説明

電子機器および再生制御方法

【課題】復号部の切り替えにともなう音声の一時的な中断が利用者に意識されることを防止すること。
【解決手段】映像データと音声データを含む動画データを再生可能な電子機器1は、動画データの再生のために、動画データに含まれる映像データと音声データのうち少なくとも映像データを復号する第1復号部42と、動画データの再生のために、動画データに含まれる音声データのみを復号する第2復号部44と、第2復号部44に音声データを復号させて動画データに基づく音声を再生する状態から、動画データに基づく映像と音声の両方を再生する状態への切り替え時に、第2復号部44による音声データの復号を維持しつつ、第1復号部42に前記動画データに含まれる映像データを復号させる制御部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および再生制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の携帯電子機器は、映像と音声とを含む動画データの再生機能をもつことが多くなっている。動画データの再生機能をもつ携帯電子機器には、映像と音声の復号可能な復号部と、音声のみを復号可能な復号部とを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。このように複数の復号部を有する携帯電子機器では、動画データに含まれる音声のみを再生する場合、消費電力を削減するために、音声のみを復号可能な復号部によって復号が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−126269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動画データに含まれる音声のみを再生している最中に利用者からの指示等によって映像も再生することが必要になった場合、映像と音声の復号可能な復号部に映像の復号を行わせることとなる。この場合、2つの復号部を起動させておくことは消費電力の増加につながるため、映像と音声の復号可能な復号部に音声の復号も行わせ、音声のみを復号可能な復号部を停止させることが好ましい。
【0005】
しかしながら、動画データの再生中に音声を復号する復号部を切り替えると、切り替えの際に音声が一瞬途切れることとなり、利用者に不快感を与えてしまうおそれがある。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、復号部の切り替えにともなう音声の一時的な中断が利用者に意識されることを防止できる電子機器および再生制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、映像データと音声データを含む動画データを再生可能な電子機器であって、前記動画データの再生のために、前記動画データに含まれる映像データと音声データのうち少なくとも映像データを復号する第1復号部と、前記動画データの再生のために、前記動画データに含まれる音声データのみを復号する第2復号部と、前記第2復号部に音声データを復号させて前記動画データに基づく音声を再生する状態から、前記動画データに基づく映像と音声の両方を再生する状態への切り替え時に、前記第2復号部による音声データの復号を維持しつつ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記制御部は、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させている間に、前記動画データに基づく音声の再生が一時的に不要となる操作が行われた場合に、前記第2復号部による音声データの復号を停止させ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データと音声データの両方を復号させる切替処理を実行することが好ましい。
【0008】
また、前記動画データの音声に基づく再生が一時的に不要となる操作は、特殊再生、消音再生、テレビチューナの局変更のいずれかであることが好ましい。
【0009】
また、前記制御部は、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させている間に、所定の割り込みイベントが発生した場合に、前記第2復号部による音声データの復号を停止させ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データと音声データの両方を復号させる切替処理を実行することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、映像の再生を継続する時間が閾値よりも短い場合は、前記切替処理を実行することなく、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させる状態を維持することが好ましい。
【0011】
また、前記第1復号部は、前記制御部と同一のチップセットであり、前記第2復号部は、前記制御部と外部データバスで接続され、前記制御部は、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させる場合に、前記第2復号部が復号前の動画データを一時的に記憶させるバッファの割り当て量を、前記第1復号部が復号前の動画データを一時的に記憶させるバッファの割り当て量よりも多く設定することが好ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、映像データと音声データを含む動画データを再生可能な電子機器による再生制御方法であって、前記電子機器が、前記動画データに含まれる映像データと音声データのうち少なくとも映像データを復号する第1復号部と、前記動画データに含まれる音声データのみを復号する第2復号部のうち、第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させることにより、前記動画データに基づく音声のみを再生するステップと、前記電子機器が、前記動画データに基づく音声のみを再生する状態から、前記動画データに基づく映像と音声の両方を再生する状態への切り替え時に、前記第2復号部による音声データの復号を維持しつつ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させるステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子機器および再生制御方法は、復号部の切り替えにともなう音声の一時的な中断が利用者に意識されることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。
