説明

電子回路ユニット

【課題】廃棄時の部品取り外しを容易に行うことができる電子回路ユニットを提供すること。
【解決手段】プリント基板と、前記プリント基板に半田付けするリードを有する部品と、前記プリント基板上に前記部品を固定するための貫通穴と、半田付けするために前記貫通穴周辺に形成された導電性のプリント配線パターンと、を具備し、前記リードを前記貫通穴に通して前記プリント配線パターンに半田付けする電子回路ユニットにおいて、前記プリント配線パターンは前記貫通穴周辺に対して一部分のみを半田付け可能とし、同一部品において前記半田付け可能なプリント配線パターン部分の方向が一致していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板上に部品を半田付けすることにより電子回路を形成するものであって、特にリサイクル時に部品を取り外すことを考慮した電子回路ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板への部品の取り付けは部品のリードより若干大きな貫通穴を設け、貫通したリードを貫通穴周辺に用意した導電パターンとリード間で半田付けすることにより行っている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
図8に従来の部品取り付けパターンを示す。
【0004】
図8は半田付け部の半田面及びその断面を示している。同図において、801はプリント基板、802は電子部品、803は電子部品802のリード、804は半田、805は銅箔パターン、806は半田を銅箔パターンに載せないためのレジスト、807はプリント基板801に設けられた貫通穴である。同図において貫通穴807の周りに銅箔パターン805を形成し、半田を載せる部分のみレジスト806を選択的に塗らないよう構成している。このようにしてリード803と銅箔パターン805の銅露出面との間に半田が載り導電状態となる。
【0005】
プリント基板に電子部品が搭載された電子回路ユニットの廃棄においては、加熱、粉砕処理を行っている(例えば、特許文献3〜5)。
【0006】
【特許文献1】特開平3−060092号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】実開平5−050772号公報(第2頁、図3)
【特許文献3】特開平6−296957号公報(第4頁、図1)
【特許文献4】特開平10−296225号公報(第9頁、図2)
【特許文献5】特開平11−034058号公報(第7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では、電子回路ユニット廃棄時においてトランスや放熱板等の大型部品までも粉砕機で粉砕しなければならず、粉砕時に過大なエネルギーを消費する。或は電子回路ユニットを加熱、半田を溶解することにより部品を取り外す場合においては、貫通穴にて半田付けしている部品は、そのリードが外れにくく処理に時間が掛かってしまう。或は大型部品を人手により1点1点部品を取り外す場合は非常に時間、手間が掛かり処理コストが高くなってしまう。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、廃棄時の部品取り外しを容易に行うことができる電子回路ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、プリント基板と、前記プリント基板に半田付けするリードを有する部品と、前記プリント基板上に前記部品を固定するための貫通穴と、半田付けするために前記貫通穴周辺に形成された導電性のプリント配線パターンと、を具備し、前記リードを前記貫通穴に通して前記プリント配線パターンに半田付けする電子回路ユニットにおいて、前記プリント配線パターンは前記貫通穴周辺に対して一部分のみを半田付け可能とし、同一部品において前記半田付け可能なプリント配線パターン部分の方向が一致していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プリント基板の貫通穴と銅箔パターンを考慮することにより、電子回路ユニット廃棄時の部品取り外しが容易に行うことが可能となる。特に、放熱板等の金属を廃棄処理の初期段階で分離することが可能となり、素材のリサイクル性が高められる。
【0011】
又、電源トランスやラインフィルタ等のフェライトコアを含むような重量のある部品、大きな部品を選択的に削除することで、ユニット粉砕に要するエネルギーを抑えることが可能となる。更に、小型部品のみの粉砕となるので、粉砕器の小型化も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
<実施の形態1>
図1〜図4は本発明の特徴を最も良く表す図面であり、図1は本発明のプリント基板パターンを示し、(a)はパターン面図であり、(b)は(a)パターン面図のA−A’における断面図である。同図において、101は片面配線、片面実装のプリント基板、102は貫通穴、103は銅箔パターン、104はレジスト皮膜である。
【0014】
又、図2も図1同様(a)パターン面図と(b)A−A’断面図により構成され、同図において、201は重量が大きい電子部品であるトランス、202はトランス201のリード、203は半田であり、図1のプリント基板101にトランス201を実装した電子回路ユニット状態を示している。
【0015】
貫通穴102は、長楕円形であり、短辺はリード202の径より若干大きく、長辺は銅箔パターン103が存在しない部分まで延びている。本電子回路ユニットの部品実装においては、トランス201を銅箔パターン103とリード202が半田付けされるように図2の位置にて半田付けを行う。
【0016】
図3は本発明を用いた複数の部品実装について説明したものであり、同図において、301は位置決めリード付きトランス、302はトランスの信号端子であるリード、303は位置決めするための位置決めリード、304はトランスの信号パターン、305は位置決めリード用の穴、306は放熱板、307は放熱板半田付け用足、308は放熱板位置決め用突起、309は放熱板半田付けパターン、310は放熱板位置決め穴、311はトランジスタ、312はトランジスタ311を放熱板306に固定するためのビス、313は廃棄時保持用穴である。
【0017】
同図はプリント基板101へのトランス301と放熱板306付きトランジスタ311の実装のみを抜き出したものであり、他の電子部品や他のプリント配線パターンは省略している。図3はプリント基板101を垂直としているが、本来プリント基板への部品実装はプリント基板101を水平に保持し、熔解した半田に半田付け面を浸し、銅が露出している銅箔パターンと電子部品のリード間に半田が載るようにするフロー半田が行われる。本例もフロー半田での実装を意味している。
【0018】
