説明

電子或いは正孔輸送層材料及びその製造方法

【課題】 電子或いは正孔輸送層材料及びその製造方法の提供。
【解決手段】 本発明は一種の電子或いは正孔輸送層材料を提供し、それは少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、そのうち上述の連接構造は、以下のグループ、即ち、ウレタンと尿素構造中のいずれか或いはその任意の組合せとされる。このほか本発明は電子或いは正孔輸送層の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の電子或いは正孔輸送層材料に係り、特に、共役構造と、ウレタン(urethane)及び又は尿素(urea)構造とを具えた電子或いは正孔輸送層材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス原理は簡単には以下のように解釈される。即ち、外部から電圧を印加し、正孔、電子をそれぞれ陽極、陰極より注入し、電場の作用下で、電子、正孔を互いに向けて移動させ、両者が有機発光材料上で遭遇した時に結合により光子を発生させ、その後、エネルギー量が比較的高い励起体からエネルギー量が比較的低い基態に戻る時に、エネルギーを放出させ、このエネルギーを光或いは熱の形式で放出させる、というものである。有機エレクトロルミネッセンス装置の効率は電子と正孔が有効に発光層中で発光するかにより決定され、電子或いは正孔が両極に接近する時は金属により集められるため、大多数の有機材料が電子を輸送せず正孔を輸送すれば、励起光子が両極に接近するため、効率が低くなる。これを改善する方法には二つあり、そのうち一つは直接有機材料分子自身の構造を修正し、それに電子と正孔の輸送特性を共に具備させる官能基を加入する方法であり、もう一つは、多層構造を利用して、電子、正孔の有機層中への注入の均衡を補助することである。
【0003】
多層構造設計について説明すると、一般によく見られる構造は図1に示されるようであり、それは、発光層(emitting layer;EML)とITO陽極の間に正孔輸送層(hole transport layer;HTL)と正孔注入層(hole injecting layer;HIL)が加えられ、また、発光層と金属陰極(cathode)の間に電子輸送層(electron transport layer;ETL)と電子注入層(electron injecting layer;EIL)が加えられている。このような多層構造の目的は、電子の注入、輸送と正孔の注入、輸送に平衡を達成させることで、電子と正孔の発光層での結合効率を高めて最大の発光強度と量子効果(quantum efficiency)を達成することにある。そのうち、電子輸送層と正孔輸送層は電子と正孔の移動速度を調整して両者の速度を接近させるのに用いられる。
【0004】
上述の電子或いは正孔輸送材料を設計及び合成する時にはいくつかの重点がある。即ち、1.高い耐熱性と熱安定性を具備することが必要である。2.正孔輸送層/陽極、或いは電子輸送層/陰極インタフェースのバンドギャップを減らせる。なぜならバンドギャップが小さくなるほど、有機発光装置の使用時間が延長されることが報告されているためである。3.自然に良好な薄膜形態を製造できる。なぜなら有機電子或いは電子輸送材料薄膜層中にあって、長時間使用後には結晶の老化現象が発生して、この現象が装置通電後に次第に暗くなる主要な原因となるためである。これを鑑み、高い耐熱性と熱安定性を有し、インタフェースバンドギャップが低く開始電圧が低い新たな電子或いは正孔輸送材料の研究開発により、有機発光装置の使用寿命を増し、発光輝度と発光効率を改善することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の発明の背景を鑑み、開始電圧が低く発光効率が高い有機発光装置を発展させるため、本発明は新規な電子或いは正孔輸送層材料及びその製造方法を提供し、産業上の要求に符合させるものである。
【0006】
本発明の目的は、少なくとも二つの水酸基及び又は少なくとも二つのアミノ基を具えた第1モノマーと、少なくとも二つのイソシアン酸基を具えた第2モノマーに付加重合反応させて、これにより共役構造とウレタン(urethane)及び又は尿素(urea)構造を具えた電子或いは正孔輸送層材料を製造することにある。本発明の別の目的は、停止官能基と橋かけ用官能基を具えた反応停止剤により橋かけ結合可能な電子或いは正孔輸送層材料を製造することにある。これにより本発明は経済上の効果と産業上の利用性に符合する。
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明は一種の電子或いは正孔輸送層材料を提示し、それは少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、そのうち上述の連接構造は、ウレタンと尿素構造からなるグループ中のいずれか或いはその任意の組合せとされる。このほか本発明は電子或いは正孔輸送層の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、電子或いは正孔輸送層材料において、該電子或いは正孔輸送層材料は、少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、該連接構造は、ウレタンと尿素構造のいずれか或いはその任意の組合せを包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の電子或いは正孔輸送層材料において、上述の少なくとも一種類の共役構造が以下のもの、即ち、
【0009】
【化58】

【0010】
【化59】

【0011】
【化60】

【0012】
【化61】

【0013】
【化62】

【0014】
【化63】

【0015】
【化64】

【0016】
【化65】

【0017】
【化66】

【0018】
【化67】

【0019】
【化68】

【0020】
【化69】

【0021】
【化70】

【0022】
【化71】

【0023】
【化72】

【0024】
【化73】

【0025】
【化74】

【0026】
【化75】

【0027】
【化76】

【0028】
【化77】

【0029】
【化78】

中のいずれか或いはその任意の組合せとされ、そのうち、S1 、S2 、S3 、S4 は同じか或いは異なるものとされ、且つS1 、S2 、S3 、S4 は更に水素原子、アルキル基、或いは芳香族グループ基のいずれか或いはその任意の組合せとされ、XとYは同じ或いは異なるものとされ、且つCS1 或いはNとされ、Zは−O−、−S−、−NS1 −、−CS12 −、−CS1 =CS1 −、及び−CS1 =N−のいずれか或いはその任意の組合せとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の電子或いは正孔輸送層材料において、上述の少なくとも一種類の共益構造が、
【0030】
【化79】

