説明

電子デバイス用の複合電極

【課題】電子デバイス用の複合電極を提供する。
【解決手段】複合電極は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された少なくとも1つの金属の少なくとも1つのハライド化合物を含む第1の層(32)と、導電性材料を含む第2の層(34)とを含む。第2の層(34)は、第1の層(32)と電子デバイス(10)の電子活性材料(40)との間に配置される。本複合電極は、有機発光デバイス又は有機光起電力電池の陰極として機能させることができる。本複合電極は、実質的に透明であるように製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には少なくとも有機活性材料(活物質)を有する電子デバイスに関し、具体的には、少なくとも複合電極を有するそのような電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの効率的な動作は、とりわけ、電極と隣接する媒体との間の境界面を横切る効率的な電荷の輸送(移動)に依存する。光電子デバイスは、電子デバイスの類を含み、現在では光エネルギーと電気エネルギーとの間の変換原理を組込んだ幾つかの用途に用いられている。そのようなデバイスの1つのタイプであるエレクトロルミネセント(「EL」)デバイスは、有機又は無機のいずれかに分類することができ、グラフィック表示及びイメージング技術においてよく知られている。ELデバイスは、多くの用途に対して種々の形状で製造されてきた。しかしながら、無機ELデバイスには一般的に、高い活性化電圧が必要であること及び輝度が低いことに問題がある。他方、より最近開発された有機ELデバイス(「OELD」)は、製造が簡単であることに加えて活性化電圧がより低いこと及び輝度がより高いことに利点があり、従って、より広範な用途が期待される。
【0003】
OELDは一般的に、ガラス又は透明プラスチックなどの基板上に形成された薄膜構造体である。有機EL材料の発光層及び任意選択的な隣接する有機半導体層は、陰極と陽極との間に挟まれる。有機半導体層は、正孔(正電荷)注入層又は電子(負電荷)注入層のいずれかとし、さらに有機材料を含むことができる。発光層用の材料は、異なる波長を有する光を放出する多くの有機EL材料から選択することができる。発光有機層自体は、各々が異なる有機EL材料を含む複数のサブ層から構成することができる。最新技術のEL材料は、可視スペクトル内で狭い波長範囲を有する電磁(「EM」)放射線を放出することができる。本明細書では、特に述べない限り、「EM放射線」及び「光」という用語は、紫外(「UV」)から中赤外(「mid−IR」)の範囲の波長、つまり約300nm〜約10マイクロメートルの範囲の波長を有する放射線を全体的に意味するために互換的に使用する。
【0004】
有機EL層/電極境界面における電荷注入に対する障壁を減少させるか又は排除することは、デバイスの効率を高めるのに大きく貢献する。電子注入を促進させるために、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のような低い仕事関数を有する金属が陰極材料として用いられることが多い。しかしながら、これらの金属は、環境に露出された時に劣化を生じ易い。従って、陰極材料としてこれらの金属を用いるデバイスは、厳重なカプセル化を必要とする。さらに、これらの金属は隣接する有機EL層内に急速に拡散し、デバイス性能の低下を招くおそれがある。
【0005】
光起電力電池のようなその他の光電子デバイスもまた、活性層と隣接する陰極との間の境界面を横切る電子輸送に対する障壁が低下することにより恩恵を受ける。
【特許文献1】米国特許第5,998,803号公報
【特許文献2】米国特許第5,869,836号公報
【特許文献3】米国特許第6,023,371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、電子が陰極と隣接する材料との間の境界面を横切って効率的に移動するのを可能にすると同時に、実質的にデバイスの長期安定性を維持するのを可能にする陰極材料を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本発明は、電子デバイス用の複合電極を提供し、本複合電極は、(a)少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層と、(b)導電性材料を含みかつ第1の層と電子デバイスの電子活性材料との間に配置された第2の層とを含む。
【0008】
本発明の1つの態様では、電子デバイスは、光電子デバイスである。
【0009】
本発明の別の態様では、電子デバイスは、有機エレクトロルミネセント(「EL」)デバイスであり、活性材料は、有機EL材料である。
【0010】
本発明の別の態様では、ハライド化合物は、フッ化物である。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、電子デバイスは、(a)第1の電極と、(b)第2の電極と、(c)第1の電極と第2の電極との間に配置された電子活性材料とを含み、第2の電極は、(1)アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された少なくとも1つの金属の少なくとも1つのハライド化合物を含む第1の層と、(2)導電性材料を含みかつ第1の層と電子デバイスの電子活性材料との間に配置された第2の層とを含む。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、電子デバイスを作製する方法は、(a)少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層と導電性材料を含む第2の層とを含む複合電極を形成するステップと、(b)複合電極の第2の層上に電子活性材料を配置するステップと、(c)電子活性材料上に付加電極を形成するステップとを含む。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の本発明の詳細な説明及び同じ符号が同様の要素を示す添付の図面を精査することにより明らかになるであろう。
【0014】
これらの図は、複合電極の例示の目的で示すものであり、本発明を決して限定するものではなく、また正しい縮尺で描いていないことを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、電子デバイス用の複合電極を提供し、本複合電極では、該複合電極と隣接する材料との間の境界面を横切る電子輸送に対する障壁が減少する。有機ELデバイス及び有機光起電力電池は、本発明の複合電極により恩恵を受けることができる電子デバイスの非限定的な実施例である。
