説明

電力変換装置

【課題】所望の装置として動作する電力変換装置において、装置構成上及び製造上の効率化を図る。
【解決手段】インターフェース部4は、インバータ等の機能の一部を実現するための処理を行う機能部41、及びインバータ等を区別するためのIDが格納されたメモリ42を備える。機能共有部2は、インバータ等に共通した機能を実現する主回路の処理を行い、機能選択部3は、インバータ等における異なる個別の機能を実現する制御回路の処理を行うインバータ制御部31、コンバータ制御部32及びパワーコンディショナ制御部33を備える。機能選択部3は、IDに基づいてインバータ制御部31等のうちのいずれかを選択する。これにより、作業者は、電力変換装置1を所望の装置として動作させる場合、所望の装置に対応するインターフェース部4を選択し、インターフェース部4であるインターフェースカードをメインカード10に接続すればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用モータ駆動装置、回生コンバータ装置、太陽光発電用または風力発電用のパワーコンディショナ装置等のエネルギーを変換する装置に関し、特に、複数の装置の機能を共有化する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業用モータ駆動装置、回生コンバータ装置、太陽光発電用または風力発電用のパワーコンディショナ装置等の電力変換装置は、エネルギーを変換する点で共通するが、各装置の動作及び機能が異なることから、開発及び製造は個別に行われる。また、これらの装置では、インバータ、コンバータ等の機能別にハードウェアを準備する必要があり、検査装置もインバータ、コンバータ等に対応して個別に準備する必要があった。このため、コスト等の負担が大きく、開発期間及び製造期間も長くなってしまう。
【0003】
このような個別開発及び製造の負担を軽減するため、例えば、1つの筐体にて、インバータまたは/及びコンバータの機能を有する電力変換装置が知られている(特許文献1を参照)。この電力変換装置は、3相交流電源を直流電圧に変換するダイオード整流回路、直流電圧を平滑する平滑コンデンサ、直流電圧を交流電圧に変換する電力変換器、及び、電力変換器を制御する制御回路等を備え、電力電換器の直流側の正側に端子Bを設け、平滑コンデンサの正側に端子Pを設け、ダイオード整流回路の出力側の正側に端子Aを設ける。そして、電力変換装置をインバータとして動作させる場合、端子Bと端子Pとを接続し、制御回路のソフトウェアとしてインバータ制御用のソフトウェアを使用し、電力変換装置をコンバータとして動作させる場合、端子Bと端子Aとを接続し、制御回路のソフトウェアとしてコンバータ制御用のソフトウェアを使用する。
【0004】
具体的には、作業者が、端子Bと端子Pとを接続バーにて接続し、インバータ制御用のソフトウェアを内蔵した1チップマイコン等を制御回路基板に装着することにより、電力変換装置はインバータとして動作するようになる。また、作業者が、端子Bと端子Aとを接続バーにて接続し、コンバータ制御用のソフトウェアを内蔵した1チップマイコン等を制御回路基板に装着することにより、電力変換装置はコンバータとして動作するようになる。このように、作業者が、接続バーを所定箇所に接続し、所定の1チップマイコン等を装着することで、電力変換装置をインバータまたはコンバータとして動作させることができる。
【0005】
一方、電力変換装置の例ではないが、メモリカードを利用することにより、予め設けられている2つの機能のうちの1つを実現するための双機能装置も知られている(例えば、特許文献2を参照)。この双機能装置は、メモリカードの挿入面方向を検知し、検知した挿入面方向に基づいて、予め設けられている2つの機能のうちの1つを選択し、メモリカードへアクセスして必要な情報を読み出し、選択した機能を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−194144号公報
【特許文献2】特開2005−174115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1の電力変換装置及び特許文献2の双機能装置では、1台の装置において、所定の選択により2つ機能のうちの1つを実現することができるから、各機能を実現するための装置を個別に開発したり製造したりする負担を軽減することができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1の電力変換装置では、パワー素子を有する電力変換器が共有化されているが、インバータ及びコンバータの制御回路については共有化されていない。このため、各機能を実現するための電力変換装置として、装置構成上の効率化の点で不十分であった。また、インバータ及びコンバータのいずれか一方の機能を実現するために、作業者により、接続バーの接続作業及び1チップマイコン等の装着作業が必要になる。このため、接続バーの接続ミス、異なる1チップマイコン等を装着してしまう等の可能性があり、作業者に対し作業負担を強いていた。このような作業は、製造上の効率化のためには少ない方が望ましい。
