電子ユニットの製造方法及び圧着ヘッド
【課題】カメラモジュールに接合されたリジッド基板等から成る第1のプリント基板にACF等の異方性導電材料を介してフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を接続する際に、カメラモジュールを機種変更したときにもそのまま対応できる電子ユニットの製造方法。
【解決手段】リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板の上に、順に異方性導電材料及びフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を配置する工程と、多数の金属粒子をゴム袋で被覆して圧着ヘッドに設けた弾性手段により前記第2のプリント基板を押圧し、前記第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子に前記第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子を前記異方性導電材料を介して各々電気的に接続させる工程と、を有することを特徴とする。
【解決手段】リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板の上に、順に異方性導電材料及びフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を配置する工程と、多数の金属粒子をゴム袋で被覆して圧着ヘッドに設けた弾性手段により前記第2のプリント基板を押圧し、前記第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子に前記第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子を前記異方性導電材料を介して各々電気的に接続させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異方性導電材料(ACF,ACP)を用いてフレキシブル基板をリジッド基板若しくはフレキシブル基板に接続させる小型電子ユニットの製造方法、及びフレキシブル基板を熱圧着させる圧着ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超小型のカメラモジュールが携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の小型で薄型の携帯端末に搭載されるようになり、これにより音声による通信だけでなく画像の撮像や通信も可能になっている。
【0003】
カメラモジュールは被写体像を撮像レンズにより撮像素子に結像する。撮像素子はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等から成る。そして、撮像素子はリジッド基板に実装されている。
【0004】
また、携帯端末と電気的に接続するためにフレキシブル基板がカメラモジュールのリジッド基板に接続される。この接続のために、フレキシブル基板の接続端子とリジッド基板の接続端子の間に異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film 以下、ACFとも称す)を介在させ、圧着ヘッドでフレキシブル基板をリジッド基板に熱圧着する。
【0005】
なお、ACFは耐熱性樹脂から形成され、厚みが約20〜35μmの電気的接合用フィルムである。耐熱性樹脂の内部に多数の導電性粒子が分散されていて、導電性粒子は樹脂をニッケル等で被覆した5〜10μmの球体に形成されている。ACFが熱圧着されると、導電性粒子同士が接触するので、厚み方向に導電性を有することになる。しかし、面方向には圧力が掛からないので、耐熱性樹脂により絶縁性が保たれる。従って、2枚のプリント基板に設けた複数の接続端子を接合する際に、対向する接続端子は導通し、隣り合う接続端子は導通しない。
【0006】
このようにACFを用いてカメラモジュールにフレキシブル基板を接続する方法を図4に示す。図4(A)はカメラモジュール、ACF及びフレキシブル基板を配置した斜視図、図4(B)は圧着ヘッドでカメラモジュールにACFを介してフレキシブル基板を熱圧着する断面図である。
【0007】
カメラモジュール100には、不図示の撮像レンズ等を内蔵したレンズユニット110に不図示の撮像素子が実装されたリジッド基板121が接合されている。リジッド基板121のガラスエポキシから成る基板121a上には不図示の撮像素子と電気的に接続し、更にフレキシブル基板130と電気的に接続するための複数の接続端子121bが端部に配置され、接続端子121bに接続された不図示の導電性パターンをソルダーレジスト121cが絶縁被覆している。一方、フレキシブル基板130には、ポリイミドから成る基板130a上にリジッド基板121と電気的に接続するための複数の接続端子130bが端部に配置され、接続端子130bに接続された不図示の導電性パターンをカバーレイ130cが絶縁被覆している。
【0008】
そして、カメラモジュール100を所定の治具に配置し、接続端子121bの上にACF140を載置した後、高温に加熱された圧着ヘッド160でフレキシブル基板130を押圧し、接続端子130bをACF140を介して接続端子121bに熱圧着させ、電気的に接続させる。
【0009】
ここで、カメラモジュールを小型化すると撮像素子のリードは1方向に突出するのでは収まらず、2方向や4方向に突出する。その結果、リジッド基板の接続端子は図5(A)に示す如く対向する2端部や、図5(B)に示す如く4端部に配置されることになる。
【0010】
このように複数の接続端子が所定の間隔で端部に配置されたリジッド基板にフレキシブル基板をACFを介して熱圧着する例を図6に示す。図6(A)は熱圧着する前の図であり、図6(B)は熱圧着した図である。
【0011】
カメラモジュール200にはリジッド基板221が接合されている。リジッド基板221のガラスエポキシから成る基板221a上には不図示の撮像素子と電気的に接続し、更にフレキシブル基板230と電気的に接続するための複数の接続端子221bが2片の端部若しくは4片の端部に配置されている。そして、接続端子221bに接続された不図示の導電性パターンをソルダーレジスト221cが絶縁被覆している。なお、ソルダーレジスト221cは接続端子221bより突出している。
【0012】
一方、フレキシブル基板230のポリイミドから成る基板230a上にはリジッド基板221の接続端子221bと電気的に接続するための複数の接続端子230bが対向して配置され、接続端子230bに接続された不図示の導電性パターンをカバーレイ230cが絶縁被覆している。なお、カバーレイ230cは接続端子230bより突出している。
【0013】
そして、リジッド基板221とフレキシブル基板230の間に幅広のACF240を配置し、圧着ヘッド260でフレキシブル基板230を押圧することにより、フレキシブル基板230をリジッド基板221にACF240を介して熱圧着させる。なお、圧着ヘッド260は厚みのあるソルダーレジスト221cやカバーレイ230cの影響を受けて接合が不充分にならないように中央部に凹部260aが設けられ、端部の凸部260bでのみフレキシブル基板230を押圧する。
【0014】
このようにACFを用いてプリント基板を熱圧着する方法として、下記の特許文献が知られている。
【0015】
