説明

電子機器のテスト方法及びデバイス

本発明は電子機器を検査し、システムの少なくとも1つの変数を決定する方法及び装置に関し、その方法は、以下のステップを有する:
a)変数の期待最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
b)システムの変数を登録し、その登録された変数に応じて、電子機器によって電気信号を生成するステップ;
c)生成された電気信号のパラメータ(X,Y)の少なくとも1つの値(x,y)を検出するステップ;
d)システムの変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて、パラメータ(X,Y)の期待される最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
e)パラメータ(X,Y)の検出値がパラメータに対して定義された最小値よりも大きく及び/又は最大値よりも小さいことを検査するステップ;及び、
f)ステップe)の結果に基づいて、電子機器の故障が存在するかどうかを決定するするステップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び16に従った、少なくとも1つの変数を決定するのに用いられる電子機器のテスト方法に関連し、同様に、請求項18及び20に従った、少なくとも1つの変数を決定する電子機器のテスト用デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
例えばセンサーの形態の電子機器の故障を検出又はシミュレートする方法とデバイスは、先行技術により知られている。詳しくは、外部の電気的干渉源により誘発される干渉をできる限り低減するデバイス、即ち、電子機器の電磁環境両立性(EMC)をできる限り良くするデバイスが知られている。
【0003】
しかし、特に、電子機器が移動可能な場合は、外部の電気的干渉源による干渉を完全に回避することは殆ど不可能である。例えば、電子機器は自動車のセンサーの形で構成され、従って、走行中は様々な外部電磁場の影響を被ることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の根底をなす課題は、電子機器の操作を出来る限りロバストにすることを可能とする方法とデバイスを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は請求項1及び16に従った特徴を備えた方法によってそれぞれ解決され、同様に、請求項18及び20に従った特徴を備えたデバイスによってそれぞれ解決される。本発明の実施形態群は従属請求項において説明される。
【0006】
それによれば、電子機器をテストし、(例えば物理的、特に機械的な)システムの少なくとも1つの変数を登録する方法が提供され、その方法は以下のステップを有する。
a)その変数の期待される最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
b)システムの変数を登録し、電子機器によって電気信号を生成するステップ;
c)その生成された電気信号の少なくとも1つのパラメータ(測定された変数)の少なくとも1つの値を検出するステップ;
d)その変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて、パラメータの期待最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
e)検出されたパラメータの値が、そのパラメータに対して定義された最小値よりも大きいか、及び/又は、最大値よりも小さいかを検査するステップ;及び、
f)ステップe)の結果に基づいて、電子機器の故障が存在するかどうかを決定するステップ。
【0007】
従って、電子機器に登録される、そのシステムに特徴的な変数に基づいて、そのシステムの変数を登録するときに、妥当性の範囲が、電子機器によって生成される電気信号のパラメータに対して定められる。この妥当性の範囲を定めるため、はじめに、妥当性の範囲は登録される変数に対して定められ、その妥当性の範囲は、詳しくは、電子機器の目的の適用例から得られる。システムの(特に物理的な)変数の例と、それらの妥当性の範囲の定義は、以下でさらに議論されるだろう。当然に、ステップa)乃至f)は、必ずしもこの順で実行される必要はないことに留意する。例えば、期待最小値及び/又は最大値の定義は、また、システムの変数を登録し電子機器で電気信号を生成した後に、実施することができる。
【0008】
本システムは、詳しくは物理的システムの形態で形成され、即ち、物理的な(特に機械的な)相互作用関係にあるコンポーネントを有するシステムの形態で形成される。しかし、本発明は、物理的システムに限定されず、例えば化学的システムにも用いることができる。“電気信号”は特に、その機器からタップされる電圧の形態で、又は、その機器によって生成される電流の形態で存在してもよい。
【0009】
例えば、パラメータの基準値(例えば平均値)に基づいて、及び、登録された変数に応じて、その基準値から逸脱するパラメータの期待最大偏差が検出され、パラメータの最小値及び/又は最大値が決定される。
【0010】
本発明に従った方法を用いて、電気信号のパラメータの値やそのパラメータの経時的推移がそれぞれ適用例特有に分類され、詳しくは、電子機器によって生成される電気信号の干渉、例えば電気的干渉場をもたらす外部の干渉源によって生成される電気信号の干渉が存在するかどうかが決定され、又は、電子機器の不具合により誘発された故障が存在するかどうかが決定される。詳しくは、本発明に従った方法によって、変数の値が基準値から大きく逸脱しているが、電子機器の特定の適用例に関してはまだ妥当であることに基づいて、電子機器の不具合が存在するとの誤った結論を避けることができる。
【0011】
検査される電子ユニットがより大きな電子回路の一部分(例えばマイクロチップ)であってもよく、そして、電子機器に影響する“外部の電磁的干渉場”は、例えば、電子回路の他の部分によって引き起こされることもある点に留意する。
【0012】
当然に、その“外部の電磁的干渉場”は、検査される電子機器を含む電子回路から独立して配置されるソース(源)によって引き起こされることもあり、そのソースは、例えば、電子回路が電子機器と一緒に収納されているケースの外に位置する。電磁的干渉場は、例えばガルバニ結合によって又は電磁波として電子機器に到達する。