【0009】
また、特許文献2の双機能装置では、メモリカードの挿入方向に応じて異なる機能を実現できるが、機能を実現する機能部、メモリカードへアクセスするアクセス部が、機能毎に別々に設けられており、機能を実現する手段の共有化が全くなされていない。このため、装置構成上及び製造上の効率化が望まれていた。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の装置のうちの所望の装置として動作する電力変換装置において、装置構成上及び製造上の効率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による電力変換装置は、制御信号に基づいて電力を変換し、所望の装置として動作する電力変換装置において、インターフェースカードと、機能共有部及び機能選択部を有するメインカードとを備え、前記インターフェースカードが、前記所望の装置を区別するための識別子が格納されたメモリ、及び、前記所望の装置における機能の一部を実現するための処理を行う機能部を有し、前記メインカードの機能共有部が、前記制御信号に基づいてパワー素子をオンオフし、電力を変換するパワースタック、所定の電流指令を入力し、前記所定の電流指令と、前記パワースタックにより変換される電力について検出された電流との間の差が0になるように、指令を生成する電流調節器、及び、前記電流調節器により生成された指令に基づいて、パルス幅変調により前記制御信号を生成するパルス幅変調器を有し、前記メインカードの機能選択部が、当該電力変換装置を所望の装置として動作させるための電流指令を生成する、前記所望の装置にそれぞれ対応した複数の制御部、前記インターフェースカードのメモリから識別子を読み出し、前記識別子に対応する選択信号を生成する選択制御器、及び、前記選択制御器により生成された選択信号に基づいて、前記複数の制御部のうちのいずれかの制御部により生成された電流指令を選択し、前記所定の電流指令として出力する選択器を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明による電力変換装置は、前記メインカードの機能選択部における複数の制御部が、前記所望の装置をインバータとした場合に、前記インバータにより制御されるモータに対する速度指令と、検出されたモータ速度との間の差が0になるように、前記電流指令を生成するインバータ制御部、及び、前記所望の装置をコンバータとした場合に、前記コンバータにより制御されるバス電圧に対するバス電圧指令と、検出されたバス電圧との間の差が0になるように、前記電流指令を生成するコンバータ制御部であり、前記選択器が、前記選択制御器により生成された選択信号に基づいて、前記インバータ制御部及び前記コンバータ制御部のうちのいずれかの制御部により生成された電流指令を選択し、前記所定の電流指令として出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明による電力変換装置は、前記メインカードの機能選択部における複数の制御部が、前記インバータ制御部、前記コンバータ制御部、及び、前記所望の装置をパワーコンディショナとした場合に、前記パワーコンディショナにより制御されるバス電圧に対するバス電圧指令を生成し、前記バス電圧指令と、検出されたバス電圧との間の差が0になるように、前記電流指令を生成するパワーコンディショナ制御部であり、前記選択器が、前記選択制御器により生成された選択信号に基づいて、前記インバータ制御部、前記コンバータ制御部及び前記パワーコンディショナ制御部のうちのいずれかの制御部により生成された電流指令を選択し、前記所定の電流指令として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、複数の装置のうちの所望の装置として動作する電力変換装置において、各装置に共有して利用できる主回路、及び各装置に対応したそれぞれの制御回路を備え、各装置の機能の一部を有するそれぞれのインターフェースカードに識別子を格納しておき、その識別子に基づいて装置を区別するようにした。これにより、共有化した主回路及び必要な制御回路が動作し、所望の装置として動作する。したがって、所望の装置に対応したインターフェースカードのみを用いることにより、電力変換装置を所望の装置として動作させることができるから、電力変換装置の構成上及び製造上の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】インターフェース部の種類、ID及び機能を説明する図である。
