電子機器の仮固定構造
【課題】仮保持フックでスクリーンをブラケットに仮保持すると、位置決めリブがブラケットの誘い穴に自然に誘い込まれ、スクリーンとブラケットのネジ締め位置が自然に定まり、車両への取り付け作業が容易となる電子機器の仮固定構造を提供する。
【解決手段】室内の一面に固定されるブラケット4に取り付けられるスクリーン本体1と、スクリーン本体1およびブラケット4のいずれか一方に設けられた誘い穴41と、他方に重心よりずれた位置に設けられ、かつ、誘い穴41に嵌合可能な仮保持用フック13と、仮保持用フック13を誘い穴41に通してスクリーン本体1を仮保持したとき、重心のずれにより傾いてブラケット4に接近するスクリーン本体1側において、スクリーン本体1およびブラケット4のいずれか一方に設けられた位置決め穴42と、他方に設けられ、かつ、位置決め穴42に嵌合してネジ位置を合わせる位置決めリブ14とを備えたものである。
【解決手段】室内の一面に固定されるブラケット4に取り付けられるスクリーン本体1と、スクリーン本体1およびブラケット4のいずれか一方に設けられた誘い穴41と、他方に重心よりずれた位置に設けられ、かつ、誘い穴41に嵌合可能な仮保持用フック13と、仮保持用フック13を誘い穴41に通してスクリーン本体1を仮保持したとき、重心のずれにより傾いてブラケット4に接近するスクリーン本体1側において、スクリーン本体1およびブラケット4のいずれか一方に設けられた位置決め穴42と、他方に設けられ、かつ、位置決め穴42に嵌合してネジ位置を合わせる位置決めリブ14とを備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は例えば自動車、電車および船舶等の移動体の室内に配置されるテレビモニタ等の電子機器を室内の一面例えば天井面に取り付けるための電子機器の仮固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、車両天井面に固定したブラケットの各切片がそれぞれ対応する貫通穴に挿入されるように機器本体を持ち上げるとき、機器本体の切片の嵌合爪を、ブラケットの切片の先端側から嵌合穴に向けて近づけ、機器本体の切片を嵌合爪の高さ分だけ内方に撓ませ、機器本体の切片の弾性反発力により、嵌合爪を嵌合穴に嵌合させる電子機器の仮固定構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−333458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された構成によれば、機器本体を車両天井面に仮固定後にブラケットに機器本体をネジ止めする際、機器本体側の取り付け穴とブラケット側の取り付け穴との位置あわせ作業が困難であり、取り付け作業性が悪いという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、仮保持が容易にでき、ネジ止め時にネジ位置を容易に合わせることができる電子機器の仮固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る電子機器の仮固定構造は、室内の一面に固定されるブラケットと、ブラケットに取り付けられる機器本体と、機器本体およびブラケットのいずれか一方に設けられた誘い穴と、他方に重心よりずれた位置に設けられ、かつ、誘い穴に嵌合可能な仮保持用フックと、仮保持用フックを誘い穴に通して機器本体を仮保持したとき、重心のずれにより傾いてブラケットに接近する機器本体側において、機器本体およびブラケットのいずれか一方に設けられた位置決め穴と、他方に設けられ、かつ、位置決め穴に嵌合してネジ位置を合わせる位置決めリブとを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の電子機器の仮固定構造は、機器本体を車両に組付ける際に、仮保持フックを誘い穴に嵌合して機器本体をブラケットに仮保持すると、位置決めリブが位置決め穴に自然に誘い込まれ、機器本体とブラケットのネジ締め位置が自然に定まることにより、ブラケットに対する機器本体の仮保持が容易に行なわれるとともに、ブラケットに対する機器本体のネジ止め作業が容易にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】機器本体を示す斜視図である。
【図2】機器本体に組み付けるベゼルを示す斜視図である。