【図2】電子機器の機能の概略構成を示すブロック図である。
【図3】電子機器が動画データや音声データを再生する場合の全般的な処理の流れを示すフロー図である。
【図4】映像再生判定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図5】映像再生制御処理の処理手順を示すフロー図である。
【図6】音声切替の一例を示す図である。
【図7】音声切替判定処理の処理手順を示すフロー図である。
【図8】音声再生制御処理の処理手順を示すフロー図である。
【図9】音声切替処理の処理手順を示すフロー図である。
【図10】音声切替の他の例を示す図である。
【図11】バッファ容量設定処理の処理手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器の一例として、携帯電話機を取り上げるが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではない。本発明は、例えば、PHS(Personal Handy-phone System)、パソコン、携帯情報端末等に対しても適用できる。
【0016】
図1は、実施形態に係る電子機器の一実施形態の概略構成を示す正面図である。図1に示す電子機器1は、無線通信機能と、動画/音声データの再生機能とを有する。電子機器1は、筐体1Cが複数の筐体で構成される。具体的には、筐体1Cは、第1筐体1CAと第2筐体1CBとで開閉可能に構成される。すなわち、電子機器1は、折り畳み式の筐体を有する。なお、電子機器1の筐体は、このような構造に限定されるものではない。例えば、電子機器1の筐体は、両方の筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体と他方の筐体とを互いにスライドできるようにしたスライド式の筐体であってもよいし、重ね合わせ方向に沿う軸線を中心に、一方の筐体を回転させるようにした回転式や、2軸ヒンジを介して両方の筐体を連結したものでもよい。
【0017】
第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、連結部であるヒンジ機構8で連結されている。ヒンジ機構8で第1筐体1CAと第2筐体1CBとを連結することにより、第1筐体1CAおよび第2筐体1CBは、ヒンジ機構8を中心として、相対的に回動できる。
【0018】
第1筐体1CAには、表示部として、図1に示すディスプレイ2が設けられる。ディスプレイ2は、電子機器1が再生する動画データの映像を表示したり、電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。また、第1筐体1CAには、電子機器1が再生する動画/音声データの音声を出力する出力手段であるスピーカ46や、電子機器1の通話時に音声を出力する出力手段であるレシーバ16が設けられる。
【0019】
第2筐体1CBには、通話相手の電話番号等を入力するための操作キー13Aが複数設けられ、また、ディスプレイ2に表示されるメニューの選択等を実行するための方向および決定キー13Bが設けられる。また、第2筐体1CBには、テレビの視聴を開始/終了するための視聴ボタン13Cや、視聴するテレビの局を選択するための選局ボタン13Dが設けられる。操作キー13A、方向および決定キー13B、視聴ボタン13Cおよび選局ボタン13Dは、電子機器1の操作部13を構成する。
【0020】
また、第2筐体1CBには、電子機器1の通話時に音声を受け取る音声取得手段であるマイク15と、電子機器1が再生する動画/音声データの音声を聴くためのヘッドフォンが接続されるヘッドフォン端子48が設けられる。
【0021】
図2は、図1に示した電子機器1の機能の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、電子機器1は、制御部22と、記憶部24と、通信部26と、操作部13と、音声処理部30と、表示部32と、テレビチューナ40と、第1復号部42と、第2復号部44と、スピーカ46と、ヘッドフォン端子48と、メモリ50と、を有する。
【0022】
記憶部24は、各種情報を記憶する記憶装置である。記憶部24は、電子機器1内に固定的に設けられたフラッシュメモリ等の半導体に情報を記憶させるものであってもよいし、メモリカード等の取り出し可能な記憶媒体と、記憶媒体の読み書き装置との組み合わせとして構成されていてもよい。
【0023】
記憶部24には、制御部22での処理に利用されるデータやプログラムが記憶される。記憶部24に記憶されるデータには、動画データ24aと、音声データ24bとが含まれ、記憶部24に記憶されるプログラムには、再生制御プログラム24cが含まれる。動画データ24aは、所定の形式で符号化された映像と、所定の形式で符号化された音声とを含む。音声データ24bは、所定の形式で符号化された音声を含む。
【0024】
再生制御プログラム24cは、動画データ24a、音声データ24bおよびテレビチューナ40が取得した放送データの再生を制御するために制御部22によって用いられる。なお、再生制御プログラム24cは、利用者が動画データ24aや音声データ24bの選択等を行うためのユーザインターフェースを実現する機能を含むものであってもよいし、そのようなユーザインターフェースは他のプログラムによって実現されてもよい。
