説明

電子写真装置の用紙搬送装置

【課題】搬送経路上に設けられる用紙紙詰まり検知用のセンサを不要とすることができる電子写真装置の用紙搬送装置を提供する。
【解決手段】電子写真装置の用紙搬送装置100は、用紙Pがその上を搬送される搬送経路104と、搬送経路104上で定着器を構成する定着ローラ101及び加圧ローラ102の対と、定着器の下流側において搬送経路104に設けられた出口センサ105とを備える。出口センサ105は、泥着ローラ101と加圧ローラ102の定着ニップ部を通って定着がなされた用紙Pを検出する。用紙搬送装置100は、さらに、搬送経路104の下方に設けられた巻き付き検知センサ201と、巻き付き検知センサ201を上下方向に移動するように設けられた巻き付き検知センサモータ202と、ホームポジション(HP)センサ203とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置の用紙搬送装置に関し、特に、用紙の紙詰まり紙詰まりを検出する電子写真装置の用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真装置の用紙搬送装置は、図9に示すように、用紙Pがその上を搬送される搬送経路104と、定着器を構成する定着ローラ101及び加圧ローラ102の対とを備える。定着ローラ101には、その温度を検出する温度センサ103が設けられている。用紙搬送装置は、定着器の上流側及び下流側において搬送経路104上に設けられた夫々フラグ式センサとしての出口センサ105及び入口センサ106とを備える。出口センサ105は、定着ローラ101と加圧ローラ102の定着ニップ部を通って定着がなされた用紙Pを検出し、入口センサ106は、定着ローラ101に用紙Pが巻き付く等の紙詰まりによる用紙Pの搬送停止を検出する(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、従来の電子写真装置は、画像形成部を構成する感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙Pに転写する際に、用紙Pを感光体ドラムに吸着しながら搬送し、下流側で用紙Pに分離バイアスを印加して分離しているが、分離不良で用紙Pが感光体ドラムに吸着したまま巻き付く恐れがある。そこで、感光体ドラムの上流側に上記と同様のフラグ式センサを設けて感光体ドラムへの用紙Pの巻き付きによる紙詰まりを検出している。
【特許文献1】特開平05−088586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術において、入口側に設けられたフラグ式センサは用紙Pが定着ニップ部に突入する際の突入角度を不安定にさせる場合があり、特に近年、再生紙等の薄紙ニーズが高まっている中で、こうしたコシの弱い用紙がそのような突入角度を不安定にする。
【0005】
また、プリント速度の高速化に伴い、定着器への巻き付き等の紙詰まりの際に定着ローラが停止するまでに要する用紙搬送距離やが長くなっているので、小サイズ用紙では後端部が定着ニップ部近傍まで入り込んでしまう場合もある。一方、それに合わせて入口側センサを定着器近傍に配置すると、熱によるセンサの故障や寿命への影響が問題となる。
【0006】
また、電子写真装置における感光体ドラムの上流側に設けられたフラグ式センサも上記と同様に、転写部に突入する用紙の角度を不安定にし、転写不良が発生する要因となる。
【0007】
本発明の目的は、搬送経路上に設けられる用紙紙詰まり検知用のセンサを不要とすることができる電子写真装置の用紙搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電子写真装置の用紙搬送装置は、用紙を搬送経路に沿って搬送する電子写真装置の用紙搬送装置において、所望のタイミングで搬送経路の用紙の有無を検出する用紙検知手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、用紙検知手段により所望のタイミングで搬送経路の用紙の有無を検出するので、搬送経路上に設けられる用紙紙詰まり検知用のセンサを不要とすることができ、その結果、用紙を安定的に搬送すると共に紙詰まりを防止することができるのに加えて、センサ故障や寿命への影響も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る用紙搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【0012】
図1において、電子写真装置の用紙搬送装置100は、用紙Pがその上を搬送される搬送経路104と、搬送経路104上で定着器を構成する定着ローラ101及び加圧ローラ102の対と、定着器の下流側において搬送経路104に設けられた出口センサ105とを備える。定着ローラ101には、その温度を検出する温度センサ103が設けられている。出口センサ105は、定着ローラ101と加圧ローラ102の定着ニップ部を通って定着がなされた用紙Pを検出する。
