説明

電子写真用トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

【課題】本発明は、結着樹脂の少なくとも50質量%以上の、実質主成分として結晶性樹脂を使用するトナーにおいて、結晶性樹脂の特有の課題である出力画像の耐擦性の弱さを、定着性を悪化させることなく解消することができる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤を含有してなるトナーであって、該結着樹脂はウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂を50質量%以上含有し、該離型剤はマイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする電子写真用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる電子写真用トナー、該トナーを用いた現像剤、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真方式の画像形成装置等において、電気的または磁気的に形成された潜像は、電子写真用トナー(以下、単に「トナー」と称することもある)によって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーにより現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、紙等の転写材上に定着される。トナー像を転写紙上に定着する工程においては、そのエネルギー効率の良さから、加熱ローラ定着方式や加熱ベルト定着方式といった熱定着方式が広く一般に用いられている。
【0003】
近年では、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に対する市場からの要求は益々大きくなり、低温定着性に優れ、高品位な画像を提供できるトナーが求められている。トナーの低温定着性を達成するためには、トナーの結着樹脂の軟化温度を低くする必要があるが、結着樹脂の軟化温度が低いと、定着時にトナー像の一部が定着部材の表面に付着し、これがコピー用紙上に転移する、いわゆるオフセット(以下、ホットオフセットとも呼ぶ)が発生しやすくなる。また、トナーの耐熱保存性が低下し、特に高温環境下においてトナー粒子同士が融着する、いわゆるブロッキングが発生する。その他に、現像器内においてもトナーが現像器内部やキャリアに融着して汚染する問題や、トナーが感光体表面にフィルミングしやすくなる問題があった。
【0004】
これらの問題を解決できる技術として、トナーの結着樹脂に結晶性樹脂を用いることが知られている。結晶性樹脂は、樹脂の融点で急激に軟化することから、融点以下における耐熱保存性を担保しながら、トナーの軟化温度を融点付近にまで下げることが可能なことから、低温定着性と耐熱保存性を両立することができる。
【0005】
特許文献1(特公平4−24702号公報)、特許文献2(特公平4−24703号公報)では、結晶性ポリエステルをジイソシアネートで伸長させた結晶性樹脂を結着樹脂に用いたトナーが開示されている。これらのトナーは、低温定着性には優れるが、耐ホットオフセット性が不十分であり、近年に求められる品質には達していなかった。また、特許文献3(特許第3910338号公報)では、スルホン酸基を含有する不飽和結合による架橋構造を持った結晶性樹脂を用いたトナーが開示されており、それまでの従来技術に較べて耐ホットオフセット性を改善することができている。特許文献4(特開2010−77419号公報)では、軟化温度と融解熱ピーク温度の比率と粘弾特性を規定し、低温定着性と耐熱保存性に優れた樹脂粒子の技術が開示されている。しかしながら、これらのような結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として用いたトナーは、樹脂の特性から、耐衝撃性に優れたものであったが、押し込み硬度や引っ掻き硬度に弱い問題があった。このため、出力画像の耐擦性が低く、例えば、引っ掻き傷や擦れ傷が発生しやすい画像となる問題があった。
【0006】
特許文献5(特許第3360527号公報)では、結晶性樹脂のデュロメーター硬度を規定し、無機微粒子をトナー中に含有させることによって、トナーの耐ストレス性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、出力画像の耐擦性を改善できるものではなく、また、無機微粒子によって定着性が大きく阻害され、結晶性樹脂の低温定着性を著しく悪化する課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。即ち、結着樹脂の少なくとも50質量%以上の、実質主成分として結晶性樹脂を使用するトナーにおいて、結晶性樹脂の特有の課題である出力画像の耐擦性の弱さを、定着性を悪化させることなく解消することができる電子写真用トナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明者らが検討を行った結果、ウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂を50質量%以上含有する結着樹脂と、離型剤としてマイクロクリスタリンワックスを使用したトナーを発明するに至った。
結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として用いたトナーの特有の課題である出力画像の耐擦性の低さは、外部からの応力によって結晶部のラメラ層間がずれるためと考えられる。樹脂中にウレタン骨格やウレア骨格を導入することで、ラメラ層間の分子間相互作用が高まり、ラメラ層間のずれを抑制し、結果として樹脂の硬度を向上させるものと思われる。
しかしながら、ウレタン骨格やウレア骨格の導入だけでは、出力画像の硬度を十分に得ることができず、離型剤としてマイクロクリスタリンワックスを使用することで、十分な耐擦性を十分に得ることができることが分かった。マイクロクリスタリンワックスは、本発明のウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂に対して良好な分散性を示し、また、熱定着時には本発明の結着樹脂と速やかに相分離し、少ない離型剤量でも出力画像の表面に離型剤が多く染み出しす。このため、出力画像の表面摩擦係数が低下し、擦れに強い耐擦性に優れた画像が得られるものと考える。
【0009】
即ち、前記問題点を解決するための手段としては以下の通りである。
<1> 少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤を含有してなるトナーであって、該結着樹脂はウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂を50質量%以上含有し、該離型剤はマイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする電子写真用トナー。
<2> 前記結晶性樹脂は、アルコール成分と酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂を、少なくとも2価以上のイソシアネート化合物との反応によって、伸長及び/又は架橋反応して得られるポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする<1>に記載の電子写真用トナー。
<3> 前記結晶性樹脂として、第一の結晶性樹脂と、該第一の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第二の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする<1>又は<2>に記載の電子写真用トナー。
<4> 前記第二の結晶性樹脂は、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする<3>に記載の電子写真用トナー。
<5> 前記第二の結晶性樹脂は、前記第一の結晶性樹脂を活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂に変性させた変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする<3>に記載の電子写真用トナー。
<6> 前記トナーの示差走査熱量計(DSC)で測定される融解熱の最大ピーク温度をT(℃)、前記離型剤のDSCで測定される融解熱の最大ピーク温度をWp(℃)、前記離型剤のDSCで測定されるDSC曲線において、該最大ピーク温度Wpより低温側の曲線の傾き(但し、傾きは負の値)が最大となる温度における接線と、ベースラインを外挿した直線との交点の温度を融解開始温度Ws(℃)としたとき、Ws≦T≦Wpの関係を満たすことを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の電子写真用トナー。
<7> 前記離型剤の25℃における針入度が、15以下であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の電子写真用トナー。
<8> <1>〜<7>のいずれかに記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする現像剤。
<9> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤が、<8>に記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
<10> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記現像剤が、<8>に記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、結晶性樹脂の特有の課題である出力画像の耐擦性の弱さを、定着性を悪化させることなく解消することができる電子写真用トナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の画像形成装置における二成分現像手段の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、図3の各画像形成要素の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について詳細を説明する。
本発明におけるトナーは、少なくとも着色剤、結着樹脂、及び離型剤を含有してなり、該結着樹脂は、ウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂を50質量%以上含有し、実質的に結着樹脂の主成分が該結晶性樹脂からなる。結晶性樹脂による優れた低温定着性と耐熱保存性の両立性を最大限に発現させるには、好ましくはウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂が65質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。50質量%未満の場合、結着樹脂の熱急峻性がトナーの粘弾特性上で発現できず、低温定着性と耐熱保存性の両立は難しい。
また、本発明におけるトナーの上記ウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂以外の結着樹脂としては、ウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂以外の結晶性樹脂、及び非結晶性樹脂が挙げられる。
前記トナーにおける結着樹脂の含有量としては、結着樹脂としての機能を果たしていれば特に制限はないが、前記トナー100質量部に対し、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは80質量部以上である。
【0013】
本発明における結晶性とは、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.55である、熱により急峻に軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を結晶性樹脂とする。また、非結晶性とは、軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.55より大きく、熱により緩やかに軟化する性状であり、この性状を有する樹脂を非結晶性樹脂とする。
【0014】
本発明の結晶性樹脂は、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、その融解熱の最大ピーク温度が45〜70℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは53〜65℃、更に好ましくは58〜62℃である。45℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
【0015】
結晶性樹脂の軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)は、0.8〜1.55であるが、好ましくは0.85〜1.25、より好ましくは0.9〜1.2、更に好ましくは0.9〜1.19である。この値が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
【0016】
樹脂およびトナーの軟化温度は、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定できる。試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とした。
【0017】
本発明における樹脂の融解熱の最大ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料は、前処理として、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温する。ここで、一度DSCにより、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、上記試料を、DSCにより、降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度20℃/分で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸発熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とした。
