説明

電動パワーステアリング装置

【課題】モータ回転角センサの異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことのできる電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】モータ回転角センサ(24)の異常が検出された場合には、モータ回転角にかえて、ステアリングシャフト(3)の回転角で、モータ(12)を駆動制御する。更に、前記ステアリングシャフト(3)の回転角は、モータ(12)の回転角に対して、トーションバー(17)の捻れ分だけ位相が進んでいるので、トーションバー(17)の捻れ分だけステアリングシャフト(3)の回転角の位相を遅らせる補正を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)がある。通常、このようなEPSでは、トルクセンサにより、その操舵系に入力される操舵トルクが検出されており、該操舵トルクに基づいて、操舵系に付与すべきアシスト力目標値が演算される。そして、そのアシスト力目標値に相当するモータトルクを発生させるべく、モータに対する駆動電力の供給を通じて、その作動が制御される構成となっている。
【0003】
そして、上記アシスト力目標値を演算するためには、一般的にモータ回転角が使用される。ところが、このような構成では、そのモータ回転角に異常が生じた場合には、上記操舵トルクに基づく最適なパワーアシスト制御は実行できなくなる。そこで、従来、モータ回転角の異常を正確に検出するモータ回転角異常検出方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、モータ回転角検出手段の出力値の適正範囲を限定し、出力値が適正範囲以外の場合には、モータ回転角検出手段の出力値の異常を検出し、そして、モータ回転角検出手段の出力値の異常を検出した場合には、パワーステアリングモードから、マニュアルステアリングモードへ制御を移行させることによって、運転者は一定の操舵安定性を得ることが可能であるとの開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−010674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の方法は、モータ回転角検出手段の出力値の異常を検出した場合には、パワーアシスト制御を不能にするため、運転者に過大な負荷がかかるという問題があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、モータ回転角の異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、操舵系に対して、操舵補助力を発生するモータ(12)と、該モータ(12)の回転角を検出するモータ回転角センサ(24)と、ステアリングシャフト(3)の途中に設けられたトーションバー(17)の捻れに基づき操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(14)と、該操舵トルクセンサ(14)で検出した操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出し、算出した操舵補助指令値、および前記モータ回転角センサ(24)で検出したモータ回転角とに基づいて、前記モータを駆動制御する制御手段(21)と、前記モータ回転角センサ(24)の異常を検出するモータ回転角センサ異常検出手段(21)と、を備えた電動パワーステアリング装置(1)において、前記ステアリングシャフト(3)の回転角を検出するステアリングセンサ(16)と、前記制御手段(21)は、前記モータ回転角センサ異常検出手段(21)により、モータ回転角センサ(24)の異常が検出された場合には、前記モータ回転角にかえて、前記ステアリングシャフト(3)の回転角で、前記モータ(12)を駆動制御すること、を要旨とする。
【0009】
請求項1の電動パワーステアリング装置(1)によれば、モータ回転角センサ(24)の異常が検出された場合には、モータ回転角にかえて、ステアリングシャフト(3)の回転角で、モータ(12)を駆動制御することができる。
これにより、請求項1の電動パワーステアリング装置は、モータ回転角の異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記制御手段(21)は、前記ステアリングシャフト(3)の回転角に対して、前記トーションバー(17)の捻れ分を補正したステアリングシャフト(3)の回転角を用いて、前記モータ(12)を駆動制御すること、を要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、モータ(12)の回転角に対して、トーションバー(17)の捻れ分だけ位相が進んでいるステアリングシャフト(3)の回転角の位相を遅らせることができる。
これにより、請求項2の電動パワーステアリング装置は、モータ回転角の異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記制御手段(21)は、前記ステアリングセンサ(16)にて検出したステアリングシャフト(3)の回転角に対してローパスフィルタ(33)を設けること、を要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、ステアリングセンサ(16)にて検出したステアリングシャフト(3)の回転角に対してローパスフィルタ(33)を設けることで、ステアリングシャフト(3)の回転角が滑らかに変化することになり、分解能の粗いステアリングシャフト(3)の回転角の精度を上げることができる。
これにより、請求項3の電動パワーステアリング装置は、モータ回転角の異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことのできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、モータ回転角センサの異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことのできる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。
