説明

電子機器、光学機器および交換レンズ

【課題】電気回路に不具合を生じた電子機器が、接続される他の電子機器に不具合を招くことのない、電子機器、光学機器および交換レンズを提供する。
【解決手段】撮像レンズ20は、回路保護機構部30を備えている。回路保護機構部30は、電源ライン24の短絡を検知した短絡モニタ部33の検知信号に基づいて、保護駆動機構34が操作機構34Cを駆動して結合規制部材34Bをレンズ側マウント20Mのマウント面20Maより外側に突出した作用位置に移動させ、撮像レンズ20のカメラ本体10への装着を不能とし、レンズ側接点20Pのカメラ本体10における本体側接点10Pとの導通接触を防ぐ。また、警告部35のLED35Aを発光させて、使用者に回路保護機構部30の作動を知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気回路を備える電子機器、光学機器および交換レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、一眼レフカメラ等における交換レンズは、オートフォーカス機構やブレ補正機構等の電気回路による制御機構を備えている。
交換レンズは、同様に電気回路を備えるカメラ本体に対してマウントを介して着脱可能となっている。そして、交換レンズは、カメラ本体に装着されると両者の電気回路が接点を介して接続され、両者間の情報交換やカメラ本体が備える電源から交換レンズ側への電源電力の供給が行われるようになっている。
【0003】
この交換レンズのように、装着された機器(カメラ本体)から電気回路に電源電力が供給される構成では、その電源回路に短絡等の不具合が生じていても、それ単体では不具合が生じていることはわからない。
なお、電源供給ラインに、定格の異なる2つ以上の遮断装置を設けて遮断信号によって警告を発する電子装置は、知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−41617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、交換レンズとカメラ本体のように、電気回路を備えた機器同士が電気的に接続され、一方の機器(カメラ本体)から他方の機器(交換レンズ)の電気回路に電源電力が供給される構成では、何れかの機器の電気回路に短絡等の不具合が生じた場合、接続された機器にも不具合を誘発する虞がある。
【0006】
本発明の課題は、電気回路に不具合を生じた電子機器が、接続される他の電子機器に不具合を招くことのない、電子機器、光学機器および交換レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
請求項1に記載の発明は、電気回路(24)と、対象機器(10)に結合する結合部(20M)と、前記結合部(20M)を介して前記対象機器(10)に結合した状態で前記電気回路(24)と前記対象機器(10)とを電気的に接続させる接続部(20P)と、前記電気回路(24)の不具合を検知する検出手段(33)と、前記検出手段(33)が不具合を検知すると前記接点(20P)の前記対象機器(10)との接続を規制する接続規制手段(34,36,37)と、前記検出手段(33)が不具合を検知すると外部に告知する警告表示手段(35)と、前記接続規制手段(34,36,37)を駆動する電源(31)と、を備えること、を特徴とする電子機器(20,20′,20″)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器であって、前記接続規制手段は、前記検出手段(33)が不具合を検知すると前記結合部(20M)による対象機器(10)への結合を規制して前記接続部(20P)の前記対象機器(10)との電気的接続を規制する結合規制機構(34)を備えること、を特徴とする電子機器(20)である。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器であって、前記接続規制手段(36)は、前記検出手段(33)が不具合を検知すると前記接続部(20P)を前記対象機器(10)に対して電気的接続不能に覆う接続部遮蔽機構(36)を備えること、を特徴とする電子機器(20′)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器であって、前記接続規制手段(37)は、前記検出手段(33)が不具合を検知すると前記接続部(20P)を前記対象機器(10)に対して電気的に接続可能な作用位置から電気的に接続不能な退避位置に移動させる接続部退避機構(37)を備えること、を特徴とする電子機器(20″)である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子機器であって、前記検出手段(33)は、前記電気回路(24)の抵抗値をモニタして当該電気回路(24)の短絡を検知していること、を特徴とする電子機器(20,20′,20″)である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子機器であって、光学素子(22)を備えること、を特徴とする光学機器(20,20′,20″)である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光学機器であって、カメラ本体(10)に着脱可能であること、を特徴とする交換レンズ(20,20′,20″)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電気回路に不具合を生じた電子機器が、接続される他の電子機器に不具合を招くことのない、電子機器、光学機器および交換レンズを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における第1実施形態のカメラを説明する概念図である。
