説明

電力変換装置

【課題】風上側と風下側との発熱体の放熱量を均一化しつつ、風洞部の設計の自由度を大幅に向上することができるようにする。
【解決手段】電力変換装置1は、一方側に本体部20が配置され、他方側に冷却風が通風される風洞部30が配置された筐体ベース11と、筐体ベース11の風洞部30側に風上側から風下側に向けて立設された2つの風洞壁部12a,12bと、風洞部30内に風上側から風下側に向けて直列に配置された2つのリアクトル33a,33bと、隣り合う風上側の第1リアクトル33aと風下側の第2リアクトル33bとの間に、風洞壁部12a,12bより冷却風の通風空間Sの中央側に突出するように配置された突出部材13a,13bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力変換装置の風洞部には複数の発熱体が配置されており、これらの発熱体は冷却風により空冷される。ここで、複数の発熱体が風上側から風下側に向けて直列に配置されている場合、風上側の発熱体との熱交換により温度が上昇した冷却風が風下側の発熱体に向けて流れるため、風上側と風下側の発熱体の放熱量に差異が生じてしまう。
【0003】
そこで従来、冷却風の流路を風上側から風下側に向けて絞る構成とした風洞部を有する電力変換装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術においては、電力変換装置内に設けられた風洞部(風洞)内に、複数個の発熱体(放熱フィン)が直列に配置されている。風洞部は、冷却風の流路(風の通路)が風上側から風下側にいくにつれて絞り込まれるように、形成されている。これにより、冷却風を増速させて風下側の発熱体の冷却効率を向上し、風上側と風下側との発熱体の放熱量を均一化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−186702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の構成では、風洞部の流路自体が風上側から風下側に向けて狭くなるため、風下側に配置可能な発熱体の大きさが制限されてしまい、風上側と同等の大きさを有する発熱体を風下側に配置できないおそれがある。また、発熱体が例えばリアクトル等のコイル部品である場合、筐体との間に所定の絶縁距離を確保する必要があるが、上記従来技術の構成では、風下側で筐体と発熱体との距離が近くなるため、風下側の発熱体の大きさによっては絶縁距離を確保できないおそれがある。このように、風洞部の流路を狭くする構成では、風下側に配置可能な発熱体が著しく制限されてしまい、風洞部の設計の自由度が大幅に低下するという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、風上側と風下側との発熱体の放熱量を均一化しつつ、風洞部の設計の自由度を大幅に向上することができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置であって、一方側に本体部が配置され、他方側に冷却風が通風される風洞部が配置された筐体ベースと、前記筐体ベースの前記風洞部側に風上側から風下側に向けて立設された2つの風洞壁部と、前記風洞部内に風上側から風下側に向けて直列に配置された少なくとも2つの発熱体と、前記発熱体のうち隣り合う風上側の第1発熱体と風下側の第2発熱体との間に、前記風洞壁部の少なくとも一方より前記冷却風の通風空間の中央側に突出するように配置された、突出部材と、を有する電力変換装置が適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、風上側と風下側との発熱体の放熱量を均一化しつつ、風洞部の設計の自由度を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態の電力変換装置をケース側から見た外観斜視図である。
【図2】電力変換装置を風洞カバーの一部を破断して風洞部側から見た斜視図である。
【図3】筐体の全体構成を表す斜視図である。
【図4】電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【図5】図4中V−V断面による電力変換装置の横断面図である。
【図6】筐体が突出部材を1つだけ有する変形例における、電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【図7】突出部材をコイル内周面まで突出するように配置する変形例における、電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【図8】図7中VIII−VIII断面による電力変換装置の横断面図である。
【図9】突出部材が風上側にテーパ面を有する変形例における、電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【図10】突出部材が風上側にテーパ面を有する変形例における、電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【図11】突出部材がケーブル挿通用の切り欠き部を有する変形例における、電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【図12】図11中XII−XII断面による電力変換装置の横断面図である。
【図13】突出部材を風洞カバー側に設ける変形例における、電力変換装置の横断面図である。
【図14】突出部材を筐体側と風洞カバー側との両方に設ける変形例における、電力変換装置の横断面図である。
【図15】2つの突出部材を互い違いに配置する変形例における、電力変換装置を風洞カバーを省略して風洞部側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1、図2、図3、図4、及び図5に示すように、本実施形態の電力変換装置1は、交流電力から直流電力への変換を行うインバータ装置であり、筐体10と、図示しない複数の電子部品(例えば、ダイオードモジュール、電磁接触器、メインコンデンサ、パワーモジュール等)を有する本体部20と、冷却風が通風される風洞部30と、本体部20を覆うケース40と、樹脂により板状に形成された風洞カバー50とを有している。
