説明

電子回路部品装着機

【課題】より実用的な電子回路部品装着機を提供する。
【解決手段】支持板172の支持面176に直接支持トレイとトレイ収容器との少なくとも一方である部品収容器を1列に支持させ、電子回路部品を供給させる。部品供給開始に先立って、高さ検出ヘッドを、その検出子のパッドが、現に部品供給が予定されている必要部品収容器の端から空きスペース側へ幅W1に等しい距離、はみ出した状態で下降させ、高さ検出を行う。必要部品収容器は幅W1以上の隙間を隔てて搭載され、多ノズルヘッドに部品を供給する必要部品収容器の高さは干渉検出高さより低く、検出された高さが干渉検出高さより高いのであれば、高不必要部品収容器があることがわかり、報知される。支持面に設けた検出パターンの撮像や、透過型光電センサの受光部の受光の有無により、要注意対象物を検出してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品装着機に関するものであり、特に、トレイ等の部品収容器に収容された電子回路部品の供給に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子回路部品を部品収容器に収容して供給することは、下記の特許文献1および2に記載されている。部品収容器は支持板上に並べられ、電子回路部品を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−201416号公報
【特許文献2】特開2008−147329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子回路部品装着機には未だ改善の余地がある。例えば、支持板上に必要な部品収容器を載せて、なお空きスペースがある場合には、必要な部品収容器以外のものが載せられる可能性があり、実際に載せられれば、装着ヘッドによる部品収容器からの電子回路部品の取出し時に干渉が発生する恐れがあるという不都合がある。
本発明は、上記の事情を背景として為されたものであり、より実用的な電子回路部品装着機の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、(A)それぞれ複数の電子回路部品を平面状に並べて収容する複数の部品収容器を平面状に並べて支持する支持面を備えた部品収容器支持板を含む部品供給装置と、(B)装着ヘッドを備え、前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って回路基板に装着する装着装置とを含む電子回路部品装着機を、前記部品収容器支持板上に、現に部品供給が予定されている部品収容器である必要部品収容器以外の対象物である予定外対象物のうち、少なくとも、前記装着ヘッドが前記必要部品収容器から電子回路部品を取り出す際にその装着ヘッドとその装着ヘッドに保持された電子回路部品との少なくとも一方が干渉する可能性のある要注意対象物が存在することを検出する要注意対象物検出装置を含むものとすることにより解決される。
上記部品供給装置は、平面型部品供給装置と称すべきものである。
【0006】
部品収容器には、(i)支持面上に直接載置されるトレイと、(ii)複数のトレイが収容されたトレイ収容器と、(iii)トレイ収容器に収容されて支持面により間接的に支持されるトレイとが含まれる。(ii),(iii)の場合、トレイ収容器あるいはトレイの検出により、「部品収容器の検出」が行われる。
要注意対象物存在の検出は、電子回路部品が装着されるべき回路基板の種類が変更される場合に、その変更に伴う段取替えの終了から装着作業の開始までの間に実行されることが多く、その場合には、上記「現に部品供給が予定されている部品収容器」は、新たに開始される装着作業の中で部品供給を行う部品収容器である。しかし、要注意対象物存在の検出は、電子回路部品装着機が一旦停止させられた後、作動を再開させられる場合や、部品供給装置に対して作業者による何らかの作業が行われた場合等、予め設定された条件が満たされた場合に行われるようにすることも可能であり、その場合には上記「現に部品供給が予定されている部品収容器」は現に電子回路部品を供給中の部品収容器であることになる。いずれの場合でも、要注意対象物存在の検出が自動で行われるようにすることも、作業者による検出指令の入力に応じて行われるようにすることも可能である。
要注意対象物の検出に続いて行われる装着作業において電子回路部品を供給する部品収容器である必要部品収容器の種類や搭載位置は既知であるのが普通であり、それら既知の部品収容器以外の予定外対象物のすべて、あるいはそれら予定外対象物の一部(例えば、装着ヘッドとそれに保持された電子回路部品との少なくとも一方と干渉する可能性のある予定外対象物)を要注意対象物とすることができる。
干渉する可能性のある要注意対象物には、干渉することが確実であり、可能性が100%である要注意対象物も、干渉する可能性があるが、100%ではない要注意対象物も含まれる。
【発明の効果】
【0007】
要注意対象物存在の検出により、装着ヘッドによる部品収容器からの電子回路部品の取出しを要注意対象物が妨げないようにすることができる。それにより、装着ヘッドの損傷、装着ヘッドにより保持された電子回路部品の落下,破損、あるいはそれら損傷,落下,破損の回復作業による装着作業中断に基づく生産性の低下を回避することができる。
【発明の態様】
【0008】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0009】
なお、以下の各項において、(2)項が請求項1に相当し、(7)項が請求項2に、(10)項が請求項3に、(11)項が請求項4に、(12)項が請求項5に、(13)項が請求項6に、(14)項が請求項7にそれぞれ相当する。
【0010】
(1)それぞれ複数の電子回路部品を平面状に並べて収容する複数の部品収容器を平面状に並べて支持する支持面を備えた部品収容器支持板を含む部品供給装置と、
装着ヘッドを備え、前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って回路基板に装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機であって、
前記部品収容器支持板上に、現に部品供給が予定されている部品収容器である必要部品収容器以外の対象物である予定外対象物を検出する予定外対象物検出装置を含む電子回路部品装着機。
(2)前記予定外対象物検出装置が、前記装着ヘッドが前記必要部品収容器から電子回路部品を取り出す際にその装着ヘッドとその装着ヘッドに保持された電子回路部品との少なくとも一方が干渉する可能性のある要注意対象物が存在することを検出する要注意対象物検出装置を含むことを特徴とする電子回路部品装着機。
要注意対象物の代表的なものは、次項以下に記載されている不必要部品収容器であるが、それ以外の物、例えば、作業者が部品収容器支持板上に置き忘れた物等を含ませることも可能である。
必要部品収容器である必要トレイは、支持面上に直接載置される場合でも、トレイ収容器に収容される場合でも、段積みされる場合もあり、段積みされない場合もある。必要トレイが段積みされず、1段、平置きされる場合には、その平置きの必要トレイからの電子回路部品の取出しについて要注意対象物の検出が行われる。
それに対し、必要トレイが段積みされている場合には、最上段の必要トレイからの電子回路部品の取出しが終了する毎にその必要トレイが除去され、次の必要トレイからの取出しが開始される。したがって、上記「装着ヘッドが必要部品収容器から電子回路部品を取り出す際」には、「少なくとも最上段の必要トレイからの取り出し時」と「最下段までのすべての必要トレイからの取り出し時」との両方が含まれるものとする。前者の場合には、後に説明するように、要注意対象物検出装置による要注意対象物存在の検出が、複数段の必要トレイからの一連の取出しの途中でも行われるようにすることが必要になる場合もある。
後者の場合、最上段の必要トレイからの電子回路部品の取り出し時に行う要注意対象物存在の検出により、全部の必要トレイについて電子回路部品の取り出し時における要注意対象物の存在が検出される。例えば、段積み高さが、最上段の必要トレイについて検出された要注意対象物の不存在が、最下段の必要トレイについても保証される高さに制限されれることにより、最上段の必要トレイからの取り出し時に行われる要注意対象物存在検出によって、最下段の必要トレイについても要注意対象物の存在が検出される。装着ヘッドの構成から、最下段の必要トレイからの電子回路部品の取出し時に、装着ヘッドと装着ヘッドに保持された電子回路部品との少なくとも一方と干渉する要注意対象物の高さを設定することができる。そのため、その設定高さより低く必要トレイが段積みされれば、最上段の必要トレイについての電子回路部品の取出し時における要注意対象物の検出結果に基づいて、最下段の必要トレイについても要注意対象物の存否を判定することができるのである。
装着ヘッドが複数の吸着ノズルを備えた多ノズルヘッドである場合に、装着ヘッドとそれに保持された電子回路部品との少なくとも一方と要注意対象物との干渉が発生し易い。多ノズルヘッドにおいては、複数の吸着ノズルのうちの1つが下降させられることにより電子回路部品を受け取る場合と、1つの吸着ノズルが他の吸着ノズルより低い位置まで下降させられた状態で装着ヘッド全体が下降させられることにより電子回路部品を受け取る場合とがある。いずれの場合も、上記1つの吸着ノズルが電子回路部品を受け取る際に、他の吸着ノズルとそれに保持された電子回路部品との少なくとも一方が干渉する可能性のある予定外対象物が要注意対象物であることになる。
