説明

電子内視鏡用プロセッサ装置

【課題】色バランスの異常を容易にチェックすることができ、かつ、異常箇所の特定を容易に行うことを可能とする。
【解決手段】検査モード時に、CPU50は、まず、第1〜第4スイッチ回路57a〜57dを制御し、検査画像記憶メモリ53に記憶された検査画像を画像表示制御回路52を介してモニタ20に表示させ、この表示画面を電子内視鏡10で撮像した結果、画像処理回路51から出力された画像と、検査画像記憶メモリ53に記憶された検査画像とを異常判定回路54に入力して色バランスの異常の有無の判定を実行させる。次いで、色バランスに異常が有ると判定された場合に、電子内視鏡10から入力された画像と、画像処理回路51から出力された画像とを異常判定回路54に入力して色バランスの異常の有無の判定を実行させる。そして、色バランスに異常が無いと判定された場合に、ユーザにモニタ20を目視して色バランスの有無の判断を入力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡(スコープ)により得られる画像信号を画像処理してモニタに出力する電子内視鏡用プロセッサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、電子内視鏡システムを利用した医療診断が盛んに行われている。電子内視鏡システムは、体腔内に挿入される挿入部を備えた電子内視鏡と、電子内視鏡が着脱自在に接続され、電子内視鏡に内蔵された固体撮像素子から画像信号(以下、単に画像という)を受信して画像処理を行い、観察画像をモニタに出力するプロセッサ装置とを備える。電子内視鏡システムは、体腔内に挿入部を挿入することにより、食道、胃、小腸、大腸などの消化管や肺の気管等を観察することができる。
【0003】
電子内視鏡システムは、被検体である体腔内の画像を撮像してモニタに表示する。モニタに表示される画像は診断に供するものであるため、できるだけ実物に近い色であることが望まれている。もし、モニタに表示される画像の色バランスが実物と異なる状態で医師により診断が行われると、誤診を引き起こす可能性がある。モニタに画像が写らないなど、単純な異常の場合には、医師は容易にその異常に気付くことができるが、色バランスの異常の場合には、医師はその異常に気付き難くい。
【0004】
特許文献1には、電子内視鏡システムの色調整を容易に行うことを可能とする電子内視鏡システムが開示されている。この電子内視鏡システムでは、まず、基準チャートを撮像し、撮像結果に基づき電子内視鏡からプロセッサ装置内のカメラコントロールユニット(CCU)までの色調整を行う。その後、モニタに検査画像を表示し、この画面を電子内視鏡で撮像して、撮像結果を元に、画像を表示用画像に変換するエンコーダ及びモニタの色調整を行う。
【特許文献1】特開平8−152566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、色バランスの異常をチェックするには、まず、電子内視鏡システムとは別に設けられた基準チャートを撮像して色調整を行わねばならず、手間が掛かるとともに、基準チャートが無ければチェックを行えないといった問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の電子内視鏡システムでは、基準チャートを用いずに、モニタに表示された検査画像を撮像することにより色バランスのチェックを行った場合には、電子内視鏡システムのいずれの箇所で異常があるのかを特定することができないといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、色バランスの異常を容易にチェックすることができ、かつ、異常箇所の特定を容易に行うことができる電子内視鏡用プロセッサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子内視鏡用プロセッサ装置は、電子内視鏡から入力された画像に画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段により画像処理が施された画像をモニタに表示させる画像表示制御手段と、検査画像を記憶した記憶手段と、2つの画像を比較して色バランスの異常の有無を判定する判定手段と、前記画像処理手段、前記画像表示制御手段、及び前記判定手段の間の接続状態を変更するスイッチ手段と、ユーザにより操作入力が行われる操作入力手段と、前記スイッチ手段を制御し、前記記憶手段に記憶された検査画像を前記画像表示制御手段を介して前記モニタに表示させ、この表示画面を前記電子内視鏡で撮像した結果、前記画像処理手段から出力された画像と、前記記憶手段に記憶された検査画像とを前記判定手段に入力して色バランスの異常の有無の判定を実行させる第1ステップと、前記第1ステップにて色バランスに異常が有ると判定された場合に、前記電子内視鏡から入力された画像と、前記画像処理手段から出力された画像とを前記判定手段に入力して色バランスの異常の有無の判定を実行させる第2ステップと、前記第2ステップにて色バランスに異常が無いと判定された場合に、ユーザに前記モニタの表示画面を目視して色バランスの異常の有無の判断を前記操作入力手段から入力させる第3ステップとを実行する制御手段と、前記第1〜第3ステップにおける判定結果をユーザに報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
