説明

電子写真用帯電ローラー

【課題】エピクロルヒドリンゴムを用いた電子写真装置用帯電ローラーにて、帯電ローラーの接着層の凹みが原因の「黒もや」と呼ばれる画像不良を出さないことにある。
【解決手段】導電性基体上に接着剤層が形成され、該接着剤層の上にゴム層が形成された構成を持つローラーにおいて、該接着剤層に繊維状物質、または発泡体の中から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とし、かつ、該ゴムがアルキレンオキサイドを70モル%以上含有するエピクロロヒドリンゴムであることを特徴とした電子写真用帯電ローラー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性基体上に接着剤層が形成され、該接着剤層の上にゴムよりなる弾性層が形成された構成を持つ電子写真用帯電ローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について具体例により詳細に説明する。
(1)電子写真画像形成装置
図1は、本発明の電子写真用帯電ローラーを具備した電子写真画像形成装置例の概略構成図である。本例の画像形成装置は、転写式電子写真利用の反転現像方式、現像兼クリーニング方式(クリーナーレス)の装置である。
【0003】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体であり、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0004】
2は電子写真感光体の帯電手段としての帯電ローラーであり、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させてあり、本例では帯電ローラーを駆動し、電子写真感光体1と等速回転する。この帯電ローラー2に対して帯電バイアス印加電源S1から所定の直流電圧(この場合−1300Vとした)が印加されることで電子写真感光体1の表面が所定の極性電位(暗部電位−700Vとした)に一様に接触帯電方式・DC帯電方式で帯電処理される。
【0005】
3は露光手段であり、例えばレーザービームスキャナーである。電子写真感光体1の帯電処理面に露光手段3により目的の画像情報に対応した露光Lがなされることにより、電子写真感光体の表面電位が露光明部の電位(明部電位−120Vとした)に選択的に低下(減衰)して静電潜像が形成される。
【0006】
4は反転現像手段であり、電子写真感光体の静電潜像の露光明部に、電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電(現像バイアス−350V)しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー画像として可視化する。図中、4aは現像ローラー、4bはトナー供給ローラー、4cはトナー層厚規制部材を示す。
【0007】
5は転写手段としての転写ローラーであり、電子写真感光体1に所定の押圧力で接触させて転写部を形成させてあり、電子写真感光体の回転と順方向に電子写真感光体の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源S2からトナーの帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加される。転写部に対して不図示の給紙機構部から転写材Pが所定の制御タイミングで給紙され、その給紙された転写材Pの裏面が転写電圧を印加した転写ローラー5によりトナーの帯電極性とは逆極性に帯電されることにより、転写部において電子写真感光体1上のトナー画像が転写材Pに静電転写される。
【0008】
転写部でトナー画像の転写を受けた転写材は、電子写真感光体から分離されて、不図示のトナー画像定着手段へ導入されてトナー画像の定着処理を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機構に導入されて転写部へ再導入される。
【0009】
転写残余トナー等の電子写真感光体上の残留物は、帯電ローラー2により電子写真感光体の帯電極性と同極性に帯電される。そしてその転写残余トナーは、露光部を通って現像手段4に至って、バックコントラストにより電気的に現像装置内に回収され、現像兼クリーニング(クリーナーレス)が達成されている。
【0010】
本例では、電子写真感光体1、帯電ローラー2、現像手段4を一体に支持し、電子写真画像形成装置本体に着脱自在のプロセスカートリッジ6としている。この際現像手段4は別体としてもよい。
【0011】
(2)帯電ローラー
帯電ローラーは図2に示すような部材であり、導電性支持体2aと、その外周に接着層2b、その外周に形成された弾性層2cと該弾性層の外周に形成された表面高分子層2dから構成されている。
【0012】
本発明に用いられる導電性基体2aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施してもさしつかえないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0013】
帯電ローラーについての一般的構成を以下に説明する。なお、接着層と弾性層の材料以外は本願発明の説明と共通して記載した。
帯電ローラー2において、弾性層2cは被帯電体としての電子写真感光体に対する給電や、電子写真感光体1に対する良好な均一密着性を確保するために適当な導電性と弾性を持たせてある。また、帯電ローラー2と電子写真感光体1の均一性密着性を確保するために弾性層2cを研磨によって中央部を一番太く、両端部に行くほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電ローラー2が、支持体2aの両端部に所定の押圧力を与えて電子写真感光体1と当接されているので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラー1の真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状は、これを防止するために形成する。