【0013】
本発明の一実施形態では、パラメータの基準値に基づいて、その基準値からの期待最大偏差が検出され、パラメータの最小値及び/又は最大値が決定される。例えば、パラメータの基準値は、システムの少なくとも近似的には一定の値で、即ち変数の静止状態において干渉源の影響なく検出される。従って、いわば、電子機器の“キャリブレーション”が行われ、そうして、電気信号の決定されたパラメータが、考慮される電子機器の適用例に関して、基準値から予想されるよりも更に逸脱する場合は、外部の干渉場が存在することを結論付けることができる。
【0014】
例えば、電子機器は変位センサーであって、その変位センサーは干渉の外部ソースに対して保護されていないか又は不十分に保護されているだけで、移動可能部分の位置変化を検出し、その変位センサーは電気信号を生成し、その信号の振幅は移動可能部分の位置に依存する。変位センサーの用途の結果として、例えば、その変位センサーを用いて測定されるべき位置の変化が任意の速度で行われず、その代わり、適用例に応じて、位置変化の速度が含まれる又は含まれるべき範囲が存在する。この速度の範囲に基づいて、或る範囲が定義され、その範囲には、例えばある速度が含まれ、その速度で、変位センサーによって生成される電気信号の振幅は変化する。その振幅の変化がこの範囲の外にある場合は、故障が存在する。
【0015】
従って、その適応例に特有な、そのシステムの変数の妥当性の範囲と、そこから導かれる、電気信号の1つ以上のパラメータの妥当性の範囲とを決定することができる。この文脈では、“システムの変数”は経時的な変数の変化と理解されるべきで、即ち、上記の例では、位置の変化は固有の変数とみなされる。相応して、経時的なパラメータの変化は、また、固有の変数とみなされ、例えば、経時的な信号の振幅の変化(導関数)は固有の変数として扱われる。
【0016】
電気信号の振幅変化の速度の基準値を決定するため、移動可能な部分は、例えば、その移動可能な部分の使用のために、一定の所定速度で移動され、その対応する電気信号は登録され、パラメータは信号の振幅の形態で決定されることができる。詳しくは、信号振幅の変化速度の上限を検出するため、移動可能な部分は、その移動可能な部分の使用により決定される又は許容されるのと同じ速度で移動する。
【0017】
電気信号の1つより多い数のパラメータ、例えば第1及び第2のパラメータが、システムの変数に応じて検出されることは当然に可能であり、そのパラメータは検査される機器に登録されるだろう。例えば、第1のパラメータは電子機器によって生成される電気信号の実部、第2のパラメータはその虚部であってもよく、即ち、その信号の振幅と位相とが決定され、登録される変数の制限(限界)の定義に応じて、対応する制限が振幅と位相に対して定義される。
【0018】
パラメータの妥当性の制限範囲内(即ち、期待最小値及び/又は最大値の範囲内)で、パラメータは、相互に独立で値をとることが可能である。しかし、パラメータは相互に依存することも考えられる。詳しくは、登録され得るシステムの変数に応じて、期待される値の範囲は、第1と第2のパラメータに対して定義されることができ、その範囲は、第1と第2のパラメータ間の関数的相関に起因し、そうして第2のパラメータの値は各々正確に第1のパラメータの値に割り当てられる。
【0019】
例えば、2つのパラメータの間には線形の相関が存在し、そうして、2つのパラメータで張られる座標系において、第1及び第2のパラメータの妥当性の値は直線座標を形成する。さて、本発明に従った方法は、パラメータの検出された値(例えば、異なる時点で検出された値)が、値の定義範囲に属するかどうかを検査するステップを提供する。
【0020】
本発明に従った方法の他の実施形態によれば、
― ステップa)乃至e)がシステムの第1変数に対して実行され;及び
― その第1変数の結果に応じて、ステップa)乃至f)がシステムの第2変数と第2パラメータに対して実行され、そこでは第2変数は第1変数と異なり、ステップd)に従って、第2パラメータの最小値及び/又は最大値が、第2変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて決定される。
【0021】
それ故、電子機器の階層的(分類的)な検査が実行される。この階層的な検査は、例えば、方法ステップa)乃至e)の最初の実施の後に、その結果として第1パラメータが妥当性の範囲の外にある場合、更なるパラメータに基づいて更なる検査が実施され、その妥当性の限度は、登録され得る更なる変数に基づいて決定される。
【0022】
この文脈では、システムの異なる変数について語ることもできることに留意する。それは次の場合であって、即ち、2つの変数が同じ物理的変数(例えば速度)について言及するが、その変数は、システムの様々な部分又は状態に関連し、例えばシステムの“第1変数”は速度について言及することができ、その速度で自動車の乗員は自動車の座席から外へ動き、“第2変数”の速度で自動車の乗員は座席の中へ動くことができる。もちろん、システムの“異なる変数”は様々な物理的変数に言及することもできる。
【0023】
一例においては、第1パラメータは電気信号の振幅であり、第2パラメータは経時的な電気信号の振幅の変化である。これによれば、検出された信号の振幅がその妥当性の制限の範囲内にあるかどうかが始めに検査される。万一そうでない場合、更なる検査が振幅の変化する速度に基づいて実施される。外部の干渉場(例えば近似的に静的な場)が信号の振幅には影響を与えるが、経時的な信号の振幅の変化(即ち信号の振幅の時間導関数)には影響を与えないことが考えられ、その結果、信号の振幅が妥当性のそれぞれの制限の外にはあるが、信号の振幅の変化はそうでない場合、外部の干渉場が存在することが結論づけられる(電子機器の故障は存在しない)。
【0024】
当然に、第1及び第2の変数に応じて、期待最小値及び/又は最大値が2つのパラメータのそれぞれに対して決定されることも可能であり、即ち、第1パラメータ及び別の第1パラメータに対して、最小値及び/又は最大値が第1変数に応じて決定され、第2パラメータ及び別の第2パラメータに対して、最小値及び/又は最大値が第2変数に応じて決定される。
【0025】