【図3】インバータ、コンバータ及びパワーコンディショナの選択処理を示すフローチャートである。
【図4】電力変換装置のハードウェア構成を示す図である。
【図5】電力変換装置がインバータとして動作する場合の概略構成を示すブロック図である。
【図6】電力変換装置がコンバータとして動作する場合の概略構成を示すブロック図である。
【図7】電力変換装置がパワーコンディショナとして動作する場合の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
〔電力変換装置の概略構成〕
まず、本発明の実施形態による電力変換装置の概略構成について説明する。図1は、電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。この電力変換装置1は、機能共有部2、機能選択部3及びインターフェース部4を備えて構成され、インターフェース部4に格納されたID(識別子)に基づいて、インバータ、コンバータまたはパワーコンディショナのいずれかの装置として動作する。
【0017】
(機能共有部)
機能共有部2は、電力変換装置1がインバータ、コンバータまたはパワーコンディショナとして動作する際に、同一の処理を行うことで共通の機能を実現する主回路であり、減算器21、電流調節器22、パルス幅変調器23、パワースタック24を備えている。
【0018】
減算器21は、選択器35により選択された電流指令(電力変換装置1がインバータとして動作する際の電流指令、コンバータとして動作する際の電流指令、及びパワーコンディショナとして動作する際の電流指令のうちのいずれかの電流指令)から電流F/B(電流フィードバック)の値を減算し、減算結果を電流エラーとして電流調節器22に出力する。電流F/Bは、後述する電流検出器5により検出された3相交流電流の信号である。
【0019】
電流調節器22は、減算器21から電流エラーを入力すると共に、位相を入力し、電流エラーが0になるように、PI制御(比例制御及び積分制御)により指令(電圧指令)を生成し、生成した指令をパルス幅変調器23に出力する。位相(電源位相)は、d軸及びq軸からなる2相軸の静止座標の指令を、3相軸の回転座標の指令に座標変換するために用いられる。
【0020】
パルス幅変調器23は、電流調節器22から指令を入力し、入力した指令に基づいて、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)を行って3相のゲート信号を生成し、パワースタック24に出力する。
【0021】
パワースタック24は、PWMインバータ回路を備え、半導体スイッチング素子(例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のゲートに入力される制御信号であるゲート信号により、コレクターエミッタ間の導通/遮断を制御する。具体的には、パワースタック24は、パルス幅変調器23からゲート信号を入力し、対応する半導体スイッチング素子の導通/遮断を行い、電力変換を行う。
【0022】
(機能選択部)
機能選択部3は、電力変換装置1がインバータ、コンバータまたはパワーコンディショナとして動作する際に、異なる処理を行うことにより個別の機能を実現する制御回路であり、インバータ制御部31、コンバータ制御部32、パワーコンディショナ制御部33、選択制御器34、選択器35等を備えている。機能選択部3において選択された制御回路により、機能共有部2である主回路が制御される。
【0023】
インバータ制御部31の制御回路は、減算器311及びPI制御器312を備えている。減算器311は、速度指令から速度F/Bの値を減算し、減算結果を速度エラーとしてPI制御器312に出力する。速度指令は、予め設定された指令または所定の演算により算出された指令である。速度F/Bは、後述するインターフェース部4の機能部41により生成されたカウント値(後述するモータ6の回転情報を得るためのエンコーダのカウント値)に基づいて算出された信号であり、モータ6の回転速度である。PI制御器312は、減算器311から速度エラーを入力し、速度エラーが0になるように、PI制御により電流指令を生成し、生成した電流指令を選択器35に出力する。
【0024】