【図2】撮像レンズを示し、(a)は斜視図,(b)は背面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を適用したカメラを示し、(a)は概念図、(b)は遮蔽絞りの作用説明図である。
【図4】第2実施形態における撮像レンズを示し、(a)は斜視図,(b)は背面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を適用したカメラ1″を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明における第1実施形態のカメラ1を説明する概念図である。図2は、撮像レンズ20を示し、(a)は概念的な斜視図,(b)は概念的な背面図である。
なお、図1には、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸OAを水平として横長の画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
【0012】
図1に示す本実施形態におけるカメラ1は、カメラ本体10と、当該カメラ本体10に着脱可能な交換レンズである撮像レンズ20と、により構成されている。なお、図1は、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されていない状態を示している。
【0013】
カメラ本体10は、カメラ筐体11の内部に、光電変換素子であるCCD等の撮像素子12と、制御装置13と、を備えている。また、カメラ本体10は、カメラ筐体11の前面(Zプラス側の面)に、撮像レンズ20が結合するカメラ側マウント10Mを備えている。
【0014】
制御装置13は、CPU等により構成されている。制御装置13は、カメラ本体10に装着された撮像レンズ20を含めて当該カメラ1全体を制御する。
カメラ側マウント10Mは、所定径の入射開口部の周囲を縁取って形成されたマウント面10Maと、周方向に所定角度範囲で開口部の内周側に突出する内爪10Mbと、を備えるいわゆるバヨネットマウントである。
カメラ側マウント10Mの開口内周部には、本体側接点10Pが配置されている。本体側接点10Pは、制御装置13に接続されている。
【0015】
撮像レンズ20は、鏡筒21の内部に、結像光学系を構成するレンズ群22(合焦レンズ群およびブレ補正光学系等を含む、図1は1つのレンズで代表して示している)を備えている。
鏡筒21は、その背面側の端部に、カメラ本体10のカメラ側マウント10Mに結合するレンズ側マウント20Mを備えている。レンズ側マウント20Mは、マウント面20Maと外爪20Mbとを備えている。レンズ側マウント20Mの内周は、所定径で開口している。レンズ側マウント20Mの開口外周部には、カメラ本体10における本体側接点10Pと対応するレンズ側接点20Pが配設されている。レンズ側接点20Pは、周方向所定角度範囲に亘って複数、鏡筒21に設けられた接点基部23に支持されている。
【0016】
また、撮像レンズ20は、図示しないが、合焦レンズ群を移動駆動する合焦駆動系、絞りを駆動する絞り駆動系、ブレ補正を駆動するブレ補正駆動系等の電気回路備えている。これらの電気回路には、電源ライン24を介して駆動電力が供給されるようになっている。電源ライン24には、レンズ側接点20Pを介してカメラ本体10から電源電力が供給されるようになっている。
さらに、撮像レンズ20は、回路保護機構部30を備えている。この回路保護機構部30については、後に詳述する。
【0017】
撮像レンズ20は、レンズ側マウント20Mにおけるマウント面20Maがカメラ本体10におけるカメラ側マウント10Mのマウント面10Maに当接すると共に、その外爪20Mbがカメラ側マウント10Mの内爪10Mbと係合し、カメラ本体10と光軸OAが一致すると共に光軸OA方向に位置決めされて、カメラ本体10に装着される。
【0018】
このように、カメラ本体10に撮像レンズ20が装着された状態において、カメラ本体10における本体側接点10Pとレンズ側接点20Pとが導通接触する。これにより、撮像レンズ20とカメラ本体10との間での情報交換、およびカメラ本体10から撮像レンズ20への電源電力の供給が行われるようになり、カメラ本体10と撮像レンズ20とが結合一体化してカメラ1を構成する。
【0019】
そして、カメラ1は、下記のように作用する。