例えば、電気信号の実部と虚部(即ち振幅と位相)とが、パラメータ群として決定されるか、又は、電気信号の実部に応じた一つのパラメータとして決定され、及び、電気信号の虚部に応じた一つのパラメータとして決定される。
【0026】
例えば、2つのパラメータは、電子機器によって決定される電気信号の実部と虚部であり、その期待される最小値及び/又は最大値は、システムの第1変数(即ち、第1パラメータ及び別の第1パラメータ)に応じて決定され、及び/又は、2つのパラメータは、経時的な電気信号の実部と虚部の変化であり、その期待される最小値及び/又は最大値は、第2変数(即ち、第2パラメータ及び別の第2パラメータ)に応じて決定される。特に、それぞれの実部と虚部を検出するため、振幅と位相、並びにこれらの変数の経時的な変化が決定される。
【0027】
本発明の更なる変形例によれば、少なくとも1つの更なる電子機器が供給され、その電子機器は、検査される電子機器と同様に設計され(特には同じく)、ステップe)の結果に応じて、ステップa)乃至f)がその更なる電子機器について実行される(即ち、詳しくは、検出される値が妥当性の範囲の外にある場合)。同様に、第2の電子機器でのテストの結果から、パラメータが妥当性の範囲外にあることを示している場合、外部の電磁ソースによる干渉が存在し、検査される電子機器の故障ではないことが非常に確実に結論付けられる。もちろん、1つよりも多い数の更なる電子機器が供給されることも可能である。
【0028】
実際には、外部干渉ソースによる干渉だけが存在するかどうかを確認するため、パラメータ値が定義された制限の外にある場合、(従来の)電子機器のテスト回路、例えば連続性検査が開始されることが可能である。そうしたテスト回路は、例えば、検査される電子機器で決定されるパラメータ値と、(同じ時点で)更なる電子機器で決定されるパラメータ値との間の差が、所定の閾値を越える場合に開始される。
【0029】
検査される電子機器と同様に構成された更なる電子機器の代わりに、異なる種類の基準回路が、例えば単純なRC要素の形態で供給されることも考えられる。この基準回路を用いて、検査される電子機器で検出されるパラメータが妥当性の範囲外にある場合、ステップa)乃至f)が実行される。詳しくは、更なる電子機器の代わりに、本発明の第二の側面によるデバイスを使用することもでき、以下でさらに説明される。
【0030】
本発明の更なる実施形態では、検査される電子機器はセンサーであって、そのセンサーは、例えば自動車の乗員によって自動車の座席が塞がっているかを判定するよう構成される。そうしたセンサーは、詳しくは、自動車の座席の一部として構成され、評価ユニットに接続されて電気信号が分析され、そのセンサーはその電気信号をその自動車の乗員と自動車の座席との相互作用により生成する。
【0031】
例えば、そうしたセンサーは、詳しくはAC電圧がロードされた容量センサーの形態で構成される。センサーで生成される電気信号のパラメータとして、例えば、有効電流部分、(即ち、供給されるAC電圧の位相での交流電流の部分又は実部)が、特には位相シフトを決定する基礎として検出され、及び/又は、無効電流部分(交流電流の虚部)、及び/又は、電流の直交部分又は電流の有効値が、特には振幅を決定する基礎として検出される。
【0032】
そうしたセンサーによって登録されるシステムの変数(即ち、自動車座席―自動車乗員のシステムの)は、例えば速度であり、その速度で自動車の乗員はその座席の中へ、又はそこから外へ動く。変数が“登録される”という表現を使用することは、このセンサーの主たる目的がこの変数を決定する必要があることを必ずしも意味せず、その変数はセンサー信号によって(少なくとも質的に)決定することができ、ここでは、単に、センサー信号の妥当性のチェックのために使用されることが可能であることが指摘される。
【0033】
詳しくは、自動車の乗員がその座席の中へ、又はそこから外へ動く速度は、センサーによって決定されるパラメータの変化する速度に影響し、例えば、経時的な振幅の変化(又はセンサー信号の直交位相部分の変化)は、自動車の乗員の座っている又は立っている間の速度に依存する。明らかなように、他のパラメータは、自動車の座席に対する自動車の乗員の速度に依存することも可能で、例えば、センサー信号の無効電流部分である。
【0034】
自動車の乗員はその座席の中へ又はその座席から外へ任意に速く動くことも、任意に遅く動くこともできないので、乗員がその座席の中へ又はその座席から外へ動く速度は最小値と最大値が特定され得る。これらの制限値に基づき、また、そのセンサーで生成される電気信号のパラメータの最小値と最大値(例えば無効電流や直角位相部分)が特定され得る。
【0035】
自動車の座席センサーの場合、そのセンサーによって登録される変数は、例えば力の大きさであってもよく(又は座席部分、例えば座席面の位置の変化の大きさ)、その大きさで、自動車の乗員はその座席の中へ又はその座席から外へ動いたり、或いは、座っている間は自動車の座席に影響を及ぼす。特に、センサー信号の振幅は、この力に依存し、そうして、この力の妥当性の範囲を定義することにより、信号の振幅の妥当性の範囲を定義することができる。しかし、例えば、座席センサーは(特に容量センサーを用いる場合)、力や位置変化の代わりに、座席の範囲内の電場の大きさやその変化を登録することも可能である。
【0036】
明らかなように、本発明は、自動車の座席センサーに限定されるものでなく、例えば、他の種類のセンサーが検査されることも可能であり、例えば、エアーバッグセンサー、温度センサー(即ち、必ずしも機械的変数を登録しないセンサー)又は、例えば、ハンドルの占有センサー(ハンドルセンサー)であって、自動車の運転手がハンドルに接触しているかをモニタするものを含む。しかし、本発明はまたセンサーの形態の電子機器を検査できることに限定されず、本発明による方法は、電子機器によって使用されることができ、その電子機器は、例えばプログラム可能なデバイスのハードウェアコンポーネントの形態で、基本的に任意に構成され得る。一般的に、例えば、電気信号の振幅、周波数又は位相、或いはこれらの変数の変化は、電子機器で生成される信号のパラメータとして用いられる。
【0037】
第二の側面によれば、本発明は、電子機器を検査し、システム(上述したように、詳しくは物理的なシステム)の少なくとも1つの変数を登録する方法に関連し、以下のステップを備える:
a)第1の所定の電気基準信号と第2の所定の電気基準信号とを生成するステップ;
