電子機器の吸音装置
【課題】電子機器の冷却性能を維持しつつ、かつ、装置の大型化を伴うことなく、騒音低減能力を向上できる電子機器の吸音装置を実現する。
【解決手段】ディスクアレイ装置1の背面の左右に複数設けられた送風機3からの冷却風の流路に吸音装置を構成するフレーム4が設けられる。フレーム4の内部には送風機3と対向する位置に吸音機能を有する吸音部5が配置される。吸音部5に挟持されたフレーム4の空間には送風機3からの冷却風の流路7が設けられ、流路7内には吸音機能を有する吸音板6が流路7の側面が互いに平行関係にならない位置に配置される。吸音装置はフレーム4、吸音部5、吸音板6、冷却風流路6を備える。吸音部5および吸音板6は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成される。吸音部5および吸音板6は、吸音装置の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置される構成となっている。
【解決手段】ディスクアレイ装置1の背面の左右に複数設けられた送風機3からの冷却風の流路に吸音装置を構成するフレーム4が設けられる。フレーム4の内部には送風機3と対向する位置に吸音機能を有する吸音部5が配置される。吸音部5に挟持されたフレーム4の空間には送風機3からの冷却風の流路7が設けられ、流路7内には吸音機能を有する吸音板6が流路7の側面が互いに平行関係にならない位置に配置される。吸音装置はフレーム4、吸音部5、吸音板6、冷却風流路6を備える。吸音部5および吸音板6は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成される。吸音部5および吸音板6は、吸音装置の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置される構成となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクアレイ装置等の電子機器の吸音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器に用いられる情報処理装置であるCPUに代表されるような半導体の高性能化により、情報機器内部の高密度化・高発熱化が進行している。それに伴い、冷却用送風機の実装数および回転数の増大により、機器の騒音が上昇傾向にある。
【0003】
また、情報記録装置であるハードディスクドライブの低価格化・大容量化に伴い、これまで大規模事業所等で利用されてきた情報機器が、小規模事業所や個人で利用される頻度が高くなり、機器の低騒音化の要望が強くなっている。
【0004】
従来の低騒音化の対策としては、筐体内に設置されている送風機の回転数を低下させる方法、または、筐体内部の送風機近傍あるいは筐体外部の情報機器を搭載しているラックキャビネット等に、吸音材料を用いた吸音構造を設置する方法等がある。
【0005】
例えば、筐体の前面あるいは背面に複数の送風機が配置されているディスクアレイ装置に、吸音構造を設置する場合、送風機からの冷却風の流路を所定の間隔で複数配置された吸音部間で形成された通路とし、送風機からの放射音が、吸音部に衝突し吸音され、騒音が低減される構造となっている。
【0006】
吸音構造による低騒音化対策に関する従来技術としては、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−156533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来技術における吸音装置にあっては、電子機器の外部から送風流路を通して直接、送風機が目視できる構造となっているため、送風機からの放射音の中には吸音部に吸音されずに流路を通過して電子機器外部へ放射される直接音が存在し、騒音を効果的に抑制することができないという問題があった。
【0009】
また、複数の吸音部で形成される冷却風の流路の側面が互いに平行である場合、その空間において定在波が励起され、その特定の周波数で音が増大するという問題があった。
【0010】
さらに、従来の吸音装置では、十分な吸音性能を得ようとした場合、流路を狭くして、外部への音の放射を遮断する方法が採られるが、この場合には冷却風の圧力損失が増加し、ディスクアレイ装置等の電子機器の冷却性能が低下するという問題があった。
【0011】
ディスクアレイ装置等の電子機器の冷却性能を維持した状態で十分な吸音性能を得るには、より大きな吸音面積を確保する必要があり、これまで以上に長い流路が必要であった。この場合には、吸音構造の容積が大きくなり、電子機器大型化を招くという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、電子機器の冷却性能を維持しつつ、かつ、装置の大型化を伴うことなく、騒音低減能力を向上できる電子機器の吸音装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0014】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、上記通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気された冷却風が通過する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音部と、上記冷却風流路内に配置され、上記冷却風流路内の内側面に対して傾斜又は湾曲する面形状を有する吸音材とを備え、上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されているものとする。
【発明の効果】
【0015】
電子機器の冷却性能を維持しつつ、かつ、装置の大型化を伴うことなく、騒音低減能力を向上できる電子機器の吸音装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1の概略斜視図である
【図2】本発明の実施例1の概略上面断面図である。
【図3】本発明の実施例1の配置位置関係の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の吸音板の変形例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の説明図である。
【図6】本発明の実施例2における騒音測定値を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例3の上面概略断面図である。
【図8】本発明の実施例4の説明図である。
【図9】本発明の実施例5の説明図である。
【図10】本発明の実施例6の説明図である。
【図11】本発明の実施例7の説明図である。
【図12】本発明の実施例8の説明図である。
【図13】本発明の実施例9の説明図であり、側面を示す図である。
【図14】本発明の実施例9の説明図であり、正面を示す図である。
【図15】本発明とは異なる構成の例を示し、本発明との比較例を示す図である。
【図16】本発明の実施例10の説明図である。
【図17】本発明の実施例11の説明図である。
【図18】本発明の実施例12の説明図である。
【図19】本発明の実施例13の説明図である。
【図20】本発明の実施例14の説明図であり、正面を示す図である。
【図21】本発明の実施例14の説明図であり、側面を示す図である。
【図22】本発明の実施例14における装置内部の発熱体温度測定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1の概略構成を示す斜視図であり、図2はその上面概略断面図である。実施例1は、本発明をディスクアレイ装置に適用した場合の例である。
【0019】
図1、図2に示すように、ディスクアレイ装置1は、筐体27の内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために筐体27の前面側(図2における下側)における左右に複数設けられた送風機3とを備えている。なお、送風機3は、筐体27の背面側(図2における上側)における左右に複数設けてもよい。このディスクアレイ装置1には、冷却風が通過する通気口として、吸気口(図示せず)及び排気口35が形成されており、送風機3が排気口35から筐体27の内部空気を排気することにより、吸気口から外部の空気を吸気し、筐体27の内部を冷却する構成となっている。そして、送風機3の排気口35からの冷却風の流路に吸音装置を構成するフレーム4が設けられている。
【0020】
フレーム4の内部には、送風機3の排気口35と対向する位置に吸音機能を有する吸音部5が配置されている。また、図1に示すように、吸音部5に挟持されたフレーム4の空間には、送風機3からの冷却風の流路(冷却風流路)7を、また、その流路7と吸音装置の外側には図2に示すように開口部8が設けられている。
【0021】
さらに、図1に示すように、吸音部5に挟持された送風機3からの冷却風の流路7内には、吸音機能を有する吸音板(吸音材)6が流路7の側面が互いに平行関係にならない位置に配置されている。図1に示した例では、吸音板6は、冷却風流路7を形成する吸音部5の側面に対して、傾斜する構成となっており、冷却風流路7が、開口部8側から見て、直角三角形が2つ形成される構成である。
【0022】
吸音部5および吸音板6は、筐体27との間に空間(間隙)9を設けて配置されている。つまり、筐体27のフレーム又は吸音装置のフレームが、吸音装置又は筐体27の裏面又は前面に接触し、空間9が形成されている。これは、送風機3の排気口35が形成された面と、吸音部5との間に空間9が形成され、この空間9と冷却風流路7とが連通し、排気口35からの冷却風が開口部8から外部に排出されることとなる。
【0023】
吸音装置は、フレーム4と、吸音部5と、吸音板6と、冷却風流路7とを備えている。吸音部5および吸音板6は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成されており、ディスクアレイ装置1の騒音に対応する最適な吸音材料を選定し、吸音部5および吸音板6を構成する吸音材料の一部または全てに導入することが可能である。
【0024】
吸音部5および吸音板6は、吸音装置の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置される構成となっている。
【0025】
上記構成について、図3を参照して説明する。吸音装置の一方の吸音部5aの流路7を形成する側面の空間9側の辺上の任意点aと、吸音装置の他方の吸音部5bの流路7を形成する側面の開口部8側の辺上の任意点bとを結ぶ線の延長線である直線L1が、送風機3aの開口(排気口35)に交差せず、冷却風の流路7を通過する構成となっている。そして、吸音装置の他方の吸音部5bの流路7を形成する側面の空間9側の辺上の任意点cと、吸音装置の他方の一方の吸音部5aの流路7を形成する側面の開口部8側の辺上の任意点dとを結ぶ線の延長線である直線L2が、送風機3bの開口(排気口35)に交差せず、冷却風の流路7を通過する構成となっている。
【0026】
つまり、送風機3の配置位置、吸音部5の配置位置及び寸法、流路7の配置位置及び寸法は、吸音装置の外部から冷却風の流路7を通過して、電子機器であるディスクアレイ装置1の内部に向かう直線が、ディスクアレイ装置1内部に配置された送風機3と交差しない、寸法及び配置関係となっている。
【0027】
本発明の実施例1は上記構造を有することにより、以下のような機能と効果を奏することができる。これについて、説明する。
【0028】
図2に示すように、送風機3からの放射音は、送風機3と対向する位置に設置された吸音部5に衝突し、吸音される。次に、送風機3からの放射音は吸音部5と筐体27との間の空間9から吸音部5および吸音板6によって形成された流路7へ流入する。この際、流路7の入口部において、流路7へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入する。そのため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0029】
そして、送風機3からの放射音は吸音部5および吸音板6と衝突を繰り返しながら流路7を通過し、開口部8から吸音装置の外部へ放射される。
【0030】