(3)前記要注意対象物検出装置が、前記必要部品収容器とは別の部品収容器である不必要部品収容器であって、前記必要部品収容器のうち当該不必要部品収容器に隣接するものからの電子回路部品の取り出し時に前記装着ヘッドとその装着ヘッドに保持された電子回路部品との少なくとも一方が干渉する可能性があるものである高不必要部品収容器を、前記要注意対象物として検出する高不必要部品収容器検出装置を含む(2)項に記載の電子回路部品装着機。
不必要部品収容器の代表的なものは、新たに開始される装着作業、あるいは中断中の装着作業においては電子回路部品を供給しないが、それより後の装着作業において電子回路部品を供給するため、意図的に部品収容器支持板上に搭載されている部品収容器であるが、作業者が除去すべきであったのに、意図的に除去しなかった、あるいは除去し忘れた部品収容器等も含まれる。
(4)前記要注意対象物検出装置が、前記必要部品収容器とは別の部品収容器である不必要部品収容器をすべて検出する不必要部品収容器検出装置を含む(2)項に記載の電子回路部品装着機。
全部の不必要部品収容器を検出すれば、部品供給装置の実状を知ることができ、次の段取替え作業の計画を作成することが容易となる等の効果が得られる。
(5)前記要注意対象物検出装置が、
前記要注意対象物に接触することによりその要注意対象物を検出する接触式検出器と、
その接触式検出器と前記部品収容器支持板とを、前記支持面に平行な方向と、前記支持面と交差する方向とに相対移動させる相対移動装置と、
前記接触式検出器の出力信号に基づいて前記要注意対象物を検出する検出部と
を含む(2)項ないし(4)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
接触式検出器としては、次項に記載のもの、特に次々項に記載のものが好適であるが、一般的に使用されている、接触子が対象物に接触すれば電気信号を発するタッチセンサも使用可能である。
(5)項ないし(15)項に記載の各特徴は、(1)項に記載の電子回路部品装着機にも適用可能である。その場合、要注意対象物検出装置を予定外対象物検出装置と読み換える。
(6)前記接触式検出器が、
前記要注意対象物の上面に接触する接触子と、
その接触子を昇降可能に保持する接触子保持部と、
前記接触子を通常は下降端位置に保持しており、前記相対移動装置による前記接触子保持部と前記部品収容器支持板との接近によって、前記接触子が前記要注意対象物に接触した後は、その接触子の前記接触子保持部に対する相対的な上昇を許容する上昇許容装置と、
前記接触子の前記接触子保持部に対する相対的な上昇を検出する上昇検出装置と
を含む(5)項に記載の電子回路部品装着機。
接触子は、軸部と、軸部の下端に設けられ、軸部より横断面積が大きい接触部とを含むものとすることが望ましい。
(7)前記装着ヘッドが複数の吸着ノズルを保持するものであり、前記接触子が、その接触子の下端に、前記複数の吸着ノズルの下端面の包絡線に囲まれた領域以上の大きさの接触面を有する(6)項に記載の電子回路部品装着機。
複数の吸着ノズルは、一円周上あるいは一直線上に配置されてもよく、複数列に配置されてもよい。包絡線の形状は、複数の吸着ノズルの配置によって決まり、正円,長方形,正方形等となり、接触子を装着ヘッドと見なして、1回の検出動作により、吸着ノズルと干渉する可能性のある要注意対象物の存在を検出することができる。
(8)前記装着ヘッドが複数の吸着ノズルを保持するものであり、前記接触子が、その接触子の下端に、前記複数の吸着ノズルにより保持されることが予定された電子回路部品のうちで平面視の寸法が最大である複数の電子回路部品が、すべての吸着ノズルの各々により、それら吸着ノズルの配置領域の外側向きのずれが最大の状態で保持された場合におけるそれら複数の電子回路部品の包絡線に囲まれた領域以上の大きさの接触面を有する(6)項に記載の電子回路部品装着機。
本項に記載の電子回路部品装着機によれば、1回の検出動作により、装着ヘッドに保持された電子回路部品と干渉する可能性のある要注意対象物の存在を検出することができる。
接触面の形状および寸法は、上記包絡線に囲まれた領域より設定寸法だけ大きい形状,寸法とされることが望ましい。上記設定寸法は、部品収容器および装着ヘッドに製造誤差および位置決め誤差があっても、電子回路部品が位置する領域内における要注意対象物の存否を確実に検出し得るとともに、電子回路部品と干渉する可能性のない位置にある予定外対象物を要注意対象物として検出することがない大きさに設定される。(7)項に記載の接触子についても同様である。
(9)前記要注意対象物検出装置が、
前記要注意対象物に接触することなくその要注意対象物を検出する非接触式検出器と、
その非接触式検出器と前記部品収容器支持板とを、少なくとも前記支持面に平行な方向に相対移動させる相対移動装置と、
前記非接触式検出器からの出力信号に基づいて、前記要注意対象物を検出する検出部と
を含む(2)項ないし(8)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
非接触式検出器としては、例えば、レーザ光により対象物までの距離を検出するレーザ距離計、あるいは距離の変化を検出するレーザ変位計の使用も可能であるが、次項に記載の撮像装置が好適である。特に、回路基板に設けられた基準マークや、部品収容器支持板上に配設されて部品収容器の位置決めを行う位置決め部材に設けられた基準マークを撮像する基準マーク撮像装置を、非接触式検出器に兼用すれば、設備コストの増大を回避することができて望ましい。
本項が(5)項ないし(8)項のいずれかに従属する態様においては、要注意対象物検出装置が接触式検出器と非接触検出器との両方を含むことになる。撮像装置により不必要部品収容器の存在が検出された場合に、タッチセンサにより要注意対象物の高さが検出される態様がその一例である。
(10)前記非接触式検出器が、前記支持面と交差する方向から撮像を行う撮像装置を含み、前記検出部が、前記撮像装置と前記相対移動装置とを制御し、前記相対移動中に前記撮像装置に複数回の撮像を行わせ、取得された複数の画像に基づいて、前記要注意対象物を検出する(9)項に記載の電子回路部品装着機。
部品収容器支持板には、部品収容器支持面から立上がり、一方の端縁(通常は回路基板に近い側の端縁)に沿って延びる位置決め面が形成され、部品収容器が、その位置決め面に直接あるいは位置決め部材を介して間接的に当接させて配列されることが多く、その場合には、上記撮像装置と部品収容器支持板との相対移動は、上記位置決め面から、予定されている部品収容器のうちで寸法が最小のものでも検出されることが保証される距離離れた位置において、位置決め面に平行に延びる直線に沿って行われるようにすることが望ましい。
(11)前記支持面に、その支持面上における複数の部品収容器の配列方向に平行な直線に沿って一定の幅で延びる帯状被検出部が形成され、前記検出部が、前記相対移動中に前記撮像装置に前記帯状被検出部を複数回撮像させ、取得された複数の画像に基づいて前記要注意対象物を検出する(10)項に記載の電子回路部品装着機。
支持面と要注意対象物とが光学的に判別し難いものであっても、帯状被検出部の検出の有無により要注意対象物を確実に検出することができる。帯状被検出部は複数本形成することも可能であり、その場合、互いに平行に形成することが望ましい。
(12)さらに、
前記支持面上に配設されて、部品収容器の、前記支持面上における部品収容器の配列方向において互いに対向する2側面にそれぞれ接触し、互いに共同して部品収容器を位置決めする第1位置決め部材および第2位置決め部材を含み、かつ、それら第1,第2位置決め部材に基準マークが設けられており、前記検出部が前記第1,第2位置決め部材の基準マークを前記撮像装置に撮像させることにより、それら第1,第2位置決め部材により位置決めされている部品収容器に隣接するスペースには前記要注意対象物が存在しないことを検出する(10)項または(11)項に記載の電子回路部品装着機。
部品収容器の配列方向における両側に位置決め部材を配設すれば、その位置決め部材の存在するスペースには要注意対象物が存在しないことを保証することができる。そして、第1,第2位置決め部材の高さを、最も低い部品収容器の高さ以下としておけば、電子回路部品のとり出し時に位置決め部材と、装着ヘッドとそれに保持された電子回路部品との少なくとも一方との干渉が生じることはない。その上、第1,第2位置決め部材の、部品収容器の配列方向における寸法である幅を、装着ヘッドとそれに保持された電子回路部品との少なくとも一方との干渉が発生する可能性のある領域の幅より大きくしておけば、第1,第2位置決め部材の存在を検出することによって、要注意対象物との干渉が発生する可能性がないことを保証することができる。
ただし、第1,第2位置決め部材の高さが、両位置決め部材により位置決めされる部品収容器の高さより高くても、両位置決め部材の形状,寸法は既知であるため、それら両位置決め部材により位置決めされた部品収容器からの電子回路部品の取出し時に、装着ヘッドとそれに保持された電子回路部品との少なくとも一方と両位置決め部材との干渉を回避することは可能である。したがって、第1,第2位置決め部材の高さが最も低い部品収容器の高さより低いことは不可欠ではない。
(13)前記非接触式検出器が、前記支持面に平行で、かつ、その支持面上における複数の部品収容器の配列方向と直交する方向において互いに対向する発光部と受光部とを含み、発光部からの光が前記要注意対象物により遮られて受光部に受光されないことを以て要注意対象物の存在を検出する透過型光電センサを含み、前記検出部が、前記相対移動装置を制御し、前記透過型光電センサと前記部品収容器支持板との相対位置と、前記透過型光電センサの出力信号の状態との関係に基づいて前記要注意対象物の存在を検出する(9)項に記載の電子回路部品装着機。