ここで、トランス301には位置決めリード303があり、銅箔パターンが存在しない穴305を貫通する。穴305は、リードより若干大きな円形の穴であり、他の貫通穴102のように長楕円形ではない。この位置決めリード303と穴305が存在しなければトランス301は位置決めされず、銅箔の存在しない部分にリードが来てしまうこともあるが、位置決めリード303が穴305を貫通することにより、トランス301の位置が一意に決まり、長楕円形の貫通穴102の銅箔パターン103とリード302が半田付けされる位置に定まる。
【0019】
放熱板306は、トランジスタ311が放出する熱を効果的に気中に逃がすためのものであり、ここでは半田付け可能なスズメッキの金属板としている。放熱板は、熱伝導率の良さからアルミが使われることが多いが、その場合は半田付け可能なピンをアルミ板にカシメて用いることが多い。放熱板306は、トランジスタ311のリードに不要な機械的ストレスを与えないためにも、2つの足307と半田付けパターン309間を半田付けすることにより自立する。
【0020】
しかし、トランス301同様長楕円形の貫通穴に実装するため、位置決めとして突起308と位置決め穴310が用意されている。ここで、突起308を半田付けしないように位置決め穴310周辺には銅箔パターンを用意せず、又、突起308は足307よりも短く、プリント基板101の厚さ程度としている。このようにして廃棄時に容易に外れるようにしている。
【0021】
図4は図3で示した電子回路ユニットを廃棄する時の状態を示している。
【0022】
図4において、401は基板廃棄処理装置の基板フックであり、402はプリント基板101の半田面の半田を溶解するためのヒータである。ここで、基板廃棄処理装置の詳細については省略する。電子回路ユニット廃棄時において、基板フック401をプリント基板101の廃棄時保持用穴に引っ掛け、垂直方向に保持し、ヒータ402にて基板半田面を図中矢印の通り加熱、半田を溶解する。このとき、トランス301や放熱板306は、自重にて落下するので容易に分離可能である。或は基板フック401を図中矢印の通り上下に振動させることにより、より落下し易くなる。このように放熱板やトランス等を初期段階で分離することにより、以降の粉砕処理の負荷が軽くなり、廃棄処理エネルギーを削減することが可能となる。
【0023】
<実施の形態2>
図5は本発明の実施の形態2を示し、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0024】
図5において、501は貫通穴であり、長方形としている。実施の形態1の放熱板306用の穴309に最適である。
【0025】
<実施の形態3>
図6は本発明の実施の形態3を示し、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0026】
図6において、601は貫通穴であり、円形としている。602はリードであり、貫通穴601は、リード602に比べ直径をかなり大きくしている。これにより、基板穴が円形であることから基板作成時の金型が容易に作製でき、コストを下げることができる。但し、銅箔パターン103とリード602との間で半田が載り難いこともあるので、半田付け不良にならないよう部品実装時に注意を要する。
【0027】
<実施の形態4>
図7は本発明の実施の形態4を示し、実施の形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0028】
図7において、701は基板フックであり、702は基板のフック取り付け用切り欠きである。基板フック701は、切り欠き702の位置がずれないように側面図に示した通り基板が中央に来るような構造となっている。これによりヒータ402による加熱時に吊り下げた基板の向きが固定され、安定して加熱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1に係る基板パターン図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る実装図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るユニット実装図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る廃棄処理図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る基板パターン図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る基板パターン図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る基板保持図である。
【図8】従来例のプリント基板パターン図である。
【符号の説明】
【0030】
101 プリント基板
102 貫通穴
103 銅箔パターン
201 トランス
202 リード
203 半田
303 位置決めリード
305 穴
306 放熱板
308 突起
310 位置決め穴
311 トランジスタ
313 廃棄時保持用穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、前記プリント基板に半田付けするリードを有する部品と、前記プリント基板上に前記部品を固定するための貫通穴と、半田付けするために前記貫通穴周辺に形成された導電性のプリント配線パターンと、を具備し、前記リードを前記貫通穴に通して前記プリント配線パターンに半田付けする電子回路ユニットにおいて、
前記プリント配線パターンは前記貫通穴周辺に対して一部分のみを半田付け可能とし、同一部品において前記半田付け可能なプリント配線パターン部分の方向が一致していることを特徴とする電子回路ユニット。
【請求項2】
前記貫通穴は長方形或は楕円形であることを特徴とする請求項1記載の電子回路ユニット。
【請求項3】
前記プリント配線パターンは前記貫通穴の周囲一部分のみに配置し、半田付け可能とすることを特徴とする請求項1記載の電子回路ユニット。
【請求項4】
前記部品は半田付けしないリード或は突起を有し、相対する貫通穴をプリント基板側に用意することを特徴とする請求項1記載の電子回路ユニット。
【請求項5】
前記プリント基板にはプリント基板が地面に対して垂直方向にぶら下げ保持するための固定形状を有することを特徴とする請求項1記載の電子回路ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−196481(P2006−196481A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3340(P2005−3340)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】