説明

電子レンジ加熱用食品

【課題】 一つの食品で温かい食感と冷たい食感の両方が同時に得られるようにする。
【解決手段】 人が食べることができる可食性ベース部41と、可食性ベース部41上に載置され、人が食べることができる可食性上部43と、可食性上部43の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルム44とで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルム44を除去することにより、可食性上部43が冷凍状態で冷たく、可食性ベース41が温かい状態となり、「温」と「冷」のコラボレーションによる味わいが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱調理するための電子レンジ加熱用冷凍食品およびこれを解凍加熱した食品に関する。
【背景技術】
【0002】
(従来例1)
【0003】
アイスクリーム容器としては、アイスクリームを収容したアイスクリーム容器部分と、アイスクリーム容器部分の上側に設けられ、氷結状態のアイスクリーム用ソースを収容したソース類容器部分とからなり、アイスクリーム容器部分が電子レンジのマイクロ波を透過させない材料で構成され、ソース類容器部分は電子レンジのマイクロ波を透過する材料で構成されたものが知られている。
【0004】
そして、前記アイスクリーム容器は、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、ソース類容器部分に入れられたアイスクリーム用ソースだけが融解し、その後、ソース類容器部分の底部を破ることによりソース類がアイスクリーム容器部分に収容されたアイスクリーム上に流下するものであった。
【0005】
(従来例2)
【0006】
フロート飲料容器としては、冷凍状態のコーラやコーヒー等の飲料とその上側に載せられたアイスクリーム等の氷結状フロートを収容した有底筒状の容器本体と、容器本体の上部開口を閉止し、かつ前記フロートを覆う蓋とからなり、容器本体が電子レンジのマイクロ波を透過する材料で構成され、蓋が電子レンジのマイクロ波を透過させない材料で構成されたものが知られている。
【0007】
そして、前記フロート飲料容器は、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、蓋で覆われた氷結状フロートは融解せず、冷凍状態の飲料だけが融解するものであった。
【特許文献1】実開昭64−22283号公報
【特許文献2】特開2003−24021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例1記載のアイスクリーム容器の場合、電子レンジ加熱によってアイスクリームの上側に、融解したソース類が流下することにより、通常のソースがかけられたアイスクリームが得られるだけであり、これを食べても何ら新しい食感が得られるわけでなかった。
【0009】
また、従来例2記載のフロート飲料容器の場合も、電子レンジ加熱によって冷凍状態のコーラやコーヒーが融解してその上部に氷結状態のアイスクリームが浮いたコーラフロートやコーヒーフロートが得られるだけであり、何ら新しい食感が得られるものではなかった。
【0010】
本発明の目的は、電子レンジによる加熱によって新しく美味な食感が得られる電子レンジ加熱用食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、人が食べることができる可食性ベース部と、可食性ベース部上に載置され、人が食べることができる可食性上部と、可食性上部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている電子レンジ加熱用冷凍食品である。
【0012】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、可食性ベース部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性上部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品について、包装されたことを特徴とするものである。包装材料としては、紙やプラスチックフィルム等の絶縁性材料を用いるのが好ましい。
【0014】
請求項4記載の本発明は、前記請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品が急速冷凍されたものであることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の本発明は、請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性ベース部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる、可食性上部が冷凍状態で冷たく、可食性ベース部が温かい食品である。
【0016】
なお、マイクロ波不透過性フィルムとしては、すでに公知のあらゆるものを用いることができ、例えばアルミニウム箔やカーボン紙にポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムをラミネートしたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、マイクロ波不透過性フィルムで被覆された可食性上部は解凍加熱されず、可食性ベース部だけが解凍加熱されるため、可食性ベース部は温かい状態となるのに対し、可食性上部は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品(請求項5記載の食品)を食べた場合、ベース部が温かく、その上部が冷たい食感が得られ、「温」と「冷」のコラボレーションによる斬新な味わいが楽しめる。
【0018】
請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品によれば、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、可食性ベース部であるパン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地が解凍加熱され、可食性上部であるアイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツ等は解凍されていない冷たい状態となっている。したがって、当該食品を(請求項5記載の食品)食べた場合、ベース部はやわらかくて温かい食感であるのに対し、上部は冷たくて硬い食感となるため、これら対照的な食感によって従来なかった斬新な味わいが楽しめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本実施形態は、本発明をアップルパイアイスに適用したものであって、図1に示すように、ベース部となるパイ生地41と、パイ生地41の中央上部に敷設された複数のリンゴ片42と、リンゴ片42上に載せられたアイスクリーム43と、アイスクリーム43を覆うマイクロ波不透過性フィルム44とで構成されている。そして、このアップルパイアイスを−10℃前後にまで急速冷凍して電子レンジ加熱用冷凍食品とする。その後、
該冷凍食品を食べる場合、これを電子レンジに入れてマイクロ波を照射することにより、ベース部となるパイ生地41だけが加熱され、マイクロ波不透過性フィルム44で覆われたリンゴ片42およびアイスクリーム43は加熱されない。
【0021】
次に、図2に示すように、マイクロ波不透過性フィルム44の一端の摘み部44aを摘んで該フィルム44を除去した後、アップルパイアイスを食べれば、上部の冷たいアイスクリーム43とベース部の柔らかくて温かいパイ生地41との対照的な食感が得られ、またパイ生地41上のリンゴ片42はアイスクリーム43の冷たさとパイ生地41からの熱伝導に伴う温かさが混ざった状態となるため、リンゴの風味がより強調され、絶妙な味わいとなる。
【0022】
なお、本実施形態および後述する実施形態において、マイクロ波不透過性フィルムは、アルミニウム箔にポリエチレン等のプラスチックフィルムをラミネートしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、温かい食感と冷たい食感の両方を備えた食品が得られるため、従来になかった斬新な食品とすることができ、幅広い需要が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係るアップルパイアイスの正面図であって、マイクロ波不透過性フィルムを被せた状態を示す。
【図2】同実施形態に係るアップルパイアイスの正面図であって、マイクロ波不透過性フィルムを外した状態を示す。
【符号の説明】
【0025】
41 パイ生地
42 リンゴ片
43 アイスクリーム
44 マイクロ波不透過性フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が食べることができる可食性ベース部と、可食性ベース部上に載置され、人が食べることができる可食性上部と、可食性上部の外面を被覆するマイクロ波不透過性フィルムとで構成され、電子レンジ加熱後に前記フィルムを除去するようになされている、電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項2】
可食性ベース部が、パン生地、パイ生地、シュー生地、ケーキスポンジ、クレープ生地、ピザ生地、餅またはまんじゅう生地のうちのいずれかであり、可食性上部が、アイスクリーム、生クリームその他のクリーム類、チョコレート、あん、ジャムおよびフルーツのうちの一以上のもので構成されたことを特徴とする、請求項1記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項3】
包装された、請求項1または請求項2記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項4】
急速冷凍されたものであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一項記載の電子レンジ加熱用冷凍食品における可食性ベース部だけを電子レンジで解凍加熱した後、マイクロ波不透過性フィルムを除去することにより得られる、可食性上部が冷凍状態で冷たく、可食性ベース部が温かい食品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−247351(P2009−247351A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209390(P2008−209390)
【出願日】平成20年8月16日(2008.8.16)
【分割の表示】特願2008−102816(P2008−102816)の分割
【原出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(508110928)
【Fターム(参考)】