【0025】
通信部26は、アンテナ26aを有し、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信および情報通信を行う。操作部13は、操作キー13A、方向および決定キー13B、視聴ボタン13Cおよび選局ボタン13Dを含み、これらのキーやボタンが利用者によって操作されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、利用者の指示として制御部22へ入力される。
【0026】
音声処理部30は、マイク15に入力される音声信号やレシーバ16から出力される音声信号の処理を実行する。表示部32は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro-Luminescence)パネルなどで構成された表示パネルを備え、制御部22の制御に基づいて再生される映像や、各種の操作画面等を表示パネルに表示させる。
【0027】
テレビチューナ40は、テレビ放送の放送波を受信するためのアンテナ40aを有し、アンテナ40aによって受信された放送波に含まれる放送データを取得する。テレビチューナ40は、利用者が選局ボタン13Dを操作する等して局(チャンネル)の変更を指示すると、その指示を受け付けた制御部22の制御に従って、放送データを取得する局を指示された局へ変更する。なお、テレビチューナ40は、例えば、日本のワンセグ放送の放送データを取得してもよいし、フルセグ(12セグ)放送の放送データを取得してもよい。
【0028】
テレビチューナ40が取得する放送データは、動画データ24aと同様に、所定の形式で符号化された映像と、所定の形式で符号化された音声とを含む。以下では、単に「動画データ」と言う場合、記憶部24に記憶されている動画データ24aとテレビチューナ40によって取得される放送データの両方を指すこととする。
【0029】
第1復号部42は、符号化された映像を復号する機能と、符号化された音声を復号する機能とを有する。第1復号部42は、映像の復号と音声の復号の両方を実行することもできるし、どちらか一方のみを実行することもできる。第2復号部44は、符号化された映像を復号する機能をもたず、符号化された音声を復号する機能のみを有する。第2復号部44は、第1復号部42に比べて構成が簡易であるため、第1復号部42よりも消費電力が少ない。
【0030】
スピーカ46は、第1復号部42または第2復号部44によって復号された音声を出力する。ヘッドフォン端子48は、第1復号部42または第2復号部44によって復号された音声を聴くためのヘッドフォンが接続される端子である。ヘッドフォン端子48にヘッドフォンが着脱されると、着脱が電気的または機械的に検出され、制御部22に通知される。制御部22は、ヘッドフォン端子48からの通知に基づいて、音声の出力先をスピーカ46とヘッドフォン端子48のいずれかに切り替える等の制御を行う。
【0031】
メモリ50は、制御部22が用いるデータやプログラムを一時的に記憶する記憶装置であり、制御部22等から高速なアクセスが可能なように、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速な半導体を用いて構成される。第1復号部42が復号を行う際、メモリ50にはバッファ50aが設けられる。また、第2復号部44が復号を行う際、メモリ50にはバッファ50bが設けられる。
【0032】
バッファ50aおよびバッファ50bは、復号対象のデータの取得が間に合わないことが理由でフレーム落ちや音飛びが生じることがないように、復号対象のデータを一定量だけ予め取得して格納しておく領域である。なお、バッファ50aおよびバッファ50bが設けられるメモリは、第1復号部42と第2復号部44に直結されていてもよい。
【0033】
制御部22は、電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する機能を有する。すなわち、制御部22は、電子機器1の各種の処理が、操作部13の操作や電子機器1の記憶部24に記憶されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部26や、音声処理部30や、表示部32等の動作を制御する。
【0034】
制御部22は、記憶部24に記憶されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。制御部22は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processing Unit)で構成され、プログラムに定義された手順にしたがって電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、制御部22は、記憶部24に記憶されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0035】
制御部22は、電子機器1の制御の一部として、第1復号部42と第2復号部44による音声や映像の復号を制御する。制御部22は、動画データが再生される場合、映像の再生が必要であるか否か等に応じて、消費電力が少なくて済み、かつ、第1復号部42と第2復号部44の切り替えにともなう音声の再生の中断が利用者に意識されないように、第1復号部42と第2復号部44を制御する。第1復号部42と第2復号部44の制御は、制御部22が再生制御プログラム24cを実行することにより実現される。
【0036】
なお、制御部22、通信部26、音声処理部30および第1復号部42は、チップセット10を構成する部品として設計されているものとする。このため、制御部22は、通信部26、音声処理部30および第1復号部42との間では、チップセット内部の広帯域のデータバスを介してデータ等を高速にやりとりできるのに対して、第2復号部44等との間では、外部データバスを介してデータ等を比較的低速にしかやりとりできない。