【0031】
【化80】

【0032】
【化81】

のいずれか或いはその任意の組合せとされたことを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料としている。
請求項4の発明は、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、
共役結合と少なくとも二つの水酸基及び又は少なくとも二つのアミノ基を具えた第1モノマーと、少なくとも二つのイソシアン酸基を具えた第2モノマーを提供するステップ、 第1モノマーと第2モノマーに重合反応を行なわせ、並びに共重合物を製造するステップ、
停止官能基を具えた反応停止剤により重合停止反応を行なわせ、反応停止剤の停止官能基を共重合物の未反応の水酸基、未反応のアミノ基或いは未反応のイソシアン酸基と相互に結合させ電子或いは正孔輸送層材料を製造するステップ、
を包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項5の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第1モノマーは更にHO−G−OH及び又はH2 N−G−NH2 を包含し、且つGは更に以下のもの、即ち、
【0033】
【化82】

【0034】
【化83】

【0035】
【化84】

【0036】
【化85】

【0037】
【化86】

【0038】
【化87】

【0039】
【化88】

【0040】
【化89】

【0041】
【化90】

【0042】
【化91】

【0043】
【化92】

【0044】
【化93】

【0045】
【化94】

【0046】
【化95】

【0047】
【化96】

【0048】
【化97】

【0049】
【化98】

【0050】
【化99】

【0051】
【化100】

【0052】
【化101】

【0053】
【化102】

のいずれか或いはその任意の組合せを包含し、そのうち、S1 、S2 、S3 、S4 は同じか或いは異なるものとされ、且つS1 、S2 、S3 、S4 は水素原子、アルキル基、或いは芳香族グループ基のいずれか或いはその任意の組合せとされ、XとYは同じ或いは異なるものとされ、且つCS1 或いはNとされ、Zは−O−、−S−、−NS1 −、−CS12 −、−CS1 =CS1 −、及び−CS1 =N−のいずれか或いはその任意の組合せとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項6の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第1モノマーの構造が、
【0054】
【化103】

【0055】
【化104】

【0056】
【化105】

のいずれか或いはその任意の組合せを包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項7の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第2モノマーは、以下のもの、即ち、
(1)芳香族ポリイソシアネート:トリレンジイソシアネート(tolylene jiisocyanate;TDI;2,4− or −2,6−TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate;MDI;4,4’− or 2,4’−MDI)、ポリメリックMDI(polymeric MDI)、キリレンジイソシアネート(xylylene diisocyanate;NDI;通常 1,5−NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(paraphenylene diisocyanate;PPDI)、テトラメチルキリレンジイソシアネート(tetramethylxylylene diisocyanate;TMXDI)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate;TODI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(3,3’−dimethoxy−4,4’−biphenylene diisocyanate)
(2)アリシクリックポリイソシアネート(alicyclic polyisocyanates):ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate;HMDI;4,4’− or 2,4’−HMDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate;IPDI)、イソプロピリデン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)(isopropylidene−bis−(4−cyclohexylisocyanate);IPC)、水添キリレンジイソシアネート(hydrogenated xylylene diisocyanate;水添XDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(cyclohexylene diisocyanate;CHPI;通常1,4−CHPI)、1,5−テトラハイドナフタレンジイソシアネート(1,5−tetrahydonaphthalene diisocyanate)
(3)脂肪族ポリイソシアネート(aliphatic polyisocyanates)、ヘキサメチレン ジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate;HDI)、リシンジイソシアネート(lysine diisocyanate;LDI)、テトラメチレンジイソシアネート(tetramethylene diisocyanate)
のいずれか或いはその任意の組合せを包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項8の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の重合反応と重合停止反応の操作温度範囲は約摂氏40度から70度とされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項9の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の重合反応と重合停止反応は水酸基を含有しないルイスベース(Lewis base)により行なわれるアルカリ触媒反応であることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項10の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第1モノマーと第2モノマーの当量比の値が1より小さい時は、反応停止剤の停止官能基は水酸基及び又はアミノ基とされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項11の発明は、請求項10記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の反応停止剤は、
【0057】
【化106】

【0058】
【化107】

のいずれかを包含し、且つそのうちXは、アルキル基(alkyl group)、イソブチル基(tert−butyl group)、ビニル基(binyl group)、炭素−炭素二重結合(carbon−carbon double bond)、エポキシ基(epoxy group)、スルホン基(sulfonic group)、水酸基(hydroxyl group)、アミノ基(amine group)、カルボキシル基(carboxylic acid group)、イソシアン酸基(isocyanate group)、有機ハロゲン基(organic halide group)、アシルハロゲン基(acyl halide group)、及びアルデヒド基(aldehyde group)のいずれかとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項12の発明は、請求項11記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXは、炭素−炭素二重結合とされ、即ち電子或いは正孔輸送層材料が炭素−炭素二重結合により二重結合付加反応を行い相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項13の発明は、請求項11記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXはエポキシ基とされ、電子或いは正孔輸送層材料がエポキシ基により開環反応を行い、これにより相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項14の発明は、請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の共役モノマーと化合物の当量比の値が1より大きい時、反応停止剤の停止官能基はイソシアン酸基とされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項15の発明は、請求項14記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の反応停止剤が、
【0059】
【化108】