【0016】
一般に、本発明は、電子デバイス用の複合電極を提供し、本複合電極は、(a)アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された少なくとも1つの金属の少なくとも1つのハライド化合物を含む第1の層と、(b)第1の層と電子デバイスの電子活性材料(活物質)との間に配置されかつ導電性材料を含む第2の層とを含む。
【0017】
図1は、本発明の複合電極を組込んだ電子デバイス10を概略的に示す。電子デバイス10は、光電子デバイスとすることができ、光電子デバイスは、(a)陽極20と、(b)複合陰極30と、(c)陽極20と陰極30との間に配置された光電子活性材料40とを含み、複合陰極30は、(1)アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された少なくとも1つの金属の少なくとも1つのハライド化合物を含む第1の層32と、(2)第1の層32と光電子デバイス10の光電子活性材料40との間に配置されかつ導電性材料を含む第2の層34とを含む。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、光電子デバイス10は、有機エレクトロルミネセント(「EL」)デバイスであり、この有機エレクトロルミネセントデバイスでは光電子活性材料40は、電源50によって供給された電位差が陽極20及び複合陰極30間に加えられた時に、光を放出(発光)する。
【0019】
複合陰極30の第1の層32は、好ましくはアルカリ金属からなる群から選択された少なくとも1つの金属の少なくとも1つのフッ化物化合物を含み、より好ましくはナトリウム、カリウム及びセシウムからなる群から選択された少なくとも1つのアルカリ金属の少なくとも1つのフッ化物化合物を含み、最も好ましくはナトリウム及びカリウムからなる群から選択された少なくとも1つのアルカリ金属の少なくとも1つのフッ化物化合物を含む。複合陰極30の第2の層34は、アルミニウム、銀、金、スズ、カルシウム、マグネシウム、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された金属のような導電性材料を含む。第2の層34はまた、イットリウム、スカンジウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金から選択された材料を含むことができる。第2の層34は、アルミニウムを含むのが好ましい。
【0020】
実質的に透明な陰極を形成するのが望ましい図2に示す別の実施形態では、複合電極又は陰極30は、(1)アルカリ金属及びアルカリ土金属からなる群から選択された金属の少なくとも1つのハライド化合物を含む無機ハライド層32と、(2)実質的に透明な導電層36とを含むことができる。「実質的に透明な」というと用語は、可視波長域の光の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%が10度よりも小さい又は10度に等しい入射角で厚さ約0.5マイクロメートルを有する薄膜を貫通して透過できることを意味する。層32は、上記に挙げたものの中から選択されたハライド化合物を含む。層36は、例えば酸化インジウム・スズ(「ITO」)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物からなる群から選択された材料などの実質的に透明な導電性金属酸化物のような実質的に透明な導電性材料を含む。層36の厚さは、約10nm〜約500nmの範囲、好ましくは約10nm〜約200nmの範囲、より好ましくは約50nm〜約200nmの範囲にある。
【0021】
図3に示す別の実施形態では、複合電極又は陰極30は、(1)少なくともアルミニウム、銀、金、スズ、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、スカンジウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された材料を含む導電性金属層34と、(2)アルカリ金属及びアルカリ土金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む無機ハライド層32と、(3)実質的に透明な導電層36とを含む。層36は、例えば酸化インジウム・スズ(「ITO」)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物からなる群から選択された金属酸化物などの実質的に透明な導電性金属酸化物のような実質的に透明な導電性材料を含む。層34の材料は、アルミニウムであるのが好ましく、また層36の材料は、ITOであるのが好ましい。層32は、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土金属からなる群から選択された金属のハライド化合物を含む。層32は、好ましくは少なくともナトリウム、カリウム及びセシウムからなる群から選択されたアルカリ金属のフッ化物化合物を含み、より好ましくは少なくともナトリウム及びカリウムからなる群から選択されたアルカリ金属のフッ化物化合物を含む。
【0022】
本発明の1つの態様によると、層32、34及び36は、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法及びスパッタリングからなる群から選択された方法によって、下にある層又は材料上に堆積される。層34は、約1nm〜約40nmの範囲、好ましくは約1nm〜約20nmの範囲、より好ましくは約10nm〜約20nmの範囲の厚さを有する。層32は、約1nm〜約100nmの範囲、好ましくは約4nm〜約40nmの範囲、より好ましくは約4nm〜約10nmの範囲の厚さを有する。
【0023】
本発明の別の態様によると、層32は、ガラス、金属又は導電性酸化物(酸化インジウム・スズ(「ITO」)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物など)のような材料で作られた基板上に支持される。層34は次に、好ましくは気相から層32上に堆積される。出願人はいかなる特定の理論によっても拘束されることを欲するものではないが、アルミニウム蒸気のような金属蒸気が、アルカリハライド又はアルカリ土類ハライドのようなハライド化合物を解離してアルカリ又はアルカリ土類金属及びアルミニウムハライドに変化するものと思われる。アルカリ又はアルカリ土類金属原子はその後、金属ハライド層から離れるように層34の表面に拡散する。金属層34が光電子活性材料40に隣接して配置されている場合には、境界面に存在するアルカリ又はアルカリ土類金属は、そのような境界面を横切る電子輸送に対する障壁を低下させる。