【0037】
次に、図3から図11を用いて、制御部22による第1復号部42と第2復号部44の制御についてより詳細に説明する。
【0038】
図3は、電子機器1が動画データや音声データを再生する場合の全般的な処理の流れを示すフロー図である。図3に示すように、ステップS10として、動画データまたは音声データの再生が開始されると、制御部22は、ステップS11として、後述する映像再生判定処理を実行して、映像の再生が必要であるか否かを判定する。そして、制御部22は、ステップS12として、後述する映像再生制御処理を実行して、映像再生判定処理の判定結果に応じて、第1復号部42による映像の復号を制御する。
【0039】
続いて、制御部22は、ステップS13として、後述する音声切替判定処理を実行して、音声を復号する復号部を切り替えてもよい状態であるか否かを判定する。そして、制御部22は、ステップS14として、後述する音声再生制御処理を実行して、音声切替判定処理の判定結果と再生対象のデータの種別等に応じて、第1復号部42と第2復号部44による音声の復号を制御する。
【0040】
続いて、制御部22は、ステップS15として、再生対象のデータの再生を終了させるか否かを判定する。ここで、再生対象のデータの再生を終了させる場合には、データの最後まで再生が完了した場合、利用者の操作等により再生の中止が指示された場合、利用者の操作等により他のデータの再生の開始が指示された場合が含まれる。
【0041】
再生対象のデータの再生を終了させない場合、すなわち、再生対象のデータの再生を継続する場合(ステップS15,No)、制御部22は、ステップS11以降を再実行する。再生対象のデータの再生を終了させる場合(ステップS15,Yes)、次に再生すべき動画データまたは音声データがあれば(ステップS16,Yes)、ステップS17として、そのデータの再生が開始され、制御部22は、ステップS11以降を再実行する。
【0042】
再生対象のデータの再生を終了させる場合であって、次に再生すべき動画データまたは音声データがない場合(ステップS16,No)、制御部22は、ステップS18として、第1復号部42と第2復号部44のうち起動しているものを停止させる。
【0043】
このように、制御部22は、動画データや音声データの再生中に状況判定を随時実行して、判定結果に基づいて第1復号部42と第2復号部44の制御を切り替える。
【0044】
図4は、図3に示した映像再生判定処理の処理手順を示すフロー図である。図4に示すように、制御部22は、ステップS30として、再生対象のデータが動画データであるか否かを判定する。そして、再生対象のデータが動画データでない場合(ステップS30,No)、制御部22は、ステップS31として、映像の再生は不要であると判定する。
【0045】
一方、再生対象のデータが動画データである場合(ステップS30,Yes)、制御部22は、ステップS32として、表示部32への映像の出力が必要であるか否かを判定する。そして、表示部32への映像の出力が必要であれば(ステップS32,Yes)、制御部22は、ステップS33として、映像の再生は必要であると判定し、表示部32への映像の出力が必要でなければ(ステップS32,No)、制御部22は、ステップS31として、映像の再生は不要であると判定する。
【0046】
なお、表示部32への映像の出力が不要な場合とは、例えば、利用者が何らかの操作を行って映像の出力を停止させた場合である。また、電子機器1は上述したように折り畳み式の筐体を有するが、電子機器1が折り畳まれた閉状態にある場合も、利用者は表示部32を視認できないため、表示部32への映像の出力は不要である。
【0047】
図5は、図3に示した映像再生制御処理の処理手順を示すフロー図である。図5に示すように、映像再生判定処理において映像の再生が必要であると判定された場合(ステップS50,Yes)、制御部22は、ステップS51として、第1復号部42が起動済であるか否かを判定する。
【0048】
そして、第1復号部42が起動していなかった場合(ステップS51,No)、制御部22は、ステップS52として、第1復号部42を起動させる。第1復号部42が起動していた場合(ステップS51,Yes)、制御部22は、第1復号部42が起動している状態をそのまま維持する。
【0049】
続いて、制御部22は、ステップS53として、第1復号部42で映像を復号中であるか否かを判定する。そして、映像を復号中でなければ(ステップS53,No)、制御部22は、ステップS54として、第1復号部42での映像の復号を開始させる。映像を復号中であれば(ステップS53,Yes)、制御部22は、第1復号部42が映像を復号している状態をそのまま維持する。
【0050】
一方、映像再生判定処理において映像の再生が不要であると判定された場合(ステップS50,No)、制御部22は、ステップS55として、第1復号部42が起動済であるか否かを判定する。第1復号部42が起動していない場合(ステップS55,No)、制御部22は、その状態を維持する。
【0051】
第1復号部42が起動している場合(ステップS55,Yes)、制御部22は、ステップS56として、第1復号部42で映像を復号中であるか否かを判定する。そして、映像を復号中であれば(ステップS56,Yes)、制御部22は、ステップS57として、第1復号部42での映像の復号を中止させる。映像を復号中でなければ(ステップS56,No)、制御部22は、その状態を維持する。
【0052】
続いて、制御部22は、ステップS58として、第1復号部42で音声を復号中であるか否かを判定する。そして、音声を復号中でなければ(ステップS58,No)、制御部22は、消費電力の浪費を防止するため、ステップS59として、第1復号部42を停止させる。音声を復号中であれば(ステップS58,Yes)、制御部22は、その状態を維持する。
