説明

電動車両用のインホイールモータ駆動装置

【課題】パーキングブレーキ機能が設けられた小型コンパクトなインホイール式電動車両用のモータ駆動装置を提供することである。
【解決手段】車輪駆動用のハブ輪45を回転駆動する電動モータ10のロータ13の回転軸心を中心とする径の異なる二つの円上に円弧状の長孔からなる複数の係合孔71aを等間隔に形成し、モータケース11には二つの円のそれぞれに対応して一対のソレノイド72a、72bを設け、電動車両の駐車時に、その一対のソレノイド72a、72bを作動させて、少なくとも一方のソレノイドのプランジャ73を係合孔に係合させて、ロータ13を制動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の車輪を駆動するインホイール式電動車両用のモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、インホイール式電動車両の概略を示す。この電動車両においては、駆動車輪としての左右一対の後輪1のそれぞれ内側に電動モータを駆動源とするモータ駆動装置Aを収容し、そのモータ駆動装置Aによって一対の後輪1のそれぞれを単独に駆動するようにしている。
【0003】
上記のようなインホイール式電動車両に採用されるインホイールモータ駆動装置Aとして、特許文献1に記載されたものが従来から知られている。その特許文献1に記載されたインホイールモータ駆動装置においては、電動モータのロータ軸から出力される回転を減速機構により減速してハブ輪に出力し、そのハブ輪の回転を車輪に伝達するようにしている。
【0004】
ここで、特許文献1に記載されたモータ駆動装置においては、車輪のホイールと反対側の端部に制動機構を配置するようにしているため、電動モータを車輪のホイールに近接する配置とすることができ、電動モータに対する支持構造を簡素化し得るという特徴を有している。
【0005】
また、制動機構が、減速された出力側ではなく、トルクの小さい駆動側のロータ軸を制動するようにしているため、制動機構として小型のものを採用することができ、モータ駆動装置の小型化を図ることができるという特徴も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−52788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載されたインホイールモータ駆動装置においては、制動機構を有するものの、その制動機構が車両の走行時に制動力を付与する運転用のサービスブレーキであり、駐車用のパーキングブレーキについては何も記載されていない。
【0008】
ここで、インホイールモータ駆動装置においては、車輪に取り付けることから小型化が要求され、駐車用のパーキングブレーキ機能を付加することによって大型化が懸念され、パーキングブレーキ機能付きの小型コンパクトなインホイールモータ駆動装置が要求されている。
【0009】
この発明の課題は、パーキングブレーキ機能が設けられた小型コンパクトなインホイール式電動車両用のモータ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明においては、モータケース内に組み込まれた固定配置のステータおよびそのステータ内で回転可能なロータを有する電動モータと、その電動モータにより回転駆動され、その回転を駆動車輪に伝達する車輪駆動用のハブ輪を備えてなる電動車両用のインホイールモータ駆動装置において、前記ロータと前記モータケースの相互間にパーキング用のブレーキ装置を設け、そのブレーキ装置が、ロータの回転軸心を中心とする径の異なる二つの円上に複数の係合孔を等間隔に設け、前記モータケースには、同一円上に配置された複数の係合孔の一つに対して挿入可能なプランジャを有する一対のソレノイドを、前記二つの円のそれぞれに対応して設け、その一対のソレノイドの作動時に、少なくとも一方のソレノイドのプランジャが対応する円上の複数の係合孔の一つに挿入されるよう、係合孔の形成位置および一対のソレノイドの相対的な位置関係を規制した構成を採用したのである。
【0011】
上記の構成からなるインホイールモータ駆動装置において、電動車両の駐車の際には、一対のソレノイドのそれぞれを作動する。その一対のソレノイドの作動によりプランジャが前進し、少なくとも一方のソレノイドのプランジャが対応する円上の複数の係合孔の一つに挿入し、その係合孔とプランジャの係合によってロータは制動され、電動車両が停止状態に保持される。
【0012】