支持面の全面について搭載物を検出することができ、予定外対象物の形状,寸法,搭載位置を問わず、検出することができる。
(14)前記要注意対象物検出装置が、さらに、
前記必要部品収容器の搭載位置を取得する必要部品収容器位置取得部と、
その必要部品収容器位置取得部により取得された必要部品収容器の位置に基づいて、前記支持面内において必要部品収容器以外の部品収容器である不必要部品収容器が搭載される可能性があり、不必要部品収容器の存在を検出する必要がある要検出スペースを取得する要検出スペース取得部と
を含み、要検出スペースについては不必要部品収容器の検出を行うが、要検出スペース以外では行わない(2)項ないし(13)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
必要部品収容器位置取得部は、電子回路部品装着機の電子回路部品装着作動を制御する制御プログラムから、必要部品収容器位置を取得するものとすることも、実際に必要部品収容器を検出してそれの位置を取得するものとすることも可能である。後者の態様を採用すれば、作業者による必要部品収容器の搭載作業ミスを検出することが可能となる。
検出を行うスペースが少なくて済み、要注意対象物を迅速に検出することができる。
(15)さらに、前記要注意対象物検出装置により前記要注意対象物の存在が検出された場合にその要注意対象物の存在を作業者に報知する報知部と、前記要注意対象物検出装置により前記要注意対象物の存在が検出された場合に当該電子回路部品装着機の作動を禁止する作動禁止部との少なくとも一方を含む(2)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
報知は、音,画像,光等、種々の報知媒体により行うことができ、例えば、ブザー,ランプ,表示装置の少なくとも1つを含む報知装置により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】請求可能発明の実施形態である電子回路部品装着機を概略的に示す平面図である。
【図2】上記電子回路部品装着機の装着装置を示す背面図(一部断面)である。
【図3】上記電子回路部品装着機のトレイ型部品供給装置を示す平面図である。
【図4】上記トレイ型部品供給装置を示す側面図である。
【図5】上記トレイ型部品供給装置の支持板を部品収容器と共に示す平面図である。
【図6】直接支持トレイが段積みされた状態を示す正面断面図である。
【図7】高さ検出装置の高さ検出ヘッドを示す正面図(一部断面)である。
【図8】上記装着装置の多ノズルヘッドの複数の吸着ノズルが保持する電子回路部品を囲む包絡円を説明する図である。
【図9】上記電子回路部品装着機の制御装置を概念的に示すブロック図である。
【図10】上記多ノズルヘッドに設定された部品取出位置を説明する図である。
【図11】上記多ノズルヘッドによる部品収容器からの部品取出し時における吸着ノズルに保持された電子回路部品と不必要部品収容器との高さ方向における干渉の検出を説明する図である。
【図12】上記支持板における部品収容器の配列の一態様を示す平面図である。
【図13】上記支持板における部品収容器の配列の別の態様を示す平面図である。
【図14】上記支持板における不必要部品収容器の搭載を説明する図である。
【図15】上記制御装置の主体を成すコンピュータのROMに記憶された検出プログラムを表すフローチャートである。
【図16】上記高さ検出装置を用いた不必要部品収容器の検出を説明する図である。
【図17】別の実施形態である電子回路部品装着機のトレイ型部品供給装置の支持板を示す平面図である。
【図18】図17に示す支持板における不必要部品収容器検出を説明する図である。
【図19】図18に示す不必要部品収容器の検出を実行するための検出プログラムを表すフローチャート図である。
【図20】図20(a)は、さらに別の実施形態である電子回路部品装着機のトレイ型部品供給装置の支持板および要注意対象物検出装置を示す平面図であり、図20(b)は、支持板を示す正面図である。
【図21】図20に示す要注意対象物検出装置を示す側面図(一部断面)である。
【図22】図20に示す要注意対象物検出装置による要注意対象物の検出を行うための検出プログラムを表すフローチャートである。
【図23】さらに別の実施形態である電子回路部品装着機のトレイ型部品供給装置の支持板,L形定規およびI型定規を示す平面図である。
【図24】図23に示すトレイ型部品供給装置について実行される検出プログラムを表すフローチャートである。
【0012】
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0013】
図1に、請求可能発明の一実施形態としての電子回路部品装着機が図示されている。本電子回路部品装着機は、基板搬送装置10,基板保持装置12,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給装置14,トレイ型部品供給装置16,装着装置18,基準マーク撮像システム20,部品撮像システム22,制御装置24(図9参照)を含む。
【0014】
基板搬送装置10は、装着機本体としてのベッド30上に設けられ、回路基板32を水平な一方向に搬送する。基板保持装置12は基板搬送経路の途中に位置を固定して設けられ、基板搬送装置10により搬入された回路基板32を水平な姿勢で保持する。
【0015】
本実施形態の装着装置18は、図1および図2に示すように、装着ヘッド40,ヘッド保持装置44,ヘッド移動装置46,ヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50を含む。ヘッド移動装置46は、装着ヘッド40を、基板保持装置12により保持された回路部品32の部品装着面に平行な一平面、本実施形態においては水平な一平面内において互いに直交する2方向の任意の位置へ移動させる。この2方向の一方をX軸方向、他方をY軸方向とし、本実施形態においては、基板搬送方向に平行な方向をX軸方向とする。
【0016】
ヘッド移動装置46は、図1に示すように、X軸方向移動装置54およびY軸方向移動装置56を含む。X軸方向移動装置54は、可動部材たるX軸スライド60とX軸スライド移動装置62とを含む。X軸スライド移動装置62は、駆動源たるX軸移動用モータ64と、ボールねじおよびナットを含む送りねじ機構66とを1対含む。本実施形態においては、Y軸方向移動装置56はX軸スライド60上に設けられ、可動部材たるY軸スライド70とY軸スライド移動装置72とを含む。Y軸スライド移動装置72は、X軸スライド移動装置62と同様に駆動源たるY軸移動用モータ74と送りねじ機構76とを含む。
【0017】
前記ヘッド保持装置44,ヘッド昇降装置48およびヘッド回転装置50は、図2に示すように、Y軸スライド70に設けられ、ヘッド移動装置46により水平面内の任意の位置へ移動させられる。本実施形態の装着ヘッド40は、部品保持具としての吸着ノズルによって電子回路部品を保持するものであり、吸着ノズルを1つ保持する一ノズルヘッド(図示省略)と、吸着ノズルを複数保持する多ノズルヘッドとがある。図2に示す装着ヘッド40は多ノズルヘッドの一例であり、以後、多ノズルヘッド40と称する。この多ノズルヘッド40は、吸着ノズルを3個以上、例えば、12個保持するものである。装着ヘッド40およびヘッド保持装置44等は、特開2006−261325号公報に記載の装着ヘッド等と同様に構成されており、簡単に説明する。
【0018】
ヘッド保持装置44は、図2に示すように、軸状を成す装置本体80およびヘッド保持部82とを含む。ヘッド昇降装置48は、駆動源たる昇降用モータ102(図9参照)および送りねじ機構104を含み、ヘッド保持装置44を鉛直方向において任意の位置へ移動させる。
【0019】
前記多ノズルヘッド40は、ヘッド本体120,12個のノズル保持部124,ノズル保持部124の各々について設けられたバルブ装置128およびノズル昇降装置130を備え、ヘッド保持装置44の通路131に供給される負圧により、ヘッド本体120の被保持部132がヘッド保持部82により吸着されて同心状に保持される。12個のノズル保持部124はヘッド本体120の軸線を中心とする一円周上に設けられ、それぞれ吸着ノズル134を保持する。ヘッド本体120内に設けられた通路は、ヘッド保持装置44の通路131および別の通路135に連通させられ、装着ヘッド40の昇降に伴ってバルブ切換装置136により、電子回路部品の吸着,装着を行う吸着ノズル134を保持するノズル保持部124について設けられたバルブ装置128が切り換られ、吸着ノズル134への負圧,正圧の供給が切り換えられる。
【0020】
また、装着ヘッド40の昇降に伴ってノズル昇降装置130が作動させられ、吸着ノズル134をヘッド本体120に対して昇降させ、複数の吸着ノズル134のうち、電子回路部品の吸着,装着を行う吸着ノズル(以後、作業ノズルと称する場合がある)134が、その他の吸着ノズル(以後、非作業ノズルと称する場合がある)134に対して選択的に昇降させられる。ノズル昇降装置130は、バルブ切換装置136と一体的に設けられたノズル昇降装置駆動装置により作動させられる。一ノズルヘッドは、多ノズルヘッドと同様にヘッド保持装置44により吸着されて保持される。1枚の回路基板32への部品の装着には、多ノズルヘッド40と一ノズルヘッドとの少なくとも一方が使用される。
【0021】