【0012】
筐体10は、板状に形成された筐体ベース11と、2つの風洞壁部12a,12bと、板状に形成された2つの突出部材13a,13bとを有している。これら筐体ベース11、風洞壁部12a,12b、及び突出部材13a,13bは、金属材料(例えば、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金等)を用いたダイカストにより一体成型されている。ダイカストとは、金型鋳造法の一つで、金型に溶融した金属を圧入することにより、高い寸法精度の鋳物を短時間に大量に生産する鋳造方式、又は、この鋳造方式による製品のことである。なお、筐体ベース11と風洞壁部12a,12bとを一体成型し、突出部材13a,13bをこれらとは別体として構成してもよい。又は、筐体ベース11と突出部材13a,13bとを一体成型し、風洞壁部12a,12bをこれらとは別体として構成してもよい。あるいは、風洞壁部12a,12bと突出部材13a,13bとを一体成型し、筐体ベース11をこれらとは別体として構成してもよい。若しくは、筐体ベース11、風洞壁部12a,12b、及び突出部材13a,13bを別体として構成してもよい。
【0013】
筐体ベース11の一方側(図1中左手前側、図2〜図4中紙面奥側、図5中下側)には、上記本体部20が配置され、筐体ベース11の他方側(図1中右奥側、図2〜図4中紙面手前側、図5中上側)には、上記風洞部30が配置されている。
【0014】
風洞部30は、その一端(図2〜図4中下端)及び他端(図2〜図4中上端)に、開口部31a,31bをそれぞれ有している。これら開口部31a,31bのうち、他端側の開口部31bには、冷却風を開口部31aより吸入して開口部31bより排出するファン32が取り付けられている。したがって、風洞部30の開口部31a側(図2〜図4中下側、図5中紙面手前側)が風上側に相当し、風洞部30の開口部31b側(図2〜図4中上側、図5中紙面奥側)が風下側に相当する。以下適宜、風洞部30の開口部31a側を風上側と称し、風洞部30の開口部31b側を風下側と称する。すなわち、ファン32を回転させると、冷却風が、開口部31aより吸入され、風洞部30内を風上側から風下側に向けて流れ、開口部31bより排出される。
【0015】
また、風洞部30内には、交流電力から変換された直流電力の電流の脈動を平滑化するための複数(この例では2つ)のリアクトル33a,33bが、互いに所定の絶縁距離を確保すると共に、筐体10(風洞壁部12a,12b及び突出部材13a,13b)との間に所定の絶縁距離を確保しつつ、風上側から風下側に向けて直列に配置されている。これらリアクトル33a,33bのうち、風上側の第1リアクトル33a(第1発熱体、発熱体)は、コア部331aと、このコア部331aに巻かれたコイル部332aとを有し、風下側の第2リアクトル33b(第2発熱体、発熱体)は、コア部331bと、このコア部331bに巻かれたコイル部332bとを有している。これらリアクトル33a,33bは、コイル部332a,332bの軸方向が風洞部30の風上側から風下側に向く方向(図2〜図4中上下方向。図5中紙面手前奥方向)となるように、風洞部30内に配置されている。また、風洞部30内には、リアクトル33a,33b等に接続されたケーブル(図示省略)が配線されている。
【0016】
さらに、風洞部30内には、熱伝導性の高い材料(例えばアルミニウム合金等)で構成されたヒートシンク34の複数のフィン341が配置されている。ヒートシンク34は、本体部20に配置された電子部品に含まれる発熱部品(例えば、ダイオードモジュールやパワーモジュール等)に対応する位置に設けられており、発熱部品で発生された熱を複数のフィン341により放熱することにより発熱部品を冷却する。
【0017】
風洞壁部12a,12bは、筐体ベース11の風洞部30側における上記風洞部30の風上側から風下側に向く方向に略直交する方向(図1中右手前左奥方向、図2〜図5中左右方向)の一端部(図1中左奥側の端部、図2〜図5中右側の端部)及び他端部(図1中右手前側の端部、図2〜図5中左側の端部)に、風上側から風下側に向けてそれぞれ立設されており、風洞部30の側壁を構成している。これら風洞壁部12a,12bの筐体ベース11とは反対側(図1中右奥側、図2〜図4中紙面手前側、図5中上側)には、風洞部30の筐体ベース11とは反対側を覆う上記風洞カバー50が取り付けられている。
【0018】
突出部材13a,13bは、上述したように、ダイカストにより筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、隣り合う第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材13aが風洞壁部12aの内壁より冷却風の通風空間Sの中央側に向けて、突出部材13bが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。
【0019】
以上のように構成された電力変換装置1では、ファン32を回転させると、冷却風が開口部31aより吸入される。吸入された冷却風は、風洞部30内の風上側に配置された複数のフィン341及び第1リアクトル33aを通過し、これら複数のフィン341及び第1リアクトル33aを空冷する。そして、第1リアクトル33aを通過した冷却風は、突出部材13a,13bにより流路が狭くなることにより増速し、風洞部30内の風下側に配置された第2リアクトル33bのコイル部332bの外周に向けて流れ、第2リアクトル33b(主としてコイル部332b)を空冷する。そして、第2リアクトル33bを通過した冷却風は、開口部31bより排出される。
【0020】
以上説明した本実施形態の電力変換装置1においては、風洞部30に2つのリアクトル33a,33bが風上側から風下側に向けて直列に配置されている。これらリアクトル33a,33bは、冷却風により空冷される。ここで、本実施形態ように、風洞部に複数のリアクトルが風上側から風下側に向けて直列に配置されている場合、風上側のリアクトルとの熱交換により温度が上昇した冷却風が風下側のリアクトルに向けて流れるため、風上側と風下側とのリアクトルの放熱量に差異が生じてしまうという一般的な課題がある。