音は吸音部5および吸音板6へ衝突する度に吸音され減音されるので、ディスクアレイ装置1の騒音を低減することができる。さらに、吸音部5および吸音板6は、吸音構造の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置されているため、送風機3からの直接音が存在せず、ディスクアレイ装置1の騒音を低減することができる。
【0031】
また、図1に示すように、吸音部5および吸音板6によって形成された流路7の側面は、互いに傾斜し、平行関係ではない。そのため、流路7の空間において励起される定在波を抑制することができ、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【0032】
筐体27の左右に複数配置された送風機3は、ディスクアレイ装置1の使用状況によっては、左右の送風機3の回転数の差により左右で冷却風量に差が生じる場合がある。この場合、冷却風量が多い側の流路7を広く設けることで、ディスクアレイ装置1の冷却性能の低下を防止することができる。
【0033】
図1に示した例では、吸音板6により分割される流路7の空間の広さは左右空間で同じであるが、吸音板6の設置位置や数量あるいは角度を変更することにより、流路7の分割空間の広さを変更することが可能である。図4は、吸音板6により分割される流路7の空間の広さを変更する例を示す図であり、ディスアレイ装置1の正面から見て左側の送風機3からの冷却風量が右側のそれに比べて多い場合の吸音構造の正面図である。
【0034】
図4において、吸音板6は、途中で屈曲した形状となっており、流路7の内部空間が不均一に分割されている。
【0035】
このように、吸音板6を左右の冷却風量の大小に合う設置位置や数量、あるいは角度にすることで、ディスクアレイ装置の冷却性能の維持が可能となる。
【0036】
さらに、従来の吸音構造に比べて流路7を短くでき、かつ流路7を広く設けているので、ディスクアレイ装置1の冷却性能の維持が可能であり、かつ薄型の吸音構造が提供できる。
【0037】
そして、本発明の実施例1における吸音装置は、開閉可能なドア型としてディスクアレイ装置1に設置される。つまり、フレーム4と筐体27との間にヒンジを取り付け、このヒンジを中心として、吸音装置が回動可能な構成とし、ドア型となっている。
【0038】
そのため、この吸音装置を開けた状態では、ディスクアレイ装置1の内部に設置されている記録媒体2等の交換やディスクアレイ装置1の内部のメンテナンス等が可能となる。
【0039】
なお、フレーム4は板材等硬い材料で構成されている。吸音部5および吸音板6は、吸音装置の外側から直接触れることを防ぐために、流路7を形成する部分以外はフレーム4で覆われている。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2の要部を図5に示す。図5は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料10、吸音材料11、吸音材料12を積層させた吸音部5の上面断面図である。他の構成は、本発明の実施例1と同様である。よって、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の実施例2のように、吸音特性の異なる複数の吸音材料10〜12を積層させることで、その吸音部5全体の吸音特性の設計が可能となる。つまり、送風機3の回転数の変更に伴って変化する騒音に対応する最適な吸音材料を選定し、最適な組み合わせで吸音材料を積層させることで、効果的にディスクアレイ装置1の騒音を低減できる。
【0042】
なお、吸音板6においても、吸音部5と同様に、複数の吸音材料を積層させた構造にすることが可能である。
図6は、ディスクアレイ装置に本発明の実施例1、実施例2により吸音装置を適用した場合のディスクアレイ装置の騒音測定値を示すグラフである。
【0043】
図6において、横軸は周波数、縦軸はA特性補正処理を施した騒音レベルである。図6に示した測定値は、ディスクアレイ装置1の排気側の正面1メートル点での値である。図6中の破線は、吸音装置が取り付けられていないディスクアレイ装置1の騒音値、実線は本発明の吸音装置をディスクアレイ装置1の排気側のみに設置した場合の騒音値である。
図6に示されているように、破線に対して実線は、全帯域における周波数で騒音が低減されていることがわかる。
【実施例3】
【0044】
図7は、本発明の実施例3の上面概略断面図である。図7に示した実施例3は、本発明の実施例1において、吸音部5の送風機3側の表面に複数の凹凸部を形成した吸音部13を採用している。
【0045】
このように、吸音部の表面を凹凸形状にした吸音部13とすることによって、吸音面積を拡大することができ、ディスクアレイ装置1の騒音をさらに低減させることができる。
【0046】
他の構成は、本発明の実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
なお、取扱者の吸音部13の凸部よる怪我等を防止するために、メッシュのような薄い布14で凹凸形状を覆い、吸音部13への直接接触を防止することが望ましい。この場合、薄い布14は音を通過させるので、吸音面積の拡大は維持される。
【実施例4】
【0048】
図8は、本発明の実施例4の上面概略断面図である。図8に示した実施例4は、実施例1の吸音板6を、2箇所の屈曲部で屈曲させ、正面から見て吸音部5の側面及びフレーム4と共に4つの三角形を形成する吸音板15とした例である。
【0049】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0050】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板15に衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例5】
【0051】
図9は、本発明の実施例5の上面概略断面図である。この実施例5は、本発明の実施例1の吸音板6を、正面から見て波型に湾曲した形状で構成された吸音板16とした例である。
【0052】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0053】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板16に衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例6】
【0054】
図10は、本発明の実施例6の上面概略断面図である。この実施例6は、本発明の実施例1の吸音板6を、正面から見て枝状に分岐した形状で構成された吸音板17とした例である。つまり、吸音板6は、平面状部材と、この平面状部材から枝状に分岐した分岐部材とを有している。
【0055】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0056】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板17に衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例7】
【0057】
図11は、本発明の実施例7の上面概略断面図である。この実施例7は、本発明の実施例1の吸音板6を、正面から見てX字形状に構成された吸音板28a、28bとした例である。
【0058】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0059】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板28a、28bに衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例8】
【0060】
図12は、本発明の実施例8の上面概略断面図である。この実施例8は、本発明の実施例1の吸音板6に代えて、正面から見て円形状の開口部18を有する冷却風流路が形成された吸音材19とした例である。つまり、冷却風流路7は、円筒形状の通路となっている。
【0061】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図12において、吸音材19で囲まれた部分は送風機3からの冷却風の流路7であり、吸音部5とフレーム4で囲まれた部分には、吸音材19が設置されている。
【0063】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音材19に衝突し吸音されるとともに、流路7の内側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【0064】
なお、吸音材19は実施例2と同様に、複数の吸音材料を積層させた構造とすることが可能である。
【実施例9】
【0065】
図13は、本発明の実施例9の側面概略側面図であり、図14は、この実施例の上面概略断面図である。
【0066】
ディスクアレイ装置20は、筐体27の内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために筐体27の前面または背面に複数設けられた送風機3とを備えている。吸音装置を構成するフレーム4の内部には、吸音装置の外部から送風機3が直接目視できない位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料21、吸音材料22、吸音材料23の複数の吸音材料を積層させた積層吸音部24を傾斜させて複数配置する。
【0067】
このとき、積層吸音部24は送風機3からの冷却風の流路7を設けて配置されている。また、積層吸音部24と筐体との間には、空間9を設ける。さらに、流路7は図14に示すように、流路7の側面が互いに平行関係ではない構成となっている。他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0068】
このような構造により、図13に示すように、送風機3からの放射音は積層吸音部24に衝突し、吸音される。次に、放射音は積層吸音部24と筐体27との間の空間9から積層吸音部24によって形成された流路7へ流入する。この際、流路7の入口部において、流路7へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入する。そのため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0069】
そして、送風機3からの放射音は積層吸音部24への衝突を繰り返しながら流路7を通過し、開口部8から吸音装置の外部へ放射される。放射音は積層吸音部24へ衝突する度に吸音され減音されるので、ディスクアレイ装置20の騒音を低減することができる。さらに、積層吸音部24は吸音装置の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置されているため、送風機3からの直接音が存在せず、ディスクアレイ装置20の騒音を低減することができる。
【0070】
また、上述した実施例2と同様に、送風機3の回転数の変更に伴って変化する騒音に対応する最適な吸音材料を選定し、最適な組み合わせで積層させることで、効果的にディスクアレイ装置の騒音を低減できる。
【0071】
さらに、流路7の側面が互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、特定の周波数における音の増大を抑制できる。
【0072】
また、従来の吸音構造に比べて流路を短くできるため、薄型の吸音構造が提供できる。
【0073】
図15は、本発明とは、異なる例であり、本発明との比較例を示す図である。
【0074】
図15において、ディスクアレイ装置29の筐体の前面あるいは背面に複数の送風機3が配置されている。そして、送風機3からの冷却風の流路を所定の間隔で複数配置された吸音部26間で形成された通路7とし、送風機3からの放射音が、吸音部26に衝突し吸音され、騒音が低減される吸音構造25となっている。
【0075】
この図15に示した例の吸音装置にあっては、ディスクアレイ装置29の外部から送風通路7を通して直接、送風機3が目視できる構造となっているため、送風機3からの放射音の中には吸音部に吸音されずに通路7を通過してディスクアレイ装置29の外部へ放射される直接音が存在し、騒音を効果的に抑制することができない。
【0076】