【図3】機器本体にベゼルを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図4】ロック開放ボタンを操作してロックを外し、ディスプレイを使用状態に開いた状態を示す斜視図である。
【図5】図1の領域Aの拡大斜視図である。
【図6】図1の領域Bの拡大斜視図である。
【図7】機器本体と、この機器本体を取り付けるブラケットを示す側面図である。
【図8】図7の領域Cの拡大斜視図である。
【図9】機器本体をブラケットに仮止めした状態を示す側面図である。
【図10】図9の領域Dの分解拡大斜視図である。
【図11】実施の形態2における仮保持用フックの側面図である。
【図12】実施の形態3における仮保持用フックに対する誘い穴の形状を示す斜視図である。
【図13】実施の形態3における仮保持用フックに対する位置決め穴の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図面は、発明に係る電子機器として天吊り型スクリーン(以下、スクリーンと略称する)を例示するもので、このスクリーンはスクリーン本体1とベゼル(カバー)2とで構成されている。図1はスクリーン本体1を示す斜視図であり、板金製の天板11の内面に樹脂製の本体ケース12がネジ止め、接着等の手段で一体に構成されている。
【0009】
天板11の外面(ブラケット対向面)両側縁には、図5に拡大して示すように略逆L字型をした仮保持用フック13が形成されている。この仮保持用フック13は重心からずれた両側縁位置に形成されている。そして、この仮保持用フック13でスクリーン本体1をブラケット4に仮保持すると、スクリーン本体1は重心からずれた位置が仮保持用フック13で支持されるため自重で傾く。そこで、この傾きでブラケット4に接近する天板11側の両側縁位置(図面では片側のみ示す)には、図6に拡大して示すように山形状の位置決めリブ14が形成されている。
仮保持用フック13は天板面から垂直に延びる垂直片13aと、この垂直片13aの先端部から天板面と平行に延びる平行片13bと、この平行片13bの先端部から天板面側に突出した係合爪13cとからなり、この係合爪13cはブラケット4の係合穴43に係合する面13c−1が該ブラケット面に対して垂直に形成され、この面13c−1の先端から平行片13bの先端に向かって斜面13c−2に形成されている。
【0010】
天板11の内面の一端側両側縁には、軸受け部15が設けられている。この軸受け部15には、ディスプレイ(表示部)3の一端側が軸31により開閉自在に軸受けされている。そして、ディスプレイ3の他端側には本体ケース12に係止される係止部(図示せず)が設けられている。
【0011】
図2はスクリーン本体1に組み付けるベゼル2を示す斜視図であり、ディスプレイ3を開閉可能とするための開口21を有し、コ字状に形成されている。ここでベゼル2の形状はコ字状に限定されるものでなく、口の字形としてもよい。そして、コ字状基部の中央には、ディスプレイ3のロック開放ボタン16が貫通突出するための穴22が設けられている。
【0012】
図3はスクリーン本体1にベゼル2を組み付けた状態を示す斜視図であり、図4は図3の状態において、ロック開放ボタン16を操作してロックを外し、ディスプレイ3を使用状態に開いた状態を示す斜視図である。
【0013】
図7はスクリーン本体1と、このスクリーン本体1が取り付けられ車両等の移動体側に設けられたブラケット4を示す側面図であり、このブラケット4には、仮保持用フック13の誘い穴41と位置決めリブ14の位置決め穴42および仮保持用フック13の係止爪13cが係合する係合穴43が形成されている。誘い穴41は図8に示すように、一端側は幅広く他端側は仮保持用フック13の厚みに近い幅狭に形成されている。また、位置決め穴42は図9、図10に示すように、中央部の幅が広く両端側が位置決めリブ14の厚みに近い幅狭に形成された鍵穴状に形成されている。そして、誘い穴41および位置決め穴42は、幅広部と幅狭部との間が斜面または曲線で接続されている。
【0014】
次に組み付け動作について説明する。まず、図7に示すように、スクリーン本体1を手(図示せず)で持ち上げてブラケット4の誘い穴41に仮保持用フック13を合わせ、スクリーン本体1をブラケット4と平行に配置する。そして、スクリーン本体1をブラケット4に押し付けるようにして、仮保持用フック13を誘い穴41に挿入した後、図8に拡大して示すように、仮保持用フック13の垂直片13aが誘い穴41の幅狭部に位置するまで移動させる。