【0024】
光電子デバイス10の陽極20は、例えば約5eV〜約7eVのような約4.4eVよりも大きい高い仕事関数を有する材料を含む。ITOは一般的に、この目的に使用される。ITOは、光の透過に対し実質的に透明であり、有機エレクトロルミネセント層40から放出された光が大きく減衰されずにITO陽極層を容易に貫通して出て行くのを可能にする。陽極層として使用するのに好適な他の材料は、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物である。陽極層20は、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法又はスパッタリングによって下にある要素上に堆積させることができる。そのような導電性酸化物を含む陽極の厚さは、約10nm〜約500nmの範囲、好ましくは約10nm〜約200nmの範囲、より好ましくは約50nm〜約200nmの範囲とすることができる。金属の薄い実質的に透明な層はまた、例えば約50nmよりも小さい、好ましくは約20nmよりも小さい厚さを有する層に好適である。陽極20に好適な金属は、約4.4eVよりも大きいような高い仕事関数を有する金属、例えば銀、銅、タングステン、ニッケル、コバルト、鉄、セレン、ゲルマニウム、金、プラチナ、アルミニウム或いはそれらの混合物又は合金である。陽極20の透明性が重要ではない実施形態では、その厚さは、約50nmよりも大きくすることができる。
【0025】
図4に示す1つの実施形態では、陽極層20は、実質的に透明なガラス又はポリマー材料で作られた実質的に透明な基板18上に支持される。
【0026】
図5に示すように、光電子デバイス10は、陰極層30上に配置されてデバイス10の感受性構成要素に対して物理的損傷又は化学的侵食からの保護を与える保護層100を含むのが有利である。保護層100は、実質的に透明なポリマー又はガラスを含むことができる。
【0027】
1つの実施形態では、光電子デバイス10は、有機EL層40が正孔及び電子の両方の輸送媒体としての機能を果たす発光デバイスである。この層内では、これらの電荷種が結合してエキシトンを形成しかつより低いエネルギーレベルまで低下し、同時に可視域のEM放射線を放出する。例えば、1つの有機EL材料は、青色領域(約380nm〜約500nmの範囲の波長を有する)でエレクトロルミネセンスするように選択される。他の波長領域のいずれかでエレクトロルミネセンスする他の有機材料も、光電子デバイス10内に組込むことができる。有機EL層40の厚さは、約100nm〜約300nmの範囲に保たれるのが好ましい。有機EL材料は、ポリマー、コポリマー、ポリマーの混合物又は不飽和結合を有する低分子量有機分子とすることができる。そのような材料は、非局在化π電子系を保有し、この非局在化π電子系が、ポリマー鎖又は有機分子に、高い移動度の状態で正及び負電荷キャリアを担持する能力を与える。
【0028】
好適な青色発光ELポリマーは、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(約380nm〜約500nmの波長の紫色〜青色光を放出する「PVK」)、並びにポリ(9,9−ジヘキシルフルオレン)(410〜550nm)、ポリ(ジオクチルフルオレン)(436nmのEL発光ピーク波長)又はポリ{9,9−ビス(3,6(ジオキサへプチル)−フルオレン−2,7−ジイル}(400〜550nm)のようなポリ(アルキルフルオレン)、並びにポリ(プララフェニレン)及びポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)のようなその誘導体(400〜550nm)である。これらのポリマー及び他のポリマーの1つ又はそれ以上をベースとしたこれらのポリマー及びコポリマーの混合物を使用して、発光色を調整することができる。
【0029】
青色を発光する好適なELポリマーの別の部類は、ポリシランである。ポリシランは、種々のアルキル及び/又はアリール側基で置換された直鎖状ケイ素主鎖ポリマーである。これらは、ポリマー主鎖に沿って非局在化σ共役電子を有する疑似1次元材料である。ポリシランの実施例は、ポリ(ジ−n−ブチルシラン)、ポリ(ジ−n−ペンチルシラン)、ポリ(ジ−n‐へキシルシラン)、ポリ(メチルペンチルシラン)及びポリ{ビス(p−ブチルフェニル)シラン}であり、これらは、H.Suzuki他の「Near−Ultraviolet Electroluminescence From Polysilanes」331 Thin Solid Film 64−70(1998)に開示されている。これらのポリシランは、約320nm〜約420nmの範囲の波長を有する光を放出する。
【0030】
例えば多数の芳香族ユニットで作られた約10000よりも小さい分子量を有する有機材料もまた、青色発光材料に適用可能である。このような材料の実施例は、380nm〜500nmの波長域で発光する1,3,5−トリス{n−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ}ベンゼンである。有機EL層はまた、フェニルアントラセン、テトラアリールエテン、クマリン、ルブレン、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ぺリレン、コロネン又はそれらの誘導体のような低分子量有機分子から調製することができる。これらの材料は通常、約520nmの最大波長を有する光を放出する。さらに他の好適な材料は、415〜457nmの波長域で発光するアルミニウム−、ガリウム−及びインジウム−アセチルアセトネート、或いは420〜433nmの波長域で発光するアルミニウム−(ピコリメチルケトン)−ビス{2,6−ジ(t−ブチル)フェノキシド}又はスカンジウム−(4−メトキシ−ピコリメチルケトン)−ビス(アセチルアセトネート)のような低分子量有機金属錯体である。
【0031】
発光デバイス10の有機EL層40は、他の可視波長で発光する材料を含むことができる。例えば、赤色発光有機EL材料は、同一出願人が2002年12月23日に出願した「White Light−Emitting Organic Electroluminescent Devices」の名称の米国特許出願第10/328,263号に開示されており、この特許出願は、その全体を参考文献として本明細書に組入れている。