b)第1の電気基準信号の少なくとも1つの第1のパラメータの少なくとも1つの第1の値と、第2の電気基準信号の第2のパラメータの少なくとも1つの第1の値とを決定するステップ;
c)第1及び第2のパラメータの期待最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
d)第1及び/又は第2の値が最小値より大きく且つ最大値より小さいことを検査するステップ;及び、
e)ステップe)の結果に基づいて、電子機器の故障が存在するかどうかを決定するステップ(詳しくは電子機器の外部に存在する干渉ソースによる故障)。
【0038】
第1及び第2の基準信号は、詳しくは第1及び第2の基準回路によって生成され、明らかなように、また、2つ以上の基準信号が使用され得ることに留意する。
【0039】
これによれば、検査される電子機器は、必ずしも検査方法に含まれず、代わりに、外部干渉ソースによる干渉が存在するかどうかの検査が少なくとも1つの第1及び第2の基準回路を用いて実施される。詳しくは、その基準回路にはAC電圧がロードされ、その結果、更に上で述べたように、その基準回路により生成される電気信号のパラメータ(例えば直角位相部分や無効電流)が決定される。一般的に、上述したように、電気信号の振幅、周波数、又は位相の形態のパラメータ、或いは、これらの変数の変化がここでは考慮される。
【0040】
例えば、基準回路は、検査される電子機器(例えば上述したようなセンサー)とは異なって構成され(具体的にはより単純に)、例えばRC要素又はRL要素の形態で構成される。
【0041】
しかし、第1及び/又は第2の回路は、電子機器と同様に設計され、検査される変数を決定し、パラメータの最小値及び/又は最大値が、システムの変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて決定される(例えば、本発明の第1の側面に関連して述べた変数のうちの1つの形態で)ことは当然に考慮される。
【0042】
明らかなように、本発明による方法のステップは、プログラムの形態で表されることができ、プログラム可能な機器上で実行されることができる。このようにして、本発明によるソフトウェア実行のEMCフィルタを実現することができる。
【0043】
本発明は、また、電子機器を検査するデバイスに関連し、そのデバイスは少なくとも1つのシステムの変数を決定し、そのデバイスは以下を有する。
― 電子機器によって生成される電気信号の少なくとも1つのパラメータ値を検出する検出手段;
― 電子機器によって決定可能な変数の最小値及び/又は最大値に応じて、パラメータの期待最小値及び/又は最大値を定義する定義手段;
― 検出手段によって検出されたパラメータの値が、定義手段により定義される最小値よりも大きく、且つ、定義される最大値よりも小さいかどうかを検査する検査手段;及び、
― 検査手段の信号に基づいて、電子機器の故障が存在するかどうかを決定する決定手段であって、詳しくは、電子機器の外にある干渉のソースにより発生する干渉が存在するかどうかを決定する。
【0044】
定義手段、検査手段、及び/又は決定手段は、詳しくはプログラム可能な機器の形態で構成され;例えば、マイクロチップ、ASICの形態で、又は自動車のECUの構成要素として供給される。
【0045】
本デバイスは、訂正手段を更に有し(例えばセンサーの形態で構成される)、検出された特性値又は複数の検出された特性値に基づいて、可能な範囲で外部電場のセンサー信号への影響を排除するか、又は少なくとも減少するよう、電子機器の電気信号を訂正するのに使用される。従って、そうしたデバイスはEMCフィルタとして機能する。
【0046】
更なる別の側面においては、本発明は、また、電子機器をテストするデバイスに関連し、少なくとも1つのシステムの変数を決定し、そのデバイスは以下を有する:
― 少なくとも1つの第1電気信号と少なくとも1つの第2電気信号を生成する信号生成手段;
― 第1電気信号の少なくとも1つの第1のパラメータの少なくとも1つの第1の値と、第2電気信号の少なくとも1つの第2のパラメータ(即ち、第1のパラメータとは異なるパラメータ)の少なくとも1つの第2の値とを、その第1の値と第2の値との差と共に検出する検出手段;
― 第1の値と第2の値の間の差の期待最小値と最大値とを定義する定義手段;
― その差が最小値より大きく且つ最大値より小さいかどうかを検査する検査手段;及び、
― 検査手段の信号に基づいて、電子機器の故障が存在するかどうかを決定する決定手段であって、詳しくは、電子機器の外にある干渉ソースにより発生する干渉が存在するかどうかを決定する。
【0047】
詳しくは、信号発生手段は第1及び第2の基準回路を有し、第1及び第2の基準電気信号をそれぞれ生成する。
【0048】
このデバイスは、詳しくは、本発明の第2の側面に係る方法を実行するよう構成され、即ち、詳しくは、基準回路は、検査される電子機器とは異なって構成され、例えば、単純な回路、例えば、RC要素、ホールセンサー、又はASICの形態で構成される。
【0049】
この側面に係る定義手段、テスト手段、及び/又は、決定手段は、もちろん、具体的にはプログラム可能な機器の形態で設計することができ、具体的には或るユニットを一緒に形成することもできる。
【0050】
このデバイスは同様に訂正手段を含むこともでき、EMCフィルタを実現する。詳しくは、訂正手段は、第1及び第2の基準信号に応じて、電子機器の電気信号を訂正するよう構成される。


【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明は、引き続き、添付の図面を参照して例示的な実施形態を基に更に説明されるだろう。その図面には:
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に従った電気信号のパラメータの分類を図式的に示す。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態に従ったテスト方法のフローチャートを示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従った装置の概略図を示す。