前記基準マーク撮像システム20は、図1に示すようにY軸スライド70に設けられている。本基準マーク撮像システム20は、撮像装置を構成するCCDカメラ144と照明装置146とを備え、ヘッド移動装置46により水平面内の任意の位置へ移動させられ、回路基板32に設けられた基準マーク148を撮像する。
【0022】
前記トレイ型部品供給装置16を説明する。本部品供給装置16は、特開2007−201416号公報に記載のトレイ型部品供給装置と同様に構成されており、簡単に説明する。
トレイ型部品供給装置16は、図3および図4に示すように、供給装置本体としての台車160を備え、装着装置18に連結,切離し可能とされている。台車160の支持部170には、部品収容器支持板たるトレイ支持板(以後、支持板と略称する)172が支持される。支持板172は支持板移動装置174により、水平な姿勢で着脱可能に支持されるとともに、図4に実線で示すように、支持板172の支持面176上に支持されたトレイ178が電子回路部品を供給する供給位置と、二点鎖線で示すように、供給位置から退避した退避位置とに移動させられる。
【0023】
支持面176は、水平な一平面状を成し、磁性材料製とされている。支持面176には、図5に示すようにトレイ型部品供給装置16の幅方向(X軸方向)に平行に延びるガイドバー190が設けられ、案内部を構成している。また、ガイドバー190は、支持面176に直角な位置決め面192を有する。さらに、ガイドバー190の支持面176に平行な上面には、その長手方向に沿って目盛194が設けられている。
【0024】
トレイ178は、図5に詳細に示すように板状に形成され、マトリックス状に形成された複数の部品収容部たる収容凹部200の各々に電子回路部品202が収容され、トレイ178により一平面内に並べて保持されている。以後、電子回路部品を部品と略称する。トレイ178には、トレイ収容器220に収容された収容器収容トレイ178もあれば、直接、支持面176により支持される直接支持トレイ178もある。トレイ収容器220は複数の収容部222を備え、収容器収容トレイ178を複数、平面状に並べて収容するものとされている。本実施形態においては、複数の収容部222の各々に収容器収容トレイ178が1枚ずつ収容される。また、直接支持トレイ178には、図6に示すように、収容凹部200を含む一平面内において互いに直交する2方向に位置決めされ、相対移動不能な状態で複数枚、重ねることができるように形成された段積み用のトレイ178と、図示は省略するが、段積み用トレイ178のような位置決め機能を有さず、支持面176上に1枚、搭載される平置き用のトレイ178とがある。なお、本実施形態においては、トレイ収容器220は段積みされないものとされている。
【0025】
トレイ178およびトレイ収容器220はそれぞれ、平面視の形状が長方形あるいは正方形を成し、それぞれ、寸法(幅,長さおよび厚さないし高さ)を異にする複数種類のものがある。トレイ収容器220は、支持板172への取付けにあたり、直接支持トレイ178と同様に扱われるため、以後、場合によっては、直接支持トレイ178とトレイ収容器220とを合わせて直接支持部品収容器と称することがある。
【0026】
支持面176上には、図5に示すように複数の直接支持部品収容器がそれぞれ、位置決め部材としてのL形定規230により、X軸方向およびY軸方向においてそれぞれ位置決めされた状態で平面状に、X軸方向に1列に並べて支持される。L形定規230は、互いに直角な方向に延びる第1,第2の定規部232,234を備え、底面に埋設された複数の永久磁石236により、支持面176の任意の位置に磁力によって取付け可能である。L形定規230は、定規部232がガイドバー190の位置決め面192に密着させられ、Y軸方向において位置決めされるとともに、直接支持部品収容器の配列方向であるX軸方向に平行な方向においては、位置決め面192に沿った任意の位置に取り付けられる。
【0027】
直接支持部品収容器およびL形定規230の支持板172への取付けは、作業者によって行われる。そのため、表示装置240の表示画面242(図9参照)に、L形定規230の取付位置である定規取付位置(直接支持部品収容器の搭載位置ないし支持位置でもある),供給する部品の種類,部品が収容されるトレイ178の種類および並び順が表示される。直接支持トレイ178を複数枚重ね、段積み状態で支持させる場合やトレイ収容器220を使用する場合には、段積み数やトレイ収容器220の種類も指示される。定規取付位置は、ガイドバー190に設けられた目盛194の数値により指示される。これら定規取付位置データ等を含む部品収容器支持データは、本電子回路部品装着機の電子回路部品装着作動を制御する制御プログラムに含まれている。部品収容器支持データにおいてはまた、部品収容器が部品を供給する装着ヘッド40の種類が設定されている。
【0028】
作業者は、図5に示すように、指示された直接支持部品収容器を、L形定規230に当てて位置決めし、拘束部材244により拘束して移動を阻止する。拘束部材244は底面に永久磁石を備え、支持面176の任意の位置に磁力によって固定される。前記ガイドバー190,L形定規230および拘束部材244は、本実施形態においては、最も薄い直接支持部品収容器より高さが低いものとされている。
【0029】
本電子回路部品装着機は高さ検出装置300を備え、直接支持部品収容器の高さが検出される。高さ検出装置300は、図7に示す作業ヘッドとしての高さ検出ヘッド302を備えている。高さ検出ヘッド302は、そのヘッド本体304の被保持部306がヘッド保持装置44により負圧によって吸着され、保持される。ヘッド本体304は、被保持部306の中心から突出させられた突部308を含み、ヘッド本体304の中心を貫通し、上下方向に延びる状態で形成された嵌合穴310には、検出子312の軸部313が軸方向に摺動可能に嵌合されるとともに、付勢手段の一種である弾性部材としてのスプリング314により、嵌合穴310から突出する方向であって、予め定められた下降端位置に向かって付勢されている。検出子312の下降端位置は、例えば、図示を省略するストッパにより規定される。
【0030】
軸部313は横断面形状が円形を成し、その突出端部である下端部には、円板状のパッド320が設けられている。パッド320の直径は軸部313より大きく、その下面が接触面322を構成し、その直径は、本実施形態においては、多ノズルヘッド40について図8に示すように設定される包絡円の直径と等しくされている。包絡円は、本実施形態においては、吸着ノズル134の数と種類との少なくとも一方を異にする複数種類の多ノズルヘッド40により保持されることが予定されている部品のうちで平面視の寸法が最大である部品であって、吸着ノズル134により、多ノズルヘッド40の半径方向外向きのずれが最大の状態で保持された部品を、多ノズルヘッド40の軸線まわりに旋回させた場合の円環状の旋回軌跡の外周円である。この包絡円は、複数種類の多ノズルヘッド40に共通である。
【0031】
上記検出子312は通常は下降端位置に位置し、図7に示すように、その外周面に形成された開口330が突部308から突出させられ、嵌合穴310の内部空間332を外部空間に連通させる。内部空間332内の圧力は、圧力検出装置336(図9参照)により検出される。圧力検出装置336は、例えば、ヘッド保持装置44内に設けられ、内部空間332に負圧を供給する通路の圧力を検出し、検出される負圧の絶対値が設定値以上である場合と設定値より小さい場合とで異なる信号を出力するものとされている。高さ検出ヘッド302は、前記一ノズルヘッドおよび多ノズルヘッド40と共に、図1に概略的に示すヘッド収納装置340に収納される。
【0032】
また、図示は省略するが、本電子回路部品装着機は空トレイ除去装置を備えている。空トレイ除去装置のトレイ保持ヘッドはヘッド保持装置44により保持され、空になった直接支持トレイを吸着し、台車160に設けられた空トレイ収拾箱に投入する。
【0033】
前記制御装置24は、図9に示すように、装着制御コンピュータ360を主体として構成されており、圧力検出装置336,画像処理コンピュータ364,入力装置366,本電子回路部品装着機を構成する各種装置の駆動源の多くを構成するエンコーダ付サーボモータのエンコーダ368(図9には1つが代表的に示されている)等が接続されている。サーボモータは回転角度の精度の良い制御が可能な電動回転モータの一種である。制御装置24により、X軸移動用モータ64等が駆動され、表示装置240の表示画面242等が制御される。トレイ型部品供給装置16は装着装置18に連結された状態では、信号線等が接続され、制御装置24によって制御されると共に、電力が供給される状態となる。
【0034】
以上のように構成された電子回路部品装着機において段取替え時に作業者は、表示画面242に表示された指示に従ってL形定規230を支持板172に取り付け、直接支持部品収容器を支持させるが、定規取付位置は、隣接する2つの直接支持部品収容器が、多ノズルヘッド40の吸着ノズル134により吸着された部品(以下、吸着部品と略称する)との干渉を生じない隙間を隔てて支持されるように設定される。なお、部品収容器には収容器収容トレイ178も含まれるが、以下の部品収容器の支持板172への取付け,高さの検出,吸着部品との干渉についての説明は、直接支持トレイ178およびトレイ収容器220を対象とするため、特に記載しない限り、「部品収容器」は直接支持トレイ178およびトレイ収容器220を意味する。
【0035】
