説明

電子機器およびその電力供給方法

【課題】電子機器内に設けられた圧電素子と基板との間の共振による可聴ノイズを抑制する。
【解決手段】基板上に設けられた圧電素子83と、該圧電素子83に電力を供給する電源9と、該電源9から圧電素子83に電力を供給する周期を制御する制御部1とを有する電子機器において、制御部1は、所定の条件を満たす場合に、電源9から圧電素子83に電力を供給する周期を、圧電素子83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器およびその電力供給方法に関し、特に、電子機器内の基板上に設けられた圧電素子に供給する電力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器における電力供給方式の一つとして、周期的に電力を供給する電力供給方式が知られている。この様な電力供給方式の代表例としては、電源から電力として一定の電流を周期的に供給するパルス幅変調(PWM)制御方式が挙げられ、モーターの回転数の制御等に用いられている。例えば、特許文献1には、パワーステアリング装置で使用するモーターへの電力の供給をPWM制御方式で制御する技術が記載されている。なお、特許文献1に記載の技術では、PWM制御方式によりモーターに周期的に電力を供給することで生じる高周波信号が、車載オーディオで受信するAM放送やFM放送にノイズとして乗らないように、車載オーディオのオン・オフを検知すると電力を供給する周期をAM放送やFM放送と干渉しノイズにならない周期に変更する。
【0003】
また、特許文献2には、携帯端末において、イルミネーションやLCD(Liquid Crystal Display)のバックライトに使用するLEDへの電力の供給をPWM制御方式で制御することで、LEDの点灯制御を行う技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−199781号公報
【特許文献2】特開2006−196935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2にも記載されているように、近年、携帯端末等の電子機器においてはイルミネーションやLCDのバックライトとしてLEDが多く用いられており、その点灯制御にPWM制御方式が用いられている。LEDの点灯制御をPWM制御方式で行う場合、LED用電源から出力された電流の平滑用途にコンデンサが必要となり、このコンデンサにも電源から周期的に電力が供給される。なお、このコンデンサには、携帯端末の小型化に伴う実装スペース上の制約や、耐久性、安全性等を考慮してセラミックコンデンサが使用される。
【0005】
ところで、一般的にセラミックコンデンサには圧電効果がある圧電素子が用いられ、印加電圧に応じて機械的な歪みが生じるため、セラミックコンデンサに周期的に電力を供給すると、圧電効果による歪みによりセラミックコンデンサが振動する。この振動周期によっては、セラミックコンデンサと基板との間の共振の周期が人間の可聴領域である20Hz〜20kHzの間に入ってしまい音鳴りによる可聴ノイズが発生する。そのため、電子機器においてLEDの点灯制御をPWM制御方式で行う場合、電流の平滑用途のセラミックコンデンサに電力を供給する周期によっては、セラミックコンデンサが人間の可聴領域の周期で基板と共振し、可聴ノイズが発生する可能性がある。この共振による可聴ノイズは、微小なノイズではあるが、例えば電子機器として携帯端末を想定した場合、発着信による通話時に携帯端末に耳を近づけた場合や、動画撮影機能や録音機能を使用するためにマイクの利得を上げた場合などに、ノイズ音が聞こえ問題となる。
【0006】
また、電子機器においてイルミネーションやLCDのバックライトとして無機EL(Electro Luminescence)を用いる場合、無機EL自身が圧電素子であり、無機ELを発光させるためには無機ELに周期的に電力を供給する必要があるため、LEDを用いる場合と同様の問題が生じる。
【0007】
なお、特許文献1や特許文献2に記載の技術においては、この様な圧電素子と基板との共振により発生する可聴ノイズは考慮されておらず対応することができない。
【0008】
本発明の目的は、電子機器内に設けられた圧電素子と基板との間の共振により発生する可聴ノイズを抑制することができる電子機器および電力供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の電子機器は、
基板上に設けられた圧電素子と、該圧電素子に電力を供給する電源と、該電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を制御する制御部とを有する電子機器において、
前記制御部は、所定の条件を満たす場合に、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を、前記圧電素子と前記基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために本発明の電力供給方法は、
基板上に設けられた圧電素子と、該圧電素子に電力を供給する電源と、該電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を制御する制御部とを有する電子機器が行う電力供給方法であって、
所定の条件を満たす場合に、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を、前記圧電素子と前記基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御部は、所定の条件を満たす場合に、電源から圧電素子に電力を供給する周期を、圧電素子と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。
【0012】