【0053】
映像再生制御処理における第1復号部42と第2復号部44の制御の具体例について、図6を参照しながら説明する。ステップS150として、利用者から動画データの再生指示があったものとする。ここで、電子機器1が閉状態にある場合、映像再生判定処理において映像の再生は不要であると判定される。この場合、映像再生制御処理によって第1復号部42が起動されることはなく、ステップS151として、後述する音声再生制御処理によって第2復号部44が起動され、第2復号部44に音声の復号開始が指示される。
【0054】
このように、映像の再生が必要でない場合に、より消費電力が少ない第2復号部44に音声の復号を行わせることにより、消費電力を削減することができる。
【0055】
そして、ステップS152として、電子機器1が開状態へ変化すると、映像再生判定処理において映像の再生が必要であると判断され、ステップS153として、映像再生制御処理(ステップS51〜S54)によって、第1復号部42に映像の復号開始が指示される。この段階では、音声の復号に関する制御は維持される。
【0056】
このように、映像再生制御処理では、状況に応じて第1復号部42による映像の復号を随時開始または停止させるが、その時点では音声の復号に関する制御は維持される。このため、映像の再生の制御の変化にともなって音声の再生が一時的に中断することがない。
【0057】
図7は、図3に示した音声切替判定処理の処理手順を示すフロー図である。音声切替判定処理では、音声を復号する復号部を第1復号部42から第2復号部44へ、または、第2復号部44から第1復号部42へ切り替える制御(以下、「音声切替」という)が可能な状態であるか否かが判定される。ここで、音声切替が可能な状態とは、音声切替にともなって音声の復号が一時的に中断しても利用者に意識されることがない状態を意味する。
【0058】
図7に示すように、制御部22は、ステップS70として、再生対象のデータが変更されるか否かを判定する。再生対象のデータが変更される場合(ステップS70,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。なお、再生対象のデータが変更される場合には、再生対象のデータの再生が最後まで完了して他のデータの再生が開始される場合と、利用者の操作等によって他のデータの再生の開始が指示された場合とが含まれる。
【0059】
再生対象のデータが変更されない場合(ステップS70,No)、制御部22は、ステップS72として、特殊再生が行われているか否かを判定する。特殊再生が行われている場合(ステップS72,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。なお、特殊再生とは、トリック再生ともいい、再生速度を速くする早送り再生、再生速度を遅くするスローモーション再生、逆回しに再生を行う巻き戻し再生等を含む。
【0060】
特殊再生が行われていない場合(ステップS72,No)、制御部22は、ステップS73として、消音再生が行われているか否かを判定する。消音再生が行われている場合(ステップS73,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。なお、消音再生には、ミュート機能によって音声の出力を停止させている場合と、ボリュームを絞ることによって音量を0にしている場合とが含まれる。
【0061】
消音再生が行われていない場合(ステップS73,No)、制御部22は、ステップS74として、テレビチューナ40が放送データを取得する局が変更されたか否かを判定する。局が変更された場合(ステップS74,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。なお、テレビの視聴が行われていない場合には、局は変更されていないと判定される。
【0062】
局が変更されていない場合(ステップS74,No)、制御部22は、ステップS75として、通話やメールの着信等に伴う着信音あるいは警告音の鳴動中であるか否かを判定する。鳴動中である場合(ステップS75,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。
【0063】
鳴動中でない場合(ステップS75,No)、制御部22は、ステップS76として、ヘッドフォン端子へのヘッドフォンの抜き差しが行われたか否かを判定する。ヘッドフォンの抜き差しが行われた場合(ステップS76,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。
【0064】
ヘッドフォンの抜き差しが行われていない場合(ステップS76,No)、制御部22は、ステップS77として、再生対象のデータの取得が中断したか否かを判定する。データの取得が中断した場合(ステップS77,Yes)、制御部22は、ステップS71として、音声切替が可能な状態であると判定する。なお、再生対象のデータの取得が中断した場合には、例えば、電波状況の変化により、テレビチューナ40で受信中の放送波が途切れた場合等が含まれる。
【0065】
そして、上記の条件のいずれにも該当しない場合、(ステップS77,No)、制御部22は、ステップS78として、音声切替が可能な状態ではないと判定する。
【0066】
上記の音声切替判定処理において音声切替が可能な状態であると判定されるのは、音声の再生が一時的に不要となる操作が行われた場合(特殊再生、消音再生または局変更が行われた場合)、または、音声の再生を妨げる割り込みイベントが発生した場合(鳴動、ヘッドフォンの抜き差しまたはデータ取得の中断)である。このような場合は、音声が再生されない、または、再生される音声を上回る音量の他の音が発生することが通常であるので、音声切替を実行しても、音声切替にともなう音声の復号の一時的な中断が利用者に意識されないですむ。
【0067】