の構造式とされ、且つ、Xは、アルキル基(alkyl group)、イソブチル基(tert−butyl group)、ビニル基(binyl group)、炭素−炭素二重結合(carbon−carbon double bond)、エポキシ基(epoxy group)、スルホン基(sulfonic group)、水酸基(hydroxyl group)、アミノ基(amine group)、カルボキシル基(carboxylic acid group)、イソシアン酸基(isocyanate group)、有機ハロゲン基(organic halide group)、アシルハロゲン基(acyl halide group)、及びアルデヒド基(aldehyde group)のいずれかとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項16の発明は、請求項15記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXが炭素−炭素二重結合とされ、電子或いは正孔輸送層材料が炭素−炭素二重結合により二重結合付加反応を行い相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項17の発明は、請求項15記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXがエポキシ基とされ、電子或いは正孔輸送層材料がエポキシ基により開環反応を行い、これにより相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法としている。
請求項18の発明は、共役モノマーの製造方法において、
N−ハロゲン化こはく酸イミドとP−キシレンを溶剤中で混合して第1溶液を製造するステップ、
光開始剤を第1溶液中に加え、並びに光照射処理を行なうステップ、
続いて、ハロゲン化反応を行い、1,4−ジハロゲン化メチルベンゼンを製造し、その構造は、
【0060】
【化109】

であるステップ、
1,4−ジハロゲン化メチルベンゼンとトリアルキルホスフェート(trialkyl phosphate;P(OR)3 )を混合し、亜りん酸エステル化反応させ、これにより中間物を形成し、その構造式は、
【0061】
【化110】

であるステップ、
サリチルアイデハイド(salicylaidehyde)、該中間物及びハロゲン化リチウムを別の溶剤中に混合して第2溶液を形成するステップ、
第2溶液に対して触媒反応を進行し、これにより共役モノマーを形成し、該共役モノマーの構造式は、
【0062】
【化111】

であるステップ、
以上のステップを包含することを特徴とする、共役モノマーの製造方法としている。
請求項19の発明は、共役モノマーの製造方法において、
4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合して混合物を形成するステップ、
混合物を加熱してアミド化反応させ、並びに中間物を形成し、該中間物の構造は、
【0063】
【化112】

であるステップ、
合環反応を行なわせて中間物に共役モノマーを形成させ、該共役モノマーの構造は、
【0064】
【化113】

であるステップ、
を包含することを特徴とする、共役モノマーの製造方法としている。
請求項20の発明は、共役モノマーの製造方法において、
4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合して混合物を形成するステップ、
混合物対して第1加熱プロセスを実行し、並びに中間物を形成するステップ、
該中間物とハロゲン化アンモニウム塩を混合し、並びに第2加熱プロセスを実行して中間物に共役モノマーを形成させ、この共役モノマーの構造は、
【0065】
【化114】

であるステップ、
を包含することを特徴とする、共役モノマーの製造方法としている。
請求項21の発明は、請求項20記載の共役モノマーの製造方法において、第1加熱プロセスの操作温度範囲が約摂氏180度から220度とされることを特徴とする、共役モノマーの製造方法としている。
請求項22の発明は、請求項20記載の共役モノマーの製造方法において、第2加熱プロセスの操作温度範囲が約摂氏230度から270度とされることを特徴とする、共役モノマーの製造方法としている。
【発明の効果】
【0066】
本発明は一種の電子或いは正孔輸送層材料を提供し、それは少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、そのうち上述の連接構造は、以下のグループ、即ち、ウレタンと尿素構造中のいずれか或いはその任意の組合せとされる。このほか本発明は電子或いは正孔輸送層の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
本発明がここで探求する方向は、電子或いは正孔輸送層材料及びその製造方法とされる。徹底的に本発明をご了解いただくため、以下の記述中には詳細な製造ステップ或いは組成構造が提出されている。しかし、本発明の実行は有機エレクトロルミネッセンス装置の領域の技術に詳しい者が熟知する特殊な細部に限定されるものではない。一方で周知の組成或いは製造方法は細部まで描かず、これにより本発明に対する不必要な制限が生じるのを防止している。本発明の好ましい実施例は以下に詳細に説明されるが、本発明は以下の詳細な記述のほかに、広くその他の実施例で実施可能であり、且つ本発明の範囲は以下の説明により制限されず、請求項の記載に準じるものとする。
【0068】
本発明の第1実施例は一種の電子或いは正孔輸送層材料を提示し、それは、少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、そのうち上述の連接構造は、ウレタン(urethane)と尿素(urea)構造からなるグループのいずれか或いはその任意の組合せとされる。上述の少なくとも一種類の共益構造は更に以下のグループ中の一つ或いはその任意の組合せとされる。
【化115】