【0013】
用紙搬送装置100は、さらに、搬送経路104の下方に設けられた巻き付き検知センサ201と、巻き付き検知センサ201を上下方向に移動するように設けられた巻き付き検知センサモータ202と、ホームポジション(HP)センサ203とを備える。HPセンサ203は、上下方向に移動する巻き付き検知センサ201が搬送経路104外の所定のホームポジション位置にあることを検知する。用紙搬送装置100は、また、定着ローラ101を回転させる定着モータ307と、用紙Pを搬送する用紙搬送モータ308とを備える(図2)。
【0014】
出口センサ105、巻き付き検知センサ201、HPセンサ203、定着モータ307、用紙搬送モータ308、及び巻き付き検知センサモータ202は、夫々用紙搬送装置100の制御装置(図2)により制御される。
【0015】
図2は、図1の用紙搬送装置100の制御装置の機能ブロック図である。
【0016】
用紙搬送装置100の制御装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、入出力ポート(PIO)304と、ASIC305と、モータドライバ306とを備え、これらは互いにシステムバスで接続されている。
【0017】
CPU301は、本装置を全般的に制御する。ROM302は、CPU301の制御プログラムを格納しており、RAM303は、CPU301の制御フローの中で、一時的に格納するデータや、装置固有の調整データ等を格納している。
【0018】
PIO304は、出口センサ105、巻き付き検知センサ201、及びHPセンサ203の検知信号を入力する。一方、ASIC305は、定着モータ307、用紙搬送モータ308、巻き付き検知センサモータ202を、モータドライバ306を介して制御する。但し、各モータの起動タイミングや停止タイミング等は、CPU301の命令によって制御される。
【0019】
以下、図1の用紙搬送装置100によって実行される巻き付き検知処理を図3〜図7を参照して説明する。
【0020】
<巻き付き検知センサホームポジション制御処理>
図3は、図1の用紙搬送装置100によって実行される巻き付き検知センサホームポジション制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0021】
図3において、まず、電源が投入されると(ステップS101)、巻き付き検知センサ201が所望の搬送経路104外のホームポジションに待機するようホームポジション(HP)制御を開始する(ステップS102)。次いで、CPU301は、PIO304の格納値に基づいて、HPセンサ203が巻き付き検知センサ201が取り付けられている部材の一部を検知しているか否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別の結果、検知しているときは、HPセンサ203が該検知をしなくなるまで巻き付き検知センサ201を上方へ移動して(ステップS104)、ステップS103の判別を繰り返す。そして、HPセンサ203が検知しなくなったら(ステップS103でNO)、再び巻き付き検知センサ201を下方へ移動制御し(ステップS106)、HPセンサ203が再び巻き付き検知センサ201が取り付けられている部材の一部を検知したら(ステップS107でNO)、巻き付き検知センサモータ202を所定パルス動作させて停止して(ステップS108)、本処理を終了する。
【0022】
本実施の形態では、巻き付きセンサホームポジション制御処理を電源投入直後に行う場合を記載したが、復帰タイミング等を、電源投入直後に限らず、用紙搬送紙詰まり処理後や本体異常停止後に行う場合にも適用してもよい。
【0023】
<電源投入時巻き付き制御処理>
図4は、図1の用紙搬送装置によって実行される電源投入時巻き付き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0024】
本処理は、図3の巻き付きセンサホームポジション制御処理の後で実行される。
【0025】
図4において、まず、電源投入時巻き付き制御処理が開始されると(ステップS201)、巻き付き検知センサ201が搬送経路104内に向けて移動が開始される(ステップS202)。このとき、巻き付き検知センサ201は、ホームポジションからの移動となるため、巻き付き検知センサ201を予め定めた所定パルスだけ移動させて搬送経路内の用紙が接触するようにする(ステップS203)。次いで、巻き付き検知センサ201により用紙Pの有無を検知し(ステップS204)、用紙Pを検知したときは、後述する図6の紙詰まり処理を要求して装置の処理の動作を禁止して(ステップS205)、本処理を終了する。
【0026】
ステップS204の判別の結果、用紙Pがないときは、RAM303に格納された情報に基づいて、前回電源をOFFした際に、未処理のサービスコールが出ていたか否かを判別する(ステップS206)。ステップS206の判別の結果、未処理のサービスコール(サービス対応エラー)が出ていないときは、装置として異常はないので、定着温調制御及びその他の待機制御を実行して(ステップS208)、本処理を終了する。ステップS206の判別の結果、未処理のサービスコール(サービス対応エラー)があるときは、未処理の用紙Pが定着ローラ101に巻き付いている可能性があるので、サービスマンコールを出力して、装置の動作を停止して(ステップS207)、本処理を終了する。