すなわち、撮像レンズ20の結像光学系(レンズ群22)によって撮像素子12に結像された被写体像を、撮像素子12が電気信号に変換する。撮像素子12によって光電変換された撮像データを、制御装置13が画像データとして信号処理し、その信号処理された画像データを図示しない記録装置に記録する。
【0020】
つぎに、撮像レンズ20が備える回路保護機構部30について詳細に説明する。
回路保護機構部30は、電源部31と、接続感知部32と、短絡モニタ部33と、保護駆動機構34と、警告部35と、により構成されている。
【0021】
電源部31は、撮像レンズ20における鏡筒21内に備えられた二次電池、または、鏡筒の外面に備えられた太陽電池等によって構成されている。この電源部31は、回路保護機構部30の駆動に必要な電力を供給する。二次電池の場合には、撮像レンズ20が使用されていない時に充電器等に接続されて充電される。太陽電池の場合には、外光によって常時蓄電する。このような電源部31を備えることにより、装着されたカメラ本体10の電源に依存することなく、撮像レンズ20単体であっても回路保護機構部30を駆動することができる。
【0022】
接続感知部32は、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されているか否かを検知し、その検知信号を短絡モニタ部33に出力する。
短絡モニタ部33は、電源ライン24の抵抗値を常時測定し、その測定値が予め定められた閾値以下に低下すると、電源ライン24に短絡が生じたと判定する。つまり、電源ライン24に短絡を生ずると抵抗値が数Ω程度となるため、短絡モニタ部33は、抵抗値から電源ライン24の短絡を検知するものである。そして、短絡モニタ部33は、電源ライン24に短絡が生じたと判定すると、短絡検知信号を後述する保護駆動機構34における保護駆動制御部34Aと警告部35とに出力する。なお、短絡モニタ部33は、接続感知部32から入力される検知情報によって、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されていると判断された場合には、短絡検知信号を警告部35のみに出力する。
【0023】
保護駆動機構34は、保護駆動制御部34Aと、結合規制部材34Bと、結合規制部材34Bを移動操作する操作機構34Cと、を備えている。
保護駆動制御部34Aは、保護駆動機構34を制御する制御部である。保護駆動制御部34Aは、短絡モニタ部33から電源ライン24の短絡を検知した信号が入力されると、操作機構34Cを制御駆動する。
【0024】
結合規制部材34Bは、図2に示すように、レンズ側接点20Pの外周側近傍に、配設されている。結合規制部材34Bは、周方向には接点基部23と略等しい角度範囲に形成され、鏡筒21の内部に収容された不作用位置と、レンズ側マウント20Mのマウント面20Maより外側に突出した作用位置と、の間で移動可能となっている。作用位置では、マウント面20Maより所定量突出する(図2中、レンズ側マウント20Mは省略してある)。
【0025】
なお、結合規制部材34Bの配設位置や数および形状は、この例に限らず適宜変更可能なものである。しかし、本実施形態のように、レンズ側接点20Pの近傍に設けることが、レンズ側接点20Pの接触を防止する観点から好ましい。
【0026】
操作機構34Cは、結合規制部材34Bと螺合する駆動ネジ34Csと、駆動ネジ34Csに接続されたモータ34Cmと、により構成されている。モータ34Cmは、電源部31から保護駆動制御部34Aを介して供給される駆動電力によって駆動ネジ34Csを回転駆動する。結合規制部材34Bは、駆動ネジ34Csの回転によって不作用位置と作用位置との間で移動駆動されるようになっている。この操作機構34Cの駆動(すなわちモータ34Cmの回転)は、前述したように、保護駆動制御部34Aによって制御される。
【0027】
そして、保護駆動機構34は、通常状態では結合規制部材34Bを不作用位置とし、短絡モニタ部33から保護駆動制御部34Aに短絡検知信号が入力されると、操作機構34Cを駆動して結合規制部材34Bを作用位置に移動させる。結合規制部材34Bが作用位置となると、この結合規制部材34Bがレンズ側マウント20Mのカメラ本体10におけるカメラ側マウント10Mへの結合を阻害する。これにより、撮像レンズ20をカメラ本体10に装着することができなくなる。
【0028】
警告部35は、撮像レンズ20における鏡筒21の使用者から見える外面部に、LED35A(図2参照)が配設されて構成されている。警告部35は、短絡モニタ部33から短絡検知信号が入力されると、LED35Aを発光させる。
【0029】
そして、上記構成の回路保護機構部30は、下記のように作用する。
すなわち、電源ライン24に短絡が生ずると、短絡モニタ部33がその抵抗値の変化からこれを検知し、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されていない場合には、短絡検知信号を保護駆動機構34と警告部35に出力する。
【0030】