【0069】
【化116】

【0070】
【化117】

【0071】
【化118】

【0072】
【化119】

【0073】
【化120】

【0074】
【化121】

【0075】
【化122】

【0076】
【化123】

【0077】
【化124】

【0078】
【化125】

【0079】
【化126】

【0080】
【化127】

【0081】
【化128】

【0082】
【化129】

【0083】
【化130】

【0084】
【化131】

【0085】
【化132】

【0086】
【化133】

【0087】
【化134】

【0088】
【化135】

そのうち、S1 、S2 、S3 、S4 は同じか或いは異なるものとされ、且つS1 、S2 、S3 、S4 は更に以下に示されるグループ中のいずれか或いはその任意の組合せとされうる。即ち、水素原子、アルキル基、或いは芳香族。XとYは同じ或いは異なるものとされ、且つCS1 或いはNとされる。Zは更に以下のグループ中のいずれか或いはその任意の組合せとされる。即ち、−O−、−S−、−NS1 −、−CS12 −、−CS1 =CS1 −、及び−CS1 =N−。
【0089】
また、上述の少なくとも一種類の共益構造の構造式は更に以下のグループのいずれか或いはその任意の組合せを包含する。
【化136】

【0090】
【化137】

【0091】
【化138】

【0092】
本発明の第2実施例は電子或いは正孔輸送層材料の製造方法を提示する。まず、共役結合と少なくとも二つの水酸基及び又は少なくとも二つのアミノ基を具えた第1モノマーと、少なくとも二つのイソシアン酸基を具えた第2モノマーを提供する。次に、第1モノマーと第2モノマーに重合反応を行なわせ、並びに共重合物を製造する。その後、停止官能基を具えた複数の反応停止剤により重合停止反応を行なわせる。反応停止剤の停止官能基は共重合物の未反応の水酸基、未反応のアミノ基或いは未反応のイソシアン酸基と相互に結合して電子或いは正孔輸送層材料を製造する。
【0093】
本実施例中、上述の第1モノマーは更にHO−G−OH及び又はH2 N−G−NH2 を包含し、且つGは更に以下のグループ中のいずれか或いはその任意の組合せとされる。
【化139】

【0094】
【化140】

【0095】
【化141】

【0096】
【化142】

【0097】
【化143】

【0098】
【化144】

【0099】
【化145】

【0100】
【化146】

【0101】
【化147】

【0102】
【化148】

【0103】
【化149】

【0104】
【化150】

【0105】
【化151】

【0106】
【化152】

【0107】
【化153】

【0108】
【化154】

【0109】
【化155】

【0110】
【化156】

【0111】
【化157】

【0112】
【化158】

【0113】
【化159】

そのうち、S1 、S2 、S3 、S4 は同じか或いは異なるものとされ、且つS1 、S2 、S3 、S4 は更に以下に示されるグループ中のいずれか或いはその任意の組合せとされうる。即ち、水素原子、アルキル基、或いは芳香族。XとYは同じ或いは異なるものとされ、且つCS1 或いはNとされる。Zは更に以下のグループ中のいずれか或いはその任意の組合せとされる。即ち、−O−、−S−、−NS1 −、−CS12 −、−CS1 =CS1 −、及び−CS1 =N−。
【0114】
また、上述の第1モノマーは更に以下のグループのいずれか或いはその任意の組合せを包含する。
【化160】

【0115】
【化161】

【0116】
【化162】

【0117】
本実施例中、上述の第2モノマーは更に以下のグループのいずれか或いはその任意の組合せを包含する。
(1)芳香族ポリイソシアネート:トリレンジイソシアネート(tolylene jiisocyanate;TDI;2,4− or −2,6−TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate;MDI;4,4’− or 2,4’−MDI)、ポリメリックMDI(polymeric MDI)、キリレンジイソシアネート(xylylene diisocyanate;NDI;通常 1,5−NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(paraphenylene diisocyanate;PPDI)、テトラメチルキリレンジイソシアネート(tetramethylxylylene diisocyanate;TMXDI)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate;TODI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(3,3’−dimethoxy−4,4’−biphenylene diisocyanate)。
(2)アリシクリックポリイソシアネート(alicyclic polyisocyanates):ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate;HMDI;4,4’− or 2,4’−HMDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate;IPDI)、イソプロピリデン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)(isopropylidene−bis−(4−cyclohexylisocyanate);IPC)、水添キリレンジイソシアネート(hydrogenated xylylene diisocyanate;水添XDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(cyclohexylene diisocyanate;CHPI;通常1,4−CHPI)、1,5−テトラハイドナフタレンジイソシアネート(1,5−tetrahydonaphthalene diisocyanate)。
(3)脂肪族ポリイソシアネート(aliphatic polyisocyanates)、ヘキサメチレン ジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate;HDI)、リシンジイソシアネート(lysine diisocyanate;LDI)、テトラメチレンジイソシアネート(tetramethylene diisocyanate)。
【0118】
本実施例中、上述の共重合物はウレタン(urethane)構造を具え、それは第1モノマーの水酸基と第2モノマーのイソシアン基が相互に結合して製造される。このほか、上述の共重合物はまた尿素(urea)構造を有し得て、それは第1モノマーのアミノ基と第2モノマーのイソシアン基が結合して製造される。
【0119】
本実施例中、上述の重合反応と重合停止反応は乾燥し且つ慣性ガスを豊富に含有する環境下で実行される。このほか、重合反応と重合停止反応の操作温度範囲は約摂氏40度から70度とされ、好ましくは約摂氏60度とされる。上述の重合反応と重合停止反応の操作時間は約12から36時間とされる。また、上述の重合反応と重合停止反応は水酸基を含有しないルイスベース(Lewis base)により行なわれるアルカリ触媒反応であり、そのうち、上述の水酸基を含有しないルイスベースは更にトリエチルアミン(triethylamine;Et3 N)を包含する。
【0120】
本実施例中、上述の第1モノマーと第2モノマーの当量比の値が1より小さい時は、反応停止剤の停止官能基は水酸基及び又はアミノ基とされ、そのうち反応停止剤は更に以下のグループ中のいずれかを包含する。
【化163】

