信号を図10に示す電力増幅回路に入力した際のIM3特性のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図13において、比較のため、可変移相回路の移相量を制御しない比較例のシミュレーション結果も示している。
【0147】
図13に示すように、実施形態を適用した場合は、振幅歪みに殆ど影響を与えないが、AM−PM変換をキャンセルする。これにより、実施形態を適用した場合は、特に比較例ではAM−PM変換が大きくなるような電力領域において、IM3を改善する効果があることが確認できる。
【0148】
なお、ここでは、一例として、差動構成の電力増幅回路についてのシミュレーション結果について説明したが、単相の電力増幅回路の構成について適用される既述の実施形態についても、同様のシミュレーション結果となる。
【0149】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0150】
1 検出回路
2 制御信号生成回路
100 電力増幅回路
1000 無線送信装置
1001 ベースバンド回路
1002 局部発振回路
1003 ミキサ回路
1004 アンテナ
PS 可変移相回路
L コイル
C キャパシタ
M1 第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)
M2 第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)
【技術分野】
【0001】
電力増幅回路、および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、高線形なカスコードCMOSパワーアンプ(電力増幅回路)において、NMOS増幅デバイスのゲート容量変調を主原因とするAM−PM変換を抑えるため、逆の容量変調特性を持つPMOSデバイスをパラレルに挿入していた。
【0003】
このような従来技術は、基本的にはゲート容量変調起因のAM−PM変換のみを補償することができる。しかし、この従来技術において、パワーアンプのバックオフ効率を高めるためにB級に近いAB級動作とする。これにより、RF入力パワーに応じて平均電流が大きく変化し、ゲート容量変調以外を要因とするAM−PM変換が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−116419号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】D.Chowdhury, C.D.Hull, O.B.Degani, Y.Wang, and A.M.Niknejad, “A Fully Integrated Dual-Mode Highly Linear 2.4GHz CMOS Power Amplifier for 4G WiMax Applications,” IEEE JSSC, Vol.44. No.12, Dec.2009.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することが可能な電力増幅回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に従った電力増幅回路は、入力端子から入力されたRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路を備える。電力増幅回路は、一端が第1の電位に接続され、他端が出力端子に接続されたコイルを備える。電力増幅回路は、一端が前記コイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに前記第1の信号に応じたドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタを備える。電力増幅回路は、前記第1のMOSトランジスタと前記第2のMOSトランジスタとの間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、前記平均値に応じた検出信号を出力する検出回路を備える。電力増幅回路は、前記検出信号に基づいて、前記可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る無線送信装置1000の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す電力増幅回路100の構成の一例を示す回路図である。
【図3】図3は、第2の実施形態に係る電力増幅回路200の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図4は、第3の実施形態に係る電力増幅回路300の構成の一例を示す回路図である。
【図5】図5は、第4の実施形態に係る電力増幅回路400の構成の一例を示す回路図である。
【図6】図6は、第5の実施形態に係る電力増幅回路500の構成の一例を示す回路図である。
【図7】図7は、第6の実施形態に係る電力増幅回路600の構成の一例を示す回路図である。
【図8】図8は、第7の実施形態に係る電力増幅回路700の構成の一例を示す回路図である。
【図9】図9は、第8の実施形態に係る電力増幅回路800の構成の一例を示す回路図である。
【図10】図10は、第8の実施形態を適用したシミュレーション用の電力増幅回路の回路図である。
【図11】図11は、図10に示す電力増幅回路に1トーンのRF信号を入力し、その信号電力をスイープした際に生じるAM−PM変換のシミュレーション結果を示すグラフである。
【図12】図12は、図10に示す電力増幅回路のカスコード増幅段の入出力電力の関係に関するシミュレーション結果を示すグラフである。
【図13】図13は、包絡線周波数が5MHzとなる2キャリア周波数の信号を図10に示す電力増幅回路に入力した際のIM3特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、第1の電位が電源電位であり、第2の電位が接地電位であり、第1導電型のMOSトランジスタがnMOSトランジスタであり、第2導電型のMOSトランジスタがpMOSトランジスタである場合について説明する。しかし、回路の極性が逆になる場合、すなわち、第1の電位が接地電位であり、第2の電位が電源電位であり、第1導電型のMOSトランジスタがpMOSトランジスタであり、第2導電型のMOSトランジスタがnMOSトランジスタである場合も同様に説明される。
【第1の実施形態】
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る無線送信装置1000の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、無線送信装置1000は、電力増幅回路(パワーアンプ)100と、ベースバンド回路1001と、局部発振回路1002と、ミキサ回路1003と、アンテナ1004と、を備える。
【0012】
ベースバンド回路1001は、ベースバンド信号を生成するようになっている。
【0013】
局部発振回路1002は、局部発振信号を生成するようになっている。
【0014】
ミキサ回路1003は、ベースバンド回路1001が出力したベースバンド信号と局部発振回路1002が出力した局部発振信号とを混合し、得られたRF入力信号を出力するようになっている。
【0015】
電力増幅回路100は、ミキサ回路1003が出力したRF入力信号を増幅し、RF出力信号を出力するようになっている。
【0016】
アンテナ1004は、電力増幅回路100から出力されたRF出力信号を送信するようになっている。
