説明

電子式スイッチ

【課題】半導体スイッチング装置を制御する制御装置の動作用電力を負荷の形態にかかわらず安定に確保し、もって、負荷を安定に制御することが可能な電子式スイッチを提供する。
【解決手段】負荷8がLED電球のように負荷電流が小さく、第2の制御用電源装置15では制御装置9に十分な動作用電力を供給できない場合には、切換え装置16を操作して制御用電源装置10から制御装置9に給電可能にする。本体1の制御電力入力端子13、14に、外部の交流電源17からの給電線を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光器やタイマ等のように電源と負荷との間に介在して負荷への供給電力を制御する電子式スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子式スイッチは、電源と負荷との間に介在する半導体スイッチング装置のオンオフを制御することにより負荷への供給電力を制御するようにしている。このような電子式スイッチの多くは、いわゆる2線式といわれるもので、電源からみて電子式スイッチと負荷とが直列となるように配設される。このため、半導体スイッチング装置のオンオフを制御する制御装置の動作用電力の確保に工夫を要する。特許文献1のものは、交流電源電圧の毎半サイクルのゼロクロス近傍等の低電圧期間に半導体スイッチング装置をオフさせ、この期間に発生する半導体スイッチング装置の両端電圧から動作用電力を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−102817号公報 図1、[0026]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2線式の電子式スイッチは、片切りスイッチと同様に配線して使用できるので配線工事が簡単であり、また、既設の配線設備における片切りスイッチとの置換えも容易である。
【0005】
しかし、2線式の電子式スイッチは、負荷によっては制御装置の動作用電力の確保が不十分になり、負荷の制御を所望に行えなくなることがある。たとえば、特許文献1のもののように、電源電圧の毎半サイクルのゼロクロス近傍等低電圧期間でスイッチング装置をオフさせるものでは、負荷が発光ダイオードのように消費電流が一層小さい場合には、前記オフ期間に流れる電流値はさらに小さくなり、動作用電力を得るだけの電力を充電できなくなる。したがって、電子式スイッチがたとえば位相制御式調光器であると、位相制御用の半導体スイッチング装置を所定の位相でオンすることができなくなって、負荷(この場合発光ダイオード)の動作を不安定にしたり、動作不能になったりするという問題があった。すなわち、負荷(発光ダイオード)の光出力がちらついたり、所望範囲の調光点灯を行えなかったりする。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、従来とは全く異なる発想で制御装置の動作用電力を作成して負荷の形態にかかわらず制御装置の動作用電力を安定に確保し、もって、負荷を安定に制御することが可能な電子式スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における一実施形態の電子式スイッチは、入力端子、出力端子及び制御電力入力端子を備える本体を有する。また、それぞれ本体内に設けられ、入力端子から入力される電源電圧を制御して出力端子から出力可能な半導体スイッチング装置と、この半導体スイッチング装置のオンオフを制御信号に応じて制御する制御装置とを有する。さらに、本体内に設けられ、制御電力入力端子を介して外部から入力される外部電源電力から制御装置への動作用電力を生成する制御用電源装置を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、本体が制御電力入力端子を有し、かつ、本体内に制御用電源装置を有しているので、外部から制御装置の動作用電力を導入可能であり、負荷電流が小さい場合でも半導体スイッチング装置を制御信号に応じて所望に制御可能であり、もって、負荷を所望に制御可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態及びその一使用状態を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図1を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態及びその一使用状態を示す回路図で、1は本体であり、例えば配線器具の日本工業規格(JIS)の1、2または3モジュール寸法の筐体として形成することができる。この本体1の前面側(操作面側)には、位相制御式の調光器の場合、必要に応じて回転式やスライド式の操作具(図示省略)が設けられる。また、この本体1には、入力端子2および出力端子3が設けられている。なお、入力端子2および/または出力端子3それぞれに送り端子(図示省略。)を並設してもよい。このような入力端子2、出力端子3及び送り端子は本体1の底面または側面に設けるのが好ましい。
【0012】
4は半導体スイッチング装置で、トライアック5とこのトライアック5のトリガ回路6とを有している。前記トライアック5は、前記入力端子2から入力される商用の交流電源7の出力電圧を位相制御して前記出力端子3から出力するように設けられている。すなわち、半導体スイッチング装置4は、交流電源7からみて負荷8と直列的に接続されており、スイッチング装置4の導通位相に応じて位相制御された交流電圧を負荷8に印加するようになされている。
【0013】
9は制御装置であって、前記半導体スイッチング装置4の導通位相を制御するものである。たとえば、本体1の前面側に設けられた回転式の操作具の操作に応じて、あるいはリモコン信号等に応じて、前記トリガ回路6のトリガ発生位相を決定するものである。このような制御装置9は、ディスクリート部品で構成することも可能であるし、ICやマイクロコンピュータ等を主として構成することも可能である。また、制御装置9は、回路構成上はトリガ回路6と一体不可分に構成されることもある。
【0014】
この制御装置9に動作用電力を供給する制御用電源装置10が本体1内に設けられている。制御用電源装置10は、たとえば整流装置11とDC/DC変換回路12とを有して構成されている。DC/DC変換回路12は必要に応じて種々設計可能であるが、少なくとも平滑機能、降圧機能、定電圧機能を有することが好ましい。
【0015】
前記本体1の底面、側面あるいは前面の任意の位置に、前記制御用電源装置10に外部から電力を供給するための制御電力入力端子13、14が設けられている。
【0016】