【図2】EPSの制御ブロック図。
【図3】操舵角補正部のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をコラム型の電動パワーステアリング装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。
【0017】
尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
【0018】
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
【0019】
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。尚、本実施形態では、モータ12には、ブラシレスDCモータが採用されている。そして、EPSアクチュエータ10は、モータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
【0020】
一方、ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15、及びステアリングセンサ(操舵角センサ)16が接続されている。そして、ECU11は、これら各センサの出力信号に基づいて、操舵トルクτ、車速V、及び操舵角θsを検出する。
【0021】
詳述すると、本実施形態では、コラムシャフト3aの途中、詳しくは、上記EPSアクチュエータ10を構成する減速機構13よりもステアリング2側にトーションバー17が設けられている。そして、本実施形態のトルクセンサ14は、このトーションバー17の捩れに基づいて、ステアリングシャフト3を介して伝達される操舵トルクτを検出可能なセンサ信号Sa,Sbを出力するセンサ素子14a、14bを備えて構成されている。
【0022】
尚、このようなトルクセンサは、例えば、トーションバー17の捩れに基づき磁束変化が生ずるセンサコア(図示略)の外周に、二つの磁気検出素子(本実施形態ではホールIC)を上記各センサ素子14a、14bとして配置することにより形成することが可能である。
【0023】
即ち、回転軸であるステアリングシャフト3に対するトルク入力によりトーションバー17が捩れることで、その各センサ素子14a、14bを通過する磁束が変化する。
そして、本実施形態のトルクセンサ14は、その磁束変化に伴い変動する各センサ素子14a、14bの出力電圧を、それぞれセンサ信号Sa,SbとしてECU11に出力する構成となっている。
【0024】
また、本実施形態のステアリングセンサ16は、トルクセンサ14よりもステアリング2側において、コラムシャフト3aに固定された回転子18と、該回転子18の回転に伴う磁束変化を検出するセンサ素子(ホールIC)19とを備えた磁気式の回転角センサにより構成されている。
【0025】
そして、ECU11は、これら検出される各状態量に基づいて目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、その駆動源であるモータ12への駆動電力の供給を通じて、該EPSアクチュエータ10の作動、即ち、操舵系に付与するアシスト力を制御する構成となっている。
【0026】
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えている。
【0027】
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ23、及びモータ12のモータ回転角θmを検出するためのモータ回転角センサ24が接続されている。そして、マイコン21は、上記各車両状態量、並びにこれら電流センサ23及びモータ回転角センサ24の出力信号に基づき、検出されたモータ12の実電流値I及びモータ回転角θmに基づいて、駆動回路22に出力するモータ制御信号を生成する。
【0028】
尚、以下に示す各制御ブロックは、マイコン21が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン21は、所定のサンプリング周期で、上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
【0029】
詳述すると、本実施形態のマイコン21は、上記トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbに基づいて操舵トルクτを検出するトルク検出手段としての操舵トルク検出部25と、その操舵トルクτに基づいて、目標アシスト力に対応する電流指令値I*を演算する電流指令値演算部26と、その電流指令値I*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部27とを備えている。
【0030】
本実施形態の電流指令値演算部26には、操舵トルク検出部25において検出される操舵トルクτとともに、車速センサ15により検出される車速Vが入力される。そして、同電流指令値演算部26は、その操舵トルクτの絶対値が大きいほど、また、車速Vが小さいほど、より大きな目標アシスト力に対応した電流指令値I*を演算するようになっている。
【0031】
そして、モータ制御信号出力部27には、この電流指令値演算部26が出力する電流指令値I*とともに、電流センサ23により検出された実電流値Iが入力される。また、モータ制御信号出力部27には、モータ回転角センサ24により検出されたモータ12のモータ回転角θm、または、ステアリングセンサ16により検出された操舵角θsから、更に操舵角補正部31(後述する)で補正された補正操舵角θshhが、切替制御部35(後述する)の切り替えによって入力される。
そして、モータ制御信号出力部27は、この電流指令値I*に、実電流値Iを追従させるべく、フィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
【0032】