また、複数の吸音部26で形成される冷却風の流路7の側面が互いに平行である場合、その空間において定在波が励起され、その特定の周波数で音が増大するという問題もある。
【0077】
さらに、図15に示した吸音装置では、十分な吸音性能を得ようとした場合、流路7を狭くして、外部への音の放射を遮断する方法が採られるが、この場合には冷却風3の圧力損失が増加し、ディスクアレイ装置29の冷却性能が低下するという問題がある。
【0078】
この図15に示した例と比較して本発明の吸音装置は、吸音装置の外部から送風機を直接目視できない構成となっているため、送風機からの直接音が存在せず、ディスクアレイ装置1の騒音を低減することができる。
【0079】
また、流路の側面が互いに平行関係ではないため、その空間での定在波を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制できる。
【0080】
さらに、流路を広く設けているために、圧力損失を低減でき、ディスクアレイ装置の冷却性能を維持できる。また、従来の吸音構造に比べて流路を短くできるので、吸音構造の薄型化が可能である。
【0081】
なお、上述した例は、本発明をディスクアレイ装置用の吸音装置に適用した場合の例であるが、ディスクアレイ装置のみならず、サーバやメモリ装置等の他の電子機器に用いられる吸音装置に適用可能である。
【0082】
さらに、上述した例は、筐体27の前面部の両側に送風機3が配置される例であるが、筐体27の前面部の片側一方のみに送風機が配置される例にも本発明は適用可能である。
【0083】
この場合、図3に示したような関係が保つことができれば、開口部8の位置は、吸音装置の前面部の中央に位置する必要は無い。
【0084】
さらに、上述した例は、冷却風流路7を形成する2つの吸音部5の側面は、互いに平行関係となっており、冷却風流路7内に吸音板6を配置して、音の定在波の発生を抑制する構成としたが、冷却風流路7を形成する2つの吸音部5の側面が互いに平行関係とならないように、構成することも可能である。
【0085】
例えば、吸音部5の一方の側面又は両側面に複数の凹凸部を形成することもできる。また、上記両側面を互いにハの字形状となるように形成したり、表面を曲面形状とすることもできる。
【実施例10】
【0086】
図16は、本発明の実施例10の上面概略断面図である。この図に示すディスクアレイ装置20は、装置内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために装置内部の前面側における左右に複数設けられ、筐体27内の排気(あるいは吸気)を行う送風機3a,3bとを備えている。
【0087】
吸音装置を構成するフレーム4の内部には、送風機3a,3bの通気口(排気口)35と対向する位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成された吸音部5が配置されている。また、2つの吸音部5に挟まれたフレーム4内の空間には送風機3a,3bからの冷却風の流路7が設けられており、その流路7の吸音装置における外側は外部に開口している。
【0088】
流路7は、フレーム4における内側の流路幅30aと外側の流路幅30bが、流路7のそれ以外の部分の幅に比べて広くなっている。つまり、図16に示すように、流路7の流路幅はフレーム4の外側から内側(ディスクアレイ装置20)に向かって、一旦縮小して最小値をとり、その後拡大するようになっており、各吸音部5の水平断面における流路7側の形状は三角形となっている。なお、この三角形の各頂点が丸みをもつように吸音部5を形成しても良い。また、吸音部5は実施例2のように複数の吸音材料を積層させた構造にすることが可能である。
【0089】
吸音部5は、実施例1と同様に、吸音装置の外部から送風機3a,3bを直接目視できないような形状及び配置とされている。すなわち、図16に示すように、一方の吸音部5の水平断面において流路7側に表れる三角形の頂点を、空間9側から吸音装置の前面に向かって順番にa1,a2,dとし、他方の吸音部5の水平断面において流路7側に表れる三角形の頂点を同様にc1,c2,bとしたとき、点bと点a1又は点a2とを結ぶ線の延長線である直線L1が、送風機3aの通気口35と交差することなく流路7を通過する構成となっており、点dと点c1又は点c2とを結ぶ線の延長線である直線L2が、送風機3bの通気口35と交差することなく流路7を通過する構成となっている。
【0090】
なお、フレーム4は板材等の硬い材料で構成されている。吸音部5は、吸音装置の外側から人に直接触れられることを防ぐために、流路7を形成する部分以外はフレーム4で覆われている。
【0091】
このように吸音装置を構成すると、送風機3a,3bからの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、ディスクアレイ装置20からの放射音が流路7へ流入する際、流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入するため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0092】
また、流路7の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。
【0093】
さらに、流路7の流出口の幅30bが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0094】
また、流路7の流入口の幅30aが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例11】
【0095】
図17は、本発明の実施例11の上面概略断面図である。この実施例11は、本発明の実施例10と異なり、各吸音部5の水平断面における流路7側の形状が略台形状に構成された例である。なお、吸音部5の水平断面における流路7側の形状は、さらに頂点を増やした形状(5角形以上の形状)としてもよい。他の構成は図16に示した実施例10と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
このように吸音装置を構成しても、送風機3からの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、ディスクアレイ装置20からの放射音が流路7へ流入する際、流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入するため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0097】
また、流路7の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。特に、流路7の形状は実施例10と比較して滑らかに形成されているので、実施例10よりも冷却風の流量を増加することができ、冷却効果はさらに向上する。
【0098】
さらに、流路7の流出口の幅30bが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0099】
また、流路7の流入口の幅30aが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例12】
【0100】
図18は、本発明の実施例12の上面概略断面図である。この図に示すディスクアレイ装置20は、装置内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために筐体27の前面側に複数設けられた送風機3とを備えている。この実施例における送風機3は、それぞれ、上記各実施例の設置位置よりも筐体27内の中央寄りに配置されている。
【0101】
吸音装置を構成するフレーム4の内部には、送風機3の通気口(排気口)35と対向する位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成された吸音部5が配置されている。また、2つの吸音部5に挟まれたフレーム4内の空間には送風機3からの冷却風の流路7が設けられており、さらに、フレーム4と各吸音部5に挟まれた空間であってフレーム4の左右に位置する部分には、冷却風の流路29がそれぞれ設けられている。なお、図18に示した例では、フレーム4内に合計3つの冷却風の流路(流路7及び2つの流路29)が設けられているが、ディスクアレイ装置の冷却性能を維持できる範囲であれば、4つ以上の流路を設けることも可能であり、また、例えば流路7を省略して2つの流路29のみとすることも可能である。
【0102】
吸音部5は、実施例10と同様に、3つの流路7,29,29のいずれを介しても、外部から送風機3が直接目視できないような形状及び配置とされている。また、流路29の流路幅は、実施例10における流路7のそれと同様に、フレーム4の外側から内側に向かって、一旦縮小して最小値をとり、その後拡大するようになっている。なお、他の構成は、本発明の実施例10と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0103】
このように吸音装置を構成すると、送風機3からの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、流路7および流路29へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7および流路29へ流入するため、流路7および流路29へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0104】
また、流路7および流路29の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。
【0105】
さらに、流路7の流出口の幅30bおよび流路29の流出口の幅33bが広くなっていることにより、流路7および流路29を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0106】
また、流路7の流入口の幅30aおよび流路29の流入口の幅33aが広くなっていることにより、その部分を通過する冷却風の流速を低下させて冷却風を排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例13】
【0107】
図19は、本発明の実施例13の側面概略側面図である。この実施例13は、実施例9における流路7の上下方向の幅を変更したものに相当する。すなわち、本実施例における流路7は、フレーム4の内側における高さ方向の幅30aと、フレーム4の外側における高さ方向の幅30bとが、流路7のそれ以外の部分の幅に比べて広くなるように形成されている。さらに換言すれば、積層吸音部24の垂直断面における流路7側の形状が三角形となるように形成されている。なお、実施例10と同様に、この三角形の各頂点が丸みをもつように吸音部24を形成しても良い。また、この形状は三角形だけではなく、実施例11のようにその形状が台形であってもよい。さらに、図19では、積層吸音部24を構成する吸音材23の流路7側の表面のみ三角形の形状としている、さらに、吸音材23と対向する吸音材21の流路7側の表面を三角形の形状にしてもよい。つまり、積層吸音部24の上下2面ともに三角形の形状としてもよい。なお、他の構成は、本発明の実施例9と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0108】
このように吸音装置を構成すると、送風機3からの放射音は積層吸音部24に衝突し、吸音されるとともに、流路7へ流入する音が流入前に比べて減少するため、騒音は低減する。
【0109】
また、流路7の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。
【0110】
さらに、流路7の流出口の幅30bが広くなっていることにより、その部分を通過する冷却風の流速を低下させて冷却風を排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0111】
また、流路7の流入口の流路幅30aが広くなっていることにより、その部分を通過する冷却風の流速を低下させて冷却風を排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例14】
【0112】