そのため、圧電素子と基板との間の共振による可聴ノイズが問題となる状況、例えば通話時や、動画撮影時、録音時等において可聴ノイズを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の電子機器である携帯端末の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の携帯端末は、制御部1と、通信部である無線送受信部2と、カメラ部3と、表示部4と、集音部であるマイク5と、レシーバ6と、スピーカ7と、発光部8と、電源9と、操作部10とを有している。なお、これらの構成要素は基板上に設けられている。
【0016】
電源部9は、本実施形態の携帯端末の各構成要素に電力を供給する。
【0017】
操作部10は、本実施形態の携帯端末を操作するための操作を受け付ける。
【0018】
制御部1は、CPU110、メモリ120、PWM制御部130およびオーディオ制御部140を有しており、本実施形態の携帯端末の動作全般を司る。
【0019】
メモリ120は、本実施形態の携帯端末の動作全般を制御するためのプログラムを記憶している。また、マイク5を介して録音された音声データや、カメラ部3およびマイク5を介して撮影された動画データ等を記憶するためにも用いられる。
【0020】
CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムに基づいて本実施形態の携帯端末の各構成要素の制御を行う。具体的には、CPU110は、電源9から発光部8に電力を供給する周期をメモリ120に記憶されているプログラムに基づいて決定する。また、CPU110は、無線送受信部2にて他の電子機器からの着信が受け付けられると、無線送受信部2に音声通信を開始させる。また、CPU110は、操作部10にて、発信を行う他の電子機器を選択するための操作が受け付けられると、無線送受信部2に選択された他の電子機器への発信を行わせる。また、CPU10は、操作部10にて動画撮影機能もしくは録音機能を選択するための操作が受け付けられると、予め設定された閾値以上の利得にマイク5を設定し、カメラ部3およびマイク5を介して動画撮影を行ったり、マイク5を介して録音を行ったりする。なお、録音により得られた音声データや動画撮影により得られた動画データは、CPU110によりメモリ120に記憶される。
【0021】
PWM制御部13は、CPU110にて決定された周期に基づいて、電源9から発光部8に電力の供給する周期を制御することで、発光部8の点灯制御を行う。
【0022】
オーディオ制御部140は、CPU110からの指示に基づいて、マイク5、レシーバ6およびスピーカ7を用いて音声の入出力制御を行う。具体的には、例えば、オーディオ制御部140は、マイク5から出力されたデジタル電気信号を、アナログ電気信号にD/A変換してレシーバ6やスピーカ7に出力する。
【0023】
無線送受信部2は、送信部210、受信部220およびアンテナ230を有しており、他の電子機器からの着信を受け付け、CPU110からの指示に基づき音声通信を行う。また、無線送受信部2は、CPU110からの指示に基づき、他の電子機器への発信を行う。また、無線送受信部2は、CPU110からの指示に基づいて他の電子機器とデータ通信を行っても良い。
【0024】
送信部210は、CPU110からの指示に基づいてアンテナ230を介して電波信号を送信する。
【0025】
受信部210は、CPU110からの指示に基づいてアンテナ230を介して電波信号を受信する。
【0026】
カメラ部3は、静止画や動画の撮影等に使用される。カメラ部3は、CPU110と接続されており、撮像画像を電気信号に変換し、映像信号としてCPU110に出力する。
【0027】
表示部4は、LCDパネル等から構成され、CPU110からの指示に基づいて、各種情報やカメラ部3で撮影された撮像画像等の表示を行う。
【0028】
マイク5は、CPU110からの指示に基づいて携帯端末の周囲の音声を集音し、集音した音声をデジタル電気信号として、オーディオ制御部140に出力する。
【0029】
レシーバ6およびスピーカ7は、オーディオ制御部140にてD/A変換されたアナログ電気信号をそれぞれ用途に応じて適切なレベルで音声として出力する。
【0030】
発光部8は、LEDおよびその周辺回路等から構成される。なお、発光部8を構成するLEDは、携帯端末のイルミネーションや、表示部4のLCDパネルのバックライト等に使用される。
【0031】
以下に、本実施形態の携帯端末における発光部8の点灯制御について説明する。
【0032】
図2は、図1に示した発光部8の点灯制御に関連する構成要素の詳細な構成を示す図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態の携帯端末においては、発光部8の点灯制御には、制御部1と、発光部8と、電源9とが関連している。
【0034】
発光部8は、LED81a,81bと、その周辺回路である保護抵抗82a,81bおよび平滑用コンデンサ83とから構成される。なお、ここでは、LED81a,81bは、図1に示した表示部4のバックライトに使用されているものとする。
【0035】
保護抵抗82a,82bは、対応するLED81a,81bに過電流が流れるのを防止するために設けられている。
【0036】
平滑用コンデンサ83は、圧電素子から構成されるセラミックコンデンサであり、電源9からLED81a,81bに供給される電流を平滑化するために設けられている。平滑用コンデンサ83は、セラミックコンデンサのため、周期的に電力を供給されると振動し、その周期によっては、平滑用コンデンサ83と基盤との間の共振の周期が人間の可聴領域の周波数となり、可聴ノイズを発生させる。
【0037】
電源9は、電力として電流をLED81a,81bに供給する。
【0038】
