説明

電子機器および通信状態報知方法

【課題】 通信の状態や切り替わりを適切に報知できる電子機器を実現する。
【解決手段】 電子機器10に設けられた近接無線通信デバイス20から外部デバイスへコンテンツデータを送信する場合、コンテンツ情報取得部112は、コンテンツデータに関するコンテンツ情報を取得する。また、伝送時間算出部115は、コンテンツデータのデータサイズと、データベース201から取得した外部デバイスとの通信における伝送レートとから伝送時間を算出する。音声出力制御部116及び光出力制御部117は、コンテンツ情報及び伝送時間に基づいて、スピーカ17からの音声の出力と、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅を制御する。通信状態報知部118は、音声出力制御部116及び光出力制御部117による制御の下、コンテンツデータの伝送における通信状態の切り替わりをユーザへ報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近接無線通信を実行する電子機器および同機器に適用される通信状態報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード、携帯電話機等においては、NFCのような無線通信が利用され始めている。ユーザは、ICカードまたは携帯電話をホスト装置のリーダ/ライタ部にかざすといった操作を行うだけで、認証処理、課金等のための通信を容易に行うことができる。
【0003】
最近では、より高速の通信が可能な新たな近接無線通信技術が開発され始めている。この新たな近接無線通信技術は、デバイス同士を近づけるだけで、認証、課金サービスのみならず、文書データ、画像データ、オーディオデータといったデータファイルをそれらデバイス間で交換することを可能にする。
【0004】
認証処理サービス等のための無線通信に要する時間は一瞬(例えば高々数秒)であるが、近接無線通信によって大容量のファイルのようなデータを転送する場合においては、無線通信に要する時間は比較的長くなる。ファイルのデータサイズによっては、そのファイルの転送に数十秒から数分程度の通信時間が要されることもある。
【0005】
特許文献1には、通信回線を介して外部の通信処理装置との接続が開始されると、スピーカからチャイム音を出力する通信処理装置が開示されている。ユーザは、チャイム音により通信処理装置間の接続開始を容易に判別でき、情報を効率よく伝送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−17830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近接無線通信では通信中、デバイス同士が近づけられた状態に維持される必要がある。コンテンツデータの伝送等の通信中にユーザが誤ってデバイスを離すと、デバイス間の接続が解除され、伝送は失敗する。また、伝送に要する通信時間は伝送するコンテンツデータのデータサイズや機器間の伝送レート等によって随時変化する。したがって、ユーザによる通信中の誤操作を防ぐためには、ユーザに対して通信の状態や切り替わりを適切に報知する必要がある。
【0008】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、通信の状態や切り替わりを適切に報知できる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明の電子機器は、近接無線通信を実行する通信モジュールと、前記通信モジュールと外部デバイスとの間におけるネゴシエーションによって、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間で伝送される一つ以上のコンテンツに関するコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間で前記一つ以上のコンテンツを伝送する際、前記取得したコンテンツ情報に基づき、前記コンテンツが伝送されている期間中、インジケータの発光部を点滅又は点灯する通信状態報知手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信の状態や切り替わりを適切に報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器のシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の電子機器で用いられる通信制御プログラムの構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の電子機器の外観を示す斜視図。
【図4】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信の例を示す図。
【図5】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される通信シーケンスを示す図。
【図6】同実施形態の電子機器に設けられた通信状態報知部によって報知される通信状況の例を示す図。
【図7】同実施形態の電子機器に設けられた通信状態報知部によって報知される通信状況の例を示す別の図。
【図8】同実施形態の電子機器によって実行される通信処理の手順を説明するフローチャート。
【図9】同実施形態の電子機器によって実行される通信処理の詳細な手順を説明するフローチャート。
【図10】同実施形態の電子機器によって実行される通信処理の別の詳細な手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の構成を示している。この電子機器10は、例えば、携帯機器(例えば、携帯電話機、PDA、オーディオプレーヤ等)、パーソナルコンピュータ、またはコンシューマ機器(例えば、TV、ビデオレコーダ等)として実現される。この電子機器10は、システム制御部11、メモリ12、ストレージデバイス13、入力部14、液晶表示装置(LCD)15、サウンドコントローラ16、スピーカ17、インジケータ18、電源制御部19、および近接無線通信デバイス20を備える。
【0013】