【0017】
ここで、図2は、図1に示す電力増幅回路100の構成の一例を示す回路図である。
【0018】
図2に示すように、電力増幅回路100は、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0019】
可変移相回路PSは、入力端子Tinから入力されたRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力するようになっている。この可変移相回路PSは、その移相量が可変である。なお、本実施形態では、この第1の信号は、第2のMOSトランジスタM2のゲートに入力されるドライブ信号である。
【0020】
コイルLは、一端が電源電位(第1の電位)に接続され、他端がキャパシタCを介して出力端子Toutに接続されている。すなわち、キャパシタCは、コイルLの他端と出力端子Toutとの間に接続されている。
【0021】
第1のMOSトランジスタM1は、一端(ドレイン)がコイルLの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加されている。
【0022】
第2のMOSトランジスタM2は、一端(ドレイン)が第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)に接続され、他端(ソース)が接地電位(第2の電位)に接続され、ゲートに第1の信号に応じたドライブ信号が入力されるようになっている。なお、既述のように、本実施形態では、第1の信号がドライブ信号である。
【0023】
検出回路1は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、この平均値に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0024】
ここで、第2の信号は、第1のMOSトランジスタM1の他端と第2のMOSトランジスタM2の一端との間に流れる電流、又は、前記第1のMOSトランジスタM1の他端と前記第2のMOSトランジスタM2の一端との間の電圧である。
【0025】
すなわち、検出回路1は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の端子に流れる電流又は電圧を端子から直接検出する場合や、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の端子に流れる電流又は電圧を後述のようなミラー回路等を用いて間接的に検出する場合がある。
【0026】
制御信号生成回路2は、検出信号に基づいて、可変移相回路PSの移相量を制御する制御信号を生成するようになっている。
【0027】
この制御信号生成回路2は、検出信号(すなわち、第2の信号の平均値)に基づいて、電力増幅回路100のAM−PM変換が小さくなるように、制御信号により可変移相回路PSの移相量を変化させる。
【0028】
例えば、第2の信号が電流の場合、制御信号生成回路2は、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させる。
【0029】
また、第2の信号が電圧の場合、制御信号生成回路2は、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させる。
【0030】
また、出力端子Toutと接地電位との間に負荷抵抗RLが接続される。
【0031】
次に、以上のような構成を有する電力増幅回路100の特性について説明する。
【0032】
既述のように電力増幅回路100は、コモンゲート、コモンソースの2つのMOSトランジスタM1、M2からなるカスコード増幅段を有する。そして、DC電源の供給はRF電流を遮断するコイルLを介して行われ、RF出力信号はDC成分を遮断するキャパシタCを介して負荷抵抗RLに出力される。
【0033】
例えば、カスコード増幅段にRF信号を入力した場合、入力信号振幅(入力電力に比例)に応じて入出力信号の位相関係が変化してしまう。無線通信用途を仮定して包絡線成分を持った変調信号を増幅する場合、包絡線の振幅に依存してRF出力信号の位相が変化する(AM−PM変換)こととなり、隣接チャネル漏洩電力の増大、変調精度の低下、伝送エラーレート増加などの問題を生じる。
【0034】
ここで、一般的な無線通信用途においては、常に最大の出力電力を出力し続けることは少なく、出力電力を絞って使用することが多い。この際、電力効率の向上による低消費電力化のため、カスコード増幅段は出力信号の低下に合わせて平均電流も絞られるように設計されることが望ましい。
【0035】
しかし、カスコード増幅段において平均電流が変化すると、コモンゲートデバイスのトランスコンダクタンスが変調され、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間に存在する寄生容量との関係により、コモンソースデバイスのドレイン出力電流とコモンゲートデバイスのドレイン出力電圧の位相関係が変化する。具体的には平均電流の増加に伴って出力電圧の位相は進む方向となる。この現象が、カスコード増幅段全体のAM−PM変換の主要な要因となることがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、平均電流の変化に伴うAM−PM変換をキャンセルし、低歪みのカスコード増幅段を提供する。すなわち、電力増幅回路100は、増幅段の入力信号経路であるコモンソースデバイス(第2のMOSトランジスタM2)のゲートに可変移相回路PSを接続し、カスコード増幅段の平均電流値を用いて入力信号の位相を操作する。
【0037】
すなわち、平均電流の増加に伴って可変移相回路PSの移相量を増加させるように制御する。
【0038】
例えば、既述のように、制御信号生成回路2は、第2の信号が電流の場合、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させる。
【0039】
これにより、可変移相回路PSの入力端とカスコード増幅段の出力端の信号位相関係を一定化する。
【0040】
なお、可変移相回路PSは振幅方向の利得変化が少ないものであることが好ましい。
【0041】
そして、可変移相回路PSを制御した際の振幅方向(AM成分)に対する利得変化が無視できれば、電力増幅回路100の制御パスはカスコード増幅段の入力信号経路にAM成分をフィードバックせず、フィードフォワード制御となるために安定性の問題や利得帯域が確保しにくい問題を避けることができる。
【0042】
しかし、可変移相回路PSが振幅成分を変調してしまうものであっても、別途AM信号の歪みを補正する手段(例えば、フィードバック)を併用することにより問題を解決できる。
【0043】
したがって、電力増幅回路100は、変調波信号を入力した際、変調波の包絡線変化に伴って発生する入出力間の信号の位相差を一定化し、隣接チャネルへの信号漏れ込みを軽減し、変調精度を高め、信号伝送エラーレートを低く保つことができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0045】
なお、図2に示す電力増幅回路100は、単相構成について図示しているが、増幅段は差動構成でもよい。この場合、コモンゲートデバイスの差動ドレイン端子間にトランスフォーマの1次側巻線を、そのトランスフォーマの2次側を負荷抵抗RLに接続し、トランスフォーマ1次側巻線の中点をDC電源に接続することにより、DC経路へのRF信号の遮断と負荷抵抗へのDC電流の遮断を同時に行うことができる。
【0046】