多ノズルヘッド40の複数の吸着ノズル134は、部品供給装置14,16から部品を取り出すとき、ヘッド保持装置44の軸線まわりにおいて予め設定された部品取出位置へ順次旋回させられる。トレイ型部品供給装置16からの部品取出し時における部品取出位置は、本実施形態においては、図10に概略的に示すように、Y軸方向において最もトレイ型部品供給装置16に近い位置に設定されており、配列方向において多ノズルヘッド40の軸線と同じ位置となる。そのため、図11に概略的に示すように、作業ノズル134が部品取出位置へ移動させられ、ヘッド保持装置44の下降に伴って、ヘッド本体120が下降させられるとともに、その下降と並行して、ヘッド本体120および非作業ノズル134に対して作業ノズル134が下降させられるとき、多ノズルヘッド40の軸線から最も離れた非作業ノズル134が部品収容器から外れる場合があり、そのため、隣接する2つの直接支持部品収容器間に所定の隙間が設けられる。なお、本実施形態においては、多ノズルヘッド40は、部品を取り出す直接支持トレイ178およびトレイ収容器220の上方を移動させられ、作業ノズル134が、それが取り出す部品上へ移動させられた後、下降させられるようにされており、移動中に吸着部品が他の部品収容器と干渉する恐れはない。
【0036】
隣接する2つの直接支持部品収容器間の隙間の幅(配列方向における寸法)W1は、図12に示すように、図8に示す包絡円の直径Dに基づいて設定される。部品の取出しが部品収容器の配列方向において最も端の収容凹部について行われるとき、作業ノズル134から配列方向において最も離れた非作業ノズル134により保持された部品の、作業ノズル134の軸線から、部品収容器の配列方向において最も離れた箇所は、多ノズルヘッド40の軸線から包絡円の半径に等しい距離、離れた位置に位置するからである。本実施形態においては、部品収容器の、配列方向と直交する端から、その端に最も近く、部品収容器の最も端に位置する収容凹部の中心までの距離aを、包絡円の半径D/2から引くことにより得られる値に余裕値dを加えることにより幅W1が求められる。余裕値dは、部品収容器等の製造誤差や位置誤差等を考慮した値である。本実施形態においては、距離aは、全種類の部品収容器の各距離aのうちで最小の値とされ、幅W1は全種類の部品収容器に共通とされる。
複数種類の部品収容器の各々に固有の距離aを用いて、部品収容器の種類毎に幅W1を設定してもよく、その場合には、高さ検出ヘッドは、端の収容凹部からの部品取出位置(高さ検出ヘッドの軸線が端の収容凹部の中心と一致する位置)において検出を行うこととなる。
【0037】
しかし、図13(a)および図14(a)に例示するように支持面176の全面において部品収容器が支持されるとは限らず、図13(b)および図14(b)に示すように、部品収容器が搭載されていない空きスペースが物置に使用され、今回の回路基板32への部品の装着(段取替え後に行われる装着作業であって、今回装着と称する)の次に行われる装着(今回装着終了後の段取替え後に行われる回路基板32への部品の装着であり、次回装着と称する)に使用される部品収容器が載せられることがある。これは今回装着のために部品を供給することが予定されている部品収容器である必要部品収容器とは別の不必要部品収容器であり、必要部品収容器に対して幅W1を隔てることが保証されず、吸着部品が干渉しないことが保証されない。
【0038】
そのため、必要部品収容器に隣接する幅W1のスペースについて、非作業ノズル134に吸着された吸着部品と干渉する可能性のある不必要部品収容器の有無(存否)を調べることが必要であるが、そのスペースに不必要部品収容器があっても、吸着部品と干渉するとは限らない。本実施形態においては、直接支持トレイ178によって部品を供給する場合、多ノズルヘッド40については平置き用トレイ178が使用されるのに対し、一ノズルヘッドについては、段積み用トレイ178が使用され、複数、段積みされて部品を供給する場合がある。そのため、図11に示すように、多ノズルヘッド40が下降させられ、直接支持トレイ178あるいはトレイ収容器220に収容されたトレイ178から部品を取り出す際、隣接して不必要部品収容器があっても、その不必要部品収容器が、非作業ノズル134により保持された吸着部品のうち、厚さが最大の部品より下方にあれば干渉は生じないのであり、この吸着部品の下面の支持面176に対する高さHeより設定値α低い高さHtが干渉の有無を検出するための干渉検出高さに設定されている。図11において、Δhは作業ノズル134と非作業ノズル134との高さの差、Ttは全部の種類の平置き用トレイ178およびトレイ収容器220の厚さのうちで最も薄いものの厚さ、Teは多ノズルヘッド40により保持される部品の最大厚さ、α1は部品収容器の上面と収容された部品の上面との高さの差、α2は製造誤差等を考慮した余裕値である。値α1は部品収容器の種類毎に固有の値であり、設定値αは、本実施形態では複数種類の値α1のうちの最大値であるα1maxとα2との和に設定されている。そして、Δh,TtおよびTeに基づいて高さHeが取得される。なお、固有値α1を用いて設定値αを設定してもよい。その場合には、干渉検出高さHtは部品収容器の種類毎に設定されることとなり、きめ細やかに干渉検出を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態においては、部品収容器の幅(X軸方向の寸法)の最小値は決まっており、不必要部品収容器を支持板172上に載せるためには、図13(b),図14(b)に示すように、必要部品収容器の配列方向の少なくとも一方の側に、上記最小値W2以上の幅を有する空きスペースが必要である。したがって、必要部品収容器の配列方向の少なくとも一方の側に幅W2以上の空きスペースがなければ、不必要部品収容器があるはずがなく、幅W2以上の空きスペースがあっても、必要部品収容器と不必要部品収容器との間の距離が幅W1以上であれば、不必要部品収容器に隣接する必要部品収容器からの部品の取出し時に、吸着部品がその不必要部品収容器と干渉する恐れはない。また、この距離が幅W1より小さくても、不必要部品収容器の高さが干渉検出高さ以下であり、高不必要部品収容器(本実施形態においては段積みされた直接支持トレイ178)でなければ、干渉の恐れはない。
【0040】
段取替え後、上記の設定に基づいて作成された検出プログラム(図15参照)が実行され、多ノズルヘッド40の吸着部品と干渉する高不必要部品収容器の検出が行われる。この検出は高さ検出装置300を用いて行われる。
【0041】
まず、ステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)が実行され、ヘッド保持装置44により保持された高さ検出ヘッド302がヘッド移動装置46により、必要部品収容器の高さ検出箇所の上方へ移動させられる。複数の必要部品収容器について検出は予め設定された順序で行われる。高さ検出箇所は必要部品収容器について予め設定されており、本実施形態においてはL形定規230の定規部232,234の交差部に近い角部とされている。必要部品収容器の位置は、部品収容器支持データから得られる。
【0042】
移動後、S2が実行され、高さ検出ヘッド302がヘッド昇降装置48により下降させられ、パッド320が必要部品収容器の上面に当接させられる。その状態から更にヘッド保持装置44が下降させられるが、この下降はスプリング314が圧縮されることにより許容され、ヘッド本体304が検出子312に対して下降させられる。この下降により開口330がヘッド本体304により塞がれ、通路135から内部空間332内に供給されている負圧が強くなり、その絶対値が設定値以上となれば、圧力検出装置336の出力信号が変わり、高さ検出ヘッド302の下降が停止させられる。
【0043】
高さ検出ヘッド302の下降位置は昇降用モータ102のエンコーダの出力値により得られ、圧力検出装置336により検出される負圧の絶対値が設定値に達した瞬間におけるエンコーダの出力値と、その状態における被保持部306の上面(被保持面)からパッド320の接触面322までの距離(この距離は設計上、予め設定されている)とに基づいて、必要部品収容器の支持面176からの高さが得られる。この高さは、必要部品収容器の搭載位置と対応付けて装着制御コンピュータ360のRAMに記憶させられる。本実施形態においては、高さ検出ヘッド302と、ヘッド移動装置46とヘッド昇降装置48とを含む相対移動装置と、装着制御コンピュータ360の高さの算出を行う部分とが高さ検出装置300を構成している。
【0044】
次いでS3が実行され、高さが検出された必要部品収容器が多ノズルヘッド40に部品を供給するものであるか否かの判定が行われる。この判定は部品収容器支持データに基づいて行われ、必要部品収容器が一ノズルヘッドに部品を供給するものであれば、不必要部品収容器の検出は行われない。一ノズルヘッドによる部品の取出し時には、吸着部品の必要部品収容器外へのはみ出しがないからである。そして、S9が実行されて全部の必要部品収容器について高さの検出等が行われたか否かの判定が行われる。
【0045】
必要部品収容器が多ノズルヘッド40に部品を供給するものであれば、S4が実行され、必要部品収容器に配列方向の少なくとも一方の側に隣接して、幅W2以上の空きスペースがあるか否かの判定が行われる。この判定は定規取付位置データおよび必要部品収容器の種類(寸法)に基づいて行われ、幅W2以上の空きスペースがなければ、不必要部品収容器があるはずがなく、S9が実行される。
【0046】
