説明

電子回路モジュール

【課題】電子回路モジュールにおいて、シールド層と接地電極との間の導電性を十分に確保する。
【解決手段】おもて面21を電子部品3の実装面とした略矩形平面形状の基板2aの四隅に表裏両端面が略扇状で基板の表裏を連絡する柱状部10が形成され、基板の周囲側面26にはハーフカット加工が施され、柱状部は、基板の四隅方向を中心とする円弧状に湾曲する端面形状を有して基板の表裏方向に連続する導電体壁面11と、当該壁面を覆って略矩形平面形状の基板の外周側面の四隅を縁取るように形成されている導電性の穴埋め樹脂12とから構成され、導電体壁面は基板の裏面22側にて接地電極6aと直接接続し、シールド層5aは、基板の周囲側面におけるハーフカット加工領域23を覆って当該基板の四隅にて導電性の穴埋め樹脂と固着していることで、穴埋め樹脂と導電体壁面とを介して接地電極に接続されている電子回路モジュール1aとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品が実装された多層基板を導電性樹脂によるシールド層で覆ってなる電子回路モジュールに関する。具体的には、電子回路モジュールにおけるシールド層の接地構造の改良技術に関する。また、当該改良された接地構造を備えた電子回路モジュールの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路モジュールは、表面に電子部品が実装されている多層基板をモジュール基板として、そのモジュール基板の表面を絶縁性樹脂で封止した後、その封止されたモジュール基板の表面をさらに導電性樹脂からなるシールド層で覆っている。シールド層は、モジュール基板の裏面に形成された電極を介して接地されており、それによって、シールド層に電磁波(ノイズ)を遮断する機能が付与される。
【0003】
図1に、従来の電子回路モジュール1bの一例を示した。図1(A)は、当該電子回路モジュール1bの一部破断平面図であり、(B)は、(A)におけるa−a矢視断面図である。なお、図1(A)(B)において、主要ないくつかの部材を異なるハッチングによって区別した。この図1に示したように、多層のガラエポ基板などからなるモジュール基板2bのおもて面21に電子部品3が実装され、絶縁性樹脂による絶縁樹脂層4がその電子部品3ごとモジュール基板2bのおもて面21を覆っている。そして、モジュール基板2bの裏面22の接地電極6bが、モジュール基板2b内の各層面に形成されている電極(内層パターン)24やビア25を経由してモジュール基板2bの周囲側面26まで案内されている。また、モジュール基板2bの周囲側面26は、周知のハーフカット加工が施されており、当該周囲側面26のハーフカット加工領域23に、接地電極6bから案内された内層パターン24のエッジ部分27が露出している。そして、導電性樹脂からなるシールド層5bが、その周囲側面26のハーフカット加工領域23と上記絶縁樹脂層4の表面とを覆っている。それによって、シールド層5bは、基板2bの周囲側面26に露出している内層パターン24のエッジ27と接触し、そのエッジ27から他の内層パターン24や層間を連絡するビア25を介して接地電極6bに接続される。
【0004】
ところで、この従来の電子回路モジュール1bは、個別に製造されるのではなく、当初は、図2に示したように、まず、多数の電子回路モジュール1bが大きな基板(以下、シート基板)102b上に格子状に配列された状態で一括形成されている集合基板100bとして製造される。そして、その集合基板100bが、個々の電子回路モジュール1bに対応して格子状に区画されている領域(以下、個片領域)101b間の境界(以下、分離ライン)131bに沿って切断される。
【0005】
図3(A)〜(D)に、従来の電子回路モジュール1bの製造方法の一例を示した。なお、当該図3は、図2におけるb−b矢視断面に相当する。まず、集合基板100bの製造途上において、シート基板102bのおもて面121が電子部品3とともに絶縁性樹脂104で覆われている状態で(A)、分離ライン131bを跨ぐ所定幅の帯状領域132bに所定の深さの溝123bを形成する。すなわち、ハーフカット加工を施す(B)。それによって、接地電極6bに接続されている所定の内層パターン24のエッジ27がその溝123bの内側壁面に露出する。また、シート基板102bのおもて面121全面を覆っていた絶縁性樹脂104が各個片領域101bごとに区画されて絶縁樹脂層4が形成される。
【0006】