システム制御部11は、電子機器10内の各部の動作を制御する。システム制御部11は、メモリ12、ストレージデバイス13、入力部14、LCD15、サウンドコントローラ16、インジケータ18、電源制御部19、および近接無線通信デバイス20に接続されている。システム制御部11は、CPU101aを備えている。
【0014】
CPU101aは、ストレージデバイス13からメモリ12にロードされる、オペレーティングシステムおよび各種アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムを実行するプロセッサである。アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムの中には、近接無線通信デバイス20の通信動作を制御する通信制御プログラム12a等が含まれている。通信制御プログラム12aは、近接無線通信デバイス20によって実行される近接無線通信の状態(データ伝送の開始、データ伝送の完了、伝送レート、等)を音又は光によってユーザに提示する通信状態報知機能を有している。
【0015】
ストレージデバイス13は、例えば、ハードディスクドライブや不揮発性半導体メモリから構成されている。入力部14は、CPU101aに与えるべきデータ及び指示を入力するための入力デバイスである。この入力部14は、例えば、キーボード、複数のボタンスイッチ、またはポインティングデバイス等によって実現される。
【0016】
LCD15は、電子機器10のディスプレイモニタとして使用される表示装置である。サウンドコントローラ16はCPU101aから送信されるオーディオデータに対応する音を出力するための音源回路である。サウンドコントローラ16はCPU101aから送信されるオーディオデータをデジタルオーディオ信号からアナログオーディオ信号に変換し、そのアナログオーディオ信号をスピーカ17に出力する。スピーカ17はアナログオーディオ信号に対応する音を出力する。
【0017】
インジケータ18は近接無線通信デバイス20によって実行される近接無線通信の状態を提示する。このインジケータ18は、LEDのような発光部を備えている。
【0018】
電源制御部19は、ACアダプタ30を介して外部から供給される電力、または電子機器10内に設けられたバッテリ19bから供給される電力を用いて、電子機器10内の各部に電力を供給する。換言すれば、電子機器10は、AC商用電源のような外部電源、またはバッテリ19bによって駆動される。ACアダプタ30は、電子機器10内に設けることもできる。電源制御部19は、ユーザによる電源スイッチ(P−SW)19aの操作に応じて、電子機器10をパワーオンまたはパワーオフする。
【0019】
近接無線通信デバイス20は、近接無線通信を実行する通信モジュールである。近接無線通信デバイス20は、近接無線通信デバイス20から所定の距離内に存在する、近接無線通信機能を有する別のデバイス(外部デバイス)との無線接続を確立し、そしてファイルのようなデータの伝送を開始する。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の近接無線通信は、ピアツーピア形式で実行される。通信可能距離は例えば3cmである。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続は、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の距離が通信可能距離(例えば3cm)以内に接近した場合にのみ可能となる。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとが通信可能距離以内に接近した時、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。そして、ユーザによって明示的に指定されたデータファイル、または予め決められた同期対象データファイル等のデータの伝送が近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間で実行される。
【0020】
近接無線通信においては、誘導電界が用いられる。近接無線通信方式としては、例えばTransfer JETを使用し得る。Transfer JETは、UWBを利用した近接無線通信方式であり、高速データ転送を実現することができる。
【0021】
近接無線通信デバイス20はPHY/MAC部20aとアンテナ20bとを備える。PHY/MAC部20aは、CPU101aにより実行された通信制御プログラム12aの制御を受けて、動作する。PHY/MAC部20aは、アンテナ20bを介して、外部デバイスとの通信を行う。アンテナ20bはカプラと称される電極であり、誘導電界を用いた無線信号により、外部デバイスに対するデータの送受信を行う。外部デバイスがアンテナ20bから通信可能距離(例えば3cm)以内の範囲内に接近した場合、近接無線通信デバイス20および外部デバイスそれぞれのアンテナ(カプラ)間が誘導電界によって結合され、これによって近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線通信が実行可能となる。なお、近接無線通信デバイス20およびアンテナ20bは、一つのモジュールとして実現し得る。
【0022】
次に、図2を参照して、通信制御プログラム12aの構成について説明する。
【0023】
通信制御プログラム12aは、制御部111、コンテンツ情報取得部112、ID検出部113、伝送レート保存部114、伝送時間算出部115、音声出力制御部116、光出力制御部117、及び通信状態報知部118を備えている。
【0024】
制御部111は近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の通信シーケンスを制御する。近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線通信(近接無線通信)は、(1)接続フェーズ、(2)ネゴシエーションフェーズ、(3)データ伝送フェーズという手順で実行される。
【0025】
接続フェーズでは、接続要求信号およびこの接続要求信号に対する応答信号が近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間で送受信される。すなわち、近接無線通信では、2つのデバイスの一方は接続要求信号を送信する。他方のデバイスは接続要求信号を検出する処理を所定時間間隔毎に実行する。他方のデバイスが一方のデバイスからの接続要求信号を検出することにより、2つのデバイス間の無線接続を確立することができる。
