説明

電動アクチュエータ及び関節装置

【課題】高負荷時においても効率よくトルク伝達可能な電動アクチュエータ、及び二つの関節部材を円滑に且つ効率よく相対的に回動させることのできる関節装置を提供すること。
【解決手段】電動アクチュエータ15は、回転軸21を共有する一対のモータ13A,13Bと、両モータ13A,13B間に配置された減速機22とを備え、減速機22は、各モータ13A,13Bの回転軸21と同軸に回転する出力要素としての内歯歯車42を備える。また、関節装置1において、電動アクチュエータ15は、その回転軸21の回転中心L1が第1の関節部材11及び第2の関節部材12の回動中心L0と一致するように配置される。そして、各モータ13A,13Bは、第1の関節部材11に固定され、減速機22の内歯歯車42は、第2の関節部材12の幅方向中央部に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータ及び関節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、精密な動作が要求されるロボット等においては、モータを駆動源とする電動アクチュエータによって、その関節装置を動作させる構成が一般的となっている。
例えば、特許文献1には、回動可能に連結された第1及び第2の関節部材において、第1の関節部材に設けられたモータの回転を遊星歯車機構により減速して第2の関節部材に伝達することにより、その回動可能に連結された第1及び第2の関節部材を屈伸させる構成が開示されている(第4図参照)。
【0003】
具体的には、この関節装置において、駆動源であるモータは、第1の関節部材の長手方向に沿うように配置されている。また、遊星歯車機構を構成するサンギヤ(外歯歯車)の側方には、同サンギヤと一体に回転するクラウンギヤが設けられている。そして、この関節装置は、クラウンギヤに対してモータシャフトの先端に設けられたピニオンギヤを歯合させるとともに、遊星歯車機構の最外殻に配置されたリングギヤ(内歯歯車)を第2の関節部材に固定することにより、そのモータ回転を両関節部材間の屈伸動作(回動)に変換する構成となっている。
【0004】
尚、特許文献1には、各関節部材の側面にプーリを設け、該各プーリを用いたベルト駆動により、各関節部材を連動して動作させる構成も開示されている(第5,6図参照)。そして、これらの構成を採用することにより、その小型化及び軽量化が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3848123号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例では、その遊星歯車機構にモータトルクを伝達する入力要素、即ちモータシャフトに駆動連結されたクラウンギヤが、第2の関節部材の幅方向一方側に偏って配置されている。また、その第1及び第2の関節部材間の回動中心とモータシャフトとは「ねじれ」の関係にある。そして、プーリを用いる構成についても、その配置に同様の偏りがあるとともに、これら各プーリの回転中心は第1及び第2の関節部材間の回動中心から離れている。このため、大きなモータトルクが入力される高負荷時には、各関節部材に撓みや捻れ等の変形が生じやすく、これにより、その伝達効率が低下するとともに両関節部材間の円滑な回動が妨げられる可能性がある。その結果、例えば、ロボットハンドの指関節に用いた場合、その対象物を握る動作の精密さが低下する等の問題が生ずるおそれがあり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高負荷時においても効率よくトルク伝達可能な電動アクチュエータ、及び二つの関節部材を円滑に且つ効率よく相対的に回動させることのできる関節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転軸を共有する一対のモータと、両モータ間に設けられた減速機とを有し、前記減速機は、前記回転軸により回転駆動される入力要素と、該入力要素の径方向外側において前記回転軸と同軸に設けられた出力要素と、を備えてなる電動アクチュエータであること、を要旨とする。
【0009】
上記の構成によれば、減速機を駆動する回転軸の両端が二つのモータにより安定的に支持される。そして、当該回転軸に減速機の入力要素を配置し、バランスよく同減速機を駆動することが可能になる。また、当該減速機の出力要素が回転軸と同軸に回転することで、モータトルクの伝達ロスが抑えられる。特に、例えば、ウォーム&ホイール等、その入力要素と出力要素とが非同軸に配置される減速機と比較した場合、大きなモータトルクが伝達される高負荷時においても、その入力要素及び出力要素間の配置が変位し難い。従って、効率的に、そのモータトルクを伝達することができる。加えて、両モータが回転軸を共有することにより、例えば、ブラシレスモータを採用する場合にはモータレゾルバを一つに減らす等、共通部品を削減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記減速機は、前記回転軸と一体回転する前記入力要素としての偏心カムと、前記出力要素としての内歯歯車と、回転自在に前記偏心カムに支承されるとともに前記内歯歯車に歯合された揺動歯車と、を備えてなること、を要旨とする。