CPU110は、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期をメモリ120に記憶されているプログラムに基づいて決定する。また、CPU110は、所定の条件を満たす場合、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を、平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域である20Hzよりも遅い周期もしくは20kHzよりも速い周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。この様に、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に変更することで、平滑用コンデンサ83に供給される電力の周期も所定の周期となるため、平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となり、可聴ノイズを抑制することができる。なお、所定の条件としては、図1に示した無線送受信部2にて他の電子機器からの着信が受け付けられた場合や、操作部10にて発信を行う他の電子機器を選択するための操作が受け付けられた場合、予め設定された閾値以上の利得でマイク5にて集音を行う場合などが挙げられる。これは、例えば、発着信により無線送受信部2にて音声通信を行う場合、使用者が通話のために携帯端末に耳を近づけるため微小のノイズ音が問題になるためである。また、通話時等の通常の使用ケースよりもマイク5の利得を上げて集音を行う動画撮影時や録音時にも微小のノイズ音が問題になるためである。
【0039】
PWM制御部130は、電流周期制御部131a,131bと、スイッチであるトランジスタ132a,132bとを有している。
【0040】
トランジスタ132a,132bは、電源9からLED81a,81bに供給される電流の通電および遮断を行う。トランジスタ132a,132bがオンになると、電源9からLED81a,81bに供給された電流が通電しLED81a,81bが点灯する。また、トランジスタ132a,132bがオフになると、電源9からLED81a,81bに供給された電流が遮断されLED81a,81bが消灯する。なお、ここでは、トランジスタ132a,132bとしてNチャネルトランジスタを想定している。
【0041】
電流周期制御部131a,131bは、電源9からLED81a,81bに供給された電流の通電および遮断をCPU110にて決定された周期で行うようにトランジスタ132a,132bのオン・オフを制御する。電流周期制御部131a,131bが、CPU110にて決定された周期でトランジスタ132a,132bのオン・オフを制御することで、LED81a,81bが一定の周期で点滅を繰り返し、この周期を変更することで表示部4のバックライトの明るさを制御することができる。なお、電流周期制御部131a,131bは、CPU110にて決定された周期に基づいたトランジスタ132a,132bのオン・オフの時間に対応したパルス幅の割合と周波数とを有するパルス電圧信号をトランジスタ132a,132bに出力することで、そのオン・オフを制御する。このパルス電圧信号の周波数はPWM周波数と呼ばれ、LED81a,81bの点灯制御において明るさを調整するための目安として用いられる。一般的に、LCDパネルのバックライトとしてLEDを用いる場合、その点滅周期であるPWM周波数は、LEDの点滅が人間の目で認識できない程度の値に設定される。
【0042】
なお、図2においては、LED81a,81bは電源9に対して並列に接続されているが、直列に接続しても良い。
【0043】
また、所定の周期は、平滑用トランジスタ83のパッケージの大きさや実装箇所、基板の材質や大きさ等の要因により異なるため、これらの要因に基づいて携帯端末毎に決定する必要がある。例えば、電源9からLED81a,81bに電流を1MHzの周期で供給する場合の平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の可聴領域の周期である10kHzとなり、1.2MHzの周期で供給する場合の平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期である40kHzとなる携帯端末を考える。平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期は、1.2MHz以外にも存在するが、ここでは、1.2MHzを所定の周期として設定するものとする。この場合、CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムに基づいて電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を決定するとその周期が1MHzとなる場合でも、所定の条件を満たす場合には、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期である1.2MHzに設定する。
【0044】
電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に設定した際に、元の周期よりも周期が遅くなった場合、LED81a,81bの点滅周期が遅くなるため残影が見えやすくなり、例えば携帯端末を揺らした場合に表示部4にちらつきが見えやすくなる等の不具合が起きる可能性がある。また、周期が速くなった場合には、消費電流が増加することが懸念される。しかし、本実施形態においては、平滑用コンデンサ83と基板との共振による可聴ノイズを抑制することを優先する。これは、通話時においては、使用者は携帯端末を耳に近づけているため、表示部4を見ることはあまりなく、表示部4に多少のちらつきが生じても問題ないためである。また、近年、携帯端末のバッテリー容量が増加しているため、多少消費電力が増加しても問題ないためである。
