説明

電子写真装置

【課題】
電子写真装置の小型化という方針を維持し、装置の設置面積の増大を抑え速度アップに対応可能な画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
中間転写ベルトを水平方向に配置し、中間転写ベルトの下方に感光体ベルトを上下に細長く配置し、前記感光体ベルトの周りに帯電器、光学部、現像機、清掃機をレイアウトし、前記感光体ベルトを中間転写ベルトに対して垂直方向から15°〜45°の範囲で傾斜させ、傾斜した前記感光体ベルトの上面側に帯電器、光学部、清掃機を夫々配置し、下面側に現像機を配置し、さらに前記感光体ベルトの一部とそれに隣接した他の色の感光体ベルトに対応して設けられた光学部の一部が上下方向においてオーバーラップする構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術を図3及び図4を用いて説明する。
【0003】
カラーの電子写真装置については、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナーを用いて各々感光体表面に画像を形成し、中間転写体を用いて各色の重ね合わせを行い用紙にカラー画像を転写するタンデム方式が広く知られている。
【0004】
タンデム方式のカラー画像形成装置は各色ごとに画像形成部が必要であるため、装置の小型化が重要である。従来は、感光体ドラムの一部とそれに隣接した感光体ドラムに対応して設けられた現像ユニットの一部が上下方向にオーバーラップして構成させることで、感光体ドラムの配列ピッチを短くして装置の小型化を図っている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方で、感光体ベルトを用いた構成の場合、図3に示す如く感光体ベルト1を水平方向に扁平に配置し、その周りに帯電器2、光学部3、現像機4、清掃機5、転写器6、をレイアウトし、中間転写ベルト7を垂直方向に細長く配置させ、ある色の現像機とその下側に隣接する他の色の清掃機を水平方向にオーバーラップさせた構成にすることで、上下方向の装置の小型化を図っている装置もある。
【0006】
【特許文献1】特開2003−255659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
感光体の周りに配置された帯電器、光学部、現像機、転写器、清掃機のなかで、光学部から現像機までの距離は装置の印刷速度(感光体の周速)、感光体の光感度、光学部の光量、により決定される数値である。ここで、もし装置の印刷速度をアップさせようとした場合、光量、感光体の光感度が一定であるとすれば、光学部から現像機までの距離は装置印刷速度(感光体の周速)の速度アップに比例して長くする必要がある。
【0008】
特許文献1に見られるように、感光体ドラムを用いたカラー電子写真装置では、帯電器、光学部、現像機、清掃機等、各ユニットが感光体ドラムを中心にレイアウトされており、速度アップに対応するため、すなわち光学部から現像機までの距離を増大させるには感光体ドラムの径を大きくすることが必要になる。その結果、感光体ドラムの配列ピッチが長くなり装置の設置面積が増大する。
【0009】
一方、図3に示す感光体ベルト1を用いた電子写真装置の場合、ある色の現像機とその下側に隣接する他の色の清掃機を水平方向にオーバーラップさせた構成にして装置の小型化を図っている為に、現像機を光学部から離そうとすると(つまり図3で左方向に現像機4を移動させると)、その下の色の清掃機と干渉してしまうため同様に感光体ベルト1の周長を長くして対応しなければならず、その結果、図4に示す如く感光体ベルト1が水平方向に伸びた分だけ装置が大きくなり、設置面積が増大する。図3における画像形成装置の筺体を仮に2点鎖線で示すと、図4では感光体ベルトが水平方向に延びた量に等しく筺体が水平方向に大きくなり、図4中の右から2番目の2点鎖線から右端の2点鎖線部分まで筺体が大きくなることになる。
【0010】
本発明は電子写真装置の小型化という方針を維持し、装置の設置面積の増大を極力抑え速度アップに対応可能な電子写真装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、中間転写ベルトを水平方向に配置し、中間転写ベルトの下方に感光体ベルトを上下に細長く配置し、該感光体ベルトの周りに帯電器、光学部、現像機、清掃機をレイアウトし、前記感光体ベルトを前記中間転写ベルトに対して垂直方向から15°〜45°の範囲で傾斜させ、傾斜した前記感光体ベルトの上面側に前記帯電器、光学部、清掃機を夫々配置し、下面側に現像機を配置し、さら前記に感光体ベルトの一部とそれに隣接した感光体ベルトに対応して設けられた光学部の一部が上下方向においてオーバーラップする構成にすることで達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子写真装置の小型化という方針を維持し、装置の設置面積の増大を抑え速度アップに対応可能な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図1、図2を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1、図2において、中間転写ベルト7が略水平方向に細長くレイアウトされている。