特許文献1は、電極パターンが配設されICチップが実装された複数枚のフィルム状基板を異方性導電フィルムを介して1枚の透過性基板に熱圧着する熱圧着実装法を開示している。本文献においては、フィルム状基板が熱膨張によって伸長し、位置ずれを起こすことを防止するため、複数の加熱手段を設け、別個に加熱制御している。
【0016】
また、特許文献2は、複数枚の半導体チップ搭載フィルムを異方性導電フィルムを介して1枚の角形基板に熱圧着する半導体チップ搭載フィルムの接続方法を開示している。本文献によれば、角形基板の傾斜を検知し、傾斜角度に合わせて1枚ずつ半導体チップ搭載フィルムを仮圧着し、その後同時に本圧着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平8−204329号公報
【特許文献2】特開平5−144889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図6(B)の如く圧着ヘッド260でフレキシブル基板230の接続端子230bをACF240を介してリジッド基板221の接続端子221bに電気的に確実に接続させるには、適正な条件が備わっていなければならない。即ち、圧着ヘッド260の圧着面260cと接続端子221bの面が平行になるように設置され、圧着ヘッド260と接続端子221bとに水平方向のずれがないことが必要である。
【0019】
ところが、図7に示す如く、カバーレイ230cが部分的に大きく(図7においては右側に大きく)形成されていると、圧着ヘッド260の凸部260bはより突出しているカバーレイ230cを押圧するので、右に位置する接続端子230bは接続端子221bに電気的に確実に接続されず、導通不良が発生し易いという問題が生ずる。
【0020】
また、図8に示す如く、カバーレイ230cが精度良く形成されていても、カメラモジュール200のセット位置と圧着ヘッド260の位置が水平方向にずれているとすると、凸部260bがカバーレイ230c(図8においては左側)を押圧することになって前述と同様の問題が生ずる。
【0021】
更に、図9に示す如く、レンズユニット210に対してリジッド基板221が傾いて接合されている場合もある。このような場合に対処するためには、レンズユニット210の受け治具270に傾きを是正できるバネ271等を設ける必要があるが、受け治具270の構造が複雑になったり、配置が不安定になったりするため、調整が必要になる。
【0022】
また、実際には寸法の異なる多機種のカメラモジュールを定期的に生産することが多いので、各カメラモジュールに対応した圧着ヘッドを用いる必要がある。従って、カメラモジュールの機種を変更した場合には、生産現場で圧着ヘッドを交換し、圧着ヘッドと受け治具の位置が水平方向に適正に合致するように調整しなければならない。その上、試し打ちを行って確認をする必要である。このようにカメラモジュールを機種変更した場合には煩わしい多くの工数が必要になり、生産性向上の阻害になっていた。
【0023】
このような問題を解決するために、圧着ヘッドとフレキシブル基板の間にゴム板を配置することが考えられる。
【0024】
ゴム板を配置した構成を図10に示す。図10(A)は熱圧着する前の図であり、図10(B)は熱圧着した図である。ゴム板350を配置することにより、フレキシブル基板230におけるカバーレイ230cと接続端子230bとの段差や、リジッド基板221におけるけるソルダーレジスト221cと接続端子221bとの段差を解消できる。即ち、ゴム板350は圧着ヘッド360に押圧されて自在に変形するので、圧着ヘッド360の押圧力が段差の高い部所だけでなく段差の低い部所にも及び、形状に限らず均等に押圧することができる。また、圧着ヘッド360の圧着面360cは平坦でよいので、例えばカバーレイ230cの位置がずれていたり、リジッド基板221の位置が圧着ヘッド360に対して水平方向にずれていたり、カメラモジュール200に対してリジッド基板221が傾いて接合されていても、問題が生じない。従って、圧着ヘッド360やゴム板350の圧着面積を若干大きめに形成しておけば、各種のカメラモジュールに適応でき、カメラモジュールを機種変更した場合に、圧着ヘッド360の交換、位置調整及び試し打ち等が不要になって、新機種に対して即座に対応でき、生産性が向上する。
【0025】
しかしながら、実際の生産工程においてはカメラモジュールを1個ずつ配置してフレキシブル基板を熱圧着するのではなく、複数のカメラモジュールを配置して複数のフレキシブル基板を個々に熱圧着する。このような圧着過程を図11に示す。図11(A)は熱圧着する前の図であり、図11(B)は熱圧着した図である。
【0026】
このように複数のカメラモジュールを配置した場合には、それに対応する大きな圧着ヘッド460やゴム板450を用いる。圧着ヘッド460でゴム板450が押圧されたとき、ゴム板450は圧縮され水平方向に伸長する。ゴム板450の周辺は位置規制されていないので、伸長したゴム板450は周辺から突出する。従って、端部に配置されたカメラモジュール200上では圧縮されたゴム板450が水平方向に伸びて外部に逃げることができるが、端部以外に配置されたカメラモジュール200上では圧縮されたゴム板450が伸長して逃げる場所がない。この結果、端部以外に配置されたカメラモジュール上のゴム板450が圧縮されるとフレキシブル基板230を押圧し、フレキシブル基板230はACF240を介してリジッド基板221を押圧する。この結果、リジッド基板221が変形する。リジッド基板221が変形すると、リジッド基板221には不図示の撮像素子が実装されているので、撮像素子が撮像レンズ側に移動したり、撮像素子が傾いたりし、画像不良が発生する。
【0027】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、圧着ヘッドでカメラモジュールに接合されたリジッド基板等から成る第1のプリント基板にACF等の異方性導電材料を介してフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を接続する際に、種々の利点を有する電子ユニットの製造方法及び圧着ヘッドを提案することを発明の目的とする。即ち、カメラモジュールを機種変更したときにもそのまま対応でき、カメラモジュールが傾いていても確実に接続でき、更に複数のカメラモジュールをセットしたときに端部以外に位置する第1のプリント基板に変形が生じることがないようにすることができる。
【0028】
なお、特許文献1,2にはこのような課題も、課題を解決する手段も記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的は下記に記載した発明により達成される。
【0030】
1.リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板の上に、順に異方性導電材料及びフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を配置する工程と、
多数の金属粒子をゴム袋で被覆して圧着ヘッドに設けた弾性手段により前記第2のプリント基板を押圧し、前記第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子に前記第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子を前記異方性導電材料を介して各々電気的に接続させる工程と、