図20は、本発明の実施例14のフレーム外部からディスクアレイ装置方向を見た正面概略図である。また、図21は本発明の実施例14の側面概略断面図である。
【0113】
これらの図に示す吸音装置を構成するフレーム4の内部には、実施例1と同様に、吸音装置の外部から送風機3が直接目視できない位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音部5が配置されている。なお、吸音部5は、本発明の実施例2のように、複数の吸音材料を積層させた構造であってもよい。また、2つの吸音部5に挟まれた送風機3からの冷却風の流路7は、本発明の実施例10のように、流入口の流路幅と流出口の流路幅が、流路7のそれ以外の部分の幅に比べて広くなっていてもよい。
【0114】
本実施例のディスクアレイ装置20は、図21に示すように、上下方向(縦方向)に並べて配置された2つの筐体(筐体31a及び筐体31b)によって構成されている。流路7内における筐体31aと筐体31bの境界に相当する位置には、仕切板32が固定されており、この仕切板32によって、流路7は、筐体31a内と連通する流路と、筐体31b内と連通する流路の2つに分割されている。
【0115】
仕切板32を上記のように流路7内に固定する方法としては、仕切板32をディスクアレイ装置20に接続するもの(つまり、ディスクアレイ装置20の構造の一部とする方法)や、フレーム4に接続するものがある。なお、騒音の低減を図る観点からは、仕切板32は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成することが好ましい。また、他の構成は、本発明の実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0116】
ところで、ディスクアレイ装置を独立した複数の筐体を組み合わせて構成した場合には、各筐体構造の違い等に応じて、各筐体内の記録媒体2を異なる条件で冷却する場合(例えば、同一の送風機を異なる回転数で回転させて冷却する)があり、各筐体から流出(又は流入)する冷却風の境目に不安定な流れ生じ、これに起因してディスクアレイ装置20の冷却性能が低下する場合があった。本実施例における吸音装置は、この課題に鑑みて発明されたものであり、流路7内において上記のような仕切板32を備えている。このように流路7内に仕切板32を設置すると、ディスクアレイ装置20を複数の筐体で構成した場合にも、冷却風の境目に不安定な流れが生じることが防止されて圧力損失が低減するので、仕切板32を挿入しない場合と比較してディスクアレイ装置20の冷却性能を向上することができる。
【0117】
図22は、本発明の実施例14を適用した吸音装置をディスクアレイ装置に設置した場合における、装置内部の発熱体温度の測定値を示すグラフである。
【0118】
図22において、横軸は時間、縦軸は発熱体温度である。図22に示した測定値は、発熱体である記憶媒体2に熱伝対を設置して測定を行ったものである。また、図22中の2つの破線は、仕切板32を流路7から除去あるいは挿入した時刻を示している。なお、発熱体は装置内部の中央付近に設置されているものとする。
【0119】
図22に示されているように、仕切板32を挿入した場合には発熱体温度が低下していることがわかる。つまり、仕切板32を挿入することによりディスクアレイ装置の冷却性能を向上することができる。 さらに、本実施例の吸音装置は、実施例1と同様の吸音部5を備えているので、送風機3からの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、流路7へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入するため、流路7へ流入する音を流入する前に比べて減少させることができる。また、仕切板32を吸音材料で構成した場合には、流路7を通過する音が仕切板に衝突し吸音されて外部へ放射されるため、装置の騒音をさらに低減することができる。
【0120】
なお、上記の実施例14では、ディスクアレイ装置20が、上下方向に積層された2つの筐体によって構成されている場合について説明したが、複数の筐体が水平方向に並列された場合等にも適用可能なことは言うまでもない。
【0121】
また、以上の各実施例では、送風機3が筐体内の空気を通気口(排気口)35を介して排気する場合を例に挙げて説明したが、送風機3が通気口(吸気口)35を介して外部から筐体内に空気を吸気する場合にも各発明は適用可能であり、この場合にも上記と同様の効果をそれぞれ発揮することができる。
【符号の説明】
【0122】
1・・・ディスクアレイ装置、2・・・記録媒体、3・・・送風機、4・・・吸音構造を構成するフレーム、5・・・吸音部、6・・・吸音板、7・・・流路、8・・・開口部、9・・・ディスクアレイ装置と吸音構造との間の空間、10〜12・・・吸音材、13・・・凹凸形状を有する吸音部、14・・・薄い布、15・・・正面から見て三角形に屈曲した形状である吸音板、16・・・正面から見て波型に屈曲した形状である吸音板、17・・・正面から見て枝状に分岐した形状である吸音板、18・・・開口部、19・・・吸音材、20・・・ディスクアレイ装置、21〜23・・・吸音材、24・・・積層吸音部、27・・・筐体、28a、28b・・・吸音板、29・・・流路、30a,30b・・・流路幅、31a,31b・・・筐体、32・・・仕切板、33a,33b・・・流路幅、35・・・通気口(排気口)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクアレイ装置等の電子機器の吸音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器に用いられる情報処理装置であるCPUに代表されるような半導体の高性能化により、情報機器内部の高密度化・高発熱化が進行している。それに伴い、冷却用送風機の実装数および回転数の増大により、機器の騒音が上昇傾向にある。
【0003】
また、情報記録装置であるハードディスクドライブの低価格化・大容量化に伴い、これまで大規模事業所等で利用されてきた情報機器が、小規模事業所や個人で利用される頻度が高くなり、機器の低騒音化の要望が強くなっている。
【0004】
従来の低騒音化の対策としては、筐体内に設置されている送風機の回転数を低下させる方法、または、筐体内部の送風機近傍あるいは筐体外部の情報機器を搭載しているラックキャビネット等に、吸音材料を用いた吸音構造を設置する方法等がある。
【0005】
例えば、筐体の前面あるいは背面に複数の送風機が配置されているディスクアレイ装置に、吸音構造を設置する場合、送風機からの冷却風の流路を所定の間隔で複数配置された吸音部間で形成された通路とし、送風機からの放射音が、吸音部に衝突し吸音され、騒音が低減される構造となっている。
【0006】
吸音構造による低騒音化対策に関する従来技術としては、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−156533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来技術における吸音装置にあっては、電子機器の外部から送風流路を通して直接、送風機が目視できる構造となっているため、送風機からの放射音の中には吸音部に吸音されずに流路を通過して電子機器外部へ放射される直接音が存在し、騒音を効果的に抑制することができないという問題があった。
【0009】
また、複数の吸音部で形成される冷却風の流路の側面が互いに平行である場合、その空間において定在波が励起され、その特定の周波数で音が増大するという問題があった。
【0010】
さらに、従来の吸音装置では、十分な吸音性能を得ようとした場合、流路を狭くして、外部への音の放射を遮断する方法が採られるが、この場合には冷却風の圧力損失が増加し、ディスクアレイ装置等の電子機器の冷却性能が低下するという問題があった。
【0011】
ディスクアレイ装置等の電子機器の冷却性能を維持した状態で十分な吸音性能を得るには、より大きな吸音面積を確保する必要があり、これまで以上に長い流路が必要であった。この場合には、吸音構造の容積が大きくなり、電子機器大型化を招くという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、電子機器の冷却性能を維持しつつ、かつ、装置の大型化を伴うことなく、騒音低減能力を向上できる電子機器の吸音装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0014】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、上記通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気された冷却風が通過する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音部と、上記冷却風流路内に配置され、上記冷却風流路内の内側面に対して傾斜又は湾曲する面形状を有する吸音材とを備え、上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されているものとする。
【発明の効果】
【0015】
電子機器の冷却性能を維持しつつ、かつ、装置の大型化を伴うことなく、騒音低減能力を向上できる電子機器の吸音装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1の概略斜視図である
【図2】本発明の実施例1の概略上面断面図である。
【図3】本発明の実施例1の配置位置関係の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の吸音板の変形例を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の説明図である。
【図6】本発明の実施例2における騒音測定値を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例3の上面概略断面図である。
【図8】本発明の実施例4の説明図である。
【図9】本発明の実施例5の説明図である。
【図10】本発明の実施例6の説明図である。
【図11】本発明の実施例7の説明図である。
【図12】本発明の実施例8の説明図である。
【図13】本発明の実施例9の説明図であり、側面を示す図である。
【図14】本発明の実施例9の説明図であり、正面を示す図である。
【図15】本発明とは異なる構成の例を示し、本発明との比較例を示す図である。
【図16】本発明の実施例10の説明図である。
【図17】本発明の実施例11の説明図である。
【図18】本発明の実施例12の説明図である。
【図19】本発明の実施例13の説明図である。
【図20】本発明の実施例14の説明図であり、正面を示す図である。
【図21】本発明の実施例14の説明図であり、側面を示す図である。
【図22】本発明の実施例14における装置内部の発熱体温度測定値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1の概略構成を示す斜視図であり、図2はその上面概略断面図である。実施例1は、本発明をディスクアレイ装置に適用した場合の例である。
【0019】
図1、図2に示すように、ディスクアレイ装置1は、筐体27の内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために筐体27の前面側(図2における下側)における左右に複数設けられた送風機3とを備えている。なお、送風機3は、筐体27の背面側(図2における上側)における左右に複数設けてもよい。このディスクアレイ装置1には、冷却風が通過する通気口として、吸気口(図示せず)及び排気口35が形成されており、送風機3が排気口35から筐体27の内部空気を排気することにより、吸気口から外部の空気を吸気し、筐体27の内部を冷却する構成となっている。そして、送風機3の排気口35からの冷却風の流路に吸音装置を構成するフレーム4が設けられている。
【0020】
フレーム4の内部には、送風機3の排気口35と対向する位置に吸音機能を有する吸音部5が配置されている。また、図1に示すように、吸音部5に挟持されたフレーム4の空間には、送風機3からの冷却風の流路(冷却風流路)7を、また、その流路7と吸音装置の外側には図2に示すように開口部8が設けられている。
【0021】