【0018】
結晶性樹脂の粘弾特性において、(融解熱の最大ピーク温度)+20℃における貯蔵弾性率G’は、5.0×106Pa・s以下が好ましく、より好ましくは1.0×101〜5.0×105Pa・sであり、更に好ましくは1.0×101〜1.0×104Pa・sである。また、(融解熱の最大ピーク温度)+20℃における損失弾性率G”は、5.0×106Pa・s以下が好ましく、より好ましくは1.0×101〜5.0×105Pa・sであり、更に好ましくは1.0×101〜1.0×104Pa・sである。これは、本発明のトナーの粘弾特性において、(融解熱の最大ピーク温度)+20℃におけるG’およびG”の値が、1.0×103〜5.0×106Pa・sとなることが定着強度や耐ホットオフセット性の観点から好ましく、結着樹脂中に着色剤や層状無機鉱物を分散させることでG’およびG”が上昇することを考慮すれば、結晶性樹脂の粘弾特性としては前記の範囲であることが好ましい。
【0019】
結晶性樹脂の粘弾特性は、樹脂を構成する結晶性モノマーと非結晶性モノマーの比率や、樹脂の分子量を調整すること等により得ることができる。例えば、結晶性モノマーの比率を増加させると、G’(Ta+20)の値は小さくなる。
【0020】
樹脂およびトナーの動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)は、動的粘弾性測定装置(例えば、ARES(TAインスツルメント社製))を用いて測定できる。周波数1Hz条件下で測定される。試料は、直径8mm、厚さ1〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した後、40℃で安定させ、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/minで昇温させて測定した。
【0021】
結晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、定着性の観点から2,000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは5,000〜60,000、特に好ましくは8,000〜30,000である。2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
【0022】
本発明において、樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)測定装置(例えば、GPC−8220GPC(東ソー社製))を用いて測定できる。カラムはTSKgel SuperHZM―H 15cm 3連(東ソー社製)を使用した。測定する樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)(安定剤含有、和光純薬製)にて0.15wt%溶液にし、0.2μmフィルターで濾過した後、その濾液を試料として用いる。前記THF試料溶液は測定装置に100μl注入し、温度40℃の環境下にて、流速0.35ml/minで測定した。試料の分子量測定にあたっては、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。前記標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0023】
本発明におけるウレタン骨格及び/またはウレア骨格を有する結晶性樹脂としては、条件を満たしていれば良く、例えば、ウレタン骨格及び/またはウレア骨格を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂およびそれらの複合樹脂であっても良い。特には、ポリエステル樹脂を少なくとも2価以上のイソシアネート化合物と伸長及び/又は架橋反応させて得られたポリウレタン樹脂、またはポリウレア樹脂が、高い硬度を有し、本発明における離型剤の染み出し易さの点で好ましい。また、前記ポリエステル樹脂は、結晶性の高さの点で、直鎖ポリエステル樹脂およびそれを含む複合樹脂であることが好ましい。
【0024】
前記ポリエステル樹脂としては、ジオール成分とジカルボン酸成分とから合成される重縮合ポリエステル樹脂であることが、結晶性発現の観点から好ましいが、必要に応じて3官能以上のアルコール成分やカルボン酸成分を用いてもよい。また、ポリエステル樹脂としては、重縮合ポリエステル樹脂以外に、ラクトン開環重合物およびポリヒドロキシカルボン酸も同様に好ましい。
また、前記ウレタン骨格及び/またはウレア骨格を有するポリエステル樹脂は、ウレタン基もしくはウレア基を有するジオール成分やジカルボン酸成分とから合成される樹脂であっても良い。
【0025】
前記ポリウレタン樹脂としては、ジオール成分とジイソシアネート成分とから合成されるポリウレタン樹脂等が挙げられるが、必要に応じて3官能以上のアルコール成分やイソシアネート成分を用いてもよい。
前記ポリウレア樹脂としては、ジアミン成分とジイソシアネート成分とから合成されるポリウレア樹脂等が挙げられるが、必要に応じて3官能以上のアミン成分やイソシアネート成分を用いてもよい。
前記ポリアミド樹脂としては、ジアミン成分とジカルボン酸成分とから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられるが、必要に応じて3官能以上のアミン成分やカルボン酸成分を用いてもよい。
【0026】
以下に、これら結晶性重縮合ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリアミド樹脂、結晶性ポリウレア樹脂に用いられるアルコール成分、カルボン酸成分、イソシアネート成分、およびアミン成分についてそれぞれ示す。
【0027】
前記アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、鎖炭素数が2〜36の範囲であることが好ましい。脂肪族ジオールとしては、直鎖型と分岐型が挙げられるが、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。ジオール成分としては複数のものを使用してもよいが、ジオール成分全体量に対して、直鎖型脂肪族ジオールの含有量は80mol%以上であることが好ましく、より好ましくは90mol%以上である。80mol%以上の場合は、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にあるので好ましい。
【0028】
前記直鎖型脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
【0029】
その他必要に応じて使用されるジオールとしては、炭素数2〜36の上記以外の脂肪族ジオール(1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);およびポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
【0030】
また、その他の官能基を有するジオールを用いても良く、官能基を有するジオールとしては、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオール、およびこれらの塩等が挙げられる。
前記カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[C6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など]が挙げられる。
前記スルホン酸基もしくは前記スルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基のC1〜6)またはそのAO付加物(AOとしてはEOまたはPOなど、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物など];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
【0031】
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミンなど)および/またはアルカリ金属(ナトリウム塩など)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、およびこれらの併用である。
【0032】
また、必要により用いられる3〜8価またはそれ以上のアルコール成分としては、炭素数3〜36の3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、およびポリグリセリン;糖類およびその誘導体、例えばショ糖、およびメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物など];などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0033】
前記カルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸としては、直鎖型と分岐型が挙げられるが、直鎖型ジカルボン酸がより好ましい。
前記ジカルボン酸としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸など);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸など)などが挙げられる。
【0034】
また、必要により用いられる3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸または3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてもよい。
これらジカルボン酸の中では、前記脂肪族ジカルボン酸(好ましくはアジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸など)を単独で用いるのが特に好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、および、これらの低級アルキルエステル類など)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20mol%以下が好ましい。
【0035】
前記イソシアネート成分としては、芳香族イソシアネート類、脂肪族イソシアネート類、脂環式イソシアネート類、芳香脂肪族イソシアネート類が挙げられ、中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネートおよびこれらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
【0036】
前記芳香族イソシアネート類の具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)またはその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
前記脂肪族イソシアネート類の具体例としては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
【0038】
前記脂環式イソシアネート類の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0039】
前記芳香脂肪族イソシアネート類の具体例としては、m−および/またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
【0040】
また、前記ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど)、ウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物およびこれらの2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との併用)が含まれる。
これらのうちで好ましいものはNCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートであり、特に好ましいものはTDI、MDI、HDI、水添MDI、およびIPDIである。
【0041】
前記アミン成分としては、脂肪族アミン類、芳香族アミン類が挙げられ、中でも炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が挙げられる。また、必要により、3価以上のアミン類を使用してもよい。
前記炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類としては、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど);炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなど〕;これらの炭素数1〜4のアルキルまたは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体(ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなど);脂環または複素環含有脂肪族ジアミン{炭素数4〜15の脂環式ジアミン〔1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など〕、炭素数4〜15の複素環式ジアミン〔ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕};炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類(キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミンなど)、等が挙げられる。
【0042】
前記炭素数6〜20の芳香族ジアミン類としては、非置換芳香族ジアミン〔1,2−、1,3−および1,4−フェニレンジアミン、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン、ナフチレンジアミンなど〕;炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン〔2,4−および2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物;核置換電子吸引基(Cl、Br、I、Fなどのハロゲン;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなど〕;二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、およびこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部または全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕〔4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕が挙げられる。