【0026】
ネゴシエーションフェーズでは、例えば伝送対象のコンテンツデータ(文書データファイル、画像データファイル、オーディオデータファイル等)に関する情報(伝送対象のファイルのデータサイズ、伝送対象のデータファイルの個数、伝送対象のファイルの種類)がデバイス間で交換される。
【0027】
データ伝送フェーズでは、伝送対象のデータ(コンテンツデータ)が送信元デバイスから転送先デバイスに伝送される。
【0028】
コンテンツ情報取得部112は、伝送対象のデータであるコンテンツデータ(ファイル)の情報をコンテンツ情報として取得する。コンテンツ情報は、伝送対象のファイルのデータサイズ、伝送対象のファイルの個数、及び伝送対象のファイルの種類等を示す情報である。コンテンツ情報取得部112は、ネゴシエーションフェーズ中に外部デバイスとコンテンツ情報を交換する。コンテンツ情報取得部112により取得されたコンテンツ情報は、伝送時間算出部115、音声出力制御部116、及び光出力制御部117の各々へ送出される。
【0029】
ID検出部113は、通信対象の外部デバイスの識別子(ID)を検出する。識別子(ID)は、外部デバイスを識別するためのデバイス識別情報である。近接無線通信機能を有するデバイスそれぞれにはユニークなデバイスIDが割り当てられている。外部デバイスからの接続要求信号または外部デバイスからの応答信号は当該外部デバイスのデバイスIDを含み得る。この場合、ID検出部113は、接続フェーズの期間中に受信される接続要求信号または応答信号から、通信対象の外部デバイスのデバイスIDを取得することにより、通信対象の外部デバイスのデバイスIDを検出することができる。ID検出部113によって検出されたデバイスIDは、伝送レート保存部114、及び伝送レート算出部115の各々に送出される。
【0030】
伝送レート保存部114は、通信対象の外部デバイスと近接無線通信デバイス20との間の近接無線通信によって伝送されるデータの伝送レートを、通信対象の外部デバイスの識別子(デバイスID)と関連付けてストレージデバイス13内のデータベース201に保存する。
【0031】
具体的には、伝送レート保存部114は、データ伝送フェーズの期間中におけるデータの伝送レートをID検出部113によって検出されるデバイスIDと関連づけてデータベース201に保存する。伝送レートは、例えば、データ伝送フェーズの期間中、近接無線通信デバイス20のPHY/MAC部20aと協働して、単位時間毎にデータの伝送量(送信データ量または受信データ量)を測定することで取得される。
【0032】
通信対象の外部デバイスのデバイスIDに関連付けられた伝送レートが、データベース201に既に保存されている場合には、伝送レート保存部114は、データベース201に保存された伝送レートを新たに測定した伝送レートに更新する処理、又は、データベース201に保存された伝送レートと新たに測定した伝送レートとを平均した値に更新する処理等を実行する。このような更新処理により、データベース201に保存される伝送レートを実際の伝送レートに近づけることができる。
【0033】
伝送時間算出部115は、伝送対象のコンテンツデータを通信対象の外部デバイスへ送信するためにかかる伝送時間を推定する。具体的には、伝送時間算出部115は、近接無線通信が新たに実行される場合、近接無線通信の新たな通信相手となる外部デバイスのデバイスIDに関連付けられた伝送レートをデータベース201から取得する。通信相手となる外部デバイスのデバイスIDに関連付けられた伝送レートがデータベース201に格納されていない場合は、予め設定された基準レートを伝送レートとして使用する。そして、伝送時間算出部115は、コンテンツ情報取得部112から入力された伝送対象のコンテンツデータのデータサイズを取得した伝送レートで除した値を、伝送時間として算出する。算出した伝送時間は、音声出力制御部116及び光出力制御部117へ送出される。
【0034】
音声出力制御部116は、通信状態報知部118によりスピーカ17から出力される音声をコンテンツ情報及び伝送時間に基づいて制御する。スピーカ17から出力される音声は、伝送の開始や完了等の通信状態の切り替わりを示す。音声出力制御部116は、通信状態が切り替わると、伝送の開始を示す開始音(伝送開始メロディ)や伝送の完了を示す終了音(伝送終了メロディ)を出力するタイミングや期間等を制御する信号を通信状態報知部118へ送出する。
【0035】
光出力制御部117は、通信状態報知部118によりインジケータ18から出力される光、つまり、インジケータ18のLEDの点灯又は点滅を、コンテンツ情報及び伝送時間に基づいて制御する。インジケータ18のLEDは、点灯、点滅、及び消灯されるそれぞれの期間によって、一つの通信状態を表す。光出力制御部117は、伝送の開始や完了、データが伝送中であること等の通信状態によって、LEDの点灯(点滅)を行うタイミングや期間等を制御する信号を通信状態報知部118へ送出する。
【0036】
通信状態報知部118は、近接無線通信デバイス20によって実行中の近接無線通信による通信状態をユーザに通知するための処理を実行する。通信状態報知部118は、音声出力制御部116から入力される制御信号に従って、コンテンツデータの伝送の開始及び完了をそれぞれ示す開始音と終了音とをスピーカ17から出力する。また、通信状態報知部118は、光出力制御部117から入力される制御信号に従って、コンテンツデータの伝送の開始や完了、伝送中を示すインジケータ18のLEDの点灯又は点滅を行う。
【0037】
なお、図2では、通信状態報知部118、音声出力制御部116、及び光出力制御部117は異なるモジュールとして示されているが、通信状態報知部118、音声出力制御部116、及び光出力制御部117を一つのモジュールとして実現してもよい。
【0038】
次に、図3を参照して、電子機器10がポータブルパーソナルコンピュータとして実現されている場合を想定して、電子機器10の外観の例を説明する。
【0039】
図3は、電子機器10の外観を示す斜視図である。
【0040】