次いで、導電性樹脂105bによって、絶縁樹脂層4の表面を覆いつつ溝123bを埋めて集合基板100bを完成させる(C)。最後に、集合基板100bを分離ライン131bで切断し、個別の電子回路モジュール1bに分離する(D)。なお、以上に示した、従来の電子回路モジュールの構造や製造方法などについては、例えば、以下の特許文献1などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4662324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、電子回路モジュールが組み込まれる様々な電子機器には、さらなる小型化、薄型化が求められており、たとえば、いわゆる「スマートフォン」とよばれる多機能携帯電話では、シールド層が必須の条件となる高周波信号を扱う電子回路モジュールを始め、多数の電子部品が高密度実装された状態で組み込まれる。そのため、電子回路モジュールには、さらなる小型化、薄型化が高いレベルで求められている。
【0009】
しかしながら、上述した従来の電子回路モジュールでは、接地電極が、薄い内層パターンのエッジを介してシールド層となる導電性樹脂と接続されており、さらなる薄型化を達成しようとすると、内層パターンがさらに薄肉化し、内層パターンと導電性樹脂との間に十分な導電性が得られず、シールド効果が劣化してしまう、という問題がある。
【0010】
また、従来の電子回路モジュールでは、製造過程において、ハーフカット加工時の溝の深さが不足すると、溝の内側壁面に生じたバリが内層パターンのエッジ部分を覆い、シールド層と内層パターンとの接続を阻害する恐れがある。逆に深すぎると、シート基板の剛性が著しく低下し、後工程の取り扱いで折れてしまう可能性がある。そのため、ハーフカット加工に際しては、接地電極に接続されている内層パターンが形成されている深さ位置と、バリの発生とを考慮し、所定の深さまで極めて精度良く溝を形成する必要がある。しかも、電子回路モジュールの薄型化に伴って、モジュール基板自体が薄くなり、その薄いモジュール基板を厚さ方向に精度良く切削することになるため、歩留まりの低下が懸念される。歩留まりの向上を達成するために高度な切削機械や切削制御技術を用いれば、製造コストが増大する。いずれにしても、電子回路モジュールを安価に提供することが難しくなる。
【0011】
本発明は、電子回路モジュールにおいて、それが組み込まれる電子機器のさらなる小型化、薄型化に対応しつつ、シールド層と接地電極との間の導電性を十分に確保することを目的としている。また、ハーフカット加工に際しての切削深さの厳密な制御を不要にして、歩留まりの向上と製造コストの低減を達成し、電子回路モジュールをより安価にすることが期待できる電子回路モジュールの製造方法を提供することも目的としている。なお、その他の目的は以下の記載で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明は、おもて面に電子部品が実装された略矩形平面形状のモジュール基板と、
当該モジュール基板のおもて面を前記電子部品とともに覆う絶縁性樹脂からなる絶縁樹脂層と、
当該絶縁樹脂層を覆いつつ前記モジュール基板の裏面に形成された接地電極と接続された導電性樹脂からなるシールド層と
を備えた電子回路モジュールであって、
前記モジュール基板の四隅には、表裏両端に扇状の端面を有して当該モジュール基板の表裏を連絡する柱状部が形成され、
前記モジュール基板の周囲側面にはハーフカット加工が施され、
前記柱状部は、前記モジュール基板の四隅方向を中心とする円弧状に湾曲する端面形状を有するとともに、当該端面形状を維持しながら前記モジュール基板の表裏方向に連続する導電体壁面と、当該壁面を覆って前記略矩形平面形状のモジュール基板の外周側面の四隅を縁取るように形成されている導電性の穴埋め樹脂とから構成され、
前記導電体壁面は前記モジュール基板の裏面側にて前記接地電極と直接接続し、
前記シールド層は、前記モジュール基板の周囲側面における前記ハーフカット加工が施された領域を覆って当該モジュール基板の四隅にて前記導電性の穴埋め樹脂と固着していることで、当該穴埋め樹脂と前記導電体壁面とを介して前記接地電極に接続されている、
ことを特徴とする電子回路モジュールとしている。
【0013】
前記シールド層を形成する前記導電性樹脂と前記柱状部を構成する前記穴埋め樹脂とが同じ樹脂材料である電子回路モジュールとしてもよい。また、前記モジュール基板の裏面側の前記柱状部の端面が前記接地電極によって覆われているとともに、当該接地電極が前記導電体壁面の当該裏面側端部と一体的に接続されている電子回路モジュールとすることもできる。
【0014】
本発明は、電子回路モジュールの製造方法にも及んであり、当該製造方法は、一枚のシート基板上に複数の電子回路モジュールが格子状に配置された状態で一括形成された集合基板を切断して個々の電子回路モジュールに分離することで、電子回路モジュールを製造する方法であって、
前記シート基板上における個々の電子回路モジュールの形成領域を個片領域として、
各個片領域を区画する前記格子の交点にスルーホールを形成するステップと
当該スルーホールの内部に導電性の穴埋め樹脂を充填するステップと、
