説明

電子回路モジュール

【課題】配線ケーブルの配線作業を簡単に行うこと。
【解決手段】電子回路モジュール1は、フレキシブル回路基板10と配線ケーブル13とで構成される。フレキシブル回路基板10は、撮像部品111や撮像素子駆動用回路部品112,113等の電子部品が搭載された電子部品実装領域110と、それぞれ配線ケーブル13と接続される配線ケーブル接続用電極が配設された配線ケーブル接続領域120とを備え、展開状態において配線ケーブル接続領域120の長手方向と直交する方向に電子部品実装領域110が延びるようにこれらが一体的に形成されている。配線ケーブル接続領域120は、収納状態において折り曲げられ、各配線ケーブル13が多層に積層される。このとき、配線ケーブル接続用電極が電子部品実装領域110の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品と立体的に重なるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に電子部品が搭載され、配線ケーブルが接続された電子回路モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡は、医療分野等で広く利用されている。この内視鏡は、可撓性を有する細長の挿入具の先端部に撮像素子等の電子部品を実装した電子回路モジュールが内蔵されて構成されており、この挿入具を体腔内に挿入することによって、被検部位の観察等を行うことができる。挿入具の先端部は、患者の苦痛を緩和するため、細径化、短小化が望まれている。この種の問題を解決するための技術として、例えばICや受動部品等が搭載される可撓性基板を撮像素子と電気的に接続し、この可撓性基板を筒状に折り曲げてICや受動部品等を内部に収容するとともに、外側面に外部リード用電極を具備することで外形スペースを大きくせずに電子部品等の実装スペースを広くしたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−115436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内視鏡等に内蔵される電子回路モジュールは、その小型化に伴って配線が細線化、高密度化し、モジュールを構成する際の配線ケーブルの配線作業が困難であるという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、配線ケーブルの配線作業を簡単に行うことができる電子回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる電子回路モジュールは、電子部品実装領域と配線ケーブル接続領域とが一体的に形成され、少なくとも前記配線ケーブル接続領域が可撓性を有する回路基板と、前記電子部品実装領域に搭載された電子部品と、前記配線ケーブル接続領域に接続された複数の配線ケーブルと、を備え、前記回路基板の展開状態において前記配線ケーブル接続領域の長手方向と直交する方向に前記電子部品実装領域が延びており、前記回路基板の収納状態において前記配線ケーブル接続領域が該配線ケーブル接続領域の長手方向に折り曲げられ、前記配線ケーブル接続領域のケーブル接続部が前記電子部品実装領域の少なくとも一部と立体的に重なるように配置されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明にかかる電子回路モジュールは、電子部品実装領域と配線ケーブル接続領域とが一体的に形成され、少なくとも前記配線ケーブル接続領域が可撓性を有する回路基板と、前記電子部品実装領域に搭載された電子部品と、前記配線ケーブル接続領域に接続された複数の配線ケーブルと、を備え、前記回路基板の収納状態において前記配線ケーブル接続領域の長手方向に沿って前記電子部品実装領域が延びており、前記回路基板の収納状態において前記配線ケーブル接続領域が該配線ケーブル接続領域の長手方向に折り曲げられ、前記配線ケーブル接続領域のケーブル接続部が前記電子部品実装領域の少なくとも一部と立体的に重なるように配置されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる電子回路モジュールは、上記の発明において、前記回路基板の収納状態における前記配線ケーブル間の間隔が、前記回路基板の展開状態における前記配線ケーブル間の間隔よりも狭いことを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる電子回路モジュールは、上記の発明において、前記回路基板の収納状態において、前記複数の配線ケーブルの間に前記配線ケーブル接続領域の一部が介在していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる電子回路モジュールは、上記の発明において、前記電子部品は撮像素子を含み、前記配線ケーブル接続領域および前記配線ケーブルが、前記撮像素子の光軸方向と直交する前記電子部品の側面積内に収められたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる電子回路モジュールは、上記の発明において、前記回路基板は、硬質基板上に半導体プロセスを用いて作製した後剥離することにより得られる極薄フレキシブル回路基板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の配線ケーブルが接続される配線ケーブル接続領域を、収納状態時に折り曲げる分だけ電子部品実装領域と直交する方向に長くすることによってその面積を広く確保することができる。そして、配線ケーブル接続領域をその長手方向に折り曲げることにより、各配線ケーブル接続領域のケーブル接続部が電子部品実装領域の少なくとも一部と立体的に重なるように配置することができる。そして、配線ケーブルを、配線ケーブル接続領域を展開した状態で接続できるので、配線ケーブルの配線作業を簡単にし、モジュールの構成を容易に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
先ず、実施の形態1の電子回路モジュールについて説明する。図1−1は、実施の形態1の電子回路モジュール1の展開状態時を模式的に示した斜視図であり、図1−2は、図1−1の電子回路モジュール1の収納状態時を模式的に示した斜視図である。また、図2は、図1−2のA−A矢視断面図である。
【0015】
電子回路モジュール1は、可撓性を有する回路基板であるフレキシブル回路基板10と配線ケーブル13(13−1,2,3)とで構成される。フレキシブル回路基板10は、電子部品実装領域110と配線ケーブル接続領域120とを備え、これらが一体的に形成されて構成されている。実施の形態1では、フレキシブル回路基板10は、展開状態において配線ケーブル接続領域120の長手方向と直交する方向に電子部品実装領域110が延びた外形形状がL字状に形成されている。電子部品実装領域110には、撮像素子を具備する撮像部品111や、撮像素子駆動用回路部品112,113,114等の電子部品が搭載されており、それぞれ電子部品実装領域110の上面に設けられた図示しない電子部品搭載電極を介してフレキシブル回路基板10と電気的に接続される。一方、配線ケーブル接続領域120の図1−1に示す展開状態で上面となる一方の面には、その長手方向に沿って複数(図示の例では3つ)のケーブル接続部である配線ケーブル接続用電極121,122,123が配設されており、それぞれ配線ケーブル13と接続される。配線ケーブル接続用電極121,122,123は、電子部品実装領域110上の電子部品搭載電極と同一面上に配設されるため、フレキシブル回路基板10は、柔軟性が高く折り畳みの作業が容易な片面構造のフレキシブル基板を用いて形成することができる。
【0016】
そして、配線ケーブル接続領域120は、図1−2に示すように、収納状態において電子部品実装領域110との境界部分で折り返され、配線ケーブル接続領域120の長手方向に蛇腹状に折り畳まれる。これにより、各配線ケーブル13が多層に積層される。さらにこのとき、配線ケーブル接続用電極121,122,123が電子部品実装領域110の少なくとも一部、実施の形態1では電子部品実装領域110の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品114と立体的に重なるように配置される。また、折り曲げられた配線ケーブル接続領域120によって、図2に示すように、各配線ケーブル13の間に配線ケーブル接続領域120を形成するフレキシブル基板の一部が介在している。そして、このようにして配線ケーブル接続領域120が折り曲げられることで、各配線ケーブル13間のピッチd13が図1−1に示す展開状態での各配線ケーブル13間のピッチd11より狭くなり、配線ケーブル接続領域120および各配線ケーブル13を、撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品111の側面積内に収めている。すなわち、配線ケーブル接続領域120の長手方向の長さや配線ケーブル接続用電極121,122,123の配設位置は、配線ケーブル接続領域120が折り畳まれたときに配線ケーブル接続領域120および各配線ケーブル13が撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品111の側面積内に収まるように設計される。
【0017】