電子機器10は、本体41と、ディスプレイユニット42とを備えている。ディスプレイユニット42は、本体41に対し、本体41の上面が露出される開放位置と本体41の上面がディスプレイユニット42によって覆われる閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。ディスプレイユニット42内には、上述のLCD15が設けられている。
【0041】
本体41は薄い箱状の筐体を有している。本体41の筐体の上面には、キーボード14a、タッチパッド14b、スピーカ17a,17b、インジケータ18、電源スイッチ19a等が配置されている。
【0042】
本体41の上面、具体的には、本体41の上面上のパームレスト領域の一部は、通信面として機能する。すなわち、近接無線通信デバイス20およびアンテナ(カプラ)20bは、本体41の上面に対向して本体41内に設けられている。アンテナ(カプラ)20bは、本体41の上面(具体的には、本体41の上面上のパームレスト領域の一部)を介して、無線信号(誘導電界)を外部に出力するように配置されている。アンテナ(カプラ)20bに対向する本体41の上面上の小領域、つまり本体41の上面上においてアンテナ(カプラ)20bの上方に位置する小領域は、通信位置として使用される。近接無線通信デバイス20は、本体41の上面上の通信位置から所定の無線通信可能距離(例えば3cm)内に存在する外部デバイスとの近接無線通信を本体41の上面を介して実行する。
【0043】
ユーザは、例えば、近接無線通信機能を有する外部デバイスを本体41の上面上の通信位置上にかざすという操作(タッチ操作とも云う)を行うことにより、外部デバイスと電子機器10との間のデータ転送を開始させることができる。
【0044】
図4は、携帯電話50と電子機器10との間で実行される近接無線通信の様子が示されている。携帯電話50の筐体内には、その筐体の背面に対向して近接無線通信用のアンテナ(カプラ)50bが設けられている。この場合、携帯電話50の筐体の背面を電子機器10の本体41の上面上の通信位置上にかざすことにより、携帯電話50と電子機器10との間のデータ転送を開始させることができる。
【0045】
次に、図5を参照して、電子機器10と外部デバイスとの間で実行される通信シーケンスを説明する。
【0046】
ここでは、デバイス1とデバイス2との間で近接無線通信を実行する場合を想定する。デバイス1,2の内、通信を開始したい側のデバイス、例えばデバイス1は、接続要求信号(Connect)を送信する。この接続要求信号には、デバイス1のデバイスID(例えば、デバイス1内に設けられた近接無線通信デバイスのデバイスID)を含めることができる。デバイス2は接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する。デバイス1とデバイス2とが近接している場合、デバイス2は、デバイス1から送信される接続要求信号を検出することができる。接続要求信号を検出した時、デバイス2は、接続要求信号に対する応答信号(Ack)をデバイス1に送信する。応答信号(Ack)には、デバイス2のデバイスID(例えば、デバイス2内に設けられた近接無線通信デバイスのデバイスID)を含めることができる。デバイス1はデバイス2から送信される応答信号(Ack)を検出することができる。このように、デバイス1とデバイス2との間で接続要求信号/応答信号を送受信することにより、デバイス1とデバイス2との間の無線接続が確立される。
【0047】
次いで、デバイス1とデバイス2との間でネゴシエーション処理が実行される。このネゴシエーション処理では、伝送対象のコンテンツに関する情報がデバイス1とデバイス2との間で交換される。この後、デバイス1とデバイス2との間でデータの伝送が開始される。
【0048】
電子機器10は、上述のデバイス1またはデバイス2のどちらとしても機能し得る。
【0049】
次に、図6を参照して、電子機器10に設けられた通信状態報知部118によって報知される通信状況の例を説明する。
【0050】
ここでは、電子機器10と外部デバイスとの間で伝送されるコンテンツデータが、ごく短時間、例えば、所定の時間未満で伝送可能である場合を想定する。
【0051】
ユーザのタッチ操作により、電子機器10と外部デバイスとが近づけられると、電子機器10と外部デバイスとの接続が確立され、コンテンツデータの伝送が可能となる。そして、コンテンツデータの伝送開始と同時に、通信状態報知部118はインジケータ18のLEDを点灯させ、ユーザへ伝送の開始を報知する。通信状態報知部118は、コンテンツデータが伝送されている期間中、インジケータ18のLEDを点滅させる。コンテンツデータの伝送が終了すると、通信状態報知部118は、インジケータ18のLEDを所定の期間だけ点灯した後、消灯し、また、伝送完了を示す終了音を再生してスピーカ17から出力する。これによりユーザに対して、コンテンツデータの伝送の完了を報知することができる。終了音には開始音とは異なるメロディを用い、ユーザは音のみでも伝送の開始と終了とを判別することができる。ユーザが伝送の完了を確認して電子機器10と外部デバイスとを所定距離(3cm)以上離すと、機器間の接続が解除される。
【0052】
コンテンツデータの伝送に要する時間がごく短時間である場合(例えば、一瞬で伝送が完了する場合)には、伝送の開始を示す開始音と伝送の完了を示す終了音の両方を出力すると、開始音と終了音とが重複したり、終了音が実際の伝送完了よりも遅れて再生されてしまうことがある。これは、ユーザの混乱を招いたり、開始音と終了音の重複による不協和音をユーザが不快に感じるといった問題を生じる。このため、コンテンツデータの伝送に要する時間が所定の時間未満である場合には、上述のように、開始音の出力を抑制し、終了音を出力する通信状態報知処理を実行することで、ユーザに対してコンテンツデータの伝送状態を混乱なく報知することができる。なお、開始音の出力を抑制する場合、電子機器10は開始音を出力しない、又は通常よりも短い期間だけ開始音を出力する。
【0053】
図7は、電子機器10に設けられた通信状態報知部118によって報知される通信状況の別の例を示す。
【0054】
ここでは、電子機器10と外部デバイスとの間で伝送されるコンテンツデータが大きい場合、例えば伝送に要する時間が所定の時間以上である場合を想定する。
【0055】
