説明

電子楽器玩具

【課題】操作部の人為的な操作に応じて主旋律と同期した副旋律を出力することができる電子楽器玩具を提供すること。
【解決手段】この電子楽器玩具100では、副旋律演奏部としての制御部21が、記憶部23の旋律データ部23aに保管された副旋律データに対応する副旋律音を操作部である打撃部11の打面領域11a,11b,11cの打撃操作に応じて所定時間だけ主旋律音と同時に主旋律音に同期させて出力することによって能動演奏を可能にする。これにより、主旋律音と副旋律音とをタイミングを合わせて結果的に調和する楽曲として出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器玩具に関するもので、特に幼児の音楽遊戯に適する電子楽器玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子楽器玩具として、曲の演奏中に複数の操作子の操作に応じて打楽器音、弦楽器音等の味付け音を出力するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−67070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子楽器玩具は、操作子の操作に応じて所望の打楽器音等を出力することができるが、その出力のタイミングを合わせることが容易でなく、結果的に調和した一連の音楽を出力させることが容易でない。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みなされたもので、操作部の人為的な操作に応じて主旋律と同期して正確にタイミングを合わせた副旋律を出力することができる電子楽器玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係る電子楽器玩具は、
所定の曲目に関する主旋律と、前記主旋律に調和した副旋律とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に保管された前記主旋律に対応する主旋律音を出力することによって自動演奏を行う主旋律演奏部と、
前記記憶部に保管された前記副旋律に対応する副旋律音を操作部の操作に応じて所定時間だけ前記主旋律音と同時に前記主旋律音に同期させて出力することによって能動演奏を可能にする副旋律演奏部と、
を備える。
【0007】
請求項2記載の発明に係る電子楽器玩具は、請求項1に記載の電子楽器玩具において、前記副旋律演奏部は、前記操作部の操作タイミングに応じて前記副旋律音を出力することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明に係る電子楽器玩具は、請求項2に記載の電子楽器玩具において、 前記副旋律演奏部は、前記主旋律の所定の時間区分を単位として前記副旋律音を出力することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明に係る電子楽器玩具は、請求項3に記載の電子楽器玩具において、 前記副旋律演奏部は、前記所定の時間区分の途中で前記操作部が操作された場合、前記所定の時間区分の残り時間だけ前記副旋律音を出力することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明に係る電子楽器玩具は、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子楽器玩具において、
前記記憶部は、1の曲目に対して複数種の副旋律を記憶し、
前記副旋律演奏部は、前記副旋律の出力の際に、前記複数種の副旋律から選択された1種の副旋律を出力することを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明に係る電子楽器玩具は、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子楽器玩具において、
前記操作部は、打楽器を部分的に模した打撃部を有し、
前記副旋律演奏部は、前記副旋律音として打楽器音を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、副旋律演奏部が、記憶部に保管された副旋律に対応する副旋律音を操作部の操作に応じて所定時間だけ主旋律音と同時に主旋律音に同期させて出力することによって能動演奏を可能にするので、主旋律音と副旋律音とを正確にタイミングを合わせたものとすることができ、結果的に調和する楽曲として主旋律音及び副旋律音を出力することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、操作者の動作を直接的に反映した副旋律の出力が可能になり、能動的楽器としての感覚を高めることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、主旋律の時間