コンバータ制御部32の制御回路は、減算器321及びPI制御器322を備えている。減算器321は、バス電圧指令からバス電圧F/Bの値を減算し、減算結果をバス電圧エラーとしてPI制御器322に出力する。バス電圧指令は、予め設定された指令または所定の演算により算出された指令である。バス電圧F/Bは、後述する電圧検出器7により検出された正側及び負側間のバス電圧の信号である。PI制御器322は、減算器321からバス電圧エラーを入力し、バス電圧エラーが0になるように、PI制御により電流指令を生成し、生成した電流指令を選択器35に出力する。
【0025】
パワーコンディショナ制御部33の制御回路は、最大電力点追従制御器331、減算器332及びPI制御器333を備えている。最大電力点追従制御器331は、例えば後述する太陽電池9を用いる場合、太陽電池9の近傍に設けられた温度検出器から温度を入力すると共に、太陽電池9の近傍に設けられた日射量検出器から太陽の日射量を入力し、予め設定された電圧及び電流特性のVI(電圧×電流)カーブを用いて、最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracker)制御により、VIが最大値となる点を最大効率点として求め、最大効率点における電圧値をPV(Photovoltaic)電圧指令(PVバス電圧指令)として減算器332に出力する。尚、電圧及び電流特性のVIカーブは、温度及び日射量に応じて異なる特性となる。したがって、最大電力点追従制御器331は、入力した温度及び日射量から電圧及び電流特性のVIカーブを特定し(選択し)、そのVIカーブを用いて最大効率点のPV電圧指令を求める。
【0026】
減算器332は、最大電力点追従制御器331からPV電圧指令を入力し、PV電圧指令からPV電圧F/B(PVバス電圧F/B)の値を減算し、減算結果をPV電圧エラーとしてPI制御器333に出力する。PV電圧F/Bは、後述する電圧検出器7により検出された正側及び負側間のバス電圧の信号である。PI制御器333は、減算器332からPV電圧エラーを入力し、PV電圧エラーが0になるように、PI制御により電流指令を生成し、生成した電流指令を選択器35に出力する。
【0027】
選択制御器34は、インターフェース部4からIDを読み出し、IDに応じた選択信号を生成し、選択器35に出力する。選択器35は、インバータ制御部31、コンバータ制御部32及びパワーコンディショナ制御部33から電流指令をそれぞれ入力すると共に、選択制御器34から選択信号を入力し、選択信号に対応する電流指令を選択し、選択した電流指令を機能共有部2に出力する。IDの詳細については後述する。
【0028】
(インターフェース部)
インターフェース部4は、インターフェースカードにより構成され、機能部41及びメモリ42を備えている。作業者は、電力変換装置1をインバータ、コンバータまたはパワーコンディショナとして動作させる際に、インバータ、コンバータまたはパワーコンディショナに対応したそれぞれのインターフェースカードのうちの所望の1つのインターフェースカードを選択する。そして、電力変換装置1は、作業者により選択されたインターフェースカードに基づいて、インバータ、コンバータまたはパワーコンディショナとして動作する。インターフェース部4の機能部41は、インバータ、コンバータ及びパワーコンディショナのうちのいずれかの機能の一部を実現するための処理を行う。メモリ42には、インバータ、コンバータ及びパワーコンディショナを区別するための固有番号であるIDが格納されている。
【0029】
図2は、インターフェース部4の種類、ID及び機能を説明する図である。インターフェース部4を構成するインターフェースカードには、インクリメンタルエンコーダ・インターフェースカード、高分解能絶対値エンコーダ・インターフェースカード、コンバータ用電源位相検出カード及びパワーコンディショナ用電源位相検出カードの4種類がある。
【0030】
インターフェース部4がインクリメンタルエンコーダ・インターフェースカードの場合、メモリ42に格納されたIDは1であり、機能部41は、誘導モータ用のインクリメンタルエンコーダからの信号をカウントする。このカウント値により、誘導モータの位置及び速度(速度F/B)等が求められる。インターフェース部4が高分解能絶対値エンコーダ・インターフェースカードの場合、メモリ42に格納されたIDは2であり、機能部41は、同期モータ用の高分解能絶対値エンコーダからの信号をカウントする。このカウント値により、同期モータの位置及び速度(速度F/B)等が求められる。
【0031】