【0021】
そこで、上記一般的な課題を解決するため、風洞部を冷却風の流路を風上側から風下側に向けて絞る構成とすることが考えられる。この場合、冷却風を増速させて風下側のリアクトルの冷却効率を向上し、風上側と風下側とのリアクトルの放熱量を均一化することが可能である。しかしながら、このような構成では、風洞部の流路自体が風上側から風下側に向けて狭くなるため、風下側に配置可能なリアクトルの大きさが制限されてしまい、風上側と同等の大きさを有するリアクトルを風下側に配置できないおそれがある。また、風洞部にリアクトルを配置する場合、筐体との間に所定の絶縁距離を確保する必要があるが、上記構成では風下側で筐体とリアクトルとの距離が近くなるため、風下側のリアクトルの大きさによっては絶縁距離を確保できないおそれがある。このように、風洞部の流路を狭くする構成では、風下側に配置可能なリアクトルが著しく制限されてしまい、風洞部の設計の自由度が大幅に低下する。
【0022】
これに対し、本実施形態の電力変換装置1においては、風洞部30に配置された風上側の第1リアクトル33aと風下側の第2リアクトル33bとの間に、風洞壁部12a,12bより通風空間Sの中央側にそれぞれ突出するように、突出部材13a,13bをそれぞれ配置する。これら突出部材13a,13bは、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間で、冷却風の流路を一時的に狭くする絞り部材として機能する。これにより、冷却風を増速させて風下側の第2リアクトル33bに向けて流すことができるため、風下側の第2リアクトル33bの冷却効率を向上し、風上側と風下側とのリアクトル33a,33bの放熱量を均一化することができる。一方で、突出部材13a,13bは、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に配置されており、風洞部30の流路面積自体は風上側の第1リアクトル33a部分と風下側の第2リアクトル33b部分において同等である。このため、風下側においても風上側と同等の条件でリアクトル33を配置することが可能となる。したがって、風上側と風下側とのリアクトル33a,33bの放熱量を均一化しつつ、風洞部30の設計の自由度を大幅に向上することができる。
【0023】
また、本実施形態では特に、突出部材13a,13bを筐体10に設けている。これにより、突出部材13a,13bをダイカストにより筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に成型することができる。また、突出部材13a,13bを筐体10に設けることにより、突出部材13a,13bを筐体10のリブとして機能させることが可能となり、筐体10の強度を向上できる。さらに、リアクトル33a,33bで生成された熱の一部は筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bを介して放熱されるが、突出部材13a,13bを筐体10に設けることにより、突出部材13a,13bを筐体10のフィンとして機能させることが可能となり、放熱効率を向上することができる。
【0024】
また、本実施形態では特に、リアクトル33a,33bを、コイル部332a,332bの軸方向が風洞部30の風上側から風下側に向く方向となるように、それぞれ風洞部30内に配置する。これにより、冷却風をコア部331a,331b及びコイル部332a,332bに均一に当てることができ、リアクトル33a,33bを効率よく冷却することができる。
【0025】
また、本実施形態では特に、突出部材13a,13bを、風洞壁部12a,12bより通風空間Sの中央側に向けて、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、それぞれ配置する。これにより、増速させた冷却風を風下側の第2リアクトル33bにおけるコイル部332bの外周に向けて流すことができる。その結果、主としてコイル部332bを冷却することで風下側の第2リアクトル33bの冷却効率を向上することができる。
【0026】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0027】
(1)筐体が突出部材を1つだけ有する場合
上記実施形態においては、筐体10が2つの突出部材13a,13bを有する構成としたが、これに限られず、筐体が突出部材13を1つだけ有する構成としてもよい。
【0028】
図6に示すように、本変形例の電力変換装置1Aにおいては、筐体10Aは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、前述の突出部材13aとを有している。すなわち、この筐体10Aは、前述の筐体10から突出部材13bを省略した構成となっている。これ以外の電力変換装置1Aの構成は、上記実施形態の電力変換装置1と同様である。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0029】
なお、筐体を、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、前述の突出部材13bとを有する構成(すなわち、前述の筐体10から突出部材13aを省略した構成)としてもよい。この場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
(2)突出部材をコイル内周面まで突出するように配置する場合
前述の実施形態においては、突出部材13a,13bを、風洞壁部12a,12bより通風空間Sの中央側に向けて、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、それぞれ配置する構成としたが、これに限られない。すなわち、突出部材を、風洞壁部12より通風空間Sの中央側に向けて、第2リアクトル33bのコイル部332bの内周位置に略対応する位置まで突出するように、配置する構成としてもよい。