前記スルーホールの内壁を構成する導電体と直接接続する接地電極を、各個片領域の前記シート基板の裏面側に形成するステップと、
各個片領域に、それぞれの電子回路モジュールの電子部品を実装するステップと、
前記絶縁樹脂層となる絶縁性樹脂で前記シート基板のおもて面と前記電子部品とを覆うステップと、
隣接する各個片領域を区画する境界領域に溝を形成し、前記スルーホール内の導電性穴埋め樹脂を当該溝の内側壁面に露出させるステップと、
前記シールド層を構成する導電性のシールド樹脂を、前記溝を埋めつつ前記シート基板上に塗布して前記集合基板を完成させるステップと、
当該集合基板を隣接する前記個片領域の境界にて切断するステップと、
を含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子回路モジュールによれば、シールド層と接地電極との間の導電性を十分に確保することができ、当該電子回路モジュールが組み込まれる電子機器のさらなる小型化、薄型化を容易にすることができる。また、本発明の電子回路モジュールの製造方法によれば、ハーフカット加工の精度を厳密に制御する必要が無く、歩留まりの向上や製造コストの低減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の従来例となる電子回路モジュールを示す図である。
【図2】上記従来の電子回路モジュールが多数形成された集合基板の一例を示す図である。
【図3】上記従来の電子回路モジュールの製造方法の一例を示す図である。
【図4】本発明の電子回路モジュールの一実施形態を示す図である。
【図5】上記一実施形態に係る電子回路モジュールの要部を拡大した一部破断斜視図である。
【図6】上記一実施形態に係る電子回路モジュールが多数形成された集合基板の一例を示す図である。
【図7】上記一実施形態に係る電子回路モジュールの製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
===電子回路モジュールの構造===
図4と図5に、本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール1aの概略構造を示した。図4(A)は、電子回路モジュール1aの一部破断平面図であり、(B)は、(A)におけるc−c矢視断面図である。図5は、電子回路モジュール1aの要部を拡大した一部破断斜視図であり、図4(A)における白抜き矢印方向から電子回路モジュール1aを上方から見たときの図に相当する。なお、これらの図では、主要ないくつかの部材を異なるハッチングによって区別している。
【0018】
本実施形態に係る電子回路モジュール1aの外観は、図1に示した従来の電子回路モジュール1bとほぼ同様であり、モジュール基板2aのおもて面21および周囲側面26のハーフカット加工領域23が導電性樹脂からなるシールド層5aで覆われた構造である。また、内部についても、従来の電子回路モジュール1bと同様に、モジュール基板2aのおもて面21と、当該おもて面21に実装された電子部品3とが絶縁樹脂層4によって覆われている。しかしながら、本実施形態に係る電子回路モジュール1aは、その内部構造の細部、具体的には、シールド層5aと接地電極6aとの接続構造が従来のものとは大きく異なっている。
【0019】
図4(B)、図5に示したように、本実施形態では、当該モジュール基板2aの四隅に、表裏両面に略扇状の端面を有して当該モジュール基板2aの表裏(21,22)を連絡する柱状の構造(以下、柱状部10)が形成されている。この柱状部10の概略構造は、導電性樹脂(以下、穴埋め樹脂)12が内部に充填された円筒状のスルーホールを、端面が90゜扇状となるように表裏方向に切断した構造であり、導電体で形成されているスルーホールの円筒側面の一部11と穴埋め樹脂12とによって構成されている。具体的には、端面形状が、モジュール基板2aの四隅方向に中心を有する1/4円周分の円弧状で、その端面形状を維持しつつ、当該モジュール基板2aの表裏に連続する導電体壁面11と、その導電体壁面11を覆いつつ、矩形平面形状のモジュール基板2aの外周の四隅を縁取るように形成された穴埋め樹脂12とによって構成されている。また、この柱状部10の側面は、モジュール基板2aの周囲側面26とともにハーフカット加工が施されている。
【0020】
なお、本実施形態において、柱状部10の表裏両端は、スルーホールの開口を塞ぐ蓋メッキを切断することで形成された略扇状の電極パッド(13,6a)となっており、これらの電極パッド(13,6a)は、柱状部10の導電体壁面11と一体的に接続されている。そして、モジュール基板2aの裏面22側の電極パッド6bが接地電極6aとなっている。もちろん、接地電極6aは、柱状部10の導電体壁面11と一体的に接続されていなくてもよく、接地電極6aがモジュール基板2aの裏面22の適宜な位置に形成されており、当該接地電極6aと導電体壁面11とがモジュール基板2aの裏面22に形成された印刷配線を介して接続されていてもよい。