【0032】
可視波長域で発光する他の好適な有機EL材料は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム及びその誘導体のような8−ヒドロキシキノリンの有機金属錯体である。
【0033】
有機EL層40は、物理気相蒸着法、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ローラコーティング又はインクジェットプリンティングのような方法によって下にある層上に堆積させることができる。
【0034】
陽極20、陰極30及びEL層40を含む集合体を本明細書では「光放出部材」と呼び、符号120で示す。
【0035】
光放出部材120内には、有機EL層40に加えて、1つ又はそれ以上の付加有機層を含ませて、デバイス10全体の効率を高めることができる。例えば、これらの付加層は、有機EL層内への電荷の注入(電子又は正孔注入増強層)又は輸送(電子又は正孔輸送層)を改善する働きをすることができる。これらの層の各々の厚さは、約500nm以下、好ましくは約100nm以下に保たれる。これらの層は、デバイス10の製造中に、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ローラコーティング或いは物理又は化学気相蒸着法のような従来通りの方法によって施すことができる。図6に示す本発明の1つの実施形態では、正孔注入増強層22は、陽極層20と有機EL層40との間に形成されて、所定の順方向バイアスでのより高い注入電流及び/又はデバイスが損傷しない範囲でのより高い最大電流をもたらす。従って、正孔注入増強層は、陽極からの正孔の注入を促進する。正孔注入増強層に好適な材料は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、ポリアニリン、或いは参考文献として本明細書に組入れている米国特許第5,998,803号に開示されている3,4,9,10−ペリレンテトラ−カルボン酸二無水物又はビス(1,2,5−チアジアゾロ)−p−キノビス(1,3−ジチオール)などのアリレンベースの化合物のようなp型ドープ導電性ポリマーである。
【0036】
図7に示す本発明の別の実施形態では、光放出部材120はさらに、正孔注入増強層22と有機EL層40との間に配置された正孔輸送層24を含む。正孔輸送層24は、正孔を輸送しかつ電子の輸送を阻止する機能を有し、それにより正孔及び電子が有機EL層40内で最適に結合されるようにする。正孔輸送層に好適な材料は、参考文献として本明細書に組入れている米国特許第6,023,371号に開示されているような、トリアリールジアミン、テトラフェニルジアミン、芳香族第3級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、それらのポリマー、それらの混合物及びポリチオフェンである。
【0037】
図8に概略的に示す本発明のさらに別の実施形態では、光放出部材120は、陰極30の導電層34と有機EL層40との間に配置された付加層42を含む。層42は、有機EL層40に対する電子の注入及び輸送の複合機能を有する。電子注入及び輸送層に好適な材料は、参考文献として本明細書に組入れている米国特許第6,023,371及び第6,392,250号に開示されているような、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどの8−ヒドロキシキノリンの有機金属錯体、スチルベン誘導体、アントラセン誘導体、ペリレン誘導体、金属チオキシノイド化合物、オキサジアゾール誘導体及び金属キレート、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、キノサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ基置換フルオレン誘導体及びトリアジンである。
【0038】
図9に示す本発明の別の実施形態では、正孔阻止層44が、電子注入及び輸送層42とEL層40との間に配置される。正孔阻止層44は、正孔が無益に失われる陰極30にそれら正孔が到達するのを阻止する働きをする。一般的に、上に開示したような電子輸送材料はまた、正孔阻止特性を有する。具体的には、正孔阻止層44に好適な材料は、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、バソカーポイネ(「BCP」)、ビス(2−メチル−8−キノリナト)トリフェニルシラノラートアルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェノラートアルミニウム(III)及びビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノラートアルミニウム(III)である。
【0039】
電極と隣接する光電子活性材料との間の境界面を横切る電子の効率的輸送により恩恵を受けることができる別のタイプの光電子デバイスは、光起電力(「PV」)電池である。本発明の複合電極は、そのようなPV電池内に組込むことができる利点を有する。図10は、一対の電極220及び230と、それらの間に配置された光吸収性PV材料240とを含むPV電池210を概略的に示す。PV材料240が光で照射されると、PV材料240内の原子に閉じ込められていた電子が光エネルギーによって開放されて自由に移動する。従って、自由電子及び自由正孔が生成される。自由電子及び正孔は、効率的に分離されて、それにより電気エネルギーが連続的に引き出されるようになる。自由電子は、半導体PV材料240を貫通して移動し、電極の1つ、例えば電極230(時として、太陽電極又は電子生成電極として知られる)を通って流れる。1つの実施形態では、電極230は、本発明の複合電極であり、(1)アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された少なくとも1つの金属の少なくとも1つのハライド化合物を含む第1の層232と、(2)第1の層232とPV電池210のPV材料240との間に配置されかつ導電性材料を含む第2の層234とを含む。電気負荷250が電極220及び230に接続されて、電気回路が完成する。
【0040】