【0043】
ジアミン成分としてこれらの他、ポリアミドポリアミン〔ジカルボン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミンなど〕、ポリエーテルポリアミン〔ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物など〕等が挙げられる。
【0044】
前記ポリエステル樹脂としてのラクトン開環重合物は、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどの炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物などの触媒を用いて、開環重合させることにより得ることができる。これらのうち、好ましいラクトンは、結晶性の観点からε−カプロラクトンである。
【0045】
また、開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、上記のラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物であってもよく、その末端を例えばカルボキシル基になるように変性したものであってもよい。また、市販品を用いてもよく、例えば、ダイセル株式会社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7などの高結晶性ポリカプロラクトンが挙げられる。
【0046】
前記ポリエステル樹脂としてのポリヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合することで得られるが、グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間もしくは3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物などの触媒を用いて、開環重合する方が分子量の調整の観点から好ましい。これらのうち、好ましい環状エステルは、結晶性の観点からL−ラクチド、およびD−ラクチドである。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
【0047】
本発明における結晶性樹脂は、結晶性部と非結晶性部をもつブロック樹脂であってもよく、結晶性部には、上記の結晶性樹脂を用いることができる。非結晶性部の形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、その限りではない。これらの非結晶性部の組成は、前記結晶性部と同様のものが挙げられ、使用するモノマーも、前記ジオール成分、前記ジカルボン酸成分、前記ジイソシアネート成分、および前記ジアミン成分が具体例として挙げられ、非結晶性樹脂となるものであれば、いかなる組合せでも構わない。
【0048】
本発明において結晶性樹脂は、活性水素基と反応可能な官能基を有する変性結晶性樹脂を結着樹脂前駆体として用い、水系媒体中で造粒する際に伸長または架橋反応させて得られる結晶性樹脂を含有してもよく、変性結晶性樹脂としては、上記の結晶性樹脂を用いることができる。前記変性された結晶性樹脂は、トナーの製造過程において、活性水素基を有する樹脂や、活性水素基を有する架橋剤や伸長剤などの化合物と反応させることで、樹脂を高分子量化させることができる。
前記活性水素基と反応可能な官能基としては特に制限はないが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基などの官能基が挙げられ、反応性や安定性の観点より好ましくはイソシアネート基などが挙げられる。
【0049】
前記変性結晶性樹脂としては、上記の活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂などが挙げられる。
前記活性水素基を有する樹脂および活性水素基を有する架橋剤や伸長剤などの化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記活性水素基と反応可能な官能基がイソシアネート基である場合には、活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられ、反応速度の観点から、アミン類が特に好適である。
末端にイソシアネート基を有する変性された結晶性樹脂をアミン類と反応させて得られる樹脂は、ウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂となる。
【0050】
前記アミン類としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。また、これらのアミノ基をケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)でブロックした、ケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
【0051】
本発明における結晶性樹脂は、第一の結晶性樹脂と、第一の結晶性樹脂よりも重量平均分子量(Mw)が大きい第二の結晶性樹脂を少なくとも含む構成であることがより好ましく、第一の結晶性樹脂に低温定着性を付与し、第二の結晶性樹脂に耐ホットオフセット性を付与させることで、相反する特性を機能分離できるため、より定着可能な温度範囲が広いトナーが得られる。また、前記第二の結晶性樹脂は、前述のイソシアネート基を有する変性された結晶性樹脂を伸長させてなる樹脂であることが良く、前記結着樹脂中により分子量の高い結晶性樹脂を形成させることができる点で好ましい。その際、前記第二の結晶性樹脂は、前記第一の結晶性樹脂を、活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂に変性させた変性結晶性樹脂を伸長させてなる樹脂であること好ましく、結着樹脂中に第二の結晶性樹脂が均一に微分散し、より低温定着性や耐ホットオフセット性に優れたトナーが得られる。
前記第一の結晶性樹脂の重量平均分子量は、定着性の観点から2,000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは5,000〜60,000、特に好ましくは8,000〜30,000である。2,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
前記第二の結晶性樹脂の重量平均分子量は、前記第一の結晶性樹脂の重量平均分子量よりも大きいことが好ましく、耐ホットオフセット性の観点かた10,000〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは30,000〜1000,000、特に好ましくは50,000〜500,000である。10,000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、1,000,000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
【0052】
本発明における結着樹脂としては、本発明の条件を満たしていれば、前記結晶性樹脂と共に非結晶性樹脂を併用してもよい。
前記非結晶性樹脂としては、非結晶性であれば特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリp−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合隊、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプロピル共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリチメルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン樹脂、変性ロジン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂など、および活性水素基と反応可能な官能基を有するように変性されたこれらの樹脂類が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0053】
本発明における結着樹脂前駆体とは、上述の結着樹脂を構成するモノマーやオリゴマー、および、上述の活性水素基と反応可能な官能基を有する変性された樹脂、オリゴマー類を含む伸長または架橋反応が可能な化合物を指し、本発明の条件を満たしていれば、これらは結晶性樹脂であっても非結晶性樹脂であってもよい。
【0054】
本発明における離型剤は、マイクロクリスタリンワックスに限定される。マイクロクリスタリンワックスは、原油の減圧蒸留残渣より分離精製された石油ワックスの一種で、ノルマルパラフィンの他、イソパラフィンやシクロパラフィンを多く含む離型剤である。マイクロクリスタリンワックスは、本発明で用いる結晶性樹脂への分散性に優れ、また、トナーを熱定着によって溶融する際に速やかに定着画像表面に染み出し、出力画像の表面を被覆することで耐擦性に優れた画像が得られる。
前記マイクロクリスタリンワックスの融解熱の最大ピーク温度としては、特に制限はないが、通常は55〜90℃であり、好ましくは60〜80℃、特に好ましくは60〜70℃である。55℃未満であると、トナーの硬度や耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、90℃を超えると、定着時における離型剤の染み出し性が低下し、本発明の効果が小さくなる。
【0055】
本発明における前記トナーの融解熱の最大ピーク温度T(℃)、前記離型剤の融解熱の最大ピーク温度Wp(℃)、および前記離型剤の融解開始温度Ws(℃)は、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定できる。測定に供する試料は、0℃から150℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、再度その温度から昇温速度10℃/分で昇温して得られるDSC曲線(2ndDSC)より、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度をTもしくはWpとした。また、前記離型剤の融解開始温度Wsは、前記離型剤のDSC曲線(2ndDSC)において、吸熱量の最大ピーク温度Wpより低温側における、曲線の傾き(但し、傾きは負の値)が最大となる温度における接線と、ベースラインを外挿した直線との交点の温度とした。
【0056】
前記トナーの融解熱の最大ピーク温度T(℃)、前記離型剤の融解熱の最大ピーク温度Wp(℃)、および前記離型剤の融解開始温度Ws(℃)は、Ws≦T≦Wpの関係を満たすことが好ましい。この関係を満たすことで、トナーの融解と共に、より効率的に離型剤が染み出すことができ、結果的に出力画像の耐擦性を向上させることに繋がる。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1,000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の融解熱の最大ピーク温度Wp(℃)と前記離型剤の融解開始温度Ws(℃)の差(Wp−Ws)は、特に制限はないが、通常は40℃以下であり、好ましくは10〜30℃、特に好ましくは10〜20℃である。40℃を超えると離型剤の染み出し性が低下する傾向にある。
【0057】
前記離型剤の25℃における針入度は、20以下であることがトナーの硬度の観点から好ましいが、特には15以下であることが好ましい。また、本発明における針入度は、JIS K 2235 5.4に規定される方法で測定することができる。針が垂直に進入した長さ(mm)の10倍で表した値である。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜15質量%が好ましく、4〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、2質量%より少ないと出力画像の耐擦性への効果が得づらくなり、15質量%を超えるとトナーの硬度や、耐熱保存性、流動性が悪化することがある。
【0058】
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0059】
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
【0061】
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
【0062】
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
【0063】
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0064】
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリブチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリp−クロロスチレン樹脂、ポリビニルトルエン樹脂などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などが挙げられる。
また、これらのマスターバッチ用樹脂は、本発明における結晶性樹脂であっても何ら問題ない。
【0066】
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。前記フラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
【0067】
本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、結着樹脂、着色剤、及び離型剤の他に、帯電制御剤、外添剤、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれもオリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれもヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