ユーザのタッチ操作により、電子機器10と外部デバイスとが近づけられると、コンテンツデータの伝送が可能となる。そして、コンテンツデータの伝送開始と同時に、通信状態報知部118はインジケータ18のLEDを点滅させ、且つスピーカ17から開始音を出力し、ユーザへ伝送の開始を報知する。コンテンツデータの伝送が終了すると、通信状態報知部118は、インジケータ18のLEDを一定時間だけ点灯させた後、消灯し、また、伝送完了を示す終了音をスピーカ17から出力する。終了音には開始音とは異なるメロディを用い、ユーザは音のみでも伝送の開始と終了とを判別することができる。ユーザが伝送の完了を確認して電子機器10と外部デバイスとを所定距離(3cm)以上離すと、機器間の接続が解除される。
【0056】
以上により通信状態報知部118は、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅とスピーカ17から出力されるメロディとから、コンテンツデータの伝送が開始されたこと、コンテンツデータが伝送中であること、そして、コンテンツデータの伝送が終了したことをユーザへ報知することができる。
【0057】
上述のようにコンテンツデータの伝送に多少時間を要する場合(例えば、数十秒程度要する場合)には、伝送の完了を示す終了音だけの出力では、接続が確立されたかどうか、また、伝送が開始されたかどうかをユーザが認識できず、伝送中にユーザがデバイスを離してしまうといった誤操作を招く可能性がある。したがって、コンテンツデータの伝送に多少時間を要する場合には、コンテンツの伝送の開始を示す開始音とコンテンツの伝送の完了を示す終了音とを出力する第1の通信状態報知処理を実行し、且つ、開始音及び終了音にそれぞれ別々のメロディを用いて、ユーザが伝送の開始と完了とを判別できるようにする。開始音及び終了音に用いるメロディは、例えば、開始音に短いメロディを用い、終了音に長いメロディを用いる。一方、コンテンツデータの伝送が短時間で完了する場合には、開始音と終了音との重複といった不具合の発生を防止するために、開始音の出力を抑制し、終了音のみを出力する第2の通信状態報知処理を実行する。
【0058】
つまり、電子機器10は、取得したコンテンツ情報に基づいて、コンテンツの伝送に要する伝送時間がしきい値を超えるか否かを判定し、伝送時間がしきい値を超える場合、第1の通信状態報知処理を実行し、伝送時間がしきい値を超えない場合、第2の通信状態報知処理を実行する。
【0059】
次に、図8のフローチャートを参照して、電子機器10によって実行される通信処理の手順の例を説明する。
【0060】
近接無線通信方式の接続モードには、InitiatorモードとResponderモードがある。Initiatorモードに設定されたデバイス、つまりInitiatorは、マスタデバイスとして機能して、別のデバイスに対して接続要求を送信する。Responderモードに設定されたデバイス、つまりResponderは、スレーブデバイスとして機能して、Initiatorから送信される接続要求を検出する。InitiatorとResponderとが近接されることによって、それらInitiatorとResponderとの間の接続が確立される。通信制御プログラム102aは、近接無線通信デバイス20を制御し、近接無線通信デバイス20の接続モードを、InitiatorモードまたはResponderモードに設定する。
【0061】
近接無線通信デバイス20がInitiatorモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、接続要求信号を外部デバイスに送信する(ステップS101)。接続要求信号には、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの応答信号を待つ。外部デバイスからの応答信号を受信すると(ステップS102)、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。
【0062】
一方、近接無線通信デバイス20がResponderモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する(ステップS101)。接続要求信号には、外部デバイスのデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を受信すると、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが付加された応答信号を外部デバイスに送信する(ステップS102)。
【0063】
通信制御プログラム102aは、通信相手となる外部デバイスとのネゴシエーション処理を実行し、伝送すべきコンテンツデータを決定する。また、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータに関する情報であるコンテンツ情報を取得する(ステップS103)。電子機器10から外部デバイスへコンテンツデータを送信する場合、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータに基づいてコンテンツ情報を生成する。電子機器10が外部デバイスからコンテンツデータを受信する場合、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理において外部デバイスから送信されるデータに含まれるコンテンツ情報を取得する。コンテンツ情報は、伝送対象のコンテンツデータの各種の属性を表す情報である。具体的には、コンテンツ情報は例えば、伝送対象のファイルのデータサイズ、伝送対象のデータファイルの個数、及び伝送対象のファイルの種類等を示す情報である。
【0064】
通信制御プログラム102aは、コンテンツ情報に基づき、コンテンツデータの伝送の開始を示す開始音(伝送開始メロディ)を出力するかどうかを判定する(ステップS104)。通信制御プログラム102aは、コンテンツ情報からデータの伝送がごく短時間で終了すると推定される場合には開始音を出力せず、そうでない場合には開始音を出力する。したがって例えば、通信制御プログラム102aは、伝送時間が所定時間よりも短い場合、伝送対象のファイルの個数が所定個よりも少ない場合、伝送対象のファイルのデータサイズが所定のサイズよりも小さい場合、又は伝送対象のファイルの種類が所定の形式でない場合等に、開始音を出力しない。
【0065】