上記インホイールモータ駆動装置においては、パーキング用のブレーキ装置がトルクの小さい駆動側のロータを制動するため、上記ブレーキ装置は、ロータに形成された係合孔にソレノイドのプランジャを係合させる簡単な構成の小型のものとすることができる。したがって、軸方向長さのコンパクトな小型のパーキングブレーキ機能付きのインホイールモータ駆動装置を得ることができる。
【0013】
ここで、インホイールモータ駆動装置は、電動モータのロータの回転をハブ輪に直接伝達するようにしたものであってもよく、あるいは、電動モータのロータとハブ輪との間に減速機構を設けて、ロータの回転を減速してハブ輪に伝達するようにしたものであってもよい。
【0014】
減速機構として、遊星歯車式のものを採用し、その遊星歯車式減速機構をロータの内側に配置するようにすると、軸方向長さのコンパクトな電動車両用のインホイールモータ駆動装置を得ることができる。
【0015】
この発明に係るインホイールモータ駆動装置において、係合孔は、円弧状の長孔とすることができる。円弧状の長孔を係合孔とする場合において、隣接する係合孔間にプランジャの外径より少し小さな間隔をおいて複数の係合孔を形成し、外側の円上に形成された複数の係合孔と内側の円上に形成された複数の係合孔を周方向に半ピッチ位置をずらし、かつ、内側円上の係合孔の両端部を外側円上の係合孔の端部に径方向でオーバラップさせ、そのラップ部の周方向長さをプランジャの外径以上とし、一対のソレノイドの相対的な取付角度を外側円上の複数の係合孔を形成する際の割り出し角の整数倍とすることによって、一対のソレノイドの作動時に、少なくとも一方のソレノイドのプランジャを対応する円上の複数の係合孔の一つに確実に挿入させることができる。
【0016】
ここで、ロータがサイドプレートを有する場合、そのサイドプレートの側面に円筒部を設け、その円筒部の開口端に形成された内向きフランジに複数の係合孔を設けるようにしてもよい。
【0017】
ソレノイドとして、自己保持型ソレノイドを採用すると、プランジャを係合孔に係合させたソレノイドの作動状態で、そのソレノイドに対する通電を遮断しても、プランジャは挿入状態に保持されるため、電力の消費を抑制することができ、経済性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る電動車両用のインホイールモータ駆動装置においては、ロータの回転軸心を中心とする径の異なる二つの円上に複数の係合孔を等間隔に設け、モータケースには、同一円上に配置された複数の係合孔の一つに対して挿入可能なプランジャを有する一対のソレノイドを設け、その一対のソレノイドの作動により少なくとも一方のソレノイドのプランジャが複数の係合孔の一つに係合されるようにしたので、部品点数の少ない簡単な構成によってインホイールモータ駆動装置にパーキング用のブレーキ機能を付加することができ、小型コンパクトなパーキングブレーキ付きインホイールモータ駆動装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電動車両の概略図
【図2】この発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施の形態を示す正面図
【図3】図2に示すインホイールモータ駆動装置の縦断面図
【図4】図3の電動モータおよび減速機構部を示す断面図
【図5】図3の車輪軸受部を示す断面図
【図6】図4のVI−VI線に沿った断面図
【図7】(I)、(II)は、ロータの制動状態を示す断面図
【図8】この発明に係るインホイールモータ駆動装置の他の実施の形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2乃至図7は、この発明に係る電動車両用のインホイールモータ駆動装置の実施の形態を示す。図2に示すように、駆動車輪1におけるホイール2の内側にはインホイールモータ駆動装置Aが設けられている。
【0021】
図3に示すように、インホイールモータ駆動装置Aは、電動モータ10と、その電動モータ10の回転を減速して出力する減速機構60と、その減速機構60からの回転を駆動車輪1に伝達する駆動車軸30と、その駆動車軸30を回転自在に支持する車輪軸受40とを有している。
【0022】
図4に示すように、電動モータ10は、モータケース11と、その内側に組み込まれたステータ12と、そのステータ12の内側に組み込まれたロータ13とからなる。
【0023】
モータケース11は、端板15を有するケース本体14と、そのケース本体14の一端の開口を閉塞するカバー16とからなり、上記カバー16にはケース本体14の開口端部内に嵌合される円筒部16aを有し、その円筒部16aとケース本体14の嵌合面間はシールリング17の組込みによってシールされている。