【0121】
【化164】

且つそのうちXは更に以下のグループ中のいずれかを包含する:アルキル基(alkyl group)、イソブチル基(tert−butyl group)、ビニル基(binyl group)、炭素−炭素二重結合(carbon−carbon double bond)、エポキシ基(epoxy group)、スルホン基(sulfonic group)、水酸基(hydroxyl group)、アミノ基(amine group)、カルボキシル基(carboxylic acid group)、イソシアン酸基(isocyanate group)、有機ハロゲン基(organic halide group)、アシルハロゲン基(acyl halide group)、及びアルデヒド基(aldehyde group)。異なる種類のXにより、橋かけ結合型の反応停止剤は更に二種類に分けられる。第1種のXは、炭素−炭素二重結合とされ、この電子或いは正孔輸送層材料は炭素−炭素二重結合により二重結合付加反応を行い相互に橋かけ結合される。第2種のXはエポキシ基とされ、その電子或いは正孔輸送層材料はエポキシ基により開環反応を行い、これにより相互に橋かけ結合される。
【0122】
本実施例中、上述の共役モノマーと化合物の当量比の値が1より大きい時、反応停止剤の停止官能基はイソシアン酸基とされ、そのうち、上述の反応停止剤は更に以下のグループのいずれかを包含する。
【化165】

且つXは以下のグループのいずれかとされる。:アルキル基(alkyl group)、イソブチル基(tert−butyl group)、ビニル基(binyl group)、炭素−炭素二重結合(carbon−carbon double bond)、エポキシ基(epoxy group)、スルホン基(sulfonic group)、水酸基(hydroxyl group)、アミノ基(amine group)、カルボキシル基(carboxylic acid group)、イソシアン酸基(isocyanate group)、有機ハロゲン基(organic halide group)、アシルハロゲン基(acyl halide group)、及びアルデヒド基(aldehyde group)。異なる種類のXにより、橋かけ結合型の反応停止剤は更に二種類に分けられる。第1種のXは、炭素−炭素二重結合とされ、この電子或いは正孔輸送層材料は炭素−炭素二重結合により二重結合付加反応を行い相互に橋かけ結合される。第2種のXはエポキシ基とされ、その電子或いは正孔輸送層材料はエポキシ基により開環反応を行い、これにより相互に橋かけ結合される。
【0123】
本発明の第4実施例は共役モノマーの製造方法を提示する。まず、N−ハロゲン化こはく酸イミドとP−キシレンを溶剤中で混合して第1溶液を製造する。そのうち、N−ハロゲン化こはく酸イミドは以下のグループ中のいずれかとされる:N−クロロこはく酸イミド(N−Chlorosuccinimide;NCS)、N−ブロモこはく酸イミド(N−Bromosuccinimide;NBS)、N−ヨードこはく酸イミド(N−Iodosuccinimide;NIS)。次に、光開始剤を第1溶液中に加え、並びに光照射処理を行なう。そのうち、光開始剤は以下のグループのいずれか或いはその任意の組合せをされる:2,2’−アゾビスイソブチロニトライル(2,2’−azobisisobutyronitrile;AIBN)、過酸化ベンゾイル(penzoyl peroxide;BPO)、クロロペルオキシダーゼ(chloroperoxidase;CPO)、テルト−ブチルヒドロペルオキシド(Tert−butylhydroperoxide;t−BuPO)、過硫酸カリウム(potassium persulfate;KPS)とクメンヒドロペルオキシド(cumene hydroperoxide;CHP)。続いて、ハロゲン化反応を行い、1,4−ジハロゲン化メチルベンゼンを製造し、その構造は、以下のとおりである。
【化166】

【0124】
本実施例中、ハロゲン化反応完成後に、1,4−ジハロゲン化メチルベンゼンとトリアルキルホスフェート(trialkyl phosphate;P(OR)3 )を混合し、亜りん酸エステル化反応させ、これにより共役モノマーを製造し、その構造は以下のとおりである。
【化167】