なお、前記報知手段は、前記第1ステップにて色バランスに異常が無いと判定された場合に、システム全体に色バランスの異常が無いことを示すメッセージを報知することが好ましい。
【0010】
また、前記報知手段は、前記第2ステップにて色バランスに異常が有ると判断された場合に、前記画像処理手段に色バランスの異常が有ることを示すメッセージを報知することが好ましい。
【0011】
さらに、前記報知手段は、前記第3ステップにてユーザにより入力される判断結果に基づき、前記モニタまたは前記電子内視鏡のいずれに色バランスの異常が有るかを示すメッセージを報知することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子内視鏡用プロセッサ装置は、色バランスの異常を容易にチェックすることができ、かつ、異常箇所の特定を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1において、電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、光源装置12などから構成される。電子内視鏡10は、体腔内に挿入される可撓性の挿入部13と、挿入部13の基端部分に連設された手元操作部14と、プロセッサ装置11及び光源装置12に接続されるユニバーサルコード15とを備えている。
【0014】
挿入部13の先端には、CCD型固体撮像素子40(以下、単にCCD40と称す)(図3参照)を内蔵した先端部16が連設されている。先端部16の後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部17が設けられている。湾曲部17は、手元操作部14に設けられたアングルノブ18が操作されて、挿入部13内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部16が体腔内の所望の方向に向けられる。
【0015】
ユニバーサルコード15の基端は、コネクタ19に連結されている。コネクタ19は、複合タイプのものであり、コネクタ19にはプロセッサ装置11が接続される他、光源装置12が接続される。
【0016】
プロセッサ装置11は、CCD40から出力される画像を受信し、受信した画像に各種信号処理を施す。プロセッサ装置11で処理が施された画像は、プロセッサ装置11にケーブル接続されたモニタ20に観察画像として表示される。また、プロセッサ装置11は、光源装置12と電気的に接続され、電子内視鏡システム2の動作を統括的に制御する。
【0017】
電子内視鏡10の手元操作部14には、注射針や高周波メスなどが先端に配された各種処置具が挿通される鉗子口21の他、光源装置12に内蔵された送気送水装置(図示せず)から供給される空気や洗浄水による送気送水を行うための送気送水ボタン22などの操作ボタンが設けられている。また、プロセッサ装置11の前面には、通常の撮像を行う観察モードと、色バランスの検査を行う検査モードとの切り替えを行う操作ボタン等を含む各種操作ボタンを備えたフロントパネル23が設けられている。
【0018】
図2において、先端部16の端面16aには、観察窓30、照明窓31、鉗子出口32、及び送気送水用ノズル33が設けられている。観察窓30は、端面16aの片側中央に配置されている。照明窓31は、観察窓30に関して対称な位置に2個配され、体腔内の被観察部位に光源装置12からライトガイド65(図3参照)を介して導かれた照明光を照射する。鉗子出口32は、挿入部13内に配設された鉗子チャンネル(図示せず)に接続され、鉗子口21に連通しており、鉗子口21から挿入された処置具の先端が露出される。送気送水用ノズル33は、送気送水ボタン22の操作に応じて送気送水装置から供給される洗浄水や空気を、観察窓30に向けて噴射する。
【0019】
図3において、電子内視鏡10の先端部16には、CCD40が内蔵されており、CCD40は、観察窓30に対向して設けられた対物レンズ41の結像位置に配設されている。CCD40は、カラー撮像方式として単板同時方式が採用されたものであり、受光面には、複数の色セグメントからなるカラーフィルタ(例えば、ベイヤー配列の原色カラーフィルタ)が配置されている。
【0020】