保護駆動機構34は、保護駆動制御部34Aに短絡モニタ部33から短絡検知信号が入力されると、操作機構34Cを駆動して結合規制部材34Bを不作用位置からレンズ側マウント20Mのマウント面20Maより外側に突出した作用位置に移動させる。これによって、撮像レンズ20のカメラ本体10への装着が不能となる。
また、警告部35は、LED35Aを発光させて、使用者に回路保護機構部30の作動(電源ラインの短絡)を知らせる。
【0031】
一方、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されている場合には、短絡モニタ部33は短絡検知信号を警告部35のみに出力する。これにより、保護駆動機構34は作動せず、無理に動作して破損や故障を生じさせることなく、警告部35がLED35Aを発光させて使用者に回路保護機構部30の作動(電源ライン24の短絡)を告知する。
【0032】
また、短絡モニタ部33が電源ライン24の短絡を一度検知した後、その短絡が解消された場合には、短絡モニタ部33は短絡検知信号の出力を中止する。これにより、保護駆動機構34は、保護駆動制御部34Aが操作機構34Cを駆動して結合規制部材34Bを作用位置から不作用位置に復帰させる。その結果、撮像レンズ20のカメラ本体10に装着が可能となる。また、警告部35は、LED35Aの発光を止める。
【0033】
以上、本第1実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)カメラ1における撮像レンズ20の回路保護機構部30は、短絡モニタ部33が電源ライン24の短絡を検知すると、保護駆動機構34における結合規制部材34Bがマウント面20Maより外側に突出した作用位置となる。その結果、撮像レンズ20はカメラ本体10に装着不能となる。従って、撮像レンズ20におけるレンズ側接点20Pがカメラ本体10における本体側接点10Pと導通接触することはなく、撮像レンズ20の電源ライン24の短絡に起因してカメラ本体10の電気回路に不具合を招くことがない。
これにより、電源ライン24に短絡を生じた撮像レンズ20を装着することで健全なカメラ本体10に不具合を生じ、このカメラ本体10に次に装着した健全な撮像レンズ20に不具合を誘発するといった不具合の連鎖を防ぐことができる。
【0034】
(2)回路保護機構部30は、電源部31を備える。これにより、カメラ本体10の電源に依存することなく、撮像レンズ20単体であっても当該回路保護機構部30を駆動することができる。
【0035】
(3)回路保護機構部30は、電源ライン24に短絡を生ずると警告部35のLED35Aを発光させて、使用者に回路保護機構部30の作動(電源ラインの短絡)を知らせる。これにより、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されていて保護駆動機構34が作動しない場合にも、使用者に回路保護機構部30の作動(電源ライン24の短絡)を告知することができ、使用者に迅速な対応を促してカメラ本体10における不具合の発生を抑制できる。
【0036】
上記第1実施形態における撮像レンズ20の回路保護機構部30は、短絡モニタ部33が電源ライン24の短絡を検知すると、結合規制部材34Bが撮像レンズ20のカメラ本体10への装着を規制し、これによってレンズ側接点20Pのカメラ本体10における本体側接点10Pとの導通接触を防ぐ。
しかし、撮像レンズ20におけるレンズ側接点20Pの、カメラ本体10における本体側接点10Pとの導通接触を規制する接続規制手段の構成は、これに限るものではない。
【0037】
(第2実施形態)
図3および図4に、本発明の第2実施形態を示す。
図3は、本発明の第2実施形態を適用したカメラ1′を示し、(a)は概念図、(b)は遮蔽絞り36Bの作用説明図である。図4は、撮像レンズ20′を示し、(a)は斜視図、(b)は背面図である。
なお、本第2実施形態は、撮像レンズ20′における回路保護機構部30′の保護遮蔽機構36を除く他の構成は前述した第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同機能の構成要素については同符号を付して説明は省略する。また、図中一部構成は省略してある。
【0038】
本第2実施形態における撮像レンズ20′の回路保護機構部30′は、撮像レンズ20′における鏡筒21のレンズ側接点20P配設部分に、開閉可能な保護遮蔽機構36を備えている。
保護遮蔽機構36は、保護駆動制御部36Aと、遮蔽絞り36Bと、当該遮蔽絞り36Bを開閉操作する操作機構36Cとによって構成されている。
【0039】
保護駆動制御部36Aは、保護駆動機構34を制御する制御部である。保護駆動制御部36Aは、短絡モニタ部33から電源ライン24の短絡を検知した信号が入力されると、操作機構36Cを制御駆動する。
【0040】
遮蔽絞り36Bは、詳細は示さないが、複数枚の絞り羽根がそれぞれ開口部の径方向に揺動可能に支持されて円形に配設され、カム機構によって揺動操作されて図1(b)に示すように開口径が変化するように構成されている。そして、遮蔽絞り36Bは、開放状態ではレンズ側接点20Pを露出させ、閉鎖状態では、図2に示すように、レンズ側接点20Pを覆うように設定されている。