インターフェース部4がコンバータ用電源位相検出カードの場合、メモリ42に格納されたIDは3であり、機能部41は、RSTの3相交流電圧からゼロクロスを検出して電源位相を検出する。インターフェース部4がパワーコンディショナ用電源位相検出カードの場合、メモリ42に格納されたIDは4であり、機能部41は、RSTの3相交流電圧からゼロクロスを検出して電源位相を検出するか、または、RSTの3相交流電圧をモニタして電源位相を検出する。
【0032】
(インバータ、コンバータ及びパワーコンディショナの選択処理)
次に、電力変換装置1をインバータ、コンバータ及びパワーコンディショナのうちのいずれかの装置として動作させるための選択処理について説明する。図3は、インバータ、コンバータ及びパワーコンディショナの選択処理を示すフローチャートである。図3に示す電力変換装置1による選択処理の前に、作業者は、電力変換装置1をインバータ、コンバータまたはパワーコンディショナとして動作させる際に、インバータ、コンバータまたはパワーコンディショナに対応したそれぞれのインターフェースカード(図2に示した4種類のインターフェースカード)のうちの所望の1つのインターフェースカードを選択する。
【0033】
図4は、電力変換装置1のハードウェア構成を示す図である。電力変換装置1は、図1に示した機能共有部2及び機能選択部3を備えたメインカード10、及び、図1に示した機能部41及びメモリ42を備えたインターフェース部4であるインターフェースカードにより構成される。メインカード10とインターフェース部4であるインターフェースカードとは、メインカード10に設けられたコネクタ11に、インターフェース部4に設けられたコネクタ12を挿入することにより、一体的な構成となる。これにより、メインカード10の機能共有部2及び機能選択部3とインターフェース部4の機能部41及びメモリ42とは、電気的に接続される。前述したとおり、作業者は、所望のインターフェースカードを選択すると、そのインターフェースカードのコネクタ12を、メインカード10のコネクタ11に挿入する。これにより、電力変換装置1は、作業者により選択された所望のインターフェースカードに対応したインバータ、コンバータ及びパワーコンディショナのうちのいずれかの装置として動作することになる。
【0034】
図3に戻って、電力変換装置1における機能選択部3の選択制御器34は、インターフェース部4のメモリ42からIDを読み出し(ステップS301)、そのIDに応じた処理を行う(ステップS302)。選択制御器34は、ID=1,2であると判定した場合(ステップS302:ID=1,2)、インバータ制御部31の電流指令を選択することを示す選択信号を生成し、選択器35に出力する。また、選択制御器34は、ID=3であると判定した場合(ステップS302:ID=3)、コンバータ制御部32の電流指令を選択することを示す選択信号を生成し、選択器35に出力する。また、選択制御器34は、ID=4であると判定した場合(ステップS302:ID=4)、パワーコンディショナ制御部33の電流指令を選択することを示す選択信号を生成し、選択器35に出力する。
【0035】
選択器35は、選択制御器34から選択信号を入力し、ID=1,2の場合、インバータ制御部31からの電流指令を選択し(ステップS303)、ID=3の場合、コンバータ制御部32からの電流指令を選択し(ステップS304)、ID=4の場合、パワーコンディショナ制御部33からの電流指令を選択し(ステップS305)、選択した電流指令を機能共有部2に出力する。
【0036】
これにより、インターフェース部4のメモリ42に格納されたIDに応じて、インバータ制御部31、コンバータ制御部32及びパワーコンディショナ制御部33からの電流指令のうちのいずれかの電流指令が選択される。したがって、作業者が選択したインターフェース部4であるインターフェースカードに対応して、電力変換装置1をインバータ、コンバータ及びパワーコンディショナのうちのいずれかの装置として動作させることができる。作業者によりID=1,2のインターフェースカードが選択され、メインカード10に接続された場合、電力変換装置1はインバータとして動作し、ID=3のインターフェースカードが選択され、メインカード10に接続された場合、電力変換装置1はコンバータとして動作し、ID=4のインターフェースカードが選択され、メインカード10に接続された場合、電力変換装置1はパワーコンディショナとして動作する。
【0037】
〔インバータとして動作する場合〕