【0031】
図7及び図8に示すように、本変形例の電力変換装置1Bにおいては、筐体10Bは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、板状に形成された2つの突出部材13Ba,13Bbとを有している。
【0032】
突出部材13Ba,13Bbは、前述の突出部材13a,13bと同様、筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材13Baが風洞壁部12aの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、突出部材13Bbが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの内周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。
【0033】
上記以外の電力変換装置1Bの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0034】
以上のように構成された電力変換装置1Bでは、第1リアクトル33aを通過した冷却風は、突出部材13Ba,13Bbにより流路が狭くなることにより増速し、風洞部30内の風上側に配置された第2リアクトル33bのコイル部332bの内周(コア部331bとコイル部332bとの隙間)に向けて流れ、第2リアクトル33b(主としてコア部331b)を空冷する。そして、第2リアクトル33bを通過した冷却風は、開口部31bより排出される。
【0035】
本変形例によれば、突出部材13Ba,13Bbを、風洞壁部12a,12bより通風空間Sの中央側に向けて、第2リアクトル33bにおけるコイル部332bの内周位置に略対応する位置まで突出するように、それぞれ配置することにより、増速させた冷却風を風下側の第2リアクトル33bのコイル部332bの内周(コア部331bとコイル部332bとの隙間)に向けて流すことができる。これにより、主としてコア部331bを冷却することで風下側の第2リアクトル33bの冷却効率を向上することができる。
【0036】
(3)突出部材が風上側にテーパ面を有する場合(その1)
すなわち、突出部材が風上側にテーパ面を有する構成としてもよい。図9に示すように、本変形例の電力変換装置1Cにおいては、筐体10Cは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、筐体ベース11の風洞部30側(図9中紙面手前側)からの平面視で略直角三角形状に形成された2つの突出部材13Ca,13Cbとを有している。
【0037】
突出部材13Ca,13Cbは、前述の突出部材13a,13bと同様、筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材13Caが風洞壁部12aの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、突出部材13Cbが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、通風空間Sの中央側に向かうにつれて厚みを小さくしつつ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。すなわち、突出部材13Caは、風上側(図9中下側)に筐体ベース11の風洞部30側からの平面視で三角形の斜辺となるテーパ面131aを有する構成となり、突出部材13Cbは、風上側に筐体ベース11の風洞部30側からの平面視で三角形の斜辺となるテーパ面131bを有する構成となっている。
【0038】
上記以外の電力変換装置1Cの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0039】
本変形例によれば、突出部材13Ca,13Cbが風上側にテーパ面131a,131bをそれぞれ有することにより、突出部材13Ca,13Cbが配置された第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間における冷却風の流れを円滑にし、風洞部30内の抵抗を低減することができる。
【0040】
(4)突出部材が風上側にテーパ面を有する場合(その2)
図10に示すように、本変形例の電力変換装置1Dにおいては、筐体10Dは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、風下側(図10中上側)に傾斜した板状に形成された2つの突出部材13Da,13Dbとを有している。
【0041】
突出部材13Da,13Dbは、前述の突出部材13a,13bと同様、筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材13Daが風洞壁部12aの内壁より通風空間Sにおける風下側の中央側に向けて、突出部材13Dbが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sにおける風下側の中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。すなわち、突出部材13Daは、風上側(図10中下側)にテーパ面132aを有する構成となり、突出部材13Dbは、風上側にテーパ面132bを有する構成となっている。
【0042】
上記以外の電力変換装置1Dの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0043】
本変形例によれば、上記(3)の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0044】
(5)突出部材がケーブル挿通用の切り欠き部を有する場合
すなわち、突出部材がケーブル挿通用の切り欠き部を有する構成としてもよい。以下、図11及び図12を用いて、本変形例の電力変換装置の構成について説明する。なお、図12(a)には、風洞カバー50が筐体に取り付けられる前の状態を示し、図12(b)には、風洞カバー50が筐体に取り付けられた後の状態を示している。