【0011】
このような偏心揺動式の遊星歯車機構を減速機に用いることにより、簡素な構成で高い減速比を得ることができる。また、その回転軸に沿う方向の寸法を小さく抑えることが可能であり、これにより、その電動アクチュエータとしての適用範囲を広げることができる。更に、その減速機を構成する偏心カム、内歯歯車及び揺動歯車が略同心円状に配置されることで、より効果的に伝達ロスを抑えることができるとともに、大きなモータトルクの入力時においても、これら各部材の配置が変位し難い。その結果、より高い効率性を確保することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記回転軸は中空状に形成されるとともに、前記両モータは、前記回転軸に挿通された配線により電気的に接続されること、を要旨とする。
上記構成によれば、両モータを同期回転させるために必要な電気配線を簡素にまとめることができる。また、ブラシ付き直流モータを採用する場合には整流子を一つに減らすこともできる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、相対的に回動可能に設けられた第1及び第2の関節部材と、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動アクチュエータと、を備え、前記電動アクチュエータは、前記回転軸が前記第1及び第2の関節部材の回動中心と一致するように配置されるともに、前記各モータは、前記第1及び第2の関節部材の何れか一方に固定され、前記減速機の出力要素は、他方の関節部材に固定される関節装置であること、を要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、二つのモータが同一の関節部材に固定されることで、これら両モータに支持された回転軸には軸振れが生じ難くなる。そして、これにより、当該回転軸に一致する回動中心の傾動を要因とした両関節部材の変位(捻れ)を抑えることができる。また、これら両モータ間に配置された減速機の出力要素が他方の関節部材に固定されることで、電動アクチュエータの出力トルクは、第1及び第2の関節部材の回動中心と同軸の円周上に作用する。そして、これにより、これら二つの関節部材に生ずる捻れや撓み等の変形を抑えることができる。その結果、円滑に且つ効率よく、第1及び第2の関節部材を相対的に回動させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高負荷時においても効率よくトルク伝達可能な電動アクチュエータ、及び二つの関節部材を円滑に且つ効率よく相対的に回動させることが可能な関節装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】関節装置の斜視図。
【図2】関節装置の平面図。
【図3】図2におけるIII−III断面図。
【図4】図3におけるIV−IV断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の関節装置1は、略角棒状の外形を有する第1の関節部材11及び第2の関節部材12と、モータ13を駆動源とする電動アクチュエータ15とを備えている。第1の関節部材11及び第2の関節部材12は、その軸方向一端に形成された連結部16,17において、回動中心L0(図1中の一点鎖線)を中心として互いに回動可能に連結されている。具体的には、第1の関節部材11側の連結部16は、回動中心L0を軸心とする略半円柱状の外形を有している。また、第2の関節部材12側の連結部17は、上記第1の関節部材11側の連結部16に対向する湾曲面19を有している。そして、本実施形態の関節装置1は、その電動アクチュエータ15の作動に基づいて、第1の関節部材11及び第2の関節部材12を相対的に回動させることが可能となっている。
【0018】
詳述すると、図3に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ15は、回転軸21を共有する一対のモータ13A,13Bと、これら二つのモータ13A,13B間に配置された減速機22とを備えている。
【0019】
具体的には、各モータ13A,13Bは、有底円筒状のモータハウジング23,23と、その開口端を閉塞するモータフランジ24,24とを備えている。また、本実施形態では、各モータ13A,13Bは、上記減速機22を挟んでモータフランジ24,24を対向させる態様で配置されている。そして、これら二つのモータ13A,13Bが共有する回転軸21は、それぞれのモータフランジ24,24、及びモータハウジング23,23の底部に設けられた転がり軸受27によって、回転自在に支承されている。