を有することを特徴とする電子ユニットの製造方法。
【0031】
2.複数個の前記第2のプリント基板を複数個の前記第1のプリント基板に各々押圧する場合に、1個の前記弾性手段を用いることを特徴とする前記1に記載の電子ユニットの製造方法。
【0032】
3.前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする前記1又は前記2に記載の電子ユニットの製造方法。
【0033】
4.前記第1のプリント基板には撮像素子が実装されていることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0034】
5.前記第1のプリント基板には少なくとも撮像レンズを内蔵したレンズユニットが接合されていることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0035】
6.前記異方性導電材料はACFであることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0036】
7.前記異方性導電材料はACPであることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0037】
8.リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子と、フレキシブル基板から成る第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子との間に異方性導電材料を介在させた状態で前記第2のプリント基板を押圧することにより前記第1の接続端子に前記第2の接続端子を各々電気的に接続させる圧着ヘッドであって、
前記第2のプリント基板の側に多数の金属粒子をゴム袋で被覆した弾性手段を有することを特徴とする圧着ヘッド。
【0038】
9.前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする前記8に記載の圧着ヘッド。
【発明の効果】
【0039】
本発明の電子ユニットの製造方法によれば、圧着ヘッドでカメラモジュールに接合されたリジッド基板等の第1のプリント基板にACF等の異方性導電材料を介してフレキシブル基板を接合する際に、カメラモジュールを機種変更してもそのまま対応できるので生産性が低下しない。また、カメラモジュールが傾いていても確実に接続でき、更に、複数のカメラモジュールをセットしたときに、端部以外に位置する第1のプリント基板に変形が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】カメラモジュールにフレキシブル基板を接続した断面図である。
【図2】リジッド基板にフレキシブル基板をACFを介して熱圧着する図である。
【図3】複数のリジッド基板に複数のフレキシブル基板をACFを介して熱圧着する図である。
【図4】ACFを用いてカメラモジュールにフレキシブル基板を接続する図である。
【図5】接続端子がリジッド基板の対向する2端部や4端部に配置されたカメラモジュールの図である。
【図6】フレキシブル基板をACFを介してリジッド基板に熱圧着する図である。
【図7】カバーレイが部分的に大きい場合の図である。
【図8】カメラモジュールのセット位置と圧着ヘッドの位置が水平方向にずれている場合の図である。
【図9】レンズユニットに対してリジッド基板が傾いて接合されている場合の図である。
【図10】圧着ヘッドとフレキシブル基板の間にゴム板を配置して、フレキシブル基板をACFを介してリジッド基板に熱圧着する図である。
【図11】圧着ヘッドとフレキシブル基板の間にゴム板を配置して、複数のフレキシブル基板をACFを介して複数のリジッド基板に熱圧着する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明における電子ユニットの製造方法に関する実施の形態を、図を参照して説明する。
【0042】
先ず、この電子ユニットを携帯端末に搭載するカメラモジュールとし、図1を参照して説明する。図1はカメラモジュールにフレキシブル基板を接続した断面図である。
【0043】
カメラモジュール1はレンズユニット10と撮像素子ユニット20とから構成される。
【0044】
レンズユニット10においては、撮像レンズLをレンズ枠11が保持している。撮像レンズLの側端に設けたフランジLbに圧縮バネ12の一端が当接していて、レンズ枠11の一端に接着剤で接合されたフィルタ保持板13に圧縮バネ12の他端が当接している。また、フィルタ保持板13には赤外カットフィルタFが接着剤で接合されていて、フィルタFと撮像レンズLの間には絞り板14が撮像レンズLに接着剤で接合されている。
【0045】
一方、撮像素子ユニット20においては、リジッド基板21(第1のプリント基板)の略中央には撮像素子22が実装されている。撮像素子22はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ、若しくはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等である。そして、レンズ枠11の他端にリジッド基板21が接着剤で接合されている。
【0046】
従って、圧縮バネ12でフランジLbが押圧された撮像レンズLは脚部Lcが撮像素子22に当接するので、撮像レンズLのレンズ部Laと撮像素子22の間隔が一定に保たれ、個別にピント調整をする必要がない。
【0047】
その後、リジッド基板21に、携帯端末と電気的に接続するためのフレキシブル基板30(第2のプリント基板)をACF(異方性導電フィルム)40を介して熱圧着する。
【0048】
なお、カメラモジュール1は図1に示した構成に限定されるものではなく、どのような構成であってもよい。例えば、撮像レンズは2枚以上であってもよいし、赤外カットフィルタや絞り板の位置はどこでもよい。更に、リジッド基板21に実装される電子部品としては、撮像素子22以外に抵抗やコンデンサ等が実装されていてもよい。加えて、本発明はカメラモジュールに限定されるものではなく、他の用途の電子ユニットであってもよい。
【0049】
このようなカメラモジュール1のリジッド基板21にフレキシブル基板30を異方性導電材料としてのACF40を介して熱圧着する方法であって、「発明が解決しようとする課題」に記した問題を解決する方法を以下に説明する。
【0050】
図2はリジッド基板21にフレキシブル基板30をACF40を介して熱圧着する図であり、図2(A)は熱圧着する前の図、図2(B)は熱圧着した図である。
【0051】
カメラモジュール1は図1に示した構成と同様であって、レンズユニット10にリジッド基板21が接合されている。リジッド基板21のガラスエポキシから成る基板21a上には図1に示す撮像素子22と電気的に接続し、更にフレキシブル基板30と電気的に接続するための複数の接続端子21b(第1の接続端子)が所定の間隔で2片の端部若しくは4片の端部に配置されている。そして、接続端子21bに接続された不図示の導電性パターンをソルダーレジスト21cが絶縁被覆している。なお、ソルダーレジスト21cは接続端子21bより突出していて、その突出寸法は10〜30μmである。
【0052】