区分単位で周期的に副旋律音を出力することが可能になり、操作部の操作タイミングを主旋律の拍子等の周期に合わせることで副旋律による連続的な伴奏を簡易に行うことができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、操作部の操作に対する応答性を確保しつつも、副旋律音を主旋律の時間区分単位に整合させることができるとともに、次の時間区分以降に出力させる副旋律音を主旋律に簡易に調和させて出力させることが可能になる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、副旋律の選択によって多様な演奏が可能になり、より能動的な演奏を楽しむことができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、主旋律に対してこれにリズムを合わせた打楽器音の伴奏が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子楽器玩具の斜視図である。
【図2】図1に示す電子楽器玩具に組み込まれた電気回路を説明するブロック図である。
【図3】図2等に示す電子楽器玩具の動作の一例について説明するフローチャートである。
【図4】(A)(B)は、図2等に示す電子楽器玩具の動作例を説明する図である。
【図5】図2等に示す電子楽器玩具の別の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る電子楽器玩具を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、電子楽器玩具100は、電気回路等が内蔵された本体部分10と、打楽器の一部を構成する打撃部11と、音楽のジャンルを選択するためのモード選択キー12と、選択されたジャンルに含まれる複数種の曲目から特定の曲目を選択して演奏を開始させる選曲部14と、ユーザが本体部分10から取り外して鳴らすことができるとともに打撃部11を叩くことで打楽器音を発生させるための打撃用マラカス15と、ユーザが本体部分10から取り外して演奏できるラッパ16と、ユーザが打撃用マラカス15等を利用して演奏するタンバリン17と、ユーザが打撃用マラカス15等を利用して演奏するシンバル18とを備える。
【0021】
電子楽器玩具100のうち、打撃部11は、第1打面領域11aと、第2打面領域11bと、第3打面領域11cとをそれぞれ操作部として有する。これら第1、第2、第3打面領域11a,11b,11cは、個別に動作させるものとなっている。つまり、第1、第2、第3打面領域11a,11b,11cのいずれかが打撃された場合、打撃された打面領域11a,11b,11cに応じて異なる打楽器音が出力され、打撃場所が発光する。
【0022】
モード選択キー12は、ユーザが操作することによってネジ巻きのように回転させることができる。ユーザは、モード選択キー12を適宜回転させることにより、電子楽器玩具100に予め用意された3つの演奏モードから、モード選択キー12の回転角度位置に応じたいずれか1つの演奏モードを選択して設定することができる。
【0023】
選曲部14は、第1選曲ボタン14aと、第2選曲ボタン14bと、第3選曲ボタン14cと、第4選曲ボタン14dと、第5選曲ボタン14eとを備える。これら第1、第2、第3、第4、第5選曲ボタン14a,14b,14c,14d,14eについては、ユーザがこれらのいずれかを押すことにより、演奏モードに含まれる5曲のうち1つの曲目を選択することができる。つまり、第1、第2、第3、第4、第5選曲ボタン14a,14b,14c,14d,14eいずれかが押された場合、押された選曲ボタン14a,14b,14c,14d,14eに応じて異なる主旋律が自動演奏される。
【0024】
図2は、本体部分10に組み込まれた電気回路の概略構成を説明するブロック図である。
【0025】
制御部21は、CPU等の演算処理装置を有しており、記憶部23に保管された所定プログラムを展開して実行する。記憶部23は、ROM、RAM等を有しており、制御部21の動作に必要なプログラムや基本的なデータを固定的に保持するとともに任意のデータを書き換え可能に保持する。また、記憶部23は、ROM等として、主旋律データと、これに調和した副旋律データとを記憶する旋律データ部23aを有している。なお、制御部21と記憶部23とは、例えばマイクロコンピータによって、一体のものとして実現される。
【0026】
旋律データ部23aに保管された主旋律データは、3つのジャンルに分かれた演奏モードのそれぞれで5種類の選曲が可能なことに対応して、全15種類の曲目の自動演奏を可能にするものとなっている。ここで、主旋律データは、音程、音価又はタイミング、強弱等の旋律情報を含み、合奏の場合、各楽器ごとについての音程、音価、強弱等の旋律情報を含んでいる。なお、主旋律を構成する各楽器の演奏音を模した音データは、例えば旋律データ部23aに主旋律データとともに保管されている。