【0069】
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解及び/又は分散させてもよく、あるいは前記トナーの各成分と共に、溶解及び/又は分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
【0070】
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記結着樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.2〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
【0071】
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)がある。また、前記チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
【0072】
前記疎水化処理された酸化物微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。また、シリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が使用できる。
【0073】
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
【0074】
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、100nm以下が好ましく、3〜70nmがより好ましい。この範囲より小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。この範囲より大きいと、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけ好ましくない。前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、特に5〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含みかつ、30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。
【0075】
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
【0076】
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子と併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
【0077】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
【0078】
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、重量平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0079】
本発明におけるトナーの製法や材料は、条件を満たしていれば公知のものが全て使用可能であり、特に限定されるものではないが、例えば、混練粉砕法や水系媒体中にてトナー粒子を造粒する、いわゆるケミカル工法がある。本発明における結晶性樹脂は耐衝撃性が高く、混練粉砕法では10μm以下の粒子径まで粉砕するには、非常に高い粉砕エネルギーが必要となるため、結晶性樹脂を容易に造粒可能なケミカル工法が好ましい。また、混練粉砕法により得られるトナーは、結着樹脂と離型剤の界面で粉砕されやすいため、トナーの表面に離型剤が露出しやすく、トナーの硬度低下や、キャリアや感光体へのフィルミングの原因となる。一方、ケミカル工法ではトナー粒子中に離型剤を分散させるのに有利であり、トナー表面への離型剤の露出を抑えることができるので好ましい。
【0080】
前記水系媒体中にてトナー粒子を造粒するケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法などや、樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散及び/又は乳化させる溶解懸濁法、樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる転相乳化法、これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。これらの中でも、溶解懸濁法で得られるトナーであることが、結晶性樹脂による造粒性(粒度分布制御の容易さ、粒子形状の制御など)の観点からより好ましい。
【0081】
以下に、これらの製法についての詳細な説明をする。
前記混練粉砕法は、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
【0082】
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
【0083】
前記ケミカル工法では、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤を含有してなる微粒子を、水系媒体中に分散及び/又は乳化して前記トナーの母体粒子を造粒する方法である。
【0084】
樹脂を有機樹脂微粒子の水性分散液にする方法としては、特に限定されないが、以下の(a)〜(h)が挙げられる。
(a)ビニル系樹脂の場合において、モノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法または分散重合法等の重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法。
(b)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液を適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、その後に加熱したり、硬化剤を加えたりして硬化させて樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法。
(c)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加あるいは縮合系樹脂の場合において、前駆体(モノマー、オリゴマー等)またはその溶剤溶液(液体であることが好ましく、加熱により液状化させたものでも良い。)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
(d)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を機械回転式またはジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(e)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(f)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に溶剤を添加するか、またはあらかじめ溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次いで、溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下で水中に分散させる方法。
(g)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下で水性媒体中に分散させ、これを加熱または減圧等によって溶剤を除去する方法。
(h)あらかじめ高分子化反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であっても良い。)により作製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法。
【0085】
また、水系媒体中への乳化、分散に際し、必要に応じて、界面活性剤や、高分子系保護コロイド等を用いることもできる。
前記界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0086】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸、及び、その金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0087】
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
【0088】
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0089】
本発明のトナーは、少なくとも着色剤、結着樹脂及び/又は結着樹脂前駆体、及び離型剤を含有してなるトナー組成物を有機溶剤に溶解又は分散させた油相を、水系媒体中に分散及び/又は乳化してトナー粒子を造粒することにより得ることが好ましい。
結着樹脂や結着樹脂前駆体、着色剤及び離型剤を含むトナー組成物を溶解又は分散させる場合に用いる有機溶剤としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶剤除去が容易になる点から好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
【0090】
結着樹脂や結着樹脂前駆体、着色剤及び離型剤を含むトナー組成物を溶解又は分散させて得られる油相の固形分濃度は、40〜80%程度であることが好ましい。濃度が高すぎると、溶解又は分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらく、濃度が低すぎると、トナーの製造量が少なくなる。
【0091】
着色剤や離型剤などの樹脂以外のトナー組成物、およびそれらのマスターバッチなどは、それぞれ個別に有機溶剤に溶解または分散させ、前記樹脂溶解液又は分散液に混合しても良い。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0092】
トナー組成物100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。また、2000質量部を超えると経済的でない。
【0093】
前記水系媒体中には、無機分散剤または有機樹脂微粒子をあらかじめ水系媒体中に分散させていても良く、粒度分布がシャープになるとともに分散安定性の観点で好ましい。
前記無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ハイドロキシアパタイトなどが用いられる。
前記有機樹脂微粒子を形成する樹脂としては、水性分散体を形成しうる樹脂であれば、いかなる樹脂であっても使用でき、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、例えは、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、2種以上を併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすいという観点からビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの併用である。
【0094】
水系媒体中への乳化、分散の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは20〜80℃である。
【0095】
前記トナー組成物に前記結着樹脂前駆体を有する場合、前記結着樹脂前駆体が伸長または架橋反応するのに必要な前記活性水素基を有する化合物などを、水系媒体中で前記トナー組成物を分散する前に油相中にあらかじめ混合しておいても良いし、水系媒体中で混合しても良い。
【0096】
前記有機溶剤を得られた乳化分散体から除去するためには、公知の方法を使用することができる。
例えば、常圧または減圧下で系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶剤を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
【0097】
前記水系媒体中で凝集法を用いる場合は、上記の方法で得られるトナー組成物の水系媒体中への分散及び/又は乳化液を凝集させて造粒しても良いし、結着樹脂や結着樹脂前駆体、着色剤や離型剤などの樹脂以外のトナー組成物、およびそれらのマスターバッチなどを、それぞれ個別に水系媒体中に分散及び/又は乳化させた乳化分散体を一緒に凝集させることにより造粒される。これらの乳化分散体は、一度に加えても良いし何度かに分けて加えても良い。
【0098】
凝集状態の制御には、熱を加える、金属塩を添加する、またはpHを調整するなどの方法が好ましく用いられる。
前記金属塩としては特に制限はなく、塩を構成する一価の金属としてはナトリウム、カリウムなどが挙げられ、二価の金属としては、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられ、三価の金属としては、アルミニウムが挙げられる。
前記塩を構成する陰イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンが挙げられ、この内塩化マグネシウムや塩化アルミニウムおよびその複合体や多量体などが好ましい。
【0099】
また、凝集の途中や凝集完了後に加熱することで樹脂微粒子同士の融着を促進することができ、トナーの均一性という観点から好ましい。さらに加熱によりトナーの形状を制御することができ、通常、より加熱すればトナーは球状に近くなっていく。
【0100】
水系媒体に分散されたトナーの母体粒子を洗浄、乾燥する工程は、公知の技術が用いられる。
即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いても良いし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
【0101】
得られた乾燥後のトナー粉体と前記帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。
【0102】
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0103】