【図4】図4は、図3の装置から生成された電気信号のパラメータの分類を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、座標系を示し、検査される電子機器によって生成される電気信号の第1パラメータXの値(x、x)と第2パラメータYの値(y、y)がプロットされる。例えば、第1パラメータは電子機器によって生成される交流信号の直交成分部分であり、第2パラメータは交流信号の無効電流である。考慮される電子機器は具体的にはセンサーの形態で構成され、従ってAC電圧がロードされる。
【0053】
時間tの第1ポイントでは、検査される電子機器が配置されるシステムは、ほとんど静止した状態であり、その結果、システムの変数は、固定値の周りで少し変動するだけである。電子機器の具体的な適用例、即ち、その電子機器が配置されるシステムの適用例は、図1の例における物理システムの形態で構成され、その使用に基づいて、そのシステムの変数の上限及び/又は下限が、各変数に関連して、静止状態に有効な妥当性の範囲を特徴付ける静止状態のために特定され得る。
【0054】
また、これは、電子機器で検出され得るパラメータの上限及び/又は下限の特定を可能にし、その結果、妥当性の“静止”範囲1が特定され、そこではパラメータの値は、システムが静止状態であって電子機器の故障がない範囲内で動くだろう。しかし、少なくとも1つのパラメータが範囲1の外に出るときは、これは必ずしも故障があることを意味せず、代わりに、単に静止状態から動的状態へ変化する物理システムのために生成され得る。
【0055】
例えば、電子機器は、自動車座席センサーであり、すでに上述したように、そのセンサーは、自動車の乗員によって自動車の座席が覆われているかを検知するのに使用され、即ち、自動車の座席センサーが設置される”物理的システム“は、自動車の座席センサーと自動車の乗員とを有する。自動車の座席と自動車の乗員とを有する本システムの静止状態では、自動車の乗員は、自動車の座席上に存在し(座席内に存在するのでなく)、それでも、自動車の乗員の動きは自動車の座席の上で行われ、その結果、検出パラメータは一時的な変動も有するだろう。
【0056】
さて、そうした変動の上限と下限は、自動車の座席と自動車の乗員とのシステムの少なくとも1つの変数の上限と下限を定義することによって、特定することができ、その検出パラメータに影響を与える。例えば、座席面の最大偏差が特定され、それは、自動車の座席上に位置する自動車の乗員が生じさせる。この座席面の最大偏差は、例えば、電気信号の振幅を制限し、即ち、この例では、第1パラメータの値を制限する。同様に、静止状態の場合には、第2パラメータの下限と第1パラメータの上限・下限とが定義され得る。それ故、検出されたパラメータ群は、それらが妥当性の制限範囲内、即ち範囲1の範囲内にあるか否かに従って分類され得る。それらのパラメータ群がこの範囲内にあるとき、このことから考慮中の物理的システムは静止状態にあると結論付けることができる。詳しくは、そのパラメータ群の値は、時間の複数の瞬間で、例えば実質上連続的に検出される。
【0057】
本物理的システムの静止状態と同様に、本システムの少なくとも1つの変数の最小値及び/又は最大値が、変数が経時的に変化する本システムの動的状態に対しても特定され、この変数の最小値及び/又は最大値は、本システムの特性のため、高い確率で、下回ったり、超過したりすることは可能でないか又はそうならないだろう。これらの最小値又は最大値に基づいて、第1及び第2のパラメータの制限を特定することができ、本物理的システムの動的状態を特徴付ける。こうして定義される妥当性の範囲は、図では範囲“2”として示される。この2つのパラメータのうちの少なくとも1つが範囲2を外れるとき、外部の干渉ソースによる干渉が存在することが予想される。
【0058】
自動車の座席と自動車の座席センサーとを含む物理的システムの例では、本システムの動的状態は、詳しくは、自動車の乗員が自動車の座席の外へ又は座席へ動くことである。自動車の乗員の両方の動きは、その座席上への最小及び最大の力の作用によって特徴付けられ、静止状態と同様に、第1及び第2のパラメータの値の下限と上限とが特定され、図1の範囲2を定義する。
【0059】
図1によれば、時間のtポイントでは、本システムは、再び静止状態であり、例えば、自動車の乗員は、このポイントで、座席から完全に立ち上がっている。この状態は、XY座標系のポイントPによって特徴づけられ、即ち、第1及び第2のパラメータ値の対応するペアによって特徴づけられる。静止状態1´は、ポイントPの周りに広がり、必ずしも時間のtポイントでの静止範囲1と同じ“寸法”を有する必要はない。
【0060】
第1の変数、例えば、自動車の座席上への自動車の乗員の力の作用に加えて、本物理的システムの動的状態は1つ又は複数の更なる変数によって特定することができ、そうした変数は、本電子システムによって特定される信号に影響する。これらの更なる変数に基づいて、更なるパラメータの上限及び下限が特定され、同様に、そうしたパラメータを分類するのに使用される。
【0061】
例えば、自動車の座席センサーの例では、自動車の乗員が座席から外に出る又は座席へ動く速度を特定することもでき、それを下回ることも上回ることもできない。同様に、自動車の乗員の最小速度及び最大速度に基づいて、経時的な第1及び第2のパラメータの変化の下限と上限とが特定され、即ち、例えば、電気信号の直交部分が変化する速度の下限と上限、並びに電気信号の無効電流部分が変化する速度の下限と上限が特定され得る。
【0062】
図1では、時間tのポイントにおける第1と第2のパラメータ(x、y)を時間tのポイントにおける第2のパラメータ(x、y)へ変化させる経過の時間は、“Δt”で示される。Δtがより小さければ、第1と第2のパラメータの変化の割合は、より大きくなる。パラメータの時間的依存は、図1の座標系を時間次元によって拡大することで表すことも可能であり、即ち、その座標系を2次元表示から3次元表示に拡大する。
【0063】
詳しくは、故障があるかどうかは1つの基準をもとに、例えば範囲2の制限で検査されるだけでなく、更なる基準、即ち、パラメータが変化する速度も用いることができる。詳しくは、その検査は階層的に行われ、そうして、基準の1つが充足しないときだけ、第2の基準で検査が行われる。例えば、少なくとも1つのパラメータが妥当性の範囲2を外れたことが決定された場合、即ち、例えば信号の振幅が予想よりも大きい場合にだけ、或るパラメータが変化する速度が妥当性の範囲内にあるかどうかが検査される。
【0064】