【0020】
また、本実施形態では、各モータ13A,13Bには、ブラシレスモータが採用されている。即ち、モータハウジング23,23内において回転軸21とともに一体回転するロータ28,28の外周には、マグネット29,29が固着されている。そして、モータハウジング23,23の内周には、同ロータ28,28の径方向外側を包囲するように、モータコイル(図示略)を有したステータ30,30が固定されている。
【0021】
更に、本実施形態の回転軸21は、中空状に形成されるとともに、その軸方向両端がモータハウジング23,23(の底部)の外部に突出されている。そして、両モータ13A,13Bは、この回転軸21内に挿通された配線31により電気的に接続されている。
【0022】
尚、本実施形態では、回転軸21の回転角(電気角)を検出するためのモータレゾルバ32は、モータ13A側のみに設けられている。そして、両モータ13A,13Bは、上記回転軸21内に挿通された配線31によって、そのモータレゾルバ32により検出される回転角の共有及び同期回転が可能な構成となっている。
【0023】
また、図3及び図4に示すように、これら二つのモータ13A,13B間における回転軸21の外周には、同回転軸21とともに一体回転する二つの偏心カム41,41が設けられている。具体的には、各偏心カム41,41は、回転軸21の回転中心L1から偏心した位置に中心(L2,L3)を有する円板状に形成されている。そして、本実施形態の減速機22は、これら偏心カム41,41の径方向外側において回転軸21と同軸に設けられたリング状の内歯歯車42と、回転自在に偏心カム41,41に支承されるとともに内歯歯車42に歯合された二つの揺動歯車43,43と、を備えて構成されている。
【0024】
詳述すると、本実施形態の減速機22において、各偏心カム41,41は、回転軸21の回転中心L1回りに180°、周方向にずれた位置にそれぞれの中心L2,L3を有している。また、各揺動歯車43,43は、それぞれ、転がり軸受44を介して各偏心カム41,41に支承されている。更に、これらの各揺動歯車43,43は、そのピッチ円径が内歯歯車42のピッチ円径よりも小さく設定されるともに、同内歯歯車42とは異なる歯数が設定されている。そして、各揺動歯車43,43は、内歯歯車42に内接する状態で同内歯歯車42に歯合されている。
【0025】
また、各揺動歯車43,43には、当該各揺動歯車43,43を厚み方向(図3中、左右方向)に貫通する複数(本実施形態では、10個)の円孔45が形成されるとともに、これらの各円孔45には、それぞれ、その外周に滑り軸受46が設けられた摺接ピン47が挿通されている。また、上記のように減速機22を挟んで対向配置された各モータ13A,13Bのモータフランジ24,24には、これら各摺接ピン47に対応する複数の固定穴48,48が設けられている。そして、各摺接ピン47は、その軸方向両端が、これら各固定穴48,48内に挿入されることにより、それぞれ、その挿通された円孔45の内周に摺接した状態で各モータ13A,13B間に固定されている。
【0026】
図3に示すように、本実施形態の関節装置1において、上記のように回動中心L0を軸心として略半円柱状に形成された第1の関節部材11側の連結部16内には(図1参照)、その回動中心L0を軸心とする円筒状の収容室50が形成されている。そして、上記のように構成された電動アクチュエータ15は、その回転軸21の回転中心L1を上記回動中心L0に一致させる態様で同収容室50内に収容されている。
【0027】
詳述すると、図1〜図4に示すように、第1の関節部材11側の連結部16には、その幅方向中央において軸心(回動中心L0)と直交するように当該連結部16の半円柱形状を切り欠く連結溝51が形成されている。そして、この連結溝51により二つに区分された収容室50内において、当該連結溝51を挟む態様で、それぞれのモータハウジング23,23が、同収容室50の内周に固定されている。
【0028】
また、図1、図2及び図4に示すように、第2の関節部材12側の連結部17には、その湾曲面19から軸方向に突出して第1の関節部材11側の上記連結溝51に挿入される連結板52が形成されている。そして、この連結板52には、上記各モータ13A,13Bとともに電動アクチュエータ15を構成する減速機22の内歯歯車42が固定されている。
【0029】
具体的には、図4に示すように、連結板52の先端部52aは、半円板状に形成されている。尚、第1の関節部材11側には、その半円板形状に対応する湾曲面53が形成されている。また、同先端部52aには、連結板52を厚み方向(図3参照、左右方向)に貫通する円形の連結孔54が形成されている。そして、減速機22の内歯歯車42は、その外周が連結孔54に嵌合されることにより、同連結板52に固定されている。