【0027】
<定着紙詰まり停止時巻き付き検知制御処理>
図5は、図1の用紙搬送装置によって実行される定着紙詰まり停止時巻き付き検知制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0028】
本処理は、装置稼動中に定着紙詰まりが発生した際に実行される。
【0029】
図5において、まず、定着紙詰まりが発生して装置が停止すると(ステップS301)、巻き付き検知センサ201が搬送経路104内に向けて移動が開始される(ステップS302)。このとき、巻き付き検知センサ201は、ホームポジションからの移動となるため、巻き付き検知センサ201を予め定めた所定パルスだけ移動させて搬送経路内の用紙が接触するようにする(ステップS303)。次いで、巻き付き検知センサ201により用紙Pの有無を検知し(ステップS304)、用紙Pを検知したときは、後述する図6の紙詰まり処理を要求して装置の処理の動作を禁止して(ステップS305)、本処理を終了する。
【0030】
ステップS304の判別の結果、用紙Pがないときは、定着ローラ101に用紙が巻き付いている可能性があるので、サービス異常をRAM303に格納すると共に(ステップS306)、サービスマンコールを出力して、装置の動作を停止して(ステップS307)、サービスマンによる処理が終了するまでは、サービスコールを出し続け、サービス対応が済んだ後(ステップS308でYES)、RAM303に記憶されたサービス異常を消去(ステップS308)し、装置を作動させて(ステップS309)、本処理を終了する。
【0031】
図4又は図5の処理によれば、巻き付き検知センサ201により所望のタイミングで搬送経路104の用紙Pの有無を検出するので、搬送経路104上に設けられる用紙紙詰まり検知用のセンサを不要とすることができ、その結果、用紙Pを安定的に搬送すると共に紙詰まりを防止することができるのに加えて、センサ故障や寿命への影響も防止することができる。
【0032】
図6は、図4のステップS205又は図5のステップS305で要求される紙詰まり処理の手順を示すフローチャートである。
【0033】
図6において、図4の処理又は図5の処理において紙詰まり処理要求があったときに(ステップS305)、ユーザによりドアが開かれたことを検知すると(ステップS402でYES)、巻き付き検知センサ201を搬送経路104外に移動待機させる(ステップS403)。これは、ユーザが紙詰まり処理のために定着器の上流側に向かって用紙Pを引き出すように処理した際、巻き付き検知センサ201に連結された部材が、紙詰まりした用紙に引っ掛かることにより、紙詰まり処理作業を煩わせないようにするためである。
【0034】
次いで、ドアが閉められたことを検知すると(ステップS404でYES)、再び巻き付き検知センサ201を搬送経路104内に移動させ(ステップS405)、巻き付き検知センサ201により用紙Pの有無を検知し(ステップS304)、用紙Pを検知したときは、未だ紙詰まり処理が終了していないと判断して、ステップS401以降の処理を繰り返し、用紙Pを検知ないときは、正常に紙詰まり処理が終了したと判断して、装置を作動させて(ステップS407)、本処理を終了する。
【0035】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る用紙搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【0036】
図7において、電子写真装置の用紙搬送装置900は、用紙Pがその上を搬送される搬送経路904と、搬送経路904上において転写器を構成する感光体ドラム901及び転写ローラ902の対とを備える。感光体ドラム901は、電子写真方式による帯電、露光、現像されたトナー像を担持し、転写ローラ902は、感光体ドラム901と対向圧接して回動し、感光体ドラム上のトナー像を用紙に転写する際にバイアスが印加される。
【0037】
用紙搬送装置900は、さらに、搬送経路904の下方に設けられた巻き付き検知センサ911と、巻き付き検知センサ911を上下方向に移動するように設けられた巻き付き検知センサモータ912と、ホームポジション(HP)センサ913とを備える。HPセンサ913は、上下方向に移動する巻き付き検知センサ911が搬送経路904外の所定のホームポジション位置にあることを検知する。用紙搬送装置900は、また、感光体ドラム901を回転させるドラムモータ904と、用紙Pを搬送する用紙搬送モータ908とを備える(図8)。
【0038】
巻き付き検知センサ911、HPセンサ913、ドラムモータ907、用紙搬送モータ908、及び巻き付き検知センサモータ912は、夫々用紙搬送装置900の制御装置(図8)により制御される。