一方、フレキシブル基板30のポリイミドから成る基板30a上にはリジッド基板21の接続端子21bと電気的に接続するための複数の接続端子30b(第2の接続端子)が所定の間隔で対向して配置され、接続端子30bに接続された不図示の導電性パターンをカバーレイ30cが絶縁被覆している。なお、カバーレイ30cは接続端子30bより突出していて、その突出寸法は10〜30μmである。
【0053】
そして、カメラモジュール1を配置し、リジッド基板21とフレキシブル基板30の間にACF40を配置し、高温に加熱された圧着ヘッド60で熱圧着し、接続端子21bに接続端子30bを電気的に接続させる。この際に、カメラモジュール1の機種を変更することによってリジッド基板21とフレキシブル基板30の寸法が異なったり、カメラモジュール1が傾いていても同一条件で熱圧着できるように、圧着ヘッド60はフレキシブル基板30の側に多数の金属粒子601をゴム袋602で被覆した弾性手段600を有している。なお、金属粒子601の数は少なくとも1000個以上である。
【0054】
圧着ヘッド60がフレキシブル基板30を押圧し、フレキシブル基板30をACF40を介してリジッド基板21に熱圧着させたとき、弾性手段600は図2(B)に示す如く圧縮され変形する。この際に、弾性手段600はフレキシブル基板30とリジッド基板21の凹凸形状に応じて変形するので、カメラモジュール1の寸法が変わっても接続端子30bを接続端子21bに確実に接続させることができる。また、カメラモジュール1が傾いていても傾きに応じて変形するので、接続端子30bを接続端子21bに確実に接続させることができる。
【0055】
また、弾性手段600が押圧されたときに、金属粒子601の全てが周囲の方向に移動すると、フレキシブル基板30への押圧力が減少する。このような問題が生じないように、ゴム袋602の周囲を押さえる押さえ板603が止めネジ604により圧着ヘッド60に固定されている。
【0056】
金属粒子601はステンレスから成り、粒径は0.1〜0.3mmである。圧着ヘッド60もステンレスから形成されることが多いので、圧着ヘッド60から金属粒子601への熱伝導がスムーズに行われる。また、金属粒子601の粒径が0.1mm以下であると粉末状であって、長期の使用によりゴム袋602が破けた場合には金属粒子601が飛散し、カメラモジュール1を生産するクリーンルームを汚染する虞があるので好ましくない。粒径が0.3mm以上であると、フレキシブル基板30とリジッド基板21の凹凸形状に充分に対応できず、接続端子30bを接続端子21bに確実に接続させることが困難になる。
【0057】
なお、金属粒子601は鉄から成っていてもよい。また、金属粒子601は球形が望ましいが、ゴム袋602を損傷させるような尖り部分がなければ、必ずしも球形である必要はない。
【0058】
ゴム袋602の硬度はA30°程度が望ましく、肉厚は0.3mm程度が望ましい。
【0059】
また、隣り合う金属粒子601の間には空隙があり、この空隙により熱損失が生ずる。このため、圧着ヘッド60の設定温度を通常より1割程度高めにし、165〜170℃に設定することが望ましい。
【0060】
図3は複数のカメラモジュール1を並設し、同時にフレキシブル基板30をACF40を介してリジッド基板21に熱圧着させる図であり、図3(A)は熱圧着する前の図、図3(B)は熱圧着した図である。
【0061】
基本構成は図2と同様であるが、横長の圧着ヘッド70が横長の弾性手段700を有し、同時に複数のフレキシブル基板30を同時に熱圧着することができる。
【0062】
熱圧着の際に弾性手段700は圧縮されて変形するが、金属粒子701はゴム袋702の内部を自在に流動しながらフレキシブル基板30とリジッド基板21の凹凸形状に倣い、余分になった金属粒子701はゴム袋702に収納された状態で、押さえ板603を乗り越えて端部に逃げることができる。
【0063】
従って、図11に示したゴム板450を用いた場合と異なり、端部以外に配置されたカメラモジュール1上のリジッド基板221が変形するようなことは生じない。
【0064】
また、以上は異方性導電材料としてACFを用いた場合の説明であったが、本発明はACFに限定されるものではなく、樹脂内に導電性粒子を拡散させた異方性導電ペースト(Anisotropic Cnductive Paste 略称ACP)を用いた場合にも適用できる。
【0065】
また、以上の構成は異方性導電材料を介してフレキシブル基板をカメラモジュールに接合されたリジッド基板に接合する場合に限定されるのではなく、フレキシブル基板(第2のプリント基板)をカメラモジュールに接合されたフレキシブル基板(第1のプリント基板)に接合する場合も全く同様に適用でき、この場合も本発明に含まれるものである。
【0066】
更に、図3は複数のリジッド基板21と複数のフレキシブル基板30の間に複数のACF40を配置した図であるが、長尺の1枚のACFを配置して最終工程でACFを切断してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,100,200 カメラモジュール
10,110 レンズユニット
20 撮像素子ユニット
21,121,221 リジッド基板
22 撮像素子
21a,30a,121a,130a,221a,230a 基板
21b,30b,121b,130b,221b,230b 接続端子
21c,121c,221c ソルダーレジスト
30,130,230 フレキシブル基板
30c,130c,230c カバーレイ
40,140,240 ACF
60,70,160,260,360,460 圧着ヘッド
600,700 弾性手段
601,701 金属粒子
602,702 ゴム袋
L 撮像レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は異方性導電材料(ACF,ACP)を用いてフレキシブル基板をリジッド基板若しくはフレキシブル基板に接続させる小型電子ユニットの製造方法、及びフレキシブル基板を熱圧着させる圧着ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、超小型のカメラモジュールが携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の小型で薄型の携帯端末に搭載されるようになり、これにより音声による通信だけでなく画像の撮像や通信も可能になっている。
【0003】
カメラモジュールは被写体像を撮像レンズにより撮像素子に結像する。撮像素子はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等から成る。そして、撮像素子はリジッド基板に実装されている。
【0004】
また、携帯端末と電気的に接続するためにフレキシブル基板がカメラモジュールのリジッド基板に接続される。この接続のために、フレキシブル基板の接続端子とリジッド基板の接続端子の間に異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film 以下、ACFとも称す)を介在させ、圧着ヘッドでフレキシブル基板をリジッド基板に熱圧着する。
【0005】
なお、ACFは耐熱性樹脂から形成され、厚みが約20〜35μmの電気的接合用フィルムである。耐熱性樹脂の内部に多数の導電性粒子が分散されていて、導電性粒子は樹脂をニッケル等で被覆した5〜10μmの球体に形成されている。ACFが熱圧着されると、導電性粒子同士が接触するので、厚み方向に導電性を有することになる。しかし、面方向には圧力が掛からないので、耐熱性樹脂により絶縁性が保たれる。従って、2枚のプリント基板に設けた複数の接続端子を接合する際に、対向する接続端子は導通し、隣り合う接続端子は導通しない。