TG42は、CPU43の制御に基づき、CCD40の駆動パルス(垂直/水平走査パルス、リセットパルス等)とアナログ信号処理回路(AFE)44用の同期パルスとを発生する。CCD40は、TG42から入力される駆動パルスにより駆動され、対物レンズ41を介して結像された光学像を光電変換して画像として出力する。
【0021】
AFE44は、相関二重サンプリング(CDS)回路、プログラマブルゲインアンプ(PGA)、及びA/D変換器により構成されている。CDS回路は、CCD40から出力された画像に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD40で生じるリセット雑音及びアンプ雑音の除去を行う。PGAは、CDS回路によりノイズ除去が行われた画像を、CPU43から指定された所定の増幅率で増幅する。A/D変換器は、PGAにより増幅された画像をデジタル化する。AFE44から出力されたデジタル形式の画像は、前述のコネクタ19を介してプロセッサ装置11内に入力される。
【0022】
CPU43は、プロセッサ装置11内のCPU50と通信を行い、電子内視鏡10内の各部の制御を行う。また、CPU43には、ROM45が接続されており、ROM45には、電子内視鏡10の種類を識別するための識別情報や、後述する色バランスの検査結果(エラー情報)が記憶される。
【0023】
プロセッサ装置11は、CPU50、画像処理回路51、画像表示制御回路52、検査画像記憶メモリ53、異常判定回路54、アイソレータ55、第1〜第4スイッチ回路57a〜57dを備えている。CPU50は、プロセッサ装置11内の各部を制御するとともに、電子内視鏡システム2の全体を統括的に制御する。アイソレータ55は、電子内視鏡10をプロセッサ装置11から絶縁分離するための絶縁分離素子である。AFE44から出力された画像は、アイソレータ55を介して画像処理回路51及び第1スイッチ回路57aに入力される。
【0024】
第1スイッチ回路57aは、オン/オフスイッチであって、アイソレータ55と異常判定回路54との間に接続されている。第1スイッチ回路57aは、CPU50によって接続状態が制御され、観察モード時にはオフ状態とされる。
【0025】
画像処理回路51は、CPU50の制御に基づき、AFE44から入力された1フレーム分の画像に対し、色補間、色分離、色バランス調整、ガンマ補正、画像強調処理等の画像処理を施す。画像処理回路51から出力された画像は、第2及び第3スイッチ回路57b,57cに入力される。
【0026】
第2スイッチ回路57bは、3個の端子A〜Cを有し、端子Aを端子Bまたは端子Cに接続するスイッチ素子である。第2スイッチ回路57bの端子Aには、画像表示制御回路52が接続されており、端子Bには画像処理回路51及び第3スイッチ回路57cが接続されており、端子Cには第4スイッチ回路57d及び検査画像記憶メモリ53が接続されている。
【0027】
第3スイッチ回路57cは、オン/オフスイッチであって、第2スイッチ回路57bの端子Bと異常判定回路54との間に接続されている。第4スイッチ回路57dは、オン/オフスイッチであって、第2スイッチ回路57bの端子Cと異常判定回路54との間に接続されている。CPU50の制御に基づき、観察モード時には、第2スイッチ回路57bの端子Aが端子Bに接続されるとともに、第3及び第4スイッチ回路57c,57dはオフ状態とされる。
【0028】
観察モード時には、画像処理回路51から出力された画像は、第2スイッチ回路57bを介して画像表示制御回路52に入力される。画像表示制御回路52は、画像処理回路51から入力された画像を、モニタ20に表示するための表示用信号に変換して、モニタ20に出力する。
【0029】
第1〜第4スイッチ回路57a〜57dは、CPU50の制御に基づき、検査モード時には、後述する所定の順序で切り替えが行われる。
【0030】
検査画像記憶メモリ53は、図4に示すように、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に、白色(W)を加えた4色のカラーバーチャートとして表された検査画像53aを記憶している。この検査画像53aは、検査モード時における第2及び第4スイッチ回路57b,57dの切り替え制御により、画像表示制御回路52及び異常判定回路54に出力される。
【0031】
検査モード時には、検査画像53aは、画像表示制御回路52に出力され、モニタ20の画面中央部に表示される。モニタ20に表示された検査画像53aは、電子内視鏡10により撮像される。このとき、図5に示すように、モニタ20の表示光以外の外光が電子内視鏡10の先端部16に入射しないように、三角錐状の遮光治具70が嵌められ、モニタ20に表示された検査画像53aは、遮光治具70により覆われる。モニタ20に表示された検査画像53aは、電子内視鏡10内のCCD40によって撮像され、AFE44によりアナログ信号処理が施された後、アイソレータ55を介して画像処理回路51に入力される。
【0032】