【0030】
即ち、上記減速機22において、入力要素としての各偏心カム41,41が回転軸21とともに一体回転することにより、当該各偏心カム41,41に支承された各揺動歯車43,43は、回転軸21回りに公転する。このとき、これらの各揺動歯車43,43は、内歯歯車42との噛み合わせに基づいて、その公転により各偏心カム41,41の中心L2,L3回りに自転しようとする。しかし、上記のように各揺動歯車43,43の周方向移動は、その各円孔45に挿通された摺接ピン47により制限されている。このため、各揺動歯車43,43は、その各円孔45に挿通された摺接ピン47の摺接位置が、当該各揺動歯車43,43の公転に合わせて各円孔45の内周を周回する態様で揺動する。そして、本実施形態の減速機22は、この揺動する各揺動歯車43,43との間の歯数差に基づいて、その出力要素としての内歯歯車42が回転軸21と同軸に回転する。
【0031】
このように、本実施形態の電動アクチュエータ15において、出力要素である内歯歯車42は、駆動源である二つのモータ13A,13Bが同期して回転することにより、減速機22に設定された減速比に基づいて回転する。そして、本実施形態の関節装置1は、これにより、その二つのモータ13A,13Bの回転軸21(の回転中心L1)を回動中心L0として、その第1の関節部材11及び第2の関節部材12を回動(屈伸)させることが可能となっている。
【0032】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電動アクチュエータ15は、回転軸21を共有する一対のモータ13A,13Bと、両モータ13A,13B間に配置された減速機22とを備え、減速機22は、各モータ13A,13Bの回転軸21と同軸に回転する出力要素としての内歯歯車42を備える。また、関節装置1において、電動アクチュエータ15は、その回転軸21の回転中心L1が第1の関節部材11及び第2の関節部材12の回動中心L0と一致するように配置される。そして、各モータ13A,13Bは、第1の関節部材11に固定され、減速機22の内歯歯車42は、第2の関節部材12の幅方向中央部に固定される。
【0033】
上記構成によれば、減速機22を駆動する回転軸21の両端が二つのモータ13A,13Bにより安定的に支持される。そして、当該回転軸21の中央部に減速機22の出力要素である内歯歯車42を配置し、バランスよく同減速機22を駆動することが可能になる。また、当該内歯歯車42が回転軸21と同軸に回転することで、モータトルクの伝達ロスが抑えられる。特に、例えば、ウォーム&ホイール等、その入力要素と出力要素とが非同軸に配置される減速機と比較した場合、大きなモータトルクが伝達される高負荷時においても、その入力要素及び出力要素間の配置が変位し難い。従って、効率的に、そのモータトルクを伝達することができる。
【0034】
更に、第1の関節部材11に二つのモータ13A,13Bが固定されることで、その回転軸21に軸振れが生じ難くなる。そして、これにより、当該回転軸21に一致する回動中心L0の傾動を要因とした第1の関節部材11及び第2の関節部材12の変位(捻れ)を抑えることができる。また、減速機22の出力要素である内歯歯車42が、第1の関節部材11及び第2の関節部材12の幅方向中央部に配置されることで、その回動中心L0と同軸の円周上に電動アクチュエータ15の出力トルクが作用する。そして、これにより、第1の関節部材11及び第2の関節部材12に生ずる捻れや撓み等の変形を抑えて、円滑に且つ効率よく、これら第1の関節部材11及び第2の関節部材12を相対的に回動させることができる。加えて、二つのモータ13A,13Bが回転軸21を共有することにより、例えば、モータレゾルバ32等、共通部品を削減することができる。
【0035】
(2)減速機22は、回転軸21と一体回転する入力要素としての偏心カム41,41と、上記出力要素としての内歯歯車42と、回転自在に偏心カム41,41に支承されるとともに内歯歯車に歯合された揺動歯車43,43とを備える。
【0036】
このような偏心揺動式の遊星歯車機構を減速機22に用いることにより、簡素な構成で高い減速比を得ることができる。また、その幅方向(回転軸21に沿った方向)の寸法を小さく抑えることが可能であり、これにより、電動アクチュエータ15の適用範囲を広げることができる。更に、当該減速機22を構成する偏心カム41,41、内歯歯車42及び揺動歯車43,43が略同心円状に配置されることで、より効果的に伝達ロスを抑えることができるとともに、大きなモータトルクの入力時においても、これら各部材の配置が変位し難い。その結果、より高い効率性を確保することができる。
【0037】