【0006】
このようにACFを用いてカメラモジュールにフレキシブル基板を接続する方法を図4に示す。図4(A)はカメラモジュール、ACF及びフレキシブル基板を配置した斜視図、図4(B)は圧着ヘッドでカメラモジュールにACFを介してフレキシブル基板を熱圧着する断面図である。
【0007】
カメラモジュール100には、不図示の撮像レンズ等を内蔵したレンズユニット110に不図示の撮像素子が実装されたリジッド基板121が接合されている。リジッド基板121のガラスエポキシから成る基板121a上には不図示の撮像素子と電気的に接続し、更にフレキシブル基板130と電気的に接続するための複数の接続端子121bが端部に配置され、接続端子121bに接続された不図示の導電性パターンをソルダーレジスト121cが絶縁被覆している。一方、フレキシブル基板130には、ポリイミドから成る基板130a上にリジッド基板121と電気的に接続するための複数の接続端子130bが端部に配置され、接続端子130bに接続された不図示の導電性パターンをカバーレイ130cが絶縁被覆している。
【0008】
そして、カメラモジュール100を所定の治具に配置し、接続端子121bの上にACF140を載置した後、高温に加熱された圧着ヘッド160でフレキシブル基板130を押圧し、接続端子130bをACF140を介して接続端子121bに熱圧着させ、電気的に接続させる。
【0009】
ここで、カメラモジュールを小型化すると撮像素子のリードは1方向に突出するのでは収まらず、2方向や4方向に突出する。その結果、リジッド基板の接続端子は図5(A)に示す如く対向する2端部や、図5(B)に示す如く4端部に配置されることになる。
【0010】
このように複数の接続端子が所定の間隔で端部に配置されたリジッド基板にフレキシブル基板をACFを介して熱圧着する例を図6に示す。図6(A)は熱圧着する前の図であり、図6(B)は熱圧着した図である。
【0011】
カメラモジュール200にはリジッド基板221が接合されている。リジッド基板221のガラスエポキシから成る基板221a上には不図示の撮像素子と電気的に接続し、更にフレキシブル基板230と電気的に接続するための複数の接続端子221bが2片の端部若しくは4片の端部に配置されている。そして、接続端子221bに接続された不図示の導電性パターンをソルダーレジスト221cが絶縁被覆している。なお、ソルダーレジスト221cは接続端子221bより突出している。
【0012】
一方、フレキシブル基板230のポリイミドから成る基板230a上にはリジッド基板221の接続端子221bと電気的に接続するための複数の接続端子230bが対向して配置され、接続端子230bに接続された不図示の導電性パターンをカバーレイ230cが絶縁被覆している。なお、カバーレイ230cは接続端子230bより突出している。
【0013】
そして、リジッド基板221とフレキシブル基板230の間に幅広のACF240を配置し、圧着ヘッド260でフレキシブル基板230を押圧することにより、フレキシブル基板230をリジッド基板221にACF240を介して熱圧着させる。なお、圧着ヘッド260は厚みのあるソルダーレジスト221cやカバーレイ230cの影響を受けて接合が不充分にならないように中央部に凹部260aが設けられ、端部の凸部260bでのみフレキシブル基板230を押圧する。
【0014】
このようにACFを用いてプリント基板を熱圧着する方法として、下記の特許文献が知られている。
【0015】
特許文献1は、電極パターンが配設されICチップが実装された複数枚のフィルム状基板を異方性導電フィルムを介して1枚の透過性基板に熱圧着する熱圧着実装法を開示している。本文献においては、フィルム状基板が熱膨張によって伸長し、位置ずれを起こすことを防止するため、複数の加熱手段を設け、別個に加熱制御している。
【0016】
また、特許文献2は、複数枚の半導体チップ搭載フィルムを異方性導電フィルムを介して1枚の角形基板に熱圧着する半導体チップ搭載フィルムの接続方法を開示している。本文献によれば、角形基板の傾斜を検知し、傾斜角度に合わせて1枚ずつ半導体チップ搭載フィルムを仮圧着し、その後同時に本圧着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平8−204329号公報
【特許文献2】特開平5−144889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図6(B)の如く圧着ヘッド260でフレキシブル基板230の接続端子230bをACF240を介してリジッド基板221の接続端子221bに電気的に確実に接続させるには、適正な条件が備わっていなければならない。即ち、圧着ヘッド260の圧着面260cと接続端子221bの面が平行になるように設置され、圧着ヘッド260と接続端子221bとに水平方向のずれがないことが必要である。
【0019】
ところが、図7に示す如く、カバーレイ230cが部分的に大きく(図7においては右側に大きく)形成されていると、圧着ヘッド260の凸部260bはより突出しているカバーレイ230cを押圧するので、右に位置する接続端子230bは接続端子221bに電気的に確実に接続されず、導通不良が発生し易いという問題が生ずる。
【0020】
また、図8に示す如く、カバーレイ230cが精度良く形成されていても、カメラモジュール200のセット位置と圧着ヘッド260の位置が水平方向にずれているとすると、凸部260bがカバーレイ230c(図8においては左側)を押圧することになって前述と同様の問題が生ずる。
【0021】
更に、図9に示す如く、レンズユニット210に対してリジッド基板221が傾いて接合されている場合もある。このような場合に対処するためには、レンズユニット210の受け治具270に傾きを是正できるバネ271等を設ける必要があるが、受け治具270の構造が複雑になったり、配置が不安定になったりするため、調整が必要になる。
【0022】
また、実際には寸法の異なる多機種のカメラモジュールを定期的に生産することが多いので、各カメラモジュールに対応した圧着ヘッドを用いる必要がある。従って、カメラモジュールの機種を変更した場合には、生産現場で圧着ヘッドを交換し、圧着ヘッドと受け治具の位置が水平方向に適正に合致するように調整しなければならない。その上、試し打ちを行って確認をする必要である。このようにカメラモジュールを機種変更した場合には煩わしい多くの工数が必要になり、生産性向上の阻害になっていた。
【0023】
このような問題を解決するために、圧着ヘッドとフレキシブル基板の間にゴム板を配置することが考えられる。
【0024】
ゴム板を配置した構成を図10に示す。図10(A)は熱圧着する前の図であり、図10(B)は熱圧着した図である。ゴム板350を配置することにより、フレキシブル基板230におけるカバーレイ230cと接続端子230bとの段差や、リジッド基板221におけるけるソルダーレジスト221cと接続端子221bとの段差を解消できる。即ち、ゴム板350は圧着ヘッド360に押圧されて自在に変形するので、圧着ヘッド360の押圧力が段差の高い部所だけでなく段差の低い部所にも及び、形状に限らず均等に押圧することができる。また、圧着ヘッド360の圧着面360cは平坦でよいので、例えばカバーレイ230cの位置がずれていたり、リジッド基板221の位置が圧着ヘッド360に対して水平方向にずれていたり、カメラモジュール200に対してリジッド基板221が傾いて接合されていても、問題が生じない。従って、圧着ヘッド360やゴム板350の圧着面積を若干大きめに形成しておけば、各種のカメラモジュールに適応でき、カメラモジュールを機種変更した場合に、圧着ヘッド360の交換、位置調整及び試し打ち等が不要になって、新機種に対して即座に対応でき、生産性が向上する。