さらに、本実施形態においては、本体1内に第2の制御用電源装置15が設けられている。この第2の制御用電源装置15は、前記半導体スイッチング装置4の両端電圧により充電されて、前記制御装置9に電力を供給可能なものである。このような第2の制御用電源装置15としては、詳細な図示は省略するが、整流装置、充電用のコンデンサ、定電圧回路等で構成することが可能である。
【0017】
そして、前記制御用電源装置10および前記第2の制御用電源装置15のいずれかから、前記制御装置9に対して電力を供給するための切換え装置16が設けられている。切換え装置16は手動にて切換えるものであっても、リモコン信号にて遠隔操作されて切換えるものであっても、あるいは負荷電流等を検知して切換えるものなどであってもよい。
【0018】
また、切換え装置16、制御用電源装置10及び第2の制御用電源装置15は、制御用電源装置10及び第2の制御用電源装置15間で短絡、漏れ電流等の問題が生じないよう十分に電気的絶縁が図られているものである。なお、図1においては、制御用電源装置10及び第2の制御用電源装置15から切換え装置16への配線、切換え装置16から制御装置9への配線を、簡略化のために一線のみとしている。
【0019】
前記負荷8としては、たとえば発光ダイオード(LED)であり、最近急速に普及してきたLED電球とすることができる。なお、一般の白熱電球とすることもできる。
【0020】
つぎに本実施形態の作用を説明する。負荷8がLED電球の場合、負荷電流が小さく、第2の制御用電源装置15では制御装置9に十分な動作用電力を供給できないと予測できる。したがって、この場合には、切換え装置16を操作して制御用電源装置10から制御装置9に給電可能にする。
【0021】
また、本体1の制御電力入力端子13、14に、外部の交流電源17からの給電線を接続する。なお、外部電源17は前記交流電源7と別の電源であってもよいが、交流電源7を分岐したものであってもよい。
【0022】
また、制御電力入力端子13、14への外部交流電源17からの給電線の接続は、たとえば一般住宅の場合には、電子式スイッチが配設される近傍に配設されているコンセントから送り配線等で行うことができる。この場合、電子式スイッチ及びコンセントを壁埋め込み形ではなく、露出形のものとすると、両者間の配線を壁面に沿って設置することができ、壁内配線に比し工事が容易になる。しかし、その他、制御電力入力端子13、14への配線は、電子式スイッチの配設状況に合せて任意に実行可能である。
【0023】
以上のように、外部交流電源17から給電される制御用電源装置10は、負荷電流によらず安定した電力を制御装置9に供給する。このため、制御装置9は、操作具の操作に基づく制御信号に応じて半導体スイッチング装置4の導通位相を確実に制御する。したがって、負荷8としてのLED電球は、光出力のちらつきや立ち消えを従来のものに比して解消ないしは低減して安定に調光点灯する。
【0024】
一方、負荷8が一般電球の場合には、負荷電流が相対的に大きく、第2の制御用電源装置15から制御装置9に対して十分な動作用電力を供給可能である。したがって、この場合には、切換え装置16により、第2の制御用電源装置15から制御装置9に電力供給するようにして、制御用電源装置10を制御装置9から切り離す。この場合、制御電力入力端子13、14に対して、外部交流電源17からの給電線を取外すか否かは任意である。
【0025】
以後、制御装置9は、第2の制御用電源装置15から給電されて、制御信号に応じて半導体スイッチング装置4の導通を確実に制御する。よって、負荷8としての白熱電球は所望に調光点灯される。
【0026】
以上、本発明の好ましい実施形態を中心に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、各種の変形を許容するものである。
【0027】
たとえば、電子式スイッチとしては、調光器の他、タイマや人感センサに連動して開閉を制御されるスイッチ、照度センサに連動して開閉を制御されるスイッチ等があるが、これらに限られるものではない。要するに、半導体スイッチング装置を用いて負荷への供給電力を制御するものに適用可能である。したがって、筐体の前面側あるいは内部に設けられる操作具やセンサ等も電子式スイッチの形態に応じて変更されるものである。また、負荷の種類も限定されない。
【0028】
また、本体は、上述したように日本工業規格(JIS)のモジュール寸法のものが、同規格の取付ボックス、取付枠を使用できる点で有利であるが、本発明はこれに限られるものではない。
【0029】
また、半導体スイッチング装置としては、トライアックの他、SCR、バイポーラ形トランジスタ、電解効果形トランジスタ等、各種のものが使用可能であり、具体的な回路構成は当業者であれば設計可能である。
【0030】
また、制御装置は前述したような電子式スイッチの種類に応じた形態に設計される必要があるが、当業者であれば適宜設計可能であり、ディスクリート部品で構成するかIC、マイクロコンピュータ、DSP等を用いて構成するかは任意である。
【0031】
また、第2の制御用電源装置及び切換え装置は必須ではない。
【符号の説明】
【0032】
1…筐体、2…入力端子、3…出力端子、4…半導体スイッチング装置、8…負荷、9…制御装置、10…制御用電源装置、13、14…制御電力入力端子、15…第2の制御用電源装置、16…切換え装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子および出力端子を有する本体と;
本体内に設けられ、入力端子から入力される電源電圧を制御して出力端子から出力可能な半導体スイッチング装置と;
本体内に設けられ、半導体スイッチング装置のオンオフを制御信号に応じて制御する制御装置と;
本体内に設けられ、制御装置に動作用電力を供給する制御用電源装置と;
本体に設けられ、外部から制御用電源装置への電力を入力する制御電力入力端子と;
を具備していることを特徴とする電子式スイッチ。
【請求項2】
前記本体内にはさらに、半導体スイッチング装置の両端電圧に応じて充電され制御装置に動作用電力を供給可能な第2の制御用電源装置と、この第2の制御用電源装置または前記制御用電源装置から制御装置に動作用電力を供給するように切換える切換え装置と、を設けていることを特徴とする請求項1記載の電子式スイッチ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−74515(P2013−74515A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212966(P2011−212966)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】