多くのタイプのPV材料240を本発明の実施形態に使用することができる。例えば、PV材料240は、シリコン半導体材料、光子吸収有機色素(又は発色団)で増感させたTiOのような半導体、或いは電子ドナー材料及び電子アクセプタ材料を含む一対の有機半導体材料とすることができる。半導体材料の非限定的な実施例は、同一出願人が2003年6月23日に出願した「Tandem Photovoltaic Cell Stacks」の名称の米国特許出願第10/424,276号に開示されており、この特許出願は、その全体を参考文献として本明細書に組入れている。
【0041】
電極220は、発光デバイス10と関連して上に開示した電極20の材料からなる群から選択された材料を含む。電極230の層232及び234は、それぞれ層32及び34と関連して上に開示した材料から選択された材料を含む。
【0042】
別の実施形態では、図11に示すように、電極220は、ガラス又はポリマー材料を含む実質的に透明な基板218上に支持することができる。
【0043】
それに代えて、図12に示すように、実質的に透明な電極220及び230の両方を光が透過するのを可能にすることが望ましい場合がある。そのようなケースでは、電極230の層234は、約1nm〜約40nm、好ましくは20nmよりも小さい厚さを有するように極めて薄くすることができる。実質的に透明な導電性酸化物を含む層236は、ハライド層232上に配置される。層236の好適な材料は、発光デバイス10の層36として上に開示した材料である。
【0044】
複合電極を有する電子デバイスを作製する方法を次に説明する。本方法は、(a)少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層と導電性材料を含む第2の層とを含む複合電極を形成するステップと、(b)複合電極の第2の層上に電子活性材料を配置するステップと、(c)電子活性材料上に付加電極を形成するステップとを含む。
【0045】
別の実施形態では、複合陰極を形成するステップは、アルミニウム、銀、金、スズ、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、スカンジウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された材料のような導電性材料を、少なくともハライド化合物を含む第1の層上に堆積させるステップを含む。
【0046】
複合電極又は陽極の層のような無機又は金属層の形成は、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法又はスパッタリングのような方法で行うことができる。
【0047】
有機発光材料の層又は有機PV材料の層のような有機層の形成は、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ローラコーティング、インクジェットプリンティング、物理気相蒸着法又は化学気相蒸着法のような方法によって行うことができる。
【0048】
それに代えて、電子デバイスを作製する方法は、(a)第1の基板を準備するステップと、(b)第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層を形成するステップと、(c)第1の層上に、導電性材料を含む第2の層を形成するステップと、(d)第2の層上に、電子活性材料を含む第3の層を形成するステップと、(e)第3の層上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層を形成するステップとを含む。
【0049】
1つの実施形態では、第2の層の導電性材料は、アルミニウム、銀、金、スズ、イットリウム、スカンジウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された材料を含む。第2の層はアルミニウムを含むのが好ましい。
【0050】
別の実施形態では、第4の層の実質的に透明な導電性材料は、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物からなる群から選択された実質的に透明な導電性金属酸化物を含む。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態では、電子デバイスを作製する方法は、(a)(1)第1の基板を準備するステップと(2)第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層を形成するステップと(3)第1の層上に、導電性材料を含む第2の層を形成するステップと(4)第2の層上に、電子活性材料を含む第3の層を形成するステップとを含む第1の物品を形成するステップと、(b)(1)第2の基板を準備するステップと(2)第2の基板上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層を形成するステップとを含む第2の物品を形成するステップと、(c)第4の層が第3の層に隣接して配置されるように第1の物品及び第2の物品を互いに積層するステップとを含む。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態では、電子デバイスを作製する方法は、(a)(1)第1の基板を準備するステップと(2)第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層を形成するステップと(3)第1の層上に、導電性材料を含む第2の層を形成するステップとを含む第1の物品を形成するステップと、(b)(1)第2の基板を準備するステップと(2)第2の基板上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層を形成するステップと(3)第4の層(20)上に、電子活性材料を含む第3の層を形成するステップとを含む第2の物品を形成するステップと、(c)第2の層が第3の層に隣接して配置されるように第1の物品及び第2の物品を互いに積層するステップとを含む。
【0053】
さらに別の実施形態では、第1の物品及び第2の物品を互いに積層するステップは、これらの物品を互いに合わせた後に該物品に熱又は圧力を加えることによって行われる。
【0054】
本発明の別の実施形態では、光電子デバイスのような電子デバイスを作製する方法は、(a)(1)第1の基板を準備するステップと(2)第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層を形成するステップと(3)第1の層上に、導電性材料を含む第2の層を形成するプステップと(4)第2の層上に、該第2の層を露出させるために除去することができる材料を含む保護層を形成するステップとを含む第1の物品を形成するステップと、(b)保護層を除去して第2の層を露出させるステップと、(c)第2の層上に、光電子活性材料のような電子活性材料を含む第3の層を形成するステップと、(d)第3の層上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層を形成するステップとを含む。