【0025】
しかしながら、実際の生産工程においてはカメラモジュールを1個ずつ配置してフレキシブル基板を熱圧着するのではなく、複数のカメラモジュールを配置して複数のフレキシブル基板を個々に熱圧着する。このような圧着過程を図11に示す。図11(A)は熱圧着する前の図であり、図11(B)は熱圧着した図である。
【0026】
このように複数のカメラモジュールを配置した場合には、それに対応する大きな圧着ヘッド460やゴム板450を用いる。圧着ヘッド460でゴム板450が押圧されたとき、ゴム板450は圧縮され水平方向に伸長する。ゴム板450の周辺は位置規制されていないので、伸長したゴム板450は周辺から突出する。従って、端部に配置されたカメラモジュール200上では圧縮されたゴム板450が水平方向に伸びて外部に逃げることができるが、端部以外に配置されたカメラモジュール200上では圧縮されたゴム板450が伸長して逃げる場所がない。この結果、端部以外に配置されたカメラモジュール上のゴム板450が圧縮されるとフレキシブル基板230を押圧し、フレキシブル基板230はACF240を介してリジッド基板221を押圧する。この結果、リジッド基板221が変形する。リジッド基板221が変形すると、リジッド基板221には不図示の撮像素子が実装されているので、撮像素子が撮像レンズ側に移動したり、撮像素子が傾いたりし、画像不良が発生する。
【0027】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、圧着ヘッドでカメラモジュールに接合されたリジッド基板等から成る第1のプリント基板にACF等の異方性導電材料を介してフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を接続する際に、種々の利点を有する電子ユニットの製造方法及び圧着ヘッドを提案することを発明の目的とする。即ち、カメラモジュールを機種変更したときにもそのまま対応でき、カメラモジュールが傾いていても確実に接続でき、更に複数のカメラモジュールをセットしたときに端部以外に位置する第1のプリント基板に変形が生じることがないようにすることができる。
【0028】
なお、特許文献1,2にはこのような課題も、課題を解決する手段も記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的は下記に記載した発明により達成される。
【0030】
1.リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板の上に、順に異方性導電材料及びフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を配置する工程と、
多数の金属粒子をゴム袋で被覆して圧着ヘッドに設けた弾性手段により前記第2のプリント基板を押圧し、前記第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子に前記第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子を前記異方性導電材料を介して各々電気的に接続させる工程と、
を有することを特徴とする電子ユニットの製造方法。
【0031】
2.複数個の前記第2のプリント基板を複数個の前記第1のプリント基板に各々押圧する場合に、1個の前記弾性手段を用いることを特徴とする前記1に記載の電子ユニットの製造方法。
【0032】
3.前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする前記1又は前記2に記載の電子ユニットの製造方法。
【0033】
4.前記第1のプリント基板には撮像素子が実装されていることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0034】
5.前記第1のプリント基板には少なくとも撮像レンズを内蔵したレンズユニットが接合されていることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0035】
6.前記異方性導電材料はACFであることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0036】
7.前記異方性導電材料はACPであることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【0037】
8.リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子と、フレキシブル基板から成る第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子との間に異方性導電材料を介在させた状態で前記第2のプリント基板を押圧することにより前記第1の接続端子に前記第2の接続端子を各々電気的に接続させる圧着ヘッドであって、
前記第2のプリント基板の側に多数の金属粒子をゴム袋で被覆した弾性手段を有することを特徴とする圧着ヘッド。
【0038】
9.前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする前記8に記載の圧着ヘッド。
【発明の効果】
【0039】
本発明の電子ユニットの製造方法によれば、圧着ヘッドでカメラモジュールに接合されたリジッド基板等の第1のプリント基板にACF等の異方性導電材料を介してフレキシブル基板を接合する際に、カメラモジュールを機種変更してもそのまま対応できるので生産性が低下しない。また、カメラモジュールが傾いていても確実に接続でき、更に、複数のカメラモジュールをセットしたときに、端部以外に位置する第1のプリント基板に変形が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】カメラモジュールにフレキシブル基板を接続した断面図である。
【図2】リジッド基板にフレキシブル基板をACFを介して熱圧着する図である。
【図3】複数のリジッド基板に複数のフレキシブル基板をACFを介して熱圧着する図である。
【図4】ACFを用いてカメラモジュールにフレキシブル基板を接続する図である。
【図5】接続端子がリジッド基板の対向する2端部や4端部に配置されたカメラモジュールの図である。
【図6】フレキシブル基板をACFを介してリジッド基板に熱圧着する図である。
【図7】カバーレイが部分的に大きい場合の図である。
【図8】カメラモジュールのセット位置と圧着ヘッドの位置が水平方向にずれている場合の図である。
【図9】レンズユニットに対してリジッド基板が傾いて接合されている場合の図である。
【図10】圧着ヘッドとフレキシブル基板の間にゴム板を配置して、フレキシブル基板をACFを介してリジッド基板に熱圧着する図である。