図16(a)に示すように必要部品収容器に隣接して幅W2以上の空きスペースがあれば、S5が実行され、高さ検出ヘッド302が高不必要部品収容器検出位置へ移動させられる。高さ検出ヘッド302の移動位置は、その軸線(ヘッド保持装置44の軸線)について設定される。高不必要部品収容器検出位置は、部品収容器の配列方向においては、パッド320が、必要部品収容器の端から空きスペース側へ、幅W1に等しい距離、はみ出した状態となる位置であり、幅W1,定規取付位置,必要部品収容器の寸法および接触面322の直径から得られる。配列方向と直交する方向における位置は、本実施形態においては、必要部品収容器の高さ検出位置と同じ位置とされている。本実施形態においては、検出時における高さ検出ヘッド302の必要部品収容器の空きスペース側の端に対する位置は、種類の異なる必要部品収容器について共通である。
【0047】
移動後、S6が実行され、高さ検出ヘッド302が下降させられて高さの検出が行われた後、S7が実行され、検出された高さが干渉検出高さより高いか否かの判定が行われる。本実施形態においては、多ノズルヘッド40に直接支持トレイ178によって部品を供給する場合、直接支持トレイ178は1段とされ、その高さは干渉検出高さより低いが、一ノズルヘッドについては直接支持トレイ178が複数、段積みされ、その段積み高さが干渉検出高さより高い場合がある。そのため、図16(a)に示すように幅W1内のスペースに不必要部品収容器があり、検出された高さが干渉検出高さより高いのであれば、その不必要部品収容器は高不必要部品収容器であり、S8が実行され、RAM354に高不必要部品収容器に関するデータ、例えば、高不必要部品収容器の存在および高不必要部品収容器検出位置が記憶されるとともに、異常フラグがセットされる。図16(b)に示すように、幅W1内のスペースに不必要部品収容器がなければ、検出高さが干渉検出高さより高くなることはなく、高不必要部品収容器がないことがわかる。パッド320が必要部品収容器の端から幅W1に等しい距離、はみ出した状態となる位置において高さ検出が行われることにより、幅W1内のスペースにおける不必要部品収容器の有無検出と、不必要部品収容器がある場合の高さ検出とが同時に行われ、1回の動作により高不必要部品収容器の存否が検出される。また、必要部品収容器に隣接する幅W1の領域についてのみ、高不必要部品収容器の検出が行われるため、不必要部品収容器が存在しても干渉が生じない領域についても検出が行われ、高さは干渉検出高さより高いが、配列方向に平行な方向においては干渉しない位置に位置する不必要部品収容器が、高さが干渉検出高さより高いことにより高不必要部品収容器とされることがない。高不必要部品収容器の検出が無駄に行われ、無駄に報知が為されることがないのである。
【0048】
全部の必要部品収容器について検出が行われれば、S10が実行され、異常フラグのセットの有無に基づいて異常があるか否かの判定が行われる。異常があればS11が実行され、異常の発生および異常内容が表示画面242に表示される。その表示に基づいて作業者は、支持板172を退避位置へ移動させ、高不必要部品収容器を支持板172から降ろす。そして、入力装置366を用いて異常解消作業の完了を入力する。この入力に基づいて再度、検出プログラムが実行され、異常が検出されなければ、回路基板32への部品の装着開始が許可され、装着ヘッド40が部品供給装置14,16から部品を受け取って回路基板32に装着する。異常が検出されれば、作業者に報知され、異常が解消されるまで、検出プログラムが実行される。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、必要部品収容器に隣接する幅W2以上の空きスペースが要検出スペースであり、幅W1の空きスペースは干渉可能性スペースである。そして、検出子312が接触子を構成し、パッド320が接触部を構成し、ヘッド本体304が接触子保持部を構成し、スプリング314が上昇許容装置を構成し、圧力検出装置336が上昇検出装置を構成し、これらが接触式検出器を構成している。また、ヘッド移動装置46およびヘッド昇降装置48が相対移動装置を構成し、制御装置24のS5ないしS7を実行する部分が検出部を構成し、S1を実行する部分であって、部品収容器支持データから必要部品収容器の搭載位置を取得する部分が必要部品収容器位置取得部を構成し、S4を実行する部分が要検出スペース取得部を構成し、これら検出部および取得部が接触式検出器および相対移動装置と共同して、要注意対象物検出装置の一種としての高不必要部品収容器検出装置を構成している。また、制御装置24のS11を実行する部分および表示装置240が報知部を構成している。
【0050】
なお、多ノズルヘッドについても直接支持トレイを複数段積みして部品を供給させるようにしてもよい。その場合、段積み高さを制限しない等により、部品取出開始時における最上段の直接支持トレイの高さが高不必要部品収容器より高くなることを許容することも可能である。この場合には、取出開始前に加えて、取出し途中にも高不必要部品収容器の検出を行うことが必要となり、例えば、次のようにすることができる。取出開始前の検出により、最上段の直接支持トレイの高さを取得し、その高さ,多ノズルヘッドにおける作業ノズルと非作業ノズルとの高さの差および部品の最大厚さ等に基づいて、非作業ノズルが保持する吸着部品と高不必要部品収容器との干渉が発生する高さである干渉発生高さを取得する。そして、最上段の直接支持トレイの高さが、取得された干渉発生高さ以下であって、かつ、干渉発生高さとの差が最小となるまでに使用されるトレイの数を算出し、その数のトレイが使用された時点で高不必要部品収容器の検出を行うのである。そして、最上段の直接支持トレイより高い不必要部品収容器が検出されれば、上記実施形態における高不必要部品収容器の検出時と同様に処理され、検出されなければ、再度、干渉発生高さの取得および次に高不必要部品収容器の検出を行うまでに使用されるトレイの数の算出が行われる。
また、高さ検出ヘッドを、要検出スペース内の、必要部品収容器から外れ、必要部品収容器に隣接する位置において昇降させ、高不必要部品収容器を検出させるようにしてもよい。この場合、接触子の接触面は、高さ検出ヘッドの1回の検出動作により、干渉可能性スペースのみについて高不必要部品収容器の存否検出を行うことができる形状,寸法を有するものとすることが望ましい。
さらに、高不必要部品収容器検出位置を、配列方向と直交する方向において複数箇所に設定し、各位置において高さ検出ヘッドに検出を行わせるようにしてもよい。
また、トレイ収容器も段積みするようにしてもよい。
【0051】
さらに、高さ検出ヘッドの接触子の接触面の直径は、前記パッド320の接触面322の直径に前記余裕値dの2倍を加えた大きさとしてもよい。その場合には、検出時における高さ検出ヘッドの位置を、部品収容器の、配列方向における端の位置から、全種類の部品収容器の前記各距離aのうちで最小の値だけ内側の位置とする。
また、接触子の接触面の直径を、前記パッド320の接触面322の直径に前記余裕値dの2倍を加えた大きささとするとともに、検出時における高さ検出ヘッドの位置を、複数種類の部品収容器の、配列方向における端の位置から、前記各距離aだけ内側の位置とすることも可能である。そのようにすれば、必要部品収容器の種類(収容凹部の位置)に応じて、接触面の必要部品収容器の端から空きスペース側へのはみ出し長さが異なり、干渉可能性スペースの幅が必要部品収容器の種類毎に固有の大きさとなる。なお、この検出時における高さ検出ヘッドの位置の決め方は、前記図12に基づいて説明した実施形態においても適用可能である。高さ検出ヘッドの位置を、必要部品収容器の種類に応じて、配列方向において最も端に位置する収容凹部の中心から端側へ余裕値dだけ外側の位置とするのである。
【0052】
また、多ノズルヘッドにおける部品取出位置は、吸着ノズルの旋回軌跡のうち、複数の部品収容器の配列方向に平行な方向において最も端となる位置としてもよい。その場合、要注意対象物の検出は、部品収容器の配列方向の一方の側、すなわち作業ノズルが部品収容器の配列方向の端から部品の取出しを行う際に非作業ノズルが部品収容器から外れる側について行われればよい。
上記場合、干渉可能性スペースは、部品取出位置が、配列方向において多ノズルヘッドの軸線と同じ位置とされる場合に比較して広くなり、高さ検出ヘッドを含む要注意対象物検出装置によって高不必要部品収容器の検出が行われる場合、高さ検出ヘッドは、その干渉可能性スペース内における高不必要部品収容器の存否を検出することができる位置へ移動させられる。例えば、高さ検出ヘッドの接触面の直径が、前記包絡円の直径に前記余裕値dの2倍を加えた大きさとされるのであれば、高さ検出ヘッドは、配列方向における最も端の部品収容部からの部品取出し時における多ノズルヘッドと同じ位置へ移動させられる。
高不必要部品収容器の検出時における高さ検出ヘッドの位置を、図12に基づいて説明した前記実施形態におけると同様に、複数種類の部品収容器に共通の位置とすることも可能である。
なお、部品取出位置を任意の位置に設定可能とすることも可能であるが、その場合にも、部品取出位置が、上記の場合(部品取出位置が、吸着ノズルの旋回軌跡のうち、複数の部品収容器の配列方向に平行な方向において最も端となる位置である場合)と同様にして高さ検出ヘッドの位置を設定すればよい。
【0053】
要注意対象物検出装置が非接触式検出器として撮像装置を含む実施形態を図17〜図19に基づいて説明する。