【0039】
図8は、図7の用紙搬送装置900の制御装置の機能ブロック図である。
【0040】
用紙搬送装置100の制御装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、入出力ポート(PIO)304と、ASIC305と、モータドライバ306とを備え、これらは互いにシステムバスで接続されている。
【0041】
CPU301は、本装置を全般的に制御する。ROM302は、CPU301の制御プログラムを格納しており、RAM303は、CPU301の制御フローの中で、一時的に格納するデータや、装置固有の調整データ等を格納している。
【0042】
PIO304は、巻き付き検知センサ911、及びHPセンサ913の検知信号を入力する。一方、ASIC305は、ドラムモータ907、用紙搬送モータ908、巻き付き検知センサモータ912を、モータドライバ306を介して制御する。但し、各モータの起動タイミングや停止タイミング等は、CPU301の命令によって制御される。
【0043】
図7の用紙搬送装置は、上記のような第1の実施の形態と同様の構成を有しているので、図4〜図6の各処理を実行することができ、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、電子写真方式による感光体ドラムを有する紙搬送装置や、熱定着方式によりトナーを紙に定着させる定着装置を有する、主に、プリンタ、複写機、FAX、印刷機等への利用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る用紙搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の用紙搬送装置100の制御装置の機能ブロック図である。
【図3】図1の用紙搬送装置100によって実行される巻き付き検知センサホームポジション制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の用紙搬送処理装置によって実行される電源投入時巻き付き制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の用紙搬送装置によって実行される定着紙詰まり停止時巻き付き検知制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図4のステップS205又は図5のステップS305で要求される紙詰まり処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る用紙搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【図8】図7の用紙搬送装置100の制御装置の機能ブロック図である。
【図9】従来の用紙搬送装置の構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0046】
100 用紙搬送装置
101 定着ローラ
102 加圧ローラ
103,913 ホームポジションモータ
104、914 搬送経路
201、911 巻き付き検知センサ
202、912 巻き付き検知センサモータ
901 感光体ドラム
902 転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送経路に沿って搬送する電子写真装置の用紙搬送装置において、
所望のタイミングで搬送経路の用紙の有無を検出する用紙検知手段を有することを特徴とする電子写真装置の用紙搬送装置。
【請求項2】
前記用紙検知検出手段は、待機時は前記用紙搬送経路外に配置され、前記用紙の有無を検知するときは前記搬送経路内に移動可能であることを特徴とする請求項1記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記用紙検知手段が前記用紙を検知したときに前記用紙の搬送を停止する停止手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記電子写真装置は、未定着トナーを用紙に熱定着させる定着ローラを前記搬送経路上に有しており、前記用紙検出手段は前記定着ローラの上流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記電子写真装置は、トナーを用紙に転送する感光体ドラムを前記搬送経路上に有しており、前記用紙検出手段は前記感光体ドラムの上流側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の用紙搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−230729(P2007−230729A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54998(P2006−54998)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】