各配線ケーブル13を収納する際には、先ず、配線ケーブル接続領域120を展開した状態で各配線ケーブル接続用電極121,122,123にそれぞれ配線ケーブル13を接続する。続いて、配線ケーブル接続領域120を電子部品実装領域110との境界部分で折り返す。そして、配線ケーブル接続領域120および配線ケーブル13が撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品111の側面積内に収まるように、配線ケーブル接続領域120を順に折り曲げて蛇腹状に折り畳む。
【0018】
ところで、配線ケーブル接続領域120を折り畳んで配線ケーブル13を収納する場合、フレキシブル回路基板10の柔軟性が高いほど、折り畳みの作業が容易である。そこで例えば、フレキシブル回路基板10を、硬質基板上に半導体プロセス等で使用されているリソグラフィ法を用いて回路パターンを形成した柔軟性の高い極薄フレキシブル基板によって形成する。
【0019】
ここで、フレキシブル回路基板10の製作方法について説明する。図3は、フレキシブル回路基板10の製作工程を示すフローチャートである。フレキシブル回路基板10を作製する際には、先ず、硬質な基板を用意する。本実施の形態では、L字状の硬質基板を用いる。そして、用意したL字状の硬質基板上に柔軟基板部を形成する(ステップS1)。具体的には、先ず、硬質基板上に絶縁層を一体的に形成する。続いて、この絶縁層上に配線層を形成する処理等を行い、硬質基板上に配線を含む絶縁層である柔軟基板部を形成する。続いて、柔軟基板部上に撮像部品111や撮像素子駆動用回路部品112,113,114等の電子部品を実装する(ステップS3)。そして、硬質基板と柔軟基板部とを分離し、電子部品が実装された柔軟基板部を、フレキシブル回路基板10として得る(ステップS5)。
【0020】
以上説明した実施の形態1の電子回路モジュール1によれば、配線ケーブル接続領域120を、収納状態時に折り曲げる分だけ電子部品実装領域110と直交する方向に長くすることによってその面積を広く確保することができる。詳細にはこのとき、隣接する配線ケーブル接続用電極111〜114の間隔を広く確保し、配線ケーブル接続領域120を折り曲げることによって配線ケーブル13間のピッチを狭くしている。そして、配線ケーブル13−1〜3が接続された配線ケーブル接続領域120をその長手方向に折り曲げ、配線ケーブル接続領域120および各配線ケーブル13を収納することができる。そして、配線ケーブル接続領域120を展開した状態で配線ケーブル13を接続できるので、配線作業を簡単に行うことができ、モジュールの構成を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0021】
また、配線ケーブル接続領域120を折り曲げ、各配線ケーブル13を多層に積層させて配置することができる。さらにこのとき、配線ケーブル接続用電極121,122,123を、電子部品実装領域110の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品114と立体的に重畳させることができる。したがって、電子部品実装領域110上部の空間を無駄なく利用して配線ケーブル接続領域120および各配線ケーブル13を収納でき、配線ケーブル接続領域120および各配線ケーブル13を撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品111の側面積内に収めることができる。また、電子回路モジュール1の光軸方向の長さを搭載する電子部品の配置等に必要な最低限の長さとすることができ、電子回路モジュールの小型化が実現できる。また、各配線ケーブル13の間にそれぞれ配線ケーブル接続領域120を形成するフレキシブル基板の一部が介在するため、各配線ケーブル13間の短絡を防止できる。これによれば、樹脂封止等によって配線ケーブル13間を絶縁する必要がない。
【0022】
なお、実施の形態1では、フレキシブル回路基板10に3本の配線ケーブル13が接続される場合を例にとって説明したが、接続する配線ケーブルの本数は必要に応じて適宜選択できる。図4−1は、実施の形態1の変形例における電子回路モジュール2の展開状態時を模式的に示した斜視図であり、図4−2は、図4−1の電子回路モジュール2の収納状態時を模式的に示した斜視図である。また、図5は、図4−2のB−B矢視断面図である。
【0023】