【0027】
旋律データ部23aに保管された副旋律データは、3つのジャンルに分かれた演奏モードのそれぞれで5種類の選曲が可能なことに対応して、全15種類の曲目の能動演奏を可能にするものとなっている。より詳細には、副旋律データに対応する副旋律は、打面領域11a,11b,11cのいずれかが打撃された場合に打面領域11a,11b,11cの別に対応して出力されるものであり、旋律データ部23aに保管された15種類の主旋律データに対応してそれぞれ3種類の打楽器旋律が能動演奏のために用意されている。ここで、副旋律データは、音価又はタイミング、強弱等の旋律情報を含んでいる。この副旋律データには、旋律情報として例えば音階を含めることもできる。なお、副旋律を構成する各打楽器の演奏音を模した音データは、例えば旋律データ部23aに副旋律データとともに保管されている。
【0028】
制御部21は、インターフェース部30を介して、電源スイッチ41と、モードスイッチ42と、5つの選曲スイッチ43a,43b,43c,43d,43eと、3つの打撃センサ44a,44b,44cと、音声出力回路45aと、3つのLED46a,46b,46cとに接続されている。
【0029】
制御部21は、電源スイッチ41のオンを検出して、電子楽器玩具100の動作を初期化する。また、制御部21は、モードスイッチ42の位置を検出して、電子楽器玩具100に準備された3つの演奏モードからモード選択キー12の利用によって選択された1つの演奏モードを判別する。なお、演奏モードとしては、例えばキャラクタテーマ音楽、世界の童謡、リズム遊びといった様々なジャンルを準備することができる。
【0030】
制御部21は、主旋律演奏部であり、選曲スイッチ43a,43b,43c,43d,43eのオンを検出して、電子楽器玩具100に設定された演奏モードに含まれる5種類の曲目のうち選択された1種類の曲目を判別するとともに、選択された曲目の主旋律データを旋律データ部23aから読み出して、主旋律の自動演奏すなわち1曲分の主旋律音の出力を行う。
【0031】
制御部21は、副旋律演奏部であり、3つの打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出して、モードスイッチ42及び選曲スイッチ43a,43b,43c,43d,43eに対応して選択された主旋律の曲目に対応する副旋律データを旋律データ部23aから読み出して、副旋律の演奏すなわち所定時間の副旋律音の出力を行う。ここで、各打撃センサ44a,44b,44cは、打撃部11に設けた各打面領域11a,11b,11cに対応している。ここで、副旋律の演奏は、3つの打撃センサ44a,44b,44cの打撃検出タイミングに応じて所定時間だけ主旋律の演奏と同期をとって同時に行われるものであり、ユーザにとって能動的なものでありながらも、主旋律と調和している。また、副旋律の演奏は、主旋律の所定の時間区分を単位として行われる。具体的には、例えば楽譜の各小節に含まれる1又は2以上の拍の単位で副旋律の演奏すなわち副旋律音の出力が行われる。つまり、副旋律の演奏を継続するためには、ユーザが打撃用マラカス15等を利用して打撃センサ44a,44b,44cを周期的にオンにする必要があり、ユーザにとっては、リズムをとりつつ副旋律の演奏を行う訓練になる。なお、現在演奏中の主旋律における1又は2以上の拍である時間区分単位の途中で打撃センサ44a,44b,44cがオンとなった場合、主旋律と副旋律との整合性を保つため、現在演奏中の主旋律の時間区分単位の残り時間だけ副旋律の演奏すなわち副旋律音の出力が行われる。具体的には、例えば1小節に4拍が含まれ、2拍が時間区分単位であるものとすると、1小節の前半の2拍の開始時に打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出した場合、制御部21は、前半の2拍分について副旋律の演奏を行う。また、1小節の前半の2拍の進行中に打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出した場合、制御部21は、オン検出直後から前半の2拍の残りについての副旋律の演奏を行う。また、1小節の前半の2拍の終了後すなわち後半の2拍の開始時に打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出した場合、制御部21は、後半の2拍分についての副旋律の演奏を行う。
【0032】
制御部21は、音声出力回路45aに対して、主旋律データや副旋律データを随時出力することにより、主旋律やこれに副旋律を合成した音声信号を形成する。音声出力回路45aは、スピーカ45bを動作させて音声信号に対応する音声を出力させる。なお、音声出力回路45aは、オーディオアンプを内蔵しており、高品位の音質で楽曲を演奏できるようになっている。
【0033】