本実施形態の電子回路部品装着機においては、支持板400の支持面402に検出パターン404が設けられている。本検出パターン404は帯状を成し、帯状被検出部を構成し、ガイドバー406の位置決め面408から、支持面402に平行で、部品収容器配列方向と直角な方向において適宜の距離、本実施形態においては、支持板400による支持が予定されている直接支持部品収容器の、配列方向に直角な方向における最小寸法より短い距離内の箇所に設けられ、位置決め面408に平行に延びる直線に沿って、支持面402の一端から他端に至る状態で設けられている。検出パターン404は、支持面402および直接支持部品収容器に対して光学的なコントラストが大きいもの(撮像データに基づいて識別可能なコントラストを有するもの)とされ、本実施形態においては、支持面402および直接支持部品収容器は黒色とされているのに対し、検出パターン404は白色とされている。また、検出パターン404は、幅がCCDカメラ144の視野より小さい一定の大きさとされ、テープの貼付により設けられている。検出パターンは印刷により設けてもよい。なお、前記実施形態と同じ構成の部分については、その構成要素に同じ符号を付して説明に使用する。
【0054】
支持板400が供給位置に位置させられた状態で図19に示す検出プログラムが実行され、CCDカメラ144がヘッド移動装置46により検出パターン404に沿って移動させられ、検出パターン404をその上方(支持面176と直交する方向)から撮像する(S21)。図18にCCDカメラ144の視野を二点鎖線の円で示すように、本実施形態においては、必要部品収容器の配列方向に隔たった両端部およびその中間部と、必要部品収容器に隣接して幅W2以上の空きスペースがある場合には、その端から幅W1の部分が撮像される。空きスペースについては、設定間隔毎に複数回撮像が行われる。
上記設定間隔は、視野が重複し、検出パターン404の像が切れ目なくが連続して得られる大きさに設定され、幅W1は、図12に基づいて説明した実施形態における幅W1と同様に設定され、上記撮像回数は、幅W1の部分が撮像されることが保証される撮像回数のうちの最小回数に設定される。
【0055】
撮像により得られた画像データは画像処理コンピュータ364により処理され、検出パターン404の像の有無および撮像位置に基づいて、必要部品収容器の有無および空きスペースにおける要注意不必要部品収容器の有無の判定が行われる(S22,S24)。必要部品収容器がなく、要注意不必要部品収容器があれば、異常内容が記憶されるとともに異常フラグがセットされ(S23,S25)、表示装置240により表示される(S26,S27)。本実施形態においては、ヘッド移動装置46が相対移動装置を構成し、制御装置24のS21,S24を実行する部分が検出部を構成し、これらがCCDカメラ144と共に要注意対象物検出装置の一種である要注意不必要部品収容器検出装置を構成している。
なお、帯状被検出部の撮像は、空きスペースの全部について行われてもよい。また、支持面402と直接支持部品収容器とが、撮像データに基づいて識別可能なコントラストを有するものである場合には、帯状被検出部を省略することも可能である。
【0056】
非接触式検出器は、透過型光電センサを含むものとしてもよい。その実施形態を図20〜図22に基づいて説明する。
本実施形態においては、図20(a)に示すように、電子回路部品装着機のベッド30の部品供給装置440の台車442が連結される部分に、透過型光電センサ450およびセンサ移動装置452が設けられている。本実施形態のセンサ移動装置452は、配列方向(X軸方向)に平行な軸線まわりに回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられたボールねじ454と、ボールねじ454に螺合されたナット456とを含む送りねじ機構458と、ボールねじ454を回転させる駆動源たるエンコーダ付サーボモータ460とを含む。また、ボールねじ454に対して、Y軸方向に隔たった箇所に案内部材としてのガイドレール464がX軸方向に平行な姿勢で、ベッド30の台車連結領域からX軸方向において外れた箇所に設けられている。
【0057】
ガイドレール464に摺動可能に嵌合されたガイドブロック468とナット456とによって、可動部材としてのスライダ470が支持されている。スライダ470は、図21に示すように門形を成し、Y軸方向に隔たった一対の脚部472の互いに対向する面の一方に、透過型光電センサ450の発光部474が設けられ、他方に受光部476が設けられている。発光部474および受光部476は支持面176に平行に設けられ、複数組の発光部474および受光部476が高さ方向に適宜の間隔、本実施形態においては等間隔を隔てて設けられており、受光部476の受光の有無を表す信号が装着制御コンピュータ340に出力される。1番下の発光部474および受光部476は、支持面に直角な方向において最も高さの低い搭載物を検出し得る位置に設けられている。また、台車442には、必要部品収容器の配列方向に平行に延びるガイドレール480が設けられている。本実施形態においてはガイドレール480は支持板172と一体的に移動可能に設けられ、台車442がベッド30に連結され、支持板172が供給位置へ移動させられた状態で、ガイドレール464とつながって連続する1本のガイドレール482を構成する。本実施形態においては、ボールねじ454がガイドレール482と共同してスライド470を案内するガイド部材としても機能する。
【0058】
台車442が連結され、支持板172が供給位置に位置させられた状態で図22に示す検出プログラムが実行され、スライダ470がガイドレール482およびボールねじ454により案内されつつ移動させられる。この間、全部の発光部474が発光させられ、受光部476は支持面176上に受光を妨げるものがなければ受光し、必要部品収容器や予定外対象物があれば、受光が妨げられる。受光部476の受光の有無は、サーボモータ460のエンコーダの値と対応付けてRAMに記憶させられる(S31)。
【0059】
透過型光電センサ450は支持板172の配列方向の一端から他端まで移動させられる。複数の受光部476の受光の有無により、図20(b)に例示するように、支持板176の配列方向におけるすべての存在物(必要部品収容器および予定外対象物。予定外対象物には不必要部品収容器とそれら以外の存在物である異物とが含まれる。)の有無およびその高さが検出され、その位置に基づいて必要部品収容器の有無および予定外対象物の有無が判定される(S32,S34)。存在物の位置は、エンコーダの値から得られる。そして、必要部品収容器がない可能性があれば、そのことが記憶され、報知される(S33,S37,S38)。また、予定外対象物の位置および高さから、干渉可能性スペース内に干渉検出高さを超える予定外対象物が検出されれば、その予定外対象物は高要注意対象物であり、その検出等が記憶されるとともに報知される(S35〜S38)。本実施形態においても、干渉可能性スペースの幅W1は、図12に基づいて説明した実施形態における幅W1と同様に設定される。本実施形態においては、センサ移動装置452が相対移動装置を構成し、制御装置24のS31およびS34を実行する部分が検出部を構成し、透過型光電センサ450およびセンサ移動装置452と共同して、予定外対象物検出装置を構成し、S31,S34およびS35を実行する部分が検出部を構成し、透過型光電センサ450およびセンサ移動装置452と共同して、高要注意対象物検出装置を構成している。
なお、予定外対象物が1つでも検出されれば、その位置や高さを問わず、報知されるようにしてもよく、高さが設定高さ以上の物についてのみ報知されるようにしてもよい。
また、空きスペースについてのみ存在物(予定外対象物)の検出が行われ、全部の予定外対象物が検出されるようにしてもよい。
【0060】
予定外対象物が部品収容器であることが前提とされる場合、上記透過型光電センサ450を含む要注意対象物検出装置により、部品収容器支持板上に搭載された全部の不必要部品収容器を検出することができる。この態様が段落〔0011〕の(4)項に記載の電子回路部品装着機の実施形態であり、制御装置24のS34を実行する部分が検出部を構成し、透過型光電センサ450およびセンサ移動装置452と共同して不必要部品収容器検出装置を構成することとなる。
【0061】
透過型光電センサは、発光部および受光部を1組、有するものとしてもよい。その場合、透過型光電センサを、使用が予定されている部品収容器のうちで最も低いものより低い位置に設ければ、すべての部品収容器(あるいはすべての予定外対象物)を検出することができ、高不必要部品収容器(あるいは要注意対象物)の高さより僅かに低い位置に設ければ、すべての高不必要部品収容器(あるいは要注意対象物)を検出することができる。
また、透過型光電センサに替えて、ラインセンサを支持面に直角な方向に設けてもよい。
【0062】
部品収容器を2種類の位置決め部材により位置決めしてもよい。その実施形態を図23および図24に基づいて説明する。
本実施形態においては、部品収容器は、第1位置決め部材たるL形定規500および第2位置決め部材たるI形定規502により位置決めされる。L形定規500は前記L形定規230と同様に構成され、第1,第2の定規部504,506を有し、定規部506の幅(配列方向における寸法)が前記図12に基づいて説明した実施形態における干渉可能性スペースの幅W1と等しい大きさとされている。また、定規部504,506の交差部に基準マーク508が設けられている。
【0063】
I形定規502は、その底面に磁石を備え、支持面176の任意の位置に取付け可能である。I形定規502は、長手方向の一端部に基準マーク510が設けられ、その一端部が位置決め面192に密着させられ、長手方向が必要部品収容器の配列方向と直交する方向に延びる姿勢で取り付けられる。I形定規502の幅も定規部506と同様に前記幅W1と等しい大きさとされている。L形定規500およびI形定規502は、高さが、最も低い部品収容器以下とされ、必要部品収容器の配列方向において互いに対向する2側面にそれぞれ接触させられ、互いに共同して直接支持必要部品収容器を位置決めする。