【0014】
弾性層2cの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子伝導性を有する導電剤、及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加することにより1×1010Ωcm未満1×101Ωcm以上に調整されるのがよい。
【0015】
弾性層2cの具体的な弾性材料としては、一般には、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピハロヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。また、弾性層2cはこれらの弾性材料を発泡成型した発泡体であってもよい。
【0016】
弾性層2cは導電性基体2aと接着剤層2bにて接着される。接着剤層2bの機能としては弾性層2cへの給電のため、導電性が必要となる。導電剤としてはカーボン、銀ペースト、金属紛等が適宜用いられる。接着剤にはフェノール系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤等が挙げられる。
【0017】
表面高分子層2dは、帯電ローラーの表面を構成し、被帯電体である感光体と接触するため感光体を汚染してしまう材料構成であってはならない。
【0018】
本発明の特性を発揮させるための表面高分子層2dの結着樹脂材料としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。本発明における表面高分子層の材料としては、特にはフッ素樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等が好ましい。
【0019】
表面層には、各種導電剤(導電性カーボン、グラファイト、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉及び金属酸化物である導電性酸化錫や導電性酸化チタン等)を適宜用いる。
【0020】
(3)帯電ローラーの課題
先述のとおり、帯電ローラーは電子写真感光体を帯電させる役割を持つ。良好な画質を得るためには、感光体を均一に帯電させることが必要で、均一に帯電させるためには帯電ローラーの形状精度を高めること、および、電気抵抗を全面に均一にすること等が非常に重要である。形状高精度化、電気抵抗の均一化は難解な課題であり、帯電ローラーは電子写真装置の性能を左右する重要な部品である。
【0021】
近年、弾性層にエチレンオキサイド高含有のゴムが使用され始め、それに伴い”黒もや”と呼ばれる画像不良が発生している。これはハーフトーン画像を出力した際、幅および高さが数ミリから数センチの領域で画像濃度が濃い部分が発生する現象で、帯電ローラーの電子写真感光体との接触面の凹みが原因と考えられている。
【0022】
帯電ローラーは電子写真感光体との接触部両サイドに形成される微小空隙で剥離放電を生じさせることにより帯電させるが、帯電ローラーの電子写真感光体との接触面に凹みがあると、微小空隙の帯電ローラーと電子写真感光体との距離にムラが生じるため放電ムラが生じて画像不良となる。
【0023】
帯電ローラーの凹みは接着剤層の陥没が原因と考えられており、接着剤に要求される特性は接着力は当然必要だが、それに加えて、硬化後の接着剤層の強固さが必要となる。
【0024】
”黒もや”の発生はゴム材料として天然ゴム、EPDM、シリコーンゴム等を用いた場合では発生が確認されていな。
【0025】
しかし、これ等のゴム材料を用いた場合には、導電剤の分散不良等によるローラー内の導電性のばらつきが発生しやすく、それによる画像不良が起こる場合があり、改良が望まれている。これを解消するためにはゴム材料としてある程度導電性のあるエピハロヒドリンゴムを用いたローラーの使用が好ましい。しかしながらエピハロヒドリンゴムでは前記した“黒もや”が発生し易くこの改良が望まれる。
【0026】
そして、本特許発明者の近年の研究によりアルキレンオキサイド含有量が多いと”黒もや”が発生することがわかった。アルキレンオキサイド含有量が35%および40%のエピハロヒドリンゴムで作製されたローラーは”黒もや”の発生は見られないが、45%では量産されたローラーのうち、1%程度の確率で”黒もや”発生が確認され、50%を超えると約5%程度の”黒もや”発生が確認された。この5%という不良品率は量産のコストを上昇される原因となり、非常に重要な課題となっている。近年の帯電ローラーの弾性層に使用されるエピハロヒドリンゴムは、エピハロヒドリンゴム中のアルキレンオキサイド含有量の多いゴムを選定する傾向にある。これは、帯電ローラーにおけるエピハロヒドリンゴムは低抵抗が要求されるためであり、その結果としてアルキレンオキサイドの含有量が増加する傾向となっている。
【0027】
このような課題に対し、シアノアクリレート系接着剤を用い、浸透性クッション剤を介在して部材を接着する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、シアノアクリレート系接着剤では、エピハロヒドリンゴムは接着しないため、別の対策案が必要である。エピハロヒドリンゴムは導電性、耐環境性の点で他のゴムとは代替し難い材料であるため、エピハロヒドリンゴムに対して接着力と接着剤層が陥没しない強固さを両立した接着剤が必要である。
【特許文献1】特開2003−253218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電子写真装置における帯電ローラーの凹みによる”黒もや”の発生を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