なお、既述のように、カスコード増幅段は差動構成であってもよく、その場合は入力信号移相回路も差動構成であり、カスコード増幅段の平均電流を差動デバイスの片側から検出してもよいし両方から検出してもよい(以下の実施形態についても同様である)。
【第2の実施形態】
【0047】
本第2の実施形態においては、カスコード増幅段の電流値がローパスフィルタを介して平均化され、その出力電圧を利得倍して可変移相回路PSを制御する例について、説明する。なお、この第2の実施の形態に係る電力増幅回路200は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0048】
ここで、図3は、第2の実施形態に係る電力増幅回路200の構成の一例を示す回路図である。なお、図3において、図2の符号と同じ符号は、第1の実施形態と同様の構成を示す。
【0049】
図3に示すように、電力増幅回路200は、第1の実施形態と同様に、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0050】
ここで、本実施形態では、第2の信号は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間に流れる電流である。
【0051】
そして、検出回路1は、ローパスフィルタFを有する。このローパスフィルタFは、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間に流れる電流である第2の信号をフィルタリングし、この第2の信号をフィルタリングした信号を検出信号として出力するようになっている。
【0052】
また、制御信号生成回路2は、電圧増幅回路A1を有する。この電圧増幅回路A1は、検出信号を増幅した信号を、可変移相回路2の移相量を制御する制御信号として、出力する。
【0053】
なお、ローパスフィルタFのカットオフ周波数はRF信号の周波数(キャリア周波数)よりも十分低く、変調信号の帯域幅よりは広いことが好ましい。それにより、変調波の包絡線成分に対して忠実に入力信号の位相を制御することができる。また、電圧増幅回路A1の利得は一定値であってもよいし、入力信号の包絡線成分やカスコード増幅段の平均電流によって変化するものであってもよい。
【0054】
なお、電力増幅回路200のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0055】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第3の実施形態】
【0056】
本第3の実施形態においては、カスコード増幅段の電流値を、コモンゲートデバイスのソース端子とコモンソースデバイスのドレイン端子が接続される中間ノードの電圧から検出する構成例について、説明する。なお、この第3の実施の形態に係る電力増幅回路300は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0057】
ここで、図4は、第3の実施形態に係る電力増幅回路300の構成の一例を示す回路図である。なお、図4において、図3の符号と同じ符号は、第2の実施形態と同様の構成を示す。
【0058】
図4に示すように、電力増幅回路300は、第2の実施形態と同様に、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0059】
ここで、本実施形態では、第2の信号は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間の中間ノードの電圧(中間電圧)である。この電圧は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間の電流値の増加に伴って、低下する。
【0060】
そして、検出回路1は、ローパスフィルタF2を有する。このローパスフィルタF2は、第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)と第2のMOSトランジスタM2の一端(ドレイン)との間の電圧である第2の信号をフィルタリングし、この第2の信号をフィルタリングした信号を検出信号として出力するようになっている。
【0061】
また、制御信号生成回路2は、第2の実施形態と同様に、電圧増幅回路A1を有する。この電圧増幅回路A1は、検出信号を増幅した信号を、可変移相回路2の移相量を制御する制御信号として、出力する。
【0062】
例えば、第2の信号が中間電圧であるので、制御信号生成回路2は、第2の信号の平均値が増加した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させる。
【0063】
このように、本実施形態によれば、カスコード増幅段の中間電圧の平均値の変化を、平均電流の変化の代わりに検出することにより、電圧入力型の簡潔な検出回路で平均電流を検出することができる。
【0064】
なお、電力増幅回路300のその他の構成および機能は、第2の実施形態の電力増幅回路200と同様である。
【0065】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第2の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第4の実施形態】
【0066】
本第4の実施形態では、可変移相回路PSとカスコード増幅段の間にドライバアンプが挿入された構成の一例について説明する。
【0067】
なお、この第4の実施の形態に係る電力増幅回路400は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0068】
ここで、図5は、第4の実施形態に係る電力増幅回路400の構成の一例を示す回路図である。なお、図5において、図3の符号と同じ符号は、第2の実施形態と同様の構成を示す。
【0069】
図5に示すように、電力増幅回路400は、第2の実施形態と比較して、ドライバアンプA2をさらに備える。
【0070】
ドライバアンプA2は、可変移相回路PSの出力と第2のMOSトランジスタM2のゲートとの間に接続されている。このドライバアンプA2は、可変移相回路PSが出力した第1の信号を増幅して、第2のMOSトランジスタM2のゲートにドライブ信号を出力するようになっている。
【0071】
これにより、可変移相回路PSを通過する信号の振幅を小さくすることができ、可変移相回路PSで生じる歪みの影響を低減することができる。さらに、電力増幅回路400のPAE(Power-added efficiency)の向上にも繋がる。
【0072】
なお、電力増幅回路400のその他の構成および機能は、第2の実施形態の電力増幅回路200と同様である。
【0073】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第2の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0074】
なお、既述のように、図5の例では、ドライバアンプA2が、可変移相回路PSが出力した第1の信号を増幅して、第2のMOSトランジスタM2のゲートにドライブ信号を出力する場合について説明した。しかし、ドライバアンプA2は、RF入力信号を増幅して可変移相回路PSに出力するようにしてもよい。
【第5の実施形態】
【0075】
本第5の実施形態では、電力増幅回路全体の振幅歪みをキャンセルするフィードバック制御ループが追加された構成例について説明する。なお、この第5の実施の形態に係る電力増幅回路500は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0076】