電子回路モジュール2は、実施の形態1と同様に、電子部品実装領域210および配線ケーブル接続領域220を備えたフレキシブル回路基板20を備え、展開状態において配線ケーブル接続領域220の長手方向と直交する方向に電子部品実装領域210が延びるようにこれらが一体的に形成されている。そして、電子部品実装領域210には、撮像部品211および撮像素子駆動用回路部品212,213,214が搭載されている。一方、配線ケーブル接続領域220の図4−1に示す展開状態で上面となる一方の面には、その長手方向に沿って6箇所に配線ケーブル接続用電極221〜226が配設されており、それぞれ配線ケーブル23と接続される。各配線ケーブル接続用電極221〜226は、それぞれ所定の間隔を有して配設されている。
【0024】
この配線ケーブル接続領域220は、図4−2に示すように、収納状態において電子部品実装領域210との境界部分で折り返され、蛇腹状に折り畳まれる。これにより、配線ケーブル接続用電極221〜226が、実施の形態1と同様に例えば電子部品実装領域210の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品214と立体的に重なるように配置され、各配線ケーブル23が多層に積層される。そして、このようにして配線ケーブル接続領域220が折り曲げられることで、各配線ケーブル23間のピッチd23が図4−1に示す展開状態での各配線ケーブル23間のピッチd21より狭くなり、配線ケーブル接続領域220および各配線ケーブル23を、撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品211の側面積内に収めている。より詳細には、各配線ケーブル接続用電極221〜226間が広く確保されており、収納状態において同一平面上で横に隣接する配線ケーブル23間にそれぞれ配線ケーブル接続領域220を形成するフレキシブル基板の一部が介在するように折り曲げられて変形される。各配線ケーブル接続用電極221〜226間の間隔は、配線ケーブル23の径等に基づいて予め定められる。
【0025】
この場合も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに、収納状態において、同一平面上で横に隣接する配線ケーブル23の間にも配線ケーブル接続領域220を形成するフレキシブル基板の一部を介在させることができ、これらの間の短絡防止が実現できる。
【0026】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の電子回路モジュールについて説明する。図6−1は、実施の形態2の電子回路モジュール3の展開状態時を模式的に示した斜視図であり、図6−2は底面図である。図7は、図6−1,2の電子回路モジュール3の収納状態時を模式的に示した斜視図である。
【0027】
電子回路モジュール3は、フレキシブル回路基板30と配線ケーブル33(33−1,2,3)とで構成される。フレキシブル回路基板30は、図6−1に示すように、上面に撮像部品311や撮像素子駆動用回路部品312,313,314等の電子部品が搭載される領域E31(以下、「電子部品実装領域E31」と呼ぶ)と、底面に複数の配線ケーブル接続用電極が配設される領域E33(以下、「配線ケーブル接続領域E33」と呼ぶ)とを備え、展開状態において配線ケーブル接続領域E33の長手方向に沿って電子部品実装領域E31が延びた外形形状が長方形状に形成されている。
【0028】
そして、配線ケーブル接続領域E33は、図7に示すように、電子部品実装領域E31との境界部分で折り返され、配線ケーブル接続領域E33の長手方向に蛇腹状に折り畳まれる。これにより、配線ケーブル接続用電極301,302,303が例えば電子部品実装領域E31の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品314と立体的に重なるように配置され、各配線ケーブル33が多層に積層される。また、折り曲げられた配線ケーブル接続領域E33によって、各配線ケーブル33の間に配線ケーブル接続領域E33を形成するフレキシブル基板の一部が介在している。そして、このようにして配線ケーブル接続領域E33が折り曲げられることで、各配線ケーブル接続用電極301〜303間のピッチが、展開状態での各配線ケーブル接続用電極301〜303間のピッチより狭くなり、配線ケーブル接続領域E33および各配線ケーブル33を、撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品311の側面積内に収めている。すなわち、配線ケーブル接続領域E33の長手方向の長さや配線ケーブル接続用電極301,302,303の配設位置は、配線ケーブル接続領域E33が折り畳まれたときに配線ケーブル接続領域E33および各配線ケーブル33が撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品311の側面積内に収まるように設計される。
【0029】