【0045】
以下に、本実施形態の携帯端末の動作について説明する。
【0046】
図3は、図1および図2に示した電子機器である携帯端末の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ここでは、携帯端末の動作の一例として、発着信等による音声通話時に、可聴ノイズを抑制するために、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に変更する動作について説明する。
【0048】
まず、図1に示したメモリ120に記憶されているプログラムに基づいた周期で電源9からLED81a,81bに電流が供給されている状況において、CPU110は、無線送受信部2にて他の電子機器からの着信が受け付けられると(ステップ11)、オーディオ制御部140を介してスピーカ部7から着信音を出力するとともに、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に設定する(ステップ12)。また、発信時であれば、CPU110は、操作部10にて発信を行う他の電子機器を選択するための操作が受け付けられると(ステップ11)、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に設定する(ステップ12)。
【0049】
これを受けて、電流周期制御部131a,131bは、所定の周期でトランジスタ132a,132bのオン・オフを制御する。これにより、LED81a,81bが所定の周期で点滅する。この際、電源9から平滑用コンデンサ83に供給される電流の周期も所定の周期となるため、平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となり、共振による可聴ノイズが抑制される。
【0050】
次に、CPU110は、操作部10にて回線をオフフック状態にするための操作が受け付けられると、無線送受信部2を介して音声通信を開始する。これにより、使用者が通話を行えるようになり、使用者は、携帯端末のレシーバ6に耳を近づけ、通話を開始する(ステップ13)。
【0051】
次に、CPU110は、操作部10にて回線をオンフック状態にするための操作が受け付けられたか否か、つまり通話が終了したか否かを判定する(ステップ14)。
【0052】
その後、CPU110は、操作部10にて回線をオンフック状態にするための操作が受け付けられると、通話が終了したと判断し(ステップ15)、無線送受信部2を介した音声通信を終了し、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期からメモリ120に記憶されているプログラムに基づいて決定される周期に戻す(ステップ16)。
【0053】
これを受けて、電流周期制御部131a,131bは、トランジスタ132a,132bのオン・オフを制御する周期を所定の周期から変更前の周期に戻す。これにより、LED81a,81bの点滅する周期が変更前の周期に戻る。
【0054】
図4は、図1および図2に示した電子機器である携帯端末の他の動作を説明するためのフローチャートである。
【0055】
ここでは、携帯端末の他の動作として、カメラ部3およびマイク5を介して動画撮影を行う場合もしくはマイク5を介して録音を行う場合に、可聴ノイズを抑制するために、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に変更する動作について説明する。
【0056】
まず、図1に示したメモリ120に記憶されているプログラムに基づいた周期で電源9からLED81a,81bに電流が供給されている状況において、CPU110は、操作部10にて動画撮影機能もしくは録音機能を選択するための操作が受け付けられると(ステップ21)、マイク5の利得を予め設定された閾値以上の利得に設定して集音を行うと判断し、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期に設定する(ステップ22)。
【0057】
これを受けて、電流周期制御部131a,131bは、所定の周期でトランジスタ132a,132bのオン・オフを制御する。これにより、LED81a,81bが所定の周期で点滅する。この際、電源9から平滑用コンデンサ83に供給される電流の周期も所定の周期となるため、平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周囲が人間の非可聴領域の周期となり、共振による可聴ノイズが抑制される。
【0058】
次に、CPU110は、カメラ部3およびマイク5を介した動画撮影もしくはマイク5を介した録音を行うために、マイク5の利得を閾値以上の利得に設定して集音を開始する(ステップ23)。
【0059】
次に、CPU110は、操作部10にて動画撮影もしくは録音を終了するための操作が受け付けられたか否かを判定する(ステップ24)。
【0060】
その後、CPU110は、操作部10にて動画撮影もしくは録音を終了するための操作が受け付けられると、動画撮影もしくは録音を終了するとともに、マイク5の利得を元の利得に戻す(ステップ25)。また、CPU110は、電源9からLED81a,81bに電流を供給する周期を所定の周期からメモリ120に記憶されているプログラムに基づいて決定される周期に戻す(ステップ26)。
【0061】
これを受けて、電流周期制御部131a,131bは、トランジスタ132a,132bのオン・オフを制御する周期を変更前の周期に戻す。これにより、LED81a,81bの点滅する周期が変更前の周期に戻る。
【0062】
上述したように、本実施形態においては、制御部1は、所定の条件を満たす場合に、電源9から平滑用コンデンサ83に電力を供給する周期を、平滑用コンデンサ83と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。