言うまでもなく、本物理的システム及び/又は本電子機器を特徴付ける更なる変数を使用することも可能である。例えば、検査される本物理的システムと本機器は、互いに構成・適応されて、電気信号のパラメータは相互に依存し、そこでは詳しくは関数的相関が存在し、その結果、第2のパラメータの値は明確に第1のパラメータの値に割り当てられる。例えば、図1の例では、第1と第2のパラメータの値は、本物理的システムの動的状態にあると予想され、直線G上にある。追加的に、第1及び/又は第2パラメータが直線Gで定義される値の範囲に属するかどうかが検査され得る(即ち、測定された値が変化の予想される“方向”に対応するか否か)。明らかに、第1と第2のパラメータX,Yの間の関数的相関は線形である必要はなく、一般的にはXY空間において曲線で形成され得る。
【0065】
故障の重大さが、第1と第2のパラメータの更なる制限によって更に分類され得る。図1によれば、この目的のため、追加的な範囲3及び4が定義される。詳しくは、範囲4の制限が設定され、パラメータがこの範囲に入るときは、単なるEMC障害ではなくハードウェアの不良があるに違いないというように設定され得る。
【0066】
図2は、本発明の更なる例示的な実施形態を示し、階層的に異なるパラメータが異なる基準で妥当性の検査がされ、電子機器を検査する。
【0067】
始めに、第1ステップ“SPA1a”では、第1決定ライン100の範囲内で、第1パラメータが妥当性の第1範囲内にあるかどうかが検査され、ここで“SPA”、即ち“物理的応用の制限の信号分析”は本発明の基礎となる原理を表す。例えば、第1のパラメータは経時的なパラメータの変化、例えば、信号の振幅である。上述したように、妥当性の範囲は、基礎をなす変数の制限(限界)に依存して定義され、例えば、自動車の乗員が座席へ動く速度である(即ち、始点Aから終点Bまで)。別言すれば、自動車の乗員と自動車の座席からなる物理システムの第1変数に対して、即ち、自動車の乗員が座席へ、AからBへ動くのに必要な最小時間に対して、下限tminの形で妥当性の値が定義される。
【0068】
更に、自動車の乗員と自動車の座席からなる物理システムの第2変数に対して、即ち、自動車の乗員が座席へ動くのに必要な最大時間に対して、上限tmaxの形で第2の妥当性の値が決定される。時間tminとtmaxの代わりに、例えば、差分Δtmin/max=tmax − tminが、基礎をなす妥当性の値として使用され得る。
【0069】
min又はtmax、及びΔtmin/maxのそれぞれに応じて、パラメータX、Yの期待最小値及び最大値と、従って、妥当性の範囲2が定義される。
【0070】
パラメータが妥当性の範囲内にないとき、同じ変数がステップ“SPA1b”で別の基準で検査され、例えば、そのパラメータが自動車の乗員が座席から離れる速度から生じる妥当性の範囲内に無いかどうかを検査することによる。別言すれば、上述の“SPA1a”の場合と同様に、下限tmin’及び上限tmax’が、自動車の乗員の始点B´(自動車の乗員は座席に存在する)から終点A´への動きに対して特定され、そこでは、ポイントA´、B´は、“SPA1a”の場合のポイントA,Bと同一である必要はない。
【0071】
基準“SPA1b”が同様に充足されると、更なる別の基準(“SPA1n”)が質問されることが可能であり、第1決定ライン100内で用いられる基準の数は、基本的には任意であり、その適応例に固有に選択されるだろう。その第1決定ライン100のうちの1つの基準が充足されないときは、第2決定ライン200へ進むことができ、その第2ラインは例えば物理的システムの変数の他のクラスに関連し、妥当性の限度を設定するために使用される。例えば、決定ライン200は、座席センサーの近くの電界の強度について言及する。この電界強度に対して、上述の“SPA1a”と“SPA1b”と同様に、妥当性の限度が定義され、その限度から、センサー信号の1つ又は複数のパラメータの対応する妥当性の限度が導かれる。
【0072】
例えば、センサー信号の振幅は、座席の付近の電界強度に依存し、そうして、電界強度の妥当性の定義に基づいて、信号の振幅の妥当性の限度が定義され、即ち、“自動車の乗員が座席へ移動する”(“SPA1a”)及び“自動車の乗員が座席から離れる”
(“SPA2a”)の場合と同様である。これらの基準、即ちセンサーの特徴的な値が妥当性の各範囲に入っているかどうかを検査することは、第1決定ライン100と同様に実施される。
【0073】
例えば、充足される基準の数又はその種類に基づいて、EMC障害が存在するかどうかの判断がなされる。ここでは、例えば、第2決定ライン200の全基準が充足されたときは、少なくとも1つの他の特徴的な値が第1決定ライン100の妥当性の限度の外にある場合、即ち、第1決定ライン100の少なくとも1つの基準が充足されなかった場合であっても、高い可能性でEMC障害は排除され得ると考えられる。
【0074】
当然、更なる別の決定ライン(例えば決定ライン300)が第1及び第2の決定ラインに続くことができ、決定ラインの数は、基本的には任意に選択され得る。図2は当然に単なる一実施例であることに留意する。本発明は、基本的には如何なる種類の階層的な質問(クエリー)シーケンスをも包含する。
【0075】
図3は、本発明の第三の側面に従ったデバイスについて言及する。センサー20の形態の電子機器を検査するデバイス10は、複数の基準回路101−104を有し、その基準回路の数は基本的には任意である。
【0076】
デバイス10は、AC電源30を介してAC電圧が供給され、そのAC電源30は、センサー20に電圧を供給するようにも使用される。デバイス10の出口で、AC出力電圧の形態で電気信号が評価ユニット40によってタップされる。
【0077】
基準回路101−104は、基本的に任意に構成されることが可能であり、例えばRC,LC又はRLC要素の形態で構成される。しかし、本発明は当然この種類の基準回路に限定されるものではなく、代わりに基準信号が使用されることが可能であり、そうした基準信号は基本的には如何なる種類のソースによって生成されてもよい。デバイスによって生成され、評価ユニットでタップされる電気信号は、詳しくは、デバイス10及びセンサー20に対して外部に配置される(図示しない)干渉ソースに影響を受けることがあり、その結果、出力信号の分析によって干渉ソースが存在することを結論付けることが可能になる。それ故、基準回路101−104の信号の分析によって、センサーによって生成される出力信号が、その出力信号は同様に例えば評価ユニット40へ導かれるもので、外部の干渉によって歪められているだけなのか、又は、センサー不良が存在するかどうかを見てとることができる。基準回路101−104の信号に基づいて、センサー信号を訂正することも可能である。