コンテンツデータの伝送の開始を示す開始音を出力する場合(ステップS104のYES)、通信制御プログラム102aは開始音をスピーカ17から出力する(ステップ105)。
【0066】
ステップS105により開始音を出力した後、又はコンテンツデータの伝送の開始を示す開始音を出力しない場合(ステップS104のNO)、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータの伝送処理を実行する(ステップS106)。コンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは終了音をスピーカ17から出力する(ステップS107)。
【0067】
以上の処理により、コンテンツデータの伝送に要する伝送時間がごく短い場合には開始音を出力せず、コンテンツデータの伝送に要する伝送時間が長い場合には開始音を出力する通信状態報知処理を実行することで、コンテンツデータの伝送状況をユーザへ適切に通知することができる。なお、コンテンツデータの伝送に要する伝送時間がごく短い場合には、通常の開始音を途中まで再生する、又は通常の開始音よりも再生期間の短い開始音を再生する等により開始音を出力してもよい。
【0068】
また、上述のフローチャートではスピーカ17から出力される音声による報知にのみ言及したが、インジケータ18のLEDの点灯及び点滅による報知についても同様に、コンテンツ情報及び伝送時間に基づいて制御することができる。
【0069】
次に、図9を参照して、電子機器10によって実行される通信処理の詳細な手順を説明する。
【0070】
近接無線通信方式の接続モードには、上述したようにInitiatorモードとResponderモードがある。近接無線通信デバイス20がInitiatorモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、接続要求信号を外部デバイスに送信する(ステップS201)。接続要求信号には、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの応答信号を待つ。外部デバイスからの応答信号を受信すると(ステップS202)、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。
【0071】
一方、近接無線通信デバイス20がResponderモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する(ステップS201)。接続要求信号には、外部デバイスのデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を受信すると、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが付加された応答信号を外部デバイスに送信する(ステップS202)。
【0072】
通信制御プログラム102aは、受信された接続要求信号または応答信号から外部デバイスのデバイスIDを取得することにより、通信相手となる外部デバイスのデバイスIDを検出する(ステップS203)。通信制御プログラム102aは、通信相手となる外部デバイスのデバイスIDをキーとして使用することによってデータベース201を検索して、通信相手となる外部デバイスに対応する伝送レートがデータベース201に格納されているか否かを判定する(ステップS204)。
【0073】
外部デバイスに対応する伝送レートがデータベース201に格納されている場合(ステップS204のYES)、通信制御プログラム102aは、データベース201から外部デバイスに対応する伝送レートを取得する(ステップS205)。外部デバイスに対応する伝送レートがデータベース201に格納されていない場合(ステップS204のNO)、通信制御プログラム102aは、例えば、予め決められた基準レートを、通信相手となる外部デバイスに対応する伝送レートとして使用する(ステップS206)。
【0074】
次いで、通信制御プログラム102aは、データ伝送の開始に先立って、通信相手となる外部デバイスとのネゴシエーション処理を実行し、伝送すべきコンテンツデータを決定する。また、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータに関する情報であるコンテンツ情報を取得する(ステップS207)。電子機器10から外部デバイスへコンテンツデータを送信する場合、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータに基づいてコンテンツ情報を生成する。電子機器10が外部デバイスからコンテンツデータを受信する場合、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理において外部デバイスから送信されるデータに含まれるコンテンツ情報を取得する。コンテンツ情報は、伝送対象のコンテンツデータの各種の属性を表す情報である。具体的には、コンテンツ情報は例えば、伝送対象のファイルのデータサイズ、伝送対象のデータファイルの個数、及び伝送対象のファイルの種類等を示す情報である。
【0075】
通信制御プログラム102aは、外部デバイスに対応する伝送レートと伝送対象のコンテンツデータのデータサイズとから、伝送時間を推定する(ステップS208)。具体的には、通信制御プログラム102aは、コンテンツデータのデータサイズを伝送レートで除した値を推定伝送時間として算出する。
【0076】
そして、通信制御プログラム102aは、推定伝送時間又はコンテンツ情報に基づいて、コンテンツデータの伝送の開始を示す開始音を出力するか否かを以下のように判定する。通信制御プログラム102aは、まず、推定伝送時間がしきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS209)。推定伝送時間がしきい値TH以上でない場合(ステップS209のNO)、通信制御プログラム102aは、コンテンツデータのデータサイズがしきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS210)。コンテンツデータのデータサイズがしきい値TH以上でない場合(ステップS210のNO)、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツ(ファイル)の個数がしきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS211)。伝送対象のコンテンツの個数がしきい値TH以上でない場合(ステップS211のNO)、通信制御プログラム102aは、伝送の開始を示す開始音を出力しない。