ここで、図6は、第5の実施形態に係る電力増幅回路500の構成の一例を示す回路図である。なお、図6において、図5の符号と同じ符号は、第4の実施形態と同様の構成を示す。
【0077】
図6に示すように、電力増幅回路500は、第4の実施形態と比較して、第1の振幅検出回路D1と、第2の振幅検出回路D2と、減衰回路ATTと、オペアンプOPと、をさらに備える。なお、本実施形態においては、ドライバアンプA2は、その増幅率が可変であるものとする。
【0078】
第1の振幅検出回路D1は、RF入力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第1の振幅検出信号を出力するようになっている。
【0079】
第2の振幅検出回路D2は、RF出力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第2の振幅検出信号を出力するようになっている。
【0080】
減衰回路ATTは、第2の振幅検出回路D2が出力した第2の振幅検出信号を減衰させて出力するようになっている。
【0081】
オペアンプOPは、第1の振幅検出信号と減衰回路ATTにより減衰した第2の振幅検出信号とを比較するようになっている。そして、このオペアンプOPは、第1の振幅検出信号と、減衰回路ATTにより減衰した第2の振幅検出信号とが等しくなるように、ドライバアンプA2に制御信号を出力して、ドライバアンプA2の増幅率を制御するようになっている。
【0082】
このように、電力増幅回路500において、RF入力信号の振幅成分と、RF出力信号の振幅成分を一定量だけ減衰させたものが一定となるようネガティブフィードバックが行われる。
【0083】
これにより、入力信号電力が変化した際にも、増幅回路全体の利得が上記ループ内の減衰回路における信号減衰量と等しくなるように制御され、振幅成分についても歪みの少ない電力増幅回路を実現することができる。
【0084】
なお、電力増幅回路500のその他の構成および機能は、第4の実施形態の電力増幅回路400と同様である。
【0085】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第4の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0086】
なお、既述のように、図6の例では、ドライバアンプA2が、可変移相回路PSが出力した第1の信号を増幅して、第2のMOSトランジスタM2のゲートにドライブ信号を出力する場合について説明した。しかし、ドライバアンプA2は、RF入力信号を増幅して可変移相回路PSに出力するようにしてもよい。
【第6の実施形態】
【0087】
本第6の実施形態では、電力増幅回路全体の入出力信号位相関係を一定化するネガティブフォードバックループが設けられている構成例について説明する。なお、この第6の実施の形態に係る電力増幅回路600は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0088】
ここで、図7は、第6の実施形態に係る電力増幅回路600の構成の一例を示す回路図である。なお、図7において、図2の符号と同じ符号は、第1の実施形態と同様の構成を示す。
【0089】
図7に示すように、電力増幅回路600は、第1の実施形態と比較して、位相差検出回路3と、加算回路4と、をさらに備える。
【0090】
位相差検出回路3は、RF入力信号の位相とRF出力信号の位相との位相差を検出し、この位相差に応じた位相差検出信号を出力するようになっている。
【0091】
この位相差検出回路3は、例えば、第1のリミッタ回路3aと、第2のリミッタ回路3bと、ミキサ回路3cと、を有する。
【0092】
第1のリミッタ回路3aは、RF入力信号が入力され、このRF入力信号の振幅を制限して出力するようになっている。
【0093】
第2のリミッタ回路3bは、RF出力信号が入力され、このRF出力信号の振幅を制限して出力するようになっている。
【0094】
ミキサ回路3cは、第1のリミッタ回路3aが出力した信号の位相と、第2のリミッタ回路3bが出力した信号の位相と、の位相差に応じた信号を、前記位相差検出信号として出力するようになっている。
【0095】
また、加算回路4は、制御信号に位相差検出信号を加算するようになっている。そして、位相差検出信号が加算された制御信号により、可変移相回路PSの移相量が制御される。
【0096】
このように、電力増幅回路600全体の入出力信号位相関係を一定化するネガティブフォードバックループが設けられている
これにより、フォードフォワード制御ではAM−PM変換の補正が難しくなる電力領域においても効率的にAM−PM変換をキャンセルすることができる。
【0097】
なお、電力増幅回路600のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0098】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第7の実施形態】
【0099】
本第7の実施形態では、カスコード増幅段の電流値をカレントミラー回路によって間接的に検出する構成例について説明する。なお、この第7の実施の形態に係る電力増幅回路700は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0100】
ここで、図8は、第7の実施形態に係る電力増幅回路700の構成の一例を示す回路図である。
【0101】
図8に示すように、電力増幅回路700は、第1の実施形態と同様に、可変移相回路PSと、コイルLと、キャパシタCと、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、を備える。
【0102】
ここで、検出回路1は、カレントミラー回路5と、ローパスフィルタFと、を有する。
【0103】
カレントミラー回路5は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間に流れる電流(第2の信号)をカレントミラーしたミラー電流を出力するようになっている。
【0104】
このカレントミラー回路5は、例えば、第2導電型の第3のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ)M703と、第1導電型の第4のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M704と、第2導電型の第5のMOSトランジスタ(pMOSトランジスタ)M705と、を有する
第3のMOSトランジスタM703は、一端(ソース)が電源電位に接続され、ダイオード接続されている。
【0105】
第4のMOSトランジスタM704は、一端(ドレイン)が第3のMOSトランジスタM703の他端(ドレイン)に接続され、他端(ソース)が接地電位に接続され、ゲートが第2のMOSトランジスタM2のゲートに接続されている。
【0106】
すなわち、この第4のMOSトランジスタM704には、第2のMOSトランジスタM2に流れる電流をカレントミラーした電流が流れるようになっている。
【0107】
また、第5のMOSトランジスタM705は、一端(ソース)が電源電位に接続され、他端(ドレイン)がローパスフィルタFの入力に接続され、ゲートが第3のMOSトランジスタのゲートに接続されている。すなわち、この第5のMOSトランジスタM705には、第3のMOSトランジスタM703(第4のMOSトランジスタM704)に流れる電流をカレントミラーした電流が流れるようになっている。
【0108】