【0024】
ロータ13は、円板部13aの外周に円筒部13bを設け、その円筒部13bの外周一端部に設けられたフランジ部13cと、上記円筒部13bの他端部に取付けられたサイドプレート13dとで円筒部13bの外周に設けられた永久磁石13eを両側から挟持しており、ステータ12のコイル12aに対する通電によって、そのステータ12内で回転するようになっている。
【0025】
ロータ13における円板部13aの中央にはボス部13fが形成され、そのボス部13f内にロータ軸18が挿通されている。ロータ軸18はキー19によりロータ13に回り止めされてロータ13と共に回転する。
【0026】
モータケース11の端板15にはロータ13の内側に入り込む円筒状の膨出部20が形成され、その膨出部20の中心部に形成された挿入孔21に上記ボス部13fが挿入され、そのボス部13fの外径面と挿入孔21の内径面間に組み込まれたシール部材22によってボス部13fと挿入孔21間はシールされている。
【0027】
図3に示すように、駆動車軸30は、ロータ軸18の外端側に配置されて、ロータ軸18と同軸上の配置とされている。図4に示すように、駆動車軸30には、ロータ軸18と対向する端部に挿入孔31が形成され、その挿入孔31内に組み込まれた一対の軸受32によってロータ軸18の外端部が回転自在に支持されている。
【0028】
図5に示すように、駆動車軸30を回転自在に支持する車輪軸受40は、軸受外輪41と、その内側に組み込まれた内方部材42を有している。軸受外輪41の外径面には車体取付フランジ43が形成され、その車体取付フランジ43はモータケース11の端板15の外側面に衝合され、上記端板15にねじ込まれるボルト44の締付けによりモータケース11に取付けられている。
【0029】
内方部材42は、ハブ輪45と、そのハブ輪45のインナ側端部上に設けられた軸受内輪46とからなり、軸受内輪46はハブ輪45のインナ側端部に形成された小径軸部45aに嵌合されている。ハブ輪45および軸受内輪46のそれぞれは軸受外輪41との間に組み込まれた転動体47により回転自在に支持され、その転動体47のそれぞれ外側方に組み込まれたシール部材48は、軸受外輪41と内方部材42の対向端部に形成された軸受空間の両端開口を閉塞している。
【0030】
ハブ輪45には、軸受外輪41のアウタ側端面から外側に位置する端部外周に車輪取付フランジ49が設けられ、その車輪取付フランジ49に設けられた複数のボルト50のそれぞれにナット51がねじ係合され、そのナット51の締付けにより、車輪取付フランジ49にサービスブレーキを形成するブレーキロータ54と駆動車輪1のホイール2が取付けられている。
【0031】
駆動車軸30は、ハブ輪45の内側に挿通され、セレーション52による係合によってハブ輪45に回り止めされている。その駆動車軸30を支持する車輪軸受40の端板15への取付けにより、その端板15に設けられた膨出部20の開口が閉塞されて内側に密閉空間53が形成され、その密閉空間53内に減速機構60が組み込まれている。
【0032】
図4に示すように、減速機構60は、ロータ軸18の軸端部に設けられた太陽歯車61と、膨出部20の内径面に嵌合固定された内歯歯車62と、その内歯歯車62の内周の内歯と太陽歯車61の外周の外歯のそれぞれに噛合する遊星歯車63とからなる遊星歯車式のものからなり、上記遊星歯車63は、駆動車軸30のインナ側端部の外周に設けられた円盤状のキャリヤ部64に支持されたギヤ軸65を中心にして回転自在に支持されている。
【0033】
図3、図4および図6に示すように、電動モータ10におけるケース本体14の一端開口を閉鎖するカバー16には、パーキング用のブレーキ装置70が設けられている。
【0034】
ブレーキ装置70は、ロータ13のロータ軸18を中心とする径の異なる二つの円上に複数の係合孔71a、71bを等間隔に設け、カバー16には、同一円上に配置された複数の係合孔71の一つに対して挿入可能なプランジャ73を有する一対のソレノイド72a、72bを、上記二つの円のそれぞれに対応して設け、その一対のソレノイド72a、72bの作動時に、少なくとも一方のソレノイドのプランジャが対応する円上の複数の係合孔の一つに挿入されるようにして、プランジャ73と係合孔71a、71bの係合によりロータ13を制動している。
【0035】
ここで、係合孔71a、71bのそれぞれは、図6に示すように、円弧状の長孔とされており、外側円上に配置される係合孔71aおよび内側円上に配置される係合孔71bは、その隣接する係合孔71a間にプランジャ73の外径より少し小さな間隔をおいて形成されている。
【0036】