【0045】
図11、図12(a)、及び図12(b)に示すように、本変形例の電力変換装置1Eにおいては、筐体10Eは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、板状に形成された2つの突出部材13Ea,13Ebとを有している。前述の風洞部30内には、第1リアクトル33aに接続されたケーブル60aと、第2リアクトル33bに接続されたケーブル60bとが配線されている。
【0046】
突出部材13Ea,13Ebは、前述の突出部材13a,13bと同様、筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材13Eaが風洞壁部12aの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、突出部材13Ebが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。また、突出部材13Eaは、その筐体ベース11とは反対側(図11中紙面手前側、図12中上側)の端部の風洞壁部12a側(図11及び図12中右側)にケーブル挿通用の切り欠き部133aを有し、突出部材13Ebは、その筐体ベース11とは反対側の端部の風洞壁部12b側(図11及び図12中左側)にケーブル挿通用の切り欠き部133bを有している。なお、突出部材13Eaを、その筐体ベース11とは反対側の端部の幅方向(図11及び図12中左右方向)略中央位置に切り欠き部を有する構成とし、突出部材13Ebを、その筐体ベース11とは反対側の端部の幅方向(図11及び図12中左右方向)略中央位置に切り欠き部を有する構成としてもよい。
【0047】
そして、風洞部30内に配線された上記ケーブル60aは、突出部材13Ebの切り欠き部133bに挿通され、突出部材13Ebと風洞カバー50とより挟み込まれることによって固定されている。また、風洞部30内に配線された上記ケーブル60bは、突出部材13Eaの切り欠き部133aに挿通され、突出部材13Eaと風洞カバー50とより挟み込まれることによって固定されている。
【0048】
上記以外の電力変換装置1Eの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0049】
本変形例によれば、次のような効果を得ることができる。すなわち、風洞部30内においてはリアクトル33a,33bに接続されたケーブル60a,60bが配線されるが、通常、これらケーブル60a,60bは特に固定されないため、風洞部30内において振れやバタつきを生じるおそれがある。本変形例においては、突出部材13Ea,13Ebがケーブル挿通用の切り欠き部133a,133bをそれぞれ有する。これにより、突出部材13Ea,13Ebと風洞カバー50とによってケーブル60a,60bを挟み込み、固定することができる。したがって、ケーブル60a,60bの振れやバタつきを防止できる。また、突出部材13Ea,13Ebは、それぞれ、切り欠き部133a,133bを風洞壁部12a,12b側に有する。これにより、ケーブル60a,60bを風洞壁部12a,12b側に寄せて固定することが可能となるため、ケーブル60a,60bをリアクトル33a,33bより離間させ、リアクトル33a,33bの熱より保護することができる。
【0050】
(6)突出部材を風洞カバー側に設ける場合
前述の実施形態においては、突出部材13a,13bを筐体10側に設ける構成としていたが、これに限られず、突出部材を風洞カバー側に設ける構成としてもよい。以下、図13を用いて、本変形例の電力変換装置の構成について説明する。なお、図13(a)には、風洞カバーが筐体に取り付けられる前の状態を示し、図13(b)には、風洞カバーが筐体に取り付けられた後の状態を示している。
【0051】
図13(a)及び図13(b)に示すように、本変形例の電力変換装置1Fにおいては、筐体10Fは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bとを有している。すなわち、筐体10Fは、前述の筐体10から突出部材13a,13bを省略した構成となっている。前述の風洞部30内には、第1リアクトル33a(図13(a)及び図13(b)中では図示せず。図2等参照)に接続されたケーブル60aと、第2リアクトル33bに接続されたケーブル60bとが配線されている。また、風洞壁部12a,12bの筐体ベース11とは反対側(図13中上側)には、板状に形成され、風洞部30の筐体ベース11とは反対側を覆う風洞カバー50Fが取り付けられる。風洞カバー50Fの筐体ベース11側(図13中下側)には、板状に形成された2つの突出部材51a,51bが設けられている。これら風洞カバー50Fと突出部材51a,51bとは、樹脂により一体成型されている。なお、風洞カバー50Fと突出部材51a,51bとを別体として構成するようにしてもよい。
【0052】
突出部材51a,51bは、風洞カバー50Fが筐体10Fに取り付けられた状態で、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材51aが風洞壁部12aの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、突出部材51bが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。また、突出部材51aは、その筐体ベース11側の端部の風洞壁部12a側(図13中右側)にケーブル挿通用の切り欠き部511aを有し、突出部材51bは、その筐体ベース11側の端部の風洞壁部12b側(図13中左側)にケーブル挿通用の切り欠き部511bを有している。
【0053】
そして、風洞部30内に配線された上記ケーブル60aは、突出部材51bの切り欠き部511bに挿通され、突出部材51bと筐体ベース11とより挟み込まれることによって固定されている。また、風洞部30内に配線された上記ケーブル60bは、突出部材51aの切り欠き部511aに挿通され、突出部材51aと筐体ベース11とより挟み込まれることによって固定されている。