図5は、電力変換装置1がインバータとして動作する場合の概略構成を示すブロック図である。作業者が、電力変換装置1をインバータとして動作させるためのインターフェースカード(インターフェース部4)を選択し、メインカード10に接続することにより、電力変換装置1がインバータとして動作する。この場合、インターフェース部4の機能部41は、図2に示したように、インクリメンタルエンコーダ・インターフェースカードまたは高分解能絶対値エンコーダ・インターフェースカードに対応する機能を実現し、メモリ42には、ID=1,2が格納されている。図5には図示しない機能選択部3の選択制御器34により、インターフェース部4のメモリ42からID=1,2が読み出され、ID=1,2に対応する選択信号が図示しない選択器35に出力されることで、機能選択部3は、減算器311及びPI制御器312を備えたインバータ制御部31として機能し、機能共有部2はインバータ制御部31から電流指令を入力する。インバータ制御部31の減算器311に入力される速度F/Bは、インターフェース部4の機能部41により生成されたカウント値に基づいた速度信号である。
【0038】
機能共有部2は、減算器21、電流調節器22、パルス幅変調器23、パワースタック24及び電流検出器5を備えて機能し、機能共有部2のパワースタック24とモータ6(ID=1の場合は誘導モータ、ID=2の場合は同期モータ)との間に設けられた電流検出器5は、U,V,W相の3相交流電流を検出し、電流F/Bとして減算器21に出力する。
【0039】
このように、インターフェース部4にインクリメンタルエンコーダ・インターフェースカードまたは高分解能絶対値エンコーダ・インターフェースカードを用いることにより、機能選択部3はインバータ制御部31として機能し、インバータ制御部31からの電流指令が機能共有部2へ入力され、電力変換装置1はインバータとして動作するようになる。
【0040】
〔コンバータとして動作する場合〕
図6は、電力変換装置1がコンバータとして動作する場合の概略構成を示すブロック図である。作業者が、電力変換装置1をコンバータとして動作させるためのインターフェースカード(インターフェース部4)を選択し、メインカード10に接続することにより、電力変換装置1がコンバータとして動作する。この場合、インターフェース部4の機能部41は、図2に示したように、コンバータ用電源位相検出カードに対応する機能を実現し、メモリ42には、ID=3が格納されている。図6には図示しない機能選択部3の選択制御器34により、インターフェース部4のメモリ42からID=3が読み出され、ID=3に対応する選択信号が図示しない選択器35に出力されることで、機能選択部3はコンバータ制御部32として機能し、機能共有部2はコンバータ制御部32から電流指令を入力する。
【0041】
機能選択部3は、減算器321及びPI制御器322を備えたコンバータ制御部32と、電圧検出器7とを備え、電圧検出器7は、バス電圧を検出し、バス電圧F/Bとして減算器321に出力する。
【0042】
機能共有部2は、減算器21、電流調節器22、パルス幅変調器23、パワースタック24及び電流検出器5を備えて機能し、機能共有部2のパワースタック24とAC電源8との間に設けられた電流検出器5は、R,S,T相の3相交流電流を検出し、電流F/Bとして減算器21に出力する。機能共有部2の電流調節器22に入力される位相は、インターフェース部4の機能部41により検出され出力される電源位相である。
【0043】
このように、インターフェース部4にコンバータ用電源位相検出カードを用いることにより、機能選択部3はコンバータ制御部32として機能し、機能選択部3のコンバータ制御部32からの電流指令が機能共有部2へ入力され、電力変換装置1はコンバータとして動作するようになる。
【0044】
〔パワーコンディショナとして動作する場合〕
図7は、電力変換装置1がパワーコンディショナとして動作する場合の概略構成を示すブロック図である。作業者が、電力変換装置1をパワーコンディショナとして動作させるためのインターフェースカード(インターフェース部4)を選択し、メインカード10に接続することにより、電力変換装置1がパワーコンディショナとして動作する。この場合、インターフェース部4の機能部41は、図2に示したように、パワーコンディショナ用電源位相検出カードに対応する機能を実現し、メモリ42には、ID=4が格納されている。図7には図示しない機能選択部3の選択制御器34により、インターフェース部4のメモリ42からID=4が読み出され、ID=4に対応する選択信号が図示しない選択器35に出力されることで、機能選択部3はパワーコンディショナ制御部33として機能し、機能共有部2はパワーコンディショナ制御部33から電流指令を入力する。
【0045】