【0125】
実施例1:
1,4−ビスブロモメチルベンゼン(1,4−Bis−Bromomethyl−benzene)の製造
N−ブロモこはく酸イミド(N−Bromosuccinimide;NBS)(180.00g,1.01mol)を1リットルの二頸フラスコ中に入れ、437ミリリットルのぎ酸メチルと磁石攪拌子を加える。続いて、P−キシレン(49.15g,0.46mol)を加え、並びに光照射(ハロゲンランプ使用)下で、2,2’−アゾビスイソブチロニトライル(2,2’−azobisisobutyronitrile;AIBN)50mgを加える。次に、摂氏30度から50度、好ましくは摂氏40度下で回流させると、約3分後に溶液が泡立ちを開始し、且つ溶液は淡黄色から淡オレンジ色となった。その後、14時間反応させると、白色固体が出現し、溶液はオレンジ色を呈し、減圧濾過し、ぎ酸メチルと水を用いて反復洗浄し、真空乾燥させて粗産物80.91gを得た。クロロホルム300ミリリットルで再結晶させ、化合物1(1,4−Bis−Bromomethyl−benzene)を得た、その重量は58g、生産率は66%、その構造は以下のとおりである。
【化168】

【0126】
1,4−ビス(ジエチル)フェニル−1,4−ジメタンホスホネート(1,4−Bis(diethyl)−phenyl−1,4−dimethanephosphonate)の製造
化合物1(20.00g,0.076mol)を100mlの二頸フラスコ中に入れ、アルゴンガス下でトリエチルホスフェート(triethyl phosphate;P(OEt )3)(27.645g,0.1664ml)を加え、磁石攪拌子を加え、摂氏100度から120度、好ましくは摂氏110度下で攪拌し回流させる。次に、21時間反応させた後、TLCを用いて追跡したところ、開始物がないことが分かり、その後反応を停止する。続いて、エチルエーテルを用いて再結晶させ、化合物2即ち1,4−ビス(ジエチル)フェニル−1,4−ジメタンホスホネート(1,4−Bis(diethyl)−phenyl−1,4−dimethanephosphonate)を得た。その重量は18.6g、生産率は64%、その構造は以下のようである。
【化169】

【0127】
1,4−ビス(2−ヒドロキシフェニレンビニレン)ベンゼン(1,4−bis(2−Hydroxy−phenylenevinylene)benzene)の製造
サリチルアイデハイド(salicylaidehyde)(22.69g,0.18mol)、化合物2(20.75,54.80mmol)、塩化リチウム(9.56g,0.23mol)を、250mlの二頸フラスコ中に入れ、十分に攪拌した後、さらに乾燥済のジメチルホルムアミド(Dimethylformamide;DMF)115mlを加え、その後、さらにカリウムテルト−ブトキシド(potassium tert−butoxide;t−KOBu)(49.24g,0.438mol)を加え、室温下で5時間反応させた後に反応停止させる。続いて、氷浴下で塩酸水溶液を加えて反応を停止させ、水溶液が微酸性を呈するようにすると、黄色の固体が出現した。減圧濾過後に得られた固体をテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)とメタノールの混合液(メタノール/THF=10)中に溶かして再結晶させ(氷浴下)、共役モノマー3即ち1,4−ビス(2−ヒドロキシフェニレンビニレン)ベンゼン(1,4−bis(2−Hydroxy−phenylenevinylene)benzene)を得た。その重量は13.1g、生産率は76.04%、その構造は以下のようである。
【化170】

【0128】
本発明の第5実施例は共役モノマーの製造方法を提供する。まず、4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合して混合物を形成する。その後、混合物を加熱してアミド化反応させ、並びに中間物を形成する。そのうち、該アミド化反応の温度範囲は約摂氏180度から230度とされ、且つ中間物の構造は以下のようである。
【化171】

【0129】
最後に合環反応を行なわせて中間物に共役モノマーを形成させる。この合環反応の反応温度は約摂氏280度から320度とされ、且つ共役モノマーの構造は以下のようである。
【化172】

【0130】
実施例2
以下のscheme 1を参照されたい。それは二つの部分に分けられる。第1の部分は先ず分流管を二頸フラスコに取り付け、6.09gの4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と8.57gの4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合し、窒素下で金属浴で摂氏210度に加熱しそれを30分間維持する。この時、フェノールは蒸発して分流管を通り円底フラスコに収集され、並びに化合物4が得られる。第2の部分では迅速に化合物4を加熱して摂氏300度とし並びにそれを60分間維持する。その後、室温に冷却し、黄色の固体産物を研磨粉砕した後に20mlのメタノールで未反応の開始物を洗い流し、粉末固体を濾過、真空乾燥後に、22.5mlのN,N−ジメチルアセトアミド(N,N−dimethylacetamide)と10.5mlの水を混合した後、再結晶させ産物を純化し、濾過、真空乾燥した後に白色固体5(4.6g)を得る。
【化173】

【0131】
本発明の第6実施例は共役モノマーの形成方法を提示する。まず、ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)との4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合して混合物を形成する。その次に、混合物に対して第1加熱プロセスを実行し、並びに中間物を形成する。そのうち、上述の第1加熱プロセスの操作温度は摂氏約180度から220度とされる。その後、中間物とハロゲン化アンモニウム塩を混合し、並びに第2加熱プロセスを実行して中間物に共役モノマーを形成させる。そのうち、上述の第2加熱プロセスの操作温度範囲は約摂氏230度から270度とされ、且つ共役モノマーの構造は以下のようである。
【化174】