【0054】
上記以外の電力変換装置1Fの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0055】
本変形例によれば、突出部材51a,51bを風洞カバー50Fに設けることにより、風洞カバー50Fを樹脂で構成する場合には、突出部材51a,51bを風洞カバー50Fと一体的に樹脂で成型することが可能となり、突出部材を金属材料で構成する場合に比べて、電力変換装置1Fの軽量化を図ることができる。また、風洞部30にリアクトル33a,33bを配置する場合、突出部材を金属材料で構成した場合には、リアクトル33a,33bと突出部材との間に所定の絶縁距離を確保する必要があるが、突出部材51a,51bを樹脂で構成することによってそのような絶縁距離の確保の必要がなくなり、突出部材51a,51bやリアクトル33a,33bの配置の自由度をさらに向上することができる。また、突出部材51a,51bがケーブル挿通用の切り欠き部511a,511bをそれぞれ有することにより、突出部材51a,51bと筐体ベース11とによってケーブル60a,60bを挟み込み、固定することができるので、上記(5)の変形例と同様、ケーブル60a,60bの振れやバタつきを防止できる。
【0056】
(7)突出部材を筐体側と風洞カバー側との両方に設ける場合
前述の実施形態においては、突出部材13a,13bを筐体10側に設ける構成としていたが、これに限られず、突出部材を筐体カバー側と風洞カバー側との両方に設ける構成としてもよい。以下、図14を用いて、本変形例の電力変換装置の構成について説明する。なお、図14(a)には、風洞カバーが筐体に取り付けられる前の状態を示し、図14(b)には、風洞カバーが筐体に取り付けられた後の状態を示している。
【0057】
図14(a)及び図14(b)に示すように、本変形例の電力変換装置1Gにおいては、筐体10Gは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、短板状に形成された2つの第1突出部材13Ga,13Gbとを有している。前述の風洞部30内には、第1リアクトル33a(図14(a)及び図14(b)中では図示せず。図2等参照)に接続されたケーブル60aと、第2リアクトル33bに接続されたケーブル60bとが配線されている。
【0058】
第1突出部材13Ga,13Gbは、前述の突出部材13a,13bと同様、筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、第1突出部材13Gaが風洞壁部12aにおける筐体ベース11側(図14中下側)の内壁より通風空間Sの中央側に向けて、第1突出部材13Gbが風洞壁部12bにおける筐体ベース11側の内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。また、第1突出部材13Gaは、その筐体ベース11とは反対側(図14中上側)の端部の風洞壁部12a側(図14中右側)に第1切り欠き部133Gaを有し、第1突出部材13Gbは、その筐体ベース11とは反対側の端部の風洞壁部12b側(図14中左側)に第1切り欠き部133Gbを有している。
【0059】
また、風洞壁部12a,12bの筐体ベース11とは反対側には、板状に形成され、風洞部30の筐体ベース11とは反対側を覆う風洞カバー50Gが取り付けられる。風洞カバー50Gの筐体ベース11側には、短板状に形成された2つの第2突出部材51Ga,51Gbが設けられている。これら風洞カバー50Gと第2突出部材51Ga,51Gbとは、樹脂により一体成型されている。なお、風洞カバー50Gと第2突出部材51Ga,51Gbとを別体として構成するようにしてもよい。
【0060】
第2突出部材51Ga,51Gbは、風洞カバー50Gが筐体10Gに取り付けられた際に、筐体10G側の第1突出部材13Ga,13Gbに略対応するように、配置されている。すなわち、第2突出部材51Ga,51Gbは、風洞カバー50Gが筐体10Gに取り付けられた状態で、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、第2突出部材51Gaが風洞壁部12aにおける筐体ベース11とは反対側の内壁より通風空間Sの中央側に向けて、第2突出部材51Gbが洞壁部12bにおける筐体ベース11とは反対側の内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、対向して配置されている。また、第2突出部材51Gaは、その筐体ベース11側の端部の風洞壁部12a側に第2切り欠き部511Gaを有し、第2突出部材51Gbは、その筐体ベース11側の端部の風洞壁部12b側に第2切り欠き部511Gbを有している。
【0061】
本変形例においては、筐体10G側の第1突出部材13Gaと、風洞カバー50G側の第2突出部材51Gaとが、協働して突出部材を構成し、筐体10G側の第1突出部材13Gbと、風洞カバー50G側の第2突出部材51Gbとが、協働して突出部材を構成している。また、第1突出部材13Gaの第1切り欠き部133Gaと、第2突出部材51Gaの第2切り欠き部511Gaとが、協働してケーブル挿通用の切り欠き部を構成し、第1突出部材13Gbの第1切り欠き部133Gbと、第2突出部材51Gbの第2切り欠き部511Gbとが、協働してケーブル挿通用の切り欠き部を構成している。
【0062】
すなわち、本変形例では、風洞部30内に配線された上記ケーブル60aは、第1突出部材13Gbの第1切り欠き部133Gbと第2突出部材51Gbの第2切り欠き部511Gbとで構成される切り欠き部に挿通され、第1突出部材13Gbと第2突出部材51Gbとより挟み込まれることによって固定されている。また、風洞部30内に配線された上記ケーブル60bは、第1突出部材13Gaの第1切り欠き部133Gaと第2突出部材51Gaの第2切り欠き部511Gaとで構成される切り欠き部に挿通され、第1突出部材13Gaと第2突出部材51Gaとより挟み込まれることによって固定されている。
【0063】