したがって、カレントミラー回路5は、第5のMOSトランジスタM705の他端(ドレイン)から、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間に流れる電流(第2の信号)をカレントミラーしたミラー電流を出力する。
【0109】
また、ローパスフィルタFは、カレントミラー回路5が出力したミラー電流をフィルタリングした信号を検出信号として出力するようになっている。
【0110】
このように、電力増幅回路700は、カスコード増幅段の電流値を検出回路1のカレントミラー回路5によって間接的に検出する。
【0111】
なお、カレントミラー回路5に用いる各MOSトランジスタM703〜M705のチャネル幅は、第1、第2のMOSトランジスタM1、M2のチャネル幅に比べ小さく設計することが好ましい。
【0112】
これにより、RF信号の電力増幅経路には殆ど影響を与えること無く、カスコード増幅段の電流を検出することができる。
【0113】
なお、電力増幅回路700のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0114】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【第8の実施形態】
【0115】
本第8の実施形態では、差動構成からなるカスコード増幅段の各中間ノードを、一定のインピーダンスを持つ素子で分圧し、その中点の電圧からカスコード増幅段の平均電流を検出する構成例について説明する。なお、この第8の実施の形態に係る電力増幅回路800は、第1の実施の形態の電力増幅回路100と同様に、無線送信装置1000に適用される。
【0116】
ここで、図9は、第8の実施形態に係る電力増幅回路800の構成の一例を示す回路図である。なお、図9において、図2の符号と同じ符号は、第1の実施形態と同様の構成を示す。
【0117】
図9に示すように、電力増幅回路800は、可変移相回路PSと、第1のコイルL1と、第2のコイルL2と、第1導電型の第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M1と、第1導電型の第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M2と、第1導電型の第3のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M3と、第1導電型の第4のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)M4と、第1のインピーダンス素子I1と、第2のインピーダンス素子I2と、検出回路1と、制御信号生成回路2と、第1のキャパシタC1と、第2のキャパシタC2と、を備える。
【0118】
可変移相回路PSは、第1の入力端子Tin1から入力された第1のRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力するとともに、第2の入力端子Tin2から入力され第1のRF入力信号に対して位相か反転した第2のRF入力信号の位相を変化させて第2の信号を出力するようになっている。この可変移相回路PSは、その移相量が可変である。
【0119】
第1のコイルL1は、一端が電源電位に接続され、他端が第1のキャパシタC1を介して第1の出力端子Tout1に接続されている。すなわち、第1のキャパシタC1は、第1のコイルL1の他端と第1の出力端子Tout1との間に接続されている。
【0120】
第1のMOSトランジスタM1は、一端(ドレイン)が第1のコイルL1の他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加されている。
【0121】
第2のMOSトランジスタM2は、一端(ドレイン)が第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)に接続され、他端(ソース)が接地電位に接続され、ゲートに第1の信号に応じた第1のドライブ信号が入力されるようになっている。なお、本実施形態では、第1の信号が第1のドライブ信号である。
【0122】
第2のコイルL2は、一端が電源電位に接続され、他端が第2のキャパシタC2を介して第2の出力端子Tout2に接続されている。すなわち、第2のキャパシタC2は、第2のコイルL2の他端と第2の出力端子Tout2との間に接続されている。
【0123】
第3のMOSトランジスタM3は、一端(ドレイン)が第2のコイルL2の他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加されている。
【0124】
第4のMOSトランジスタM4は、一端(ドレイン)が第3のMOSトランジスタM3の他端(ソース)に接続され、他端(ソース)が接地電位に接続され、ゲートに第2の信号に応じた第2のドライブ信号が入力されるようになっている。なお、本実施形態では、第2の信号が第2のドライブ信号である。
【0125】
第1のインピーダンス素子I1は、一端が第1のMOSトランジスタM1の他端(ソース)に接続されている。
【0126】
第2のインピーダンス素子I2は、一端が第3のMOSトランジスタM3の他端(ソース)に接続され、他端が第1のインピーダンス素子I1の他端に接続されている。この第2のインピーダンス素子I2は、例えば、第1のインピーダンス素子I1と同じインピーダンスを有する。
【0127】
検出回路1は、第1のインピーダンス素子I1の他端と第2のインピーダンス素子I2の他端との間の第3の信号の平均値を検出する。これにより、検出回路1は、第1のMOSトランジスタM1と第2のMOSトランジスタM2との間の信号(第1の電流)の平均値および第3のMOSトランジスタM3と第4のMOSトランジスタM4との間の信号(第2の電流)の平均値を間接的に検出する。そして、検出回路1は、第3の信号の平均値に応じた検出信号を出力するようになっている。
【0128】
なお、第3の信号は、例えば、第1のインピーダンス素子I1の他端と第2のインピーダンス素子I2の他端との間の電圧である。
【0129】
また、制御信号生成回路2は、検出信号に基づいて、可変移相回路PSの移相量を制御する制御信号を生成する。
【0130】
例えば、第3の信号が電圧の場合、制御信号生成回路2は、第3の信号の平均値が増加した場合(すなわち、第1、第2の電流が減少した場合)には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を減少させ、一方、第2の信号の平均値が減少した場合(すなわち、第1、第2の電流が増加した場合)には、制御信号により可変移相回路PSの移相量を増加させる。
【0131】
なお、第1の出力端子Tout1と第2の出力端子Tout2との間に負荷抵抗RLが接続されている。
【0132】
以上のように、本実施形態に係る電力増幅回路800は、差動構成からなるカスコード増幅段の各中間ノードを、一定のインピーダンスを持つ素子で分圧し、その中点の電圧からカスコード増幅段の平均電流を検出する。
【0133】
これにより、平均電流検出時のローパスフィルタFに求められるカットオフ特性を緩和することができる。なお、第1、第2のインピーダンスI1、I2は、電力増幅回路800の特性に大きな影響を与えないよう、十分高いことが望ましい。
【0134】
なお、電力増幅回路800のその他の構成および機能は、第1の実施形態の電力増幅回路100と同様である。
【0135】
すなわち、本実施形態に係る電力増幅回路によれば、第1の実施形態と同様に、AM−PM変換をキャンセルしつつ、AM−PM歪みの影響を低減することができる。
【0136】