【0063】
そのため、平滑用コンデンサ83と基板との間の共振による可聴ノイズが問題となる状況、例えば通話時や、動画撮影時、録音時等において可聴ノイズを抑制することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の電子機器である携帯端末の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0065】
図5に示すように、本実施形態の電子機器である携帯端末は、通信部である無線送受信部2と、カメラ部3と、表示部4と、集音部であるマイク5と、レシーバ6と、スピーカ7と、操作部10と、制御部11と、発光部12と、電源13とを有している。なお、これらの構成要素は基板上に設けられている。
【0066】
また、制御部11は、CPU110、メモリ120、オーディオ制御部140、昇圧部150および波形制御部160を有している。
【0067】
なお、以下では、図1に示した第1の実施形態と同様の構成要素については、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
電源13は、図4に示した携帯端末の各構成要素に対して電力を供給する。なお、電源13は、電力として電圧を昇圧部150および波形制御部160を介して発光部12に印加する。
【0069】
昇圧部150は、電源13から出力された電圧を高電圧に昇圧し、CPU110にて決定された周期に基づいてパルス高電圧を発生させることで、波形制御部160を介して発光部12に周期的に電圧を印加し、発光部12の点灯制御を行う。
【0070】
波形制御部160は、昇圧部150が発生させたパルス高電圧の波形の整形を行い、整形したパルス高電圧を発光部12に印加する。
【0071】
発光部12は、無機ELであり、携帯端末のイルミネーションや表示部4のバックライトとして使用され、昇圧部150から波形制御部160を介して周期的に印加される電圧により点滅する。
【0072】
以下に、本実施形態の携帯端末における発光部12の点灯制御について説明する。
【0073】
図6は、図5に示した発光部12の点灯制御に関連する構成要素の詳細な構成を示す図である。
【0074】
図6に示すように、本実施形態の携帯端末においては、発光部12の点灯制御には、制御部11と、発光部12と、電源13とが関連している。
【0075】
発光部12は、無機ELであり、パルス高電圧を印加されると点滅する。無機ELは、圧電性を有する圧電素子であるため、周期的に電圧を印加されると振動し、その周期によっては発光部12と基板との間の共振の周期が人間の可聴領域の周期となり、可聴ノイズを発生させる。なお、ここでは、発光部12は、図5に示した表示部4のバックライトに使用されているものとする。
【0076】
CPU110は、メモリ120に記憶されているプログラムに基づいて、電源13から発光部12に電圧を印加する周期を決定する。また、CPU110は、所定の条件を満たす場合、電源13から発光部12に電圧を印加する周期を、発光部12と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。この様に、電源13から発光部13に電圧を印加する周期を所定の周期に変更することで、発光部12と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となり、可聴ノイズを抑制することができる。なお、所定の条件は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0077】
昇圧部150は、電圧周期制御部151、スイッチであるトランジスタ152、コイル153およびダイオード154を有している。
【0078】
コイル153は、電源13から出力された電圧を高電圧に昇圧するために用いられる。
【0079】
トランジスタ152は、発光部12に印加される高電圧を制御する。トランジスタ152がオフになると、電源13から出力され昇圧された高電圧が発光部12に印加される。また、トランジスタ152がオンになると、電源13がコイル153およびトランジスタ152を介してグランドに接続されるため、発光部12に高電圧は印加されない。そのため、トランジスタ152を周期的にオン・オフすることにより、パルス高電圧が発光部12に印加され、発光部12が点滅する。なお、ここでは、トランジスタ152としてNチャネルトランジスタを想定している。
【0080】
電圧周期制御部151は、CPU110にて決定された周期でトランジスタ152のオン・オフを制御する。電流周期制御部151がCPU110にて決定された周期でトランジスタ152のオン・オフを制御することでパルス高電圧が発生し、このパルス高電圧が発光部12に印加されると発光部12は一定の周期で点滅する。なお、この周期を変更することで表示部4のバックライトの明るさを制御することができる。
【0081】
ダイオード154は、昇圧部150内に電流が逆流するのを防止するために設けられている。
【0082】
波形制御部160は、昇圧部150にて発生したパルス高電圧を整形し、発光部12に印加する。
【0083】
上述したように、本実施形態においては、制御部11は、所定の条件を満たす場合に、電源13から発光部12に電力を供給する周期を発光部12と基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する。
【0084】
そのため、発光部12と基板との間の共振による可聴ノイズが問題となる状況、例えば通話時や動画撮影時、録音時等において可聴ノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の電子機器である携帯端末の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した発光部の点灯制御に関連する構成要素の詳細な構成を示す図である。