【0077】
一方、推定伝送時間がしきい値TH以上である場合(ステップS209のYES)、コンテンツデータのデータサイズがしきい値TH以上である場合(ステップS210のYES)、又は、伝送対象のコンテンツの個数がしきい値TH以上である場合(ステップS211のYES)、通信制御プログラム102aは、伝送の開始を示す開始音をスピーカ17から出力する(ステップS212)。
【0078】
そして、通信制御プログラム102aは伝送対象のコンテンツデータを伝送する処理を実行する(ステップS213)。伝送対象のコンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは、伝送の完了を示す終了音をスピーカ17から出力する(ステップS214)。
【0079】
以上の処理により、コンテンツデータの伝送に要する伝送時間、コンテンツデータのサイズ、及びコンテンツの個数に基づいて、コンテンツデータの伝送状況の切り替わりを適切に報知することができる。なお、上述のフローチャートでは、算出した伝送時間に基づいて通信状態の報知を制御したが、データベース201から取得した伝送レートに基づいて通信状態の報知を制御してもよい。また、各しきい値は開始音の再生期間の長さ等に基づいて適宜設定可能である。
【0080】
図10は、電子機器10によって実行される通信処理の別の詳細な手順を示すフローチャートである。
【0081】
近接無線通信方式の接続モードには、上述したようにInitiatorモードとResponderモードがある。近接無線通信デバイス20がInitiatorモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、接続要求信号を外部デバイスに送信する(ステップS301)。接続要求信号には、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの応答信号を待つ。外部デバイスからの応答信号を受信すると(ステップS302)、近接無線通信デバイス20と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。
【0082】
一方、近接無線通信デバイス20がResponderモードに設定された場合、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を検出する処理を定期的に実行する(ステップS301)。接続要求信号には、外部デバイスのデバイスIDが含まれている。そして、近接無線通信デバイス20は、外部デバイスからの接続要求信号を受信すると、近接無線通信デバイス20のデバイスIDが付加された応答信号を外部デバイスに送信する(ステップS302)。
【0083】
通信制御プログラム102aは、受信された接続要求信号または応答信号から外部デバイスのデバイスIDを取得することにより、通信相手となる外部デバイスのデバイスIDを検出する(ステップS303)。
【0084】
次いで、通信制御プログラム102aは、通信相手となる外部デバイスとのネゴシエーション処理を実行し、伝送すべきコンテンツデータを決定する。また、このネゴシエーション処理によって、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータに関する情報であるコンテンツ情報を取得する(ステップS304)。電子機器10から外部デバイスへコンテンツデータを送信する場合、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツデータに基づいてコンテンツ情報を生成する。電子機器10が外部デバイスからコンテンツデータを受信する場合、通信制御プログラム102aは、ネゴシエーション処理において外部デバイスから送信されるデータに含まれるコンテンツ情報を取得する。コンテンツ情報は、伝送対象のコンテンツデータの各種の属性を表す情報である。具体的には、コンテンツ情報は例えば、伝送対象のファイルのデータサイズ、伝送対象のデータファイルの個数、及び伝送対象のファイルの種類等を示す情報である。
【0085】
そして、通信制御プログラム102aは、コンテンツ情報に基づいて、コンテンツデータの伝送の開始を示す開始音を出力するか否かを以下のように判定する。通信制御プログラム102aは、まず、コンテンツデータのデータサイズがしきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS305)。コンテンツデータのデータサイズがしきい値TH以上でない場合(ステップS305のNO)、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツ(ファイル)の個数がしきい値TH以上であるか否かを判定する(ステップS306)。伝送対象のコンテンツの個数がしきい値TH以上でない場合(ステップS306のNO)、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツが指定された種類のコンテンツであるか否かを判定する(ステップS307)。ここで、指定された種類のコンテンツとはデータサイズが大きいと推定される、例えば動画ファイル等である。つまりステップS307では、通信制御プログラム102aは、伝送対象のコンテンツの種類が、動画ファイル等であるか否かを判定する。伝送対象のコンテンツの種類は、コンテンツ情報から得られるコンテンツの種類情報、又はコンテンツのファイル名の拡張子等から判断されるコンテンツの種類情報等から判別することができる。
【0086】
伝送対象のコンテンツが指定された種類のコンテンツでない場合(ステップS307のNO)、通信制御プログラム102aは、伝送の開始を示す開始音を出力しない。
【0087】
一方、コンテンツデータのデータサイズがしきい値TH以上である場合(ステップS305のYES)、伝送対象のコンテンツの個数がしきい値TH以上である場合(ステップS306のYES)、又は、伝送対象のコンテンツが指定された種類のコンテンツである場合(ステップS307のYES)、通信制御プログラム102aは、伝送の開始を示す開始音をスピーカ17から出力する(ステップS308)。