【0132】
実施例3
scheme2に示されるように、6.09gの4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と8.57gの4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合し、窒素下で金属浴で摂氏200度に加熱しそれを2時間維持する。その後、迅速に等しい当量のNH+ CH- を加え、並びに迅速に摂氏250度に昇温させてそれを2時間維持する。続いて、室温に冷却し、黄色の固体産物を研磨粉砕した後に40mlのメタノールで未反応の開始物を洗い流し、粉末固体を濾過、真空乾燥後に、25mlのN,N−ジメチルアセトアミド(N,N−dimethylacetamide)で再結晶させ産物を純化し、濾過、真空乾燥した後に白色固体(5.3g)を得る。
【化175】

【0133】
上述の発明の実施例中、本発明は少なくとも二つの水酸基及び又は少なくとも二つのアミノ基を具えた第1モノマーと少なくとも二つのイソシアン酸基を具えた第2モノマーに付加重合反応させることにより、共役構造とウレタン構造及び又は尿素構造を有する電子或いは正孔輸送層材料を製造する。本発明はまた、停止官能基と橋かけ結合用官能基を有する反応停止剤により橋かけ結合可能な電子或いは正孔輸送層材料を形成する。これにより、本発明は経済上の効果と産業上の利用性に符合する。
【0134】
総合すると、本発明は一種の電子或いは正孔輸送層材料を提供し、それは少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、そのうち、上述の連接構造は更に、ウレタンと尿素構造のいずれか或いはその任意の組合せとされる。このほか、本発明はまた電子或いは正孔輸送層材料の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】周知の有機発光装置の多層構造設計表示図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子或いは正孔輸送層材料において、該電子或いは正孔輸送層材料は、少なくとも一種類の共役構造と少なくとも一種類の連接構造を包含し、該連接構造は、ウレタンと尿素構造のいずれか或いはその任意の組合せを包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料。
【請求項2】
請求項1記載の電子或いは正孔輸送層材料において、上述の少なくとも一種類の共役構造が以下のもの、即ち、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

中のいずれか或いはその任意の組合せとされ、そのうち、S1 、S2 、S3 、S4 は同じか或いは異なるものとされ、且つS1 、S2 、S3 、S4 は更に水素原子、アルキル基、或いは芳香族グループ基のいずれか或いはその任意の組合せとされ、XとYは同じ或いは異なるものとされ、且つCS1 或いはNとされ、Zは−O−、−S−、−NS1 −、−CS12 −、−CS1 =CS1 −、及び−CS1 =N−のいずれか或いはその任意の組合せとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料。
【請求項3】
請求項1記載の電子或いは正孔輸送層材料において、上述の少なくとも一種類の共益構造が、
【化22】

【化23】

【化24】

のいずれか或いはその任意の組合せとされたことを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料。
【請求項4】
電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、
共役結合と少なくとも二つの水酸基及び又は少なくとも二つのアミノ基を具えた第1モノマーと、少なくとも二つのイソシアン酸基を具えた第2モノマーを提供するステップ、 第1モノマーと第2モノマーに重合反応を行なわせ、並びに共重合物を製造するステップ、
停止官能基を具えた反応停止剤により重合停止反応を行なわせ、反応停止剤の停止官能基を共重合物の未反応の水酸基、未反応のアミノ基或いは未反応のイソシアン酸基と相互に結合させ電子或いは正孔輸送層材料を製造するステップ、
を包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第1モノマーは更にHO−G−OH及び又はH2 N−G−NH2 を包含し、且つGは更に以下のもの、即ち、
【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

のいずれか或いはその任意の組合せを包含し、そのうち、S1 、S2 、S3 、S4 は同じか或いは異なるものとされ、且つS1 、S2 、S3 、S4 は水素原子、アルキル基、或いは芳香族グループ基のいずれか或いはその任意の組合せとされ、XとYは同じ或いは異なるものとされ、且つCS1 或いはNとされ、Zは−O−、−S−、−NS1 −、−CS12 −、−CS1 =CS1 −、及び−CS1 =N−のいずれか或いはその任意の組合せとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第1モノマーの構造が、
【化46】

【化47】

【化48】

のいずれか或いはその任意の組合せを包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第2モノマーは、以下のもの、即ち、
(1)芳香族ポリイソシアネート:トリレンジイソシアネート(tolylene jiisocyanate;TDI;2,4− or −2,6−TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate;MDI;4,4’− or 2,4’−MDI)、ポリメリックMDI(polymeric MDI)、キリレンジイソシアネート(xylylene diisocyanate;NDI;通常 1,5−NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(paraphenylene diisocyanate;PPDI)、テトラメチルキリレンジイソシアネート(tetramethylxylylene diisocyanate;TMXDI)、トリジンジイソシアネート(tolidine diisocyanate;TODI)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(3,3’−dimethoxy−4,4’−biphenylene diisocyanate)
(2)アリシクリックポリイソシアネート(alicyclic polyisocyanates):ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(dicyclohexylmethane diisocyanate;HMDI;4,4’− or 2,4’−HMDI)、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate;IPDI)、イソプロピリデン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)(isopropylidene−bis−(4−cyclohexylisocyanate);IPC)、水添キリレンジイソシアネート(hydrogenated xylylene diisocyanate;水添XDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(cyclohexylene diisocyanate;CHPI;通常1,4−CHPI)、1,5−テトラハイドナフタレンジイソシアネート(1,5−tetrahydonaphthalene diisocyanate)
(3)脂肪族ポリイソシアネート(aliphatic polyisocyanates)、ヘキサメチレン ジイソシアネート(hexamethylene diisocyanate;HDI)、リシンジイソシアネート(lysine diisocyanate;LDI)、テトラメチレンジイソシアネート(tetramethylene diisocyanate)
のいずれか或いはその任意の組合せを包含することを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項8】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の重合反応と重合停止反応の操作温度範囲は約摂氏40度から70度とされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項9】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の重合反応と重合停止反応は水酸基を含有しないルイスベース(Lewis base)により行なわれるアルカリ触媒反応であることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項10】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の第1モノマーと第2モノマーの当量比の値が1より小さい時は、反応停止剤の停止官能基は水酸基及び又はアミノ基とされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の反応停止剤は、
【化49】