【図3】図1および図2に示した電子機器である携帯端末の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1および図2に示した電子機器である携帯端末の他の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の電子機器である携帯端末の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示した発光部の点灯制御に関連する構成要素の詳細な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1,11 制御部
2 無線送受信部
3 カメラ部
4 表示部
5 マイク
6 レシーバ
7 スピーカ
8,12 発光部
9,13 電源
10 操作部
81a,81b LED
82a,82b 保護抵抗
83 平滑用コンデンサ
110 CPU
120 メモリ
130 PWM制御部
131a,131b 電流周期制御部
132a,132b,152 トランジスタ
140 オーディオ制御部
150 昇圧部
151 電圧周期制御部
153 コイル
154 ダイオード
160 波形制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた圧電素子と、該圧電素子に電力を供給する電源と、該電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を制御する制御部とを有する電子機器において、
前記制御部は、所定の条件を満たす場合に、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を、前記圧電素子と前記基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
他の電子機器からの着信を受け付け、前記制御部からの指示に基づいて当該着信による音声通信を開始する通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記通信部にて前記着信が受け付けられることを前記所定の条件として、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を前記所定の周期に設定する、電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記電子機器を操作するための操作を受け付ける操作部をさらに有し、
前記通信部は、前記制御部からの指示に基づいて他の電子機器に対して発信を行い
前記制御部は、前記通信部から前記発信を行う他の電子機器を選択するための操作が前記操作部にて受け付けられることを前記所定の条件として、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を前記所定の周期に設定する、電子機器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記制御部からの指示に基づいて前記電子機器の周囲の音声を集音する集音部をさらに有し、
前記制御部は、前記集音部にて予め設定された閾値以上の利得で集音を行うことを前記所定の条件として、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を前記所定の周期に設定する、電子機器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子機器において、
LEDをさらに有し、
前記電源は、前記電力として電流を前記LEDに供給し、
前記圧電素子は、前記電源から前記LEDに供給される電流を平滑化するセラミックコンデンサであり、
前記制御部は、
前記電源から前記LEDに供給される電流の通電および遮断を行うスイッチと、
前記電源から前記LEDに供給される電流の通電および遮断を行う周期を決定するCPUと、
前記CPUにて決定された周期で前記通電および前記遮断を行うように前記スイッチを制御する電流周期制御部とを有し、
前記CPUは、前記所定の条件を満たす場合に、前記電源から前記LEDに供給される電流の通電および遮断を行う周期を前記所定の周期に設定する、電子機器。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記圧電素子は、無機ELであり、
前記電源部は、前記電力として電圧を前記無機ELに印加し、
前記制御部は、
前記電源から前記無機ELに印加される電圧を制御するスイッチと、
前記電源から前記無機ELに電圧を印加する周期を決定するCPUと、
前記CPUにて決定された周期で前記無機ELに電圧を印加するように前記スイッチを制御する電圧周期制御部とを有し、
前記CPUは、前記所定の条件を満たす場合に、前記電源から前記無機ELに電圧を印加する周期を前記所定の周期に設定する電子機器。
【請求項7】
基板上に設けられた圧電素子と、該圧電素子に電力を供給する電源と、該電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を制御する制御部とを有する電子機器が行う電力供給方法であって、
所定の条件を満たす場合に、前記電源から前記圧電素子に電力を供給する周期を、前記圧電素子と前記基板との間の共振の周期が人間の非可聴領域の周期となる周期の中から設定された所定の周期に設定する電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−141681(P2010−141681A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316927(P2008−316927)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】