【0078】
評価ユニット40は詳しくは検出手段を含み、その検出手段は、第1の基準回路101で生成される第1の電気信号のパラメータの少なくとも1つの第1の値と、第2の基準回路102で生成される第2の電気信号のパラメータの少なくとも1つの第2の値とを検出する。例えば、そのパラメータは、第1及び第2のセンサーのそれぞれの出力信号に対して検出される出力信号の直交成分である。対応して、検出手段は、残りの基準回路の出力信号に対するパラメータの値を検出することもできる。検出手段は、さらに、パラメータの第1の値と第2の値との間の差分を検出する。
【0079】
さらに、評価ユニットは定義手段を含み、その定義手段は、パラメータの第1の値と第2の値との間の差の期待最小値及び/又は最大値を定義し、検出手段によって検出されるのと同様に、検査手段が、その差分が最小値よりも大きく且つ最大値よりも小さいことを検査する。検査手段の信号を利用して、評価ユニットの判定手段が、電子機器の外で発生する干渉場による電子機器の干渉障害が存在するかどうかを最終的に判定する。詳しくは、評価ユニットは、その差分が最小値より小さいか、又は、最大値より大きい場合、不良を認識する。
【0080】
詳しくは、第1と第2の値の差分は、時間の複数のポイントで検出されて、それぞれ妥当性が検査される。変形例では、時間の多数の連続ポイントで検出される差分が合計され、結果の総計が相応して適合する最小値及び最大値と比較される。
【0081】
評価ユニット、即ち、詳しくは、その検出手段、決定手段及び検査手段は、更なる別の差分を追加的に検出し、それらを分析に使用することができ、例えば、第1と第3の基準回路101、103で決定された値の差分、又は、第2と第3の基準回路102、103等で決定された値の差分である。
【0082】
図4は、図3のデバイスを用いて信号パラメータを検出することを示し、図1と同様に、第1及び第2のパラメータx、yがプロットされる。
【0083】
これによれば、4つの基準信号が生成され(例えば、図3の基準回路101−104を用いて)、XY座標系のポイント1010、1020、1030、1040(即ち、それぞれに2つのパラメータ)がこれらの基準信号の各々に割り当てられる。EMCの検査のため、詳しくは、パラメータ1010、1020、1030、1040の差分Δ1, Δ2, Δ3, Δ4が考慮される。
【0084】
図1と同様に、“静止”範囲1が、パラメータ1010、1020,1030,1040に対して特定される。さらに、妥当性の範囲2がパラメータ1010、1020,1030,1040自体に対して、又は、そのパラメータの差分Δ1, Δ2, Δ3, Δ4に対して定義されることが可能で、外部場による干渉が存在しないときはそのパラメータはそこにあるだろう。同じく、更なる別の範囲3,4がXYダイアグラムに表示され、それらは、例えばEMC障害の分類、及び/又は、ハードウェア不良としての異常の格付け(レーティング)を可能にする。
【0085】
基準回路101−104の基準信号に加えて、分析においてモニタリングされるセンサー20の信号を含むことも当然に考えられることが指摘され、そうして、図4のダイアグラムはセンサー信号の少なくとも1つの更なるパラメータを含むことがあるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を検査する方法であって、その方法はシステムの少なくとも1つの変数を登録し、以下のステップを有する:
a)変数の期待最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
b)システムの変数を登録し、その登録された変数に応じて、電子機器によって電気信号を生成するステップ;
c)生成された電気信号のパラメータ(X,Y)の少なくとも1つの値(x,y)を検出するステップ;
d)システムの変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて、パラメータ(X,Y)の期待される最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
e)パラメータ(X,Y)の検出値がパラメータに対して定義された最小値よりも大きく及び/又は最大値よりも小さいことを検査するステップ;及び、
f)ステップe)の結果に基づいて、電子機器の故障が存在するかどうかを決定するするステップ。
【請求項2】
電気信号の第1及び第2のパラメータ(X,Y)の値が検出される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1のパラメータは電気信号の実部であり、前記第2のパラメータは電気信号の虚部であるか、又は、それらのパラメータはそれぞれ電気信号の実部と虚部とに依存する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第1のパラメータは電気信号の振幅であり、前記第2のパラメータは経時的な電気信号の振幅の変化及び/又は位相の変化である、請求項2又は3記載の方法。
【請求項5】
変数に応じて、第1及び第2のパラメータ(X,Y)に対する変数の期待範囲が定義され、その期待範囲は第1及び第2のパラメータ(X,Y)間の関数的相関から生じ、そうして、第2のパラメータ(Y)の或る値(y)が第1のパラメータ(X)の或る値(x)に正確に割り当てられ、検出されたパラメータがこの値の範囲に属するか否かが追加的に検査される、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
‐システムの第1の変数に対してステップa)乃至e)を実行するステップ;及び、