異常判定回路54は、第3スイッチ回路57cを介して、画像処理回路51から出力された画像を取得するとともに、第4スイッチ回路57dを介して、検査画像記憶メモリ53に記憶された検査画像53aを取得し、取得した両画像の色バランスを比較することにより、色バランスの異常の有無を判定する。この比較判定は、AFE44による変換関数、画像処理回路51による変換関数、画像表示制御回路52による変換関数、モニタ20による変換関数等を考慮して行われる。異常判定回路54は、両画像の色バランスに所定の閾値以上の差があるか否かを判定し、判定結果をCPU50に通知する。CPU50は、異常判定回路54から該通知を受けると、画像表示制御回路52を制御し、判定結果を示すメッセージをモニタ20に表示させる。このメッセージは、ユーザが視認できるように、モニタ20の画面上の遮光治具70が取り付けられる部分以外の領域に表示させる。
【0033】
異常判定回路54は、上記の両画像の色バランスに所定の閾値以上の差がある(すなわち、色バランスの異常が有る)場合には、さらに異常箇所を特定するために、画像処理回路51による処理前後の画像の色バランスを比較することにより、画像処理回路51での色バランスの異常の有無を判定する。この比較判定は、画像処理回路51による変換関数を考慮して行われる。異常判定回路54は、画像処理回路51による処理前後の画像の色バランスに所定の閾値以上の差があるか否かを判定し、判定結果をCPU50に通知する。CPU50は、異常判定回路54から該通知を受けると、画像表示制御回路52を制御し、判定結果を示すメッセージをモニタ20に表示させる。このメッセージは、同様に、ユーザが視認できるように、モニタ20の画面上の遮光治具70が取り付けられる部分以外の領域に表示させる。
【0034】
CPU50は、画像処理回路51による処理前後の画像の色バランスに所定の閾値以上の差がある場合には、「画像処理回路に色バランスの異常があります」といったメッセージをモニタ20に表示させる。一方、CPU50は、画像処理回路51による処理前後の画像の色バランスに所定の閾値以上の差がない場合には、電子内視鏡10またはモニタ20に異常があることになるため、「モニタを目視して色バランスの異常の有無を判断してください」といったメッセージをモニタ20に表示させるとともに、フロントパネル23を介してユーザの判断入力を受け付ける。このとき、CPU50は、モニタ20の色バランスの異常の有無についての判断をユーザが入力可能とするように、フロントパネル23中の所定の操作ボタンをYESボタン及びNOボタンに割り当てる。CPU50は、YESボタンが操作され、モニタ20に色バランスの異常があると判断されると、「モニタに色バランスの異常があります」といったメッセージをモニタ20に表示させる。一方、CPU50は、NOボタンが操作され、電子内視鏡10に色バランスの異常があると判断されると、「電子内視鏡に色バランスの異常があります」といったメッセージをモニタ20に表示させる。これらのメッセージは、同様に、ユーザが視認できるように、モニタ20の画面上の遮光治具70が取り付けられる部分以外の領域に表示させる。なお、電子内視鏡10に色バランスの異常があると判断された場合には、CPU50は、電子内視鏡10のCPU43に指示を与え、ROM45にエラー情報を記録させる。
【0035】
光源装置12は、CPU60、光源61、光源ドライバ62、絞り機構63、集光レンズ64から構成されている。CPU60は、プロセッサ装置11のCPU50と通信し、光源ドライバ62及び絞り機構63の制御を行う。光源61は、キセノンランプやハロゲンランプなどからなり、光源ドライバ62により駆動制御される。絞り機構63は、光源61の光射出側に配置され、集光レンズ64に入射される光量を増減させる。集光レンズ64は、絞り機構63を通過した光を集光して、光源装置12に接続された電子内視鏡10のライトガイド65の入射端に導く。ライトガイド65は、電子内視鏡10の基端から先端部16まで挿通され、出射端が前述の各照明窓31に接続されている。なお、検査モード時には、光源61の発光はオフとされる。
【0036】
次に、以上のように構成された電子内視鏡システム2の作用を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。電子内視鏡システム2を用いて体腔内を観察する際には、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、光源装置12、及びモニタ20の各電源をオンにして、電子内視鏡10の挿入部13を体腔内に挿入し、光源装置12からの照明光で体腔内を照明しながら、CCD40により撮像される体腔内の観察画像をモニタ20で観察する。この観察モードでは、第1、第3、第4スイッチ回路57a,57c,57dはオフ状態とされ、第2スイッチ回路57bの端子Aは端子Bに接続される。
【0037】