また、ロータ13の外側円上に配置された複数の係合孔71aと内側円上に配置された係合孔71bは周方向に半ピッチ位置がずれ、内側円上に形成された係合孔71bの両端部は外側円上の係合孔71aの両端部と径方向でオーバラップし、そのラップ部の周方向長さをL、プランジャ73の外径Dとすると、L>Dの関係とされている。
【0037】
さらに、一対のソレノイド72a、72bの相対的な取付角度をαとし、外側円上の複数の係合孔71aを形成する際の割り出し角をβとすると、取付角度αは割り出し角βの整数倍とされている。
【0038】
上記のように、係合孔71a、71bの相互の関係および周方向で隣接する係合孔の間隔ならびに一対のソレノイド72a、72bの相対的な位置関係を規制することによって、一対のソレノイド72a、72bの作動時に、図6および図7(I)、(II)に示すように、少なくとも一方のソレノイドのプランジャ73を、その対応する円上の複数の係合孔71a、71bの一つに確実に挿入させることができる。
【0039】
ここで、図6は、外側円上に配置されたソレノイド72aのプランジャ73が外側円上の一つの係合孔71aに挿入している状態を示す。また、図7(I)は、内側円上に配置されたソレノイド72bのプランジャ73が内側円上の一つの係合孔71bに挿入している状態を示し、さらに、図7(II)は、一対のソレノイド72a、72bのそれぞれのプランジャ73が外側円上の一つの係合孔71aおよび内側円上の一つの係合孔71bに挿入している状態を示している。
【0040】
実施の形態で示す電動車両用のインホイールモータ駆動装置は上記の構造からなり、車両の走行に際しては、電動モータ10を形成するステータ12のコイル12aに通電してロータ13を回転させ、そのロータ13と共に回転するロータ軸18の回転をハブ輪45からホイール2に伝達して駆動車輪1を回転させる。
【0041】
車両の駐車に際しては、一対のソレノイド72a、72bを同時に作動させるようにする。そのソレノイド72a、72bの作動により、図6および図7(I)、(II)に示すように、少なくとも一方のソレノイドのプランジャ73が、対応する円上の複数の係合孔71a、71bに挿入し、その係合孔71a、71bに対するプランジャ73の係合によりロータ13が制動される。
【0042】
このように、パーキング用のブレーキ装置70を作動させることによってロータ13を停止状態に保持することができるため、駐車の際、サービスブレーキのブレーキペダルを踏み込んで、その踏み込み状態を維持する必要がない。
【0043】
ここで、ソレノイド72a、72bとして自己保持型ソレノイドを採用すると、プランジャ73を係合孔71a、71bに係合させたソレノイドの作動状態で、そのソレノイドに対する通電を遮断しても、プランジャ73は挿入状態に保持されるため、電力の消費を抑制することができ、経済性を高めることができる。
【0044】
坂道での駐車に際しては、駆動車輪1から係合孔71a、71bに係合するプランジャ73に車両の回転トルクが負荷されて、プランジャ73を係合解除させることが困難になる。
【0045】
このとき、遊星歯車式減速機構60の遊星歯車63および内歯歯車62とモータケース11の相互間には周方向の隙間があり、その隙間の範囲内でロータ13は回転可能であるため、ソレノイド72a、72bの解除信号とサービスブレーキのブレーキペダルを踏み込む制動信号の二つの信号によって電動モータ10のロータ13を正回転または逆回転させることにより、一瞬トルク抜けが生じ、そのトルク抜け時に係合孔71a、71bからプランジャ73が抜け出すことになり、ロータ13のロックを容易に解除とすることができる。
【0046】
また、パーキング用のブレーキ装置70の作動時、車体重量からのラジアル荷重がロータ13を介してプランジャ73に作用する。その力は、平坦な道路で小さい。しかし、傾斜角をθとする急坂道では、車体重量×sinθ/減速比分がプランジャ73に作動することになる。
【0047】
このとき、プランジャ73に付加されるラジアル荷重をモータケース11に支持されたソレノイド本体で受けるような場合、ソレノイド72a、72bの作動を阻害することになる。
【0048】
そのような不都合の発生を防止するため、図3および図4では、モータケース11にソレノイド72a、72bのプランジャ73をスライド自在に支持する滑り軸受75を設け、その滑り軸受75でラジアル荷重を受けるようにしている。
【0049】
滑り軸受75は、焼結合金からなるものであってもよく、あるいは、合成樹脂からなるものであってもよい。
【0050】