【0015】
移動後、スクリーン本体1から手を放すと、スクリーン本体1は仮保持用フック13が重心位置からずれた位置にあるため、図9に示すように仮保持用フック13の係合爪13cがブラケット4の係合穴43に係合して仮止めされるとともに、その仮保持用フック13を回動軸とし、一端側がブラケット4から離れる方向に他端側が近づく方向に傾き回動する。このため、図10に拡大して示すように、ブラケット4に近づく他端側に設けた位置決めリブ14が位置決め穴42に進入する。この進入によって、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが自然に行われる。
このため、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせを特別に行うことなく、取り付け穴17とネジ締め穴44を貫通して取り付けねじ5を通すことができ、ブラケット4側のナット6に取り付けねじ5を螺合することにより、スクリーン本体1のブラケット4に対するネジ止め作業を容易に行うことができる。
【0016】
この実施の形態1の電気機器の仮固定装置は、スクリーン本体1に重心位置から外れた位置に設けた仮保持用フック13によって、スクリーン本体1を傾けてブラケット4に仮止めし、この傾きによって位置決めリブ14が位置決め穴42に自然に誘い込まれるので、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが自然に行われ、ブラケット、つまり、車両に対する取り付け作業が容易になる。このように、仮保持用フック13を誘い穴41に挿入してスクリーン本体1を傾けるという一工程で、スクリーン本体1のブラケット4に対する仮固定、ネジ締め位置合わせの二つの作業を容易に行うことができ、作業性を大幅に改善することができるという効果がある。
【0017】
実施の形態2.
実施の形態1における仮保持用フック13は逆L字型に形成されているが、この実施形態2では、図11に示すように、この仮保持用フック13の平行片13bのブラケット対向面に係合爪13cの基部から該平行片の基部に向かって角度θの上向き傾斜13dをつけたもので、予めこの角度θをスクリーン本体1の仮保持時の傾きに対応させて調整しておくことにより、スクリーン本体1の仮保持時の傾きを規定することができる。この結果、仮保持時に、スクリーン本体1の位置決めリブ14が確実に位置決め穴42に誘い込まれて、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが行われ、ブラケット4に対するスクリーン本体1のネジ止め作業をより容易に行うことができる。
【0018】
実施の形態3.
実施の形態1における誘い穴41は一端側が幅広く他端側が仮保持用フック13の厚みに近い幅狭に形成されているが、この実施の形態3では、図12に示すように、一端側は仮保持用フック13の長さに近似する長さ分は幅広く他端側は垂直片13aの幅Wに近似する長さ分は仮保持用フック13の厚みに近い幅に形成され、その両者を繋ぐ中間部41aは斜面で接続した羽子板状に形成されている。そして、仮保持用フック13が移動する誘い穴41の延長線上に、仮保持用フック13の垂直片13aの係合穴43が形成されている。また、位置決め穴42は図13に示すように、中間部が最も幅広く、この幅広中間点から位置決めリブ14の厚みに近い幅に形成した左右の穴縁を斜面42aで接続した構成である。
【0019】
このように構成すると、誘い穴41は仮保持用フック13を通し易くなるとともに、このスクリーン本体1が自重で傾くのに従って位置決めリブ14が容易に位置決め穴42に誘い込まれ、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが確実に行われる。この状態で取り付け穴17とネジ締め穴44を貫通して取り付けねじ5を通すことができ、ブラケット4側のナット6に取り付けねじ5を螺合することにより、スクリーン本体1のブラケット4に対するネジ止め作業を容易に行うことができる
【0020】
なお、実施の形態1〜実施の形態3では、スクリーン本体1の天板11に仮保持用フック13、位置決めリブ14を形成したものであるが、この仮保持用フック13、位置決めリブ14は本体ケース12に取り付けてもよい。また、仮保持用フック13、位置決めリブ14をブラケット4側に、誘い穴41、位置決め穴42、係合穴43をスクリーン本体1側に設けてもよい。この場合、スクリーン本体1側に設ける仮保持用フック13あるいは誘い穴41は、スクリーン本体1の重心のずれた位置に設けることは必要である。