機能選択部3は、最大電力点追従制御器331、減算器332及びPI制御器333を備えたパワーコンディショナ制御部33と、電圧検出器7とを備え、機能共有部2と太陽電池9との間に設けられた電圧検出器7は、PV電圧を検出し、PV電圧F/Bとして減算器332に出力する。
【0046】
機能共有部2は、減算器21、電流調節器22、パルス幅変調器23、パワースタック24及び電流検出器5を備えて機能し、機能共有部2のパワースタック24とAC電源8との間に設けられた電流検出器5は、R,S,T相の3相交流電流を検出し、電流F/Bとして減算器21に出力する。機能共有部2の電流調節器22に入力される位相は、インターフェース部4の機能部41により検出され出力される電源位相である。
【0047】
このように、インターフェース部4にパワーコンディショナ用電源位相検出カードを用いることにより、機能選択部3はパワーコンディショナ制御部33として機能し、機能選択部3のパワーコンディショナ制御部33からの電流指令が機能共有部2へ入力され、電力変換装置1はパワーコンディショナとして動作するようになる。
【0048】
以上のように、本発明の実施形態による電力変換装置1によれば、インターフェース部4が、インバータ、コンバータまたはパワーコンディショナの機能の一部を実現するための処理を行う機能部41、及びインバータ等を区別するためのIDが格納されたメモリ42を備え、機能共有部2が、インバータ等に共通した機能を実現する主回路の処理を行い、機能選択部3が、インバータ等における異なる個別の機能を実現するための制御回路の処理を行うインバータ制御部31、コンバータ制御部32及びパワーコンディショナ制御部33を備え、IDに基づいてインバータ制御部31等のうちのいずれかを選択し、選択したインバータ制御部31等の電流指令を機能共有部2に出力するようにした。
【0049】
これにより、作業者は、電力変換装置1を所望のインバータ等として動作させる場合、所望の装置に対応するインターフェース部4を選択し、インターフェース部4であるインターフェースカードをメインカード10に接続すればよい。したがって、インターフェース部4に応じて、機能共有部2及び所望の装置に対応する機能選択部3(インバータ制御部31、コンバータ制御部32及びパワーコンディショナ制御部33のうちのいずれか)の処理が行われ、所望の装置を動作させるために必要な処理が行われる。つまり、電力変換装置1が、インバータ等によって異なるインターフェース部4であるインターフェースカードと、インバータ等に共通化したメインカード10とにより構成され、インターフェース部4の選択により電力変換装置1を所望の装置として動作させることができるから、電力変換装置1の構成上及び製造上の効率化を図ることができる。
【0050】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、前記実施形態では、電力変換装置1をインバータ、コンバータ及びパワーコンディショナのうちのいずれかの装置として動作させる例を示したが、インバータ及びコンバータのうちのいずれかの装置として動作させるようにしてもよいし、コンバータ及びパワーコンディショナ等、2つの装置のうちのいずれかの装置として動作させるようにしてもよい。また、他の装置を含め、4個以上の装置のうちのいずれかの装置として動作させるようにしてもよいし、インバータ、コンバータ及びパワーコンディショナ以外の複数の装置のうちのいずれかの装置として動作させるようにしてもよい。この場合、インターフェース部4は、装置に対応するインターフェースカードがそれぞれ用意され、電力変換装置1の機能選択部3は、装置に対応する制御部を備え、その装置を動作させるための電流指令を機能共有部2に出力する。
【0051】
また、前記実施形態では、電力変換装置1をインバータとして動作させる場合、モータの種類に応じてID(=1,2)の異なるインターフェース部4を用意するようにした。本発明では、インバータに限ることなく、同一の装置であっても、装置の性質または接続される機器等に応じてIDの異なるインターフェース部4を用意するようにしてもよい。例えば、電力変換装置1をパワーコンディショナとして動作させる場合、電力変換装置1に接続される発電機に応じて、発電機が太陽電池の場合はID=4のインターフェース部4を用意し、発電機が風力発電機の場合はID=5のインターフェース部4を用意するようにしてもよい。この場合、電力変換装置1の機能選択部3は、IDに対応する制御部、すなわち装置の性質等に対応する制御部を備え、その装置を動作させるための電流指令を機能共有部2に出力する。
【0052】