図8は、図3に示した音声再生制御処理の処理手順を示すフロー図である。図8に示すように、制御部22は、ステップS90として、音声の復号が既に行われているか否かを判定する。
【0068】
音声の復号が行われていない場合(ステップS90,No)、制御部22は、ステップS91として、第1復号部42で映像の復号が行われているか否かを判定する。ここで、第1復号部42で映像の復号が行われている場合(ステップS91,Yes)、さらに第2復号部44を動作させることは消費電力の増加を招くため、制御部22は、ステップS92として、第1復号部42で音声の復号を開始させる。
【0069】
一方、第1復号部42で映像の復号が行われていない場合(ステップS91,No)、音声だけの再生のために第1復号部42を動作させることは消費電力の増加を招くため、制御部22は、ステップS93として、第2復号部44を起動させ、ステップS94として、第2復号部44で音声の復号を開始させる。このように、映像の復号状況に応じて音声の復号に用いる復号部を使い分けることにより、消費電力を削減することができる。
【0070】
音声の復号が行われている場合(ステップS90,Yes)、制御部22は、ステップS95として、音声切替判定処理において音声切替が可能な状態であると判定されたか否かを確認する。ここで、音声切替が可能な状態ではないと判定されていた場合(ステップS95,No)、制御部22は、現在の状態を維持する。
【0071】
一方、音声切替が可能な状態であると判定されていた場合(ステップS95,Yes)、制御部22は、ステップS96として、再生対象のデータが動画データであるか否かを判定する。再生対象のデータが動画データである場合(ステップS96,Yes)、制御部22は、さらに、ステップS97として、第1復号部42で映像の復号が行われているか否かを判定する。
【0072】
第1復号部42で映像の復号が行われている場合(ステップS97,Yes)、制御部22は、ステップS98として、音声の復号が第2復号部44で行われているか否かを判定する。そして、音声の復号が第2復号部44で行われている場合には(ステップS98,Yes)、制御部22は、ステップS99として、後述する音声切替処理を実行して、音声を復号する復号部を第2復号部44から第1復号部42へ切り替える。音声の復号が第1復号部42で行われている場合には(ステップS98,No)、制御部22は、その状態を維持する。
【0073】
図6に示したように、動画データの音声のみを再生している間にステップS152のように表示部32への映像の出力が可能な状態に変化した場合、制御部22は、第2復号部44が音声を復号する状態を維持して、第1復号部42に映像のみの復号を開始させる。このように制御することにより、映像の復号開始にともなって音声の復号が一時的に中断することを回避できるが、この状態を維持すると、2つの復号部が動作を続けるため、消費電力の増加を招く。
【0074】
そこで、制御部22は、ステップS154で利用者が特殊再生の指示を行う等して、音声切替判定処理において音声切替が可能な状態であると判定されると、ステップS99の音声切替処理において、ステップS155として、第2復号部44に音声の復号を停止させ、ステップS156として、第1復号部42に音声の復号を開始させる。
【0075】
このように、音声切替を実行することにより、第2復号部44を停止させることが可能になるので、消費電力を削減することができる。また、第2復号部44が音声の復号を停止してから第1復号部42が音声の復号を開始するまでに僅かな無音期間が生じるが、特殊再生が行われる最中であるため、無音期間が利用者に意識されることを回避できる。
【0076】
音声切替が可能な状態であると判定されていた場合において、再生対象のデータが動画データでなく音声データである場合(ステップS96,No)、または、再生対象のデータが動画データであるが、第1復号部42で映像の復号が行われていない場合(ステップS97,No)、制御部22は、ステップS100として、第1復号部42で音声の復号が行われているか否かを判定する。
【0077】
第1復号部42で音声の復号が行われている場合(ステップS100,Yes)、音声の復号だけのために第1復号部42を動作させることは消費電力の増加を招くため、制御部22は、ステップS101として、後述する音声切替処理を実行して、音声を復号する復号部を第1復号部42から第2復号部44へ切り替える。音声の復号が第2復号部44で行われている場合には(ステップS100,No)、制御部22は、その状態を維持する。
【0078】
図9は、図8に示した音声切替処理の処理手順を示すフロー図である。図9に示すように、制御部22は、ステップS110として、第1復号部42で音声を復号中であるか否かを判定する。
【0079】
第1復号部42で音声を復号中である場合(ステップS110,Yes)、音声を復号する復号部を第1復号部42から第2復号部44へ切り替えるための処理手順として、ステップS111以降が実行される。
【0080】
制御部22は、ステップS111として、再生中のデータの残り再生時間が第2復号部44の起動に要する時間よりも長いかを判定する。そして、再生中のデータの残り再生時間が第2復号部44の起動に要する時間以下の場合(ステップS111,No)、制御部22は、ステップS112として、次に再生すべきデータがあるかを判定する。次に再生すべきデータがある場合(ステップS112,Yes)、制御部22は、さらに、ステップS113として、次に再生すべきデータが音声データであるかを判定する。
【0081】
そして、次に再生すべきデータが音声データである場合(ステップS113,Yes)、制御部22は、第2復号部44が起動済みでなければ(ステップS114,No)、ステップS115として、第2復号部44を起動させ、第2復号部44が起動済みであれば(ステップS114,Yes)、第2復号部44が起動した状態を維持する。
【0082】