【0055】
さらに別の実施形態では、保護層を除去するステップは、第1及び第2の層を含む材料への環境中に存在する反応性化学種による侵食を防止するための清浄な環境をもたらすエンクロージャ内で行われる。
【0056】
さらに別の実施形態では、保護層は有機ポリマーとすることができ、保護層を除去するステップは、加熱又はレーザアブレーションなどの方法によって行われる。
【0057】
本明細書では様々な実施形態を説明しているが、当業者がそれらの実施形態において要素の様々な組合せ、変形、均等物、又は改良を行うことができ、またそれらが、依然として特許請求の範囲に記載した本発明の技術的範囲内に属することは、本明細書から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの実施形態を示す図。
【図2】実質的に透明な層を含む本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図3】実質的に透明な層と導電層とを含む本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図4】デバイスが基板上に支持されている、本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図5】保護層によって保護された本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図6】デバイスがさらに正孔注入増強層を含む、本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図7】デバイスがさらに正孔注入増強層と正孔輸送層とを含む、本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図8】デバイスがさらに電子注入及び輸送層を含む、本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図9】デバイスがさらに電子注入及び輸送層と正孔阻止層とを含む、本発明の複合電極を組込んだ電子デバイスの別の実施形態を示す図。
【図10】本発明の複合電極を組込んだPV電池を示す図。
【図11】本発明の複合電極を組込み、基板上に支持されたPV電池を示す図。
【図12】光をPV電池の両側面から吸収することができる、本発明の複合電極を組込んだPV電池を示す図。
【符号の説明】
【0059】
10 電子デバイス
20 陽極
30 陰極
32 第1の層
34 第2の層
40 光電子活性材料
50 電源
120 光放出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス(10)であって、
(a)第1の電極(20)と、
(b)(1)少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)と(2)導電性材料を含む第2の層(34)とを含む第2の電極(30)と、
(c)前記第1の電極(20)と第2の電極(30)との間に配置された少なくとも電子活性材料(40)と、を含み、
前記第2の層(34)が、前記第1の層(32)と該電子デバイス(10)の電子活性材料(40)との間に配置される、
電子デバイス(10)。
【請求項2】
前記第2の電極(30)の第1の層(32)が、少なくともアルカリ金属のハライド化合物を含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項3】
前記第2の電極(30)の第1の層(32)が、少なくともアルカリ金属のフッ化物化合物を含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項4】
前記第2の電極(30)の第1の層(32)が、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択されたアルカリ金属の少なくともフッ化物化合物を含む、請求項3記載の電子デバイス(10)。
【請求項5】
前記第2の電極(30)の第1の層(32)が、約1nm〜約100nmの範囲の厚さを有する、請求項4記載の電子デバイス(10)。
【請求項6】
前記第2の電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウム、銀、金、スズ、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された材料を含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項7】
前記第2の電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウムを含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項8】
前記第2の電極(30)の第2の層(34)が、約1nm〜約40nmの範囲の厚さを有する、請求項7記載の電子デバイス(10)。
【請求項9】
前記第1の電極(20)が、酸化インジウム・スズ(「ITO」)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物からなる群から選択された金属酸化物を含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項10】
前記第1の電極(20)が、少なくとも銀、銅、タングステン、ニッケル、コバルト、鉄、セレン、ゲルマニウム、金、プラチナ及びアルミニウムからなる群から選択された金属を含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項11】
該電子デバイス(10)が、有機発光デバイスであり、前記光電子活性材料(40)が、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(「PVK」)、ポリ(アルキルフルオレン)、ポリ(プララフェニレン)、ポリシラン、1,3,5−トリス{n−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ}ベンゼン、フェニルアントラセン、テトラアリールエテン、クマリン、ルブレン、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ぺリレン、コロネン及びそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項12】