各配線ケーブル33を収納する際には、先ず、配線ケーブル接続領域E33を展開した状態で各配線ケーブル接続用電極301,302,303にそれぞれ配線ケーブル33を接続する。続いて、配線ケーブル接続領域E33を電子部品実装領域E31との境界部分で折り返す。そして、配線ケーブル接続領域E33および配線ケーブル33が撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品311の側面積内に収まるように、配線ケーブル接続領域E33を順に折り曲げて蛇腹状に折り畳む。
【0030】
以上説明した実施の形態2の電子回路モジュール3によれば、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、フレキシブル回路基板30を、電子部品実装領域E31が配線ケーブル接続領域E33の長手方向に延びた長方形状とし、配線ケーブル接続領域E33を、その長手方向すなわちフレキシブル回路基板30の長手方向に折り曲げることとしたので、電子回路モジュール3の光軸方向と直交する方向の幅が、フレキシブル回路基板30の短辺方向の幅よりも広くならない。したがって、電子回路モジュール3の小型化をより容易に実現できる。
【0031】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の電子回路モジュールについて説明する。図8は、実施の形態3の電子回路モジュール4の展開状態時を模式的に示した斜視図である。図9−1,2は、図8の電子回路モジュール4の収納状態時を模式的に示した斜視図であり、図9−1は配線ケーブルを接続する前の状態を示しており、図9−2は配線ケーブルを接続した状態を示している。また、図10は、図9−2のC−C矢視断面図である。
【0032】
電子回路モジュール4は、実施の形態1と同様に、電子部品実装領域410および配線ケーブル接続領域420を備えたフレキシブル回路基板40と配線ケーブル43とで構成される。具体的には、電子部品実装領域410には、撮像部品411や、撮像素子駆動用回路部品412,413,414が搭載されている。一方、配線ケーブル接続領域420の図8に示す展開状態で上面となる一方の面には、その長手方向に沿って配線ケーブル接続用電極421,422,423が配設されている。各配線ケーブル接続用電極421,422,423は、それぞれ配線ケーブル43(43−1,2,3)と接続される。
【0033】
そして、配線ケーブル接続領域420は、図9−1に示すように、収納状態において電子部品実装領域410との境界部分で折り返され、配線ケーブル接続領域420の長手方向に折り曲げられて変形される。このとき、配線ケーブル接続用電極421,422,423が、例えば電子部品実装領域410の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品414と立体的に重なって配置されるように折り曲げられて変形され、配線ケーブル接続用電極421,422,423がそれぞれ内側面部に配置された凹部425(425−1,2,3)が形成される。そして、図9−2に示すように、配線ケーブル接続領域420が変形されて形成された凹部425に配線ケーブル43がそれぞれ挿入されて固定され、各配線ケーブル43は、凹部425の内側面部の配線ケーブル接続用電極421,422,423とそれぞれ接続される。また、折り曲げられた配線ケーブル接続領域420によって、図10に示すように、それぞれ隣接する配線ケーブル43の間に配線ケーブル接続領域420を形成するフレキシブル基板が介在している。そして、このようにして配線ケーブル接続領域420が折り曲げられ変形されることで、各配線ケーブル接続用電極421〜423間のピッチが図8に示す展開状態での各配線ケーブル接続用電極421〜423間のピッチより狭くなり、配線ケーブル接続領域420および各配線ケーブル43を、撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品411の側面積内に収めている。すなわち、配線ケーブル接続領域420の長手方向の長さや配線ケーブル接続用電極421,422,423の配設位置は、配線ケーブル接続領域420が折り畳まれて変形され、凹部425が形成されたときに配線ケーブル接続領域420および各配線ケーブル43が撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品411の側面積内に収まるように、かつ各凹部425の内側面部に配線ケーブル接続用電極421,422,423が位置するように設計される。
【0034】