制御部21は、打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出した場合、検出した打撃センサ44a,44b,44cに対応するLED46a,46b,46cを点灯させて視覚的効果を高める。つまり、第1打面領域11aが打撃されて第1の打撃センサ44aがオンとなった場合、第1打面領域11aの直下に設けられた第1のLED46aが所定時間点灯又は点滅して半透過性の第1打面領域11aを一時的に照明する。第2打面領域11bが打撃されて第2の打撃センサ44bがオンとなった場合、第2打面領域11bの直下に設けられた第2のLED46bが所定時間点灯又は点滅して半透過性の第2打面領域11bを一時的に照明する。第3打面領域11cが打撃されて第3の打撃センサ44cがオンとなった場合、第3打面領域11cの直下に設けられた第3のLED46cが所定時間点灯又は点滅して半透過性の第3打面領域11cを一時的に照明する。
【0034】
以下、図3を参照して、図2等に示す電子楽器玩具100の動作の一例について説明する。
【0035】
制御部21は、電源スイッチ41のオンによって動作を開始し、モードスイッチ42の位置を検出して、演奏モードの読み取りを行う(ステップS11)。なお、モードスイッチ42によって選択可能な演奏モードは上述のように3つ準備されている。
【0036】
次に、制御部21は、選曲スイッチ43a,43b,43c,43d,43eのオンを検出して、選曲ボタン14a,14b,14c,14d,14eによる選曲の読み取りを行う(ステップS12)。
【0037】
ユーザによる選曲ボタン14a,14b,14c,14d,14eの操作があった場合、制御部21は、記憶部23の旋律データ部23aに保管された多数の主旋律データから選択された曲目の主旋律データを読み出す(ステップS13)。
【0038】
次に、制御部21は、ステップS13で読み出した主旋律データによる主旋律の自動演奏すなわち1曲分の主旋律音の出力を開始する(ステップS14)。具体的には、音声出力回路45aに主旋律データを順次出力することによって音声信号を形成させ、スピーカ45bから主旋律の音楽を出力させる。
【0039】
主旋律の自動演奏が始まると、制御部21は、主旋律の自動演奏が完了したか否かを判別し、自動演奏が完了したと判断した場合(ステップS15でYES)、ステップS11に戻って、演奏モードの読み取り等の一連の動作を行う。一方、制御部21は、自動演奏が完了していない判断した場合(ステップS15でNOの場合)、ステップS16の処理に移行する。
【0040】
ステップ16では、制御部21は、打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出して、打楽器の打撃部11の操作が行われているか否かを検出する。つまり、ユーザが打撃用マラカス15等を利用して打撃部11のいずれかの打面領域11a,11b,11cを叩いたか否かを検出する。制御部21は、打楽器の打撃部11の操作が行われていないと判断された場合(ステップ16でNO)、ステップS14の処理に戻る。一方、制御部21は、打楽器の打撃部11の操作が行われていると判断された場合(ステップ15でYES)、ステップS17の処理に移行する。
【0041】
ステップ18では、制御部21は、主旋律との同期をとるタイミング処理を行う。具体的には、制御部21は、読み出した副旋律データのうち既に演奏された主旋律に対応する終了分を削除し、未だ演奏されていない主旋律に対応する残り分を保持する。例えば1小節に4拍が含まれ、2拍が時間区分単位であるものとすると、1小節の前半の2拍の進行中に打撃センサ44a,44b,44cのオンを検出した場合、制御部21は、オン検出直後から前半の2拍の残りについての副旋律に対応する副旋律データを残り分として保持する。
【0042】
次に、制御部21は、ステップS18で読み出した副旋律データによる副旋律の演奏を主旋律の自動演奏の伴奏として開始する(ステップS19)。この際、副旋律の演奏は、主旋律の演奏と同期をとって行われ、主旋律のタイミングに副旋律のタイミングを一致させるものとする。
【0043】
副旋律の演奏が始まると、制御部21は演奏が開始された時点を包含する時間区分が終了したか否かを判別する(ステップS20)。制御部21は、該時間区分が未だ終了していない場合(ステップS20でNO)、ステップS19の処理に戻る。一方、制御部21は、該時間区分が終了している場合(ステップS20でYES)、ステップS15の処理に戻る。
【0044】
なお、ステップS12において、ユーザによる選曲ボタン14a,14b,14c,14d,14eの操作がないと判断された場合、制御部21は、一定時間が経過して節電のための休止条件を満たす状態となったか否かを判断する(ステップS31)。休止条件を満たす場合、制御部21は、電源スイッチ41等の操作があるまで電子楽器玩具100を休止状態とし、休止条件を満たさない場合、制御部21は、ステップS11に戻って演奏モードの読み取りすなわち更新を行う。