【図11】圧着ヘッドとフレキシブル基板の間にゴム板を配置して、複数のフレキシブル基板をACFを介して複数のリジッド基板に熱圧着する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明における電子ユニットの製造方法に関する実施の形態を、図を参照して説明する。
【0042】
先ず、この電子ユニットを携帯端末に搭載するカメラモジュールとし、図1を参照して説明する。図1はカメラモジュールにフレキシブル基板を接続した断面図である。
【0043】
カメラモジュール1はレンズユニット10と撮像素子ユニット20とから構成される。
【0044】
レンズユニット10においては、撮像レンズLをレンズ枠11が保持している。撮像レンズLの側端に設けたフランジLbに圧縮バネ12の一端が当接していて、レンズ枠11の一端に接着剤で接合されたフィルタ保持板13に圧縮バネ12の他端が当接している。また、フィルタ保持板13には赤外カットフィルタFが接着剤で接合されていて、フィルタFと撮像レンズLの間には絞り板14が撮像レンズLに接着剤で接合されている。
【0045】
一方、撮像素子ユニット20においては、リジッド基板21(第1のプリント基板)の略中央には撮像素子22が実装されている。撮像素子22はCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサ、若しくはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等である。そして、レンズ枠11の他端にリジッド基板21が接着剤で接合されている。
【0046】
従って、圧縮バネ12でフランジLbが押圧された撮像レンズLは脚部Lcが撮像素子22に当接するので、撮像レンズLのレンズ部Laと撮像素子22の間隔が一定に保たれ、個別にピント調整をする必要がない。
【0047】
その後、リジッド基板21に、携帯端末と電気的に接続するためのフレキシブル基板30(第2のプリント基板)をACF(異方性導電フィルム)40を介して熱圧着する。
【0048】
なお、カメラモジュール1は図1に示した構成に限定されるものではなく、どのような構成であってもよい。例えば、撮像レンズは2枚以上であってもよいし、赤外カットフィルタや絞り板の位置はどこでもよい。更に、リジッド基板21に実装される電子部品としては、撮像素子22以外に抵抗やコンデンサ等が実装されていてもよい。加えて、本発明はカメラモジュールに限定されるものではなく、他の用途の電子ユニットであってもよい。
【0049】
このようなカメラモジュール1のリジッド基板21にフレキシブル基板30を異方性導電材料としてのACF40を介して熱圧着する方法であって、「発明が解決しようとする課題」に記した問題を解決する方法を以下に説明する。
【0050】
図2はリジッド基板21にフレキシブル基板30をACF40を介して熱圧着する図であり、図2(A)は熱圧着する前の図、図2(B)は熱圧着した図である。
【0051】
カメラモジュール1は図1に示した構成と同様であって、レンズユニット10にリジッド基板21が接合されている。リジッド基板21のガラスエポキシから成る基板21a上には図1に示す撮像素子22と電気的に接続し、更にフレキシブル基板30と電気的に接続するための複数の接続端子21b(第1の接続端子)が所定の間隔で2片の端部若しくは4片の端部に配置されている。そして、接続端子21bに接続された不図示の導電性パターンをソルダーレジスト21cが絶縁被覆している。なお、ソルダーレジスト21cは接続端子21bより突出していて、その突出寸法は10〜30μmである。
【0052】
一方、フレキシブル基板30のポリイミドから成る基板30a上にはリジッド基板21の接続端子21bと電気的に接続するための複数の接続端子30b(第2の接続端子)が所定の間隔で対向して配置され、接続端子30bに接続された不図示の導電性パターンをカバーレイ30cが絶縁被覆している。なお、カバーレイ30cは接続端子30bより突出していて、その突出寸法は10〜30μmである。
【0053】
そして、カメラモジュール1を配置し、リジッド基板21とフレキシブル基板30の間にACF40を配置し、高温に加熱された圧着ヘッド60で熱圧着し、接続端子21bに接続端子30bを電気的に接続させる。この際に、カメラモジュール1の機種を変更することによってリジッド基板21とフレキシブル基板30の寸法が異なったり、カメラモジュール1が傾いていても同一条件で熱圧着できるように、圧着ヘッド60はフレキシブル基板30の側に多数の金属粒子601をゴム袋602で被覆した弾性手段600を有している。なお、金属粒子601の数は少なくとも1000個以上である。
【0054】
圧着ヘッド60がフレキシブル基板30を押圧し、フレキシブル基板30をACF40を介してリジッド基板21に熱圧着させたとき、弾性手段600は図2(B)に示す如く圧縮され変形する。この際に、弾性手段600はフレキシブル基板30とリジッド基板21の凹凸形状に応じて変形するので、カメラモジュール1の寸法が変わっても接続端子30bを接続端子21bに確実に接続させることができる。また、カメラモジュール1が傾いていても傾きに応じて変形するので、接続端子30bを接続端子21bに確実に接続させることができる。
【0055】
また、弾性手段600が押圧されたときに、金属粒子601の全てが周囲の方向に移動すると、フレキシブル基板30への押圧力が減少する。このような問題が生じないように、ゴム袋602の周囲を押さえる押さえ板603が止めネジ604により圧着ヘッド60に固定されている。
【0056】
金属粒子601はステンレスから成り、粒径は0.1〜0.3mmである。圧着ヘッド60もステンレスから形成されることが多いので、圧着ヘッド60から金属粒子601への熱伝導がスムーズに行われる。また、金属粒子601の粒径が0.1mm以下であると粉末状であって、長期の使用によりゴム袋602が破けた場合には金属粒子601が飛散し、カメラモジュール1を生産するクリーンルームを汚染する虞があるので好ましくない。粒径が0.3mm以上であると、フレキシブル基板30とリジッド基板21の凹凸形状に充分に対応できず、接続端子30bを接続端子21bに確実に接続させることが困難になる。
【0057】
なお、金属粒子601は鉄から成っていてもよい。また、金属粒子601は球形が望ましいが、ゴム袋602を損傷させるような尖り部分がなければ、必ずしも球形である必要はない。
【0058】
ゴム袋602の硬度はA30°程度が望ましく、肉厚は0.3mm程度が望ましい。
【0059】
また、隣り合う金属粒子601の間には空隙があり、この空隙により熱損失が生ずる。このため、圧着ヘッド60の設定温度を通常より1割程度高めにし、165〜170℃に設定することが望ましい。
【0060】
図3は複数のカメラモジュール1を並設し、同時にフレキシブル基板30をACF40を介してリジッド基板21に熱圧着させる図であり、図3(A)は熱圧着する前の図、図3(B)は熱圧着した図である。
【0061】
基本構成は図2と同様であるが、横長の圧着ヘッド70が横長の弾性手段700を有し、同時に複数のフレキシブル基板30を同時に熱圧着することができる。
【0062】
熱圧着の際に弾性手段700は圧縮されて変形するが、金属粒子701はゴム袋702の内部を自在に流動しながらフレキシブル基板30とリジッド基板21の凹凸形状に倣い、余分になった金属粒子701はゴム袋702に収納された状態で、押さえ板603を乗り越えて端部に逃げることができる。
【0063】