本発明における現像剤は、前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0104】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0105】
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0106】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0107】
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
【0108】
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
【0109】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
【0110】
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
【0111】
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0112】
前記現像剤が二成分現像剤である場合には、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
【0113】
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、クリーニング手段、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。また、前記現像手段は、内部に固定された磁界発生手段を有し、本発明の二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有していてもよい。
【0114】
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
【0115】
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
【0116】
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えばコロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
【0117】
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。また、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0118】
前記現像手段は、例えば、前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記二成分現像剤を収容し、前記静電潜像に前記二成分現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現像手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよく、例えば、前記二成分現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する二成分現像装置等が好適に挙げられる。
【0119】
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0120】
ここで、図1は、トナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤を用いた二成分現像装置の一例を示す概略図である。この図1の二成分現像装置では、二成分現像剤がスクリュー441によって攪拌及び搬送され、現像剤担持体としての現像スリーブ442に供給される。この現像スリーブ442に供給される二成分現像剤は層厚規制部材としてのドクターブレード443によって規制され、供給される現像剤量はドクターブレード443と現像スリーブ442との間隔であるドクターギャップによって制御される。このドクターギャップが小さすぎると、現像剤量が少なすぎて画像濃度不足になり、逆にドクターギャップが大きすぎると、現像剤量が過剰に供給されて静電潜像担持体としての感光体ドラム1上にキャリア付着が発生するという問題が生じる。そこで、現像スリーブ442内部には、その周表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁界発生手段としての磁石が備えられており、この磁石から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤が現像スリーブ442上にチェーン状に穂立ちされて磁気ブラシが形成される。
【0121】
現像スリーブ442と感光体ドラム1は、一定の間隙(現像ギャップ)を挟んで近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成されている。現像スリーブ442は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成しており、回転駆動機構(不図示)によって回転されるようになっている。磁気ブラシは、現像スリーブ442の回転によって現像領域に移送される。現像スリーブ442には現像用電源(不図示)から現像電圧が印加され、磁気ブラシ上のトナーが現像スリーブ442と感光体ドラム1間に形成された現像電界によってキャリアから分離し、感光体ドラム1上の静電潜像上に現像される。なお、現像電圧には交流を重畳させてもよい。
【0122】
前記現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度が好ましく、現像剤粒径が50μmであれば0.5〜1.5mmに設定することが好適である。これより現像ギャップ広くすると、望ましい画像濃度がでにくくなることがある。
【0123】
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム1のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
【0124】
前記転写手段としては、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、又は中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別され、いずれの転写手段でも特に制限されるものではなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができる。
【0125】
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
【0126】
前記定着手段としては、(1)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(内部加熱方式)と、(2)定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する態様(外部加熱方式)とに大別される。なお、両者を組み合わせたものを用いることも可能である。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものが挙げられる。このような加熱手段としては、例えばヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
【0127】
前記(2)の外部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材の少なくとも1つにおける表面の少なくとも一部が加熱手段により加熱される態様が好ましい。このような加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電磁誘導加熱手段などが挙げられる。前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好適である。前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好ましい。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルトなど)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
【0128】
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、本発明の現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
【0129】
前記現像手段としては、前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させる前記現像剤層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。具体的には、上記画像形成装置で説明した現像手段のいずれかを好適に用いることができる。また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
【0130】
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図2に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図2中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
【0131】
次に、図2に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナーにより現像され、現像されたトナー像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【実施例】
【0132】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0133】
[実施例1]
(結晶性樹脂A1の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸241質量部、アジピン酸31質量部、1,4−ブタンジオール164質量部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.75質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで225℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水および1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂218質量部を、冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)82質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ22,000、融解熱の最大ピーク温度60℃の結晶性樹脂A1(ポリエステル/ポリウレタン樹脂)を得た。
【0134】
(非結晶性樹脂C1の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、1,2−プロパンジオール240質量部、テレフタル酸226質量部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.64質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水および1,2−プロパンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸8質量部、テトラブトキシチタネート0.5質量部を入れ、1時間反応させた後、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ7,500に達するまで反応を行って、ガラス転移温度61℃、融解熱の最大ピーク温度65℃の非結晶性樹脂C1(ポリエステル樹脂)を得た。
【0135】
(着色剤マスターバッチP1の製造例)
結晶性樹脂A1を100質量部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100質量部、イオン交換水30質量部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス/三井鉱山(株)製)にて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率が1:1である着色剤マスターバッチP1を作製した。
【0136】
(ワックス分散液W1の製造例)
冷却管、温度計および撹拌機を装備した反応容器に、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が69℃、融解開始温度Wsが57℃、25℃における針入度が5のマイクロクリスタリンワックス(Hi−Mic−1090/日本精蝋社製)を20質量部、酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液W1を得た。
【0137】
(トナー1の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相1]を得た。なお、[油相1]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
次に、撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、イオン交換水90質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル型ノニオン界面活性剤(NL450、第一工業製薬社製)の5質量%水溶液3質量部、および酢酸エチル10質量部を40℃で混合撹拌させて水相溶液を作製し、50℃に保たれた[油相1]を50質量部を加え、40〜50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数13,000rpmで1分間混合して、[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、60℃で6時間脱溶剤して、[スラリー1]を得た。
【0138】
得られたトナー母粒子の[スラリー1]100質量部を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、[濾過ケーキ1]を得た。