【0021】
上記の実施の形態では、電子機器としての天吊りタイプスクリーンを車両の天井面に固定する場合について説明したが、この発明の仮固定構造は、電車および船舶等の移動体あるいは建物内の天井面に電気機器を固定する場合にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 スクリーン本体、2 ベゼル(カバー)、3 ディスプレイ、4 ブラケット、5
取り付けねじ、6 ナット、11 天板、12 本体ケース、13 仮保持用フック、14 位置決めリブ、15 軸受け部、16 ロック開放ボタン、17 取り付け穴、21 開口、22 穴、31 軸受け部、41 誘い穴、42 位置決め穴、43 係合穴。
【技術分野】
【0001】
この発明は例えば自動車、電車および船舶等の移動体の室内に配置されるテレビモニタ等の電子機器を室内の一面例えば天井面に取り付けるための電子機器の仮固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、車両天井面に固定したブラケットの各切片がそれぞれ対応する貫通穴に挿入されるように機器本体を持ち上げるとき、機器本体の切片の嵌合爪を、ブラケットの切片の先端側から嵌合穴に向けて近づけ、機器本体の切片を嵌合爪の高さ分だけ内方に撓ませ、機器本体の切片の弾性反発力により、嵌合爪を嵌合穴に嵌合させる電子機器の仮固定構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−333458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された構成によれば、機器本体を車両天井面に仮固定後にブラケットに機器本体をネジ止めする際、機器本体側の取り付け穴とブラケット側の取り付け穴との位置あわせ作業が困難であり、取り付け作業性が悪いという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、仮保持が容易にでき、ネジ止め時にネジ位置を容易に合わせることができる電子機器の仮固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る電子機器の仮固定構造は、室内の一面に固定されるブラケットと、ブラケットに取り付けられる機器本体と、機器本体およびブラケットのいずれか一方に設けられた誘い穴と、他方に重心よりずれた位置に設けられ、かつ、誘い穴に嵌合可能な仮保持用フックと、仮保持用フックを誘い穴に通して機器本体を仮保持したとき、重心のずれにより傾いてブラケットに接近する機器本体側において、機器本体およびブラケットのいずれか一方に設けられた位置決め穴と、他方に設けられ、かつ、位置決め穴に嵌合してネジ位置を合わせる位置決めリブとを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の電子機器の仮固定構造は、機器本体を車両に組付ける際に、仮保持フックを誘い穴に嵌合して機器本体をブラケットに仮保持すると、位置決めリブが位置決め穴に自然に誘い込まれ、機器本体とブラケットのネジ締め位置が自然に定まることにより、ブラケットに対する機器本体の仮保持が容易に行なわれるとともに、ブラケットに対する機器本体のネジ止め作業が容易にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】機器本体を示す斜視図である。
【図2】機器本体に組み付けるベゼルを示す斜視図である。
【図3】機器本体にベゼルを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図4】ロック開放ボタンを操作してロックを外し、ディスプレイを使用状態に開いた状態を示す斜視図である。
【図5】図1の領域Aの拡大斜視図である。
【図6】図1の領域Bの拡大斜視図である。
【図7】機器本体と、この機器本体を取り付けるブラケットを示す側面図である。
【図8】図7の領域Cの拡大斜視図である。
【図9】機器本体をブラケットに仮止めした状態を示す側面図である。
【図10】図9の領域Dの分解拡大斜視図である。
【図11】実施の形態2における仮保持用フックの側面図である。
【図12】実施の形態3における仮保持用フックに対する誘い穴の形状を示す斜視図である。