ここで、一例として、上記第8の実施形態の差動構成の電力増幅回路を用いてシミュレーションした結果について説明する。
【0137】
図10は、第8の実施形態を適用したシミュレーション用の電力増幅回路の回路図である。
【0138】
なお、図10に示すシミュレーション用の電力増幅回路においては、既述の電力増幅回路800と比較して、第1、第2のインピーダンスI1、I2が省略され、ドライバアンプA3と、レプリカローパスフィルタFLと、が追加されている。また、差動整合回路DMは、第1、第2のコイルL1、L2、第1、第2のキャパシタC1、C2を含む点が異なる。
【0139】
また、ローパスフィルタFのカットオフ周波数は15MHzである。また、利得段であるドライバアンプA3の電圧利得は10である。また、可変移相回路PSは電圧制御可変容量(バラクタ)及びインダクタからなるπ型移相回路である。また、ローパスフィルタFの接続によって電力増幅回路本体の差動間バランスを崩さないように、ローパスフィルタFと同様の入力特性を持つレプリカローパスフィルタFLが差動逆相側に接続されている。
【0140】
図11は、図10に示す電力増幅回路に1トーンのRF信号を入力し、その信号電力をスイープした際に生じるAM−PM変換のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図11において、比較のため、可変移相回路の移相量を制御しない比較例のシミュレーション結果も示している。
【0141】
図11に示すように、比較例では、入力電力の増加に伴って信号位相が大きく進み、最大13度程度のAM−PM変換が発生する。
【0142】
一方、実施形態を適用すると、実用的な入力電力範囲においてAM−PM変換を1度程度まで抑えられることが分かる。
【0143】
また、図12は、図10に示す電力増幅回路のカスコード増幅段の入出力電力の関係に関するシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図12において、比較のため、可変移相回路の移相量を制御しない比較例のシミュレーション結果も示している。
【0144】
図12に示すように、可変移相回路PSの制御信号を変更しても利得変化が殆ど生じない。このように、実施形態の技術を適用しても振幅歪み特性には殆ど影響を与えないことが分かる。
【0145】
ここで、3次歪みを持つ電力増幅回路において、絶対量φなるAM−PM変換が生じた場合、下式のように3次相互変調歪み(IM3)の形に変換される。ただし、φ=AM−PM変換量、ω=キャリア周波数、ωm=包絡線周波数である。
【数1】
【0146】
また、図13は、包絡線周波数が5MHzとなる2キャリア周波数の信号を図10に示す電力増幅回路に入力した際のIM3特性のシミュレーション結果を示すグラフである。なお、図13において、比較のため、可変移相回路の移相量を制御しない比較例のシミュレーション結果も示している。
【0147】
図13に示すように、実施形態を適用した場合は、振幅歪みに殆ど影響を与えないが、AM−PM変換をキャンセルする。これにより、実施形態を適用した場合は、特に比較例ではAM−PM変換が大きくなるような電力領域において、IM3を改善する効果があることが確認できる。
【0148】
なお、ここでは、一例として、差動構成の電力増幅回路についてのシミュレーション結果について説明したが、単相の電力増幅回路の構成について適用される既述の実施形態についても、同様のシミュレーション結果となる。
【0149】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0150】
1 検出回路
2 制御信号生成回路
100 電力増幅回路
1000 無線送信装置
1001 ベースバンド回路
1002 局部発振回路
1003 ミキサ回路
1004 アンテナ
PS 可変移相回路
L コイル
C キャパシタ
M1 第1のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)
M2 第2のMOSトランジスタ(nMOSトランジスタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子から入力されたRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路と、
一端が第1の電位に接続され、他端が出力端子に接続されたコイルと、
一端が前記コイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタと、
一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに前記第1の信号に応じたドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタと前記第2のMOSトランジスタとの間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、前記平均値に応じた検出信号を出力する検出回路と、
前記検出信号に基づいて、前記可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備えることを特徴とする電力増幅回路。
【請求項2】
前記第2の信号は、前記第1のMOSトランジスタの他端と前記第2のMOSトランジスタの一端との間に流れる電流、又は、前記第1のMOSトランジスタの他端と前記第2のMOSトランジスタの一端との間の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅回路。
【請求項3】
前記制御信号生成回路は、前記電力増幅回路のAM−PM変換が小さくなるように、前記制御信号により前記可変移相回路の移相量を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の電力増幅回路。
【請求項4】
前記制御信号生成回路は、前記第2の信号が前記電流の場合、前記平均値が増加した場合には、前記制御信号により前記可変移相回路の移相量を増加させ、一方、前記平均値が減少した場合には、前記制御信号により前記可変移相回路の移相量を減少させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項5】
前記コイルの他端と前記出力端子との間に接続されたキャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項6】
前記検出回路は、前記第2の信号をフィルタリングした信号を前記検出信号として出力するローパスフィルタを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項7】
前記制御信号生成回路は、前記検出信号を増幅した信号を前記制御信号として出力する電圧増幅回路を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項8】
前記第1の信号を増幅して前記ドライブ信号を出力するドライバアンプをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅回路。
【請求項9】
前記RF入力信号を増幅して前記可変移相回路に出力するドライバアンプをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅回路。
【請求項10】
前記RF入力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第1の振幅検出信号を出力する第1の振幅検出回路と、