(3)回転軸21は、中空状に形成される。そして、電動アクチュエータ15の二つのモータ13A,13Bは、その回転軸21に挿通された配線31により電気的に接続される。これにより、両モータ13A,13Bを同期回転させるために必要な電気配線を簡素にまとめることができる。
【0038】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、特に言及しなかったが、関節装置1は、従来例に示されるようなロボットハンドの指関節のみならず、屈伸動作する他の部位(用途)に適用してもよい。そして、電動アクチュエータ15についても、他の用途に用いてもよい。
【0039】
・上記実施形態では、偏心揺動式の遊星歯車機構を減速機22に用いることとした。しかし、これに限らず、回転軸により回転駆動される入力要素、及び該入力要素の径方向外側において回転軸と同軸に設けられた出力要素を備えるものであれば、その他の構成であってもよい。具体的には、例えば、一般的な遊星歯車機構を用いて、そのサンギヤを入力要素とし、リングギヤを出力要素とする構成(遊星ギヤを支承するキャリアは固定)としてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、回転軸21は、中空状に形成されることとしたが、必ずしも同回転軸21は、中空状でなくともよい。この場合、摺接ピン47を中空状に形成し、この中に配線31を挿通させてもよい。また、例えば、各モータ13A,13Bのモータシャフト、及び減速機22の駆動軸をそれぞれ別体とし、これらの各軸部材を連結することにより、一本の回転軸21を形成する構成であってもよい。
【0041】
・上記実施形態では、各モータ13A,13Bにブラシレスモータを採用することとした。しかし、これに限らず、ブラシ付きの直流モータを用いる構成としてもよい。尚、この場合、共通の整流子を用いて構成の簡素化を図ることが可能である。
【0042】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を記載する。
(イ)前記揺動歯車には、複数の円孔が形成されるとともに、該各円孔には、それぞれ摺接ピンが挿通されるものであって、該各摺接ピンの両端は、前記両モータに固定されること、を特徴とする。これにより、簡素な構成で、電動アクチュエータの剛性を高めることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…関節装置、11…第1の関節部材、12…第2の関節部材、13(13A,13B)…モータ、15…電動アクチュエータ、16…連結部、17…連結部、21…回転軸、22…減速機、23…モータハウジング、24…モータフランジ、28…ロータ、30…ステータ、31…配線、32…モータレゾルバ、41…偏心カム、42…内歯歯車、43…揺動歯車、45…円孔、47…摺接ピン、48…固定穴、50…収容室、51…連結溝、52…連結板、54…連結孔、L0…回動中心、L1…回転中心、L2,L3…中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を共有する一対のモータと、両モータ間に設けられた減速機とを有し、前記減速機は、前記回転軸により回転駆動される入力要素と、該入力要素の径方向外側において前記回転軸と同軸に設けられた出力要素と、を備えてなる電動アクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動アクチュエータにおいて、
前記減速機は、前記回転軸と一体回転する前記入力要素としての偏心カムと、前記出力要素としての内歯歯車と、回転自在に前記偏心カムに支承されるとともに前記内歯歯車に歯合された揺動歯車と、を備えてなること、を特徴とする電動アクチュエータ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電動アクチュエータにおいて、
前記回転軸は中空状に形成されるとともに、前記両モータは、前記回転軸に挿通された配線により電気的に接続されること、を特徴とする電動アクチュエータ。
【請求項4】
相対的に回動可能に設けられた第1及び第2の関節部材と、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動アクチュエータと、を備え、
前記電動アクチュエータは、前記回転軸が前記第1及び第2の関節部材の回動中心と一致するように配置されるともに、
前記各モータは、前記第1及び第2の関節部材の何れか一方に固定され、前記減速機の出力要素は、他方の関節部材に固定される関節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−223081(P2012−223081A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90262(P2011−90262)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】