【図13】実施の形態3における仮保持用フックに対する位置決め穴の形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図面は、発明に係る電子機器として天吊り型スクリーン(以下、スクリーンと略称する)を例示するもので、このスクリーンはスクリーン本体1とベゼル(カバー)2とで構成されている。図1はスクリーン本体1を示す斜視図であり、板金製の天板11の内面に樹脂製の本体ケース12がネジ止め、接着等の手段で一体に構成されている。
【0009】
天板11の外面(ブラケット対向面)両側縁には、図5に拡大して示すように略逆L字型をした仮保持用フック13が形成されている。この仮保持用フック13は重心からずれた両側縁位置に形成されている。そして、この仮保持用フック13でスクリーン本体1をブラケット4に仮保持すると、スクリーン本体1は重心からずれた位置が仮保持用フック13で支持されるため自重で傾く。そこで、この傾きでブラケット4に接近する天板11側の両側縁位置(図面では片側のみ示す)には、図6に拡大して示すように山形状の位置決めリブ14が形成されている。
仮保持用フック13は天板面から垂直に延びる垂直片13aと、この垂直片13aの先端部から天板面と平行に延びる平行片13bと、この平行片13bの先端部から天板面側に突出した係合爪13cとからなり、この係合爪13cはブラケット4の係合穴43に係合する面13c−1が該ブラケット面に対して垂直に形成され、この面13c−1の先端から平行片13bの先端に向かって斜面13c−2に形成されている。
【0010】
天板11の内面の一端側両側縁には、軸受け部15が設けられている。この軸受け部15には、ディスプレイ(表示部)3の一端側が軸31により開閉自在に軸受けされている。そして、ディスプレイ3の他端側には本体ケース12に係止される係止部(図示せず)が設けられている。
【0011】
図2はスクリーン本体1に組み付けるベゼル2を示す斜視図であり、ディスプレイ3を開閉可能とするための開口21を有し、コ字状に形成されている。ここでベゼル2の形状はコ字状に限定されるものでなく、口の字形としてもよい。そして、コ字状基部の中央には、ディスプレイ3のロック開放ボタン16が貫通突出するための穴22が設けられている。
【0012】
図3はスクリーン本体1にベゼル2を組み付けた状態を示す斜視図であり、図4は図3の状態において、ロック開放ボタン16を操作してロックを外し、ディスプレイ3を使用状態に開いた状態を示す斜視図である。
【0013】
図7はスクリーン本体1と、このスクリーン本体1が取り付けられ車両等の移動体側に設けられたブラケット4を示す側面図であり、このブラケット4には、仮保持用フック13の誘い穴41と位置決めリブ14の位置決め穴42および仮保持用フック13の係止爪13cが係合する係合穴43が形成されている。誘い穴41は図8に示すように、一端側は幅広く他端側は仮保持用フック13の厚みに近い幅狭に形成されている。また、位置決め穴42は図9、図10に示すように、中央部の幅が広く両端側が位置決めリブ14の厚みに近い幅狭に形成された鍵穴状に形成されている。そして、誘い穴41および位置決め穴42は、幅広部と幅狭部との間が斜面または曲線で接続されている。
【0014】
次に組み付け動作について説明する。まず、図7に示すように、スクリーン本体1を手(図示せず)で持ち上げてブラケット4の誘い穴41に仮保持用フック13を合わせ、スクリーン本体1をブラケット4と平行に配置する。そして、スクリーン本体1をブラケット4に押し付けるようにして、仮保持用フック13を誘い穴41に挿入した後、図8に拡大して示すように、仮保持用フック13の垂直片13aが誘い穴41の幅狭部に位置するまで移動させる。
【0015】
移動後、スクリーン本体1から手を放すと、スクリーン本体1は仮保持用フック13が重心位置からずれた位置にあるため、図9に示すように仮保持用フック13の係合爪13cがブラケット4の係合穴43に係合して仮止めされるとともに、その仮保持用フック13を回動軸とし、一端側がブラケット4から離れる方向に他端側が近づく方向に傾き回動する。このため、図10に拡大して示すように、ブラケット4に近づく他端側に設けた位置決めリブ14が位置決め穴42に進入する。この進入によって、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが自然に行われる。