各配線ケーブル43を収納する際には、例えば、先ず配線ケーブル接続領域420を電子部品実装領域410との境界部分で折り返す。続いて、配線ケーブル接続領域420および配線ケーブル43が撮像素子の光軸方向と直交する撮像部品411の側面積内に収まるように、配線ケーブル接続領域420を折り曲げて変形させ、その内側面部に配線ケーブル接続用電極421,422,423が位置するように凹部425を形成させる。そして、各配線ケーブル43を凹部425にそれぞれ挿入して固定し、内側面部の配線ケーブル接続用電極421,422,423とそれぞれ接続する。なお、配線ケーブル接続領域420を展開した状態で先に各配線ケーブル接続用電極421,422,423に配線ケーブル43をそれぞれ接続し、次いで配線ケーブル接続領域420を折り曲げて変形させることとしてもよい。
【0035】
以上説明した実施の形態3の電子回路モジュール4によれば、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。また、実施の形態3の電子回路モジュール4によれば、配線ケーブル接続領域420を変形させて形成させた凹部425によって、この凹部425にそれぞれ挿入された配線ケーブル43を確実に固定することが可能である。これにより、各配線ケーブル43による配線をより簡単に行うことができる。
【0036】
なお、上記した実施の形態1では、配線ケーブル接続領域120を蛇腹状に折り畳む場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、配線ケーブル接続領域を渦巻状に折り曲げ、配線ケーブル13を多層に積層させて配置することとしてもよい。さらにこのとき、各配線ケーブル接続用電極を電子部品実装領域の一端部およびこの一端部に搭載されている撮像素子駆動用回路部品と立体的に重畳させることとしてもよい。
【0037】
また、上記した実施の形態1,3では、展開状態において配線ケーブル接続領域の長手方向と直交する方向に電子部品実装領域が延びるように構成されたフレキシブル回路基板の一例として外形形状がL字状に形成されたものについて例示したが、外形形状はこれに限定されない。例えば、フレキシブル回路基板の外形形状をT字状に形成してもよい。
【0038】
また、上記した実施の形態3では、フレキシブル回路基板40に3本の配線ケーブル43−1〜3が接続される場合を例示したが、接続する配線ケーブルの本数は必要に応じて適宜選択できる。図11は、実施の形態3の変形例における電子回路モジュール4bの収納状態時における撮像素子の光軸の直交方向断面図である。配線ケーブル接続領域420bには、図示しない6つの配線ケーブル接続用電極が形成されている。この配線ケーブル接続領域420bは、収納状態において、実施の形態3と同様にして電子部品実装領域410との境界部分で折り返され、配線ケーブル接続領域420bの長手方向に折り曲げられて変形されるが、このとき、配線ケーブル接続用電極がそれぞれ内側面部に配置された6つの凹部425−1〜6が3つずつ2段に重なるように形成される。そして、各凹部425−1〜6に配線ケーブル43−1〜6がそれぞれ挿入されて固定され、各配線ケーブル43は、凹部425−1〜6の内側面部の配線ケーブル接続用電極とそれぞれ接続される。このように、配線ケーブル接続領域420bを変形させて各配線ケーブル43が挿入される凹部425−1〜6を2段以上に重ねて形成することも可能である。
【0039】
また、上記した各実施の形態では、電子部品実装領域と配線ケーブル接続領域とが一体的なフレキシブル回路基板で形成されることとしたが、少なくとも配線ケーブル接続領域が可撓性を有していればよく、電子部品実装領域についてはリジッド回路基板で形成してもよい。
【0040】
また、上記した各電子回路モジュールは、内視鏡に適用できる。内視鏡は、可撓性を有する細長の挿入具の先端部に、撮像部品等の電子部品を実装した電子回路モジュールが内蔵され、その基端に連接された湾曲部によって上下左右に湾曲操作される硬性部を備えたものであり、挿入具を体腔内に挿入することによって披検部位の観察等を行うことができる。挿入具先端の硬性部は、患者の苦痛を緩和するためだけでなく、湾曲部による湾曲操作の自由度を向上させるためにも小型化(特に短小化)が望まれている。このため、電子回路モジュールの小型化が重要な課題となる。上記した各電子回路モジュールによれば、そのモジュール全体の大きさの小型化、特に光軸方向の短小化が図れるので、内視鏡に適用することにより、挿入具先端の硬性部を短小化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1−1】図1−1は、実施の形態1の電子回路モジュールの展開状態時を模式的に示した斜視図である。
【図1−2】図1−2は、図1−1の電子回路モジュールの収納状態時を模式的に示した斜視図である。