前記RF出力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第2の振幅検出信号を出力する第2の振幅検出回路と、
前記第2の振幅検出信号を減衰させて出力する減衰回路と、
前記第1の振幅検出信号と前記減衰回路により減衰した前記第2の振幅検出信号とを比較し、前記第1の振幅検出信号と前記減衰回路により減衰した前記第2の振幅検出信号とが等しくなるように、前記ドライバアンプの増幅率を制御するオペアンプと、をさらに備えることを特徴とする請求項8または9に記載の電力増幅回路。
【請求項11】
前記RF入力信号の位相と前記RF出力信号の位相との位相差を検出し、前記位相差に応じた位相差検出信号を出力する位相差検出回路と、
前記制御信号に前記位相差検出信号を加算する加算回路と、をさらに備え、
前記位相差検出信号が加算された前記制御信号により、前記可変移相回路の移相量が制御されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項12】
前記位相差検出回路は、
前記RF入力信号が入力され、前記RF入力信号の振幅を制限して出力する第1のリミッタ回路と、
前記RF出力信号が入力され、前記RF出力信号の振幅を制限して出力する第2のリミッタ回路と、
前記第1のリミッタ回路が出力した信号の位相と、前記第2のリミッタ回路が出力した信号の位相と、の位相差に応じた信号を、前記位相差検出信号として出力するミキサ回路と、を有することを特徴とする請求項11に記載の電力増幅回路。
【請求項13】
前記検出回路は、
前記第1のMOSトランジスタの他端と前記第2のMOSトランジスタの一端との間に流れる前記電流をカレントミラーしたミラー電流を出力するカレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路が出力した前記ミラー電流をフィルタリングした信号を前記検出信号として出力するローパスフィルタと、を有することを特徴とする請求項2に記載の電力増幅回路。
【請求項14】
前記カレントミラー回路は、
一端が前記第1の電位に接続され、ダイオード接続された第2導電型の第3のMOSトランジスタと、
一端が前記第3のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が前記第2の電位に接続され、ゲートが前記第2のMOSトランジスタのゲートに接続された第1導電型の第4のMOSトランジスタと、
一端が前記第1の電位に接続され、ゲートが前記第3のMOSトランジスタのゲートに接続され、他端から前記ミラー電流を出力する第2導電型の第5のMOSトランジスタと、を有することを特徴とする請求項13に記載の電力増幅回路。
【請求項15】
第1の入力端子から入力された第1のRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力するとともに第2の入力端子から入力され前記第1のRF入力信号に対して位相が反転した第2のRF入力信号の位相を変化させて第2の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路と、
一端が第1の電位に接続され、他端が第1の出力端子に接続された第1のコイルと、
一端が前記第1のコイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタと、
一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに前記第1の信号に応じた第1のドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタと、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が第2の出力端子に接続された第2のコイルと、
一端が前記第2のコイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第3のMOSトランジスタと、
一端が前記第3のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が前記第2の電位に接続され、ゲートに前記第2の信号に応じた第2のドライブ信号が入力された第1導電型の第4のMOSトランジスタと、
一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続された第1のインピーダンス素子と、
一端が前記第3のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が前記第1のインピーダンス素子の他端に接続され、前記第1のインピーダンス素子と同じインピーダンスを有する第2のインピーダンス素子と、
前記第1のインピーダンス素子の他端と前記第2のインピーダンス素子の他端との間の第3の信号の平均値を検出し、前記平均値に応じた検出信号を出力する検出回路と、
前記検出信号に基づいて、前記可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備えることを特徴とする電力増幅回路。
【請求項16】
前記第1のコイルの他端と前記第1の出力端子との間に接続された第1のキャパシタと、
前記第2のコイルの他端と前記第2の出力端子との間に接続された第2のキャパシタと、をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の電力増幅回路。
【請求項17】
ベースバンド信号を生成するベースバンド回路と、
局部発振信号を生成する局部発振回路と、
前記ベースバンド信号と前記局部発振信号とを混合し、RF入力信号を出力するミキサ回路と、
前記RF入力信号を増幅し、RF出力信号を出力する請求項1ないし16の何れかに記載の電力増幅回路と、
前記RF出力信号を送信するアンテナと、を備えることを特徴とする無線送信装置。
【請求項1】
入力端子から入力されたRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路と、
一端が第1の電位に接続され、他端が出力端子に接続されたコイルと、
一端が前記コイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタと、
一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに前記第1の信号に応じたドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタと、
前記第1のMOSトランジスタと前記第2のMOSトランジスタとの間の第2の信号の平均値を直接的又は間接的に検出し、前記平均値に応じた検出信号を出力する検出回路と、
前記検出信号に基づいて、前記可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備えることを特徴とする電力増幅回路。
【請求項2】
前記第2の信号は、前記第1のMOSトランジスタの他端と前記第2のMOSトランジスタの一端との間に流れる電流、又は、前記第1のMOSトランジスタの他端と前記第2のMOSトランジスタの一端との間の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅回路。
【請求項3】
前記制御信号生成回路は、前記電力増幅回路のAM−PM変換が小さくなるように、前記制御信号により前記可変移相回路の移相量を変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の電力増幅回路。
【請求項4】