【0041】
操作機構36Cは、遮蔽絞り36Bを開閉操作する操作軸36Csと、操作軸36Csを回転駆動するモータ36Cmと、により構成されている。
そして、操作機構36Cは、電源部31から供給される駆動電力によってモータ36Cmが操作軸36Csを回転駆動し、遮蔽絞り36Bを開閉操作するようになっている。操作機構36Cの駆動(すなわちモータ36Cmの回転)は、保護駆動制御部36Aの指令に基づいて行われる。
【0042】
そして、回路保護機構部30′では、保護遮蔽機構36は、通常状態では遮蔽絞り36Bを開放状態とし、短絡モニタ部33から保護駆動制御部36Aに短絡検知信号が入力されると、保護駆動制御部36Aが操作機構36Cを駆動して遮蔽絞り36Bを閉鎖状態とする。遮蔽絞り36Bが閉鎖状態では、この遮蔽絞り36Bが干渉して、レンズ側マウント20Mのカメラ本体10におけるカメラ側マウント10Mへの結合を阻害する。従って、撮像レンズ20をカメラ本体10に装着することができなくなる。また、レンズ側接点20Pは遮蔽絞り36Bによって外部から遮蔽されるため、カメラ本体10における本体側接点10Pへの不慮の接触も防ぐ。なお、撮像レンズ20がカメラ本体10に装着されている場合には、前述した第1実施形態と同様に、保護遮蔽機構36は作動せず、無理な動作によって破損や故障を生じさせることなく、警告部35がLED35Aを発光させて使用者に回路保護機構部30の作動(電源ラインの短絡)を知らせる。
【0043】
以上、本第2実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)回路保護機構部30′は、短絡モニタ部33が電源ライン24の短絡を検知すると、保護遮蔽機構36における遮蔽絞り36Bが閉鎖状態となって、遮蔽絞り36Bがレンズ側接点20Pを覆う。これにより、撮像レンズ20のカメラ本体10への装着が不能となって、撮像レンズ20におけるレンズ側接点20Pがカメラ本体10における本体側接点10Pと導通接触することはなく、撮像レンズ20の電源ライン24の短絡に起因してカメラ本体10の電気回路に不具合を招くことがない。また、遮蔽絞り36Bによってレンズ側接点20Pが覆われるため、レンズ側接点20Pのカメラ本体10における本体側接点10Pとの不慮の接触を防ぐことができる。
その結果、電源ライン24に短絡を生じた撮像レンズ20を装着することで健全なカメラ本体10に不具合を生ずると共にこのカメラ本体10に次に装着した健全な撮像レンズ20に不具合を生ずる、といった不具合の連鎖を防ぐことができる。
【0044】
(第3実施形態)
つぎに、図5を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図5は、本発明の第3実施形態を適用したカメラ1″を説明する概念図である。
なお、本第3実施形態は、回路保護機構部30″における退避機構37を除く他の構成は前述した第1実施形態と同様である。このため、第1実施形態と同機能の構成要素については同符号を付して説明は省略する。また、図中一部構成は省略してある。
【0045】
本第3実施形態における回路保護機構部30″は、撮像レンズ20″におけるレンズ側接点20Pを、鏡筒21の内部に退避移動駆動する退避機構37を備えている。
退避機構37は、保護駆動制御部37Aと、レンズ側接点20Pを支持する接点基部23を移動操作する操作機構37Bと、によって構成されている。
【0046】
接点基部23は、カメラ本体10に撮像レンズ20が装着された状態において、その支持するレンズ側接点20Pが、カメラ本体10における本体側接点10Pと導通接触する作用位置と、鏡筒21の内部に引っ込んで導通接触しない退避位置と、の間で光軸OA方向に移動可能に設けられている。
保護駆動制御部37Aは、保護駆動機構34を制御する制御部である。保護駆動制御部37Aは、短絡モニタ部33から電源ライン24の短絡を検知した信号が入力されると、操作機構37Bを制御駆動する。
【0047】
操作機構37Bは、接点基部23と螺合する駆動ネジ37Bsと、駆動ネジ37Bsを回転駆動するモータ37Bmと、により構成されている。
そして、操作機構37Bは、電源部31から供給される駆動電力によってモータ37Bmが駆動ネジ37Bsを回転駆動し、接点基部23を退避位置と作用位置との間で移動し得るようになっている。操作機構37Bの駆動(すなわちモータ37Bmの回転)は、保護駆動制御部37Aの指令に基づいて行われる。
【0048】
そして、回路保護機構部30″では、退避機構37は、通常状態では接点基部23を作用位置とし、短絡モニタ部33から保護駆動制御部37Aに短絡検知信号が入力されると、保護駆動制御部37Aが操作機構37Bを駆動して、接点基部23を作用位置から退避位置に移動させる。撮像レンズ20のカメラ本体10への結合は、接点基部23が作用位置または退避位置の何れにあっても可能である。しかし、接点基部23が退避位置では、接点基部23に支持されたレンズ側接点20Pはカメラ本体10の本体側接点10Pには導通接触しない。
【0049】