【0088】
そして、通信制御プログラム102aは伝送対象のコンテンツデータを伝送する処理を実行する(ステップS309)。伝送対象のコンテンツデータの伝送が完了すると、通信制御プログラム102aは、伝送の完了を示す終了音をスピーカ17から出力する(ステップS310)。
【0089】
以上の処理により、コンテンツデータのサイズ、コンテンツの個数、及びコンテンツの種類に基づいて、コンテンツデータの伝送状況の切り替わりを適切に報知することができる。なお、各しきい値は開始音の再生期間の長さ等に基づいて適宜設定可能である。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によれば、近接無線通信における通信の状態や切り替わりを適切に報知できる。本実施形態では、伝送対象のコンテンツデータに関するコンテンツ情報であるコンテンツのデータサイズ、コンテンツの個数、及びコンテンツの種類、並びに推定伝送時間に基づいて、伝送の開始を示す開始音と伝送の完了を示す終了音との出力を制御することで、ユーザへ通信状態を適切に報知できる。インジケータ18のLEDの点灯及び点滅についても同様に、コンテンツ情報と伝送時間とに基づいて制御され、ユーザに対する通信状態の報知を適切に行うことができる。したがってユーザは、音声の出力及びLEDの発光に基づいて、通信状態を容易に判別でき、電子機器10に対して適切な操作を行うことができる。
【0091】
なお、本実施形態では、電子機器10がステーションとして機能するパーソナルコンピュータから実現されている場合を例示して説明したが、電子機器10は、携帯電話、PDAといった携帯型装置としても実現し得る。
【0092】
また、本実施形態においてソフトウェアモジュールとして記載した図2の各部はハードウェアモジュールとして実現することも可能である。
【0093】
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10…電子機器、11…システム制御部、101a…CPU、17…スピーカ、18…インジケータ、20…近接無線通信デバイス、12a…通信制御プログラム、111…制御部、112…コンテンツ情報取得部、113…ID検出部、114…伝送レート保存部、115…伝送時間算出部、116…音声出力制御部、117…光出力制御部、118…通信状態報知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接無線通信を実行する通信モジュールと、
前記通信モジュールと外部デバイスとの間におけるネゴシエーションによって、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間で伝送される一つ以上のコンテンツに関するコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得手段と、
前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間で前記一つ以上のコンテンツを伝送する際、前記取得したコンテンツ情報に基づき、前記コンテンツが伝送されている期間中、インジケータの発光部を点滅又は点灯する通信状態報知手段とを具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記通信状態報知手段は、前記取得したコンテンツ情報に基づき、さらに、前記コンテンツの伝送の開始を示す開始音と前記コンテンツの伝送の完了を示す終了音とを出力する第1の通信状態報知処理、および前記開始音の出力を抑制し前記終了音を出力する第2の通信状態報知処理の一方を実行することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記通信状態報知手段は、前記コンテンツの伝送が完了したとき、所定期間だけ前記インジケータの発光部を点灯した後、前記インジケータの発光部を消灯することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
電子機器に設けられた通信モジュールと外部デバイスとの間で実行される近接無線通信の通信状態を報知するための通信状態報知方法であって、
前記通信モジュールと外部デバイスとの間におけるネゴシエーションによって、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間で伝送される一つ以上のコンテンツに関するコンテンツ情報を取得するコンテンツ情報取得ステップと、
前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間で前記一つ以上のコンテンツを伝送する際、前記取得したコンテンツ情報に基づき、前記コンテンツが伝送されている期間中、インジケータの発光部を点滅又は点灯する通信状態報知ステップとを具備することを特徴とする通信状態報知方法。
【請求項5】
前記通信状態報知ステップは、前記取得したコンテンツ情報に基づき、さらに、前記コンテンツの伝送の開始を示す開始音と前記コンテンツの伝送の完了を示す終了音とを出力する第1の通信状態報知処理、および前記開始音の出力を抑制し前記終了音を出力する第2の通信状態報知処理の一方を実行することを特徴とする請求項4記載の通信状態報知方法。
【請求項6】
前記通信状態報知ステップは、前記コンテンツの伝送が完了したとき、所定期間だけ前記インジケータの発光部を点灯した後、前記インジケータの発光部を消灯することを特徴とする請求項4記載の通信状態報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−279043(P2010−279043A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146701(P2010−146701)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【分割の表示】特願2009−8085(P2009−8085)の分割
【原出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】