得られた[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母粒子1]を作製した。
【0139】
次に、得られた[トナー母体粒子1]100質量部に疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合して、体積平均粒径5.6μmの[トナー1]を作製した。
得られた[トナー1]について、以下の評価を実施し、結果を表4に示した。
【0140】
(キャリアの製造例)
本発明における二成分系現像剤に用いられるキャリアは以下のように製造した。
芯材として、Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm)5000部、並びに、被覆材として、トルエン450部、シリコーン樹脂SR2400(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%)450部、アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)10部、およびカーボンブラック10部をスターラーで10分間分散して調製されたコート液を用いて、前記芯材とこのコート液と流動床内において回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間の条件で焼成し、キャリアAを得た。
【0141】
(二成分現像剤の製造例)
[キャリアA]100質量部に対し上記で作成したトナー7質量部を、容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで3分間均一混合し帯電させた。本発明においては、キャリアA200gとトナー14gを内容積500mlのステンレス容器に入れて混合を行った。
【0142】
また、以上作製した二成分現像剤について、接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置(画像形成装置A)のシアン現像ユニットに装填して画像形成を行い、トナー及び現像剤の性能評価を行った。
【0143】
以下に、本発明における性能評価に使用した画像形成装置Aについて詳細を説明する。
図3に示す画像形成装置A 100は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム型現像器120は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図3中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光手段21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着手段25が配置されている。
なお、タンデム画像形成装置100においては、二次転写手段22及び定着手段25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
【0144】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成について説明する。
即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図4に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図4中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング手段63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0145】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つから記録媒体を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上の記録媒体を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写手段22との間に記録媒体を送出させ、二次転写手段22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング手段17によりクリーニングされる。
【0146】
カラー画像が転写され形成された前記記録媒体は、二次転写手段22により搬送されて、定着手段25へと送出され、定着手段25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該記録媒体上に定着される。その後、該記録媒体は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えて反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【0147】
以下に、本発明におけるトナー及び現像剤の性能評価の方法について詳細を説明する。
<低温定着性(定着下限温度)>
画像形成装置Aを用い、転写紙(NBSリコー製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.1mg/cm2のシアン単色のベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着下限温度は低い程、低温定着性に優れる。結果を表3に示す。
【0148】
<耐ホットオフセット性(定着可能温度幅)>
画像形成装置Aを用い、転写紙(リコー製、タイプ6200)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.1mg/cm2のシアン単色のベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度と、定着下限温度との温度幅を定着可能温度幅とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/sである。定着可能温度幅は広い程、耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。結果を表3に示す。
【0149】
<耐擦性>
画像形成装置Aを用い、転写紙(NBSリコー製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナー付着量が0.85±0.1mg/cm2のシアン単色の紙全面ベタ画像を作成し、トナーの定着下限温度+20℃に定着ベルトの温度を設定して定着を行い、得られた出力画像の表面を、S型摩擦試験器SUTHERLAND2000 Rub TESTER(Danilee Co.社製)を用いて、加重800gにて再生紙((株)NBSリコー製、再生紙 資源 タイプA)で文字画像を50回摺擦し、画像表面の摺擦傷の程度をランク見本と比較してランク評価を行った。ランクは1.0〜5.0まで0.5単位で評価を行い、5.0に近いほど結果に優れ、4.0以上であれば従来の出力画像並みである。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は280mm/sで実施し、A4横方向で通紙を行った。
〔評価基準〕
ランク5.0:若干の光沢度変化があるが、目視では殆ど摺擦傷が無い
ランク4.0:光沢度変化があり、若干の摺擦傷がある
ランク3.0:光沢度変化が大きく、明らかな摺擦傷がある
ランク2.0:明らかな摺擦傷があり、下地の転写紙が僅かに見える
ランク1.0:画像の多くが剥がれ、下地の転写紙が見える
【0150】
<耐熱保存性>
50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度を測定し、下記基準で耐熱保存性を評価した。なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が150未満であるものは、使用上、問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
◎:針入度が250以上
○:針入度が200以上250未満
△:針入度が150以上200未満
×:針入度が100以上150未満
××:針入度が100未満
【0151】
[実施例2]
(トナー2の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を84質量部、酢酸エチル84質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相2]を得た。
前記[油相2]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー2]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0152】
[実施例3]
(結晶性樹脂A2の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸283質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水および1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂249質量部を、冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)82質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ20,000、融解熱の最大ピーク温度65℃の結晶性樹脂A2(ポリエステル/ポリウレタン樹脂)を得た。
【0153】
(着色剤マスターバッチP2の製造例)
結晶性樹脂A2を、結晶性樹脂A1の代わりに使用した事以外は、実施例1の着色剤マスターバッチP1と同様にして着色剤マスターバッチP2を作製した。
【0154】
(トナー3の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相3]を得た。
前記[油相3]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.5μmの[トナー3]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0155】
[実施例4]
(結晶性樹脂A3の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ドデカン二酸322質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水および1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂269質量部を、冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル280質量部、トリレンジイソシアネート(TDI)85質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ18,000、融解熱の最大ピーク温度68℃の結晶性樹脂A3(ポリエステル/ポリウレタン樹脂)を得た。
【0156】
(着色剤マスターバッチP3の製造例)
結晶性樹脂A3を、結晶性樹脂A1の代わりに使用した事以外は、実施例1の着色剤マスターバッチP1と同様にして着色剤マスターバッチP3を作製した。
【0157】
(トナー4の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A3]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP3]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相4]を得た。
前記[油相4]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー4]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0158】
[実施例5]
(結晶性樹脂A4の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、セバシン酸142質量部、ジメチルテレフタル酸136質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部および縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水および1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた結晶性樹脂247質量部を、冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル270質量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)123質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ11,000、融解熱の最大ピーク温度52℃の結晶性樹脂A4(ポリエステル/ポリウレタン樹脂)を得た。
【0159】
(着色剤マスターバッチP4の製造例)
結晶性樹脂A4を、結晶性樹脂A1の代わりに使用した事以外は、実施例1の着色剤マスターバッチP1と同様にして着色剤マスターバッチP4を作製した。
【0160】
(トナー5の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A4]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP4]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相5]を得た。
前記[油相5]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー5]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0161】
[実施例6]
(非結晶性樹脂C2の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物215質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物132質量部、テレフタル酸126質量部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート1.8質量部を入れ、窒素気流下にて230℃で、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸8質量部を入れ、5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ10,000に達するまで反応を行って、ガラス転移温度60℃、融解熱の最大ピーク温度68℃の非結晶性樹脂C2(ポリエステル樹脂)を得た。