図3では、ロータ13の円板部13aに複数の係合孔71a、71bを設けるようにしたが、図8に示すように、ロータ13におけるサイドプレート13dの側面に円筒部76を形成し、その円筒部76の開口端に形成された内向きフランジ77に複数の係合孔71a、71bを設けるようにしてもよい。
【0051】
また、実施の形態では、ロータ軸18の回転を減速機構60により減速して駆動車軸30に伝達するようにしたが、駆動車軸30および減速機構60を省略して、ロータ軸の回転をハブ輪45に直接伝達するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 駆動車輪
10 電動モータ
11 モータケース
12 ステータ
13 ロータ
16 カバー
45 ハブ輪
60 減速機構
70 ブレーキ装置
71a 係合孔
71b 係合孔
72a ソレノイド
72b ソレノイド
73 プランジャ
75 滑り軸受
76 円筒部
77 内向きフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケース内に組み込まれた固定配置のステータおよびそのステータ内で回転可能なロータを有する電動モータと、その電動モータにより回転駆動され、その回転を駆動車輪に伝達する車輪駆動用のハブ輪を備えてなる電動車両用のインホイールモータ駆動装置において、
前記ロータと前記モータケースの相互間にパーキング用のブレーキ装置を設け、そのブレーキ装置が、ロータの回転軸心を中心とする径の異なる二つの円上に複数の係合孔を等間隔に設け、前記モータケースには、同一円上に配置された複数の係合孔の一つに対して挿入可能なプランジャを有する一対のソレノイドを、前記二つの円のそれぞれに対応して設け、その一対のソレノイドの作動時に、少なくとも一方のソレノイドのプランジャが対応する円上の複数の係合孔の一つに挿入されるよう、係合孔の形成位置および一対のソレノイドの相対的な位置関係を規制したことを特徴とする電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項2】
前記電動モータと前記ハブ輪との間に、前記ロータの回転を減速してハブ輪に伝達する減速機構が設けられた請求項1に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項3】
前記減速機構が、遊星歯車式からなり、その遊星歯車式減速機構が前記ロータの内側に配置された請求項2に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項4】
前記係合孔が、周方向の両端面が円弧面とされた円弧状の長孔からなる請求項1乃至3のいずれかの項に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項5】
前記ロータが、サイドプレートを有し、そのサイドプレートの側面に円筒部を設け、その円筒部の開口端に形成された内向きフランジに前記複数の係合孔を設けた請求項1乃至4のいずれかの項に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項6】
前記ソレノイドが、自己保持型ソレノイドからなる請求項1乃至5のいずれかの項に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項7】
前記ソレノイドの解除信号とサービスブレーキのブレーキペダルを踏み込む制動信号の二つの信号により電動モータのロータを正回転または逆回転させてプランジャを係合孔から引抜くことによりロータのロック解除とする請求項6に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項8】
前記モータケースに前記ソレノイドのプランジャをスライド自在に支持する滑り軸受を設けた請求項1乃至7のいずれかの項に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項9】
前記滑り軸受が、焼結合金からなる請求項8に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。
【請求項10】
前記滑り軸受が、合成樹脂からなる請求項8に記載の電動車両用のインホイールモータ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−56573(P2013−56573A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194724(P2011−194724)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】