続いて、制御部22は、ステップS116として、第1復号部42を停止させ、ステップS117として、第2復号部44で音声の復号を開始させる。一方、再生中のデータの残り再生時間が第2復号部44の起動に要する時間よりも長い場合(ステップS111,Yes)、次に再生すべきデータがない場合(ステップS112,No)、または、次に再生すべきデータが音声データでなく動画データである場合(ステップS113,No)、制御部22は、第1復号部42で音声を復号する状態を維持する。
【0083】
すなわち、制御部22は、音声の復号が第1復号部42で行われている場合には、再生中のデータの残り再生時間が第2復号部44の起動に要する時間以下になるのを待ってから、音声を復号する復号部を切り替える。また、制御部22は、音声の復号が第1復号部42で行われている場合には、次に音声データを再生する場合に限って、音声を復号する復号部を切り替える。このように制御することにより、次に音声データの再生が開始される場面という、音声の復号の一時的な中断が利用者に意識されないで済む可能性が高い場面で、音声切替を実行することができる。
【0084】
第1復号部42ではなく第2復号部44で音声を復号中である場合(ステップS110,No)、音声を復号する復号部を第2復号部44から第1復号部42へ切り替えるための処理手順として、ステップS118以降が実行される。
【0085】
制御部22は、ステップS118として、再生中のデータの残り再生時間が閾値よりも長いかを判定する。残り再生時間が閾値以下の場合(ステップS118,No)、制御部22は、ステップS119として、次に再生すべきデータがあるかを判定する。次に再生すべきデータがある場合(ステップS119,Yes)、制御部22は、さらに、ステップS120として、次に再生すべきデータが動画データであるかを判定する。
【0086】
次に再生すべきデータが動画データある場合(ステップS120,Yes)、または、残り再生時間が閾値以下の場合(ステップS118,Yes)、制御部22は、第1復号部42が起動済みであるかを判定する。制御部22は、第1復号部42が起動済みでなければ(ステップS121,No)、ステップS122として、第1復号部42を起動させ、第1復号部42が起動済みであれば(ステップS121,Yes)、第1復号部42が起動した状態を維持する。
【0087】
続いて、制御部22は、ステップS123として、第2復号部44を停止させ、ステップS124として、第1復号部42で音声の復号を開始させる。一方、次に再生すべきデータがない場合(ステップS119,No)、または、次に再生すべきデータが動画データでなく音声データである場合(ステップS120,No)、制御部22は、第2復号部44で音声を復号する状態を維持する。
【0088】
すなわち、図10の例に示すように、第1復号部42で動画データの映像のみが復号され、第2復号部44で動画データの音声のみが復号されている間にステップS154として利用者から特殊再生の指示があり、音声切替が可能な状態になったとしても、残り再生時間が閾値よりも短く、かつ、次に動画データが再生されない場合には、制御部22は、音声切替の実行を抑止する。
【0089】
このような場合、第1復号部42での映像の再生継続時間は、再生中の動画データの再生が完了するまでであり、閾値よりも短くなる。このような場面で音声切替を実行しても、消費電力の削減効果は少なく、却って、復号部の立ち上げ処理のために消費電力が増大するおそれがある。
【0090】
一方、残り再生時間が閾値よりも長い場合や次に動画データが再生される場合には、第1復号部42での映像の再生継続時間は十分に長くなる。このように再生継続時間が十分に長くなる場面で音声切替を実行することにより、消費電力を効果的に削減することができる。
【0091】
なお、ステップS118で用いる閾値の長さは、目的に応じて適宜決定してよい。また、音声の復号が第1復号部42で行われている場合についても、音声の復号が第2復号部44で行われている場合と同様に、音声のみの再生が継続する時間が閾値よりも短くなる場合には音声切替を抑止し、さもなければ音声切替を即座に実行することとしてもよい。
【0092】
図11は、バッファ容量設定処理の処理手順を示すフロー図である。バッファ容量設定処理は、第1復号部42と第2復号部44の稼働状況が変化するたびに実行される。
【0093】
図11に示すように、第1復号部42のみが復号のために使用されている場合(ステップS130,Yes)、制御部22は、ステップS131として、第1復号部42が使用するバッファ50aの容量を標準に設定する。
【0094】
また、第2復号部44のみが復号のために使用されている場合(ステップS130,No、ステップS132,Yes)、制御部22は、ステップS133として、第2復号部44が使用するバッファ50bの容量を標準に設定する。
【0095】
また、第1復号部42と第2復号部44の両方が復号のために使用されている場合(ステップS132,No)、制御部22は、ステップS134として、第1復号部42につながるデータバスの帯域と第2復号部44につながるデータバスの帯域とを比較する。そして、第1復号部42につながるデータバスの帯域の方が狭い場合(ステップS135,Yes)、制御部22は、ステップS136として、バッファ50aの容量をバッファ50bよりも大きく設定する。
【0096】
一方、第2復号部44につながるデータバスの帯域の方が狭い場合(ステップS135,No)、制御部22は、ステップS137として、バッファ50bの容量をバッファ50aよりも大きく設定する。なお、第1復号部42と第2復号部44の両方が復号のために使用されている場合には、バッファ50aとバッファ50bの容量をそれぞれの標準よりも少なく設定してもよい。
【0097】
このように、データバスの帯域に応じてバッファの容量を設定することにより、フレーム落ちや音飛びの発生を抑止しつつ、バッファの容量を節約することができる。
【0098】