該電子デバイス(10)が、有機発光デバイスであり、前記電子活性材料(40)が、光電子活性材料(40)であり、かつアルミニウム−アセチルアセトネート、ガリウム−アセチルアセトネート、インジウム−アセチルアセトネート、アルミニウム−(ピコリメチルケトン)−ビス{2,6−ジ(t−ブチル)フェノキシド}及びスカンジウム−(4−メトキシ−ピコリルメチルケトン)−ビス(アセチルアセトネート)からなる群から選択される、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項13】
該電子デバイス(10)が、有機発光デバイスであり、前記電子活性材料(40)が、光電子活性材料(40)であり、かつトリス(8−キノリノラト)アルミニウム及びその誘導体からなる群から選択される、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項14】
前記第2の電極(30)の第1の層(32)上に配置された実質的に透明な導電性材料を含む付加層(36)をさらに含む、請求項1記載の電子デバイス(10)。
【請求項15】
前記第2の電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウムを含みかつ約1nm〜約40nmの範囲の厚さを有し、前記付加層(36)が、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物からなる群から選択された金属酸化物を含む、請求項14記載の電子デバイス(10)。
【請求項16】
前記第1の電極(20)が、ITO、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛インジウム・スズ、酸化アンチモン及びそれらの混合物からなる群から選択された金属酸化物を含む、請求項15記載の電子デバイス(10)。
【請求項17】
該電子デバイス(10)が、光起電力(「PV」)電池であり、前記電子活性材料(40)が、PV材料である、請求項16記載の電子デバイス(10)。
【請求項18】
発光デバイス(10)であって、
(a)第1の電極(20)と、
(b)(1)少なくともナトリウム及びカリウムからなる群から選択された金属の少なくともフッ化物化合物を含みかつ約1nm〜約100nmの範囲の厚さを有する第1の層(32)と(2)アルミニウムを含みかつ約1nm〜約40nmの範囲の厚さを有する第2の層(34)とを含む第2の電極(30)と、
(c)前記第1の電極(20)と第2の電極(30)との間に配置されかつポリフルオレンを含む有機発光材料(40)と、を含み、
前記第2の層(34)が、前記第1の層(32)と該発光デバイス(10)の有機発光材料(40)との間に配置される、
発光デバイス(10)。
【請求項19】
電子デバイス(10)を作製する方法であって、
(a)少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)と導電性材料を含む第2の層(34)とを含む複合電極(30)を形成するステップと、
(b)前記複合電極の第2の層(34)上に電子活性材料(40)を配置するステップと、
(c)前記電子活性材料(40)上に付加電極(20)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記少なくともハライド化合物が、アルカリ金属のフッ化物化合物である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記複合電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウム、銀、金、スズ、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された金属を含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記複合電極(30)を形成するステップが、前記ハライド化合物を含む第1の層(32)上に導電性材料を堆積させるステップを含む、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記堆積させるステップが、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法及びスパッタリングからなる群から選択された方法によって行われる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
電子デバイス(10)を作製する方法であって、
(a)第1の基板を準備するステップと、
(b)前記第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)を形成するステップと、
(c)前記第1の層(32)上に、導電性材料を含む第2の層(34)を形成するステップと、
(d)前記第2の層(34)上に、電子活性材料(40)を含む第3の層(40)を形成するステップと、
(e)前記第3の層(40)上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層(20)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
前記少なくともハライド化合物が、アルカリ金属のフッ化物化合物である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記第2の層(34)が、アルミニウム、銀、金、スズ、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された金属を含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記第1の層(32)及び第2の層(34)が、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法及びスパッタリングからなる群から選択された方法によって形成される、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記第3の層(40)が、スピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ローラコーティング、物理気相蒸着法及びインクジェットプリンティングからなる群から選択された方法によって形成される、請求項24記載の方法。