中間転写ベルト7の下方に感光体ベルト1を上下方向に細長く配置、感光体ベルト1は中間転写ベルト7に対して垂直方向から15°〜45°の範囲で傾斜している。その感光体ベルト1の周りに帯電器2、光学部3、現像機4、清掃機5がレイアウトされている。画像形成装置では帯電器2により感光体ベルト1表面が一様に帯電し、帯電された感光体ベルト1の表面に光学部3からの光により静電潜像が書き込まれ、現像機4内部には複数本の現像ロールが設けられていて感光体ベルト1表面の静電潜像をトナーにより可視像化する。感光体ベルト1上のトナー像は転写器6にて中間転写ベルト7に転写され、続いて図示しない第2の転写器において用紙上に転写される。清掃機5は転写後の感光体ベルト1表面を清掃し、帯電可能な状態をつくる。上記のような構成で感光体ベルト1をほぼ垂直に配置しようとすると、現像機内部にある現像ロールの配置が垂直方向になり、現像剤を重力に逆らって持ち上げなければならなかったり、逆に垂直方向に落下しやすくなってしまい、現像剤を装置内部に飛散させるといった不具合が生じるため、ある程度傾斜をつけたほうが望ましく、15°〜45°の範囲で傾いている構成がよい。
【0015】
図1の如く、傾斜した感光体ベルト1の上面側には帯電器2、光学部3、清掃機5を配置し、下面側に現像機4を配置し、さらに感光体ベルト1の一部とそれに隣接した感光体ベルト1に対応して設けられた光学部3の一部が上下方向においてオーバーラップするような構成であり、水平方向の装置の小型化を図っている。
【0016】
印刷速度のアップに対応するには、光学部3から現像機4までの距離を増大させる必要があり、図3、図4に示す従来技術の構成と同様に現像機4を光学部3から離す方向、つまり現像機4を感光体ベルト1に沿って斜め上方に持ち上げると、その右側の他の色の清掃機5と干渉する。対策として同様に光学部3から現像機4の間の感光体ベルト1の周長を延ばす必要があり、図1のような構成の場合、左斜め下方向に延ばす必要がある。
【0017】
図2は、図1の状態から上記の如く光学部3から現像機4の間の感光体ベルト1の周長を延ばした状態を示す。図1における画像形成装置の筺体を仮に2点鎖線で示すと、図2では感光体ベルト1が左斜め下方向に延びた分筺体が水平方向及び上下方向に大きくなり、図2中の左から2番目の2点鎖線から左端の2点鎖線部分まで筺体が大きくなることになる。さらに上下方向には下から2番目の2点鎖線から下端の2点鎖線部分まで筺体が大きくなることになる。この時、感光体ベルト1は傾斜しているために、水平方向の増分は図4の構成に比べて低減できる。一方上下方向の増大分は設置面積の増減には関与しない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の電子写真装置を示す正面図である。
【図2】図1の構成から速度アップのため光学部から現像機の間の感光体ベルトの周長を延ばした状態を示す正面図である。
【図3】従来の電子写真装置を示す正面図である。
【図4】図3の構成から速度アップのため光学部から現像機の間の感光体ベルトの周長を延ばした状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0019】
1は感光体ベルト、2は帯電器、3は光学部、4は現像機、5は清掃機、6は転写器、7は中間転写ベルトである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を用紙に転写するための中間転写ベルトが水平方向に配置され、前記中間転写ベルトの下方に近接し現像剤ごとに設けられた複数の感光体ベルトと、該感光体ベルトごとに設けられ前記感光体ベルト表面を帯電するための帯電器と、帯電された前記感光体ベルトの表面に静電潜像を書き込むための光学部と、前記静電潜像をトナーにより顕像化する現像機と、前記感光体ベルト上のトナー像を前記中間転写ベルトに転写するための転写部と、転写後の感光体ベルト表面を清掃するための清掃機とを具備した電子写真装置において、前記感光体ベルトの配置が上下に細長い略楕円形状でありかつ、前記中間転写ベルトに対して垂直方向から15°〜45°の範囲で傾斜し、傾斜した前記感光体ベルトの上面側に前記帯電器、光学部、清掃機を夫々配置し、下面側に現像機が配置され、さらに前記感光体ベルトの一部とそれに隣接した感光体ベルトに対応して設けられた光学部の一部が上下方向においてオーバーラップしていることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−215360(P2006−215360A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29200(P2005−29200)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】