【0162】
(トナー6の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C2]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相6]を得た。
前記[油相6]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.7μmの[トナー6]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0163】
[実施例7]
(結晶性樹脂A5の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、1,4−ブタンジオール126質量部、1,6−ヘキサンジオール215質量部、メチルエチルケトン(MEK)100質量部を入れて攪拌した後、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)341質量部を加え、窒素気流下にて80℃で8時間反応させた。次いで減圧下にてMEKを留去し、Mwがおよそ18,000、融解熱の最大ピーク温度59℃の結晶性樹脂A5(ポリウレタン樹脂)を得た。
【0164】
(着色剤マスターバッチP5の製造例)
結晶性樹脂A5を、結晶性樹脂A1の代わりに使用した事以外は、実施例1の着色剤マスターバッチP1と同様にして着色剤マスターバッチP5を作製した。
【0165】
(トナー7の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A5]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP5]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相7]を得た。
前記[油相7]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー7]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0166】
[実施例8]
(トナー8の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を53質量部、酢酸エチル53質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を62質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相8]を得た。
前記[油相8]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー8]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0167】
[実施例9]
(トナー9の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を66質量部、酢酸エチル66質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を36質量部、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相9]を得た。
前記[油相9]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.5μmの[トナー9]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0168】
[実施例10]
(トナー10の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を84質量部、酢酸エチル84質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相10]を得た。
前記[油相10]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー10]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0169】
[実施例11]
(結晶性樹脂前駆体B2の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)247質量部、酢酸エチル247質量部を入れ、更に[結晶性樹脂A2]を249質量部を酢酸エチル249質量部に溶解させた樹脂溶液を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
【0170】
(トナー11の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相11]を得た。なお、[油相11]の温度は容器内にて50℃に保つようにし、結晶化しないように作成から5時間以内に使用した。
次に、撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、イオン交換水90質量部、分散安定用の有機樹脂微粒子(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の25質量%分散液(三洋化成工業社製)3部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業製)16部および酢酸エチル5質量部を40℃で混合撹拌させて水相溶液を作製し、50℃に保たれた[油相11]を80質量部およびイソホロンジアミン7質量部を加え、40〜50℃にてTKホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数11,000rpmで1分間混合して、[乳化スラリー11]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー11]を投入し、60℃で6時間脱溶剤した後、45℃で10時間、未反応の結晶性樹脂前駆体を反応(熟成)させ、[スラリー11]を得た。
前記[スラリー11]を、[スラリー1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー11]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0171】
[実施例12]
(トナー12の製造例)
[結晶性樹脂A1]を39質量部、[非結晶性樹脂C1]を45質量部、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が69℃、融解開始温度Wsが57℃、25℃における針入度が5のマイクロクリスタリンワックス(Hi−Mic−1090/日本精蝋社製)を4質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80〜120℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて200〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が5.5±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が6.1±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、[トナー母粒子12]を得た。
前記[トナー母粒子12]を、[トナー母粒子1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径6.1μmの[トナー12]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0172】
[実施例13]
(トナー13の製造例)
水100質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)5質量部、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液2質量部を混合した水相へ、前記[油相1]100質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、[乳化スラリー13]を得た。
次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、前記[乳化スラリー13]を投入し、60℃で4時間脱溶剤して、スラリーを得た。得られたスラリー中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
撹拌機および温度計をセットした容器に、水1000質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3質量%水溶液5質量部、前記スラリー800質量部を加え、2質量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した後、攪拌しながらイオン交換水40質量部に塩化マグネシウム6水和物40質量部を溶解した液を少量ずつ加えながら80℃まで加熱した。凝集粒子が5.6μmに成長するまで80℃に維持し、[スラリー13]を得た。
前記[スラリー13]を、[スラリー1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー13]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0173】
[実施例14]
(ワックス分散液W2の製造例)
冷却管、温度計および撹拌機を装備した反応容器に、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が60℃、融解開始温度Wsが42℃、25℃における針入度が20のマイクロクリスタリンワックス(Hi−Mic−1070/日本精蝋社製)を20質量部、酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液W2を得た。
【0174】
(トナー14の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W2]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相14]を得た。
前記[油相14]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.5μmの[トナー14]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0175】
[実施例15]
(ワックス分散液W3の製造例)
冷却管、温度計および撹拌機を装備した反応容器に、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が82℃、融解開始温度Wsが64℃、25℃における針入度が8のマイクロクリスタリンワックス(Hi−Mic−2095/日本精蝋社製)を20質量部、酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液W3を得た。
【0176】
(トナー15の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W3]を20質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相15]を得た。
前記[油相15]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー15]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0177】
[実施例16]
(ワックス分散液W4の製造例)
冷却管、温度計および撹拌機を装備した反応容器に、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が58℃、融解開始温度Wsが39℃、25℃における針入度が13のマイクロクリスタリンワックス(Hi−Mic−2065/日本精蝋社製)を20質量部、酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液W4を得た。
【0178】
(トナー16の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W4]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相16]を得た。
前記[油相16]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.7μmの[トナー16]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0179】
[実施例17]
(トナー17の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を36質量部、酢酸エチル36質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W1]を50質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル32質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液]を84質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相17]を得た。
前記[油相17]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.7μmの[トナー17]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0180】
[実施例18]
画像形成装置Aにおける静電潜像担持体、帯電装置、現像手段およびクリ−ニング装置を、プロセスカ−トリッジとして一体に結合して構成し、着脱可能なように改造した画像形成装置Bを、画像形成装置Aの代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0181】