具体的には、本実施形態では、モータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力の供給により回転するブラシレスモータが用いられている。そして、モータ制御信号出力部27は、実電流値Iとして検出されたモータ12の各相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd、q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を実行する。
【0033】
即ち、電流指令値I*は、q軸電流指令値として、モータ制御信号出力部27に入力され、モータ制御信号出力部27は、モータ回転角センサ24により検出されたモータ12のモータ回転角θmまたは、ステアリングセンサ16により検出された操舵角θsから、更に操舵角補正部31で補正された補正操舵角θshhに基づいて、各相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。
また、モータ制御信号出力部27は、そのd、q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいて、d、q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd、q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより、各相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいて、モータ制御信号を生成する。
【0034】
本実施形態では、このようにして生成されたモータ制御信号は、マイコン21から駆動回路22へと出力され、同駆動回路22により当該モータ制御信号に基づく、三相の駆動電力がモータ12へと供給される。そして、その操舵トルクτに基づく、アシスト力目標値としての電流指令値I*に相当するモータトルクが発生することにより、当該アシスト力目標値に対応するアシスト力が操舵系に付与される構成となっている。
【0035】
(モータ回転角センサ異常時のアシスト継続制御)
次に、本実施形態のEPSにおけるモータ回転角センサ異常時のアシスト継続制御について説明する。
図2に示すように、本実施形態のマイコン21には、上記操舵トルク検出部25、電流指令値演算部26、およびモータ制御信号出力部27に加え、モータ回転角センサ異常時にアシスト継続制御を行うモータ回転角演算部30が設けられている。
【0036】
具体的には、モータ回転角演算部30は、モータ回転角の異常を検出するモータ回転角異常検出部34と、モータ回転角の異常を検出した場合の代替センサとしてのステアリングセンサ16の出力である操舵角θsを補正する操舵角補正部31を有する。
更に、モータ回転角演算部30は、上記モータ回転角が正常時点の零度に対応する操舵角θs0を記憶する操舵角θs0記憶部36と、トーションバー17のバネ定数を記憶するトーションバーバネ定数記憶部37aと、上記操舵角補正部31から出力される補正後の操舵角を滑らかにするローパスフィルタ33を有する。そして、モータ回転角演算部30は、モータ回転角異常検出部34の信号により、切替制御部35を切り替えることによって、アシスト継続制御を実行する。
【0037】
詳述すると、モータ回転角異常検出部34には、電流指令値I*と、モータ回転角θmが入力される。モータ回転角異常検出部34は、例えば、電流指令値I*が所定値以上指令されているのに、モータ回転角が所定値以下の場合や、モータ回転角が所定値以上急激に変化した場合などに、モータ回転角の異常を検出する。そして、モータ回転角異常検出部34がモータ回転角の異常を検出した場合には、モータ回転角異常信号Peを切替制御部35に出力する。そして、モータ回転角が正常時には、切替制御部35は接点Aと接点Cが接続され、モータ回転角θmがモータ制御信号出力部27に入力される。一方、モータ回転角が異常時には、モータ回転角異常信号Peが出力され、切替制御部35は接点Bと接点Cが接続され、操舵角補正部31で補正された補正操舵角θshhがモータ制御信号出力部27に入力される。
【0038】
一方、操舵角補正部31には、ステアリングセンサ16の出力である操舵角θsおよび、トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbが入力される。操舵角補正部31は、トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbの差分(Sa-Sb)を操舵角θsより減算することにより、トーションバー17の捩れによって位相が進み状態にある操舵角θsを、位相が遅れ状態に補正した補正操舵角θshを出力する。操舵角補正部31より出力された補正操舵角θshは、ローパスフィルタ33に入力され、滑らかな補正操舵角θshhに変換され、切替制御部35に入力される。
【0039】
操舵角補正部の詳細を、図3のフローチャート図に基づいて説明する。
まず、モータ回転角θmと、ステアリング操舵角θsとの初期位置合わせを行なうため、車両を直進停止状態にする(ステップS101)。そして、モータ回転角が正常時点の零度に対応する、操舵角θs0を記憶部36に記憶する(ステップS102)。
【0040】
次に、モータ回転角が異常か否かを判定する(ステップS103)。モータ回転角が正常の場合(ステップS103:NO)、モータ回転角が異常になるまでステップS103を実行する。そして、モータ回転角が異常の場合(ステップS103:YES)、モータ12に取り付けられている減速機構13の減速比Gを減速比G記憶部37bから読み込む(ステップS104)。次に、モータ12の対極数Pを対極数P記憶部37cから読み込む(ステップS105)。次に、操舵角θsを取り込む(ステップS106)。更に、トルクセンサ信号Sa,Sbを取り込む(ステップS107)。
【0041】
そして、トーションバー17の捩れ角Δθを演算する(Δθ=Sa-Sb、ステップS108)。最後に補正操舵角θshを演算し、この処理を終了する(θsh=[(θs-Δθ)-θs0]/G/P、ステップS109)。
【0042】
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