【0021】
シールド層5aは、絶縁樹脂層4の表面とモジュール基板2aの周囲側面26のハーフカット加工領域23とを覆っており、モジュール基板2aの四隅では、シールド層5aを構成する導電性樹脂(以下、シールド樹脂)と柱状部10を構成する穴埋め樹脂12とが固着している。それによって、シールド層5aが、この穴埋め樹脂12と、柱状部10の導電体壁面11とを介して接地電極6aに接続される。
【0022】
このように、本実施形態では、接地電極6aと柱状部10における導電体壁面11とが直接接触した状態で接続されているとともに、導電性の穴埋め樹脂12と導電体壁面11とが面接触し、その穴埋め樹脂12は、さらにシールド層5aと一体的に固着している。そのため、シールド層5aと接地電極6a間が低抵抗状態で接続されることになる。また、本実施形態では、柱状部10の導電体壁面11と接地電極6aが一体的に接続されているため、電子回路モジュール1aの接地電極6aと、当該電子回路モジュール1aが実装される基板(マザーボード)側の接地電極とをはんだ付けすれば、マザーボード側の接地電極とシールド層5aとが、導電率の低下要因となる細い印刷配線などを介さずに、直接的に接続され、優れたノイズ遮蔽効果を得ることができる。なお、穴埋め樹脂12とシールド樹脂は、異なる種類の導電性樹脂でもよいが、本実施形態では、ともに、同じ導電性樹脂(例えば、銅ペースト)を用いており、穴埋め樹脂12とシールド層5aとの境界が実質的に一つの構造体として一体化し、モジュール基板2aの裏面22に形成されている接地電極6aとシールド層5aと間の導電率をさらに高め、極めて優れたノイズ遮蔽効果を得ることができるようになっている。
【0023】
===製造方法===
次に、上述した本発明の一実施形態に係る電子回路モジュール1aの製造方法の一例を本発明の実施例として挙げる。図6と図7に当該製造方法の概略を示した。図6は、個々の電子回路モジュール1aに分離される前の集合基板100aの平面図を示している。図7は、集合基板100aの製造途中から、最終的に集合基板100aから個々の電子回路モジュール1aが分離されるまでの手順を示す図である。なお、図7は図6におけるd−d矢視断面を示している。
【0024】
本実施形態に係る電子回路モジュール1aも、従来の電子回路モジュール1bと同様に、集合基板100aに一括して多数形成されたのち、集合基板100aを所定の分離ライン131aで切断することで製造される。図7に当該製造方法を示した。まず、図7(A)に示した、電子部品3が実装される前のシート基板102aを用意する。このシート基板102aは、多数の個片領域101aを区画している格子の交点位置にスルーホール110を形成するとともに、そのスルーホール110の中空内部に導電性の穴埋め樹脂12を充填することで作製される。また、ここに示したシート基板102aでは、シート基板102aのおもて面121と裏面122におけるスルーホール110の開口に、それぞれ蓋メッキを施してなる電極パッド(113,106)が形成されている。そして、裏面122側の蓋メッキによって形成された電極パッド106は、後に接地電極6aの一部となり、このスルーホール110が後に柱状部10となる。
【0025】
このような状態のシート基板102aに対し、まず、おもて面121に電子部品3を実装し(B)、次に、シート基板102aのおもて面121全面に、後に絶縁樹脂層4となる絶縁性樹脂104を塗布する(C)。さらに、分離ライン131aを跨ぐ帯状領域132aに所定の深さの溝123aを形成し、ハーフカット加工を施す(D)。それによって、シート基板102aのおもて面121全面を覆っていた絶縁性樹脂104が各個片領域101aごとに区画されて絶縁樹脂層4が形成される。また、スルーホール110の円筒側面111の縦断面と、スルーホール110内に充填されていた穴埋め樹脂12がその溝123aの内側壁面に露出する。そして、シールド樹脂105aによって、絶縁樹脂層4の表面を覆いつつ溝123aを埋めて集合基板100bを完成させる(E)。最後に、集合基板100aを分離ライン131aで切断し、個別の電子回路モジュール1aに分離する(F)。
【0026】
このように本実施例に係る製造方法では、ハーフカット加工に際して形成される溝123aの内側壁面において、シールド層5aと接地電極6aとの接続部分は、柔らかい穴埋め樹脂が露出することになり、この接続部分では、硬いシート基板102aや内層パターンを切削することがなく、バリが原理的に発生しない。そのため、溝123aの深さ位置は、シート基板102aのおもて面121より下方であればよく、厳密に制御する必要がない。したがって、歩留まりが向上し、製造コストを低下させることが可能となる。
【0027】