【請求項29】
電子デバイス(10)を作製する方法であって、
(a)(1)第1の基板を準備するステップと、(2)前記第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)を形成するステップと、(3)前記第1の層(32)上に、導電性材料を含む第2の層(34)を形成するステップと、(4)前記第2の層(34)上に、電子活性材料(40)を含む第3の層(40)を形成するステップとを含む、第1の物品を形成するステップと、
(b)(1)第2の基板(18)を準備するステップと(2)前記第2の基板(18)上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層(20)を形成するステップとを含む、第2の物品を形成するステップと、
(c)前記第4の層(20)が前記第3の層(40)に隣接して配置されるように前記第1の物品及び第2の物品を互いに積層するステップと、
を含む方法。
【請求項30】
前記積層するステップが、前記第1の物品及び第2の物品に圧力を加えるステップを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記積層するステップが、前記第1の物品及び第2の物品に熱を加えるステップを含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
電子デバイス(10)を作製する方法であって、
(a)(1)第1の基板を準備するステップと、(2)前記第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)を形成するステップと、(3)前記第1の層(32)上に、導電性材料を含む第2の層(34)を形成するステップとを含む、第1の物品を形成するステップと、
(b)(1)第2の基板(18)を準備するステップと、(2)前記第2の基板(18)上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層(20)を形成するステップと、(3)前記第4の層(20)上に、電子活性材料(40)を含む第3の層(40)を形成するステップとを含む、第2の物品を形成するステップと、
(c)前記第2の層(34)が前記第3の層(40)に隣接して配置されるように前記第1の物品及び第2の物品を互いに積層するステップと、
を含む方法。
【請求項33】
前記積層するステップが、前記第1の物品及び第2の物品に圧力を加えるステップを含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記積層するステップが、前記第1の物品及び第2の物品に熱を加えるステップを含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
電子デバイス(10)を作製する方法であって、
(a)(1)第1の基板を準備するステップと、(2)前記第1の基板上に、少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)を形成するステップと、(3)前記第1の層(32)上に、導電性材料を含む第2の層(34)を形成するプステップと、(4)前記第2の層(34)上に、該第2の層(34)を露出させるために除去することができる材料を含む保護層を形成するステップとを含む、第1の物品を形成するステップと、
(b)前記保護層を除去して前記第2の層(34)を露出させるステップと、
(c)前記第2の層(34)上に、電子活性材料を含む第3の層(40)を形成するステップと、
(d)前記第3の層(40)上に、実質的に透明な導電性材料を含む第4の層(20)を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項36】
前記除去するステップが、加熱及びレーザアブレーションからなる群から選択された方法によって行われる、請求項35記載の方法。
【請求項37】
(a)少なくともアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択された金属の少なくともハライド化合物を含む第1の層(32)と、
(b)導電性材料を含みかつ電子活性材料(40)と接触した状態になっている第2の層(34)と、
を含む複合電極(30)。
【請求項38】
該複合電極(30)の第1の層(32)が、少なくともアルカリ金属のハライド化合物を含む、請求項37記載の複合電極(30)。
【請求項39】
該複合電極(30)の第1の層(32)が、少なくともアルカリ金属のフッ化物化合物を含む、請求項37記載の複合電極(30)。
【請求項40】
該複合電極(30)の第1の層(32)が、ナトリウム及びカリウムからなる群から選択されたアルカリ金属の少なくともフッ化物化合物を含む、請求項37記載の複合電極(30)。
【請求項41】
該複合電極(30)の第1の層(32)が、約1nm〜約100nmの範囲の厚さを有する、請求項40記載の複合電極(30)。
【請求項42】
該複合電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウム、銀、金、スズ、カルシウム、マグネシウム、イットリウム、ランタニド系列元素、それらの混合物及びそれらの合金からなる群から選択された金属を含む、請求項37記載の複合電極(30)。
【請求項43】
該複合電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウムを含む、請求項37記載の複合電極(30)。
【請求項44】
該複合電極(30)の第2の層(34)が、アルミニウムを含みかつ約1nm〜約40nmの範囲の厚さを有する、請求項43記載の複合電極(30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−506229(P2007−506229A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526368(P2006−526368)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/029834
【国際公開番号】WO2005/029607
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】