さらに、図1に示すように、吸音部5に挟持された送風機3からの冷却風の流路7内には、吸音機能を有する吸音板(吸音材)6が流路7の側面が互いに平行関係にならない位置に配置されている。図1に示した例では、吸音板6は、冷却風流路7を形成する吸音部5の側面に対して、傾斜する構成となっており、冷却風流路7が、開口部8側から見て、直角三角形が2つ形成される構成である。
【0022】
吸音部5および吸音板6は、筐体27との間に空間(間隙)9を設けて配置されている。つまり、筐体27のフレーム又は吸音装置のフレームが、吸音装置又は筐体27の裏面又は前面に接触し、空間9が形成されている。これは、送風機3の排気口35が形成された面と、吸音部5との間に空間9が形成され、この空間9と冷却風流路7とが連通し、排気口35からの冷却風が開口部8から外部に排出されることとなる。
【0023】
吸音装置は、フレーム4と、吸音部5と、吸音板6と、冷却風流路7とを備えている。吸音部5および吸音板6は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成されており、ディスクアレイ装置1の騒音に対応する最適な吸音材料を選定し、吸音部5および吸音板6を構成する吸音材料の一部または全てに導入することが可能である。
【0024】
吸音部5および吸音板6は、吸音装置の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置される構成となっている。
【0025】
上記構成について、図3を参照して説明する。吸音装置の一方の吸音部5aの流路7を形成する側面の空間9側の辺上の任意点aと、吸音装置の他方の吸音部5bの流路7を形成する側面の開口部8側の辺上の任意点bとを結ぶ線の延長線である直線L1が、送風機3aの開口(排気口35)に交差せず、冷却風の流路7を通過する構成となっている。そして、吸音装置の他方の吸音部5bの流路7を形成する側面の空間9側の辺上の任意点cと、吸音装置の他方の一方の吸音部5aの流路7を形成する側面の開口部8側の辺上の任意点dとを結ぶ線の延長線である直線L2が、送風機3bの開口(排気口35)に交差せず、冷却風の流路7を通過する構成となっている。
【0026】
つまり、送風機3の配置位置、吸音部5の配置位置及び寸法、流路7の配置位置及び寸法は、吸音装置の外部から冷却風の流路7を通過して、電子機器であるディスクアレイ装置1の内部に向かう直線が、ディスクアレイ装置1内部に配置された送風機3と交差しない、寸法及び配置関係となっている。
【0027】
本発明の実施例1は上記構造を有することにより、以下のような機能と効果を奏することができる。これについて、説明する。
【0028】
図2に示すように、送風機3からの放射音は、送風機3と対向する位置に設置された吸音部5に衝突し、吸音される。次に、送風機3からの放射音は吸音部5と筐体27との間の空間9から吸音部5および吸音板6によって形成された流路7へ流入する。この際、流路7の入口部において、流路7へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入する。そのため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0029】
そして、送風機3からの放射音は吸音部5および吸音板6と衝突を繰り返しながら流路7を通過し、開口部8から吸音装置の外部へ放射される。
【0030】
音は吸音部5および吸音板6へ衝突する度に吸音され減音されるので、ディスクアレイ装置1の騒音を低減することができる。さらに、吸音部5および吸音板6は、吸音構造の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置されているため、送風機3からの直接音が存在せず、ディスクアレイ装置1の騒音を低減することができる。
【0031】
また、図1に示すように、吸音部5および吸音板6によって形成された流路7の側面は、互いに傾斜し、平行関係ではない。そのため、流路7の空間において励起される定在波を抑制することができ、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【0032】
筐体27の左右に複数配置された送風機3は、ディスクアレイ装置1の使用状況によっては、左右の送風機3の回転数の差により左右で冷却風量に差が生じる場合がある。この場合、冷却風量が多い側の流路7を広く設けることで、ディスクアレイ装置1の冷却性能の低下を防止することができる。
【0033】
図1に示した例では、吸音板6により分割される流路7の空間の広さは左右空間で同じであるが、吸音板6の設置位置や数量あるいは角度を変更することにより、流路7の分割空間の広さを変更することが可能である。図4は、吸音板6により分割される流路7の空間の広さを変更する例を示す図であり、ディスアレイ装置1の正面から見て左側の送風機3からの冷却風量が右側のそれに比べて多い場合の吸音構造の正面図である。
【0034】
図4において、吸音板6は、途中で屈曲した形状となっており、流路7の内部空間が不均一に分割されている。
【0035】
このように、吸音板6を左右の冷却風量の大小に合う設置位置や数量、あるいは角度にすることで、ディスクアレイ装置の冷却性能の維持が可能となる。
【0036】
さらに、従来の吸音構造に比べて流路7を短くでき、かつ流路7を広く設けているので、ディスクアレイ装置1の冷却性能の維持が可能であり、かつ薄型の吸音構造が提供できる。
【0037】
そして、本発明の実施例1における吸音装置は、開閉可能なドア型としてディスクアレイ装置1に設置される。つまり、フレーム4と筐体27との間にヒンジを取り付け、このヒンジを中心として、吸音装置が回動可能な構成とし、ドア型となっている。
【0038】
そのため、この吸音装置を開けた状態では、ディスクアレイ装置1の内部に設置されている記録媒体2等の交換やディスクアレイ装置1の内部のメンテナンス等が可能となる。
【0039】
なお、フレーム4は板材等硬い材料で構成されている。吸音部5および吸音板6は、吸音装置の外側から直接触れることを防ぐために、流路7を形成する部分以外はフレーム4で覆われている。
【実施例2】
【0040】
本発明の実施例2の要部を図5に示す。図5は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料10、吸音材料11、吸音材料12を積層させた吸音部5の上面断面図である。他の構成は、本発明の実施例1と同様である。よって、その詳細な説明は省略する。
【0041】
本発明の実施例2のように、吸音特性の異なる複数の吸音材料10〜12を積層させることで、その吸音部5全体の吸音特性の設計が可能となる。つまり、送風機3の回転数の変更に伴って変化する騒音に対応する最適な吸音材料を選定し、最適な組み合わせで吸音材料を積層させることで、効果的にディスクアレイ装置1の騒音を低減できる。
【0042】
なお、吸音板6においても、吸音部5と同様に、複数の吸音材料を積層させた構造にすることが可能である。
図6は、ディスクアレイ装置に本発明の実施例1、実施例2により吸音装置を適用した場合のディスクアレイ装置の騒音測定値を示すグラフである。
【0043】
図6において、横軸は周波数、縦軸はA特性補正処理を施した騒音レベルである。図6に示した測定値は、ディスクアレイ装置1の排気側の正面1メートル点での値である。図6中の破線は、吸音装置が取り付けられていないディスクアレイ装置1の騒音値、実線は本発明の吸音装置をディスクアレイ装置1の排気側のみに設置した場合の騒音値である。
図6に示されているように、破線に対して実線は、全帯域における周波数で騒音が低減されていることがわかる。
【実施例3】
【0044】
図7は、本発明の実施例3の上面概略断面図である。図7に示した実施例3は、本発明の実施例1において、吸音部5の送風機3側の表面に複数の凹凸部を形成した吸音部13を採用している。
【0045】
このように、吸音部の表面を凹凸形状にした吸音部13とすることによって、吸音面積を拡大することができ、ディスクアレイ装置1の騒音をさらに低減させることができる。
【0046】
他の構成は、本発明の実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0047】
なお、取扱者の吸音部13の凸部よる怪我等を防止するために、メッシュのような薄い布14で凹凸形状を覆い、吸音部13への直接接触を防止することが望ましい。この場合、薄い布14は音を通過させるので、吸音面積の拡大は維持される。
【実施例4】
【0048】
図8は、本発明の実施例4の上面概略断面図である。図8に示した実施例4は、実施例1の吸音板6を、2箇所の屈曲部で屈曲させ、正面から見て吸音部5の側面及びフレーム4と共に4つの三角形を形成する吸音板15とした例である。
【0049】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0050】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板15に衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例5】
【0051】
図9は、本発明の実施例5の上面概略断面図である。この実施例5は、本発明の実施例1の吸音板6を、正面から見て波型に湾曲した形状で構成された吸音板16とした例である。
【0052】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0053】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板16に衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例6】
【0054】
図10は、本発明の実施例6の上面概略断面図である。この実施例6は、本発明の実施例1の吸音板6を、正面から見て枝状に分岐した形状で構成された吸音板17とした例である。つまり、吸音板6は、平面状部材と、この平面状部材から枝状に分岐した分岐部材とを有している。
【0055】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0056】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板17に衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例7】
【0057】
図11は、本発明の実施例7の上面概略断面図である。この実施例7は、本発明の実施例1の吸音板6を、正面から見てX字形状に構成された吸音板28a、28bとした例である。
【0058】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0059】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音板28a、28bに衝突し吸音されるとともに、流路7を形成する側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【実施例8】
【0060】
図12は、本発明の実施例8の上面概略断面図である。この実施例8は、本発明の実施例1の吸音板6に代えて、正面から見て円形状の開口部18を有する冷却風流路が形成された吸音材19とした例である。つまり、冷却風流路7は、円筒形状の通路となっている。
【0061】
他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図12において、吸音材19で囲まれた部分は送風機3からの冷却風の流路7であり、吸音部5とフレーム4で囲まれた部分には、吸音材19が設置されている。
【0063】
このような構造により、送風機3からの放射音は吸音部5や吸音材19に衝突し吸音されるとともに、流路7の内側面は互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制することができる。
【0064】
なお、吸音材19は実施例2と同様に、複数の吸音材料を積層させた構造とすることが可能である。
【実施例9】
【0065】
図13は、本発明の実施例9の側面概略側面図であり、図14は、この実施例の上面概略断面図である。
【0066】