このため、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせを特別に行うことなく、取り付け穴17とネジ締め穴44を貫通して取り付けねじ5を通すことができ、ブラケット4側のナット6に取り付けねじ5を螺合することにより、スクリーン本体1のブラケット4に対するネジ止め作業を容易に行うことができる。
【0016】
この実施の形態1の電気機器の仮固定装置は、スクリーン本体1に重心位置から外れた位置に設けた仮保持用フック13によって、スクリーン本体1を傾けてブラケット4に仮止めし、この傾きによって位置決めリブ14が位置決め穴42に自然に誘い込まれるので、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが自然に行われ、ブラケット、つまり、車両に対する取り付け作業が容易になる。このように、仮保持用フック13を誘い穴41に挿入してスクリーン本体1を傾けるという一工程で、スクリーン本体1のブラケット4に対する仮固定、ネジ締め位置合わせの二つの作業を容易に行うことができ、作業性を大幅に改善することができるという効果がある。
【0017】
実施の形態2.
実施の形態1における仮保持用フック13は逆L字型に形成されているが、この実施形態2では、図11に示すように、この仮保持用フック13の平行片13bのブラケット対向面に係合爪13cの基部から該平行片の基部に向かって角度θの上向き傾斜13dをつけたもので、予めこの角度θをスクリーン本体1の仮保持時の傾きに対応させて調整しておくことにより、スクリーン本体1の仮保持時の傾きを規定することができる。この結果、仮保持時に、スクリーン本体1の位置決めリブ14が確実に位置決め穴42に誘い込まれて、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが行われ、ブラケット4に対するスクリーン本体1のネジ止め作業をより容易に行うことができる。
【0018】
実施の形態3.
実施の形態1における誘い穴41は一端側が幅広く他端側が仮保持用フック13の厚みに近い幅狭に形成されているが、この実施の形態3では、図12に示すように、一端側は仮保持用フック13の長さに近似する長さ分は幅広く他端側は垂直片13aの幅Wに近似する長さ分は仮保持用フック13の厚みに近い幅に形成され、その両者を繋ぐ中間部41aは斜面で接続した羽子板状に形成されている。そして、仮保持用フック13が移動する誘い穴41の延長線上に、仮保持用フック13の垂直片13aの係合穴43が形成されている。また、位置決め穴42は図13に示すように、中間部が最も幅広く、この幅広中間点から位置決めリブ14の厚みに近い幅に形成した左右の穴縁を斜面42aで接続した構成である。
【0019】
このように構成すると、誘い穴41は仮保持用フック13を通し易くなるとともに、このスクリーン本体1が自重で傾くのに従って位置決めリブ14が容易に位置決め穴42に誘い込まれ、スクリーン本体1の取り付け穴17とブラケット4のネジ締め穴44との位置合わせが確実に行われる。この状態で取り付け穴17とネジ締め穴44を貫通して取り付けねじ5を通すことができ、ブラケット4側のナット6に取り付けねじ5を螺合することにより、スクリーン本体1のブラケット4に対するネジ止め作業を容易に行うことができる
【0020】
なお、実施の形態1〜実施の形態3では、スクリーン本体1の天板11に仮保持用フック13、位置決めリブ14を形成したものであるが、この仮保持用フック13、位置決めリブ14は本体ケース12に取り付けてもよい。また、仮保持用フック13、位置決めリブ14をブラケット4側に、誘い穴41、位置決め穴42、係合穴43をスクリーン本体1側に設けてもよい。この場合、スクリーン本体1側に設ける仮保持用フック13あるいは誘い穴41は、スクリーン本体1の重心のずれた位置に設けることは必要である。
【0021】
上記の実施の形態では、電子機器としての天吊りタイプスクリーンを車両の天井面に固定する場合について説明したが、この発明の仮固定構造は、電車および船舶等の移動体あるいは建物内の天井面に電気機器を固定する場合にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 スクリーン本体、2 ベゼル(カバー)、3 ディスプレイ、4 ブラケット、5