[比較例1]
(ワックス分散液W5の製造例)
冷却管、温度計および撹拌機を装備した反応容器に、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が67℃、融解開始温度Wsが48℃、25℃における針入度が10のブロードな吸熱量ピーク幅を有するパラフィンワックス(Be Square 180White/東洋アドレ社製)を20質量部、酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液W5を得た。
【0182】
(トナー18の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W5]を20質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相18]を得た。
前記[油相18]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー18]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0183】
[比較例2]
(ワックス分散液W6の製造例)
冷却管、温度計および撹拌機を装備した反応容器に、融解熱の最大吸熱ピーク温度Wp(融点)が68℃、融解開始温度Wsが63℃、25℃における針入度が9のシャープな吸熱量ピーク幅を有するパラフィンワックス(HNP−11/日本精蝋社製)を20質量部、酢酸エチル80質量部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、さらにウルトラビスコミル(アイメックス製)にて、送液速度1.0Kg/hr、ディスク周速度:10m/秒、0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、ワックス分散液W6を得た。
【0184】
(トナー19の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を90質量部、[ワックス分散液W6]を20質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相19]を得た。
前記[油相19]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー19]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0185】
[比較例3]
(トナー20の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A2]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W5]を20質量部、[着色剤マスターバッチP2]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[結晶性樹脂前駆体B2の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相20]を得た。
前記[油相20]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー20]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0186】
[比較例4]
(非結晶性樹脂C3の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物215質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物132質量部、テレフタル酸100質量部、アジピン酸26質量部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート1.8質量部を入れ、窒素気流下にて230℃で、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸5質量部を入れ、5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ6,000に達するまで反応を行った。
得られた非結晶性樹脂239質量部を、冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に移し、酢酸エチル250質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)47質量部を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去し、Mwがおよそ20,000、ガラス転移温度54℃、融解熱の最大ピーク温度62℃の非結晶性樹脂C3(ポリエステル/ポリウレタン樹脂)を得た。
【0187】
(非結晶性樹脂前駆体B3の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)142質量部、酢酸エチル150質量部を入れ、更に[非結晶性樹脂C3]を239質量部を酢酸エチル239質量部に溶解させた樹脂溶液を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性樹脂前駆体B3の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
【0188】
(着色剤マスターバッチP6の製造例)
非結晶性樹脂C3を、結晶性樹脂A1の代わりに使用した事以外は、実施例1の着色剤マスターバッチP1と同様にして着色剤マスターバッチP6を作製した。
【0189】
(トナー21の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[非結晶性樹脂C3]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP6]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[非結晶性樹脂前駆体B3の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相21]を得た。
前記[油相21]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.8μmの[トナー21]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0190】
[比較例5]
(非結晶性樹脂C4の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2mol付加物215質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物132質量部、テレフタル酸100質量部、アジピン酸26質量部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート1.8質量部を入れ、窒素気流下にて230℃で、生成する水を留去しながら6時間反応させた。次いで5〜20mmHgの減圧下にて1時間反応させ、180℃まで冷却させた後、無水トリメリット酸5質量部を入れ、5〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ22,000に達するまで反応を行って、ガラス転移温度52℃、融解熱の最大ピーク温度60℃の非結晶性樹脂C4(ポリエステル樹脂)を得た。
【0191】
(非結晶性樹脂前駆体B4の製造例)
冷却管、撹拌機および窒素導入管を装備した反応槽中に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)142質量部、酢酸エチル150質量部を入れ、更に[非結晶性樹脂C4]を239質量部を酢酸エチル239質量部に溶解させた樹脂溶液を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させ、末端にイソシアネート基を有する非結晶性樹脂前駆体B4の50質量%酢酸エチル溶液を得た。
【0192】
(着色剤マスターバッチP7の製造例)
非結晶性樹脂C4を、結晶性樹脂A1の代わりに使用した事以外は、実施例1の着色剤マスターバッチP1と同様にして着色剤マスターバッチP7を作製した。
【0193】
(トナー22の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[非結晶性樹脂C4]を39質量部、酢酸エチル39質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[ワックス分散液W1]を20質量部、[着色剤マスターバッチP7]を12質量部および酢酸エチル50質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、更に[非結晶性樹脂前駆体B4の50質量%酢酸エチル溶液]を90質量部加え、50℃にてTK式ホモミキサーで回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相22]を得た。
前記[油相22]を、[油相11]の代わりに使用した事以外は、実施例11と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー22]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0194】
[比較例6]
(トナー23の製造例)
温度計および攪拌機を装備した容器に、[結晶性樹脂A1]を36質量部、酢酸エチル36質量部を入れ、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させ、[非結晶性樹脂C1]の50質量%酢酸エチル溶液を84質量部、[ワックス分散液W5]を50質量部、[着色剤マスターバッチP1]を12質量部および酢酸エチル32質量部を加え、50℃にてTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で回転数10,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相23]を得た。
前記[油相23]を、[油相1]の代わりに使用した事以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径5.6μmの[トナー23]を作製し、トナーおよび現像剤の性能評価を行った。
【0195】
【表1】

【0196】
【表2】

【0197】
【表3】

【符号の説明】
【0198】
1 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18 画像形成手段
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
60 帯電器
61 現像器
62 転写帯電器
63 クリーニング手段
64 除電器
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
424 現像装置
441 スクリュー
442 現像スリーブ
443 ドクターブレード
【先行技術文献】
【特許文献】
【0199】
【特許文献1】特公平4−24702号公報
【特許文献2】特公平4−24703号公報
【特許文献3】特許第3910338号公報
【特許文献4】特開2010−77419号公報
【特許文献5】特許第3360527号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤を含有してなるトナーであって、該結着樹脂はウレタン骨格及び/又はウレア骨格を有してなる結晶性樹脂を50質量%以上含有し、該離型剤はマイクロクリスタリンワックスであることを特徴とする電子写真用トナー。
【請求項2】
前記結晶性樹脂は、アルコール成分と酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂を、少なくとも2価以上のイソシアネート化合物との反応によって、伸長及び/又は架橋反応して得られるポリウレタン樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【請求項3】
前記結晶性樹脂として、第一の結晶性樹脂と、該第一の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第二の結晶性樹脂と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
【請求項4】
前記第二の結晶性樹脂は、末端にイソシアネート基を有する変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする請求項3に記載の電子写真用トナー。
【請求項5】
前記第二の結晶性樹脂は、前記第一の結晶性樹脂を活性水素基と反応可能な官能基を有する結晶性樹脂に変性させた変性結晶性樹脂を伸長させてなるものであることを特徴とする請求項3に記載の電子写真用トナー。
【請求項6】
前記トナーの示差走査熱量計(DSC)で測定される融解熱の最大ピーク温度をT(℃)、前記離型剤のDSCで測定される融解熱の最大ピーク温度をWp(℃)、前記離型剤のDSCで測定されるDSC曲線において、該最大ピーク温度Wpより低温側の曲線の傾き(但し、傾きは負の値)が最大となる温度における接線と、ベースラインを外挿した直線との交点の温度を融解開始温度Ws(℃)としたとき、Ws≦T≦Wpの関係を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナー。
【請求項7】
前記離型剤の25℃における針入度が、15以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項9】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤が、請求項8に記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記現像剤が、請求項8に記載の現像剤であることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−68795(P2013−68795A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207195(P2011−207195)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】