ディスクアレイ装置20は、筐体27の内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために筐体27の前面または背面に複数設けられた送風機3とを備えている。吸音装置を構成するフレーム4の内部には、吸音装置の外部から送風機3が直接目視できない位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料21、吸音材料22、吸音材料23の複数の吸音材料を積層させた積層吸音部24を傾斜させて複数配置する。
【0067】
このとき、積層吸音部24は送風機3からの冷却風の流路7を設けて配置されている。また、積層吸音部24と筐体との間には、空間9を設ける。さらに、流路7は図14に示すように、流路7の側面が互いに平行関係ではない構成となっている。他の構成は図1に示した実施例1と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0068】
このような構造により、図13に示すように、送風機3からの放射音は積層吸音部24に衝突し、吸音される。次に、放射音は積層吸音部24と筐体27との間の空間9から積層吸音部24によって形成された流路7へ流入する。この際、流路7の入口部において、流路7へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入する。そのため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0069】
そして、送風機3からの放射音は積層吸音部24への衝突を繰り返しながら流路7を通過し、開口部8から吸音装置の外部へ放射される。放射音は積層吸音部24へ衝突する度に吸音され減音されるので、ディスクアレイ装置20の騒音を低減することができる。さらに、積層吸音部24は吸音装置の外部から送風機3を直接目視できない位置に配置されているため、送風機3からの直接音が存在せず、ディスクアレイ装置20の騒音を低減することができる。
【0070】
また、上述した実施例2と同様に、送風機3の回転数の変更に伴って変化する騒音に対応する最適な吸音材料を選定し、最適な組み合わせで積層させることで、効果的にディスクアレイ装置の騒音を低減できる。
【0071】
さらに、流路7の側面が互いに平行関係ではないため、その空間における定在波の励起を抑制し、特定の周波数における音の増大を抑制できる。
【0072】
また、従来の吸音構造に比べて流路を短くできるため、薄型の吸音構造が提供できる。
【0073】
図15は、本発明とは、異なる例であり、本発明との比較例を示す図である。
【0074】
図15において、ディスクアレイ装置29の筐体の前面あるいは背面に複数の送風機3が配置されている。そして、送風機3からの冷却風の流路を所定の間隔で複数配置された吸音部26間で形成された通路7とし、送風機3からの放射音が、吸音部26に衝突し吸音され、騒音が低減される吸音構造25となっている。
【0075】
この図15に示した例の吸音装置にあっては、ディスクアレイ装置29の外部から送風通路7を通して直接、送風機3が目視できる構造となっているため、送風機3からの放射音の中には吸音部に吸音されずに通路7を通過してディスクアレイ装置29の外部へ放射される直接音が存在し、騒音を効果的に抑制することができない。
【0076】
また、複数の吸音部26で形成される冷却風の流路7の側面が互いに平行である場合、その空間において定在波が励起され、その特定の周波数で音が増大するという問題もある。
【0077】
さらに、図15に示した吸音装置では、十分な吸音性能を得ようとした場合、流路7を狭くして、外部への音の放射を遮断する方法が採られるが、この場合には冷却風3の圧力損失が増加し、ディスクアレイ装置29の冷却性能が低下するという問題がある。
【0078】
この図15に示した例と比較して本発明の吸音装置は、吸音装置の外部から送風機を直接目視できない構成となっているため、送風機からの直接音が存在せず、ディスクアレイ装置1の騒音を低減することができる。
【0079】
また、流路の側面が互いに平行関係ではないため、その空間での定在波を抑制し、その特定の周波数における音の増大を抑制できる。
【0080】
さらに、流路を広く設けているために、圧力損失を低減でき、ディスクアレイ装置の冷却性能を維持できる。また、従来の吸音構造に比べて流路を短くできるので、吸音構造の薄型化が可能である。
【0081】
なお、上述した例は、本発明をディスクアレイ装置用の吸音装置に適用した場合の例であるが、ディスクアレイ装置のみならず、サーバやメモリ装置等の他の電子機器に用いられる吸音装置に適用可能である。
【0082】
さらに、上述した例は、筐体27の前面部の両側に送風機3が配置される例であるが、筐体27の前面部の片側一方のみに送風機が配置される例にも本発明は適用可能である。
【0083】
この場合、図3に示したような関係が保つことができれば、開口部8の位置は、吸音装置の前面部の中央に位置する必要は無い。
【0084】
さらに、上述した例は、冷却風流路7を形成する2つの吸音部5の側面は、互いに平行関係となっており、冷却風流路7内に吸音板6を配置して、音の定在波の発生を抑制する構成としたが、冷却風流路7を形成する2つの吸音部5の側面が互いに平行関係とならないように、構成することも可能である。
【0085】
例えば、吸音部5の一方の側面又は両側面に複数の凹凸部を形成することもできる。また、上記両側面を互いにハの字形状となるように形成したり、表面を曲面形状とすることもできる。
【実施例10】
【0086】
図16は、本発明の実施例10の上面概略断面図である。この図に示すディスクアレイ装置20は、装置内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために装置内部の前面側における左右に複数設けられ、筐体27内の排気(あるいは吸気)を行う送風機3a,3bとを備えている。
【0087】
吸音装置を構成するフレーム4の内部には、送風機3a,3bの通気口(排気口)35と対向する位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成された吸音部5が配置されている。また、2つの吸音部5に挟まれたフレーム4内の空間には送風機3a,3bからの冷却風の流路7が設けられており、その流路7の吸音装置における外側は外部に開口している。
【0088】
流路7は、フレーム4における内側の流路幅30aと外側の流路幅30bが、流路7のそれ以外の部分の幅に比べて広くなっている。つまり、図16に示すように、流路7の流路幅はフレーム4の外側から内側(ディスクアレイ装置20)に向かって、一旦縮小して最小値をとり、その後拡大するようになっており、各吸音部5の水平断面における流路7側の形状は三角形となっている。なお、この三角形の各頂点が丸みをもつように吸音部5を形成しても良い。また、吸音部5は実施例2のように複数の吸音材料を積層させた構造にすることが可能である。
【0089】
吸音部5は、実施例1と同様に、吸音装置の外部から送風機3a,3bを直接目視できないような形状及び配置とされている。すなわち、図16に示すように、一方の吸音部5の水平断面において流路7側に表れる三角形の頂点を、空間9側から吸音装置の前面に向かって順番にa1,a2,dとし、他方の吸音部5の水平断面において流路7側に表れる三角形の頂点を同様にc1,c2,bとしたとき、点bと点a1又は点a2とを結ぶ線の延長線である直線L1が、送風機3aの通気口35と交差することなく流路7を通過する構成となっており、点dと点c1又は点c2とを結ぶ線の延長線である直線L2が、送風機3bの通気口35と交差することなく流路7を通過する構成となっている。
【0090】
なお、フレーム4は板材等の硬い材料で構成されている。吸音部5は、吸音装置の外側から人に直接触れられることを防ぐために、流路7を形成する部分以外はフレーム4で覆われている。
【0091】
このように吸音装置を構成すると、送風機3a,3bからの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、ディスクアレイ装置20からの放射音が流路7へ流入する際、流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入するため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0092】
また、流路7の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。
【0093】
さらに、流路7の流出口の幅30bが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0094】
また、流路7の流入口の幅30aが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例11】
【0095】
図17は、本発明の実施例11の上面概略断面図である。この実施例11は、本発明の実施例10と異なり、各吸音部5の水平断面における流路7側の形状が略台形状に構成された例である。なお、吸音部5の水平断面における流路7側の形状は、さらに頂点を増やした形状(5角形以上の形状)としてもよい。他の構成は図16に示した実施例10と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
このように吸音装置を構成しても、送風機3からの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、ディスクアレイ装置20からの放射音が流路7へ流入する際、流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入するため、流路7へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0097】
また、流路7の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。特に、流路7の形状は実施例10と比較して滑らかに形成されているので、実施例10よりも冷却風の流量を増加することができ、冷却効果はさらに向上する。
【0098】
さらに、流路7の流出口の幅30bが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0099】
また、流路7の流入口の幅30aが広くなっていることにより、流路7を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例12】
【0100】
図18は、本発明の実施例12の上面概略断面図である。この図に示すディスクアレイ装置20は、装置内部に搭載された記録媒体2と、この記録媒体2を冷却するために筐体27の前面側に複数設けられた送風機3とを備えている。この実施例における送風機3は、それぞれ、上記各実施例の設置位置よりも筐体27内の中央寄りに配置されている。
【0101】
吸音装置を構成するフレーム4の内部には、送風機3の通気口(排気口)35と対向する位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成された吸音部5が配置されている。また、2つの吸音部5に挟まれたフレーム4内の空間には送風機3からの冷却風の流路7が設けられており、さらに、フレーム4と各吸音部5に挟まれた空間であってフレーム4の左右に位置する部分には、冷却風の流路29がそれぞれ設けられている。なお、図18に示した例では、フレーム4内に合計3つの冷却風の流路(流路7及び2つの流路29)が設けられているが、ディスクアレイ装置の冷却性能を維持できる範囲であれば、4つ以上の流路を設けることも可能であり、また、例えば流路7を省略して2つの流路29のみとすることも可能である。
【0102】
吸音部5は、実施例10と同様に、3つの流路7,29,29のいずれを介しても、外部から送風機3が直接目視できないような形状及び配置とされている。また、流路29の流路幅は、実施例10における流路7のそれと同様に、フレーム4の外側から内側に向かって、一旦縮小して最小値をとり、その後拡大するようになっている。なお、他の構成は、本発明の実施例10と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0103】