また、従来の電子回路モジュール1bでは、多層のシート基板102bの各層間をビア25と内層パターン24で接地電極6bまで案内しており、内層パターン24やビア25を高い位置精度で形成する必要があったが、本実施例では、シールド層5aと接地電極6aとの接続部分は、形成に際して位置決めや加工が容易なスルーホール110から形成されており、さらなる製造コストの削減が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、高周波信号を扱う電子部品に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1a,1b 電子回路モジュール、2a,2b モジュール基板、3 電子部品、
4 絶縁樹脂層、5a,5b シールド層、6a,6b 接地電極、10 柱状部、
11 導電体側面、12 導電性の穴埋め樹脂、13 蓋メッキ(導電パッド)、
23 ハーフカット加工領域、101a,100b 集合基板、
101a,101b 個片領域、102a,102b シート基板、
104 絶縁性樹脂、105a シールド樹脂,105b 導電性樹脂、
110 スルーホール、123a,123b 溝、131a,131b 分離ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
おもて面に電子部品が実装された略矩形平面形状のモジュール基板と、
当該モジュール基板のおもて面を前記電子部品とともに覆う絶縁性樹脂からなる絶縁樹脂層と、
当該絶縁樹脂層を覆いつつ前記モジュール基板の裏面に形成された接地電極と接続された導電性樹脂からなるシールド層と
を備えた電子回路モジュールであって、
前記モジュール基板の四隅には、表裏両端に扇状の端面を有して当該モジュール基板の表裏を連絡する柱状部が形成され、
前記モジュール基板の周囲側面にはハーフカット加工が施され、
前記柱状部は、前記モジュール基板の四隅方向を中心とする円弧状に湾曲する端面形状を有するとともに、当該端面形状を維持しながら前記モジュール基板の表裏方向に連続する導電体壁面と、当該壁面を覆って前記略矩形平面形状のモジュール基板の外周側面の四隅を縁取るように形成されている導電性の穴埋め樹脂とから構成され、
前記導電体壁面は前記モジュール基板の裏面側にて前記接地電極と直接接続し、
前記シールド層は、前記モジュール基板の周囲側面における前記ハーフカット加工が施された領域を覆って当該モジュール基板の四隅にて前記導電性の穴埋め樹脂と固着していることで、当該穴埋め樹脂と前記導電体壁面とを介して前記接地電極に接続されている、
ことを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項2】
請求項1において、前記シールド層を形成する前記導電性樹脂と前記柱状部を構成する前記穴埋め樹脂とが同じ樹脂材料であることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項3】
請求項1または2において、前記モジュール基板の裏面側の前記柱状部の端面が前記接地電極によって覆われているとともに、当該接地電極が前記導電体壁面の当該裏面側端部と一体的に接続されていることを特徴とする電子回路モジュール。
【請求項4】
一枚のシート基板上に複数の電子回路モジュールが格子状に配置された状態で一括形成された集合基板を切断して個々の電子回路モジュールに分離することで、請求項1〜3に記載の前記電子回路モジュールを製造する方法であって、
前記シート基板上における個々の電子回路モジュールの形成領域を個片領域として、
各個片領域を区画する前記格子の交点にスルーホールを形成するステップと
当該スルーホールの内部に導電性の穴埋め樹脂を充填するステップと、
前記スルーホールの内壁を構成する導電体と直接接続する接地電極を、各個片領域の前記シート基板の裏面側に形成するステップと、
各個片領域に、それぞれの電子回路モジュールの電子部品を実装するステップと、
前記絶縁樹脂層となる絶縁性樹脂で前記シート基板のおもて面と前記電子部品とを覆うステップと、
隣接する各個片領域を区画する境界領域に溝を形成し、前記スルーホール内の導電性穴埋め樹脂を当該溝の内側壁面に露出させるステップと、
前記シールド層を構成する導電性のシールド樹脂を、前記溝を埋めつつ前記シート基板上に塗布して前記集合基板を完成させるステップと、
当該集合基板を隣接する前記個片領域の境界にて切断するステップと、
を含むことを特徴とする電子回路モジュール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26518(P2013−26518A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161240(P2011−161240)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】