【化50】

のいずれかを包含し、且つそのうちXは、アルキル基(alkyl group)、イソブチル基(tert−butyl group)、ビニル基(binyl group)、炭素−炭素二重結合(carbon−carbon double bond)、エポキシ基(epoxy group)、スルホン基(sulfonic group)、水酸基(hydroxyl group)、アミノ基(amine group)、カルボキシル基(carboxylic acid group)、イソシアン酸基(isocyanate group)、有機ハロゲン基(organic halide group)、アシルハロゲン基(acyl halide group)、及びアルデヒド基(aldehyde group)のいずれかとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXは、炭素−炭素二重結合とされ、即ち電子或いは正孔輸送層材料が炭素−炭素二重結合により二重結合付加反応を行い相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項13】
請求項11記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXはエポキシ基とされ、電子或いは正孔輸送層材料がエポキシ基により開環反応を行い、これにより相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項14】
請求項4記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の共役モノマーと化合物の当量比の値が1より大きい時、反応停止剤の停止官能基はイソシアン酸基とされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述の反応停止剤が、
【化51】

の構造式とされ、且つ、Xは、アルキル基(alkyl group)、イソブチル基(tert−butyl group)、ビニル基(binyl group)、炭素−炭素二重結合(carbon−carbon double bond)、エポキシ基(epoxy group)、スルホン基(sulfonic group)、水酸基(hydroxyl group)、アミノ基(amine group)、カルボキシル基(carboxylic acid group)、イソシアン酸基(isocyanate group)、有機ハロゲン基(organic halide group)、アシルハロゲン基(acyl halide group)、及びアルデヒド基(aldehyde group)のいずれかとされることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項16】
請求項15記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXが炭素−炭素二重結合とされ、電子或いは正孔輸送層材料が炭素−炭素二重結合により二重結合付加反応を行い相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項17】
請求項15記載の電子或いは正孔輸送層材料の製造方法において、上述のXがエポキシ基とされ、電子或いは正孔輸送層材料がエポキシ基により開環反応を行い、これにより相互に橋かけ結合されることを特徴とする、電子或いは正孔輸送層材料の製造方法。
【請求項18】
共役モノマーの製造方法において、
N−ハロゲン化こはく酸イミドとP−キシレンを溶剤中で混合して第1溶液を製造するステップ、
光開始剤を第1溶液中に加え、並びに光照射処理を行なうステップ、
続いて、ハロゲン化反応を行い、1,4−ジハロゲン化メチルベンゼンを製造し、その構造は、
【化52】

であるステップ、
1,4−ジハロゲン化メチルベンゼンとトリアルキルホスフェート(trialkyl phosphate;P(OR)3 )を混合し、亜りん酸エステル化反応させ、これにより中間物を形成し、その構造式は、
【化53】

であるステップ、
サリチルアイデハイド(salicylaidehyde)、該中間物及びハロゲン化リチウムを別の溶剤中に混合して第2溶液を形成するステップ、
第2溶液に対して触媒反応を進行し、これにより共役モノマーを形成し、該共役モノマーの構造式は、
【化54】

であるステップ、
以上のステップを包含することを特徴とする、共役モノマーの製造方法。
【請求項19】
共役モノマーの製造方法において、
4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合して混合物を形成するステップ、
混合物を加熱してアミド化反応させ、並びに中間物を形成し、該中間物の構造は、
【化55】

であるステップ、
合環反応を行なわせて中間物に共役モノマーを形成させ、該共役モノマーの構造は、
【化56】

であるステップ、
を包含することを特徴とする、共役モノマーの製造方法。
【請求項20】
共役モノマーの製造方法において、
4−ヒドロキシベンゾイックヒドラジド(4−hydroxybenzoic hydrozide)と4−ヒドロキシベンゾエート(4−hydroxybenzoate)を混合して混合物を形成するステップ、
混合物対して第1加熱プロセスを実行し、並びに中間物を形成するステップ、
該中間物とハロゲン化アンモニウム塩を混合し、並びに第2加熱プロセスを実行して中間物に共役モノマーを形成させ、この共役モノマーの構造は、
【化57】

であるステップ、
を包含することを特徴とする、共役モノマーの製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の共役モノマーの製造方法において、第1加熱プロセスの操作温度範囲が約摂氏180度から220度とされることを特徴とする、共役モノマーの製造方法。
【請求項22】
請求項20記載の共役モノマーの製造方法において、第2加熱プロセスの操作温度範囲が約摂氏230度から270度とされることを特徴とする、共役モノマーの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−156933(P2006−156933A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115415(P2005−115415)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(504115208)
【Fターム(参考)】