【図2】図2は、図1−2のA−A矢視断面図である。
【図3】図3は、フレキシブル回路基板の製作工程を示すフローチャートである。
【図4−1】図4−1は、変形例の電子回路モジュールの展開状態時を模式的に示した斜視図である。
【図4−2】図4−2は、図4−1の電子回路モジュールの収納状態時を模式的に示した斜視図である。
【図5】図5は、図4−2のB−B矢視断面図である。
【図6−1】図6−1は、実施の形態2の電子回路モジュールの展開状態時を模式的に示した斜視図である。
【図6−2】図6−2は、実施の形態2の電子回路モジュールの展開状態時を模式的に示した底面図である。
【図7】図7は、図6−1の電子回路モジュールの収納状態時を模式的に示した斜視図である。
【図8】図8は、実施の形態3の電子回路モジュールの展開状態時を模式的に示した斜視図である。
【図9−1】図9−1は、図8の電子回路モジュールの配線ケーブル接続前の収納状態時を模式的に示した斜視図である。
【図9−2】図9−2は、配線ケーブルを接続した状態の図8の電子回路モジュールの収納状態時を模式的に示した斜視図である。
【図10】図10は、図9−2のC−C矢視断面図である。
【図11】図11は、変形例の電子回路モジュールの収納状態時における撮像素子の光軸の直交方向断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1,2,3,4,4b 電子回路モジュール
10,20,30,40,40b フレキシブル回路基板
110,210,E31,410 電子部品実装領域
111,211,311,411 撮像部品
112〜114,212〜214,312〜314,412〜414 撮像素子駆動用回路部品
120,220,E33,420 配線ケーブル接続領域
121〜123,221〜226,301〜303,421〜423 配線ケーブル接続用電極
13,23,33,43 配線ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される電子部品実装領域と、ケーブル接続部を複数有する配線ケーブル
接続領域とが一体的に形成され、少なくとも前記配線ケーブル接続領域が可撓性を有する
回路基板と、
前記ケーブル接続部に接続された複数の配線ケーブルと、
を備え、
前記回路基板は、前記配線ケーブル接続領域を折り曲げた収納状態と、前記配線ケーブ
ル接続領域を折り曲げる前の平面である展開状態との2つの状態を有し、さらに、前記展
開状態において前記配線ケーブル接続領域の長手方向と直交する方向に前記電子部品実装
領域が延びており、前記収納状態において前記配線ケーブル接続領域が該配線ケーブル接
続領域の長手方向に、各配線ケーブルの間に前記配線ケーブル接続領域を形成する回路基板の一部が介在するように蛇腹状に折り畳まれるとともに、前記ケーブル接続部が前記電子部品実装領域の少なくとも一部と立体的で多層に積層されるように重なり、かつ、前記各配線ケーブルの間隔は前記収納状態の方が前記展開状態よりも狭いことを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項2】
電子部品が実装される電子部品実装領域と、ケーブル接続部を複数有する配線ケーブル
接続領域とが一体的に形成され、少なくとも前記配線ケーブル接続領域が可撓性を有する
回路基板と、
前記ケーブル接続部に接続された複数の配線ケーブルと、
を備え、
前記回路基板は、前記配線ケーブル接続領域を折り曲げた収納状態と、前記配線ケーブ
ル接続領域を折り曲げる前の平面である展開状態との2つの状態を有し、さらに、前記展
開状態において前記配線ケーブル接続領域の長手方向に沿って前記電子部品実装領域が延
びており、前記収納状態において前記配線ケーブル接続領域が該配線ケーブル接続領域の
長手方向に、各配線ケーブルの間に前記配線ケーブル接続領域を形成する回路基板の一部が介在するように蛇腹状に折り畳まれるとともに、前記ケーブル接続部が前記電子部品実装領域の少なくとも一部と立体的で多層に積層されるように重なり、かつ、前記各配線ケーブルの間隔は前記収納状態の方が前記展開状態よりも狭いことを特徴とする電子回路モジュール。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−21356(P2013−21356A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−211449(P2012−211449)
【出願日】平成24年9月25日(2012.9.25)
【分割の表示】特願2007−295803(P2007−295803)の分割
【原出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】