このように吸音装置を構成すると、送風機3からの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、流路7および流路29へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7および流路29へ流入するため、流路7および流路29へ流入する音は流入する前に比べて減少する。
【0104】
また、流路7および流路29の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。
【0105】
さらに、流路7の流出口の幅30bおよび流路29の流出口の幅33bが広くなっていることにより、流路7および流路29を通過する冷却風の流速を低下させて排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0106】
また、流路7の流入口の幅30aおよび流路29の流入口の幅33aが広くなっていることにより、その部分を通過する冷却風の流速を低下させて冷却風を排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例13】
【0107】
図19は、本発明の実施例13の側面概略側面図である。この実施例13は、実施例9における流路7の上下方向の幅を変更したものに相当する。すなわち、本実施例における流路7は、フレーム4の内側における高さ方向の幅30aと、フレーム4の外側における高さ方向の幅30bとが、流路7のそれ以外の部分の幅に比べて広くなるように形成されている。さらに換言すれば、積層吸音部24の垂直断面における流路7側の形状が三角形となるように形成されている。なお、実施例10と同様に、この三角形の各頂点が丸みをもつように吸音部24を形成しても良い。また、この形状は三角形だけではなく、実施例11のようにその形状が台形であってもよい。さらに、図19では、積層吸音部24を構成する吸音材23の流路7側の表面のみ三角形の形状としている、さらに、吸音材23と対向する吸音材21の流路7側の表面を三角形の形状にしてもよい。つまり、積層吸音部24の上下2面ともに三角形の形状としてもよい。なお、他の構成は、本発明の実施例9と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0108】
このように吸音装置を構成すると、送風機3からの放射音は積層吸音部24に衝突し、吸音されるとともに、流路7へ流入する音が流入前に比べて減少するため、騒音は低減する。
【0109】
また、流路7の一部が狭くなっているため、流路7を通過する音が遮断・吸収され、外部への放射音が低減する。
【0110】
さらに、流路7の流出口の幅30bが広くなっていることにより、その部分を通過する冷却風の流速を低下させて冷却風を排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【0111】
また、流路7の流入口の流路幅30aが広くなっていることにより、その部分を通過する冷却風の流速を低下させて冷却風を排気(あるいは吸気)することが可能となり、その結果、圧力損失が低減し、ディスクアレイ装置の冷却性能が向上する。
【実施例14】
【0112】
図20は、本発明の実施例14のフレーム外部からディスクアレイ装置方向を見た正面概略図である。また、図21は本発明の実施例14の側面概略断面図である。
【0113】
これらの図に示す吸音装置を構成するフレーム4の内部には、実施例1と同様に、吸音装置の外部から送風機3が直接目視できない位置に、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音部5が配置されている。なお、吸音部5は、本発明の実施例2のように、複数の吸音材料を積層させた構造であってもよい。また、2つの吸音部5に挟まれた送風機3からの冷却風の流路7は、本発明の実施例10のように、流入口の流路幅と流出口の流路幅が、流路7のそれ以外の部分の幅に比べて広くなっていてもよい。
【0114】
本実施例のディスクアレイ装置20は、図21に示すように、上下方向(縦方向)に並べて配置された2つの筐体(筐体31a及び筐体31b)によって構成されている。流路7内における筐体31aと筐体31bの境界に相当する位置には、仕切板32が固定されており、この仕切板32によって、流路7は、筐体31a内と連通する流路と、筐体31b内と連通する流路の2つに分割されている。
【0115】
仕切板32を上記のように流路7内に固定する方法としては、仕切板32をディスクアレイ装置20に接続するもの(つまり、ディスクアレイ装置20の構造の一部とする方法)や、フレーム4に接続するものがある。なお、騒音の低減を図る観点からは、仕切板32は、グラスウールやウレタンフォームに代表される吸音材料で構成することが好ましい。また、他の構成は、本発明の実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0116】
ところで、ディスクアレイ装置を独立した複数の筐体を組み合わせて構成した場合には、各筐体構造の違い等に応じて、各筐体内の記録媒体2を異なる条件で冷却する場合(例えば、同一の送風機を異なる回転数で回転させて冷却する)があり、各筐体から流出(又は流入)する冷却風の境目に不安定な流れ生じ、これに起因してディスクアレイ装置20の冷却性能が低下する場合があった。本実施例における吸音装置は、この課題に鑑みて発明されたものであり、流路7内において上記のような仕切板32を備えている。このように流路7内に仕切板32を設置すると、ディスクアレイ装置20を複数の筐体で構成した場合にも、冷却風の境目に不安定な流れが生じることが防止されて圧力損失が低減するので、仕切板32を挿入しない場合と比較してディスクアレイ装置20の冷却性能を向上することができる。
【0117】
図22は、本発明の実施例14を適用した吸音装置をディスクアレイ装置に設置した場合における、装置内部の発熱体温度の測定値を示すグラフである。
【0118】
図22において、横軸は時間、縦軸は発熱体温度である。図22に示した測定値は、発熱体である記憶媒体2に熱伝対を設置して測定を行ったものである。また、図22中の2つの破線は、仕切板32を流路7から除去あるいは挿入した時刻を示している。なお、発熱体は装置内部の中央付近に設置されているものとする。
【0119】
図22に示されているように、仕切板32を挿入した場合には発熱体温度が低下していることがわかる。つまり、仕切板32を挿入することによりディスクアレイ装置の冷却性能を向上することができる。 さらに、本実施例の吸音装置は、実施例1と同様の吸音部5を備えているので、送風機3からの放射音は吸音部5に衝突し吸音されるとともに、流路7へ流入する音の一部が空間9の方向へ反射され、残りが流路7へ流入するため、流路7へ流入する音を流入する前に比べて減少させることができる。また、仕切板32を吸音材料で構成した場合には、流路7を通過する音が仕切板に衝突し吸音されて外部へ放射されるため、装置の騒音をさらに低減することができる。
【0120】
なお、上記の実施例14では、ディスクアレイ装置20が、上下方向に積層された2つの筐体によって構成されている場合について説明したが、複数の筐体が水平方向に並列された場合等にも適用可能なことは言うまでもない。
【0121】
また、以上の各実施例では、送風機3が筐体内の空気を通気口(排気口)35を介して排気する場合を例に挙げて説明したが、送風機3が通気口(吸気口)35を介して外部から筐体内に空気を吸気する場合にも各発明は適用可能であり、この場合にも上記と同様の効果をそれぞれ発揮することができる。
【符号の説明】
【0122】
1・・・ディスクアレイ装置、2・・・記録媒体、3・・・送風機、4・・・吸音構造を構成するフレーム、5・・・吸音部、6・・・吸音板、7・・・流路、8・・・開口部、9・・・ディスクアレイ装置と吸音構造との間の空間、10〜12・・・吸音材、13・・・凹凸形状を有する吸音部、14・・・薄い布、15・・・正面から見て三角形に屈曲した形状である吸音板、16・・・正面から見て波型に屈曲した形状である吸音板、17・・・正面から見て枝状に分岐した形状である吸音板、18・・・開口部、19・・・吸音材、20・・・ディスクアレイ装置、21〜23・・・吸音材、24・・・積層吸音部、27・・・筐体、28a、28b・・・吸音板、29・・・流路、30a,30b・・・流路幅、31a,31b・・・筐体、32・・・仕切板、33a,33b・・・流路幅、35・・・通気口(排気口)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気された冷却風が通過する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音部と、
上記冷却風流路内に配置され、上記冷却風流路内の内側面に対して傾斜又は湾曲する面形状を有する吸音材とを備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項2】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機からの冷却風を外部に排気する排気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の排気口に対向して配置され、上記排気口から排気された冷却風を外部に排出する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音部と、
上記冷却風流路内に配置され、上記冷却風流路内の内側面に対して傾斜又は湾曲する面形状を有する吸音材と、を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記排気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上前記吸音部は、上記筐体の上記通気口が形成された面との間に空間を形成し、この空間と上記冷却風流路とが連通し、上記通気口からの冷却風が上記開口部を通過することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部は、複数の吸音材料を積層させた構造を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部の、上記筐体の通気口が形成された面と対向する面の表面は、複数の凹凸部が形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、複数の吸音材料を積層させた構造を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、屈曲部を有し、上記開口部側から上記筐体側を見て、上記吸音部の側面と共に三角形の通路を上記冷却風流路内に形成することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は湾曲した形状を有し、上記開口部側から上記筐体側を見て、波型の形状を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、平面状部材と、この平面状部材から枝状に分岐した分岐部材とを有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、2つの平面状部材を有し、上記開口部側から上記筐体側を見て、X字形状を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項11】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置される2つの吸音部と、
上記2つの吸音部どうしの間に配置され、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する円筒形状の冷却風流路を形成する吸音材と、を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項12】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部及び吸音材は、上記電子機器の筐体に回動可能に支持されたドア型の構成を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項13】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置される複数の吸音部と、