また、同じ時間区分内に、同じ打撃部11が複数回操作された場合には、例えば、最初の操作のみを有効とし、2回目以降の操作を無効とする。
さらに、同じ時間区分内に、複数の打撃部11が操作された場合には、複数の副旋律による伴奏が行われる。
【0045】
以下、図4(A)及び4(B)を参照して、図2等に示す電子楽器玩具100の具体的動作例について説明する。
【0046】
図4(A)及び4(B)のグラフにおいて、横軸は時間の経過を示し、縦軸は楽器の別を示す。横軸において、1小節のみが例示されており、この1小節が4拍で構成されている。上側の4つの主楽器1〜4は、主旋律に対応する4つの楽器(例えばサックス、クラリネット、フルート等)を意味し、下側の3つの副楽器1〜3は、副旋律に対応する3つの楽器(例えばコンガ、トライアングル等)を意味する。なお、主楽器1〜4については、細い帯状の領域として示された時間帯で主旋律音が出力され、副楽器1〜3については、菱形状の領域として示された時間帯で副旋律音が出力される。
以下では、2拍が時間区分単位であるものとして説明する。
【0047】
図4(A)は、第1拍及び第3拍の最初に第3打面領域11cに対応する第3の打撃センサ44cがオンになった場合を示している。この場合、第1拍の最初に第3の打撃センサ44cがオンになったことに起因して、副楽器3による伴奏が第1拍及び第2拍を通じて完璧に行われている。また、第3拍の最初に第3の打撃センサ44cがオンになったことに起因して、副楽器3による伴奏も第3拍及び第4拍を通じて完璧に行われている。このように時間区分の最初に打撃センサ44がオンになると、該時間区分を通じて該打撃センサ44に対応した副楽器による伴奏が完璧に行われる。
【0048】
図4(B)は、まず、第2拍の途中で第3打面領域11cに対応する第3の打撃センサ44cがオンになった場合を示している。この場合、副楽器3による伴奏が第2拍の途中から開始され、その伴奏が第2拍の終了(時間区分終了)まで行われている。また、第4拍の最初に第3打面領域11cに対応する第3の打撃センサ44cがオンになった場合を示している。この場合、副楽器3による伴奏が第4拍の最初から開始され、その伴奏が第4拍の終了(時間区分終了)まで行われている。このように時間区分の途中で打撃センサ44がオンになると、該打撃センサ44がオンになった時点から該時間区分の終了まで該打撃センサ44に対応した副楽器による伴奏が行われる。
【0049】
なお、図5は、図4(A)等に示す動作の変形例を示す。この場合、第1拍の最初に第2打面領域11bに対応する第2の打撃センサ44bがオンになって、副楽器2による伴奏が第1拍と第2拍で行われ、続いて、第1拍の途中で第3打面領域11cに対応する第3の打撃センサ44cがオンになって、副楽器3による伴奏が副楽器2による伴奏とともに行われている。
【0050】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の電子楽器玩具100によれば、副旋律演奏部としての制御部21が、記憶部23の旋律データ部23aに保管された副旋律データに対応する副旋律音を操作部である打撃部11の打面領域11a,11b,11cの打撃操作に応じて所定時間だけ主旋律音と同時に主旋律音に同期させて出力することによって能動演奏を可能にする。これにより、主旋律音と副旋律音とを正確にタイミングを合わせることができ、結果的に調和する楽曲として出力することができる。また、本実施形態では、副旋律演奏部としての制御部21が、主旋律の所定の時間区分(具体例では2拍)を単位として副旋律音を出力するので、主旋律の時間区分単位で周期的に副旋律音を出力することが可能になり、操作部である打撃部11の打面領域11a,11b,11cの打撃タイミングを主旋律の拍子等の周期に合わせることで副旋律による連続的な伴奏を簡易に行うことができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その発明の要旨を変更しない範囲で、種々変形可能であることは言うまでもない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、一例としてモード選択キー12と選曲部14とによって主旋律又は主旋律データを選択したが、その他の手法で主旋律を選択することができ、選択できる曲目数を適宜変更することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、打撃部11に3つの打面領域11a,11b,11cを設けて、3種類の打楽器音を副旋律音としているが、1、2種類又は4種類以上の打楽器音を副旋律音として単独又は複合して用いることができる。
【0054】
上記実施形態では、副旋律を打楽器で形成しているが、副旋律は、打楽器に限らず、様々な音声とすることができる。例えば弦楽器、吹奏楽器、歌声等で副旋律を構成することもできる。
【0055】