上述してきたように、本実施例では、映像の出力が必要か否かや音声切替が可能な状態であるか否かに応じて復号に用いる復号部を切り替えることとしたので、消費電力の増大を抑制しつつ、復号部の切り替えにともなう音声の一時的な中断が利用者に意識されることを防止できる。
【0099】
なお、上述した電子機器1の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、上記の説明では、電子機器1は、記憶部24に記憶された動画データ24aや、テレビチューナ40が取得した放送データを動画データとして再生することとしたが、電子機器1が、さらに、ネットワークを介して配信されるストリーミングデータや、電子機器1内で動的に生成されるゲームの画面および音声を動画データとして再生することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る電子機器および再生制御方法は、動画データの再生に有用であり、特に、復号部の切り替えにともなう音声の一時的な中断が利用者に意識されることを防止することが必要な場合に適している。
【符号の説明】
【0101】
1 電子機器
1C 筐体
2 ディスプレイ
8 ヒンジ機構
10 チップセット
13 操作部
13A 操作キー
13B 方向および決定キー
13C 視聴ボタン
13D 選局ボタン
15 マイク
16 レシーバ
22 制御部
24 記憶部
24a 動画データ
24b 音声データ
24c 再生制御プログラム
26 通信部
26a、40a アンテナ
30 音声処理部
32 表示部
42 第1復号部
44 第2復号部
46 スピーカ
48 ヘッドフォン端子
50 メモリ
50a、50b バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データと音声データを含む動画データを再生可能な電子機器であって、
前記動画データの再生のために、前記動画データに含まれる映像データと音声データのうち少なくとも映像データを復号する第1復号部と、
前記動画データの再生のために、前記動画データに含まれる音声データのみを復号する第2復号部と、
前記第2復号部に音声データを復号させて前記動画データに基づく音声を再生する状態から、前記動画データに基づく映像と音声の両方を再生する状態への切り替え時に、前記第2復号部による音声データの復号を維持しつつ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させる制御部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させている間に、前記動画データに基づく音声の再生が一時的に不要となる操作が行われた場合に、前記第2復号部による音声データの復号を停止させ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データと音声データの両方を復号させる切替処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記動画データに基づく音声の再生が一時的に不要となる操作は、特殊再生、消音再生、テレビチューナの局変更のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させている間に、所定の割り込みイベントが発生した場合に、前記第2復号部による音声データの復号を停止させ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データと音声データの両方を復号させる切替処理を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、映像の再生を継続する時間が閾値よりも短い場合は、前記切替処理を実行することなく、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させる状態を維持することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1復号部は、前記制御部と同一のチップセットであり、
前記第2復号部は、前記制御部と外部データバスで接続され、
前記制御部は、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させ、前記第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させる場合に、前記第2復号部が復号前の動画データを一時的に記憶させるバッファの割り当て量を、前記第1復号部が復号前の動画データを一時的に記憶させるバッファの割り当て量よりも多く設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
映像データと音声データを含む動画データを再生可能な電子機器による再生制御方法であって、
前記電子機器が、前記動画データに含まれる映像データと音声データのうち少なくとも映像データを復号する第1復号部と、前記動画データに含まれる音声データのみを復号する第2復号部のうち、第2復号部に前記動画データに含まれる音声データを復号させることにより、前記動画データに基づく音声のみを再生するステップと、
前記電子機器が、前記動画データに基づく音声のみを再生する状態から、前記動画データに基づく映像と音声の両方を再生する状態への切り替え時に、前記第2復号部による音声データの復号を維持しつつ、前記第1復号部に前記動画データに含まれる映像データを復号させるステップと、
を含むことを特徴とする再生制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−249992(P2011−249992A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119352(P2010−119352)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】