‐前記第1の変数に対する結果に応じて、システムの第2の変数と第2のパラメータに対してステップa)乃至f)を実行するステップであって、前記第2の変数は前記第1の変数と異なり、ステップd)により、第2の変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて、第2パラメータの最小値及び/又は最大値を決定する、ステップ、を有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の変数に応じて、2つのパラメータに対してそれぞれ期待最小値及び/又は最大値を決定する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記2つのパラメータは電気信号の実部と虚部であり、その期待最小値及び/又は最大値は第1の変数に応じて決定され、及び/又は、前記2つのパラメータは電気信号の実部と虚部の経時的な変化であり、その期待最小値及び/又は最大値は第2の変数に応じて決定される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
‐少なくとも1つの更なる電子機器が供給され、当該電子機器は、検査される電子機器と特には同様に構成されて、変数を決定し;及び、
‐ステップe)の結果に応じて、ステップa)乃至f)を前記更なる電子機器で実行することを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
検査される電子機器で決定されたパラメータの値と、更なる電子機器で同一時点において決定されたパラメータの値との差が所定の値を超えたとき、電子機器を検査する回路が開始される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記電子機器はセンサー又はASICの形態で構成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記センサーは、自動車の乗員が自動車の座席を占めていることを判定するよう構成されるか、又は、ハンドルセンサーの形態で構成される、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記センサーによって登録される変数は、自動車の座席部分の変動量であって、自動車の乗員がその座席へ入るか又はその座席から離れる間に引き起こされる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記センサーによって登録される変数は、速度であって、当該速度で自動車の乗員はその座席へ動き又はその座席から離れ或いはその座席上で動く、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
前記パラメータは、電気信号の振幅、周波数、インピーダンス、又は位相、或いはそれらの量の変化を表す、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
電子機器を検査する方法であって、当該方法はシステムの少なくとも1つの変数を登録し、以下のステップ:
a)第1及び第2の電気信号を生成するステップ;
b)第1の電気信号の第1のパラメータの少なくとも1つの値と、第2の電気信号の第2のパラメータの少なくとも1つの値とを決定するステップ;
c)第1の値と第2の値との間の差を決定するステップ;
d)差の期待最小値及び/又は最大値を定義するステップ;
e)第1及び/又は第2の値が前記最小値より大きく且つ前記最大値より小さいかどうかを検査するステップ;及び、
f)ステップe)の結果を基に、電子機器の故障が存在するかどうか決定するステップ、を有する、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の電気信号は第1の基準回路により生成され、前記第2の電気信号は第2の基準回路により生成され、当該第1及び第2の基準回路は検査される電子機器と同様に構成され、前記パラメータの最小値及び/又は最大値は、前記変数の定義された最小値及び/又は最大値に応じて定義される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
電子機器を検査するデバイスであって、システムの少なくとも1つの変数を決定し;
a)電子機器により生成される電気信号の少なくとも1つのパラメータの値を検出する検出手段;
b)変数の最小値及び/又は最大値に応じて、パラメータの期待最小値及び/又は最大値を定義する定義手段であって、前記変数は電子機器によって決定することができ;
c)前記検出手段により検出されるパラメータの値が、前記定義手段により定義される最小値より大きく、及び/又は、最大値よりも小さいことを検査する検査手段;と
d)前記検査手段の信号を基に、電子機器の外部で発生する干渉場により、電子機器の故障が存在するかどうかを決定する決定手段を有する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法を実行するためのデバイス。
【請求項19】
前記定義手段、前記検査手段、及び/又は、決定手段は、プログラム可能な装置、ASIC又はその両方の形態で構成される、請求項18記載のデバイス。
【請求項20】
電子機器を検査するデバイスであって、システムの少なくとも1つの変数を決定し;
‐少なくとも第1及び第2の電気信号を生成する信号生成手段;
‐第1の電気信号の少なくとも1つの第1のパラメータの第1の値と、第2の電気信号の少なくとも1つの第2のパラメータの第2の値、並びに、第1と第2のパラメータの間の差を検出する、検出手段;
‐第1及び第2の値の間の差の最小値及び/又は最大値を定義する定義手段;
‐前記差が前記最小値より大きく且つ前記最大値より小さいかどうかを検査する検査手段;及び、
‐前記検査手段の信号に基づいて、電子機器の異常が存在するかどうかを決定する決定手段、を有する、請求項16又は17のいずれか1項に記載の方法を実行するためのデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521484(P2013−521484A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555366(P2012−555366)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052665
【国際公開番号】WO2011/107381
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512143350)タカタ アーゲー (7)
【Fターム(参考)】