上記以外の電力変換装置1Gの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0064】
本変形例によれば、筐体10Gに設けられた第1突出部材13Ga,13Gbと、風洞カバー50Gに設けられた第2突出部材51Ga,51Gbとが、協働して突出部材を構成する。これにより、突出部材の中央部にケーブル挿通用の切り欠きを設ける等、突出部材を筐体側、あるいは、風洞カバー側のいずれかに一体成型する場合には形成しにくい形状を、実現することが可能となる。また、第1突出部材13Ga,13Gbの第1切り欠き部133Ga,133Gbと、第2突出部材51Ga,51Gbの第2切り欠き部511Ga,511Gbとが、協働してケーブル挿通用の切り欠き部を構成することにより、第1突出部材13Ga,13Gbと第2突出部材51Ga,51Gbとによってケーブル60a,60bを挟み込み、固定することができるので、上記(5)の変形例と同様、ケーブル60a,60bの振れやバタつきを防止できる。
【0065】
(8)2つの突出部材を互い違いに配置する場合
前述の実施形態においては、突出部材13a,13bを、風洞壁部12a,12bより通風空間Sの中央側に突出するように、対向配置する構成としたが、これに限られず、2つの突出部材を、一方の突出部材と第1リアクトル33aとの距離が、他方の突出部材と第2リアクトル33bとの距離と略等しくなるように、それぞれ配置する構成としてもよい。
【0066】
図15に示すように、本変形例の電力変換装置1Hにおいては、筐体10Hは、前述の筐体ベース11と、前述の風洞壁部12a,12bと、板状に形成された2つの突出部材13Ha,13Hbとを有している。前述の風洞部30内には、第1リアクトル33aに接続されたケーブル60a,70aと、第2リアクトル33bに接続されたケーブル60b,70bとが配線されている。
【0067】
突出部材13Ha,13Hbは、前述の突出部材13a,13bと同様、筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体的に設けられている。そして、第1リアクトル33aと第2リアクトル33bとの間に、突出部材13Haが風洞壁部12aの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、突出部材13Hbが風洞壁部12bの内壁より通風空間Sの中央側に向けて、それぞれ、第2リアクトル33bのコイル部332bの外周位置に略対応する位置まで突出するように、配置されている。具体的には、突出部材13Ha,13Hbは、突出部材13Ha(一方の突出部材)と第1リアクトル33a(詳細には、第1リアクトル33aとケーブル70aとの結線部333a)との距離L1が、突出部材13Hb(他方の突出部材)と第2リアクトル33b(詳細には、第2リアクトル33bとケーブル70bとの結線部333b)との距離L2と略等しくなるように、それぞれ配置されている。また、突出部材13Haは、その筐体ベース11とは反対側(図15中紙面手前側)の端部の風洞壁部12a側(図15中右側)にケーブル挿通用の切り欠き部133Haを有し、突出部材13Hbは、その筐体ベース11とは反対側の端部の風洞壁部12b側(図15中左側)にケーブル挿通用の切り欠き部133Hbを有している。
【0068】
そして、風洞部30内に配線された上記ケーブル60aは、突出部材13Hbの切り欠き部133Hbに挿通され、突出部材13Hbと風洞カバー50(図15中では図示せず)とより挟み込まれることによって固定されている。また、風洞部30内に配線された上記ケーブル60bは、突出部材13Haの切り欠き部133Haに挿通され、突出部材13Haと風洞カバー50とより挟み込まれることによって固定されている。
【0069】
上記以外の電力変換装置1Hの構成は、前述の実施形態の電力変換装置1と同様である。
【0070】
本変形例によれば、突出部材13Ha,13Hbが風洞壁部12a,12bより通風空間Sの中央側にそれぞれ突出している。そして、突出部材13Haと結線部333aとの距離L1が、突出部材13Hbと結線部333bとの距離L2と略等しくなるように、それぞれ配置されている。これにより、リアクトル33a,33bにおいて、ケーブル70a,70bとの結線部333a,333b等、筐体10Hとの絶縁距離を確保する必要がある部位が幅方向一方側に偏って位置するような場合に、各リアクトル33a,33bの部位の位置に対応させて互いに絶縁距離を確保しつつ、突出部材13Ha,13Hbを配置することが可能となる。
【0071】
(9)突出部材を筐体とは別体として構成する場合
前述の実施形態においては、突出部材13a,13bを筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bと一体成型する構成としたが、これに限られず、突出部材を筐体ベース11及び風洞壁部12a,12bとは別体として構成してもよい。この場合、突出部材を、筐体ベース11に設置してもよいし、風洞壁部12a,12bに設置してもよい。又は、風洞カバー50に設置してもよい。これらの場合も、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
(10)風洞部内にリアクトルを3つ以上直列に配置する場合
前述の実施形態においては、風洞部30内に風上側から風下側に向けて2つのリアクトル33a,33bを直列に配置する構成としたが、これに限られず、風洞部30内に風上側から風下側に向けてリアクトルを3つ以上直列に配置する構成としてもよい。この場合、突出部材を、3つ以上のリアクトルのうち、隣り合う風上側のリアクトル(第1発熱体、発熱体)と風下側のリアクトル(第2発熱体、発熱体)との間にそれぞれ配置するようにする。この場合も、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(11)風洞部内にリアクトルを1つだけ配置する場合