一方、検査モードで色バランスのチェックを行う際には、まず、図5に示すように、電子内視鏡10の挿入部13の先端部16を遮光治具70に挿入する。先端部16の端面16aをモニタ20の画面に対向させた状態で、フロントパネル23を操作し、検査モードとすることで検査が開始する(ステップS1でYES判定)。検査モードに入ると、まず、第2〜第4スイッチ回路57b〜57dのスイッチング状態が変更され、第2スイッチ回路57bの端子Aが端子Cに接続されるとともに、第3及び第4スイッチ回路57c,57dがオン状態となる(ステップS2)。これにより、検査画像記憶メモリ53から第2スイッチ回路57bを介して画像表示制御回路52に検査画像53aが出力され、その結果、モニタ20に検査画像53aが表示される(ステップS3)。また、このとき、検査画像記憶メモリ53から第4スイッチ回路57dを介して検査画像53aが異常判定回路54に入力される。
【0038】
モニタ20に表示された検査画像53aは、電子内視鏡10内のCCD40によって撮像され、AFE44によりアナログ信号処理が施された後、アイソレータ55を介して画像処理回路51に入力され、画像処理が施される(ステップS4)。このとき、画像処理回路51により画像処理が施された画像は、第3スイッチ回路57cを介して異常判定回路54に入力される。
【0039】
次いで、異常判定回路54により、画像処理回路51から入力された画像と、検査画像記憶メモリ53から入力された検査画像53aとの色バランスの差異が比較判定される(ステップS5)。この色バランスの差異が所定の閾値より小さい場合には(ステップS6でNO判定)、CPU50により、システム全体に色バランスの異常がないことを示すメッセージがモニタ20に表示される(ステップS7)。一方、色バランスの差異が所定の閾値以上である場合には(ステップS6でYES判定)、第1スイッチ回路57a及び第4スイッチ回路57dのスイッチング状態が変更され、第1スイッチ回路57aがオン状態、第4スイッチ回路57dがオフ状態とされる(ステップS8)。これにより、異常判定回路54には、画像処理回路51から第3スイッチ回路57cを介して入力された画像の他に、電子内視鏡10から入力された画像が第1スイッチ回路57aを介して入力される。
【0040】
異常判定回路54により、画像処理回路51による処理前後の画像の色バランスの差異が比較判定される(ステップS9)。この色バランスの差異が所定の閾値以上である場合には(ステップS10でYES判定)、画像処理回路51に色バランスの異常があることを示すメッセージがモニタ20に表示される(ステップS11)。一方、色バランスの差異が所定の閾値より小さい場合には(ステップS10でNO判定)、ユーザにモニタ20を目視して色バランスの異常の有無の判断を入力することを促すメッセージがモニタ20に表示される(ステップS12)。このとき、CPU50は、ユーザによる判断入力をフロントパネル23の操作を介して受け付ける。
【0041】
ユーザにより、モニタ20に色バランスの異常があると判断された場合には(ステップS13でYES判定)、モニタ20に色バランスの異常があることを示すメッセージがモニタ20に表示される(ステップS14)。一方、ユーザにより、電子内視鏡10に色バランスの異常があると判断された場合には(ステップS13でNO判定)、電子内視鏡10に色バランスの異常があることを示すメッセージがモニタ20に表示される(ステップS15)。
【0042】
以上のように本発明では、検査モードの実行により、色バランスの異常があるか否かを容易にチェックすることができ、異常がある場合には、電子内視鏡10、プロセッサ装置11、モニタ20のいずれに異常があるかといった、異常箇所の特定を容易に行うことができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、検査モード時に各種メッセージをモニタ20に表示させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、フロントパネル23等の他の報知手段を用いてメッセージの報知を行っても良い。さらに、電子内視鏡システム2に接続されたサーバーやプリンタ等の外部機器にメッセージを送出しても良い。
【0044】
また、上記実施形態では、ユーザにモニタ20を目視して色バランスの異常の有無を判断させる際の判断入力を、フロントパネル23の操作から受け付けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、プロセッサ装置11に接続されたキーボード等の操作入力手段から受け付けるように構成しても良い。
【0045】
また、上記実施形態では、R,G,B,Wの4色のカラーバーチャートとして表された検査画像53aを検査画像記憶メモリ53に記憶させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、基準となる所定の色で表されたものであれば、いかなる検査画像を用いることも可能である。