【0064】
基準マーク508,510は、CCDカメラ144により撮像される(S41,S42)。撮像は、全部の定規500,502の各基準マーク508,510について行われ、定規500,502の存在の検出が行われる(S43)。1つの必要部品収容器について基準マーク508,510の両方の画像が取得され、定規500,502が検出されれば、その必要部品収容器に隣接するスペースには要注意対象物が存在しないことが検出されることとなる。基準マーク508,510の少なくとも一方の画像が取得されていない必要部品収容器があれば、L形定規500とI形定規502との少なくとも一方がなく、必要部品収容器に隣接して幅W1の空きスペースが確保されておらず、要注意対象物が存在する可能性があり、作業者に報知される(S44,S45)。本実施形態においては制御装置24のS41,S42,S44を実行する部分が検出部を構成し、CCDカメラ144およびヘッド移動装置46と共に要注意対象物検出装置を構成し、制御装置24のS45を実行する部分が表示装置240と共に報知部を構成している。報知に換えて、あるいは報知と共に、電子回路部品装着機の作動が禁止されるようにしてもよい。
【0065】
なお、要注意対象物の検出は、前記干渉可能性スペース全体について行われるようにしてもよい。この場合、透過型光電センサあるいはラインセンサにより検出を行うことが特に有効である。
【0066】
また、多ノズルヘッドにおける部品取出位置が、必要部品収容器の配列方向において多ノズルヘッドの軸線とは異なる位置とされる場合、その位置に応じて干渉可能性スペースの大きさが異なることとなるが、高さ検出ヘッドを含む要注意対象物検出装置以外の要注意対象物検出装置についても、その構成に応じて、干渉可能性スペース内における要注意対象物の検出が行われるようにされる。例えば、干渉可能性スペースの幅に応じて検出パターン404の撮像回数が設定され、透過型光電センサ450の出力信号に基づく高要注意対象物の検出範囲が設定される。また、L形定規500の定規部506およびI形定規502の各幅が干渉可能性スペースの幅と等しくされる。
【0067】
さらに、多ノズルヘッドについて複数の吸着ノズルの下端面の包絡円を考える場合、その包絡円は、複数の吸着ノズルが下端面の面積を異にする場合でも同じ場合でも、全部の吸着ノズルの下端面を含む円であって、多ノズルヘッドの回転軸線を中心とする円と考える。
【0068】
また、装着ヘッドは、部品を取り出すべき目標部品収容器から外れた領域を移動させて目標部品収容器上へ移動させ、部品の取出しを行わせてもよい。このような移動が行われる場合も「装着ヘッドが必要部品収容器から電子回路部品を取り出す際」に含まれる。また、装着ヘッドは、装着ヘッドと吸着ノズルとの少なくとも一方を下降させつつ目標部品収容器へ移動させてもよい。
【0069】
透過型光電センサやラインセンサによれば、支持面上の全範囲の走査が容易であり、必要部品収容器の支持面上への搭載が指示通りに行われなかったり、部品収容器以外の予定外対象物が空きスペースの幅を問わず搭載されたり、装着ヘッドが下降させられつつ、部品を取り出すべき目標部品収容器から外れた領域を経て目標部品収容器上へ移動させられたりする場合でも、装着ヘッドと装着ヘッドに保持された部品との少なくとも一方と要注意対象物との干渉が回避されるようにすることができ、要注意対象物の走査範囲が限定可能な場合にも当然対応することができる。また、撮像装置,高さ検出ヘッド,タッチセンサ,レーザ変位計,レーザ距離計のように、支持面を一部ずつ検出する検出器でも、検出範囲の一部を重複させて複数回、検出を行ったり、検出領域を互いに近接させたりすることにより、支持面を広く走査することが可能であり、必要部品収容器以外の予定外対象物の搭載等に対処することができる。
【符号の説明】
【0070】
16:トレイ型部品供給装置 24:制御装置 134:吸着ノズル 144:CCDカメラ 172:トレイ支持板 176:支持面 178:トレイ 300:高さ検出装置 400:支持板 402:支持面 404:検出パターン 440:トレイ型部品供給装置 450:透過型光電センサ 500:L形定規 502:I形定規

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数の電子回路部品を平面状に並べて収容する複数の部品収容器を平面状に並べて支持する支持面を備えた部品収容器支持板を含む部品供給装置と、
装着ヘッドを備え、前記部品供給装置から電子回路部品を受け取って回路基板に装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機であって、
前記部品収容器支持板上に、現に部品供給が予定されている部品収容器である必要部品収容器以外の対象物である予定外対象物のうち、少なくとも、前記装着ヘッドが前記必要部品収容器から電子回路部品を取り出す際にその装着ヘッドとその装着ヘッドに保持された電子回路部品との少なくとも一方が干渉する可能性のある要注意対象物が存在することを検出する要注意対象物検出装置を含むことを特徴とする電子回路部品装着機。
【請求項2】
前記要注意対象物検出装置が、
前記要注意対象物に接触することによりその要注意対象物を検出する接触式検出器と、
その接触式検出器と前記部品収容器支持板とを、前記支持面に平行な方向と、前記支持面と交差する方向とに相対移動させる相対移動装置と、
前記接触式検出器の出力信号に基づいて前記要注意対象物を検出する検出部と
を含み、前記接触式検出器が、
前記要注意対象物の上面に接触する接触子と、
その接触子を昇降可能に保持する接触子保持部と、
前記接触子を通常は下降端位置に保持しており、前記相対移動装置による前記接触子保持部と前記部品収容器支持板との接近によって、前記接触子が前記要注意対象物に接触した後は、その接触子の前記接触子保持部に対する相対的な上昇を許容する上昇許容装置と、
前記接触子の前記接触子保持部に対する相対的な上昇を検出する上昇検出装置と
を含み、かつ、
前記装着ヘッドが複数の吸着ノズルを保持するものであり、前記接触子が、その接触子の下端に、前記複数の吸着ノズルの下端面の包絡線に囲まれた領域以上の大きさの接触面を有する請求項1に記載の電子回路部品装着機。
【請求項3】
前記要注意対象物検出装置が、
前記支持面と交差する方向から撮像を行い、前記要注意対象物に接触することなくその要注意対象物を検出する撮像装置と、
その撮像装置と前記部品収容器支持板とを、少なくとも前記支持面に平行な方向に相対移動させる相対移動装置と、
前記撮像装置と前記相対移動装置とを制御し、前記相対移動中に前記撮像装置に複数回の撮像を行わせ、取得された複数の画像に基づいて、前記要注意対象物を検出する検出部と
を含む請求項1または2に記載の電子回路部品装着機。
【請求項4】
前記支持面に、その支持面上における複数の部品収容器の配列方向に平行な直線に沿って一定の幅で延びる帯状被検出部が形成され、前記検出部が、前記相対移動中に前記撮像装置に前記帯状被検出部を複数回撮像させ、取得された複数の画像に基づいて前記要注意対象物を検出する請求項3に記載の電子回路部品装着機。
【請求項5】
さらに、
前記支持面上に配設されて、部品収容器の、前記支持面上における部品収容器の配列方向において互いに対向する2側面にそれぞれ接触し、互いに共同して部品収容器を位置決めする第1位置決め部材および第2位置決め部材を含み、かつ、それら第1,第2位置決め部材に基準マークが設けられており、前記検出部が前記第1,第2位置決め部材の基準マークを前記撮像装置に撮像させることにより、それら第1,第2位置決め部材により位置決めされている部品収容器に隣接するスペースには前記要注意対象物が存在しないことを検出する請求項3または4に記載の電子回路部品装着機。
【請求項6】
前記要注意対象物検出装置が、
前記支持面に平行で、かつ、その支持面上における複数の部品収容器の配列方向と直交する方向において互いに対向する発光部と受光部とを含み、発光部からの光が前記要注意対象物により遮られて受光部に受光されないことを以て要注意対象物の存在を検出する透過型光電センサと、
その透過型光電センサと前記部品収容器支持板とを、少なくとも前記支持面に平行な方向に相対移動させる相対移動装置と、
その相対移動装置を制御し、前記透過型光電センサと前記部品収容器支持板との相対位置と、前記透過型光電センサの出力信号の状態との関係に基づいて前記要注意対象物の存在を検出する検出部と
を含む請求項1ないし5のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
【請求項7】
前記要注意対象物検出装置が、さらに、
前記必要部品収容器の搭載位置を取得する必要部品収容器位置取得部と、
その必要部品収容器位置取得部により取得された必要部品収容器の位置に基づいて、前記支持面内において必要部品収容器以外の部品収容器である不必要部品収容器が搭載される可能性があり、不必要部品収容器の存在を検出する必要がある要検出スペースを取得する要検出スペース取得部と
を含み、要検出スペースについては不必要部品収容器の検出を行うが、要検出スペース以外では行わない請求項1ないし6のいずれかに記載の電子回路部品装着機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−151198(P2011−151198A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11171(P2010−11171)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】