すなわち、風洞部30内にリアクトルを1つだけ配置する構成としてもよい。この場合、突出部材を、風洞部30内に直列に配置されたヒートシンク34の複数のフィン341及び1つのリアクトルとのうち、隣り合う風上側のヒートシンク34の複数のフィン341(第1発熱体、発熱体)と風下側のリアクトル(第2発熱体、発熱体)との間に配置するようにする。この場合も、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(12)リアクトルを横向きに配置する場合
前述の実施形態においては、リアクトル33a,33bをコイル部332a,332bの軸方向が風洞部30の風上側から風下側に向く方向となるように配置する構成としたが、これに限られず、リアクトル33a,33bをコイル部332a,332bの軸方向が風洞部30の風上側から風下側に向く方向に直交する方向、すなわち風洞壁部12a側から風洞壁部12側に向く方向となるように配置する構成としてもよい。
【0075】
(13)ファンを風上側に配置する場合
前述の実施形態においては、ファン32を風下側に配置する構成としたが、これに限られず、ファンを風上側に配置する構成としてもよい。この場合も、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(14)その他
以上では、電力変換装置が交流電力から直流電力への変換を行うインバータ装置である場合を一例として説明したが、これに限られず、電力変換装置が直流電力から交流電力への変換を行うコンバータ装置である場合にも適用することができる。
【0077】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0078】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0079】
1 電力変換装置
1A〜H 電力変換装置
11 筐体ベース
12a,b 風洞壁部
13a,b 突出部材
13Ba,Bb 突出部材
13Ca,Cb 突出部材
13Da,Db 突出部材
13Ea,Eb 突出部材
13Ga,Gb 第1突出部材
13Ha,Hb 突出部材
20 本体部
30 風洞部
33a 第1リアクトル(リアクトル、第1発熱体、発熱体)
33b 第2リアクトル(リアクトル、第2発熱体、発熱体)
50 風洞カバー
50F,G 風洞カバー
51a,b 突出部材
51Ga,Gb 第2突出部材
133a,b 切り欠き部
133Ha,Hb 切り欠き部
331a,b コア部
332a,b コイル部
511a,b 切り欠き部
L1 距離(一方の突出部材と第1発熱体との距離)
L2 距離(他方の突出部材と第2発熱体との距離)
S 冷却風の通風空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力から直流電力又は直流電力から交流電力への変換を行う電力変換装置であって、
一方側に本体部が配置され、他方側に冷却風が通風される風洞部が配置された筐体ベースと、
前記筐体ベースの前記風洞部側に風上側から風下側に向けて立設された2つの風洞壁部と、
前記風洞部内に風上側から風下側に向けて直列に配置された少なくとも2つの発熱体と、
前記発熱体のうち隣り合う風上側の第1発熱体と風下側の第2発熱体との間に、前記風洞壁部の少なくとも一方より前記冷却風の通風空間の中央側に突出するように配置された、突出部材と、を有する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記突出部材は、
前記筐体ベース又は前記風洞壁部に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記風洞部の前記筐体ベースとは反対側を覆う風洞カバーをさらに有し、
前記突出部材は、
前記風洞カバーに設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記風洞部の前記筐体ベースとは反対側を覆う風洞カバーをさらに有し、
前記突出部材は、
前記筐体ベース又は前記風洞壁部に設けられた第1突出部材と、前記風洞カバーに設けられた第2突出部材とで構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記突出部材は、
ケーブル挿通用の切り欠き部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記突出部材は、
前記切り欠き部を前記風洞壁部側に有する
ことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1発熱体及び前記第2発熱体は、
コア部とコイル部を有するリアクトルであり、
前記コイル部の軸方向が前記風洞部の風上側から風下側に向く方向となるように、配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記突出部材は、
前記風洞壁部より前記通風空間の中央側に向けて、風下側の前記リアクトルにおける前記コイル部の外周位置に略対応する位置まで突出するように、配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記突出部材は、
前記風洞壁部より前記通風空間の中央側に向けて、風下側の前記リアクトルにおける前記コイル部の内周位置に略対応する位置まで突出するように、配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記突出部材は、
風上側にテーパ面を有している
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記突出部材は、
前記2つの風洞壁部より前記冷却風の通風空間の中央側にそれぞれ突出し、
一方の前記突出部材と前記第1発熱体との距離が、他方の前記突出部材と前記第2発熱体との距離と略等しくなるように、それぞれ配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−210115(P2012−210115A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75170(P2011−75170)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】