即ち、本発明は、導電性基体上に接着剤層が形成され、該接着剤層の上にゴム層が形成された構成を持つローラーにおいて、該接着剤層に繊維状物質、または発泡体の中から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とし、かつ、該ゴムがアルキレンオキサイドを70モル%以上含有するエピハロヒドリンゴムであることを特徴とした電子写真用帯電ローラーである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、帯電ローラーの導電性支持体上の接着剤層において、エピハロヒドリンゴム中のアルキレンオキサイドと繊維状物質、または、発泡体が結合することにより接着層が強固になり、接着層凹みによる”黒もや”画像発生を防ぐことができる。このとき、エピハロヒドリンゴム中のアルキレンオキサイドの含有割合が70モル%未満だと、アルキレンオキサイド中の酸素原子の分子表面への存在割合が低くなるため、繊維状物質、または、発泡体との結合数が少なくなるため、強固な接着層が得られなくなる。
【0031】
また、接着剤層中にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、二トリルゴムの中から選ばれる少なくとも一つが含有されていることにより、繊維状物質、または、発泡体が凝集する速度を遅らせることができる。これにより、繊維状物質、または、発泡体が接着剤に添加されることによる副作用である、連続塗工可能時間の短縮を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明について具体例により詳細に説明する。
本発明の帯電ローラーは先述のとおり、図2に示される多層構造をしている。本発明は接着剤層2bに繊維状物質、または発泡体の中から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とし、弾性層2cにアルキレンオキサイドを70モル%以上含有するエピハロヒドリンゴムであることを特徴とする。
【0033】
エピハロヒドリンゴムには、主にエピクロルヒドリンゴムが用いられる。エピクロルヒドリンゴムは、エピクロルヒドリンの1元系ポリマー、もしくは、エピハロヒドリンとアルキレンオキサイドとの2元系ポリマー、さらに、これにアリルグリシジルエーテルを加えた3元系ポリマーの3種類のポリマーが用いられるが、この中で、耐老化性が優れるアリルグリシジルエーテルを加えた3元系ポリマーを用いるのが望ましい。3元系ポリマー中のアリルグリシジルエーテルの比率は5モル%程度のものが用いられる。
【0034】
ここで、繊維状物質とは直径0.1nm以上50μm以下の糸形状の高分子化合物を指す。糸に限らず布、不織布もしくは紙を裁断して糸状にしたものでもさしつかえない。具体的な材料としてはポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、アクリル、コットン、ウール、アラミド等が挙げられる。吸水性の高い材料が望ましいが、これに限らない。
【0035】
ここで、発泡体とは空孔部分を複数有する構造の高分子化合物を指す。具体的な例としては発泡ゴム、発泡ポリウレタン、発泡スチロール、発泡ポリオレフィン、発泡ポリスチレン等が挙げられる。
【0036】
接着剤への繊維状物質、または、発泡体添加により接着剤の連続塗工可能時間が短縮するという副作用がある。この対策として、接着剤にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、二トリルゴムを混合することが挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明について具体例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0038】
下記の要領で表1および表2に示される実施例、比較例の帯電ローラーを各例1000本ずつ作製し、”黒もや”確認、形状測定を行った。
【0039】
<接着剤の塗布>
接着剤塗布方法は2通り例を挙げる。
【0040】
塗布方法1
繊維状物質、および発泡体はロータリークラッシャーNR-08(三庄インダストリー株式会社製)にて粉砕した後、目開き500μmのメッシュにのせ、水を流してふるいにかけた。ふるいを通ったものを40℃にて1日乾燥させ、接着剤100部に対し1質量部添加し、さらに、非導電性接着剤には銅パウダーを5質量部添加して、φ1.0mmのガラスビーズ(分散補助用)とともにペイントシェーカーにて12時間分散した。
【0041】
ろ過によりガラスビーズを除去した接着剤はメチルエチルケトン(MEK)で希釈して8.0mPa・sに粘度調整し、図3に示されるロールコーターにて導電性支持体2aであるステンレス製支持体に接着剤を膜厚30μm塗布した。
【0042】
使用したロールコーターはφ40mmの真鍮製塗布ロール11の表面にローレットが刻んであり、真鍮製塗布ロール11が回転することによりローレットの溝に接着剤12が浸されて汲み上げられ、真鍮製塗布ロールにより追従回転するステンレス製支持体2aに塗布される塗布装置である。回転速度は60rpmにて塗布した。
【0043】
塗布方法2
導電性支持体2aであるステンレス製支持体に発泡体を基体とする両面粘着テープを巻きつけ、その上にロールコーターにて接着剤を塗布して両面テープに含浸させた。
【0044】
<弾性層の作製>
エピクロルヒドリンゴム 100質量部
四級アンモニウム塩 2質量部
カーボンブラック 3質量部
炭酸カルシウム 60質量部
脂肪酸塩 2質量部