また、図1に示した電力変換装置1では、機能選択部3のコンバータ制御部32とパワーコンディショナ制御部33とを別個の制御回路として備えるようにしたが、減算器321及びPI制御器322と減算器332及びPI制御器333とを共有化するようにしてもよい。減算器321,332及びPI制御器322,333は、インターフェース部4のメモリ42から読み出されたIDに応じて、ID=3の場合、コンバータ制御部32の構成要素として用いられ、ID=4の場合、パワーコンディショナ制御部33の構成要素として用いられる。
【符号の説明】
【0053】
1 電力変換装置
2 機能共有部
3 機能選択部
4 インターフェース部
5 電流検出器
6 モータ
7 電圧検出器
8 AC電源
9 太陽電池
10 メインカード
11,12 コネクタ
21 減算器
22 電流調節器
23 パルス幅変調器
24 パワースタック
31 インバータ制御部
32 コンバータ制御部
33 パワーコンディショナ制御部
34 選択制御器
35 選択器
41 機能部
42 メモリ
311,321,332 減算器
312,322,333 PI制御器
331 最大電力点追従制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御信号に基づいて電力を変換し、所望の装置として動作する電力変換装置において、
インターフェースカードと、機能共有部及び機能選択部を有するメインカードとを備え、
前記インターフェースカードは、
前記所望の装置を区別するための識別子が格納されたメモリ、及び、
前記所望の装置における機能の一部を実現するための処理を行う機能部を有し、
前記メインカードの機能共有部は、
前記制御信号に基づいてパワー素子をオンオフし、電力を変換するパワースタック、
所定の電流指令を入力し、前記所定の電流指令と、前記パワースタックにより変換される電力について検出された電流との間の差が0になるように、指令を生成する電流調節器、及び、
前記電流調節器により生成された指令に基づいて、パルス幅変調により前記制御信号を生成するパルス幅変調器を有し、
前記メインカードの機能選択部は、
当該電力変換装置を所望の装置として動作させるための電流指令を生成する、前記所望の装置にそれぞれ対応した複数の制御部、
前記インターフェースカードのメモリから識別子を読み出し、前記識別子に対応する選択信号を生成する選択制御器、及び、
前記選択制御器により生成された選択信号に基づいて、前記複数の制御部のうちのいずれかの制御部により生成された電流指令を選択し、前記所定の電流指令として出力する選択器を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記メインカードの機能選択部における複数の制御部は、
前記所望の装置をインバータとした場合に、前記インバータにより制御されるモータに対する速度指令と、検出されたモータ速度との間の差が0になるように、前記電流指令を生成するインバータ制御部、及び、
前記所望の装置をコンバータとした場合に、前記コンバータにより制御されるバス電圧に対するバス電圧指令と、検出されたバス電圧との間の差が0になるように、前記電流指令を生成するコンバータ制御部であり、
前記選択器は、
前記選択制御器により生成された選択信号に基づいて、前記インバータ制御部及び前記コンバータ制御部のうちのいずれかの制御部により生成された電流指令を選択し、前記所定の電流指令として出力することを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、
前記メインカードの機能選択部における複数の制御部は、
前記インバータ制御部、前記コンバータ制御部、及び、
前記所望の装置をパワーコンディショナとした場合に、前記パワーコンディショナにより制御されるバス電圧に対するバス電圧指令を生成し、前記バス電圧指令と、検出されたバス電圧との間の差が0になるように、前記電流指令を生成するパワーコンディショナ制御部であり、
前記選択器は、
前記選択制御器により生成された選択信号に基づいて、前記インバータ制御部、前記コンバータ制御部及び前記パワーコンディショナ制御部のうちのいずれかの制御部により生成された電流指令を選択し、前記所定の電流指令として出力することを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244756(P2012−244756A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112156(P2011−112156)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(390014384)日本リライアンス株式会社 (58)
【Fターム(参考)】