マイコン21は、モータ回転角センサ24の異常が検出された場合には、モータ回転角センサ24に替えて、ステアリングセンサ16を使用する。更に、操舵角補正部31は、トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbの差分(Sa-Sb)を操舵角θsより減算することにより、トーションバー17の捩れによって位相が進み状態にある操舵角θsを、位相が遅れ状態に補正した補正操舵角θshを出力する。
そして、操舵角補正部31より出力された補正操舵角θshは、ローパスフィルタ33に入力され、滑らかな補正操舵角θshhに変換された後、切替制御部35に入力される。
【0043】
上記構成によれば、モータ回転角センサ24の異常が検出された場合には、モータ回転角センサ24に替えて、ステアリングセンサ16を使用することによって、操舵角θsに基づくアシスト力目標値に相当するモータトルクを発生させ、駆動電力の供給を実行することによりアシスト制御を継続する(アシスト継続制御)。
また、モータ回転角センサ24の異常が検出された場合には、トーションバー17の捩れによってモータ回転角θmより位相が進んだ操舵角を補正した、補正操舵角θshを使用することにより、よりモータ回転角センサ24に近い精度でアシスト制御を継続できる。その結果、モータ回転角センサの異常時においても、継続して安定したステアリング操作を行なうことができる。
【0044】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、トーションバー17の捩れによって進んだ操舵角度を補正する方法として、トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbの差分(Sa-Sb)を操舵角θsから減算することとしたが、操舵トルク検出部25の出力である操舵トルクτを、トーションバーバネ定数記憶部37aに記憶されている、トーションバーバネ定数で除算した値を操舵角θsから減算することとしてもよい。
【0045】
・上記実施形態では、本発明を所謂コラム型のEPS1に具体化したが、本発明は、所謂ピニオン型やラックアシスト型のEPSに適用してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、モータ回転角センサ24の異常が検出された場合には、ステアリングセンサ16を使用することによって、モータ回転角センサ24の代替制御を行ったが、代替制御を行えるのは、ステアリングセンサ16に限らず、コラム軸、ピニオン軸、ラック軸のどこかに設置された回転角センサを使用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1:電動パワーステアリング装置(EPS)、2:ステアリング、
3:ステアリングシャフト、3a:コラムシャフト、
3b:インターミディエイトシャフト、3c:ピニオンシャフト、
4:ラックアンドピニオン機構、5:ラック軸、6:タイロッド、7:転舵輪、
10:EPSアクチュエータ、11:ECU、12:モータ、13:減速機構、
14:トルクセンサ、14a、14b、19:センサ素子、15:車速センサ、
16:ステアリングセンサ、17:トーションバー、18:回転子、
21:マイコン、22:駆動回路、23:電流センサ、24:モータ回転角センサ、25:操舵トルク検出部、26:電流指令値演算部、27:モータ制御信号出力部、30:モータ回転角演算部、31:操舵角補正部、
33:ローパスフィルタ、34:モータ回転角異常検出部、35:切替制御部、
36:操舵角θs0記憶部、37a:トーションバーバネ定数記憶部、
37b:減速比G記憶部、37c:対極数P記憶部、
τ:操舵トルク、Sa,Sb:センサ信号、V:車速、θm:モータ回転角、
θs:操舵角、θsh、θshh:補正操舵角、Δθ:トーションバー17の捩れ角、
I*:電流指令値、I:実電流値、Iu,Iv,Iw:各相電流値、
Vu*,Vv*,Vw*:各相電圧指令値、Pe:モータ回転角異常信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵系に対して、操舵補助力を発生するモータと、
該モータの回転角を検出するモータ回転角センサと、
ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捻れに基づき操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
該操舵トルクセンサで検出した操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出し、
算出した操舵補助指令値、および前記モータ回転角センサで検出したモータ回転角とに基づいて、前記モータを駆動制御する制御手段と、
前記モータ回転角センサの異常を検出するモータ回転角センサ異常検出手段と、
を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記ステアリングシャフトの回転角を検出するステアリングセンサと、
前記制御手段は、前記モータ回転角センサ異常検出手段により、モータ回転角センサの異常が検出された場合には、前記モータ回転角にかえて、前記ステアリングシャフトの回転角で、前記モータを駆動制御すること、
を特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ステアリングシャフトの回転角に対して、前記トーションバーの捻れ分を補正したステアリングシャフトの回転角を用いて、前記モータを駆動制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ステアリングセンサにて検出したステアリングシャフトの回転角に対してローパスフィルタを設けること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−23002(P2013−23002A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157696(P2011−157696)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】