以上の材料を60℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練した後、エピクロルヒドリンゴム100質量部に対してエーテルエステル系可塑剤15質量部を加え、20℃に冷却した密閉型ミキサーで更に20分間混練し、原料コンパウンドを調製した。このコンパウンドに原料ゴムのエピクロルヒドリンゴム100質量部に対し加硫剤としての硫黄1質量部、加硫促進剤としてのノクセラーDM1質量部及びノクセラーTS0.5質量部を加え、20℃に冷却した2本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドを、ローラー状になるように押出成型機にて成型し、150℃にて1時間加熱加硫成型した後、接着剤を塗布したφ6mmステンレス製支持体を挿入し、130℃にて1時間加熱後、ゴム部の外径が中央φ12mm、両端部11.9mmのクラウン形状になるように研磨処理して弾性層を形成した。
【0045】
なお、使用したエピクロルヒドリンゴムは3元系のエピクロルヒドリンゴムである。このゴムの3成分の組成比は表2に示す通りである。
【0046】
<表面高分子層の作製>
アクリルポリオール100質量部に対して、イソシアネート(HDI)10質量部と、カーボンブラック30質量部を混練した塗料をメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈し、ディッピング法にて弾性層の上に塗布して膜厚が10μmの高分子層を被覆形成し、ローラー形状の帯電部材を作製した。
【0047】
<”黒もや”発生確認方法>
作製された帯電ローラーを用いて出力した画像中に”黒もや”が無いかを確認した。画像出力の条件は、プロセススピード270mm/s、評価モードが、ハーフトーン画像、A4横送り、色はシアン、L/L(気温15℃/湿度10%RH)の環境で実施した。
”黒もや”が発生した本数を集計した。
【0048】
<形状測定方法>
ローラーを周方向に回転させながら軸方向に移動させて、レーザーにて外径を測定した。測定条件は軸方向2mmピッチ、周方向2度ピッチ。グラフを出力して凹みがないかを確認した。凹みのある帯電ローラーの本数を集計した。凹みが確認されたローラーは、ローラーの凹んでいる部分によって帯電された位置に黒もやがあるかを確認した。
【0049】
【表1】

なお、表1のアルキレンオキサイド含量はモル%を示す。
【0050】
【表2】

なお、表2の組成比はモル%を示す。
【0051】
【表3】

【0052】
実施例1〜4および実施例14〜17と比較例1よりアルキレンオキサイド含有量が70モル%以上のエピクロルヒドリンゴムの接着で、接着剤に繊維状物質もしくは発泡体を添加することにより”黒もや”発生を防ぐことができることがわかる。
【0053】
比較例1〜9より、アルキレンオキサイド含有量が70モル%未満のエピクロルヒドリンゴムの接着で、接着剤に繊維状物質もしくは発泡体を添加しても”黒もや”発生は防げないことがわかる。
【0054】
これらの結果より、エピクロルヒドリンゴムのアルキレンオキサイドの含有量が70モル%未満だと接着剤の種類に関わらず、”黒もや”の発生を防ぐことができないが、含有量が70モル%以上であれば、接着剤に繊維状物質もしくは発泡体を添加することにより”黒もや”が発生しなくなることがわかる。
【0055】
実施例1〜4と実施例5〜13を比較することにより、接着剤にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、二トリルゴムの中から選ばれる少なくとも一つが含有されていることにより接着塗装可能本数が少なくなるのを抑えることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の導電部材としての帯電ローラーの概略構成を表す図である。
【図3】接着剤を塗布する機械であるロールコーターの概略構成を表す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 像担持体(電子写真感光体)
2 帯電部材(帯電ローラー)
2a 支持体
2b 接着剤層
2c 弾性層
2d 被覆層(表面高分子層)
3 露光手段
4 現像手段
4a 現像ローラー
4b トナー供給ローラー
4c トナー層厚規制部材
5 転写ローラー
6 クリーニング手段
7 前露光手段
8 ステンレス製円筒電極
9 抵抗
10 レコーダー
11 塗布ロール
12 接着剤
S1,S2 バイアス印加電源
S3 外部電源
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体上に接着剤層が形成され、該接着剤層の上にゴムよりなる弾性層が形成された構成を持つローラーにおいて、該接着剤層に繊維状物質、または発泡体の中から選ばれる少なくとも一つを含有することを特徴とし、かつ、該ゴムがアルキレンオキサイドを70モル%以上含有するエピハロヒドリンゴムであることを特徴とした電子写真用帯電ローラー。
【請求項2】
前記接着剤層中にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン、ニトリルゴムの中から選ばれる少なくとも一つが含有されていることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用帯電ローラー。
【請求項3】
該弾性層の上に、さらに表面高分子層を有することを特徴とする電子写真用帯電ローラー。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の帯電ローラーを具備する電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−108319(P2007−108319A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297718(P2005−297718)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】