従って、図11に示したゴム板450を用いた場合と異なり、端部以外に配置されたカメラモジュール1上のリジッド基板221が変形するようなことは生じない。
【0064】
また、以上は異方性導電材料としてACFを用いた場合の説明であったが、本発明はACFに限定されるものではなく、樹脂内に導電性粒子を拡散させた異方性導電ペースト(Anisotropic Cnductive Paste 略称ACP)を用いた場合にも適用できる。
【0065】
また、以上の構成は異方性導電材料を介してフレキシブル基板をカメラモジュールに接合されたリジッド基板に接合する場合に限定されるのではなく、フレキシブル基板(第2のプリント基板)をカメラモジュールに接合されたフレキシブル基板(第1のプリント基板)に接合する場合も全く同様に適用でき、この場合も本発明に含まれるものである。
【0066】
更に、図3は複数のリジッド基板21と複数のフレキシブル基板30の間に複数のACF40を配置した図であるが、長尺の1枚のACFを配置して最終工程でACFを切断してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,100,200 カメラモジュール
10,110 レンズユニット
20 撮像素子ユニット
21,121,221 リジッド基板
22 撮像素子
21a,30a,121a,130a,221a,230a 基板
21b,30b,121b,130b,221b,230b 接続端子
21c,121c,221c ソルダーレジスト
30,130,230 フレキシブル基板
30c,130c,230c カバーレイ
40,140,240 ACF
60,70,160,260,360,460 圧着ヘッド
600,700 弾性手段
601,701 金属粒子
602,702 ゴム袋
L 撮像レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板の上に、順に異方性導電材料及びフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を配置する工程と、
多数の金属粒子をゴム袋で被覆して圧着ヘッドに設けた弾性手段により前記第2のプリント基板を押圧し、前記第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子に前記第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子を前記異方性導電材料を介して各々電気的に接続させる工程と、
を有することを特徴とする電子ユニットの製造方法。
【請求項2】
複数個の前記第2のプリント基板を複数個の前記第1のプリント基板に各々押圧する場合に、1個の前記弾性手段を用いることを特徴とする請求項1に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項4】
前記第1のプリント基板には撮像素子が実装されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記第1のプリント基板には少なくとも撮像レンズを内蔵したレンズユニットが接合されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記異方性導電材料はACFであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記異方性導電材料はACPであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項8】
リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子と、フレキシブル基板から成る第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子との間に異方性導電材料を介在させた状態で前記第2のプリント基板を押圧することにより前記第1の接続端子に前記第2の接続端子を各々電気的に接続させる圧着ヘッドであって、
前記第2のプリント基板の側に多数の金属粒子をゴム袋で被覆した弾性手段を有することを特徴とする圧着ヘッド。
【請求項9】
前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする請求項8に記載の圧着ヘッド。
【請求項1】
リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板の上に、順に異方性導電材料及びフレキシブル基板から成る第2のプリント基板を配置する工程と、
多数の金属粒子をゴム袋で被覆して圧着ヘッドに設けた弾性手段により前記第2のプリント基板を押圧し、前記第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子に前記第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子を前記異方性導電材料を介して各々電気的に接続させる工程と、
を有することを特徴とする電子ユニットの製造方法。
【請求項2】
複数個の前記第2のプリント基板を複数個の前記第1のプリント基板に各々押圧する場合に、1個の前記弾性手段を用いることを特徴とする請求項1に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項4】
前記第1のプリント基板には撮像素子が実装されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項5】
前記第1のプリント基板には少なくとも撮像レンズを内蔵したレンズユニットが接合されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記異方性導電材料はACFであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項7】
前記異方性導電材料はACPであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電子ユニットの製造方法。
【請求項8】
リジッド基板若しくはフレキシブル基板から成る第1のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第1の接続端子と、フレキシブル基板から成る第2のプリント基板に所定の間隔で配置された複数の第2の接続端子との間に異方性導電材料を介在させた状態で前記第2のプリント基板を押圧することにより前記第1の接続端子に前記第2の接続端子を各々電気的に接続させる圧着ヘッドであって、
前記第2のプリント基板の側に多数の金属粒子をゴム袋で被覆した弾性手段を有することを特徴とする圧着ヘッド。
【請求項9】
前記金属粒子はステンレス若しくは鉄から成ることを特徴とする請求項8に記載の圧着ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−59751(P2012−59751A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198720(P2010−198720)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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