取り付けねじ、6 ナット、11 天板、12 本体ケース、13 仮保持用フック、14 位置決めリブ、15 軸受け部、16 ロック開放ボタン、17 取り付け穴、21 開口、22 穴、31 軸受け部、41 誘い穴、42 位置決め穴、43 係合穴。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の一面に固定されるブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられる機器本体と、
前記機器本体および前記ブラケットのいずれか一方に設けられた誘い穴と、
他方に重心よりずれた位置に設けられ、かつ、前記誘い穴に嵌合可能な仮保持用フックと、
前記仮保持用フックを前記誘い穴に通して前期機器本体を仮保持したとき、重心のずれにより傾いて前記ブラケットに接近する前記機器本体側において、前記機器本体および前記ブラケットのいずれか一方に設けられた位置決め穴と、
他方に設けられ、かつ、前記位置決め穴に嵌合してネジ位置を合わせる位置決めリブと
を備えた電子機器の仮固定構造。
【請求項2】
仮保持用フックは先端に係合爪を有し、前記仮保持用フックの垂直片が誘い穴内を終端まで移動したとき前記係合爪が係合する係合穴をブラケットに設けたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項3】
位置決めリブは、ネジ締め位置近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項4】
仮保持用フックは、垂直片の先端部から平行に延びる平行片と、この平行片の先端部に形成された係合爪とを有し、前記係合爪の基部から前記平行片の基部に向かって角度θの上向き傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項5】
誘い穴および位置決め穴は、仮保持用フックおよび位置決めリブの挿入部が幅広く該仮保持用フックおよび位置決めリブの移動終端部が幅狭く形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項1】
室内の一面に固定されるブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられる機器本体と、
前記機器本体および前記ブラケットのいずれか一方に設けられた誘い穴と、
他方に重心よりずれた位置に設けられ、かつ、前記誘い穴に嵌合可能な仮保持用フックと、
前記仮保持用フックを前記誘い穴に通して前期機器本体を仮保持したとき、重心のずれにより傾いて前記ブラケットに接近する前記機器本体側において、前記機器本体および前記ブラケットのいずれか一方に設けられた位置決め穴と、
他方に設けられ、かつ、前記位置決め穴に嵌合してネジ位置を合わせる位置決めリブと
を備えた電子機器の仮固定構造。
【請求項2】
仮保持用フックは先端に係合爪を有し、前記仮保持用フックの垂直片が誘い穴内を終端まで移動したとき前記係合爪が係合する係合穴をブラケットに設けたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項3】
位置決めリブは、ネジ締め位置近傍に設けたことを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項4】
仮保持用フックは、垂直片の先端部から平行に延びる平行片と、この平行片の先端部に形成された係合爪とを有し、前記係合爪の基部から前記平行片の基部に向かって角度θの上向き傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【請求項5】
誘い穴および位置決め穴は、仮保持用フックおよび位置決めリブの挿入部が幅広く該仮保持用フックおよび位置決めリブの移動終端部が幅狭く形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器の仮固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−188804(P2010−188804A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33910(P2009−33910)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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