【0046】
また、検査画像は、カラーバーチャートのように、複数色を1枚のチャートに含めたものに限られず、複数枚の単色チャートで構成したものであっても良い。例えば、図7に示す検査画像80は、R,G,B,Wの4枚の単色チャートで構成したものである。この場合には、単色チャートを1枚ずつモニタ20に表示させながら、電子内視鏡10による撮像とプロセッサ装置11による比較判定とを順に行えば良い。
【0047】
また、上記実施形態では、医療分野において用いられる電子内視鏡を例に挙げてしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、工業用等の内視鏡にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】電子内視鏡システムを示す外観図である。
【図2】電子内視鏡の先端部の端面を示す平面図である。
【図3】電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図4】検査画像を示す平面図である。
【図5】遮光治具を示す模式図である。
【図6】検査モード時の作用を説明するフローチャートである。
【図7】検査画像の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
11 プロセッサ装置
20 モニタ
23 フロントパネル(操作入力手段)
40 CCD型固体撮像素子
50 CPU(制御手段)
51 画像処理回路(画像処理手段)
52 画像表示制御回路(画像表示制御手段)
53 検査画像記憶メモリ(記憶手段)
53a 検査画像
54 異常判定回路(判定手段)
57a〜57d 第1〜第4スイッチ回路
70 遮光治具
80 検査画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子内視鏡から入力された画像に画像処理を施す画像処理手段と、
前記画像処理手段により画像処理が施された画像をモニタに表示させる画像表示制御手段と、
検査画像を記憶した記憶手段と、
2つの画像を比較して色バランスの異常の有無を判定する判定手段と、
前記画像処理手段、前記画像表示制御手段、及び前記判定手段の間の接続状態を変更するスイッチ手段と、
ユーザにより操作入力が行われる操作入力手段と、
前記スイッチ手段を制御し、前記記憶手段に記憶された検査画像を前記画像表示制御手段を介して前記モニタに表示させ、この表示画面を前記電子内視鏡で撮像した結果、前記画像処理手段から出力された画像と、前記記憶手段に記憶された検査画像とを前記判定手段に入力して色バランスの異常の有無の判定を実行させる第1ステップと、前記第1ステップにて色バランスに異常が有ると判定された場合に、前記電子内視鏡から入力された画像と、前記画像処理手段から出力された画像とを前記判定手段に入力して色バランスの異常の有無の判定を実行させる第2ステップと、前記第2ステップにて色バランスに異常が無いと判定された場合に、ユーザに前記モニタの表示画面を目視して色バランスの異常の有無の判断を前記操作入力手段から入力させる第3ステップとを実行する制御手段と、
前記第1〜第3ステップにおける判定結果をユーザに報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする電子内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記第1ステップにて色バランスに異常が無いと判定された場合に、システム全体に色バランスの異常が無いことを示すメッセージを報知することを特徴とする請求項1に記載の電子内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記第2ステップにて色バランスに異常が有ると判断された場合に、前記画像処理手段に色バランスの異常が有ることを示すメッセージを報知することを特徴とする請求項1または2に記載の電子内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記第3ステップにてユーザにより入力される判断結果に基づき、前記モニタまたは前記電子内視鏡のいずれに色バランスの異常があるかを示すメッセージを報知することを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の電子内視鏡用プロセッサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−51633(P2010−51633A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220972(P2008−220972)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】