上記実施形態では、主旋律の区切れタイミングである場合、自動演奏中の主旋律に対応する副旋律データをそのまま読み出しているが(ステップS17)、主旋律の区切れタイミングであるか否かについては、若干の時間的なマージンを設けることができ、打撃部11の打撃動作が多少遅れることを許容することもできる。
【0056】
主旋律の時間区分単位ついては、2拍に限る必要はなく、小節単位とすることができ、拍の下位のティック単位とすることもできる。
【0057】
また、上記実施形態では、ステップ18のタイミング処理及びステップS19の対応副旋律出力処理に代えて、制御部21が予め副旋律データの全てを保持し、スイッチングによって副旋律の出力の有無を切り換えるようにしてもよい。具体的には、打撃部11の打撃動作があったときにスイッチをオンにして副旋律の出力を行い、その時間区分が終了した際にスイッチをオフして副旋律の出力を停止させるような副旋律出力処理を行ってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、時間区分を構成する複数の拍のうち最初の拍の初めから副旋律の演奏が開始される場合を説明したが、第1に、音の出力に若干の時間的なマージンを設けて、副旋律の開始を最初の拍の初めから少し遅らせるようにしてもよい。このようにしないと、該最初の拍の開始と同時に打撃部11の打撃動作がなされない限り、該時間区分内において副旋律の最初の音が出力されないこととなり、副旋律の演奏が難しくなるからである。
第2に、打撃に若干の時間的なマージンを設けて、前の時間区分内の終了直前に打撃部11の打撃動作をしても、次の時間区分内の演奏がなされるようにしてもよい。このようにすれば、該次の時間区分内の最初の拍の初めから副旋律の演奏を開始することが容易となる。
第3に、第1の手法及び第2の手法の双方を組み合わせることも可能である。このように双方を組み合わせれば、副旋律の最初の音の出力を大きく遅らせないで済むことになる。
なお、第2の手法及び第3の手法を採用する場合、音の出力の時間区分と打撃の時間区分とを全体的にずらしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…本体部分、11…打撃部、11a,11b,11c…打面領域、12…モード選択キー、14…選曲部、14a,14b,14c,14d,14e…選曲ボタン、15…打撃用マラカス、16…ラッパ、17…タンバリン、18… シンバル、21…制御部、23…記憶部、23a…旋律データ部、30…インターフェース部、42…モードスイッチ、43a,43b,43c,43d,43e…選曲スイッチ、44a,44b,44c… 打撃センサ、45a…音声出力回路、45b…スピーカ、100…電子楽器玩具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の曲目に関する主旋律と、前記主旋律に調和した副旋律とを記憶する記憶部と、
前記記憶部に保管された前記主旋律に対応する主旋律音を出力することによって自動演奏を行う主旋律演奏部と、
前記記憶部に保管された前記副旋律に対応する副旋律音を操作部の操作に応じて所定時間だけ前記主旋律音と同時に前記主旋律音に同期させて出力することによって能動演奏を可能にする副旋律演奏部と、
を備える電子楽器玩具。
【請求項2】
前記副旋律演奏部は、前記操作部の操作タイミングに応じて前記副旋律音を出力することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器玩具。
【請求項3】
前記副旋律演奏部は、前記主旋律の所定の時間区分を単位として前記副旋律音を出力することを特徴とする請求項2に記載の電子楽器玩具。
【請求項4】
前記副旋律演奏部は、前記所定の時間区分の途中で前記操作部が操作された場合、前記所定の時間区分の残り時間だけ前記副旋律音を出力することを特徴とする請求項3に記載の電子楽器玩具。
【請求項5】
前記記憶部は、1の曲目に対して複数種の副旋律を記憶し、
前記副旋律演奏部は、前記副旋律の出力の際に、前記複数種の副旋律から選択された1種の副旋律を出力することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子楽器玩具。
【請求項6】
前記操作部は、打楽器を部分的に模した打撃部を有し、
前記副旋律演奏部は、前記副旋律音として打楽器音を出力することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子楽器玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−227286(P2011−227286A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96913(P2010−96913)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】