前記制御信号生成回路は、前記第2の信号が前記電流の場合、前記平均値が増加した場合には、前記制御信号により前記可変移相回路の移相量を増加させ、一方、前記平均値が減少した場合には、前記制御信号により前記可変移相回路の移相量を減少させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項5】
前記コイルの他端と前記出力端子との間に接続されたキャパシタをさらに備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項6】
前記検出回路は、前記第2の信号をフィルタリングした信号を前記検出信号として出力するローパスフィルタを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項7】
前記制御信号生成回路は、前記検出信号を増幅した信号を前記制御信号として出力する電圧増幅回路を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項8】
前記第1の信号を増幅して前記ドライブ信号を出力するドライバアンプをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅回路。
【請求項9】
前記RF入力信号を増幅して前記可変移相回路に出力するドライバアンプをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力増幅回路。
【請求項10】
前記RF入力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第1の振幅検出信号を出力する第1の振幅検出回路と、
前記RF出力信号の振幅を検出し、検出された振幅に応じた第2の振幅検出信号を出力する第2の振幅検出回路と、
前記第2の振幅検出信号を減衰させて出力する減衰回路と、
前記第1の振幅検出信号と前記減衰回路により減衰した前記第2の振幅検出信号とを比較し、前記第1の振幅検出信号と前記減衰回路により減衰した前記第2の振幅検出信号とが等しくなるように、前記ドライバアンプの増幅率を制御するオペアンプと、をさらに備えることを特徴とする請求項8または9に記載の電力増幅回路。
【請求項11】
前記RF入力信号の位相と前記RF出力信号の位相との位相差を検出し、前記位相差に応じた位相差検出信号を出力する位相差検出回路と、
前記制御信号に前記位相差検出信号を加算する加算回路と、をさらに備え、
前記位相差検出信号が加算された前記制御信号により、前記可変移相回路の移相量が制御されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の電力増幅回路。
【請求項12】
前記位相差検出回路は、
前記RF入力信号が入力され、前記RF入力信号の振幅を制限して出力する第1のリミッタ回路と、
前記RF出力信号が入力され、前記RF出力信号の振幅を制限して出力する第2のリミッタ回路と、
前記第1のリミッタ回路が出力した信号の位相と、前記第2のリミッタ回路が出力した信号の位相と、の位相差に応じた信号を、前記位相差検出信号として出力するミキサ回路と、を有することを特徴とする請求項11に記載の電力増幅回路。
【請求項13】
前記検出回路は、
前記第1のMOSトランジスタの他端と前記第2のMOSトランジスタの一端との間に流れる前記電流をカレントミラーしたミラー電流を出力するカレントミラー回路と、
前記カレントミラー回路が出力した前記ミラー電流をフィルタリングした信号を前記検出信号として出力するローパスフィルタと、を有することを特徴とする請求項2に記載の電力増幅回路。
【請求項14】
前記カレントミラー回路は、
一端が前記第1の電位に接続され、ダイオード接続された第2導電型の第3のMOSトランジスタと、
一端が前記第3のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が前記第2の電位に接続され、ゲートが前記第2のMOSトランジスタのゲートに接続された第1導電型の第4のMOSトランジスタと、
一端が前記第1の電位に接続され、ゲートが前記第3のMOSトランジスタのゲートに接続され、他端から前記ミラー電流を出力する第2導電型の第5のMOSトランジスタと、を有することを特徴とする請求項13に記載の電力増幅回路。
【請求項15】
第1の入力端子から入力された第1のRF入力信号の位相を変化させて第1の信号を出力するとともに第2の入力端子から入力され前記第1のRF入力信号に対して位相が反転した第2のRF入力信号の位相を変化させて第2の信号を出力し、且つ、その移相量が可変である可変移相回路と、
一端が第1の電位に接続され、他端が第1の出力端子に接続された第1のコイルと、
一端が前記第1のコイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第1のMOSトランジスタと、
一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が第2の電位に接続され、ゲートに前記第1の信号に応じた第1のドライブ信号が入力された第1導電型の第2のMOSトランジスタと、
一端が前記第1の電位に接続され、他端が第2の出力端子に接続された第2のコイルと、
一端が前記第2のコイルの他端に接続され、所定の電流が流れるようにゲートに電圧が印加された第1導電型の第3のMOSトランジスタと、
一端が前記第3のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が前記第2の電位に接続され、ゲートに前記第2の信号に応じた第2のドライブ信号が入力された第1導電型の第4のMOSトランジスタと、
一端が前記第1のMOSトランジスタの他端に接続された第1のインピーダンス素子と、
一端が前記第3のMOSトランジスタの他端に接続され、他端が前記第1のインピーダンス素子の他端に接続され、前記第1のインピーダンス素子と同じインピーダンスを有する第2のインピーダンス素子と、
前記第1のインピーダンス素子の他端と前記第2のインピーダンス素子の他端との間の第3の信号の平均値を検出し、前記平均値に応じた検出信号を出力する検出回路と、
前記検出信号に基づいて、前記可変移相回路の移相量を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、を備えることを特徴とする電力増幅回路。
【請求項16】
前記第1のコイルの他端と前記第1の出力端子との間に接続された第1のキャパシタと、
前記第2のコイルの他端と前記第2の出力端子との間に接続された第2のキャパシタと、をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の電力増幅回路。
【請求項17】
ベースバンド信号を生成するベースバンド回路と、
局部発振信号を生成する局部発振回路と、
前記ベースバンド信号と前記局部発振信号とを混合し、RF入力信号を出力するミキサ回路と、
前記RF入力信号を増幅し、RF出力信号を出力する請求項1ないし16の何れかに記載の電力増幅回路と、
前記RF出力信号を送信するアンテナと、を備えることを特徴とする無線送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−81090(P2013−81090A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220240(P2011−220240)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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