上記複数の吸音部間に形成され、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する開口部を有する複数の冷却風流路であり、これら冷却風流路のそれぞれは、互いに傾斜する内側面を有する上記複数の冷却風流路と、を備え、
上記冷却風流路のそれぞれは、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電子機器の吸音装置において、
上記複数の吸音部のそれぞれは、上記筐体の上記通気口が形成された面との間に空間を形成し、この空間と上記冷却風流路とが連通し、上記通気口からの冷却風が通過することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項15】
請求項13に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部のそれぞれは、複数の吸音材料を積層させた構造を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項16】
請求項13記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部は、上記電子機器の筐体に回動可能に支持されたドア型の構成を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項17】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置される2つの吸音部であって、これら2つの吸音部どうしの間に、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する冷却風流路を形成し、
この冷却風流路を形成する上記2つの吸音部の互いに対向する側面は、互いに傾斜又は湾曲する形状を有し、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項18】
請求項1記載の電子機器の吸音装置において、
上記筐体は複数並べて配置されており、
上記冷却風流路内には、複数並べられた上記筐体の設置境界に相当する位置に、仕切板が設置されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項19】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気された冷却風が通過する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音材を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されており、さらに、上記冷却風流路の流入口および流出口の幅は、それら以外の部分の幅に比べて広いことを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項20】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体が複数並べて配置された電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する冷却風流路を形成する吸音材を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されており、さらに、上記冷却風流路内には、複数並べられた上記筐体の設置境界に相当する位置に、仕切板が設置されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項1】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気された冷却風が通過する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音部と、
上記冷却風流路内に配置され、上記冷却風流路内の内側面に対して傾斜又は湾曲する面形状を有する吸音材とを備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項2】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機からの冷却風を外部に排気する排気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の排気口に対向して配置され、上記排気口から排気された冷却風を外部に排出する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音部と、
上記冷却風流路内に配置され、上記冷却風流路内の内側面に対して傾斜又は湾曲する面形状を有する吸音材と、を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記排気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上前記吸音部は、上記筐体の上記通気口が形成された面との間に空間を形成し、この空間と上記冷却風流路とが連通し、上記通気口からの冷却風が上記開口部を通過することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部は、複数の吸音材料を積層させた構造を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部の、上記筐体の通気口が形成された面と対向する面の表面は、複数の凹凸部が形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、複数の吸音材料を積層させた構造を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、屈曲部を有し、上記開口部側から上記筐体側を見て、上記吸音部の側面と共に三角形の通路を上記冷却風流路内に形成することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は湾曲した形状を有し、上記開口部側から上記筐体側を見て、波型の形状を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、平面状部材と、この平面状部材から枝状に分岐した分岐部材とを有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項10】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音材は、2つの平面状部材を有し、上記開口部側から上記筐体側を見て、X字形状を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項11】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置される2つの吸音部と、
上記2つの吸音部どうしの間に配置され、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する円筒形状の冷却風流路を形成する吸音材と、を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項12】
請求項1に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部及び吸音材は、上記電子機器の筐体に回動可能に支持されたドア型の構成を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項13】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置される複数の吸音部と、
上記複数の吸音部間に形成され、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する開口部を有する複数の冷却風流路であり、これら冷却風流路のそれぞれは、互いに傾斜する内側面を有する上記複数の冷却風流路と、を備え、
上記冷却風流路のそれぞれは、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項14】
請求項13に記載の電子機器の吸音装置において、
上記複数の吸音部のそれぞれは、上記筐体の上記通気口が形成された面との間に空間を形成し、この空間と上記冷却風流路とが連通し、上記通気口からの冷却風が通過することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項15】
請求項13に記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部のそれぞれは、複数の吸音材料を積層させた構造を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項16】
請求項13記載の電子機器の吸音装置において、
上記吸音部は、上記電子機器の筐体に回動可能に支持されたドア型の構成を有することを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項17】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置される2つの吸音部であって、これら2つの吸音部どうしの間に、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する冷却風流路を形成し、
この冷却風流路を形成する上記2つの吸音部の互いに対向する側面は、互いに傾斜又は湾曲する形状を有し、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向けて、上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体の上記通気口以外の部分と交差するように形成されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項18】
請求項1記載の電子機器の吸音装置において、
上記筐体は複数並べて配置されており、
上記冷却風流路内には、複数並べられた上記筐体の設置境界に相当する位置に、仕切板が設置されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項19】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体を有する電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気された冷却風が通過する開口部を有する冷却風流路を形成する吸音材を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されており、さらに、上記冷却風流路の流入口および流出口の幅は、それら以外の部分の幅に比べて広いことを特徴とする電子機器の吸音装置。
【請求項20】
記録媒体と、この記録媒体を冷却するための送風機とが内部に配置され、上記送風機により吸気又は排気された冷却風が通過する通気口が形成された筐体が複数並べて配置された電子機器の吸音装置において、
上記送風機の通気口に対向して配置され、上記通気口から吸気又は排気される冷却風が通過する冷却風流路を形成する吸音材を備え、
上記冷却風流路は、この冷却風流路を外部から上記筐体の内部に向かって上記冷却風流路を通過する直線が、上記筐体における上記通気口以外の部分と交差するように形成されており、さらに、上記冷却風流路内には、複数並べられた上記筐体の設置境界に相当する位置に、仕切板が設置されていることを特徴とする電子機器の吸音装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−18880(P2011−18880A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57607(P2010−57607)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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