つまり、短絡モニタ部33によって電源ライン24の短絡が検知されると、カメラ本体10への結合如何に関わらず、撮像レンズ20におけるレンズ側接点20Pは退避機構37によってカメラ本体10における本体側接点10Pと不導通な状態となる。
従って、撮像レンズ20がカメラ本体10に結合された状態であっても、撮像レンズ20の電源ラインに短絡が生じて短絡モニタ部33から短絡検知信号が出力されると、撮像レンズ20におけるレンズ側接点20Pがカメラ本体10における本体側接点10Pと導通接触は直ちに遮断されるものである。
【0050】
以上、本第3実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)回路保護機構部30″は、短絡モニタ部33が電源ライン24の短絡を検知すると、退避機構37が撮像レンズ20におけるレンズ側接点20Pをカメラ本体10における本体側接点10Pと導通しない退避位置に移動させる。
これにより、電源ライン24に短絡を生じた撮像レンズ20をカメラ本体10に装着しても、そのレンズ側接点20Pがカメラ本体10における本体側接点10Pと導通接触することはない。また、カメラ本体10に装着された状態にある撮像レンズ20の電源ライン24に短絡を生ずると、レンズ側接点20Pのカメラ本体10における本体側接点10Pとの導通接触は遮断される。従って、撮像レンズ20の電源ライン24の短絡に起因して、カメラ本体10の電気回路に不具合を生ずることを抑制できる。
その結果、電源ライン24に短絡を生じた撮像レンズ20によって健全なカメラ本体10に不具合を生じ、さらに、このカメラ本体10に次に装着した健全な撮像レンズ20に不具合を生じさせる、といった不具合の連鎖を防ぐことができる。
【0051】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態は、カメラにおける光学機器としての交換レンズに本発明を適用したものである。しかし、本発明は、交換レンズに限らずカメラ本体に適用しても良く、また、他の機器と接続される電気回路を備えるその他の電子機器に適用しても良い。
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0052】
1,1′,1″:カメラ、10:カメラ本体、10P:本体側接点、20,20′,20″:撮像レンズ、20M:レンズ側マウント、20P:レンズ側接点、22:レンズ群、24:電源ライン、30,30′:回路保護機構部、31:電源部、33:短絡モニタ部、34:保護駆動機構、34Cm:モータ、35:警告部、35A:LED、36:保護駆動機構、36Cm:モータ、37:退避機構、37Bm:モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路と、
対象機器に結合する結合部と
前記結合部を介して前記対象機器に結合した状態で前記電気回路と前記対象機器とを電気的に接続させる接続部と、
前記電気回路の不具合を検知する検出手段と、
前記検出手段が不具合を検知すると前記接点の前記対象機器との電気的接続を規制する接続規制手段と、
前記検出手段が不具合を検知すると外部に告知する警告表示手段と、
前記接続規制手段を駆動する電源と、
を備えること、を特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記接続規制手段は、
前記検出手段が不具合を検知すると前記結合部による対象機器への結合を規制して前記接続部の前記対象機器との電気的接続を規制する結合規制機構を備えること、を特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記接続規制手段は、
前記検出手段が不具合を検知すると前記接続部を前記対象機器に対して電気的接続不能に覆う接続部遮蔽機構を備えること、を特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記接続規制手段は、
前記検出手段が不具合を検知すると前記接続部を前記対象機器に対して電気的接続が可能な作用位置から電気的接続が不能な退避位置に移動させる接続部退避機構を備えること、を特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記検出手段は、前記電気回路の抵抗値を監視して当該電気回路の短絡を検知していること、を特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子機器であって、
光学素子を備えること、を特徴とする光学機器。
【請求項7】
請求項6に記載の光学機器であって、
カメラ本体に着脱可能であること、を特徴とする交換レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−3432(P2013−3432A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136168(P2011−136168)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】